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ヤンデレの小説を書こう!Part4



1 名前:◆lPjs68q5PU mailto:sage [2007/02/25(日) 00:49:58 ID:S4t41Ekl]
ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
 ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
 ・ヒロインは、ライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつだが確実に病んでいく。
 ・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することもある。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫
yandere.web.fc2.com/
■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part3
sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171290223/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。


381 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/13(火) 21:10:51 ID:C03APs4A]
「薫ちゃん、これでいい?」
「もつこちみぎでつ・・・あい、『どあ』みえまつ」
深夜のテュルパン事務所内。耕治とあずさは事務所のパソコンをいじっていた。

店長達が事務所を去ったあと、薫は事務所のパソコンに細工を施した。
標準でWEBカメラがついているのに目をつけ、事務所のパソコンをカメラサーバー化したのだ。
といっても、別にパソコンをハッキングしてデータをライバル店に売りつけるなんて理由ではない。
そもそもの発端はテュルパンの社内規則にあった。問題の文章は、こう。
『理由の如何を問わず、制服を店外に持ち出してはならない』
テュルパンの制服は人気があり、店員が持ち出してネットオークションにかけるのが
多発したためこんな規則が生まれたのであるが、このおかげで(主に耕治の希望だったのだが)
『制服着たままH』をやろうとすれば店内でするしかないのである。
しかし、薫は「自分の見てない所でのH禁止」を3人に言い渡しており、制服Hは出来ずにいた。
閉店後に薫連れでやればいい気はするが、考えてみりゃそんな夜中に幼女を店の中に連れてくるのは不審極まりない。
で、苦肉の策が「事務所のカメラから実況生中継」だった・・・アホだ。

で、現在の状況。薫ととき子は禾森邸、あずさと耕治が事務所の状態・・・美衣奈は行方不明。
薫は禾森邸側のパソコンを操作しており、とき子は傍観(笑)。耕治は事務所側のパソコンをいじっている。
禾森邸には巨大なテレビ(50インチぐらい)があり、現在事務所を映している。つまりパソコンと接続。
薫は頭につけたインカムから事務所の二人にパソコンの操作を指示していた。当然事務所の二人もインカム装備。
「あい、ぴんともあいまちたち、はぢめていいでつよ」
「ん・・・んじゃはじめようか」
「うん・・・」
薫の言葉に二人はHを始める。
耕治はパソコンのほうにあずさを向かせ、パソコン側の壁に手をつかせる。
耕治はあずさの後ろに回り、制服のブラウスのボタンをはずし始める。
徐々にあらわになってくるあずさのブラジャー。フリルがついた少女趣味っぽい。
「こういうブラはアレだな・・・ミナちゃんのほうが似合うな」
「なによ・・・あたしは何が似合うって言うのよ?」
「スポーツブラとか、装飾のない系」
「どうせあたしは色気ないですよーだ!」
「あづさおねえたんは、いろけありまつでつよ?おにいたんがりかいできないだけでつ♪」
「うう・・・分かってくれるのは薫ちゃんだけだ・・・」
「いや・・・その・・・あれだ。シンプルな良さって奴もあるぞ?」
「ちょっとおにいたんは『ふぉろー』がおとかったでつ」
「ぐっ・・・」
「耕治、手を止めない!」
「あいよ!」
耕治はブラの上からあずさの胸をもむ。手にちょうどいい大きさの胸は非常に揉みやすいようだ。
「耕治・・・そろそろ直に・・・」
耕治はフロントホックを外し乳房に直接愛撫を始める。
乳房をボールをつかんで転がすように揉む。強すぎず、弱すぎず。
中指と薬指で乳首を愛撫することも忘れない。ただ、
「ちょっと・・・優しくしてよ・・・痛いんだから」
相手がいるなら分かるだろうが(風俗による経験でも可)、中指と薬指では力の加減が難しい。
耕治は薬指だけで乳首の周りをなぞるように愛撫をする。
「うん、そう・・・あ・・・」

382 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/13(火) 21:11:51 ID:C03APs4A]
そのとき、薫たちが覗いていた画面に異常が見受けられた。
二人の後ろにあるドアが半開きの状態になっていたのだ。
しかし時刻はこの時点で22時過ぎ。この店の場合、通常誰もいない時刻である。
いる可能性があるとすればマネージャーである耕治自身。そして・・・。
「薫ちゃん、あの二人やめさせる?」
「ほっといていいでつ。もち、てんちょうたんなら、もうとめにはいるはづでつ」
「・・・そうよね・・・美衣奈ちゃんかしら?」
「ほかのてんいんたんだとやっかいでつが・・・あ」
そうこういってるうちに扉が完全に開いた。
扉の向こうから出てきたのは若いスーツ姿の女。
しかし耕治たちはというと・・・。
「こ・・・こうじ〜そろそろ・・・」
「んじゃ、よっこいしょ」
「ちょっと!す・・・スキャンティぐらい脱がしてよ・・・」
「パンツ伸びるから別に入れるのに支障ないよ。それにここまで濡れてるともうゴミ箱行きだっつーの。
それともアレか、レイプみたいにはさみで下着切られるのが好みか?」
「ば、バカァッ!!」
後ろの女性は耕治の言葉にうんうんうなずくと耕治たちの真後ろに立った。
「なにつるつもりでつかね・・・え?」
「あらあらまぁまぁ♪」
なんと後ろの女はいきなりスーツはそのままでパンティだけ脱ぎ去り、
ミニタイトのスカートの中に自分の手を突っ込んだ!
そのまま片手は股間をまさぐり、もう片方の手はブラウスのボタンを外し胸に手を突っ込んだ。
そして壁にもたれてオナニーを始める。
「んじゃいれるぞ・・・」
「もうせっかちなんだから・・・あ・・・」
ずんずんずんずん!
ぱんぱんぱんぱん!
・・・まるでどっかの古道具屋経営ゲームのような擬音を発しつつ腰を振る耕治。
後ろでは例の女がオナニーの真っ最中。
「あのふたりまだきづかないでつね・・・」
「あ、そろそろかも」
「え?」
耕治たちはそろそろ限界のようだった。
「おい!あずさ!そろそろ出すぞ!」
「あ、あたしのほうがさきに・・・ん!!」
あずさの膣が急速に縮み、耕治の股間に更なる快感を与える。そして尿道を通過する粘体。
「うあっ!」
二人は同時に果てた。
「・・・おにいたん、おにいたん・・・」
「あ、薫ちゃん、うまいこと撮れた?」
「おにいたん、うちろうちろ!!」
「うしろ?まさか誰か覗いてた・・・って、ええ〜!」
「て、店長!!!」
「いやぁね、あずさちゃん?」
耕治たちの後ろにいた女は胸から手を離し、二人にひらひらと手を振る。
「えみる・・・って、呼んでって言ったでしょ?」
新店長・樹元笑留は口元だけで微笑み、舌なめずりした。


