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女の子と二人きりになってしまった 2回目



1 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/23(木) 17:19:37 ID:DMi5J5j/]
・雪山で大雪崩に遭い遭難。とりあえず寒さしのぎに入った洞窟に女の子が
・巨大地震が発生し、崩れた建物の瓦礫で閉じ込められる。ふと隣を見ると女の子が
・核戦争が勃発し(ry


(お、女の子と二人きりになってしまった・・・)

「私達・・・このまま死んじゃうのかな・・・」

「え!?あ・・・分からないけど・・・だっ、大丈夫・・・きっと助かるよ」

(そうだ、それどころじゃない。どうにか助かる方法を考えないと・・・)


《前スレ》
【不可抗力】女の子と二人きりになってしまった
sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1153831562/

2 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/23(木) 18:02:03 ID:ENg5QBDE]
>>1
乙!
前スレ埋めに行ってくる。

3 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/23(木) 19:06:59 ID:OSIQTYhJ]
ttp://www38.atwiki.jp/hutarikiri/pages/1.html?&flag_mobilex=1


4 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/23(木) 23:10:43 ID:gCL0GSxi]
>>1 乙&新作にw-kt-k-

5 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/24(金) 00:03:04 ID:JiUjQ7jr]
女の子と二人きりになってしまった まとめ
www38.atwiki.jp/hutarikiri/

6 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/24(金) 21:12:56 ID:Uifjz+s8]
それでは新スレ一発目。


 ワ ー ク ・ テ イ カ ァ ァ ア ッ !

7 名前:小さな新スレ物語 mailto:sage [2007/08/25(土) 00:20:00 ID:dYNphL2H]
乙。
では職人様が来るまでに小ネタを


1「よっし、新スレ立てたぞ」
2「乙、>>1!」
1「どうもどうも」
3「あ、あの、お疲れ様。これ、追加リンク」
1「おぉサンキュー」
3「……ぅん(///)」
2「ふむ……んー…俺ぁ前スレ埋めてくるゼ」
1「いってらー」
2「おぅ…あ。そうそう、>>3」
3「ぇ?」
2「…うまくやれよ?(ボソ)」(退場)
3「……!?(///)」
1「どーした?」
3「……あ、あのね!」


2「まさに…スレタイ通り(ニヤリ)」


勢いでやった。だが私は謝ら(ry

8 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/25(土) 01:10:13 ID:ncgNdZjk]
 似たようなのを

「あれ、ここ新スレじゃん?」
「そだよ。知らないできたの?」
「あー、うん。いつものスレかと思ってさ。なんだ、誰もまだ来てないのかよ」
「あたしがいる」
「そうだけどさ」
「なに、きょろきょろしてるの」
「いや、べつに」
「座れば?」
「あ、うん。って、椅子ねぇし。しゃがむだけかよ」
「いいじゃない」
「なんか立ってる方が楽じゃね?」
「男のクセに、文句ばっか」
「うるせぇなぁ……あのさ、もうちょっと足閉じろ」
「……」
「うわ、なんで石投げるんだよ! 確かにちらっと見えたけどさ、スカートが短いお前が悪いてっ!」
「ばーかっ」

9 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/25(土) 17:22:30 ID:rcdDHl74]
即死回避用の適当


「ダメだ、やっぱり機体は動かないし、通信機も反応なし。」
「ふん!当然だ、あの高度から墜落して、機体が無事であるはずがない。」
「…………ハッキリ言うね。」
「だいたい貴様は、なぜ敵である私を殺さなかった、それに拘束するでもなく、武器も奪わん、あまつさえ怪我の手当てまでして。」
「まぁ、あんたとは何度も戦ったけど、別に恨みはないし、目の前で怪我をしている女性を助けるのは当然だろ?」
「…………軍人失格だな。」
「うーんそうかもね、でも俺、民間からの補充要員だから。」
「待て!ではお前は正規の訓練を受けていないのに、エース級の機体に乗っていたのか!?」
「乗るはずだった人に頼まれてね、それから他に乗り手がいないから俺が使ってるだけだよ。」
「……信じられん、そんな奴に私は苦戦していたのか!」
「………………」
「?、なんだ、私の顔など覗き込んで。」
「……キレイだな、って思ってな。」
「ッ!な、なにを考えている!わ、私は敵だぞ!!」
「敵でも味方でも、君がキレイなのは関係ないよ。」
「〜〜〜〜!!、も、もうお前など知らん!!」
「やれやれ。」
「………………ありがとう…」
「ん?なんか言ったか?」
「べ、別に私は何も言っておらん!」
「そんなにムキにならなくても……」
「た、ただの空耳だろう。」
「……ま、そういう事にしておきますか、それより…」
「な、なんだ…」
「この地方は日が暮れると、一気に気温が下がるんだが…」
「その通りだが…だから、なんだ。」
「寒さを防ぐ毛布は一枚、人は二人……どうする?」
「ッ!」
「やっぱり、二人でくるまる?」
「……お、お前を殺して、私が使う……とは考えなかったのか…」
「あー…それは盲点だったな…………で、俺を殺す?」
「………………お前の案でいく。」
「…やっぱり君は優しいんだね。」
「ち、違う!体温を保つなら……ひ、一人より、二人のほうが、効率が、良いから……そ、それだけだ!!」
「それじゃ、日も暮れてきたし……ヨッと。」
「キャッ!」
「キャッ?」
「う、うるさい!ちょっと驚いただけだ!」
「かわいいところもあるんだ。」
「〜〜〜〜!!」
「ゴメンゴメン、からかいすぎたよ、だからそっぽ向かないで。」
「………………」
「ほっ…」


10 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/25(土) 17:23:47 ID:rcdDHl74]
「…………」
「…………」
「……なぁ…」
「な、なんだ…」
「俺って、家族以外で女の人と夜を一緒に過ごすの初めてなんだ…」
「…………私だってそうだ…」
「…………」
「…………」
「…それで、その…」
「な、なんだ…」
「…ゴメン!」
「キャッ!」
「……俺……我慢できそうにない…」
「……………………いいぞ…」
「え…?」
「寒い……から……身体を……暖めるためだ…」
「それって……いいってこ…」
「聞き返すな!!」
「…………」
「…………」
「……」
「……ン……ア……」


「ううん、あれ……俺……ここは…」
「……すぅー……すぅー」
「うわぁっ!」
「……ん、なに…」
「あ、そっか……昨日…………卒業したんだっけ…」
「…………?」
「お、おはよう…」
「………………!、〜〜〜〜〜〜!!」
「あ、えっと、その…」
「……………おはよう。」
「あ、うん…」
「…………」
「…………」
「………………あ、あの…」
「!」
「!」
「今のは…」
「お互い、迎えが来たみたいだな。」
「…………」
「俺はこっち、君はあっちか…」
「…………」
「……俺達、敵同士なんだよな…」
「…………」
「……じゃあな。」
「…………ま、待ちなさい!」
「え?」
「あなたは死んじゃダメ!」
「…………」
「……あ、あなたの命は……私が貰うんだから!」
「…………わかった、でも、その前に俺が貰う!」
「…楽しみにしてるわ。」
「…俺もだ。」
「……じゃあね。」
「……ああ」

書ける人求む



11 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/25(土) 18:04:01 ID:spsmDZB5]
スレ立て乙です。
前スレ980です。申し訳ない。
書いた後から今までスレ見れなかった。

あと>>7-10も乙。
>>9-10見て某種G思い出したの俺だけ?w

12 名前:前スレ最後にあった原案 mailto:sage [2007/08/25(土) 18:25:42 ID:fsLOVHbT]
・図書室の奥、どこからも死角になる場所で
・海で浮き輪に掴まった二人が離岸流で沖に流されて
・家出してきて深夜の公園へ行くとクラスメイトと遭遇
・片想いをくっつけようと友人が仕組む
・きもだめし中に道に迷って二人だけ違う荒地に出てしまう
・核シェルターで二人きり
・誘拐されて狭い部屋に二人きりで監禁 妖しげなクスリを使われたりなんだり
・戦争か何かで町の人間がほとんど疎開して、近所に自分と相手のみ
・ウィルス災害でまだ感染していないor免疫があるふたり
・戦闘機からベイルアウトしたパイロットと地上にいた、隊からはぐれた敵兵士
・地震か何かでトンネルに閉じ込められた男女(ドラゴンヘッドw)
・沈没した船から脱出したふたり
・スペース・デブリの衝突事故で脱出艇に乗り込んで辛くも生き残った男女
・毎朝神社で会うふたり。次第に親しくなっていく
・通勤(通学)電車で一駅分だけ二人きりになる二人が、少しずつ親しくなる
・廃工場か何かに探検に行く悪ガキグループと、それを咎めようと追いかける委員長が、何かの原因(何かを幽霊と見間違えた)でリーダー格と委員長だけ取り残される
・二人だけの補習授業。担当教師は課題だけ言い渡して丸投げ
・教師と生徒の二人だけの補習授業。二人とも互いに恋心を抱いていた
・単純に残業。委員会や生徒会の仕事だったり、あるいは普通の企業の残業だったり
・これは厳密には違うかもしれないが、いつも同じ時間、同じコースで犬の散歩をする二人
・戦争中、防空豪で
・密航中、船員が知り合い
・工事中、マンホールに墜落、誰にも気付かれず
・長距離トラックのコンテナの中
・お見舞いに行ったら、個室で出入口のドアがぶっこわれ
・殺人犯とそれを匿う変り者
・戦闘機の前席と後席
・一人旅中、予約していた旅館の手違いで相部屋に
・放課後、ほとんどのやつがサボタージュして、二人で掃除。
・樹海で自殺しようと歩いていると、同じような目的の人とばったり。
・雨宿りで人気のない公園の休憩所に駆け込んだら、先客が。

13 名前:sage [2007/08/25(土) 20:38:08 ID:GcATrp2h]
倭阿琥帝禍ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

14 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/25(土) 21:40:53 ID:mX5kMELt]
1乙

15 名前:白い牢獄 番外編 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/25(土) 22:59:38 ID:E6vf38KJ]
◆白い牢獄 番外編

 留美は、自分に向けられている、絡みつくような視線に覚えがあった。
 それは――あまり思い出したくはない、一ヶ月ほど前の記憶。
 留美は、電車の中で、痴漢にあってしまった。その痴漢は粘着質で、留美が何度車両を移動しても、後をつけてきて、胸や太股を撫でてきた。
 いい加減、抗議の意を示そうと、勇気を出して、男を見上げた。そして……目が合った。
 その時の男が、丁度、こんな目をしていたように思う。
「たっ、大変なことになったねえ。これからどうしようか……?」
 男は、部屋の中を一通り歩き回った後、留美の頭の天辺から爪先までを値踏みするように眺め回しながら、留美の隣に座った。
 縦横共に大きい、太った男である。その重みに耐えかねて、ベッドがキィ、と、踏み潰された蝙蝠のような悲鳴をあげる。
 それから男――多々良朝人(たたら あさと)と名乗った――は、留美に肩を押し付けながら、一方的なマシンガントークを繰り広げた。
 しかし、それは多々良の身の上話であったり、留美のプライベートを穿り返すような話……所謂『どうでもいい話』ばかりで。
 驚くべき事に多々良からは、この閉塞状況を打開する為の提案どころか、状況そのものへの言及すらありはしなかった。
 おかげで、留美まで話を切り出し辛くなってしまい『この状況をどう思っているのか』など、本当に大切な質問はできなかった。
 多々良は、この不条理な状況から、意識して目を逸らしているように、留美には思えた。正面から向き合ったら、きっと、心が折れてしまうから。
 その気持ちはわからなくもないけれど、やはり、先程の下心満載の視線と併せ、二人きりで閉じ込められるには不安な相手だと言えた。



