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ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α6



1 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/24(金) 19:37:09 ID:3eN8TkYf]
スレタイの通り、ロボットやアンドロイド萌えを語りましょう。

前スレ:
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α5
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499 名前:名無しさん@ピンキー mailto:ツンデレ [2007/11/23(金) 17:18:35 ID:25QQa2PH]
やっとか、早く終わらせろよ






別に、結末が早く読みたいわけじゃないからな、勘違いするなよ?

500 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/23(金) 17:32:06 ID:GJjM+mt+]
>>499
うぜえぞ。嫌ならここへ来るなよ。
折れは楽しみにしてるんだ。

501 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/23(金) 18:02:21 ID:VSia3vjT]
まあ落ち着け…。

>>499
とは言え、オレも楽しみにしてるしさ。
そう言う心無い書き方は好かんな。

別に他の人が、間に話を書いても良い訳だしさ。
むしろ尻切れトンボが多い、このカテで良くやってるじゃん。

書き手の気持ちを萎えさせる様なカキコは、すべきじゃないと思うがね。


502 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/23(金) 18:19:47 ID:aZaNitJZ]
おまいら落ち着いて>>499のメル欄を(ry

まぁ、もうちっと書き方は考えた方がええんでない?と思ったけどね・

503 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 00:17:52 ID:rdWAlrru]
結論:>>499はもっとツンデレの修行を積むべし。
以後さらに精進するよーに

504 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 00:35:30 ID:unTe/lkl]
>>499

「やっと投下終わったのぉ?それより早く連載終わらせなさいよね。べ、別に結末が気になるんじゃないんだからね?
す、少しは気になるけど……期待なんてしてないんだから!ヘンな勘違いしないでよね、このバカ!」

505 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 02:19:51 ID:9SlXPiiU]
本当に早く終わらせてほしいね
そして二度とスレに投下するなと本気で思うよ
炊飯器とワースト2トップ争いの有力候補だ


506 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 02:57:49 ID:+6H9f0Vo]
>>506
なら、お前が二度と来るなよ。

507 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 03:04:05 ID:DZjqlSuD]
俺は>>506をどう受け止めれば良いんだ?



508 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 03:39:26 ID:hrNVwbLw]
抱きしめてやれ

509 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 06:58:54 ID:YjaUespq]
>>505
コハル定時自演乙ww



そろそろコハルヒロインに外伝書いても良いと思うんだ
ヤラレキャラとは言え不敏過ぎる

510 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 09:05:14 ID:d6veSuyF]
>>505
市ね

511 名前:名無しさん@ピンキー [2007/11/24(土) 09:25:26 ID:9zzh/Or8]
>>509
通信機能がない(つまり並列化出来ない)コハルが人間を守るため他のロボットと一緒に戦う
という電波を受信した

512 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 11:04:53 ID:cjqCJrZC]
>>511
ターミ姉ちゃんと呼びたいw

513 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 12:46:28 ID:G2apABO3]
つまんない、自分に合わないと思うんなら、
読まなけりゃいいだけの話。
とは言っても、書き手としては賛美より批判のほうが
参考になって役立つのは事実。
だから、厳しい意見も必要。
しかし、建設的意義を持つ厳しい意見なのか、
単なる中傷なのかの違いは重要。
後者であれば、作者も周囲も気分が悪くなるだけ。

514 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 15:01:11 ID:ra9gBlwA]
スルーを憶えなされ。最も効果的な手段でもあるんだからして。

515 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 16:47:05 ID:wf2m0Wzv]
なんだよ。投下されたのかと思ったら外野が騒いでるだけかよ
続きマダー?

516 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 17:33:53 ID:YjaUespq]
[516] 名無しさん@ピンキー [sage] 2007/11/24(土) 17:34:05 ID:c0HA1kTKRwWW
コハルちゃんが大怪我をして動けないご主人様と、半永久的に愛の巣で幸福に暮らすという電波を受信しましたwww
というか、予測…なんですけどwwww

517 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/24(土) 22:09:06 ID:xilt9U8R]
流れを読まずに投下。

「うー、さむ…明日は朝っぱらから仕事か、行きたくねぇー」
「いきなり労働の放棄宣言ですか」
「行くけどな。お前のローンで色々切り詰めてるのに、職を失ったらどうしようもねぇし」
「…暖房とかの光熱費も切り詰めないといけないのは事実ですが、反応に困るコメントはなさらないで下さい」
「早めに寝るに限る。ってことで添い寝よろしく♪」
「わかりました。体温調整します」
「うはー、ほかほかしてあったかい。ぐっすり寝れそうだ…おやすみ」

真夜中に置きだそうとする主。

「こんな夜更けに…どうされました、マスター?」
「いくら暖かくても先に冷えてた分がな…え、お前何やってんだ?」
「大丈夫、物理物体以外の飲食機能と水分のろ過フィルターは優秀ですから♪」
「これ飲食物違うし! 掴むな、含むn…だめだ、だm、漏る! HA★NA★SE! あう、あ…出…」
「! んぐ…ぶぷ…ごく…ごく…じゅ…ふう、あとはいつものを…安眠のために。ほら、大きくなってきました」
「え、ええい、出したらぁ!(ヤケ)」

次の日。朝ごはんの時間。

「咥内洗浄状況確認、クリア、フィルタ良好。健康状態チェックしましたんで、お弁当作っておきました」
「(ぶつぶつ)お、俺は変態だ…変態になっちまっただ…親父、お袋、ごめんよ…」
「夏は一杯されましたから…もしかして、目覚めちゃいましたか?(にこにこ)」
「そっち方面のケは無い、と思いたい(涙目)」

夏とは逆パターン書いてみた。スカったりトロったりするネタ嫌いの人はスルーで。



518 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 09:07:25 ID:/cN5BW7q]
いいwwwww

519 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:23:31 ID:fwqnTuep]
「元々…シンクロイド・システムは、君が言ったように、人とドロイドを繋ぐものだったんだろ…」
そう言ってから、おれはトモミの顔を改めて見つめた。
ここに居るのは、本来のシステムの完成体…つまりは、ともねえの完全な分身となるべき
はずであった少女型のドロイドなのだ。
「不滅の命を得るため…ドロイド部隊を自在に動かすため…何て言うか、どれを聞いても、
裏で、薄汚い連中たちの思惑が駆け巡っていた様に思えてならないんだ」
「…だから…完成型はわたし一人なのです」
トモミが寂しそうに眼を伏せながらそっと首を振った。
「各国の首脳や軍隊関係者に…その都度、秘密裏に開発状況を公表されていました」
「…つまりは…輸出も考えていたわけか」
そういえば、バンは合衆国大統領の命で来たのだっけ…。
「でも、朋さんは大勢の分身ドロイドによる『不滅の独裁者』が現れてしまう危険性を説き、
合衆国大統領を説得して、開発中止の指示を出してもらい…表向き、それに従った事に
したのです。大統領でしたら、説得力がありますからね」
「お袋の説明では、ともねえは大統領の開発反対に納得して中止した…と言っていたが」
「本当の所は逆、朋さんから出た話しです。…ただ、真実を知られると、お母さまにも危険が
及ぶ…ですから、敢えて伝えられなかったのです」
「そうだったのか…」
「その後…これは、テロリストに再起動されて目覚めた後に得たデータでは、大勢のドロイドを
自在にコントロールする為のシステムに改変されましたが、起動に失敗しています」
「その辺りも…おれは聞いたが…何故、テロリストは失敗した物を持って行ったのか…」
おれの問いに、トモミは眉を寄せ、ふっと小さく溜め息をついた。
その仕草はとてもドロイドとは思えず…かつてのともねえを彷彿させた。
「テロリストにも…技術者がいます。オムニ社に研究員として潜り込んでいた者もいたほど
ですから、シンクロイド・システムが『不完全な』物だったとしても、兵器に転用できる可能性の
高い研究資料としては…」
「色々な意味で有益だったわけだ」
「仮に起動に失敗しても…リンクシステムを持つドロイドたちを、一度に大勢を機能不全にして
しまう事が出来ますし、完成出来れば、自在に動く軍隊も出来ます」
「なるほど…そういう事なら…無駄になるどころか…十分使える」
「さらに、本来のシンクロイド・システムを完成できれば…」
「一石二鳥か…いや、三丁だ」

520 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:24:13 ID:fwqnTuep]
おれの言葉に、トモミは真剣な表情で頷き、続けて訊ねた。
「独裁者が、完全なシンクロイド・システムを利用できたら…どうなると思います?」
「多くの分身を持ち、多数のドロイドを自在に操り、しかも命令に従わないドロイドをまとめて
機能不全にして封じることができる…」
「はい」
トモミは両手を組み、そして祈るような形で額に当てて眼を閉じた。
「ある意味…今回は、テロリストに操られなかっただけ、まだマシだったのかも知れません」
「ああ…皮肉な話だが…システムが暴走した今回の方が…被害は少ないな」
「……でも、こんな形で目覚めたくなかったです」
手を離し、そのまま両頬にあてたトモミは、ほう…と小さく溜息をついた。
「しかも、システムの情報中枢を担っているなんて…」
「…この件が解決したら…改めて…その…初めからやり直すと良いかもな…」
「え?」
トモミはおれの方を向き直った。
「…折角、こうして目覚めたんだしさ…」
「ぼっちゃま…」
トモミは感極まった声を上げ、両手を合わせて胸にあて、それから口元に持っていった。
「その時は…わたし…」
「ちょ…ちょっと待て」
妙な予感がしておれは少し慌てて言った。
また、さっきみたいな濡れ場になってしまったらシャレにならないからな。
それに気になることがある。
「なあ…どうして君は、おれを『ぼっちゃま』って呼ぶんだい?」
…その時になって…初めてトモミはその事に気付いたらしく、ちょっとキョトンとした顔になり、
それから首を傾げた。
「そういえば…そうですね…」
「そう呼ぶのは…巴だけなんだが…」
「巴が…ですか」
不思議そうに…だが、巴の名が出た時、ちょっと拗ねた様な顔でトモミはぷいと横を向いた。
「トモミ?」
「わたし……きっと巴に嫉妬してるんです」
そう言ってから、ちょっと寂しそうに笑みを浮かべ、それから何を思ったか、右手でコツンと
自分の頭を叩いてから、トモミは悪戯っぽく軽く舌を出し、おれの方を向いた。
「ごめんなさい…これっきり…って言いながら…やっぱりまだ、未練があるみたいです」
「でも…さっきみたいなのは勘弁してくれよ」
「……やっぱり…お嫌でしたか?」
少し上目遣いになって、おずおずとトモミが聞き返す。
おれは…大きく溜息をつき、顔に手をやった。
「…あのなぁ……嫌じゃないから…凹んでるんだよ」
「え?」
「おれはさ…それでもやっぱり『巴』が一番大事なんだよ」
「………」
「だけどさ…顔立ちは一緒で…そんな風に髪型までそっくりに変えて…迫られて…何だか
段々訳がわからなくなっちまった。けどさ…本質的に…君が巴と同じだと思ったから…」
「もう一回…されてしまったのですね?」
ふいに出入口の方から聞き覚えのある少女の声がして…
おれとトモミはそちらを向き、本当に洒落でなく、飛び上がりそうになった。
階段ホールに、一人の人物がいた。
それは、白のコートに身を纏い、フードを頭からすっぽり被った大きな少女の人影…。
…まごうことなき…巴の姿だった。