383 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/13(火) 21:12:55 ID:C03APs4A]
スマソ、今回短いorz
次回もまだHシーン続きます。ついに新店長の変態ぶりの全貌が・・・

384 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/13(火) 21:14:17 ID:o1WKr3z4]
GJ!



先生!あなたの作品のキャラはヤンデレというより変態性癖の持ち主のような気がするのは気のせいですかw?

385 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/13(火) 23:02:22 ID:GUkgBEcw]
>>383
GJ
てかこのノリで病んでいったらどうなってしまうんだw

386 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:04:16 ID:4i4yRZ/G]
投下します。第六話です。↓

第六話〜従妹とお嬢様〜

 今夜、俺の部屋に女の子が二人も泊まっていくことになった。
 なぜそんな状況になったかというと、
 一人は、今も降り続いている雨のせいで帰れなくなってしまったから。
 一人は、俺ともう一人の女の子が間違いを犯さないよう監視するために。

 一人暮らしの男の部屋に女の子が泊まる。と聞けば、大概の人間は
その夜に何が起こるかが予想できるであろう。
 俺も男だ。もちろんそんな状況下で女性から迫られたならば、やることはやる。
 とはいえどんな女でもいいわけではない。

 俺の理想のタイプの女性は年上で、穏やかな性格の人だ。
 だが、年上でなければ駄目というわけではない。そこは性格次第だ。
 髪型などの好みは特に無い。
 体つきは太っていなければ、スレンダーでもグラマーでも構わない。
 顔つきは――綺麗な感じよりは、可愛いほうが好みだ。
 俗物というなかれ。男など多少の違いはあれ、似たようなものである。
 さて、俺の両隣にいる女性はどうかというと。

 左で寝ている女の体型はスレンダー。
 そして、体型に合わせたかのように引き締まった顔つきをしている。
 普段は長めの黒髪をリボンを使いうなじの辺りでまとめているが、
さすがに寝るときはリボンを付けていない。
 縁無しの眼鏡も今は外している。それでも変わらず理知的に見えるのは、
彼女の本来の雰囲気がそうだからだろう。
 スーツでも着せたらその辺のOLよりデキる女に見えるかもしれない。
 彼女の年齢は19才。多少離れてはいるが、十分に許容範囲内だ。

 そして右で寝ている女。
 左に居るの女とは対照的に、なかなかグラマラスな体型をしている。
 ぱっちりと開いた瞳と血色のいい肌。どちらかと言えば可愛い顔立ちをしている。
 肩まで伸ばした髪の毛は、少しだけ茶色が入っている。本人曰く、地毛とのこと。
 年齢は俺と同じで24歳。
 しかし、俺よりも年下に見えるのは彼女の仕草や喋り方のせいだろう。
 当然ながら、彼女も年齢的には守備範囲内にいる。

 しかし、一人は従妹である。もう一人は親友である。
 二人には悪いが、手を出す気にはならない。
 ――まあ、手を出さない理由はそれだけではないのだが。

「ねえ、華ちゃん。狭いからそっち、詰めてくれない?」
「香織さんがそうしてくれませんか?――できれば布団の外に出てほしいものですけど」
 
 女二人が言い合いをしているという状況で手を出せる男は相当の大物か、ただの馬鹿だ。
 そして、俺はそのどちらでもないと自覚している。
 ただ、二人が眠るのを黙って待つしかないのである。

387 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:05:38 ID:4i4yRZ/G]
・ ・ ・

 ザァァァァァァ――

 雨音が聞こえる。
 現時刻は夜十時。七時ごろから降り始めているが、全く勢いが衰えない。
 天井から雨漏りなどはしていないが、ここまで降り続けるとさすがに不安になる。
 ――だが、今眠れないのはそれが原因ではないだろう。
「すぅぅぅ……」
「くぁーーー……」
 華と香織が隣にいる状態でいつも通りに寝られるわけがない。
 二人とも俺の方を向きながら寝ているので、寝息の音がよく聞こえる。
 なんだか、くすぐったい。