16 名前:白い牢獄 番外編 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/25(土) 23:00:31 ID:E6vf38KJ]
 その日。眠っていた留美は、足に虫が這うような感覚で、目を覚ました。
 ベッドに横たわったまま、視線を下に向ける。と、多々良が、息を荒げながら留美の太股を触っていた。
 スカートは、もう、下着が見えるか見えないかというところまで捲り上げられている。
 どうやら多々良は、留美を起こさないようそっと近付き、スカートを捲りながら、太股の感触を楽しんでいたらしかった。
「な、何するんですか……!」
 慌てて、捲れ上がったスカートの裾を直し、ベッドの上に座る。
 そんな留美の抗議に、多々良は最初こそばつの悪そうな顔をしたが、すぐに開き直った。
「ちょっとさあ……興奮しちゃって……これ、どうにかしてくれないかなあ」
 そう言って、右手でジーンズの前を擦る。股間の部分が、膨らんでいた。
「ほら、素直に言うコト聞いてくれればさあ、乱暴したり、無理矢理入れたり、そういう汚すような真似とかしないから……要は、留美ちゃんのカラダでさあ、鎮めてくれればいいんだよ、これを」
 どうせ、ここには俺の行為を咎める者はいない。そういう不遜な自信が、多々良の態度を大きくしていた。
 その口振りは、先程までのものとはまるで別人のようで、目も据わってしまっている。
 逆らわない方がいいのはわかっていたが、だからと言って「はい」と従順に受け入れる気にもならない。
 留美は黙って、目を逸らした。無言の抵抗のつもりだった。
「じゃあ……そうだなあ、口でしてもらおうか」
 そんな留美には委細構わず、多々良は勝手に話を進める。ジーンズとトランクスを脱ぎ捨て、下半身を露出させる。
「わかる? これを咥えるんだよ、口で」
 勃起したペニスを軽く扱きながら、多々良が言う。
「返事は?」
 留美は俯いたまま、答えない。
「もう一度だけ聞くよ、返事は?」
 多々良は苛立ちながら、再び同じ言葉を繰り返す。それでも、留美は答えなかった。
 と。強烈な平手が、留美の頬を打つ。小さな悲鳴をあげて、留美はベッドに倒れ込む。
「返事は!?って聞いてるんだよッ!」
 そのままブラウスの襟元を掴んで捻り上げ、至近距離で怒鳴る。
「…………はい」
 その剣幕を前にして、留美も屈する他なかった。
 どちらにせよ、多々良が本気であるならば、留美には抗う術はないのだから。

17 名前:白い牢獄 番外編 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/25(土) 23:01:41 ID:E6vf38KJ]
「そうそう、いい子いい子」
 襟元から手を離すと、子供番組の司会者よりわざとらしい作り笑顔で、多々良は留美の頭を撫でた。
「でも困ったな、留美ちゃんがぐずるから、折角勃ってたのに、萎えちゃったよ」
 多々良の言う通り、ペニスは先の半分程度の大きさになっていた。
「誘惑してみてごらん。それで、もう一度これを大きくするんだ」
「は……はい」
 今度はすぐに答えを返す。もう、従うしかなかった。
 留美はカーディガンを脱いでベッドに畳むと、太股に両手を置いて、パンツが見えるくらいスカートを捲った。
 続いて、ブラウスのボタン上四つを外し、ブラジャーのフロント部分を露出させる。
 それが、今の留美にできる精一杯の、稚拙な誘惑。
 それでも、多々良は満足したようだった。羞恥心が伝わってくるようなたどたどしい動作が、興奮を高めたのかもしれない。
 ペニスは先よりも大きく屹立し、刺激を求めてびくびくと震えている。
「そのまま咥えて」
 多々良は、留美の唇にペニスの先端を押し当てる。数秒の逡巡の後、留美はペニスを口に咥えた。
「舐めたり、口を窄めたりして、刺激して」
 言われるがまま、亀頭の周辺を舐め、竿を口内に出し入れする。
「口から抜かない。咥えたまま唇で扱く」
 最初こそソフトクリームを舐める動きと大差なかったフェラチオだったが、指示に忠実なおかげか、時間が経つにつれて、十分に男を射精に導けるものへとなっていく。
「そう、いいよ」
 多々良もいつしか指示を忘れ、快楽に身を委ねていた。腕を下に伸ばして、服の上から、手の平サイズの胸を撫で回す。
 次第に抽送のスピードが速まり、ちゅぱちゅぱと卑猥な水音が部屋に響く。そろそろ、我慢の限界だった。
「ああ、いきそうだ」
 射精が近付いてくるに従って、快感を搾り取ろうとでもするように、胸を触っている手の動きも激しくなる。
 もう、撫でているとか揉んでいるとか言うより、鷲掴みにして揺さぶっていると表現した方が正しい。
「いっ……く!」
 両胸を揺すっていた手の動きが止まり、指先に力が込められる。
 同時に、ペニスが脈打ち、大量の欲望が、留美の喉奥めがけて勢い良く吐き出された。
「……っ! げほっ、けほっ!」
 精液が気管にでも入ったのか、留美はまだ放出を続けるペニスを口から吐き出して、激しく咽る。
 口で受け止め切れなかった精液が、留美の顔や髪を白く汚した。



18 名前:白い牢獄 番外編 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/25(土) 23:02:37 ID:E6vf38KJ]
 溜まっていたものを出し終え、多々良が自分のベッドに戻った後も、留美は暫く放心状態だった。
 開放されてから数分間、乱れた衣服を直すことすら忘れていたくらいだ。
 まだ、喉の奥に何かが付着しているような違和感がある。乱暴にされた胸が、少し痛む。
 つい昨日までは、こんな目に遭うなんて、夢にも思っていなかった。
 明日も同じ朝が来て、学校へ行って、勉強をして、友達と遊んで……そんな、退屈だけれど平和な毎日が、当たり前のように続くのだと。
 何故、こんな場所に閉じ込められた挙句、見ず知らずの男の玩具にされなければならないのだろう。
 悔しくて、悲しくて、知らず頬を涙が伝った。

 一時間も経たない内に、多々良はまた留美のベッドへとやってきた。
 ぎらついた視線と、ジーンズのホックを外す仕草で、留美は多々良が何をしようとしているのか察する。
 多々良は、抵抗できないよう留美の両手首を掴むと、そのままベッドに押し倒した。
「い、いや! もういや……!」
「入れないから……! そのまま大人しく寝てるだけでいいから!」
 多々良はスカートを引き上げて、拒否するように閉じた太股の間にペニスを挟みこみ、腰を動かす。
 薄布一枚越しに、大切な部分にペニスを擦り付けられ、留美は、自分が犯されているような錯覚に陥る。
「あっ、や、やっ」
 多々良は留美の両腕を封じながら、上半身を傾けて、強引に抱き着く。
 両腕を押さえ付けられた状態で、無遠慮に多々良の全体重をかけられて、留美は押し潰されそうになる。
 暑くて、重くて、息をするのも苦しい。
「……ん、うっ」
 そんな留美の唇から、小さな声が漏れたのを、多々良は聞き逃さない。
「感じてるの? 可愛いねえ」
 耳元で囁く。留美はその台詞に、背中を無数の虫が這い上がってくるような生理的嫌悪感を覚えた。
 こんなの気持ちいいわけない! 息ができなくって声が出ただけなのに! 変態! 最低! 人間失格!
 留美は心中であらん限りの罵詈雑言をぶつけるが、多々良は誤った解釈で、勝手に興奮しているようだった。
 留美の首筋に獣のような吐息を吹きつけながら、腰を動かすペースを速める。
 ペニスの痙攣と、内腿を伝う生暖かい感触で、留美は多々良が達したのを知った。
 多々良は暫くの間、留美に覆い被さったまま、射精の余韻に浸っていた。
 やがて、名残惜しそうに体を離し、横たわる留美を見下ろす。
 内腿と、パンツのクロッチ部分に、濃い白濁液がたっぷりと吐き出されていた。
 今日二度目とは思えない量の精液だった。多々良はそれを確認すると、満足そうに踵を返した。



19 名前:白い牢獄 番外編 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/25(土) 23:03:45 ID:E6vf38KJ]
 それからことある毎に、多々良は留美を求めた。
 最期まで一線を越えることこそなかったが、多々良はあの手この手で、留美の体を弄んだ。
 いつしか、一着しかない洋服は、下着を含めて、精液特有の黄ばんだ染みだらけになっていた。
 水色の箱の中身である飲料水と食料は、多々良が独占、管理しており、留美が従順に多々良の欲望を満たせた時に『ご褒美』と称してそれらを与えたりしていた。
 留美にとっては、地獄のような日々であっただろうことは想像に難くない。



「そんな、享楽的な生活の末に、二人は飢えて死にましたとさ。めでたしめでたし」
 どこからか、くすり、と女の笑い声。
 それは、物語の終わりを示す合図だった。


 project whitebox 『多々良朝人編』

 ――GAME OVER――

20 名前:TIPS ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/25(土) 23:04:54 ID:E6vf38KJ]
TIPS『多々良朝人』
自信過剰にして攻撃的な、三流大学生。
彼はまだ生きている。が、死ぬのは時間の問題だと思われる。
色欲に溺れたのが運の尽きだった。
余談だが『白組』でない『勇一』は、彼に同情的らしい。

TIPS『眠っていた留美』
留美は『智信編』では、最初の夜を泣き明かしていた。しかし『朝人編』では、大人しく眠っている。
その理由はと言えば、この男には弱みを見せられない、と、無意識の内に留美が判断したからに他ならなかった。
極度の緊張が、不安と恐怖を抑え込んだのだ。

TIPS『興奮しちゃって』
多々良ほど手が早くなくとも、密室に若い男女が閉じ込められれば、何れこうなることは自明の理。
そういう意味では、智信は比較的紳士だったのかもしれない。

TIPS『カーディガンを脱いでベッドに畳む』
どんな状況であっても、人の本質は変わらない。几帳面な人間はとことん几帳面だ。

TIPS『人間失格』
言わずと知れた、太宰治の名著。



21 名前: ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/25(土) 23:05:48 ID:E6vf38KJ]
この物語(番外編)は本編と関係がないわけではないですが、別にあってもなくても問題はない、蛇足的なお話です。
このまま本編だけで進行しては性描写の入る余地がなさそうで、それは流石に不味いのでは?と思い、番外編を書いてみました。

22 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/25(土) 23:33:31 ID:+uk6eZd+]
番外編面白かった。

ご馳走様でした

23 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/26(日) 00:34:25 ID:VglvDlDE]
>>21
これから氏をS^4(エスフォー)氏と呼ばせていただきます。
というワケでGJ!
少しずつ情報が与えられる感がワクワクさせてくれる。

24 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/26(日) 03:07:39 ID:9DUMfAn5]
GJ!
だが言わせてくれ

少しだけ「辱め系苦手な人はヌルーで」 くらい書いておいたらどうだろう

処女がレイプとかショボーンになるし。。。

あくまで参考程度に

25 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/26(日) 08:24:54 ID:saFH9oNk]
>>24
私もその意見に同意です。
少なくとも、エロ描写がある時は、どういったシチュなのかは書いた方が良いと思います。
やっぱりこういうのは、好みが分かれますから。

26 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/26(日) 08:28:16 ID:saFH9oNk]
>>25
書き忘れた。
内容はGJです!
本編の続きを期待!