521 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:25:13 ID:fwqnTuep]
「…と、巴…」
おれは次の言葉を失った。
全身に冷たい汗がたらたらと流れ…背筋が一瞬にして凍りついた。
じょ…冗談だろ…!?
正直…何と言うか…浮気現場を…それも行為の最中踏み込まれた亭主の心境と言うか…。
「ぼっちゃま…」
フードを被っているので表情が良く見えないが、中から黒い瞳がふたつ、こちらに向けて
らんらんと輝いている。
おれは…覚悟を決めた。こ、怖いが…や、やっぱり…責任は取らなくてはならない!
「…おれは…その……済まん!!」
立ち上がり、それから、殆ど地面に頭を付けんばかりに勢い良く頭を下げた。
「ぼっちゃま!!」
え!?
ふいに嬉しそうな巴の声がして、次の瞬間…
どか〜ん…という、やけに聞き覚えのある轟音が鳴り響き…。
何が起こったのか、一瞬判らずに呆気に取られて顔を上げると…。
出入口の上部が凹み…その下でアタマを抱えてしゃがみこんでいる巴の姿があった。
「あいたたぁ…」
「お…おい…巴」
ちらと横を見ると、呆気にとられているトモミと視線が合い、慌てて駆け寄ると、巴は頭を
抱えて、う〜と小さく唸っていたが、やがて顔をあげ…ちょっと顔をしかめながら、やがて
トモミをちらと見、それからおれを見上げて、穏やかに、にこっと笑った。
「…ごめんなさい、ぼっちゃま…またやっちゃいました〜」
「…住人さんが飛んでくるぞ」
思わずそんな事を言ってから、おれは眼をつぶり、頭を下げた。
「いや、それより、おれは…」
ふっと気が付くと、巴の柔らかな手がおれの左の頬に当てられ、眼を開けた。
巴が穏やかな…まろやかな微笑を浮かべて、おれをじっと見つめている。
そして…何を思ったのか、そっと左右に首を振り、それから改めて頷いた。
その黒く深く澄んだ瞳に吸い込まれそうな錯覚を覚え、おれは我に返った。
「え…?…巴?」
「すべて…『感じて』いましたよ…ぼっちゃま」
「え?」
巴はそれからトモミの顔をじっと見つめた。
「巴…」
トモミが複雑な表情で巴の顔を見下ろし、それから、そっと頭を垂れた。
「ごめんなさい…」
涙混じりの声…。
だが、次に、巴の手がおれから離れたかと思った瞬間…。
いきなり巴は、おれとトモミに両手を伸ばし…そのまま力強くも優しい力でおれたちを
引き寄せ、そのまま自分の両側に抱き寄せたではないか。
「え?…え!?」
何が起こったのか判らず…トモミも涙を溜めたまま、おれの左で唖然としている。
…気が付くと、おれたちは、しゃがんだ姿勢の巴に、並んで抱きしめられていた…。

522 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:26:16 ID:fwqnTuep]
柔らかく…温かで弾力のある巴の胸の感触が心地よい。
だが…おれに、巴に抱きしめられる資格があるのか?
そう思いながら顔を上げると、巴は静かに微笑み、口を開いた。
「ぼっちゃまが出られた後…バンさんに絶縁加工コートをお借りして、すぐ飛び出したのです」
「おれが…出た直後に?」
巴は頷き、申し訳無さそうに苦笑した。
「一人で行けって仰いましたけど…やっぱり駄目でした。ぼっちゃまも一緒で無いと…嫌です」
「しかし…ここに来るのは危険だ。第一、追っ手が…」
「ですから…このコートをお借りしたのです」
「だから絶縁コートなのね…」
トモミがふっと口を開き、巴は再び頷いた。
「ええ。電磁波を極力遮断して、リンク・システムの探知から逃れたの」
…気が付くと、身長差こそ大人と子供以上に違うが、顔立ちの似た、まるで姉妹のような二人。
巴はなおも続けて言った。
「ぼっちゃまが駆け出すのが見え、わたしも直ぐ後を追いました。…その時…」
「わたしの『気配』を感じたのね」
トモミの言葉に巴は静かに微笑み、大きく頷いた。
「たぶん…あなたが、驚くほど近くにいたから…リンク出来たのだと思うの」
巴の言葉に、おれは少し疑問を感じて訊ねた。 
「リンク・システムは封じられてるのにかい?」
「ダイレクト・リンクは短距離にしか使えませんが、半面、クリアーにアクセスできますし、周波帯も
特性もまるで違います。そう…携帯とPHSの違いみたい…でしょうか」
すかさずトモミが解説してくれた。 
「…でも…わたしは気付かなかったけど…」
「多分、シンクロイド・システムか…テロリストが、あなたからわたしにアプローチできないよう
システムをいじったのだと思うわ」
「え?わたしからあなたに出来ないってことは…あなたは…」
…次の瞬間…
トモミは、まるで湯気でも吹かんばかりに真っ赤になって俯き、そして…
巴もポッと頬を赤らめ…それから、きゃっと小さく声を上げて…
おれとトモミは巴の腕の中で、改めて力いっぱい優しく抱きしめられていた…。

523 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:27:10 ID:fwqnTuep]
…それから、おれたちはまたもベンチに腰掛けなおした。
おれの右にトモミ、左に巴…。
そういえば、本当は、お袋は二人ともおれに贈るつもりだったとか言ってたっけなぁ…。
などと、ふと、ぼんやり思い出していた。
「…ですから…わたし…今は、トモミでもあるのです」
巴がにっこり笑っておれたちに笑いかけた。
「…じゃ…じゃあ…さっきまでの一連は…すべて」
巴はこくりと頷き、それから、はあ…と、少し気だるげに息をついた。
「わたしも…とっても…感じちゃいましたよ…」
「え゛???」
思わずおれとトモミの妙な声が重なる。
「わたしも直接参加させて頂きたかったです〜…歩いていて…その場で頭が真っ白に
なって危うく…イっちゃうところで…慌てて…そっちの回路、切っちゃいました〜」
「え゛え゛っ!?」
巴はふふっと笑い、それからトモミに両手を差し出した。
「ごめんなさいね…わたし、今、あなたの意識や考えが…わたしのものとして…わかるの」
巴の言葉にトモミは絶句した。
「…それじゃ…」
「うん…だから…あなたの気持ちは…凄くわかるの」
「…本当に…あなたがとても羨ましい…でも、どうして…」
「だって…わたしも…あなたと同じ存在でしょう?」
「でも、わたしには『朋』さんとしての自意識が無いわ…」
「わたしも『朋』さんの記憶が無いから…同じ事でしょ?」
そう言って巴はにっこり笑い…やがてトモミも巴の優しさに表情を和らげ、頷いた。
「そうなんだ……あなたも…過去の記憶が無いことに」
「…やっぱり…本当はちょっと悲しいな…って」
「そっかぁ…」
「わたしたち…同じ分身なのに…持っているものは丁度、正反対なのよね」
「…それじゃ二人合わせて」
「ぴったりひとつ…よね」
おれを間に挟んで、巴とトモミはお互いの両手をぎゅっと握り合った。
そしておれを挟み込む様に身を寄せつつ、やや身体を前に出し、左右からおれの顔を見つめた。
おれの前に、左に巴、右にトモミの愛らしい顔がある…。
黒髪に黒い瞳の巴、赤毛に蒼眼のトモミ。
二人の澄み切った瞳がきらきらと輝き…おれを見つめている。
たまらず両手を左右に伸ばして、二人の背に手を触れた。

524 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:28:21 ID:fwqnTuep]
「ぼっちゃまにお願いします」
巴が決然とした面持ちで静かに頭を下げた。
「この件が解決したら…トモミも一緒にお傍に置いてください!」
「え?…でも」
おれが答える前に、躊躇いがちなトモミ。
「わたしはぼっちゃまを誘惑して…」
「ううん。…いずれ『思い出す』と思うけど…わたしも…ぼっちゃまを押し倒した前科があるから…」
巴の言葉に思わずおれの顔は火照り、トモミは、まんまるく眼を見開き、おれたちを交互に見た。
そうなのだ…結局、巴はお袋のススメに従って…落ち込んでいた時のおれを慰めてくれたのだ。
それも…身体を使った…予想外に強引な方法で…。
「あ〜…その話しは、またにしてだな」
困って口篭ったおれを見、巴がしてやったり…という悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「それに…トモミの気持ち…わたしの気持ちでもあるんですよ」
「おれは…」
トモミの気持ちは判っている。だが…。
「…おれは巴を選んだ…その気持ち自体は変わっていない…それでも…良いのかい?」
「トモミとわたしの心も、記憶もひとつになれば…わたしたちは同じです」
巴が淀みなく答えたが、トモミはまだ躊躇っている様子だ。
「確かに…マルチタスクという形で、完全に独立して考え、行動できますけど、巴のわたしも
トモミのわたしも同じ心を共有できるんです。それではいけませんか?」
確かにそれは判る…だが…トモミの顔を見ていると、まだ釈然としないものが残った。
「…おれにとっては…二人の恋人を得られるわけだけど…それって、おれにばかり都合の良い…
そんな話じゃないかって…そんな気がしてならないんだよ」
「ぼっちゃま?」
「おれの貞操観念が古いのかも知れないが…一夫一婦というのがやっぱりあってさ…」
おれの言葉に、巴は一瞬顔色を変え…言葉を失った。
つまりおれは…一生、巴、ただ一人と共に生きる…そのつもりだった…と告げていたのである。
巴はそれから、ひとつ息をつき、それからぺこりと頭を下げた。
「ありがとうございます…」
顔を上げ、上気した顔で笑みを浮かべた巴だが、続けて言った。
「でも、もし人間の方で、ぼっちゃまに釣り合う方がおられたら…わたしは、お傍に仕える身と
しての立場に退く…そのつもりです。だから…」
「トモミが居ても問題ない…そう言いたいのか?」
「はい…」
「ばか…」
おれは、左手を巴の頭に掛けた。
「身体は機械でも…心は…ともねえじゃないか」
「………」
「でも…そうなると…トモミが居ても問題ない訳か」
おれの言葉に、トモミは驚きの眼差しを向けた。
「…それに…本気で巴になる…って言ってくれたよな…。その気持ちに変わりはないかい?」
「はい。ありません」
ぶれない、真っ直ぐな瞳。
「なら…これからは…いつまでも三人で一緒に行こう」
おれは覚悟を決めた。