 それに加え、場所の問題もある。
 俺の部屋は六畳一間。
 部屋の中に置いてあるものはブラウン管のテレビ、最近は使っていないノートPC、
ハンガー掛けとプラスチック製の小さいタンス、本棚、その他の小物など。
 玄関の入り口に台所があるので、そこには冷蔵庫を置いている。
 一人で寝る分には十分な広さだ。
 しかし、三人が川の字になって眠るには狭すぎる。
 三人で密着しないととても寝られたものではない。
 スペースを確保するために俺は腕を組んでいる。
 この体勢を維持することに意識を向けているので眠れない、というのも原因の一つだ。

 やはり、香織を部屋に泊めてもらうように華に頼めばよかっただろうか?
 いや――それはやめたほうがいいな。
 二人っきりにしたら一体どんな結果になるかわからない。
 口喧嘩が過熱してもし素手での取っ組み合いになったりしたら、と思うと
とてもじゃないが二人きりになどできない。できるわけがない。
 二人ともそこまで無思慮ではないと思うが、用心するにこしたことはない。
「……ぉにぃ、さん……」
「ゆぅし、くぅん……」
 二人が寝言で俺の名前を呼んだ。
 今の二人を見ていると、仲が悪いようには見えないんだけどな……。

 そういえば、なんで二人とも喧嘩するんだろうな?
 初めてあった日からこんな調子だったけど。
 ――たしか、二人が出会ったあの日。
 俺と香織が一緒に居るところに華が来て……
 そのまま華が俺に抱きついてきて……
 それを見た香織が華に注意したら、なぜかにらみ合いになったんだよな。

 今考えてみても、なぜそんなことで仲が悪くなるのかわからない。
「なんで二人とも、仲が悪いんだよ……」
 舌と唇を動かして、小さな声で呟く。
 すると、左側から聞こえていた寝息が止まった。
 なんとなく、視線を感じる。

「――そんなこともわからないから、おにいさんはニブチンなんですよ」
 左で寝ている華が小さい声で喋りかけて来た。
 首を軽く曲げて、目を左にいる華の顔に向ける。
 暗闇に目は慣れてはいるものの、その表情ははっきり見えない。
「悪い。起こしちゃったか?」
「いいえ。偶然目が覚めただけです。
 それより今、なんで私と香織さんが仲悪いのかって言いましたよね?」
 さっきのひとり言はばっちり聞こえていたようだ。
 続けて華が喋りかけてくる。

388 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:06:27 ID:4i4yRZ/G]

「実は私、香織さんを嫌っているわけではないんです。
 ただ……おにいさんと香織さんが一緒に居ると、ついあんな態度をとってしまうんです。
 おにいさんには、ただ仲が悪いだけにしか見えないでしょうけど」
「……まあな」
 二人のやりとりを見ていると、お互いに嫌っているようにしか見えないからな。
 だが、華が香織に対して嫌悪感を持っていないということは、
いつか二人が仲良くなる可能性があるということだ。ぜひともそうなってほしい。

 ……しかし、意外だな。
 俺と香織が一緒にいると、華が不機嫌になるとは。
 もしかして、華は香織のことを?
「嫌っていないだけで、好きなわけではないですけど」
「あ、そうなのか? 俺はてっきり――」
「……おにいさん、わざとニブチンを演じていませんか?
 その鈍さは、もはや天然記念物レベルです。
 おにいさんのことを好きな女性がその鈍感さに腹を立てて、刺してくるかもしれませんよ?」
「ははは、まさかそんな……」
 さすがにそれは無いよな。俺が女性にそこまで好かれることなんてないだろう。
「本当にそう思いますか? 私と香織さんに挟まれているというのに?
 現におにいさんはそうなってもおかしくない状況にいるんですよ?」

 …………なに?
 今とんでもないことを言わなかったか?
 華と香織に挟まれている状況では、刺されてもおかしくない?
「まさか、お前……」
「刺したりなんかしませんよ。
 私は、そういう意味で言っているんじゃありません」

 そう言うと、華は息を吸って、吐いた。
 彼女の顔は部屋が暗いせいでよく見えない。
 それでも、俺を見つめているということは雰囲気で伝わってくる。
 華の手が俺の左腕を掴んだ。
 手の感触が伝わってくる。少し冷たいが、柔らかい。
 華はもう一度息を吸って、吐いた。
 そして。

「香織さんも私も、おにいさんのことを好きだから。
 そういう意味で、言っているんですよ」
 
 俺に向かって、自分と香織の気持ちを打ち明けた。

389 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:08:15 ID:4i4yRZ/G]
 
『ははは。冗談はよせよ』
 などと言おうものなら、本当に刺されるだろう。
 そう確信してしまうほどに、華の告白には真剣さが込められていた。
 つまり、さっきの告白は冗談ではないということだろう。
 本当の、華の気持ちだということだ。

 ――俺は今の告白に対してどう答えるべきなんだ?
 「華が好き」?
 「香織が好き」?
 いや、俺はどちらか一方が好きなわけじゃない。
 二人とも好きに決まっている。

 しかし、それは親愛の情とか、そういった類のものだ。
 彼女たちを大事な人だと思っているが、それは友人としてである。
 女として好きかと言われたら「違う」としか言えない。

 ――今の俺は、どちらか好きか選べない。

「華。俺は――」
「待ってください。答えるのはナシです」
 華の指が俺の唇に対して、垂直に当てられた。
「おにいさんがなんて答えようとしてるのか、わかりますよ。
 でも、今はその答えを聞きたくありません」
「? じゃあ、何であんなことを言ったんだよ」
「おにいさんに意識してほしかったからです。私の気持ちを。
 現状を維持し続けていたらいつまでも気付かれなかったでしょうし」
 ――お前の普段の態度を見ていたら気付くわけがないだろうが。