27 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/26(日) 09:08:13 ID:JDZREuOO]
work taker

28 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/26(日) 19:20:47 ID:mHtBFE6s]
S4氏=WorktakerMaker                                        直訳すると、wktkを創る者。兎に角、GJ!

29 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/26(日) 19:23:58 ID:mHtBFE6s]
>>28  スマソ改変ミスった。

30 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/26(日) 21:02:22 ID:9DUMfAn5]
前スレ>>76の気持ちが五臓六腑に染み渡るぜ



31 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/27(月) 11:01:56 ID:K+8Oop01]
>>24
>>25
しかしですね、ただでご飯食べさせて貰ってる分際で、
自分の好みに合う料理だけを口までわざわざ
細かい様式で運んで貰わないと美味しく食えないとか、
人としてどうかと思う訳ですよ。

32 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/27(月) 14:09:12 ID:Ym1kOFtC]
荒らすな。

33 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/27(月) 15:41:53 ID:OAxAXCSr]
>>25
シチュってのはスレごとに大まかに分かれていると思っていたが、違うのか?

34 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/27(月) 17:31:26 ID:p96ENhEf]
>>33
逆に言えば大まかにしかわかれてないからな
好みが大幅にわかれそうな要素に関しては注意書きを入れとくに
こしたことはない

35 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/27(月) 19:07:51 ID:tylywMtc]
>>31
そんなつもりはない
気に障ったなら謝る。
ただ、もしこのスレを女性がみるなら、過去に辛い目にあった人がいたら、と。。。

まぁ杞憂だとは思うが

そして更に不快に思ったとしても、容量がアレだから押さえてください

こちらもこれ以上の反論はしないし、言い争いたくないので

長々とスマソ

36 名前:25 mailto:sage [2007/08/27(月) 19:09:34 ID:Wrac3i8B]
すいません、自分がシチュって言葉の使い方が間違ってただけです。
やっぱり、レイプとか、無理矢理とかは受け入れにくい人もいると思うので、
一言入れておいた方がいい、って言いたかっただけです。

37 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/28(火) 22:07:20 ID:bZA+mqY5]
 結局、少しばかりうつらうつらとしただけで、昨日は殆ど眠れなかった。
 昨日、と言っても、ここには時間を知る術なんて一切ないから、本当に日付が変わったかどうかなんてわからない。
 二人がベッドに横になって数時間(これも概算だが)を過ごしたことから、便宜上『昨日』と呼んでいるだけだ。
 僕の言う『昨日』とは、体内時計と、ほんの少しの直感に頼った目安のようなものに過ぎなかった。
 しかし、こんな朝も夜もない部屋に缶詰にされていたら、体内時計だって狂うに違いない。これから先、時間の感覚はどんどん曖昧になっていくだろう。
 とうとう時間までも『わからない』か……まったく、どうしたものか。
 失笑しながらも、立ち上がる。
 彼女はまだ眠っているようだった。箱を抱えたまま、ベッドの上で体を丸めている。
 僕は部屋の中を、あてどもなく歩き回り、天井を見上げたり、壁や床に触れてみたりしながら時間を潰した。
 天井も壁も床も扉も、昨日二人で穴が空くほど調べたのだから、まず新しい発見は望めないと自分でも思うのだが、何かしら前向きな行動を起こしていないと、心が折れてしまいそうだった。
 僕がその『変化』を発見したのは、半ば無駄と諦めつつも『開かない扉』のノブでも回してみようかと、近付いた時だった。
 液晶画面に表示されていた数字が『三十』から『二十九』になっている。
 それは、憎らしい程に代わり映えのしないこの部屋の中で、唯一の『変化』だった。
 彼女のベッドを見ると、彼女はもう起きていて、寝起き特有のぼうっとした目でこちらを見ていた。
「ちょっと、来てくれないかな」
 僕は彼女に声をかけて、手招きした。
「どうしたんですか?」
 目を瞬かせて、小走りでこちらに向かってくる。
 近くで顔をよく見ると、泣き腫らしたのだろう、瞳は兎みたいに真っ赤だった。肌が白いから、余計に痛々しい印象を与える。
「ここ、見てほしい」
 僕は、液晶画面を指差す。彼女もすぐに気付いたようで、目を丸くする。
「数字が……減ってます?」
「そう、二人がそれぞれベッドで休む前は、確か『三十』と表示されていた」
「はい」
「これは――」
 どういうことなんだろう? そう言いかけて、慌てて言葉を引っ込めた。
 状況に呑まれて震えている年下の女の子に、自分の考えも提示しない内から意見を求めるなんて、いくらなんでも情けない。
 そもそも、質問そのものがこれ以上ないくらいの愚問で、彼女に聞いたってわかる筈がないのだ。勿論、逆もまた然り。
 そういう意味では、隣で、黙って考え込んでいる彼女の方が余程賢い。
 しかし……考えた所で、それらしい答えが見付かるのかといえば、また別の話なのだが。




38 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/28(火) 22:08:06 ID:bZA+mqY5]
 何の手も打てないまま、時間は刻々と過ぎていった。
 智信も留美も、亡霊のような表情でベッドに座り込み、時折思い出したかのように部屋を徘徊。そして、何の変化も見られないことに落胆する。
 いや、厳密には、変化はないわけではなかった。最初の『三十』から『二十九』へと変わっていた表示は、何時の間にか『二十八』となっていた。
 だが、そのカウントダウンめいた数字が何を意味するかなど、二人には検討もつかなかったので、だからと言ってどうしようもなかった。
 ただ、ちびちびとペットボトルの水を飲んで、カロリーメイトを齧る。そんな先の見えない、絶望的な時間を過ごすだけだった。
 与えられた僅かばかりの食料が尽きた時が、二人の最期である。それはわかっている。打つ手があるかどうかは怪しいが、このままでいいわけはない。
 それでも二人は、ベッドの上に置物のように鎮座するだけ。渇きと飢えが、二人から常識的な思考能力、判断能力を奪っていた。
 大きな『変化』が訪れたのは、そんな時だった。
 ビーッ! ビーッ! ビーッ! ビーッ!
 けたたましい電子音が、二人の鼓膜を揺さぶった。
 二人は外敵に発見された小動物のように体を震わせると、今やすっかり指定席となった感のあるベッドから飛び降り、アイコンタクトを交わす。
 そして、音の出所を探して、視線をあちらこちらに彷徨わせる。音はどうやら『開かない扉』の方から聞こえているらしかった。
 と、それを認識した途端、唐突に音は止んだ。部屋は、元の静寂に包まれる。
「い、今のは……?」
 留美が独り言のように零す。智信は黙って首を振ると『開かない扉』へと向かう。
 変化は二つあった。
 一つは、液晶画面に表示されている数字が『二十八』から『二十七』になっていたこと。
 もう一つは、画面下部、空白だった『ルールA』の部分に、一行の文章が追加されていること。
 二人して、画面を覗き込む。智信が枯れかけた声で、それを読み上げた。
「ルールA……鉄扉の正面に表示されているのは残り日数である。残り日数がゼロになった時、扉は開かれる……!?」
「最初は『三十』だったから……私たちがこの部屋に閉じ込められてから、三日が経っている計算になるんですね……」
 留美が言った。でも、智信には経過日数など正直言ってどうでも良かった。
 何故なら、この『ルールA』は、二人にとって、死の宣告にも等しかったからだ。
 この扉が部屋からの唯一の脱出口、自由へと繋がる扉だとしよう。そして、扉がルール通り、三十日の経過で開くとしよう。
 合計、七百二十時間。その気の遠くなるような時間を耐え切れれば、扉は開かれて、二人は助かる……?
 冗談じゃない、と智信は思う。あまりの理不尽に、行き場のない怒りが込み上げてくる。
 無理難題を、さらりと言ってのけてくれるものだ。足りない。圧倒的に食料が足りない……! 
 この限られた食料で、三十日だって……!? 正気の沙汰ではない。最大限持ちこたえられたとして、十五日がせいぜいだ。
 扉が開く頃には、僕らは干し柿みたいな不様な姿を晒して、部屋に転がっている……!

39 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/28(火) 22:09:00 ID:bZA+mqY5]
 滲み出した負の感情は、留美にも伝播したようだった。二人とも、お通夜のように黙り込んでしまう。
 智信も、留美も。お互いに、この絶望的なルールに気付いていた。だから、どちらが先に重い口を開き、その事実を公然のものとするか、それだけだった。
 ……やがて。意を決したように、智信が口火を切った。
「持久戦、と言うわけか。食料が……厳しそうだけど、留美ちゃんは今、どのくらいの食料を残している?」
 露骨に『足りない』と表現するのは躊躇われた。仕方なく『厳しそう』との言葉でお茶を濁す。
「ペットボトルの中身は八分目くらい……カロリーメイトは一箱半です」
「僕も似たようなものかな。水七割、カロリーメイト一箱と三本」
 何の情報もなしに三日間を過ごしたにしては、上々の節制だった。
 先の見えない中、食料を切り詰める互いの姿が刺激となり、消費を最小限に抑えたのかもしれない。
「かなり、節約する必要があるね」
 言いながら、智信は『三十日』という日数について考える。
 水は、一リットルのペットボトルが一本だから、一日あたり約三十三ミリリットルしか飲めない計算になる。
 しかも、ルールを知らない三日の間に、三十三ミリリットル以上飲んでしまっているから、実際飲める量はもっと少ない。
 人間が一日に必要な水分量は、安静にしていても、八百〜千二百ミリリットルとされる。
 畜生、わかってはいたが、てんで話にならないじゃないか……! 智信は乾き切った唇を噛み締める。
 と、そんな智信に、留美が話しかけた。
「あの、つ、辛いですけど、目指すべき目標ができましたから。頑張りましょう、一緒に……」
 気遣うような、優しい口調だった。その言葉で、智信は我に返る。
 まさか、初日の夜を泣き明かしていた留美に慰められるとは思いもしなかった。絶望が顔に出ていたのかもしれない。
 智信は、しっかりしろ、と自分自身を叱咤する。そうだ、僕はこんな場所では死ねない。死ぬならせめて、一級市民を目指してからだ……!
「……ああ。希望を捨てず、できるだけのことをしてみよう」
「はい!」
 智信の宣言に、留美は弱々しい、けれど確かな微笑を浮かべるのだった。