525 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:29:58 ID:fwqnTuep]
それにしても…当面の問題をどうしたものか。
巴とトモミがリンクできれば、この事件は解決できるはず…なのだが、二人の意識と記憶が、
どうやっても上手くシンクロ出来ないので、どうしたものか…正直弱ってしまった。
「…あなたの意識は入ってくるけど…あなた中の…朋さんの記憶は…断片的にしか読めなくて…」
「わたしも…少しずつ何か感じはするのだけど…」
お互いの両手を広げて触れ合わせ、データ交感を図っていた巴とトモミだったが、やがて諦めた様に
同時に首を振った。
「…ダイレクト・リンク…やはり完全には繋がっていないのね」
「ええ。わたしからあなたへも、少しは繋がってはいるけど…」
「…そっか…それで…わたし『ぼっちゃま』と…」
「でも、所々…予備知識的にしか入っていないみたいね。…あなたの気持ちが判るのに…とても
歯がゆいなあ…」
「やはりシステムがいじられているみたいね」
「お母さまに調整して頂かなくては…駄目かしら」
「でも…ここから研究所までは、まだ遠いし」
おれは二人のやりとりを、腕組みをして暫く黙って見ていたが、ある事に気付いて口を開いた。
「なあ、トモミ…シンクロイド・システムについてもう一度だけ教えてくれ」
「はい?何でしょう」
「シンクロイド・システムの成立に不可欠なものは被験者、被験者の分身のドロイド、そしてシステム
本体…この三つだよな…被験者の分身はこの場合、トモミだよな」
「はい。そうです」
「ともねえがおらず、分身としてもトモミのみ存在することで、シンクロイド・システム自体が上位の
位置に立っている…これも間違いない?」
「はい。間違いありません。ですからわたしはこうして、自由に『泳がされて』いるのです」
「だとしたら…被験者の代わりになっているものって…何なんだ?」
「「あ…」」
巴とトモミが全く同じタイミングで声を上げ、顔を見合わせた。
「「被験者のダミーシステムです…」」
直後にこちらを向いた二人の声が綺麗にハモり、二人は再び顔を見合わせ、ぺろっと舌を出した。
…この絶妙なタイミング…癒されると共に、妙に心強く感じる。
「シンクロイド・システムの機能を止めるとしたら、そのどれかが欠けても駄目だが、トモミのアクセスは
無くてはならない。だとしたら、本体の所在が判らない以上、ダミーシステムを探して破壊する方が
てっとり早いんじゃないかな?」
「ダミーシステム…」
トモミが、その言葉を噛み締めるように呟き、それから大きく頷いた。
「それなら…どこに存在するか判ります…でも、今まで、どうしてその事に気付かなかったのかしら…」
「朋さんの心を…人としての意識をもたないからじゃないかしら」
巴の言葉に、トモミの顔色が変わった。
…巴自身も頷きつつ、厳しい表情になる。
「でも…巴…自己保存、防衛本能はあるわ」
「だから…。そうね!そういう事なのね」
「テロリストの命令で自爆させられたり、戦闘に参加させられたドロイドたちの意識がフィードバックされ」
「こんなのはもう嫌だ…誤った扱われ方はしたくない…その意識が人間を危険と判断して…」
「こんな叛乱を起こしたのね…」

526 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:31:24 ID:fwqnTuep]
二人の言葉は、まるで一人の言葉のように流暢に繋がり、おれは思わず暫し見惚れてしまった。
だが、ぼんやり眺めている余裕は無い。
「ならば…それを叩こう」
「武器なら…ありますよ」
コートの中にごそごそと手を突っ込み、巴はにっと笑った。
「これまたバンさんが貸して下さったんです」
トモミはキョトンとしておれを見、おれは変わらぬ巴の明るさに思わず…やっぱり笑ってしまった。
とはいえ…出てきたのは…デザートイーグル!?笑顔のつもりがちょっと引きつる。
「それ…でか過ぎないか?」
呆れ気味に訊ねると、巴はにっと笑った。
「大丈夫…50AEでは無く、44マグナム仕様ですから、ぼっちゃまなら片手で撃てますよ」
それに電磁警棒が6本…って、これらはどうやって、しまってたんだ?
巴は銃とマガジンを3本取り出しておれに差し出し、電磁警棒のうち2本をトモミに差し出し、2本は
ベンチに置くや、残った2本を手際よく上下で繋ぎ合わせて1本の長い棒にした。
そして、立ち上がると、くるりと水平に一回転し、孫悟空の如意棒の如くくるくると振り回した。
長いポニーテールがその都度たなびき、やがて、ばっと長い電磁警棒を構えて静止する…。
それは中国あたりの剣舞を彷彿させた。
「…ず、随分と手慣れてるな」
前に観たアクション映画で、戦闘前にヒロインが武器の確認をするシーンがあったが、巴のそれは
それよりも全然滑らかな仕草で、戦闘のプロを思わせた。
「わたしは…ご存知のように、元々軍用機ベースですから…ぼっちゃまの身に何かあった時、
こうしてお仕えできるよう、お母さまにお願いして、様々なデータとスキルを頂いたのです」
「いいなあ…」
トモミが文字通り、指をくわえるような仕草で、溜息まじりに呟いた。
…ちょっと羨ましそうな仕草…ドロイドとはとても思えない可愛らしさで、思わず頬が緩む。
「そのスキル、わたしももらえるよね」
「うん…ひとつになったらね」
く〜…!何と言うか…心和ませ…まさに癒される光景。
一人と言うか…仲の良い姉妹みたいじゃないか…。
こんな甘甘な姿を、これからも守り続けてやりたい。
この二人の為にも…一刻も早くカタをつけてやるぞ。
おれは両腰に電磁警棒を差し、両手でパンパンと自分の頬を思いっきり叩いて…首を振った。
…頬がじーんと熱く沁みるが眼が覚める。
そして、音があまりに派手だった為か、巴とトモミは吃驚しておれの方を向いた。
「気合だ…気合!」
おれは拳を固めて、右目をつぶってみせた。

527 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:32:36 ID:fwqnTuep]
アパートの玄関口を出て、おれたちは五階の窓を見上げた。
幼い頃の思い出の場所が…今また、新しい思い出を加えた場所に変わった。
トモミと出会え、巴と合流できるなんて…。
本当におれはツイていたと思う。
しかも、トモミが偽の情報を流している事で、シンクロイド・システムの追っ手は誰もこない。
おれたちは、路地裏を静かに歩き始めた。

時刻は22時半…。
大通りは、深夜営業の飲食店やコンビニ以外、すべてシャッターが閉じられている。
念のため周囲を確認し、携帯の電源を入れた。
今度は通信目的でなく、GPSの使用が目的だ。
トモミが眼をつぶり…彼方を指差す。
GPSで現在地点を表示させ、方角を北に揃えて、表示倍率を変え、それからトモミの示した方向に
スクロールさせる。
…それはやはり…オムニ・ジャパンの研究所のある方角だった。
「ドロイドたちは市街地の外れに誘導してあります」
トモミが眼を開け、ちらと交差点の方を見ながら言った。
「シンクロイド・システムのダミー・システムは、二十人ほどの警備ドロイドに守られて、トレーラーで
移動しているようです」
「…そこまで判るのに…何故、君のことを泳がせているんだろうね」
「罠とお思いですか?」
「う〜ん…あ、いや、トモミを疑っている訳じゃないが…」
するとトモミはやや自嘲気味に苦笑した。
「わたしが裏切れないと判断しているのでしょう。わたしの所在自体は今も常に把握していますし、
わたしの持っているデータさえ吸い上げる事が出来れば、心なんて関係ないでしょうから」
「ダミー・システムと君とは…あくまでシステムを構成する為の繋がりでしか無いんだな」
「ええ…」
トモミは巴の顔を見上げ、眼を細めて笑った。
「巴とわたしのような繋がりは、全くありませんし…何も感じません」



528 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:33:51 ID:fwqnTuep]
途中のコンビニで握り飯を5個、ペットボトルのお茶を2本、それにバッテリーパックを6本買い、
おれたちは夜道を歩き続けた。
賑やかな市街地を出、閑静な…と言っても深夜だから当たり前なのだが、きらきらと街灯の輝く
新興の綺麗な住宅街を通り抜け、舗装された山道に入る。
途中、歩きながら握り飯をほお張ると、巴とトモミもバッテリーパックをぱくっと飲み込んだ。
気が付くと、二人ともこれでそれぞれ2本目ずつ。
その都度、元気になるみたいに思えるが…気のせいか?
しかし…何と言うか…お袋のセンスときたら…。
本来、ドロイドは、エネルギー補充の際は専用のベッドに横たわって、身体の数箇所に設けられた
端子からエネルギーを充電するか、市販のドロイド用バッテリーパックを簡易充電器に繋いで
手足のどこかの端子から繋ぐのだが…。
お袋の手がけたドロイドたちは、緊急時はバッテリーパックを丸呑みして、体内にある充電ユニットに
セットして簡単に補充できるようになっているのだ。
傍で見ると…物を食べているようにしか見えず、パックを何本か一度にまとめて体内に保管できる他、
充電ユニットが露出しないという安全面も考慮されて、一見良い事ずくめなのだが…。
もっとも…この方式の最大の欠点は…カラになったバッテリーパックの回収方法にあり…。
後は想像にお任せするが…『そういう』趣味のある者には堪らない…らしい…とだけ言っておこう。
まあ、カラになったパックがお腹の中でゴロゴロしているのは…彼女たちも気持ち悪いだろうがね。