「あともう一つ。おにいさんに言っておくことがあります」
 華は手を引っ込めて自分の顔の前に持ってきた。人差し指を立てている。
「今度は何だ……?」
 またとんでもないことを言い出すんじゃないだろうな?
「今の話を忘れた振りをした場合……刺しますからね」
 ……今度は脅迫か。お前、本当に俺を好きなのか?
 なぜ俺の胃に穴を開けるようなことばかり言うんだ。
 おにいさん、辛くなってきたぞ。
「私の話は終わりです。おやすみなさい。……おにいさん」
「ああ。おやすみ」

 数秒間の沈黙の後で、華はゆっくりと寝息を立て始めた。

 ――ふう。

 華と、香織。二人ともが俺のことを好き、ねぇ……。
 華が俺のことを好きだというのは事実だろう。
 なにせ本人の口から告白されたのだから。

 しかし、香織はどうなんだろう?俺を好きだったりするんだろうか?
 香織は俺の右で寝ている。彼女の手は、弱い力で俺の右腕を掴んでいた。
「寝てるよな? …………まさか聞いてないよな?」
 香織に向かって問いかけた。…………しかし返事は返ってこない。

 代わりに、俺の右腕を掴んでいる手の力が一瞬だけ強くなった。――ような気がした。



390 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:09:57 ID:4i4yRZ/G]
・ ・ ・

「おにいさん。朝ですよ」
 …………。
「起きて下さい。もう香織さんは起きて、バイトに行っていますよ」
 ………………。
「……おにいさん。いつもバイトに行く時間を過ぎてますよ」
 ……?
 …………はっ!!!
「マジでか?! やばい!」
 がばっ! と布団を跳ね除けて身体を起こす。
 窓の外を見ると、空が晴れていた。太陽の光が部屋に注ぎ込まれている。
 明るい。明るいということは――

「今何時だよ!」
「朝の八時です。寝坊するだなんてだらしないですね」
 華がやれやれ、といった感じで首を横に振った。
 もとはと言えば、お前が変なこと言うのが悪いんだぞ。
 あの後色々考え込んでしまったからしばらく眠れなかったんだ。
 ちくしょう。時間を守るのが俺のポリシーだというのに!
「華。今から着替えるから出て行ってくれ」
「ええ。もちろん出て行きますが……その前にこれだけは聞いてください」
「なんだ!」
「香織さんが出て行く間際にこう言っていました。
 『今日、雄志君は四時から入ればいいからもう少し寝かせてあげてね』」

 …………なんですと?
 ――そういえば、今日は四時からバイトが入っていた気もする。
 ということは、まだ寝られるのか!
「じゃあ、おやすみ。華」
 華に一言告げて、布団をかぶる。
 ああ――まるで「遅刻だと思って飛び起きて、カレンダーを見たら日曜日だった」
と気づいたときみたいだ。寝坊して得した。幸せすぎる。
 今なら、空も飛べそうな気がする――
「そうはさせません」
 布団の向こうから華の声が聞こえてきた。
 残念だったな。今の俺は無敵なんだ。お前が何を言おうと無駄だぞ。

「――頭は、この辺ですか」

 布団を通して、何か固いものが押し当てられた。
 その途端、頭のどこかでカンカンカンカンカン! と音を立てて警鐘が打ち鳴らされた。
 目を瞑っていると言うのに、何故か目の前が赤い。
「すぅぅっ……」
 そして、華が息を吸う音が聞こえた。

 ――起きろ! 

 どこかから聞こえてきた声につられて、全力で上体を起こす。
 その、刹那。

「はっ!!!」
 ずん! という音が背中から聞こえてきた。
 振り返ると、足の裏が見えた。
 枕には、踵が突き刺さっている。

 なるほど。踵落としか……って!

391 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:11:37 ID:4i4yRZ/G]
「華! いきなり何をする!」
 彼女はさっき座っていた位置から一歩下がって、右足を突き出したまましゃがんでいた。
 今のは体重を乗せた一撃だったということか。
 ――刺される心配よりも、撲殺の心配をしたほうがいいのかもしれない。
「おばさんから頼まれたんです。
 『雄志がだらしない素振りを見せたら叩きなおしてやって』。
 今のおにいさんはだらしないと私に判定されました。だから叩き起こしました」
 ――母上。恨むぞ。

「実は、起こしたのにはもう一つ理由があるんですよ。お願いがあるんです」
 華が両手を胸の前に合わせてそう言った。
 なぜか嬉しそうな顔をしている。
「言ってみろ。聞くだけは聞いてやる。叶えてはやらないがな」
「今日、一緒に大学に行きましょう!」

 大学。
 おそらく、このアパートの近くにある大学のことだろう。
 聞いた話によると、偏差値が相当に高くないと受からないというハイレベルな大学らしい。
 驚いたことに、華はその大学に通っているという。
 そんなすごいところに通っているなんて、おにいさんは嬉しいぞ。
 ぜひこれからも学業に励んでくれ。

「俺には不似合いな場所だな。というわけで、断る」
「大丈夫ですよ。部外者がいても誰も気にしませんし。
 それに無理なお願いではないでしょう?
 ただ一緒に大学まで行って、お弁当を一緒に食べて帰ってくれたらいいんですから」
「いや、ただめんどくさいから行きたくないだけで…………ん?」
 お弁当?構内の食堂で頼むのなら弁当とは言わないよな。
 嫌な予感がする。
 いや――嫌な予感しかしない。
「弁当をどこかで買っていく、ってことだよな? 手作り弁当とか、言わないよな?」
「言いますよ。私が作りました」