40 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/28(火) 22:09:45 ID:bZA+mqY5]
 ベッドに二人並んで座り、目を皿のようにして観察しているのは、カロリーメイトの箱だった。
「『一本百キロカロリー、四本入り、計四百キロカロリー』って書いてあるね。二箱で、八百カロリーになるか」
 智信が言うと、留美が腕を組み合わせて、むーと唸る。
「生きる為に最低限必要なカロリー……基礎代謝だけで考えても、私たちくらいの年齢だったら、男性で、約千六百キロカロリー。女性で、約千三百キロカロリー……」
「やはり、と言うのはどうかと思うけど……足りないか。それにしても、よく知ってるね、そんなこと」
「体重とか、気になりますから。だから、そういうの普段から……」
 どこか歯切れの悪い返答だったが、言いたいことは大体伝わった。
「なるほどね」
 とは言うものの、留美のスタイルを見ている限り、ダイエットの必要性は微塵も感じない。
 性別に関わらず、身長が低い人は太っていると目立つものだが、身長の低さを差し引いて考えても、かなり痩せているように思えた。
 だが、この状況ではそれは、必ずしも喜ばしいことではない。蓄積している脂肪の量が少ないということは、それだけ弱り易いということだ。
「まあ、基礎代謝分が不足したからって、直ぐに命が危ないって訳じゃないけど、確実に、体力は削られていくね」
「今まで、食べ物のカロリーなんて、少なければ少ないだけいいって、そんな風に思ってました」
 そう言って、くすくすと笑う。先程までの陰鬱とした雰囲気は、大分払拭されていた。
 生存が可能か不可能かなんて問題にしない。できるだけ足掻いてみる、抗ってみる。それが、二人で決めた基本方針だった。
 それにあの後、智信が言ったのだ。明らかになったのはルールAだけで、BもCもDも、まだ内容は不明のままだ……と。
 つまりは、今は公開されていない隠されたルールに、この窮状を打開する何らかの救済措置があるのではないかと想像した。
 例えば、食料の追加であったり、日数の短縮であったり……それは決してありえない話ではないと思った。
 智信は最初、扉の前で『ルール』という言葉を目にした時から、頭の片隅に釈然としない、引っかかりみたいなものを感じていた。
 ルールがあるのなら、これは、何者かによって企画された、とびっきり悪趣味なゲームなのではないだろうか。漠然と、そんな予想が頭を過ぎったのだ。
 そして、これがルールによって支配されるゲームだとするなら、とんでもないワンサイドゲームだ。
 ルールAが公開された時点で、智信や留美には一欠片の勝ち目もない、最低最悪のゲームだ。
 そんなゲーム、ゲームとして成立しないし、面白いわけがない。
 だから……ルールA以降に控えるルールで、その絶対的不利が、多少なりとも和らぐのではないか? 智信は、そんな結論に至ったのだった。
 ルールAに絶望して自暴自棄になり、欲望の赴くまま、水、食料を全て消費してしまったら敗北……
 僕らをこんな場所に閉じ込めるような、底意地の悪い人間が考えそうな罠ではないか。
 勿論、そうであるという保証はどこにもない。全ては智信の想像の中のことだ。
 しかし、ルールが後三つ残っているのは紛れもない事実。
 残るルールへの期待が、生還への希望に繋がっていたと言っても過言ではなかった。





41 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/28(火) 22:10:28 ID:bZA+mqY5]
 足りないものが多いこの部屋ではあるが、時間だけには不自由しなかった。
 二人は、有り余った時間を磨り潰すように、色々な事を話した。
 特に頻繁に話題に上ったのは、ここから帰ったら、最初に何をしたいか、というもの。
 思考にまで空腹が侵食してきていたものだから、必然的に、食べ物の話が多くなった。
 智信が『海猫亭』の海老ドリアが食べたい、と言えば、留美が『paix』のチョコレートパフェが食べたい、と返す。
 留美が小声で、智信にも聞き覚えのあるメロディを口ずさみ始めたのは、そんな遣り取りが一段落してからだった。
「諦めていたら 何も始まらない♪ 可能性は低くても やってみるまでわからない♪ だから もう少しだけ あと少しだけ 諦めないで 前に進んで……♪」
「ああ、それは『インフィニティ』の曲『前に進んで』だね。なんというか……今の状況にピッタリな歌詞だ」
 インフィニティ、とは女性一人、男性二人で構成されるメジャーバンドだ。
 誰もが知っている、と言う程ではないが、マシン・シティ内での知名度はそれなりに高い。
「はい。この前発表されたばかりの新譜です。多作で知られている『インフィニティ』ですけど、私は、この曲が一番お気に入りです。特に、こんな時は、勇気を貰える気がして……」
「え……?」
 留美が、何気なく発した言葉を聞いて。智信の目が、驚愕に見開かれる。
「ど、どうかしたんですか?」
 智信が、何をそんなに驚いているのかわからず、留美はきょとんとしている。
「……新譜なんかじゃない。今きみが口にしていた曲『前に進んで』は、インフィニティが二年前に出した曲だ……!」
「そ、そんな……!?」
 今度は、留美が驚く番だった。
 留美には、二年以上もの記憶の欠落はない。ただ、ここに来るまでの経緯が思い出せない、それだけだ。
 そして、話を聞く限り、それは智信も同じはず。なのに、二人の時間には、二年以上のズレがある……!?
「インフィニティが次に出した曲は『夢を追いかけて』で、その次に出した曲は『揺れない心』」
「全然、記憶にありません、そんなの……! それが本当なら、智信さんは、未来から来たって言うんですか!?」
 何が何だかわからない、と言った風に、留美が首を振る。
 どう答えていいのかわからず、智信は黙り込んだ。
 ありえないはずなのだ。智信は十九年間、留美は十四年間、それぞれの人生を歩んできた。
 勿論お互い『空白の二年間』なんてない。その二人の間に、大きな時間認識の齟齬が発生している。
「信じられない……」
 思わず、智信が呟く。この不可解な現象には『時間軸が歪んでしまった』と言う突拍子もない説明しかつけられないからだ。
 それ以外で考えられる可能性としては、智信、留美のどちらかが嘘をついているというものだが……それもありえないだろう。
 そんな嘘をついた処で、何の得にもならないことは、二人が一番良く知っていたのだから。

42 名前:TIPS ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/28(火) 22:11:14 ID:bZA+mqY5]
TIPS『海猫亭』
海沿いに店舗を構えるファミリーレストラン。
その名の通り、海の幸を惜しみなく使用したメニューに定評がある。

TIPS『paix』
フランス語で『安らぎ』の名が冠せられた、軽食専門のカフェ。
果たして、二人に安らぎの時は訪れるのだろうか。

TIPS『インフィニティ』
メビウスの輪の内側を前に向かって進んでも、同じ場所を延々と回るだけだ。
鋏で、輪そのものを断ち切ってしまわなければ、脱出はできない。

TIPS『時間軸が歪んでしまった』
智信が未来から飛ばされてきたのだろうか?
留美が過去から飛ばされてきたのだろうか?
それとも……?

43 名前: ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/28(火) 22:12:33 ID:bZA+mqY5]
本編。前スレ977からの続きです。
そろそろ物語も佳境。

>>24>>25
了解です。今後留意します。

ルールA 鉄扉の正面に表示されているのは残り日数である。残り日数がゼロになった時、扉は開かれる。
ルールB ???
ルールC ???
ルールD ???

44 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/28(火) 22:54:51 ID:Jd9yAOGs]
>>43
S^4氏GJ!
「海猫亭」で大神思い出した俺イズヒア。

45 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/29(水) 00:58:15 ID:Q+7+6YPy]
GJ!
スレ急激に伸びてるの見た時は涙モンだったぜ

46 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/30(木) 08:50:02 ID:JjCG/DO5]
>>9-10で書き始めた。別のSSが終わりしだい本格稼働予定

47 名前:10 mailto:sage [2007/08/30(木) 19:26:15 ID:oyYZXoPG]
>>46
書いてくれますか!ありがとうございます!
毎日スレ覗いてて良かったぁぁぁぁ!
好きにヤっちゃって下さい!
でも、出来れば女性のツンデレなトコ、残してくれたらry
とにかく期待!今日は寝れないな…

48 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/31(金) 01:12:33 ID:JKtEqSSK]
■幕間二『あるオフィスビルの一室で』

 都心の一角にある、オフィスビルの二階角部屋。そこがゲーム会社『グロックワークス』の事務所だった。
 皆、黙々とパソコンに向かい、作業をこなしている。使い古された空調の音だけが、嫌に大きく響いていた。
 田崎弘(たさき ひろし)は、大きく伸びをして、腕時計を見た。時刻はもうすぐ、正午になろうとしている。
 そろそろ昼食を摂りたいな。そう田崎は思った。だが、皆が追い込みをかけている中、自分だけ真っ先に席を立つのも気まずいものがある。
 他の社員も巻き込んで、自然に『そろそろ昼食にしよう』という空気に持っていきたい。
 だから田崎は、隣のデスクで仕事をしている新入社員の男に粉を撒いてみることにした。
「いやー、気付いたら、もうこんな時間ですね。腰が痛いわけですわ」
 田崎は精一杯の、フレンドリーな笑顔で語りかける。
 そのあからさまな言葉に、男――朝霧良夫(あさぎり よしお)は、パソコンの右下にある時計を見た。
 時刻は丁度、十二時になったところだった。
「そうですね。一段落ついたら、昼にしましょうか」
 一段落ついたら……か。まったく、真面目なものだ。田崎は笑顔を崩さないまま、心中で軽く悪態をついたが、朝霧に伝わるわけもない。
 朝霧は涼しい顔で、淡々粛々と作業を続ける。田崎は何とはなしに、パソコンの画面を覗き込んだ。
 そこには――人間の心臓と思わしきモノが、大写しになっていた。
「これは……何に?」
 余程小さなゲーム会社でない限り、ゲームの製作は完全に分業だ。担当が違えば、知らないことも多い。
 田崎も、朝霧の仕事が3DCGモデリングである、と言うことくらいは知っていたが、この、やたらリアルな臓器のグラフィックがゲームのどこに使われるのかまでは把握していなかった。
「ロード画面に使うそうです。とびっきり怖そうなのを……と、リクエストされましたからね」
「しかし、これは凄い……実写と見間違えてもおかしくない」
「昔、医療機器関連の会社で企画をやってましてね。人体模型めいたCGを、よくプレゼンで使ったんですよ。十八番ってやつです」
「なるほど、それで……」
 田崎は感心したように頷いた。それならば、この心臓の異様な作り込みにも、納得が行くと言うものだ。