おれたちの直上には綺麗な満月が光を放ち、澄んだ秋風が軽く吹く中、並んで歩いていると、
どこか夜中のピクニックにでも来ているような…そんな感じすらあった。
…もっとも…三十分後にはどうなっているか…わかりゃしないが。
最後の握り飯を食べ、ペットボトルのお茶も飲み干すと、巴がそっと手を差し出して、空いた容器を
受け取るとビニール袋に入れ、それからコートのポケットに押しこんだ。
うんうん…とトモミが頷く。ゴミはきちんと持ち帰りましょう…というわけだ。
…と言うわけで、三人とも、エネルギー充填完了だ。

529 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:35:33 ID:fwqnTuep]
山道は段々と寂しくなっていき、左右に雑木林が生い茂り、その黒い影が不気味にざわめいている。
歩く途中の街灯の数もまばらになって行く。
長い影を三本引きながら、おれたちは歩き続けた。
…これぞまさしく真夜中の決闘…か?
本当なら緊張する場面の筈だが、巴とトモミが左右に居る…それだけで心強く、むしろ、俄然勇気が
湧いてきていて、恐れも怖さも感じない。
ただひたすら…システムを『叩いて』止める、それだけだ。
本当はお袋に連絡しようか…とか、バンたちに援護してもらうか…とも考え、実際、行動する寸前まで
行ったのだが…通信手段は押さえられている可能性が高いし、バンたちが動けば、当然シローたちも
一緒に行動すると言って聞かないだろうから、止めることにした。
武器はある。
それに、さっきの巴の奮戦ぶりから考えれば、油断は禁物だが、20人位なら何とかなる。
今度はトモミもいるし…。
そう思った先に…研究所の灯りが見えてきて、おれたちは互いの顔を見合わせた。
そして…ゲートの前に、大型のトレーラーと思しきシルエットが数台見えた。
「あれだな…」
良く眼を凝らすと…トレーラーの周囲に、服装もバラバラな少女のシルエットが幾つか見える。
その手には棒状の物が握られ、中には腕に『じか付け』されているのも見える。
「トレーラーの外に11人居ます」
トモミがこめかみに手をやり、暫し眼をつぶりながら教えてくれた。
この場合、トモミは早期警戒システムの役割となるので、ありがたい。
「他には…トレーラーの中に数人います」
「シンクロイド・システムの発信源は…もしかして、あれかい?」
見ると、数台のトレーラーの屋根の上に、かなり大きなアンテナが載っている。
その数は4基…。
…どうにもトレーラーに不釣合いな大きさで、ちょっとしたテレビ局の中継車よりも大きそうだ。
「……そのようです」
眼をつぶったまま、トモミは答えたが…少し青ざめた顔になってきた。
「…アクセスを…拒否されましたから…たぶん、間違いありません」
「だとしたら…あれを潰せば、リンク・システムへのアクセスは出来なくならないか?」
「一時的には可能ですが…サブの簡易システムが1時間後に起動します」
「わかった。トモミ…ありがとう。もう良いよ」

530 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:38:09 ID:fwqnTuep]
緊張が解け、肩の力を抜いたトモミの頭をそっと撫で、おれは巴の方を向いた。
「…巴から見て…44マグナム弾で、あのアンテナの通信機能を完全に潰せるかな?」
「そうですねえ…送信機能ってデリケートではありますけど…」
巴はう〜ん…と唸り、それから彼方のトレーラーを見、困った顔をした。
考えてみたら、うら若き乙女にこんな質問をするのも変なのだが…。
この際、戦闘用ベースだったという事で、思わず訊ねてしまっていた。
「中継ターミナルボックスを破壊出来れば完全に止められますが、そうでないとアンテナへの
ケーブルが生きている限り、アンテナを破壊しても、微弱ですが、電波は送信されます」
「だが、出力も送信距離も下がるね」
「そうですね…リンク・システムへのアクセスは出来なくなるかも知れません」
「ええと…そうだ。レーザー通信とかはどうだろう?あそこにあると思うかい?」
ともかく思いつく限りの問題点を洗い出さなくては…。
チャンスは一度しかないのだから。
「あれは基本的に固定局同士のもので、可搬式だと調整に手間取りますので、多分
あれには無いはずです」
ともかくシステムからの送信を止められれば、リンク・システムによる全国のドロイドたちへの
悪影響は止められるはずだ。
…そうすれば、嫌でもボスキャラが現れるに違いない。
「よし…まずはあれを潰そう」

531 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:41:30 ID:fwqnTuep]
>>519〜530
連続投稿規制に掛かりそうなので、一旦切らせて頂きますが、直ぐ続けます。

ご迷惑をおかけ致します…。
短編のつもりが、世界観を描いていこうとして長文になってしまいました。
なお、今日投下分と、次回分で完結します。

532 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:45:00 ID:fwqnTuep]
デザートイーグルなんて持つとは思わなかった。
しかも、グリッピングがもうひとつ合わない気がして、一抹の不安も残るが、威力の点からすると
この際、仕方ない。
…実は数年前、アメリカのツアーで射撃体験ツアーがあって、旧友に誘われて嫌々撃った
ことがあり、その時使ったのが、確かベレッタの92の…三点バースト出来るモデルだった。
まさか、こんな所で、それが役に立つなんて思わなかった。
そう言えば、マグナムピストルと言えば、オートマグなんてとんでもない骨董品があったけど、
手入れが大変な上、すぐジャムるとかで、結局使わなかったっけ。
44マグナムと言えば、ダーティハリーでお馴染みの、S&WのM29リボルバーだった。
言われたほど反動はキツくなかったが、それでも結構、衝撃があった。
…こいつはオートピストル…スライドアクションで衝撃が多少和らぐと言うが…上手く行くか?
「大丈夫…格闘技で鍛えたぼっちゃまなら…問題ありませんよ」
おれの不安に気付いたのか?巴が小声で囁いた。
「但し、総弾数は八発ですから、注意してくださいね」
「わかった…」
おれは振り返り、雑木林の方を向き、右手を挙げた。
木立にトモミが隠れ、左手を振り返す。
もし、おれたちが発見されても、トモミの姿は見えない方が良いだろうと考え、敢えて離したのだ。
ともあれ…トモミ…上手く誘導してくれよ!
作戦開始だ…!!
おれたちが、木々の陰から陰伝いに進んで行くと、真正面で張り込んでいた少女のドロイドたちが、
ふいに、おれたちの逆方向に向かって一斉に走り始めた。
トモミからシンクロイド・システムに向けて、侵入者が向かってくる…という情報を送るよう命じて
もらったのである。
…コントロール下におかれたドロイドたちを『人質に取られている』トモミが、実はおれたちの為に
偽の情報を送っているとは夢にも思わないのだろう。
わらわらと走っていく姿を見るや、おれと巴は素早く駆け出し、トレーラーの前に姿を現した。
走りながら安全装置を外し、スライドを引いて装填し、両手で構えて一台の屋根上に向ける。
「ぼっちゃま!」
巴の鋭く呼ぶ声がしてそちらを向くと、お団子頭にお下げのチャイナ服の娘が二人、両手に
トンファー型の電磁警棒を手にして向かってきた。
「ちっ…他にも待機していたか」
忌々しげに舌打ちしながら、赤いチャイナ服の娘の打ち込んできた一撃をかわし、デザートイーグルの
安全装置を掛け直す。…下手に暴発したら危ない事、この上ないからな。
一台のトレーラーを背に、今度は青いチャイナの娘の素早い蹴りをスレスレにかわして、左に一回転し、
体勢を立て直そうとしたが、その直後、おれの鼻先を電磁警棒がかすめ、トレーラーの外板に激しく
火花を散らして激突した。

533 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:46:04 ID:fwqnTuep]
…やべえ…こいつら…本当に容赦ないぞ。
パッとその場を離れるが、すぐ左右に赤と青のチャイナ服の美少女が、武器を構えつつ、じりじりと
近づいてくる…。
しかも気が付けば、二人の『チャイナさん』の履くハイヒールの先端や、爪先に、月明かりに反射して
鋭い光がぎらりと…って、こいつら…まさか…ホンモノの暗殺用か!?
ちらと横を向くと、巴にも白と黄色のチャイナ服の美少女ドロイドが向かっていて、その俊敏な動きと
パワーに、さしもの巴も手こずっている様子だ。
…仕方ない、悪く思うな。
安全装置を外し、デザートイーグルを構え直す。
…だが、どちらを狙う?
一人を撃ったら…もうひとりが打ち込んでくるぞ。
ちらと見ると、巴がコートを羽織ったまま、如意棒型の電磁警棒で黄色のチャイナの少女と激しく
火花を散らして打ち合っている。
だが、その後ろに白いチャイナの娘が…。
危ない!!
おれは咄嗟に、躊躇うことなくそちらに銃口を向けた。
ズンという重い衝撃が腕全体にかかり、思わず奥歯を噛み締める。
低く通る銃声と共に、マグナム弾は少女の肩口から首筋を吹き飛ばし、少女の整った体躯が
そのままもんどり打って地面に転がっていくのが見えた。
やった…と、思う間もなく、二人の…怒りにぎらぎらと瞳を輝かせたチャイナの少女二人が
左右から交互にトンファーを打ち込み、蹴りを入れてきた。
シュッという鋭利な、嫌な音がして、おれのジャケットの袖が裂かれ、全身に冷たいものが走る。
やばい…これは…本当にやられるかもしれない。
再びトンファーが振り上げられるが…完全にはかわし切れない…!
そう思った瞬間、いきなり銃声が立て続けに鳴り響き、赤いチャイナの少女が弾け飛び、その場に
舞うように、ゆっくり回りながら地面に転がった。
しめた!と思う間もなく殆ど反射的に、銃声に躊躇い、横を向いた青いチャイナの少女の腹に
銃口を向けて引き金を引いた。またも…キツい衝撃が返ってくる。
轟音と共に少女のお腹に子供でも入りそうな穴が空き、驚愕の表情を浮かべながら、そのまま
真後ろに弾け飛び、どさっと倒れた。
それとほぼ同時に、巴の一撃が黄色いチャイナ服の少女の肩口に、閃光を上げて命中していた。
「今だ!早く…アンテナを潰せ!!」
雑木林の方からバンの怒鳴る声が聞こえ、おれと巴は頷きあい、それぞれの前に停まっている
トレーラーの荷台をよじ登った。