 その言葉を聞いて、俺はすぐに行動を開始した。
 素早く立ち上がる。
 そして掛け布団を華の体に押し付けて、華を追い出すために玄関へ向けて押す。
 華が押し出されまい、と抵抗しているのが感じられる。
 しかし、パワーなら俺のほうが上だ。
 目を瞑り、全力で押す。容赦なく押す。全身全霊を込めて――

「おにいさん。壁を押してどうしたいんです?」
 後ろから、冷たい声が聞こえた。
 華の声だ。
「――馬鹿な。さっきまで目の前に居たのに」
 それに、何故俺は壁を押しているんだ?
「おにいさんに押されながら、抵抗しつつ壁に向かって後退しました。
 そして、壁に押し付けられる瞬間に体を入れ替えればこうなるんですよ」
 
「そんな、馬鹿な……」
 そんなに上手くいくなんて、ありえない――
「馬鹿なのはおにいさんですよ。さあ、一緒に大学へ行きましょうね」

 色々言いたいことはあるが、最初に思い浮かぶのはこれしかない。

 こんな現実は――理不尽だ。

392 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:12:30 ID:4i4yRZ/G]
・ ・ ・ ・ ・ ・
 
 落ち着かないな。大学の中庭にあるベンチに一人で座っているというのは。
 中庭に在る小さな時計台を見る。短針はほぼ真上、長針はそれより少し後ろを指している。
 時刻は11時55分。間もなく正午。
 間もなく、乗り越えなければならない時が訪れようとしている。

 なぜ、華の弁当を食べなければならないのだろうか。
 自分で金を出してパンでも買って食べた方がよほど体のためになるのに。
 昨晩食べた肉じゃがの味から考えると、華の料理の腕は上がっているのだろう。
 しかし、それでも昔の苦い記憶を塗り替えることはできない。

 洗剤の味がする白米など、想像するだけで吐き気がする。
 噛んだ途端に歯茎から出血しそうなほど硬いから揚げなど、思い出すだけで顔が歪む。
 ケチャップに浸してあるだけのスパゲッティなど、料理と呼ぶことすらおこがましい。
 華には悪いが――ここまで昼飯を食いたくないと思ったのは久方ぶりだ。

 逃げよう。
 それが一番だ。
 華に見つからないようにここから逃げ出すんだ。
 もし見つかったとしたら、それこそ地獄を見るかもしれないが……。
 いいや。弱気になるな。最後まで戦うんだ。俺の力で。

 ゴーン ゴーン ゴーン

 中庭に、正午を告げる音が響く。
「ようやく、12時か」
 何時に講義が終わるのかはわからないが、早く逃げるにこしたことはない。
 ベンチから立ち上がり、一歩踏み出そうとしたその時。

「君は今、12時だと言ったね」
 
 低い声――というより、低い声を無理矢理に出しているような声が後ろから聞こえた。
 振り向くと、ベンチの後ろに知らない人間が立っていた。
 そいつを見ての感想は――訳が分からない、というところだ。

 すらりとした体には、紺色の、男物のスーツを纏っている。
 が、胸の部分が丸く膨らんでいる。人間の筋肉ではあり得ない膨らみ方だ。
 白いシャツの襟の上には、やけに綺麗な顔があった。
 ただし、どう見ても女の顔である。
 黒髪をオールバックにしているが、性別は女だろう。多分。
 それなのに何故男の格好をしているのかが分からない。
 しかし、それ以上に訳が分からないのは。

「それは君の中の時間が12時、つまり昼飯時だからという意味で言ったのかい?
 それとも、あのアホ面の時計が12時を指したからかい?」

 そいつが言っている台詞の内容だ。
 左手を右肘に添えて、顎に右手を添えて、首をひねったりしている。
 何か考えこんでいるようだが、俺だって考えこみたい気分だ。
 ――なんなんだこいつは?

393 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:14:05 ID:4i4yRZ/G]

「えーっと……」
 言葉に詰まる。
 こんな得体の知れない男――じゃなくて、女に何を言えばいいんだ?
「……まず、俺がさっき12時だと言ったのは時計の針が12時を指したからだ。それ以外の理由は無い」
「ふむ。では、あの時計がアホ面に見えるのは何故なんだい?」
「知るか。そんなこと」
「時計がアホ面に見えるのには理由がある。と父は常々言っていた」
「……どんな親父さんだよ」
「父が言うには、昔時計を分解したときに呪いをかけられたのではないか。というのが有力な説だそうだよ」
「へえ」
「その次に有力なのが、人間が時計なのではないか。という説だ。同類相憐れむ、というやつだね」
「……それは無いだろう」

 つっこみどころが多すぎてそんな言葉しか口から出ない。
 ここまで電波なことを言う人間は今まで見たことが無い。
 こいつは何者だ?この大学の学生か?それとも教授か?
 ――どっちでも嫌だな。こんなやつが俺より学力において優れているなど認めたくない。