49 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/31(金) 01:13:09 ID:JKtEqSSK]
「それでも、ここまでリアリティのある表現が可能になったのは、ここ数年です。最近のCG技術の進歩は目を見張るものがありますからね」
 視線は正面を向いたまま。マウスを忙しなく動かしながら、朝霧は続ける。
「腕のいいグラフィッカーが携われば、もう、現実の人間の写真と、CGで作成された人間の写真を二枚並べたとして、どちらが実写でどちらがCGなのか、判断がつかないでしょう」
 朝霧はそこで、マウスを置く。どうやら、作業はキリのいい所まで進んだようだった。
「さて……昼にするとしますか」
 そう言うなり、立ち上がる。それを追うように、田崎も席を立った。一人が先に席を立ってしまえば、後に続くのは気楽なものだった。
 ――と。田崎は、朝霧が右手に持った財布から、ひらり、と、何かが落ちるのを見た。反射的に拾い上げ、声をかける。
「朝霧さん。何か落としたみたい」
「ああ、どうもすいません」
 朝霧が落としたのは、一枚の写真だった。咲き誇る花々を背景に、可愛らしい少女が、こちらに向かって微笑んでいる。
 田崎は、その写真を朝霧に渡す。田崎が写真を見たのは、時間にして僅か数秒のことだったのだが、少女の姿は鮮烈に目に焼き付いた。
 何故かはわからない。わからないが……その少女には、人を惹き付ける不思議な魅力があるように思えた。
「その写真も、もしかしてCGですか?」
「はは、違います。これは、朝霧留美……私の娘の写真です」
「ほう、それは。可愛いお嬢さんで羨ましい。家なんて、反抗期真っ只中の坊主が一人ですから。いま、いくつになるんです?」
 そこで、朝霧の表情が曇る。まずいことを聞いた、と田崎は確信したが、口にしてしまった質問を撤回するわけにもいかない。
「娘は……二年前に、交通事故で亡くなりました」
「ああ、余計な事を聞いたようで……それでは、今は奥さんと二人ですか。寂しいでしょう」
 田崎は咄嗟に、フォローを入れた……つもりだった。
「父子家庭でした。妻とは、とうの昔に別れています」
「それは……」
 田崎は、流石に返す言葉が見付からず顔を引き攣らせた。二人は気まずい雰囲気を残したまま、事務所を後にした。

50 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/31(金) 01:13:56 ID:JKtEqSSK]
◆生還の条件

 部屋中に、聞き覚えのある電子音が響き渡った。
 無駄なエネルギー消費を抑える為、ベッドに横になっていた二人だったが、同時にベッドから起き上がり『開かない扉』へと駆け寄る。
 液晶画面に表示された残り日数は『二十四』だった。そして……新しく『ルールB』の部分に文章が一行追加されていた。
 二人は、目を見開いて、ルールの文面を追う。今や、二人の興味は、新しく発表されるルールの内容だけだった。
 ルールB以降のルールが、ルールAの絶対的不利を覆してくれなければ、生還はありえないのだから。
「ルールB……ルールは、日数が三日経過する毎に一つ明らかになる……」
 読み上げる智信の声には、落胆が色濃く滲んでいた。はっきり言って、二人にとっては肩透かしな内容だと言わざるを得なかった。
「言われてみればそうか、ルールAを知らせるブザーが鳴った時、表示は『二十七』だったから……次は『二十四』その次は『二十一』……」
 気が付いてしまえばなんということはない、単純な法則である。
「このルールは、毒にも薬にもならない、か……残念だが、次のルールを待つしか――」
 そこで、智信の言葉に、留美が割り込んだ。
「私……もう……だめです……後三日なんて、そんなの……」
 留美は、どさりとその場に膝をついた。目の焦点が合っていない。
 ここ三日で、肉体的にも精神的にも、かなり衰弱してしまっているようだった。
 また、あの不可解な『時間の歪み』も、答えの出ないままで、留美の心に影を落としている。
 留美は、両手で肩を掴み、自分を抱き締めるような姿勢で蹲る。その体は、小刻みに震えていた。
「何でこんなひどいことをするんですか……私たちが何をしたって言うんですか……もう許してください……許して……許して……許して……!」
 智信も、留美の手前、平静を装ってこそいるが、ルールBの内容にかなりのショックを受けていた。
 留美がその場に座り込まなかったら、智信が似たような行動を起こしていたかもしれない。
 取り乱している留美の姿を客観視することで、何とか正気を保っている。
 暫くの間、智信は留美を呆然と見ていた。が、意を決したように頭を振って、動き出す。
 留美と同じように、扉の前で座り込み、覆い被さるような形で肩を抱く。
 それは、親鳥が翼を大きく広げて、外敵から雛を守る光景を連想させた。
「落ち着いてくれ、ルールが全部公開されるまで、諦めたら駄目だ……! 二人で散々話したじゃないか! 絶対家に帰るんだって! それで、paixのチョコパフェを食べるんだって! 友達と一緒にウォーターアイランドに行くんだって!」
 震える留美に向かって、必死で言葉を投げかけながら、智信は涙を流していた。
 頬を伝った雫が、口の端まで流れてくる。智信は舌を伸ばして、それを舐めとった。
 畜生、水分が勿体ない。でも、どうしようもないじゃないか、理屈なんか関係なく、涙が止まらないんだから……!
 智信は、くしゃくしゃになった顔を留美に見られたくなくて、顔を背けた。最も、涙声で、泣いているのはバレバレだっただろうが。
「もう少しだけ、頑張ってみよう! それで、二人で一緒に、ここから生きて帰るんだ! そうすれば、いつか……今日の出来事だって、笑って話せるようになる!」
 智信は、留美の震えが治まるまで、肩を抱いたまま、付き添っていた。





51 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/31(金) 01:14:32 ID:JKtEqSSK]
 ようやく恐慌状態から回復した留美をベッドに寝かせて、智信は一人考える。
 精神的に追い込まれて当然の状況ではある。水、食料、共に残りは雀の涙なのだから。
 決して、浪費しているわけではない。むしろ、これ以上ないくらいに節約している。
 それが証拠に、二人はここ数日でみるみる内に窶れ、表情から生気を失い始めている。
 ゆっくりと、しかし確実に、終わりが近付いてきているのだ。死神の鎌は、二人の喉元にまで迫っていた。
「気は進まないが……水だけでも確保できれば……」
 智信は一人ごちながら立ち上がると、水洗トイレに向かった。トイレの便器に補充される水を、飲料水として使えないかと思ったのだ。
 二人とて馬鹿ではない。今までも、それは選択肢の一つとして考えられていたことだった。だが、結局は理性が邪魔をして、口をつけるまでには至らなかっただけだ。
 しかしながら、もう、汚いだとか何だとか、形振り構っていられるような、余裕のある状況ではない。
 水だけでも無制限に使えるとなれば、大分楽になる。
 少なくとも、最後のルールであるルールDの発表までは、確実に生きていられる。
 智信は覚悟を決めて、便器に頭を突っ込む。
 便器に顔を近付けた瞬間、正体不明の違和感が智信を襲ったが、智信は水のことで頭が一杯で、それには気付けなかった。
 接吻をする時のように唇を突き出して、溜まっている水を啜る。利用者は二人しかおらず、比較的清潔なのが唯一の救いか。
 が、口に含んだ水を、すぐに便器に向かって吐き出す。
「かはっ……! 何だこれ、しょっぱ……」
 半端ではない濃度の塩水だった。とても飲み水にはできそうもない。海水だろうか。
「畜生め、意地でも水は飲ませないつもりか……!」
 憤怒に任せて、智信はトイレの壁を殴りつけた。痺れるような拳の痛みが、少しだけ、やり場のない怒りを紛らわしてくれた。



52 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/31(金) 01:15:14 ID:JKtEqSSK]
 智信はトイレから部屋に戻ると、留美が横になっているベッドに近付く。
 留美は智信の気配に気付いたのか目を開けて、申し訳なさそうに、声をかけてきた。
「あの……さっきは、ごめんなさい……取り乱して。もう、大丈夫です。私、迷惑かけてばかりで……」
「そんなことない。ルールA発表の時、死にそうな顔をしていた僕を、きみが励ましてくれただろう? 『一緒に頑張りましょう』って。だから、これでお相子、貸し借り無しだ」
 そう言って、不器用ながらも微笑むと、留美は安心したように、目を閉じるのだった。
「それから……これは報告しておかなくちゃいけないか。トイレの水、試しに飲んでみたんだけど、駄目だった。塩が濃くて飲めない。海水みたいだ」
「そう、ですか」
「残念ながら、ね。……立ち直って早々、気が滅入るような話をしてすまない」
「……智信さんって、優しいですね。それに、いつもしっかりしていて。すごいなって思います」
「そうでもないよ、さっきなんか、思いっきり泣いてたから。それに――これはお互い様かもしれないけど――きみが傍に居るから、冷静でいられるって言うのもある。一人だったら、とっくに発狂しているかも」
「そ、そうなんですか?」
 先程、智信が留美を励ましていた時、留美はかなり平静を失っていた。だから、智信が自分の為に声をかけてくれているのはわかったけれど、彼が泣いているか否かなど、意識にのぼらなかったのだ。
「そうだよ。こう見えても、気は小さい方なんだ。子供の頃なんか、絵に描いたような泣き虫だった。飼い猫にひっかかれて大泣きしてたりしたくらいでね」
「ふふ、智信さんが泣き虫だったなんて、何だか意外な感じです。じゃあ、私と一緒ですね」
「ああ。一緒だ」
 そこで、会話は途切れた。でも、初日、二人でベッドに並んで座っていた時のような、得体の知れない息苦しさは覚えない。
 二人の周囲に流れる空気は、この殺伐とした状況を忘れてしまうくらいに、緩やかで、穏やかなものだった。
 留美の手が、智信の手の近くに置かれる。智信はそれに気付くと、そっと、その手を握った。留美もまた、握り返した。
 智信は、留美に倣うようにして、目を閉じる。そして、一時、全ての思考を放棄する。一切の情報が遮断された暗闇の中、確かなのは、留美の手の温もりだけ。
 二人は一時間ほど、そのまま目を閉じて、手を繋いでいた。
 その無言のコミュニケーションは、この過酷な日々を共に生き抜いたことにより、二人の心理的な距離が縮まった証なのかもしれなかった。

53 名前:TIPS ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/31(金) 01:16:11 ID:JKtEqSSK]
TIPS『グロックワークス』
ゲーム製作会社。社名の由来は自動拳銃の『グロック17』と『ぜんまい仕掛けの時計(Clockwork)』の捩り。
PC、コンシューマーをプラットフォームとして、主に、FPS、ホラーゲーム等の開発を手がける。

TIPS『ウォーターアイランド』
水をシンボルとした巨大遊園地。
ジェットコースターやメリーゴーラウンドと言った一般的なアトラクションの他、色々な種類のプール、果ては水族館まである。
アイスクリームショップ『フローズン』のチョコミントと、水族館の熱帯魚コーナーが留美のお気に入り。

TIPS『正体不明の違和感』
トイレに使用されている水が塩水であった事実に気付けなかった、と言うわけではない。
もっと重大な見落としを、智信はしている。

54 名前: ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/31(金) 01:17:39 ID:JKtEqSSK]
>>41からの続きです。そろそろ物語の落とし所があからさまに読めてきます。
>>43海猫亭は意識したわけではありませんが、大神はマイフェイバリットゲームの一つです。大神降ろしの美麗さといい、ラスボス戦前の展開といい。
しかし一番気に入っているのはミカン爺が舞を舞うシーンだったり。

前回投稿分、>>38の四行目訂正です。
見当○
検討×

55 名前: ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/08/31(金) 01:18:53 ID:JKtEqSSK]
>>54二行目、レスアンカー訂正。
>>43ではなく>>44でした。失礼。

56 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/31(金) 01:56:08 ID:aKMzKEgX]
GJ!続きが気になって気になって仕方がなく、毎日確認に来てますわ…

57 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/31(金) 06:56:59 ID:IKUj79jH]
はてさて二人に太陽は昇るのか?