534 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:47:59 ID:fwqnTuep]
…正直、このステップが狭くて、とても上りにくかったのだが…もう必死でよじ登った!
それと共に、またもチャイナ服の少女たちが、いつのまにか数人、姿を現している。
だが、おれたちがトレーラーの上に上りきるのと同時に、バンたちがトモミと共に、おれたちの前に
姿を現し、それぞれの武器を構えて立ちふさがる。
「バン…みんな!」
「訳は彼女から聞いた!構わないから早く潰せ!」
返事の代わりにトリガーを引き、アンテナから伸びている線に繋がっているボックスに向けて一発放った。
轟音と共に、ボックスどころか、周囲の屋根までぽっかり穴を空けて吹き飛ばし、中まで見えたが、
それを見ている余裕は無い。
また、轟音が幾つも鳴り響き、振り返ると後ろのトレーラーの屋根上の巴が、仁王立ちになって
電磁警棒の先端を、何度も振り下ろしているのが見えた。
ようし…あと二基だ!
おれは両手でデザートイーグルを構え直し、左に停めてあるトレーラーの屋根に向けた。
距離は20メートルほどあり…今から下りて向かうのは無理だ。ここでやるしかない。
…だが、はっと気付くと、ネネとチャチャが二人のチャイナ娘の猛撃に防戦一方で苦戦している様だ。
シローも軽快に飛び回って一人と打ち合っているが、こちらも決定打が無さそうだし…。
「僕らに構わないで…」
「早く!」
おれの視線に気付いたシローとネネが叫ぶ。
「こんの〜っ!」
チャチャがいきなり叫ぶや、チャイナの少女に鋭く足払いをかけた。
劣勢でも、三人の闘志は衰えていない…ありがとう!みんな…。
「済まない、頼む!!」
おれは、身をかがめ、その場で片膝ついて、デザートイーグルを構え直した。
ターレット越しに目標の…アンテナに信号を送るボックスが見える。
息を呑み…トリガーを引いた。
またもズンという重い衝撃が腕全体に返り、轟音と共にボックスの辺りがごっそり吹き飛んだ。
あと一基…!!
そう思った瞬間、後ろのトレーラーから少女のシルエットが宙を舞い、そのまま左後ろのトレーラーの
屋根の上に着地し、そのまま何かを叩きつけるのが見えた。
金属をスパークさせる金色の閃光が上がり、その瞬間、煌々と照れされる巴の姿!!
「やった!」
閃光が消え、巴がこちらに手を振るシルエットが見えた。
それと同時に、下の方から、どさっ、どさっという音が幾つも聞こえ、それからほうという息が聞こえた。
見ると、チャイナ服の美少女ドロイドたちが一斉に活動を停め、その場に崩れ落ちていた。
「可哀想だが…リンク・システムを潰すんだ」
バンの声がして、あちこちから銃声や閃光が上がり…やがて辺りは静かになった。

535 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:50:52 ID:fwqnTuep]
全てが終わり、ステップを下りると…おれの右横に、ひらりと巴が舞い降り、綺麗に着地した。
「…巴…おつかれさん」
「皆さんのおかげで…たすかりましたぁ」
ホッとしたのか、普段のまったりな口調で、巴はにっこり微笑んで頭を下げた。
「手伝えなくて…ごめんね…巴」
トモミが済まなそうに、もじもじしながら姿を現した。
「ううん…あなたには戦闘は無理だし…システムにばれたらまずいもの」
「それに…バンたちを案内してくれた」
おれはそう言いながら、バンとジェーンの方を向いた。
「でも…どうして、ここが?」
するとジェーンがくすっと笑いながら、巴の横に行き、そのまますっと何かを外してみせた。
「…発信機か!」
「初歩的なやり方だが、効果はあったろう?万一の事を考えて…コートに付けてあったんだ」
バンがにやりと人の悪い笑みを浮かべた。
流石は現役のFBI捜査官だ。
「ただ、巴くんが君だけでなく…トモミ…くんだっけ?…彼女と出会っているとは思わなかった」
「でも、酷いですよ…僕たちを置いていくなんて…」
いつになく口元を尖らせて、シローが眉を八の字にして抗議した。
「暫く街中で動かなくなったので、敵をやり過ごしていたのかと思ったら…こうですもの」
「まあまあ」
ネネがなだめるように、いささかゆったりした口調で入ってきた。
「それでも…皆さんの危機には間に合いましたから…良かったではありませんか」
「うん…正義の味方は、ピンチに現れて、味方の窮地を救う…ものね」
ネネが、ぽんと巴の肩を叩きながら、もう片方の手でVサインを送る。
「…済まなかった…でも…」
言いかけたが、バンがおれの背を叩き、笑顔でそっと首を振る。
「ありがとう…みんな」
今回もまた、皆に助けてもらった…。
本当に何とお礼を言ったら良いものやら…。

周囲を確認したところ、倒れているチャイナ服の美少女ドロイドたちは全部で12人…。
そのどの娘も、全身のあちこちに武器だの暗器だのが仕込まれ、あるいは内蔵されていて、
今更ながら、良く勝てたものだと、後でぞっとなった。
そして、意を決してトレーラーのドアを開けたが…
…中には…誰も居なかった…。

536 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:52:25 ID:fwqnTuep]
トレーラーの中は、いずれも中継車としての最先端の機能が満載されていて、バンとジェーンは
一目見るや、某国で開発された管制システムであると看破した。
どうやら、暗殺、破壊工作仕様の先刻の『チャイナさん』ドロイド達が守っていたらしいが、総て
車体の下部ハッチから出てきて応戦してしまった為、もぬけの殻になっていたらしい。
結果的には、残っていた全員を総て倒すことができたわけだ。
その車内で、リンクシステムを確認し、残っていた予備システムを、念のためおれとバンの二人で
次々とデザートイーグルで撃ち込んで粉々に破壊し、再度の送信が出来ないようにとどめをさした。
「これで、全国のドロイドたちの意識が戻るはずだし、操られていた娘たちも動きを停めるだろう」
バンの言葉に、皆、一様に安堵の表情を浮かべた。
「良かった…これで、皆、無事なのね」
チャチャとネネが手を取り合って喜びの声をあげ、シローがうんうんと頷いている。
トモミは静かに微笑みながら、ジェーンと見つめあっていた。
…かつてのともねえと、ジェニファーさんの…直接の分身の再会なのだろう。
「春日課長のアオイちゃんも…きっと今頃は」
「そうだな」
巴の言葉に、おれもふうっと息をついた。
だがまてよ…
まだ大事な事をやり遂げていないぞ!
最大の破壊目標が残っている!!
「…トモミ…ダミーシステムはどこなんだ?」
あ…と声を上げ、トモミは頷き、こめかみに手をやり、暫し動きを止めた。
祈るような…念じるような、そんな仕草を、皆が神妙な面持ちで見守る。
だが、やがて眼を開け、両手を下ろしたトモミは、怪訝な顔で首を振った。
「おかしいです…今は何も感じられません」
「ついさっきまでは…ここに存在したんだよな?」
「はい…でも…今ここには…全く」
トモミが困惑しきった顔で首を振った。
「活動を停止したのでしょうか?」
だが、そう言うジェーンも自信なさげだ。
「いや、シンクロイド・システムの発信は停まっているが、本体はダイレクト・リンクで繋がって
いる筈だ。それならトモミに探知できる筈だし…絶対におかしいな」
皆、改めて不安そうに、注意深く辺りを見回した。

537 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:53:26 ID:fwqnTuep]
トレーラーの中は、既に隅々まで確認した。
周囲も一通り見たが、他に人影も気配も無い。
…おれたちがチャイナ服の少女ドロイドと戦っている間に…消えてしまったのか?
だが…一体…どこへ?
「ともかく…後始末を頼まなくてはならんな…」
漸くバンが口を開き、携帯電話を取り出した。
「…例の…特別担当かい?」
「うん…このドロイドたちもそうだが…このトレーラーは大変貴重な資料になるしね」
「暗殺用…しかもチャイナさん…」
「テロリストの出所が…中東辺りだけじゃ無い可能性もあるから…本当に驚きだよ」
バンは携帯を耳に当てた。
…そうだ…おれもお袋に一報入れるか…。
その後…まだ本社に残っているか判らないが、課長たちに…。
そう思いながら、携帯の電源を入れ、ボタンを押していき耳に当てた。
軽い呼び出し音が続く。
やがてぷつっという音がして、おれは口を開いた。
「もしもし…」
『無事?…今、どこにいるの?』
いきなりお袋の声が入ってきて、おれはフッと苦笑した。
「どこだかねぇ…まあ、何とか生きてるよ」
『…巴は無事なの?』
「え?」
ふと…ある事に気付いて、おれは眉をひそめた。
「あ…ああ…なんとかね」
『それは良かったわ。巴は今度の一件では絶対に外せないからね』
「…うん。確かにな」
『迎えを寄越したいんだけど…今の場所、教えてくれない?』
「え?…だってさっきは、無理とか言ってなかったかい?」
『…状況が変わったのよ。何とか迎えに行くから…急いで!』
…おれはちらと時計を見た…。
もし…おれのカンが正しければ…。
「今、『下』の街の駅前の交番近くにいる…わりぃが、後でまた連絡する…じゃあな!」
そう言い捨てて電話を切った。
2分50秒…逆探知を免れるギリギリか…。
「「ぼっちゃま?どうなさいました?」」
巴とトモミが、全く同時にハモって訊ねた。
おれは右手の拳を左手のひらにバシっとぶつけ、唇を痛いほど噛み締めながら言った。
「研究所が…奴らに占拠されている…」