「とうっ!」
 俺がそんなことを考えている間に、変人はベンチを飛び越えて俺の前に立った。
 そして、さっきの顎に手を当てたポーズのまま顔を俺に近づけて、まじまじと見つめてきた。
「ふむ……君は私の知り合いではないし、父の知り合いでもないし、アホ面の時計台の知り合いですらないね?」
「……はっきり言うと、そのいずれかでもないし、この大学の学生ですらない」
「ではなぜこのベンチに座っているのかな? この特等席は私のために作られているんだ。
 もし君がこのベンチを作った人間――つまり父親だと言うのならば、
 父親を尊敬している私としては、君の子を思う気持ちに畏敬の念を覚えながら
 分速一メートルでこの場から立ち去らないでもない」
「俺はそのベンチの父親でも母親でも生き別れの兄でも恋人でも友達でもなんでもねえよ!
 たまたまそこに座って人を待ってただけだ!」
「なに!? ひと時だけでも父親で母親で兄で恋人で友人でありたいと思ったのか! この泥棒猫!」
 人の話など聞いちゃいない。

「我が友にして、最愛の特等席を奪おうとする者には――死を。しかし、いきなりは殺さない。
 じっくりしっくりゆっくりゆるゆると死を与えてあげよう」
 そう言うと、男装の変人が俺に対して戦闘態勢をとった。
 足を肩幅に開き、腰を落としている。両手は斜め下に向けてまっすぐ伸ばしている。
 そいつの目が俺の目を捉えた。その目は、明らかな攻撃の色をしている。
 一応、俺もボクシングの構えのようなものをとってみる。
 左手を前に、右手を胸元の辺りに近づける。
 ――しかしまったく緊張感が沸いてこない。
 相手が変な構えをとっているからか、相手が変人だからか。

 …………。
 
 そのままお互いに睨みあっていると、唐突に相手が構えを解いた。
 またしても顎に手を当てるポーズをとった。お前のホームポジションなのか?それは。
「――やめよう。こんなことで戦うだなんて馬鹿馬鹿しいよ。
 私は平和主義者。そしてベジタリアン。しかし肉食動物でもあるんだから」
「……お前の台詞は後半が全て無駄になっているな」
 というよりは、こいつの喋り自体が無駄そのものなのかもしれないが。
 
 腕を下ろすと、どっと疲れが押し寄せてきた。
 無駄に疲れた。横になりてえ。腹が減ったから立つのもめんどくさい。
 ――ああ、そういえば今は昼飯時だっけ。うまいもん食いてえなあ。

394 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:15:26 ID:4i4yRZ/G]

「おにいさーーーーん!!!」

 遠くから、女の声が聞こえてきた。
 聞こえてきた方向――建物の入り口に目をやると、華がいた。
 玄関の入り口に立っているということは、たった今講義が終わったということだろう。
 彼女の手には、四角形の箱のようなものが握られている。
 それが弁当箱だということはすぐに分かった。
 そして、次に俺がするべき行動もすぐに思いついた。
 
 大学の入り口に目を向ける。距離にして約200メートル。
 その距離を華に追いつかれる前に走り抜ければいい。
 おそらく大学の外までは追ってこないであろう。
「よし……!」
 手を強く握り締め、緊張感を体に思い出させる。
 そして、左足を勢いよく前に踏み出した。

 ――次の瞬間、俺が目にしたのは中庭に生えている芝生だった。

「ぎゃふ!」
 自覚するほどに変な声をあげて、顔面から倒れた。
 右の頬に痛みを感じる。鼻を打たなかったのは幸いだった。
「痛たた……。一体何が…………って!」
 倒れたまま自分の左足を見ると、人が掴まっていた。
 両腕で俺の脚をしっかりとホールドしている。
 さっきの状況でこんなことが出来る奴はこの場に一人しかいない。

「この変人! 何しやがる!」
「変人とはなんだ! 私には十本木あすかという立派な名前がある!
 それに、いきなり君が逃げ出すのが悪い! つい足を掴んでしまったじゃないか!
 こんなことは初めてなんだぞ! 責任をとって私と結婚するか、墓の中にいる母の面倒を見ろ!」
「お断りだ!」
 左足を振り、変人の腕から逃れる。
 まずい。予想外のタイムラグが発生してしまった。
 早く。早く逃げないと華が来る!
 立ち上がり、再度脱出口へと顔を向ける。

 ――顔を向けたら、女の顔が目の前にあった。
「そんなに急いでどこに行くんですか? せっかくお弁当を作ったんですから、一緒に食べましょうよ」
 ……遅かった。
 すでに華が俺の目の前に立って行く手を遮っていた。
 前には華。後ろには十本木あすかとかいう名前の変人。
 もう、逃げるのはあきらめるしか無いな……。

395 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:18:17 ID:4i4yRZ/G]

「十本木先輩。おにいさんを見張っていてくれてありがとうございました」
「いやいや。なかなか面白かったよ。まるでストーカー気分だった。
 しかし、真後ろに居てもなかなか気づかれないものだね。
 これからは華君の後ろに張り付くことにしよう。
 愛と憎悪は紙一重。探偵とストーカーは似たようなもの。そして華君と私は二人でひとつだ!」
「――さ。ベンチに座って下さいおにいさん。一緒にお弁当を食べましょう」
「あ…………」

 華が十本木を無視して俺に話しかけてきた。
 後ろにいる十本木は顎に手を当てたままの姿勢で立ち尽くしている。
 なんとなく、悲しそうな目をしているようにも見える。
「なあ、あいつ――」
「あの人に対してはあの対応でいいんです。相手をするとペースに引き込まれますよ」
 言われてみればそんな気もする。
 つっこみどころが多すぎるからつい返事をしてしまうし、返事をしたらまた電波な台詞が飛んでくるからな。
 ――ちょっとだけ会話をするのが楽しかったのも事実だけど。