お後は次のお楽しみ…

58 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/31(金) 13:45:59 ID:XD6KWkzd]
>>47
曲がりなりにも軍オタの端くれなため、元となった>>9-10で変な描写があったらそれを直して書く
また、自分は遅筆である事を報告しておく

59 名前:10 mailto:sage [2007/08/31(金) 22:17:54 ID:CHnQtKdu]
S4氏、GJ!
ストーリーをきちんと、楽しませてくれますね。
これからどうなるか気になります!

>>58
元々オーバーテクノロジーなメカを想像してたんで、リアルに直されるならけっこうガッチリ変えちゃって下さい。
一月、二月くらい待つ覚悟はあるんで、存分にやって下さい。

60 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/02(日) 11:59:16 ID:w5u5jKgP]
どうでもいい豆知識
救命いかだなどで運動量を制限される場合、気候などの条件が良ければ
一日に必要な水は百数十cc(非常用飲料水アルミパック一本分)まで減らせるらしい

…33ccは厳しい過ぎ
続きが気になってしかたがない



61 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/02(日) 21:25:25 ID:Ypki+bV+]
GJだとは思う。だがエロくねぇ。

62 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/02(日) 22:15:58 ID:wB07n3he]
>>61
エロの有無を問わず楽しめるよう精進しろ。

63 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/02(日) 22:47:51 ID:5pZM9f2D]
エロゲの全年齢対象版が修行にオススメだ。

64 名前:A/B ◆iok1mOe6Pg mailto:sage [2007/09/03(月) 15:27:01 ID:hGL75/TV]
>>58です。>>9-10にてまずは冒頭を。

 機体番号52-8590の33式21号ハ戦闘攻撃機「剛雷」がアフタ・バーナを焚いてバレル・ロールにて回避機動をとる。同機の6時方向に位置する、機体シリアルFT8-71のJ-25G「ソーコル」戦闘攻撃機が機銃掃射。命中せず。追跡者もアフタ・バーナを焚いている。
 52-8590のパイロット、東遼介空軍即応予備中尉――コールサイン「レインボウ3」、TACネイム「オーリエント」――は瞬時にスロットル・レヴァを引き、減速。同時にエア・ブレイキを展開。体に6Gの負荷。FT8-71、オーヴァ・シュート。
 ヘルメットに備え付けられているヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)に、FT8-71を囲むように正方形、ターゲット・ボックスが表示される。それはすぐに、新たな表示に変化。ロック・オン。現在選択されている兵装は27式短距離空対空誘導弾。
 同様に表示されている円形のガン・レティクル内にターゲット・ボックスが入る。ガン・クロスが敵機に重なり合う。アズマ中尉はサイドにある操縦桿のトリガを引く。同時にコール。
「レインボウ3、ライフル。――」
 毎分1000発、つまり毎秒約17発が敵機に突き刺さる。敵機、左エンジン発火。1秒満たず爆発。
 敵機からのベイルアウトは確認出来なかった。敵機が錐揉みで墜落し、空中分解するのを確認する。
「――スプラッシュ1」
 この間約10秒。
 アズマはレーダを見て周辺に敵機が居ないか再度警戒する。下方を0時から6時に4機通過。IFF作動。敵機。JQ-15C「プリヴィデニエ」戦闘攻撃機2、Q-10B「ブーリャ」攻撃機2。
 スプリットSにて追跡。一瞬ブラック・アウト。僚機が1機追随。
『アズマ! 俺が「幽霊」のエレメントを殺る。お前は「嵐」を殺れ』
 追随している僚機、レインボウ4、「ブーメラン」、浪川進太郎空軍中尉がアズマ機に追い付いて言う。
「ウィルコ」
 アズマ機、アフタ・バーナ点火4秒。「嵐」に近付く。兵装は先刻と同様、27式短距離空対空誘導弾。ロック・オン。バンディット・イン・ガン・レンジ。
「レインボウ3、ライフル」
 コールと同時に銃撃。右側の敵機に命中。両エンジン発火、爆発。パイロットは脱出。
「フォックス2」
 回避行動をとろうとしていた左側の敵機にミサイルを撃つ。5秒後に命中。爆発四散。
「レインボウ3、スプラッシュ2」
『スプラッシュ2! やったぜ!』喜びに満ちたコール。ナミカワ中尉も敵機を片付けたようだった。
 アズマは再びレーダに目をやる。敵機の表示は映っていない。光学探査。探査可能な範囲に敵機は無し。
『当該空域の敵機全滅を確認。レインボウ隊、帰還を許可する』
 AWACSからの通信。現空域からの離脱の許可が下りる。
『ラージャ。レインボウ隊、RTB』
 燃料は基地まで保つ。彼らは現空域に来たときのように編隊を組み、復路を南へと飛び去っていった。

65 名前:A/B ◆iok1mOe6Pg mailto:sage [2007/09/03(月) 15:27:57 ID:hGL75/TV]

 東山道陸奥県、三沢。ここがこの国の、防衛の要だ。
 8年前、ひとつの国が滅び、ひとつの国が生まれた。その新生国家は次々に大陸の国々を滅ぼし併合し、ついに2年前、この国へと侵攻を開始した。
 北から攻めてきた彼らは、まず北海道の樺太を占領した。当時、樺太にはその新生国家との国境があった。次に千島、次に北見、次は天塩と、彼らは怒涛の勢いで南下していく。
 この国の軍隊は、奮戦した。しかし、石狩県札幌にある北海道方面司令部への核攻撃により総崩れとなり、結局北海道はその全土を、1年余りかけて占領されてしまったのだ。
 現在、津軽海峡の南北で、両国はにらみ合っている。

 今回の戦闘は「こちら側」、下北半島の上空で起こった。
 このあたりはたびたび、あの国の航空機が飛んでくる。数度に渡り、爆撃機の編隊がADIZ(防空識別圏)内に侵入し、基地や都市を爆撃していった。そのたびに、彼らが駆り出されるのだ。
 空軍第3防空団航空群第8飛行隊、通称「レインボウ隊」。それが、彼らの家である。

  *  *  *

66 名前:A/B ◆iok1mOe6Pg mailto:sage [2007/09/03(月) 15:29:13 ID:hGL75/TV]
  *  *  *

 空中給油を終えた機体シリアルMM14-92のJ-27A「ジュラーヴリ」戦闘機が、給油機HY-9から離れる。それを確認し、HY-9は上空へと移動、反転して基地に帰っていった。
 オリガ・ニコライエヴナ・ザパドノポリェワ空軍大尉の異動先は、現在この国による占領状態にあるホッカイドーと呼ばれる地域の、チトセ飛行場だ。そこには、この国のエース・パイロット達が集まり始めているという。
 彼女は明日から、第11航空軍第67防空軍団第3戦闘機連隊第5戦闘飛行隊3番機、コールサイン「スピルト3」という身分になる。最前線への異動だ。だがそれは、彼女自身が認められているという事である。その事が、彼女にとって名誉であった。
 彼女は愛機である最新鋭のJ-27Aを従え、東へと向かっていった。後ろには、同機によって構成されている編隊が居る。

67 名前:A/B ◆iok1mOe6Pg mailto:sage [2007/09/03(月) 15:31:42 ID:hGL75/TV]
以上、冒頭。このSSには多数の航空軍事用語が出てきます。それらを予めまとめておきます。

A/B…After Burner。アフタ・バーナ。戦闘機などで、燃料を急激に燃焼させて大きな推力を生む事。
機体番号…本編に出てくる「52-8590」は、納入年号の1の位が「5」で、登録順位が「33式21号ハ戦闘攻撃機」を示す「2」、ハイフンのあとに「戦闘機」を示す「8」、最後3桁が、機体の製造番号。航空自衛隊も同様の尾翼番号をもち、登録順位「2」はF-15J/DJを示す。
バレル・ロール…樽(バレル)の内側を回るように機体を操作する機動。
6時方向…真後ろ。時計の文字盤の中心から「12」の文字のある方向を正面とすると、後方は「6」になる。他の方位も推して知るべし。
機体シリアル…本編中に出てくる「FT8-71」はまったくのでっち上げ。しかしこれだけははっきりしている。製造番号は「71」である。
コールサイン…個々の航空機に割り振られる、何処の所属かを示すサイン。
TACネイム…Tactical Air Command name。タック・ネイム。軍用機パイロットが作戦行動中に名乗る名前。通常、発音のしやすい3音節以内の語を用いる。
オーヴァ・シュート…Over shoot。追跡中の後方の機が対象となる機を追い抜いてしまう事。空戦で最もやってはならない機動。
ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)…Head Mount Display。パイロットが使うヘルメットに、機体の状態や敵機の位置を表示するための装置。正面を向かなくても、敵機の居る方向に顔を向ける事でロック・オンが可能。
ガン・レティクル…機銃用の照準。
ライフル…機銃の射撃をするときのコール。
ベイルアウト…航空機から脱出する事。
スプラッシュ1…「敵機を1機撃墜」を意味するコール。
IFF…Identification Friend or Foe。敵味方識別装置。
スプリットS…機体を180度ロールさせ、その状態で縦にターンして方向転換する機動。ある程度の高度がないと墜落する。
ブラック・アウト…脳への血液が遠心力などで足りなくなるとき、視覚が暗くなる事。
エレメント…航空機の編隊。通常2機でひとつのエレメントになる。
ウィルコ…Wilco。「Will comply」の略で、「了解。実行する」ほどの意味。
バンディット・イン・ガン・レンジ…Bandit in gun range。「敵機が機銃の射程に入った」の意味。
フォックス2…Fox 2。赤外線誘導ミサイルを発射するときのコール。「Fox」のFは「Fire」のF。
AWACS…Airborne Warning And Control System。「エイワックス」と読む。空中警戒管制機。
ラージャ…Roger。「ラジャー」の方が一般的だが、実際の発音は「ラージャ」
RTB…Return to base。「帰還する」ほどの意味。
空軍即応予備中尉…我々の知る陸上自衛隊にのみある階級・制度。この国の空軍にも同様の階級と制度があり、1年以上軍務に就いた者が普段は民間人として働きながら年数度の訓練を受け、有事の際には出頭して軍務に就くというもの。中尉は即応予備役の最高階級。