538 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 20:58:44 ID:fwqnTuep]
「なんですって?」
シローが顔色を変えて重ねて聞き返した。
「それ…本当ですか?それにどうして電話一本で判ったんです?」
「…呼び名さ」
「え?」
「お袋なら…巴を呼び捨てにはしない。それも二度も続けてなんて、絶対にあり得ない!あれは
間違いなく偽者だ…!」
巴が小さく、おれたちに頷いてみせた。
「…それなら…説明がつきます」
トモミが顔を上げ、きっぱりと言い切った。
「研究所内は総てのリンク・システムを遮断できます。もし、彼らの一団が入り込んでいたら」
「まず…トモミでも判らないだろうな」
「待て…それは本当か?」
ふいにバンが携帯を耳から離すと、おれの方に向き直った。
「今、研究所から総てが片付いたから、出動の必要は無い…と、連絡があったそうだ」
「研究所の資材を使って、もう一度建て直すつもりかも知れない…」
おれの言葉にバンは頷き、再度の出動要請と、研究所からの連絡に対しては、極力協力する
フリをして刺激しないように…と、くれぐれも念を押して、電話口の相手に告げていた。
「…こうなったら…おれと巴が乗り込むしか無さそうだな」
おれは、デザートイーグルのセーフティを確認した上で、マガジンを抜き、全弾装填されている
マガジンと差し替えた。これでチェンバーに一発入っているから、今だけ9発撃てる。
「わたしたちも一緒に行きます」
ネネが口を開いたが、おれは敢えて首を振った。
「皆は、外で待機していてくれ…」
「危険過ぎます…」
「いや…敵の真の狙いは巴だ。それにお袋に成りすまして、おれも誘き寄せようとしている。
むしろ二人なら、敵の奥に入り込めると思うんだ」
「ならば、これを持って行きたまえ」
通話を終え、携帯をポケットに仕舞ったバンが、懐から二個…黒い塊を取り出し、おれも巴も
それを一目見るや、ギョッとなった。
ガキの頃、これの格好をした花火で遊んだ事がある…所謂『パイナップル』だ。
「これって…手榴弾じゃないか…」
「その通り…ただし、ピンを抜かない限り、絶対に大丈夫だ」
「…いや…そういう問題じゃなくて」
おれは流石に辞退しようかと思ったが、バンは厳しい表情でそれを突き出した。
「さっきの暗殺用ドロイドと言い、相手は段々なりふり構わなくなっている。おれに言わせれば、
バズーカの一丁も用意したいぐらいだ…」
「しかし…」
「日本が法治国家なのは判る…だが、相手はテロリストによって狂った、心を持たない存在だ。
しかも、午後の一戦では、人間の命を取らない配慮が感じられたが…今はどうだ?」
「確かに…おれがいても…完全に殺しにかかっていた」
「君たちを直接援護できるのなら、渡さないつもりだった。だが、君たちだけでいく場合、この
程度の準備は必要ではないのか?」
おれは…それでもなおも迷っていた。
銃なら護身用…で済む…かも知れない。
煙幕や催涙弾なら…まだ許される。
だが手榴弾は明らかに破壊力が違いすぎる。
…しかし…。
テロリストの仕掛けた手段は…確かにおれたちの想像を超えたものばかりだ。
そして、一歩間違えればおれたちも…一緒に来てくれた皆も…。
「…わかったよ…もらっていくよ」
バンから果物の名の武器を受け取り、おれは研究所の方を向いた。
…確かに、この先…何が待ち受けているかは判らないのだ。
腹を括るしかなさそうだ。

539 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 21:04:24 ID:fwqnTuep]
ゲートの前に立つと、脇の通用口のドアが何故か空いており、おれと巴は、ちらと顔を見合わせ、
どうしようか考えたが、ともかく相手の出方を見ることにした。
既に巴はコートを脱ぎ、私服姿になっていたが、長い電磁警棒は手にしたままだ。
おれはトレーナーのポケットに、無理やりデザートイーグルとポケットを突っ込み、
両腰に電磁警棒を下げていた。正直、ちと歩きにくいが…仕方ない。
通用口横のインターホンの呼び出しボタンを押しながら、ちらとトレーラーの方を向く。
バンたちがその陰に隠れて、こちらの様子をじっと見守っている。
監視カメラから彼らが見えないよう、巴がおれの前に立っている。
『はい…』
何故か、守衛でなくお袋の声。
「おれだ…」
おれはバンたちに向けて、研究所の建物を指差し、すぐ腕を×字に交差させて合図した。
…やはり占拠されているに違いない。
これだけ大きな研究所…いきなりお袋が応対するなんてあるものか。
「迎えが待ちきれなくて、自力で飛んできた」
『わかったわ…奥の工作試験室まで来て』
「おう…それで何をするんだ?」
『来ればわかるわ…ともかく急いで』
余程慌てていると見える。
「わかった…そっちに向かうよ」
振り返り、改めて研究所を指し示し、巴の方を向いた。
「さて…地獄の一丁目に出発だ」
「はいです」
巴は、口調こそ砕けていたが…真剣そのものの顔でしっかりと頷いた。
しかし…どうにも引っ掛かることがあった。
あの…したたかで用心深く抜け目無いお袋が、どうしてやられてしまったのか…。
<ここの防備は少なくとも、ドロイドに対しては絶対の自信があるわよ>
確かそんな事を言っていたし、実際、研究所内のドロイドには、今回の事件において影響を受けた
者が一人も居なかったと聞いている。
…何故、侵入を許してしまったのだろう。

どうにも嫌な予感がした。
だが…今度こそ、これが最後の戦いなのだ…弱気になってどうする。

おれは巴と頷きあい、蛍光灯の煌々と輝く、研究所のロビーに足を踏み入れた…。

540 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 21:06:01 ID:fwqnTuep]
>>532〜539
今日はここまでとさせて頂きます。
次回投下分で完結です。
ご迷惑をお掛けしまして、改めてお詫び申し上げます…。

541 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 21:07:28 ID:kLn0JDL9]
マジで迷惑してる
早く終わらせろ

542 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 21:22:42 ID:aKisd0SG BE:427756853-2BP(2222)]
>>541
何が迷惑だこの馬鹿!
嫌なら来なきゃ良いだろう?
他にろくに投下も無いスレに、何イチャモン付けてんだよ!
てめえこそ二度と来るんじゃねえ!


543 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 21:36:11 ID:pVnHrRgt]
へんなのが頑張って荒らそうとしてるけど、炊飯器に萌えられる俺らにゃなんでもないぜ。

ともあれGJ。最後も楽しみに待ってます。

544 名前:@巴のマスター mailto:sage [2007/11/25(日) 21:39:19 ID:fwqnTuep]
>>543
本当に、拙い代物なのに…ありがとうございます!!
ここまでお読み頂いた方々に、篤く御礼申し上げます!!


545 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/25(日) 23:08:44 ID:/a36ncY4]
TYPE-2557×>>541
541受けで

546 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/26(月) 17:23:29 ID:IfdlaKde]
まあ落ち着け>541、貴様の気持ちはよく判る。正直、俺も同じ気持ちだ。
だが、あと少し我慢で済むのだからここは大人しく待とうじゃないか。




充電パックの排泄シーンが描かれるのを!!

547 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 00:51:31 ID:bLlNDMbi]
>>541
俺も迷惑してる。
夜寝るのが遅くなるし、続きが気になって仕事が手につかない。
なんとかしろ。



548 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 12:45:57 ID:ngD2Pp+8]
イライラさせるため投下。

 兄貴にガイノイドを貰う。兄貴の外見はいわゆるキモオタでちょいメタボ。
「外装交換したんで、処分料金もったいなくて一体組んでみた」
 …何その日曜大工で作ってみた、みたいなノリは。
 俺の部屋に来るまではセーフモードで移動してきたため、マジ人形。
 てか日本だけだよな、あんまリアルっぽくないガイノイドの製作してんの。
 昔、動かないシリコンドールとかがあったらしいが、多分こんな感じじゃねぇかな。
「セットアップは標準OSと同じ。まあ、名前はお前の自由にしな」
「ロリ巨乳なんて俺の好みじゃねぇよ」
「じゃあどんなのがいいんだよ」
「う、うーん」
 あらためて言われてみると困った。兄貴の好みは未だにわからん。
 俺のとこに来た筐体はロリ巨乳。その前はロケットオッパイ装備のナイスバディ、さらにその前はコンパクトグラマー。その前は…ええい、どんだけ節操ねぇんだよ。
 ま、筐体もそうだが搭載AIとOSは一番最初に買った大和重工製。その辺りは妙に一途だ。てか生身の女に一途になれよと心の中でつっこみたい。
「お試し期間ってことで置いてやってくれ。俺の部屋はもう、既に一杯一杯だ」
 だろうな。カスタマイズパーツやらメンテベッドやら、よくもまあ8畳しかない部屋に置いてるもんだ。これで単なる趣味なんだから、オタってこええ。
「あーそうそう、メンテキットは後で取りに来い」
「? 自己メンテ機能ねぇのかよこいつ?」
「あるよ。でも、あっち方面に使うと充填剤が必要なんでな」
 ここで言う充填剤ってのは、このガイノイドを俺が欲求不満で押し倒してお人形さんの作り物のアレに突っ込んでアヘアヘ言った後に補充が必要なものの事。
 流石に女性の内分泌系をエミュレートしたものは研究機関でしか作られてないユニットだし、何よりコストがバカ高い。
 普通、同様の用途に使われるドロイドが分泌する液体は、色々なサードパーティが工夫を凝らして生成したものをあらためて充填しておく仕様になっているそうな。
「…あほか。兄貴と違って俺には彼女がいんだよ、困ってねぇっての」
「そかそか、そらよござんした」
 妙にニヤニヤしてやがる。むかつく。
「一応、その部分は丸ごと新品にしといたからな。流石にバージンキットは入れてないが…」
 くそ、絶対ヤるもんか。

549 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 12:47:31 ID:ngD2Pp+8]
「えーと、基礎セットアップはこれ…くそ、PCなんて高校んときぐらいだってのに、めんどくせぇな」
 俺の世代は特に興味が無ければ、電話にもなる手元の標準端末で済ませてしまう。
 画面は小さいけど、ゲームはできるしネットもメールだってできるんだから、それ以上の出費なんぞあんま考えてない。
 ま、音楽とかはDLしまくるけど。
『名前を付けてください。なお、後で変更も可能です。現段階で設定されない場合は、標準呼称となる撫子(ナデシコ)となります』
「げ、名前かよ、弱ったな…名前は、えーと」
『名前は「えーと」でよろしいですか?』
「違う違う。うーんうーん」
 実を言えば、登場人物の名前が決まってないゲームをやるとき、一時間以上悩む俺。
 FFだったら別に大丈夫なんだが、ドラクエのときは半日悩んだ記憶がある。
「名前は、ソラ」
『了解しました。呼称設定、ソラ。セットアップ完了。起動します』
 なんでソラにしたかって? 昔飼ってた猫の名前だ。