 ベンチに腰掛けると、華が左に座ってきた。
 膝の上には弁当箱。大きいものと、小さいものの二つ。
 当然、中身の量は箱の大きさに比例しているのだろう。
「おにいさんの弁当箱は、こっちですよ」
 そう言って、大きい弁当箱を俺の膝に乗せた。
「なあ、華? 俺は食欲が無いんだ。だからその小さいほうに――」
「たっぷり食べてくださいね。おにいさん」
 ……俺の言うことだけは無視しないでくれないかな?
 まあ、言っても無駄なんだろうけどさ。
 仕方ない。まともな料理であることを祈るしかないか。

 弁当の包みを解いて蓋を開けようとしたら、突然華の手で止められた。
「待ってください。もう一人来ますから、その後で一緒に食べましょう」
「もう一人? 誰だ?」
「私が所属している料理研究会の先輩です。
 おにいさんの話をしたら、ぜひとも会ってみたいって言ってました。
 今日おにいさんを呼んだのは、その人に会わせるためでもあったんです」
「……その人の性別は?」
「もちろん、女性です」

 ――今日、ここに来てよかった。
 俺の話を聞いただけで「ぜひ会いたい」と言うということは、たぶん好感を持たれているのだろう。
 長い冬だった。何年ぶりかに俺にも彼女ができる――かもしれない。
 嬉しくて、涙が出そうだ。

396 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo mailto:sage [2007/03/13(火) 23:25:16 ID:4i4yRZ/G]

 俺が喜びに打ち震えていると、スーツを着た変人が目の前に立ちはだかった。
 そして、俺の顔を指差した。
「最初に言っておくよ。私の婚約者に手を出したら、許さない」
「婚約者ぁ? ……お前、女だろ」
「その通り。正真正銘の女だよ」
「……日本じゃ合法的に結婚できないだろ」
「私の父は言っていた。そして私は毎日言っていた。そして今日もこの言葉を言うとしよう」
 十本木は両手を大きく広げ、天を仰いだ。
「愛とは! 時に相手に受け入れられないこともある! しかし――」
「『それでも相手に想いをぶつけるのが真実の愛だ』でございますか?」

 華の声でも、十本木の声でもない、別の声が聞こえてきた。
 静かな声なのに、どんな喧騒の中にあっても聞こえてきそうな声だった。

「あすかさん。想われるのは嬉しいのですが、
 誤解を招くことを言うのはやめていただけませんか?
 わたくしはあなたと婚約などしてはいません。
 ――特に、雄志さまの前では言わないでいただきたいのです」

 ベンチの左側、俺の位置からは華を挟んで向こう側に女性が立っていた。
 長い髪に、目が覚めるほどに綺麗な顔。
 直線を思わせるような、背筋を真っ直ぐにした姿勢。
 儚くも、どこか恐怖を思わせるような眼差し。

「お久しぶりでございます。雄志さま。
 ――やはり、またお会いできましたね。ふふ」

 淑やかな口調で喋りかけてきたのは菊川かなこさん。
 もう二度と会うことはないだろうと俺が思っていた女性がそこにいた。

ーーーー
第六話、投下終了です。


397 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/13(火) 23:29:40 ID:37Q3En/0]
す、すげぇ・・・・まさかここで出てくるとは思わなかった・・・・!
続きをwktkして待ってるぜ!!

398 名前: ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/13(火) 23:35:06 ID:HKxmrjwt]
>>383
店長は素敵な変態ですねw

>>396
お嬢様キターー(゜∀゜)ーー!!
十本木さんもいいキャラです。

↓投下します。恋人作りでは無くヴァレンタイン・ヴァレンタインBの続編です。
明日はホワイトデーなんですよ!!!


399 名前:ホワイトD ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/13(火) 23:37:02 ID:HKxmrjwt]

 ストーカー女、姫野亜弓から妹を通じて「チョコレート」を受け取ってから
1ヶ月と少しが過ぎた。結局俺は箱を開ける勇気などなく、朝ゴミ回収車が来るのを
見計らって直接清掃員に渡すと言う方法をとった。
 チョコレートの一件以来姫野亜弓からは接触が一切無かった。あれで満足したのだろうか。
俺に飽きたのだろうか。その2つの内のどちらかだと俺は結論づけた。
否、そう信じたかった。俺は心の隅で鳴る警鐘を無視して平和に過ごしていた。

 何も無い、何の変哲もない日常に俺がようやく慣れてきた頃そいつらは唐突に現れた。

 そう、今俺の目の前にいるこいつらが今日突然現れた。俺に無関係だと言い聞かせて
見なかったことにして立ち去ることは出来る。ごく普通のカップルが何故だか
知らないが俺のアパートの辺りを見上げて話しているだけだ。そう思って
とりあえず友達の家にでも逃げれば良い。
 だが、そんなことは出来そうに無かった。俺の中で鳴り続けた警鐘が強く反応していた。





400 名前:ホワイトD ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/13(火) 23:38:00 ID:HKxmrjwt]

 ごく普通のカップルは多分お揃いの首輪を鎖で繋いだりしない。手を繋ぐ以上に
手錠でも繋いだりしない。少なくとも制服の少女と普通の高校生に見える服装の
少年のすることでは無い。明らかに――明らかに異質な何かだ。上手くは言えないが
外見以上に異質な。そして、危険な。更に右側に立っている少女を俺は多分知っている。
薄茶色のツインテール、薄い肩、青っぽいブレザーとスカート……
振り返ればおそらく、ひまわりのように明るく無垢な笑顔。

 鼓動が早くなる。逃げたいのに身じろぎすら出来ない。そうだ。姫野亜弓は満足などしていない。手首まで差し出すような女が
突然満足して手を引くはずが無い。俺の世界のものさしで考えればそうだ。
では彼女らの世界では――?