68 名前:名無しさん@ピンキー [2007/09/03(月) 16:18:08 ID:z4/Lz54v]
専門用語使い過ぎじゃないか?
オレだけかも知れんが、凄く読みづらい
カンに障ったら謝るが、もう少しかみ砕いて書いて欲しい

69 名前:A/B ◆iok1mOe6Pg mailto:sage [2007/09/03(月) 16:52:21 ID:hGL75/TV]
>>68
あえて専門用語を多用してみた
平易な語で書いてもいいけど、空戦のスピード感を出したかったので
まあ、あとで投下する続きはここまで暴走しないように気をつけたい

70 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/03(月) 16:53:00 ID:c7mKiBhh]
「雪風」とか読んだから文字で状況を想像できるけど、興味が無い人にはきついかな?
今後に期待。



71 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/03(月) 17:09:56 ID:s5oKPN+i]
「〜をする」等を省略した体言止が多すぎ。鼻に付くぜ

72 名前:10 mailto:sage [2007/09/03(月) 17:56:39 ID:tQGeRNWh]
>>67
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
初っ端からスピード感抜群の戦闘!次回も激しい戦いを期待します!
上にもありますが、確かにに少々専門用語が多いですね。
自分が読みながら分かったのは、半分程度ですが、前後の文でだいたいどんな感じかは想像がつくので、多少は大丈夫だと思います。
分からない言葉も、あとがきで説明してくださったので分かりますし。
そして、リアルに書いてくれてありがとうございます!
では、名無しに戻りますが、あなたがくるのをお待ちしております。

73 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/03(月) 20:58:06 ID:DQ/PrSIa]
専門用語分からねぇ('A`)
二人っきりに期待

74 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/03(月) 21:13:04 ID:FbS4xLZq]
詳しすぎてなんかすげえな。
読み手を選ぶ感じ?でも俺は好き。
一気に投下してくれたら勢いで全部読めそうだ。逆に途切れ途切れだと疲れるかも。
新しい形の二人っきり、続き期待。GJです!

75 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/03(月) 22:56:35 ID:MWVGPpAW]
>>64
読む人のことを考えない文章ですね

76 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/04(火) 00:16:10 ID:t3vonxhU]
専門用語解説あるだけでも十分だと感じるけどな。
俺が雪風慣れしてるだけかな?

77 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/04(火) 09:27:43 ID:zGRSLiPP]
awacs
<<ここはどこだ? どうやら迷い込んでしまったようだ…>>

↑を連想した自分エスコン厨

78 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/04(火) 16:11:20 ID:dBJtWx+A]
はっきり言ってつまんない。はじめて読み飛ばした。

79 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/04(火) 23:11:11 ID:GEj1Z6NG]
つまらないなら読み飛ばしてもいいと思う。
しかし、それを書き込むことによって、書き手さんが書き込みにくい空気になるのが問題だ。
書き手が書き込み易い空気を作ることも、読み手として為すべきことではないだろうか?

80 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/04(火) 23:21:30 ID:2qqFDPpv]
荒らしに構うな。
居座られるぞ。



81 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/05(水) 01:44:44 ID:R0aUXCj5]
構想を練ってるが
今仕事だからなにもできん

ネタとしては
車の運転中に車内に隠れていた相手に
自分の首筋に堅い冷たい物をおしあてられて
行き先をめちゃくちゃに指示されて・・・

って言うものなんだが
こういうものもありなのか?


82 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/05(水) 02:41:16 ID:1YNFJ0hM]
>>81
いいかも
期待してます

83 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/05(水) 13:29:20 ID:IyCtiYWz]
>>81
お化けの女の子と二人きりで深夜ドライブってのもいいなw
ちょっと前に流行ったツンデレ幽霊みたいなのだったら面白そう。

84 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/05(水) 13:59:54 ID:xYXBwO6O]
>>81
堅い冷たい物が本当にヤヴァイ代物か実は…かで又違った展開が(ry

85 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/05(水) 17:52:06 ID:3AmC102M]
新スレをお気に入りに登録し忘れてるのに気付かず、更新チェックから漏れてた…orz

>白い牢獄の人
ドキワクがとまらねぇww
色々情報が増えてきたけど、肝心なところはサッパリで、(少なくとも自分には)先が読めん。
GJ!

>架空戦記な人
大好物キタコレ!! GJです。
我々の歴史とは微妙に違った経緯をたどってるのかな?
樺太が日本領だったり、機体が国産だったりするみたいだし、
第二次大戦で日本勝ってるとか、対米開戦しなかったとかそんな感じか?
でも用語は英語ベースだし、この世界でもアメリカは大きな影響力持ってるんだな。
ともかく、続き楽しみにしてます。

用語多くて読みにくいって件は、この手のは専門用語無いとしらけるし、仕方ないかな。
やっぱり「らしさ」の演出って大事だと思う。 ちゃんと用語集付けてるから、いいんじゃない?
ただ、改行はもう少し増やしてもいい気はする。1行がちょっと長めかも。

>>81
そのシチュだと、車も立派な「二人きり」だね。
完成待ってます。


以上まとめ&長文で失礼しました。

86 名前:81 ◆DlPgAmm21I mailto:sage [2007/09/05(水) 19:19:10 ID:VFMoom29]
−−−なんでこんなことになっているのだろうか…

ことの始まりは、
取得しづらい会社の夏休みをやっとのことでもらった1週間休暇。
日ごろの鬱屈を発散すべく、「そうだ、一人旅でも!」と勢い込んで4日分の準備…
そして記念すべき旅行の一日目、一番目の目的地コンビニで、
車の鍵をうっかり閉めずに買い物を済まして、戻ってきた。
当時は、閉め忘れたが別段気にせず、目的地である長崎への1200kmの旅に出たところであった。
(順調にいけば14時間だな)
と、いろいろ思いをめぐらせる。
隣では黒塗りの車の周りで大男があわてていた。
(? なにをあわててるんだ? まぁいいか)

おれはかまわず出発した。鍵を閉め忘れたことで予定変更を余儀なくされることも知らずに…

自分の車は軽バンだ。上司に「そんな車で長崎まで行くな! 新幹線使え!」
しるか! おれは長年付き添ったこの車でいくんだっ!
ふと、会社に道程予定表を提出したら上司に言われた言葉だ。
会社としては、死なれたら香典代がもったいないそうだ。あと手続きと、派遣先への謝罪などいろいろ。
普段の生活まで拘束するのか 会社ってやつは…
(・・・いかんいかん)
一人旅だと物思いにふけってしまいがちになる。
<<ピンポーン 料金ハ¥700円 デス>>
ETCがそう告げる。志村料金所を通過した音だ。
ここから長崎まで、高速で行くのだ。片道1200km ETC3割で約15000円の道のり…

87 名前:81 ◆DlPgAmm21I mailto:sage [2007/09/05(水) 19:20:43 ID:VFMoom29]
池袋の手前で車体がぶれた。軽なので、ちょっとした貧乏ゆすり、体重の移動や荷崩れで簡単に揺れる。
首都高独特のつなぎ目による揺れじゃない。ましてパンクであろうはずもない。
車体後ろで気配がしたので思わず振り向こうとしたら、チクリとした痛みが首筋に走った。
「!? ?!?」
なにがなんだかわからない。パニクって壁に激突しなかっただけマシかもしれないと、思う。
すると、透き通るような、でもしたったらずな声が耳朶にささやく。
「おとなしくしなさい・・・」
あきらかに女の声だった。自分は首筋になにか当てられ、ちょっと痛い。
「なっなんだおまえはっ」
驚く。当たり前だ。なぜ自分の車に赤の他人が乗っている…
「質問は許さない。私の言うことだけ聞いてなさいっ」
「そんなふざけたとこあるかっ!」
運転で前を向きつつも反論を試みる。しかし…
チクチクッ!
首筋の痛みが増す。
「いいから私の言うこと聞きなさい! 死にたくないでしょっ!」
少女(と思われる)は手に持ってると思われる何かをつきたてる。
痛みが増し、高速運転では危険なので周りの速度にぎりぎりまで合わせるように速度を落とす。
「なにしてるの!? 止まれなんていってないわ!」
東池袋パーキングエリアに近づいたので、すかさず車を滑りいれ、停車する。
「あのさ… 目的はな………んだい…?」
と、ルームミラーで後部座席を見る。
金髪碧眼の少女がそこにいた。容姿端麗な彼女に思わず言葉が詰まってしまう。
「千葉までいきなさいっ これは命令よ!」
「千葉ぁ!?」
素っ頓狂な声を上げてしまった。
チクリ。
「いいからいく!!」
「ぐっ… わ、わかったよ!」
ちくりとした痛みがなくなった。
「わかればよろしい♪」
すごくうれしそうな声だ。
(千葉なんてふざけんなよ! おれは長崎に…)
「早く行く!!!」
チクチクッ!!
「はっ、はいいいい!」
脅迫にちかい状態で、おれはパーキングを出発した。
(旅行早々カージャックかよ…)
心のつぶやきは誰にも聞かれず消えていった。

#ロング金髪碧眼でなくても、黒髪ロングポニーかホワイトヘアにルビーアイとか、妄想がとまらない。
#ある程度まとまってからとか思ったけど 台風の影響とか仕事とか家庭とかでorz
#金髪碧眼は、Lia(「Mori〜!」)ちゃんの影響(作者氏ごめんなさい
#よろしくです

88 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/05(水) 19:25:32 ID:VFMoom29]
#おかしい…2度くらい推敲したのに文が変だ…
#夜勤明けで今日も夜勤だからか?
#(脳みそくさってやがる… 早すぎたんだ…)

89 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/05(水) 23:39:13 ID:wYivWKDK]
くそっ!続きが気になる。
マジでGJだ!

90 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/06(木) 08:37:50 ID:Ltbk/XAm]
焦らしプレイですか?



91 名前:81 ◆DlPgAmm21I mailto:sage [2007/09/06(木) 20:02:34 ID:rnlKcqFl]
いあ あの 今夜夜勤でその上台風でこれから出勤でっ!
今起きた。
プロット5割作ったんで、肉付けは台風が関東を過ぎたあたりにでも…

というか、他の作品も続きwktkwktk!!