 ソラが起動すると、それまで人形然としていたその体が、急に生彩を帯びて違うもののように見えてきた。
 兄貴が言ってたけど、今の生活型対応ドロイドのほとんどは、骨格は人間にほど近くてそれを人造皮膚で覆っているんだそうだ。
 セーフモードが解除され、停止していた各種の内部機能が起動しているんだろう。
 皮下循環剤が身体を巡り、冷たい色だった人造皮膚が温かみを増してくる。
 今俺の前に居るソラは、多分、去年出たモデルだったはず。世代的には内部骨格型になった世代の次のモデルだったけか。
 あ、でも兄貴のドロイド、何代目か前はわざわざ旧タイプ使ってたような。
 …うう、自分の身内だけどあそこまで突き抜けてるのって正直退く。
「おはようございます、マスター」
 半開きで少々怖い状態だった眼が一度閉じ、改めて開く。何度か眼を瞬かせた後、ソラがじっと俺を見つめていた。
「おう、俺がご主人様だ」
 ちょっと尊大な感じで言ってみる。
「呼称設定を変更されますか?」
「あ、いやーその、これは言葉のアヤって奴で…うーんと、マスターでいい」
「了解しました。暫くの間、プリセット応答となりますのでご希望に沿わない場合、指示をお願いします」
「硬い喋りも直るって事?」
「肯定です。有償キット導入で大幅な設定変更も可能です」
「あー、いらんいらん、俺は金ないし」
「了解しました。今後ともよろしくお願いします」
 ぺこりと頭を下げるソラ。セミロングの髪の毛は、作り物とは思えないほど柔らかに揺れた。その巨乳もぽよんと。
 しずまれー、しずまれー、マイサン。のっとあくてぃべーと。

550 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 12:49:10 ID:ngD2Pp+8]
 んで、何をするでなく部屋でごろごろ…というのも何だが、何分、次のバイト代が入るまでは身動きが取れない。
 命令待ちをしているソラが部屋の隅にちょこんと座っている。
「ソラ、家事はできんの?」
「肯定です、マスター。主用途として家事全般が可能」
「んじゃ掃除頼むわ。俺はちょいとコンビニ行って来る」
「了解しました」
 これで帰ってきたとき、何かドジってたら面白かったんだが、ソラさんは見事に掃除を完遂しやがりました。
 そんなに散らかす性質じゃないので物があっちこっちにいく事は無いけど、埃まみれだったフローリングの床が鏡を見るようにぴかぴか。
 テレビも灰色からつや消しの黒に。窓はあら奥さんこんにちわってぐらいに、向かいのマンションで洗濯物を干してた主婦と主夫にクリアーに。
 兄貴が大和重工にぞっこんなのもなんだか理解できなくもない。
 …気がするだけだ、気が。
「基本的な調理なども行えますが、必要でしたらお申し付け下さい」
「あ、電子マネー機能あるんだっけ? 予算設定と傾向とかで料理たのめるの?」
「はい、極端な設定は無理ですが、検索結果から近くにスーパーが3件ありました。
 検索中…推定予算額として一人一食、200円前後です」
「げ、俺の食費の20%しか使わないのかよ!? …今晩から頼める?」
「了解です、マスター」
 いかに外食やコンビニで無駄遣いしてるかわかった俺。
 一人暮らしとはいえ情けない。調理器具は最低限あるし、実家から米やら野菜やら調味料とか貰うんだけど、
 ちゃんと料理する暇なく、腐らせたり友達にあげたりと、有効利用した覚えがない。
「リクエストはございますか?」
 心なしか嬉しそうに聞いてくる。プログラムなのか設定なのかと悩む俺。冷蔵庫の中を覗いたソラは、扉を閉めるなり何やら思案顔で情報の検索中。
「んじゃ…ハンバーグがいいな、できれば和風で」
「冷蔵庫を確認しました。要廃棄品は後ほど処理します。追加予算は…」

 技術の進化ってすげー。家に野菜やらその他があったからって、150円ででっけぇハンバーグ食えたよ…。しかもご飯に味噌汁つき。
「うん、美味かった♪」
「お粗末様でした」
 受け答えしつつも、余ったご飯をジャーから出して何やら…あー、フリージングして保存するんですか。
 兄貴が「嫁? 生身の嫁なんぞいらんわ」と半ば実家を勘当されかねない言葉を吐いたのがわかる気がする。気が利くわ。
 頭の良さでは弟=>兄貴>俺なので、今の親の期待は弟に集中している。
 兄の俺が言うのも何だが、ちょっとやんちゃだが頭もいい弟だけに、すくすくと育って欲しい所。
 兄貴も兄貴で、ちょい前までニートしてたが一応再就職はした。
 実家に金を入れてるが、どこでそんなに稼いだのか不思議な額とオヤジが言っていた。
 ま、株で儲けたってのは俺も知ってるけどさ、どんだけ儲ければドロイドや車を維持して一人でマンションに住んでんのか想像もつかん。
 俺は…どうすんだろうな。大学に行ってるのに何もやりたいことが見えてこない。

551 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 12:50:35 ID:ngD2Pp+8]
 就寝前。風呂上りにテレビを見ながらベッドに寝転んだ所で、ふとソラに声をかける。
「お前さ、俺が寝てるときはどうすんの?」
 ソラの世代のドロイドは、燃料電池とバッテリーによる電力で動く。
 燃料電池は乾電池サイズでコンビニでも購入、充填が可能で安価。
 働かせないときは待機して消耗を防ぐのだが、OSによって対応が異なると兄貴に聞いた覚えがある。
「指定いただければ、その位置で。通常はマスターの視界をお邪魔しないように設定されています」
「…まさか、命令しなかったら冷蔵庫の前で立ちっぱなし?」
 俺の部屋でベッドに寝転がる俺の視界を邪魔されない位置といえば、冷蔵庫のすぐ傍である。
 ちなみにスペースとしては50cmの三角形程度。夜中、じっと眼をつぶって立ち尽くす家政婦ドロイドというのは非常にシュールだ。
「その通りです…あの、できれば指定していただけると待機電力の消耗が防げるのですが」
 人間ってのは立ってる状態でも色々な筋肉が動いて状態を維持しようとする。
 ソラの世代の骨格が人間に近いドロイドも同じく、立ってる状態では待機モードでも電力の消費が少し大きいとの事。
「ふーん、なら添い寝とかもしてくれんの?」
 何気なしに聞いてみる。ソラはふわりと笑って、
「お望みでしたら。子守唄などは?」
 なぜかソラの膝枕で子守唄を聞いてるビジョンが…。
「歌はいらん。あ、夜中は暖房の代わりになる?」
「ヒーターとは流石に無理ですが、通常の稼動モードでの消費電力を余熱にすることで、布団を暖める事が可能です」
 ソラの世代以降のモデルは、稼動状態の温度が人肌前後になるよう設計されている。
極端でなければ、命令や設定で低くしたり高くしたりする事が可能だと聞いたことがある。
「OKOK、そろそろ寝るのでよろしく」
「了解です。では失礼いたします」
 電気を消した所でソラが暗がりでごそごそと何かをしている。
「何してんの?」
「あの…今現在、予備の衣服がないので、皺になるといけないので…」
 ぬ。そうきましたか。ってことは何か、裸か、裸なのか?
 心無しかはずかしそうに聞こえたのは気のせいだと思いたい。相手はロボですよ?
「入りますね」
 まだ入りたてで肌寒い布団の中に、暖かいソラの体が入ってきた。仰向けに寝る俺の隣に遠慮がちに寄り添う。
しばらくすると布団がぽかぽかと温まってきた。
「熱かったら言ってください。こちらでもモニタリングしていますが、好みの温度にしますので」
 位置が悪かったのか、ソラが身じろぎする。腕にその…胸が、胸が!
 あ…ブラはしてるのね。でもなんかふわふわした感触というか、いわゆるスポブラですかそうですか。
「う、うん、いいんじゃない?」
 少し上ずった俺の声。くそ、静まれ、静まるんだマイサン! 相手はロボ娘ですよ!?
 俺には彼女が! …う、やーらけー…しかもあったかい…い、いかん。
 ここ一週間ほど俺の彼女とは遭えない状態が続いていた。エッチなんか半月くらいご無沙汰だったりする。
 彼女ができてから半年は風俗もオナニーも自粛して、全力を彼女に注いでいたが(無論、性的な意味で)、
今の状況は色々限界です。
「あの…マスター?」
「どs、どしたの?」
 がちがちになってるってレベルじゃねーぞ。あっちもこっちもだ。
「もしよろしければ…私を使って下さい」
 夜の暗がりに慣れてきた俺の眼。視線をソラに向けると、そこには遠慮がちに、
恥じらいながら何か言葉を待つ瞳が俺をじっと見ていた。

552 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 12:51:33 ID:ngD2Pp+8]
 疲れてるというのは言い訳。自分がソラにハマっているのを自覚するのが怖くて、奉仕を命じた。
正直、挿入を命じたかったが、兄貴にああ言った手前、なるべく先延ばしにしたかった。が、それすら裏目に出たと思う。
 暫くの間すりすりとズボンとパンツの上から息子を擦られていたが、パジャマのズボンとパンツがずりおろされると、
ごそごそとソラが布団の中を移動する。
「NVS起動、対象を確認」
 そういうとこはロボですか。今度から言わないようにしてもら…うぁ。
 ちょっと冷静になりかけた所で、息子の先端を強く吸われた。声が出そうだったがなんとか抑えた。
 感触が先端、裏筋と来て根元に達する。玉がすべやかな手で揉まれ、舌が玉をねぶるように舐め上げる。
 再び舌が下から上に。裏筋をちょんちょんとついばむような感触。内腿を片方の手で擦りながら、
もう片方の手は玉と後ろの穴近くの根元を刺激し続ける。
 カリのひだが柔らかいもの…舌先でほじられるように舐められていく。ぬるぬるとした感触はソラの出す分泌剤だろうか。
 声は出さなかったが、息が荒い。ソラの愛撫は優しく、執拗に続けられている。そろそろパターンがわかってきて、
心地よい刺激に身を委ねていた次の瞬間、一気に飲み込まれた。
 …思わず声が出た。ああん、とかって俺…orz
 唇の感触は息子の根元を柔らかく覆っている。先端は多分、喉奥に達していると思うが、
今までの経験ではそこまで飲み込まれた事はないので確信はない。
 喉奥がぎゅうぎゅうと締め付けつつも奥へ奥へと飲み込もうと動く。この辺り、よっぽど慣れた女性でもない限りは無理な動きだ。
 飲み込む動きが弱まり、少し息子が引き出される。根元が濡れ、空気に触れていた所が少し冷えて感じる。
 先ほどまでの強烈な吸引と締め付けから解放されたのもつかの間、ソラの頭が動き始める。
 カリ先だけを執拗にねぶったかと思いきや、再び喉奥まで吸い込んで強烈に締め上げる。
 慣れることができないリズミカルな動き。口の端から空気を一緒に吸い込む音や、
分泌液がぬめりを帯びて吸い上げられる音が布団の中に響く。
 吸い上げるだけでなく、舌先は縦横無尽に動き回り、息子の先まで吐き出された所で鈴口をドリルのようにこじあけ、
漏れ出している先走りを舐め上げる。
 思わず腰が跳ねた所で、布団の中からくぐもったソラの声が。
「あの…痛かったのでしょうか?」
「続けてくれ」
 そう言うのが精一杯だった。