てか雨すげぇ…

92 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/06(木) 20:52:05 ID:AwgERNAw]
明日の夜には上がってますように>雨

ところで卓球部の合宿の続きを未だに待っているのは俺だけだろか・・
いや、それも含めた全ての作品が漏れなくwktkなんだが。

93 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/06(木) 22:41:07 ID:BxMWqC+L]
>>92
卓球は俺も待ってるよ。結構いいところまで進んでるし。
このスレには本当に期待してる



あー、俺も「Mori〜」って呼ばれてぇ。名前に「もり」とか入ってないけどさ…

94 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/09/07(金) 00:35:56 ID:/V4euhHC]
 部屋に、三度電子音が響き渡る。液晶画面に表示されている残り日数は『二十一』だ。
 ルールBの時と違い、二人はすぐさま『開かない扉』の前に駆け寄るようなことはしなかった。
 最早、走る気力もないくらいに、疲労困憊していたというのもあるが……何より、ルールCの内容を知ってしまうのが怖かった。
 もし、ルールCの内容が、何の救いもないものだったら……? それを考えると、足が竦んでしまい、その場から動けなかったのだ。
 何故なら……口にしなくとも、二人が一番理解している。ルールCの発表が、事実上のデッドラインであると。
 この分では、まず間違いなく、後三日は持たない。だから、きっとこれが、智信と留美にとっての、最後のルールになる。
「智信さん……」
 ブザーが鳴り止んでも、一向にその場を動こうとしない智信に、留美が心細そうな視線を送る。
「……わかってる。見なければ、始まらないものな。一緒に、見よう」
 二人は寄り添うようにして『開かない扉』の前まで歩く。そして――新しく発表されたルールを確認した。
 今回に限っては、智信はルールを朗読しなかった。いや、できなかったのだ。その文面に、目を、心を、奪われてしまったから。
 時間が、凍りついてしまったみたいだった。智信も留美も、立ち尽くしたまま、一言も発しない。
 ルールCの内容は、以下の通り。

『ルールC この部屋の中にいる生存者が一人となった時も、残り日数がゼロになった時同様、扉が開かれる』

「これって」
 長い沈黙の後。留美が、搾り出すようにして、言葉を発した。
「智信さんが先に死んじゃったら、私が助かって……私が先に死んじゃったら、智信さんが助かるってことですよね……」
「……文章を何度読み返しても、そうとしか、解釈できそうにない」

95 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/09/07(金) 00:36:43 ID:/V4euhHC]
「こんなの! こんなのってないです! どうして……!」
 それ以上は、言葉にならなかった。留美の喉から、嗚咽が漏れる。
 智信も、留美も、心のどこかで、二人は一蓮托生であると思っていた。
 助かる時は二人一緒。死ぬ時も二人一緒。それは小さな連帯感となり、二人の間に絆を生んだ。
 しかし、ここでルールは無情にも、二人を引き裂いた。
 助かるのは一人。死ぬのも一人。つまり……絶対に『どちらか片方しか助からない』のだ。
「どうする?」
 泣き笑いのような、複雑な表情を浮かべながら、智信は留美に聞いてみた。
「……どっちも、嫌です。二人で、一緒に、帰りたい……」
 服の袖で涙を拭いながら、留美は答える。リップクリームなんて塗れるわけがないから、唇はかさかさで。喉は渇き切って、満足に声も出せない。それなのに……流す涙だけは尽きないのが、何だか無性に恨めしかった。
「僕も、同じ気持ちだ。でも……こうなってしまった以上、どうしようもない。むしろ、片方だけでも助かることを喜ぶべきなのかもしれない」
「そんなのって……」
「僕の考えを、話してもいいかな」
「……はい」
「このゲームを仕組み、ルールを決めた人間は、おそらく……僕たちが仲違いして、憎みあったり、殺しあったりすることを望んでいる」
 留美は悲しそうな表情で俯いたまま、答えない。
「ルールCを読み替えれば『一緒に閉じ込められたもう一人が死んでしまえば、自分は助かる』と言うものになるからね」
 智信は、少し間を置いてから、続ける。
「僕だって、こんな所で死ぬのは嫌だ。……生きたい! だけど、ルールを作った人間の思うように動かされるのは、もっと嫌だ」
 留美は首肯する。留美も、ルールCまで来てようやく、ルールに潜む明確な悪意に気が付き始めていた。
「だから、基本方針の維持を提案したい。丁度、水も食料も、底をついた。ここから先は……我慢比べになる。どちらが先に脱落しても、恨みっこなし。そして……最期の瞬間まで、お互いを尊重しあう。どうかな?」
 留美としても、異議があるわけもなかった。力比べを始めたら、智信が勝つに決まっているのだから。
 卑劣なルールに屈せず、最後まで、フェアプレイを貫き通そうとする智信の姿勢を、留美は嬉しく思った。



96 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/09/07(金) 00:37:32 ID:/V4euhHC]
 留美は、水色の箱を下敷き代わりに、A四判の用紙を広げ、ボールペンを握った手を一心不乱に動かして、何かを書き記していた。
 三十分くらい、そうしていただろうか。留美は小さく息をつくと、動かしていた手を止め、智信へと向き直る。
「智信さん……」
「なに?」
 壁に寄りかかって、どこを見るでもなく目を開いていた智信は、不意に声をかけられて、留美の方を見る。
「智信さんに、一つ、お願いがあるんです」
 言いながら、ボールペンを置く。紙を小さく折りたたみ、箱に入れて蓋をする。
「もしも、私が、先に死んでしまったら……扉の外に出る時に、この箱を持っていってください」
「何を入れたの?」
「……遺言みたいな、ものです」
「そう、か」
 そこで、ふと、智信は気付いてしまった。自分も思い残しがないわけではないが、遺言を書くような相手も、書くべき内容も、見付からないということに。
 両親とは、進路の問題でこじれて以来、ろくに口も聞いておらず、だからと言って、親友と呼べるような、深い仲の友人もいない。
 ああ……もしかしたら。毎日、死に物狂いで勉強して、一級市民、一級市民と復唱してきたのは、他人より上を目指す以外に、アイデンティティを証明する手段がなかったからなのかもしれない。
 それは、とても空しいことのように思えて、智信は盛大な溜め息をついた。ただでさえ失われかけていた気力が、完全に失せていくようだった。



97 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/09/07(金) 00:38:44 ID:/V4euhHC]
 ルールCの発表から、二十四時間が経過した。液晶画面に表示されている残り日数が『二十』を示す。
 智信は、ベッドに座ったまま、魂が抜けてしまったような表情で中空を眺めていた。
 留美は、ベッドの上に仰向けで横たわったまま、ぴくりとも動かなくなっていた。
 智信はのろのろと立ち上がると、留美のベッドに近付く。生気のないその顔は、近くに寄っても生きているのか死んでいるのか判断に困るほどだった。
「……留……」
 名前を呼ぼうとしたが、声が掠れて言葉にならなかった。しかし、その呼びかけに反応するように、留美の唇が微かに動く。
 留美の瞳に光はなく、目線も、呼びかけた智信の方ではなく、明後日の方を向いている。生きているのが不思議なくらいの衰弱ぶりだ。
 この様子を見るに、もう……独力では、立ち上がることすらもかなわないだろう。
 智信は、ずるずるとその場に座り込み、ベッドの側面に背中を預ける。マットレスを肘掛け代わりに使うと、指先に何かが触れた。ベッドに力なく投げ出されたそれは、留美の手だった。
 前にもそうしたように、智信は留美の手を握って、目を瞑った。
 智信とて、立ち上がり、動くことくらいは出来る、と言うだけで、それ以外は、留美と大差なかった。
 いつ何があってもおかしくはない、最悪のコンディションである。
 現実と幻想が混じり合って溶けたような混沌とした思考の中、智信は思う。
 どちらが先に逝くにしても――もうすぐ終わる、と。



98 名前:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/09/07(金) 00:39:42 ID:/V4euhHC]
 智信は、液晶画面の前に居た。残り日数は『十九』である。
 留美はもう、植物人間のようになってしまい、話しかけても何の反応も示さなかった。
 心臓は動いている。息もしている。だが――それだけだ。留美はもう、喜ばない、怒らない、泣かない、笑わない。
 智信も自分自身、体の自由が利かなくなりつつあるのを感じていた。このままでは、智信もすぐに、留美と同じ運命を辿るだろう。
 ――――すぐに、同じ、運命?
 その言葉が頭を過ぎった瞬間。智信の心の奥底で、悪魔がそうっと囁いた。
『このままでは共倒れになる』
『佐々野智信。お前はこんな場所で死んでいいのか?』
 妄想の中の悪魔は、みるみる内に明確なイメージとなって脳内を駆け巡り、ついには智信の隣に、その醜悪な姿を現した。
『見ろ』
 悪魔は横たわる留美に、鋭利な刃物のように尖った指先を向けた。
『もう留美は動けない』
『お前が先に死んでも、どの道助からない』
『そうすれば、留美の残した遺言とやらも、結局は無駄になる』
『お前の取るべき最善の選択が何かわかるな?』
「僕は……約束した。最後までお互いを尊重するんだって」
 悪魔は、部屋全体が振動するような大声で笑った。その声が煩くて、智信は思わず耳を塞ぐ。
『くはははははははははは』
『何を遠慮する必要がある』
『動けなくなった時点で死んでいるのだ』
『後はお前が生きるか死ぬかを選ぶだけだ』
 悪魔は智信の手を引いて、無理矢理立ち上がらせる。そして、そのまま留美のベッドへと引き摺っていく。
「でも、こんなのは駄目だ、間違ってる、やりたくない」
 悪魔は、無言のまま首を振る。そして今度は一転して、優しげな口調で語りかける。
『もういい。お前はよくやった。俺は知っている』
『一気に食料を消費してしまいたかったが、食欲に抗い、長い日数を渇きと飢えに耐えながら過ごした』
『本当は留美を抱きたくて仕方が無かったが、性欲に抗い、手出しはおろか、性的な視線を向けることすらしなかった』
『留美がこの状況に押し潰されて錯乱状態に陥った時、一緒に泣き喚いてしまいたかったが、留美を気遣い、励ました』
『そして、ルールCの発表により、二人の対立が明確になっても尚、互いを尊重しようと言い、留美に生還の可能性がなくなるまで耐えた!』
 悪魔の手が智信の腕を掴む。智信の腕が留美の首にかかる。
 智信はしきりに頭を振って抵抗する。本当はこんなことはしたくないのだと。
『意地を張るな。もう楽になれ。緊急避難だ。誰もお前を咎めはしない』
 留美の首にかけられた智信の手に――力が、こもった。
 目を固く閉じて、歯を砕けるくらいに食い縛って、智信は留美の首を絞めた。

99 名前:TIPS ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/09/07(金) 00:40:35 ID:/V4euhHC]
TIPS『最悪のコンディション』
実質『どちらかの死亡待ち』であるルールCの存在が、二人から生きる気力を奪い、急激に衰弱させた。

TIPS『悪魔』
智信のエゴが妄想により具現化したもの。

100 名前: ◆SSSShoz.Mk mailto:sage [2007/09/07(金) 00:41:12 ID:/V4euhHC]
>>52の続きです。次回以降解決編。

ルールA 鉄扉の正面に表示されているのは残り日数である。残り日数がゼロになった時、扉は開かれる。
ルールB ルールは、日数が三日経過する毎に一つ明らかになる。
ルールC この部屋の中にいる生存者が一人となった時も、残り日数がゼロになった時同様、扉が開かれる。
ルールD ???



101 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/09/07(金) 02:03:04 ID:InXfF/ON]
>>100
S^4氏GJ&>>100ゲットオメ!

すげーハラハラドキドキする。






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