553 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 12:53:14 ID:ngD2Pp+8]

 絶妙な刺激というのだろうか、息子に与えられた刺激はこれまで経験したことのない程の強烈さだったはずなのに、
たっぷり20分ほど奉仕を受け続けている。
 出そうになるとソラは刺激の仕方を緩やかにして、あまつさえ根元を押さえつける。声を出していないにも関わらず、だ。
 息も絶え絶えな俺はもう狂い出しそうだった。目の端に涙が浮かんでいるのがわかる。
 体の神経が下半身にだけ集中しているような感覚。
フォーカスのずれた神経は、息子に加わる全ての刺激を快楽として受け止めていた。
「命令を…下さい…」
 再びソラの声。その間も、鈴口をついばみ、カリは舌や指で刺激され続ける。根元を押さえながらも上下に擦る動き。
「頼む、いかせて…くれ…っ!」
 泣いているような俺の叫び。ソラは弾んだ声で、
「はい」
 と答えて俺の息子への刺激を強くする。
 これまでの愛撫がまるで前座だったかのように、激しく、強烈な吸引。
生の性器では味わえないぬめりを帯びた周囲への刺激に加え、物凄い吸引が俺の下半身を襲う。
 舌の動きは一段と激しくなり、柔らかで不規則な動きをするグラインダーのように、頭の上下に合わせて上へ下へと蹂躙する。
「ぐ…でる…う…っ!」
 俺の声に反応したのか上下の動きが激しさを増し…俺の目の前で花火がはじける様に、視界がスパークした。
 解放の瞬間、ソラは俺の息子を根元まで飲み込み、喉奥で精子のほとばしりを受け止める。
動きは止まらず、喉の奥でカリを上下に刺激しながら。喉を鳴らして嚥下する音が布団の中から聞こえる。
 人生で一番であろうほどの長さの射精…多分、量も半端ないそれを、ソラは全て飲み込んでいく。
打ち出す動きが終わった所で、ソラは線に残る液も吸い上げた。
「終了しました…マスター、その…いかがでしたか?」
 息も絶え絶え。激しい射精後の余韻でぼーっとした俺の前に、何だか不安そうな表情で見上げるソラの顔が近づいてきた。
「…よかった、けど挿入は今度な…」
「問題があったのでしょう…か?」
 奉仕だけで実際の挿入には至ってない訳で、多分、奉仕関連のプログラムに挿入まであるんだろうけど、
フェラだけであれじゃ、実際にやったらどうにかなっちまいそうだ。
「改善しますので、指示を…」
 涙目で言うなちくしょう、可愛いじゃねぇか!
 くそう、兄貴の謀略にまんまとハマっちまった。
「いいから…今日はこのまま寝る。気持ちよかったぞ…」
 俺はそれだけ言うのが精一杯だった。
「ありがとうございます…おやすみなさい、マスター」
 はにかんだソラをやんわり抱きしめながら、俺は心地よい疲労感の中で眠りに落ちた。

554 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 12:54:49 ID:ngD2Pp+8]
 後日、再び現れた兄貴。
 俺はソラにフェラで奉仕されて以来、ソラが覚えている奉仕を一通り堪能した後だった。
 …あーもうなんていうか、毎度毎度、腰とかガクガクですよ。おまけに激しいのにソラの奴は
「あの…だめでしたか?」
とか聞いてくるもんだから、余計に。
「悪い悪い、俺用の奉仕プログラム入れたまんまだったんだが、びっくりしなかったか?」
 全然悪いと思ってない顔だ。てか、あれって兄貴用のカスタマイズなのかよ。
酒飲んだときに聞いたが、もうオッサンだから二発が限度とか言ってたけど、あんだけ濃いなら二発で限度ってのもわかる。
 横に居るソラがなんだかそわそわしてる。あー、やっぱクラスB以上の人工知能だと恥ずかしいとか考える事できるのね。
てか自重しろ兄貴、ロボ娘とは言え女の子の前だ。
「ひんぬー用のプリセットだから、胸使ってなかっただろ?
 あの筐体だと口と素股奉仕がメインでさ、お前みたいに若いと刺激が足りないだろうと…」

 はい? 今、何と言いやがりましたか?

「さっき入れた奴で、この撫子の…じゃなかった、今はソラだったな。
それ用の奉仕プログラムで、胸を使うのが追加されるから後で試してくれ」

 …ありがとうよ、くそ兄貴。

 試したのかって? 当たり前だこのやろー!
 それについてはまた後で話す…。


555 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 12:58:04 ID:ngD2Pp+8]
以上、あんまロボ娘っぽくなかったので反省してる。
なるべく擬音を使わないようにしたら、直接的なエロさが無くなってしまったかもしれん。

うーむ、夏の漏水と冬の漏水のときに書いたように、短い話にするつもりだったのだけど…。
ごめん。

556 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 15:51:11 ID:MvF3G24N]
>>540
最終回…楽しみに待ってます!

>>555
おお…ファーストコンタクトですな!GJです
続きも楽しみにしております。

557 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 20:30:19 ID:Ncq/EraI]
>>トモエちゃん
迷惑だの終わらせろだのと書く悪意のアラシストには絶対に同調できないけど
でも正直な感想を書くと四百二十七氏の小説に比べるとどうしても冗長かつ単調であることは
否めないというのが率直な印象。
もう少しスリムというかコンパクトに要点をまとめてくださったほうが作品の求心力が増しますよ。
しかし素晴らしい意欲作だと思います。
今後も期待してますよ。



558 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 21:34:07 ID:MvF3G24N]
>>557
うん…意欲的だとは思う。
ただ、新聞の連載小説風で、冗長になってるかな。
色々ネタが入っていて面白いですけどね。
短編とかも挑戦してみると良いかもです。

559 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 21:51:21 ID:7rMXAUtq]
>>557
折れはラジオドラマみたいノリで楽しんでるね。
会話劇が好きなんで、これはこれで好きだけどなあ…。

560 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/27(火) 22:59:02 ID:AbAcL1+j]
まあ読ませてくれるだけの内容がある作品だからいちいち目くじら立てなくてもええやん、
と、キモウトスレで大傑作を読み終えて感心してきた俺は思う

イケる書き手はとりあえず保全しとけ

561 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 01:47:06 ID:G2gya/9Q]
圧縮回避保守

562 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 02:33:28 ID:kWOMKtQy]
内容ないじゃん…。スカスカじゃん…。

563 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 02:47:20 ID:GTLcSpZf]
>>560
前スレの力作神>>290-294が聞いたら激怒もんだなw

564 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 08:55:35 ID:+q559TXa]
確かにね…方法論から言うと、作者さんによってハヤカワで出している
緻密でかっちりした描き込みのSF作品というハード路線と、
富士見書房辺りから出ている、ライトノベルタッチの違いはある。

でもさ、内容が無いって言うけどさ、どれもこのスレのテーマからは
逸脱してないじゃないか。
「人造人間」と「萌え」だぜ。
萌えに内容があるのか?といえば、あるとも無いとも言えるしさ。
こればかりは、好きな人の感性にもよるし、
極論すれば上手い下手、好き嫌いはあるにせよ、頑張ってくれてる。
おれはそれが楽しみだし、>>562みたいにバッサリ切るのは許せないね。

565 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 09:19:45 ID:dm4sjweE]
とりあえずあと12KBだ。次スレの用意を。

566 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 12:25:29 ID:SdYIEl2p]
書きもしねえ人間風情が四の五の言うんじゃねぇ

567 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 14:00:47 ID:bbf7TTNw]
書かない奴が〜は擁護派の逃げの常套句だなww



568 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 14:35:02 ID:pL/Ka7+8]
擁護して悪いか?
誰の為に投下してくれてると思ってるんだ?
書き手の頑張りがなければ、このスレ成り立たないだろが!


569 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 17:57:08 ID:90ov8eGM]
>>567が感想書けない奴の常套句な件について

まあそんな事よりあれだ
ショタ型アンドロイドを欲求不満な女マスターが虐めまくる話キボン

570 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/11/28(水) 19:13:54 ID:pL/Ka7+8]
それより残容量を考えると、新作も続きも尻切れトンボになるぞ。
頼むから誰か新スレ立てて下され〜!

恥ずかしながら…立て方が/12/05(水) 01:21:25 ID:Xq8Q7TmN

571 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/08(土) 11:04:26 ID:g3gkdQpr]
ドリルだろこれは

572 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/08(土) 17:19:58 ID:n81G6pDs]
ここのスレ住人的にこはるびよりってどう?

573 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/08(土) 19:16:34 ID:RC/wzXDo]
メカバレ、機械っぽさが全然ないから
そういうのを期待する向きにはお勧めできない

574 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/09(日) 03:15:55 ID:ZElW5rG3]
ロボットポンコッt……いや、何でもない

575 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/09(日) 10:45:12 ID:t5CImzDe]
メダロットがどうしたって?

576 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/09(日) 12:21:40 ID:jouNea6t]
そろそろこっちは沈めてあげんと。ロボ娘のまたね系AAってないものか。

577 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/09(日) 17:15:30 ID:3cK0SECh]
「I'll be back.」






何かが違う



578 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/09(日) 18:14:01 ID:AbwH0vpt]
背が高く凛々しい軍事用ロボ娘に変換すればあるいは……。

579 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/12/09(日) 23:15:22 ID:qKmUWDCk]
ビルゴルディが思い浮かんだ件






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