A;同じだろう。姫野亜弓だって同じ人間だ。
  少なくともよりあきらめが良いなんてことは無いハズだ。


B;わからない。わからないわからないわからない。姫野真弓を見ればわかる。
  彼女らは……異質なモノだ。こちらの常識が通じるハズは無い。




401 名前: ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/13(火) 23:41:22 ID:HKxmrjwt]
投下は以上です。

イベントなんで調子のって選択肢です。AかBで多かった方の続きを明日の夜投下します。


恋人作りは近いうちに続きをorz


402 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/14(水) 00:08:22 ID:kjX/U3Rl]
>ことのはぐるま
お嬢様、菊川かなこさんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
再登場待ってた!wktk

>ホワイトD キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
真弓と祐人は外でも繋いだままなのか!その病みっぷりがいい
亜弓さんの突き抜けた病みもwktk
AもBも捨てがたい・・・ ここはB!

403 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/14(水) 06:25:14 ID:xLozzm10]
起きたらキテタ━━(゚∀゚)━━!!
GJ!
>>396華の告白、お嬢様再登場と物語も加速しそうでwktk
>>401ここはあえて
σA
「常識的な対応をとろうとする男VSヤンデレ」を見てみたい

404 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/14(水) 09:09:08 ID:jRQzkL46]
>>401
俺としては……Bを読みたいかな。

405 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/14(水) 11:41:35 ID:1I3ja9Ih]
>>401
Aだ!Aに挙手!

406 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/14(水) 16:51:50 ID:LYiizQi3]
>>396
お嬢様の登場に痺れた!

>>401
個人的にはAを希望。

407 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/14(水) 21:16:50 ID:8iCv6GBM]
>>401
つA
彼の悲惨な最後が見たい・・・。

エロシーンが書いても書いても終わりません。店長の暴走が止まりません・・・orz

408 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/14(水) 23:23:13 ID:JZOb7U8U]
>>401
2

409 名前: ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/14(水) 23:50:09 ID:KXW/9q8H]
ちょ……急に忙しくなって半分しか書けなかったorz

↓投下します。



410 名前:ホワイトD-A ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/14(水) 23:52:19 ID:KXW/9q8H]

 アパートを見上げていたツインテールが振り向く。やけにゆっくりと見える動き。
鎖が少しだけカチャリと音を立てる。その目が俺を捕らえて一瞬遅れて認識した
光が宿る。振り返った時揺れた髪が静止する。
 そして首輪をした少女は深い笑みを浮かべると口を開いた。

「お久しぶりです」

 続いて傍らの少年が振り向く。俺を一瞥して少女に何か囁く。と、少女は
安堵したような笑みを浮かべてありがとうと小さく呟き、少年の首もとに軽くキスした。

「お姉ちゃんが……いえ、姉が今夜伺うと思います」

 ツインテールは笑顔で言った。

「ちゃんと待っててあげて下さいね」

 それだけ告げると2人は去っていった。
 2人が見えなくなると俺ははじかれたように走り出した。
 階段を一気に登って部屋に入って鍵をかける。

 なんて言った。今あいつはなんて言ったんだ。

 「姉が今夜伺うと思います」

 姫野亜弓が……来る?

 来て……何をするんだ?

 とりあえず自分がすべきことが逃走だということは混乱した頭でも理解できた。



411 名前:ホワイトD-A ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/14(水) 23:54:02 ID:KXW/9q8H]

 ピンポーン

 チャイムの音に俺は固まる。今夜って言ったよな?今夜ってことは夜で今はまだ
午後3時でお世辞にも夜じゃないな??
 大きく深呼吸をして落ち着いてから応答するために鍵を開けようと手をかけ

 カチャリ

 鍵が独りでに回った。

「やめろ!!」

 反射的にノブを掴んで開かないように精一杯引く。祐人、私の力じゃ開かない
という声がしてドアを開けようとする力が消えた。
 と、一瞬すごい力で引かれてドアが開け放たれる。

「疑う訳じゃないですけど一応念の為逃げられ無いように祐人おいていきますね」

 立ちつくす俺の横をすり抜けて真弓と祐人が入って行く。逃げられ無い。動けない。

「鍵……どこで」
「鍵ですか?姉に借りました。じゃあ私はこれで失礼します。
 祐人に手を出したら許しませんからね」

 背後で金属音がしたあと俺を軽く睨むと真弓は帰っていった。


■■■■■■


412 名前:ホワイトD-A ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/14(水) 23:55:33 ID:KXW/9q8H]
■■■■■■


「祐人っていうのか」
「はい。身分は真弓の恋人です」

 することが無い、というよりは何をしたら良いかわからなかったので
首輪をした少年に話しかけた。今は彼の首輪から伸びる鎖はどこにも繋がっていない。

「俺はどうなる」
「多分殺されると思います。亜弓さんはあなたを永遠に手に入れる
 みたいなこと言ってたんで」
「絶対か」
「まあ、多分」
「逃がしてくれないか?頼む。同じ男だろ。
 いくら美人だってストーカーに殺されるのは嫌だ」
「気持ちは良くわかるんですがそうすると俺の身が危ないので。
 こんなになってまで生きてるんで死にたくは無いです」
「お前、ひょっとしてまともなのか?」

 首輪を示しながら言った祐人を見て尋ねて見た。
そういえばこいつ単体からは異質な空気は感じない。




413 名前:ホワイトD-A ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/14(水) 23:57:13 ID:KXW/9q8H]
「まともかまともで無いかって言えばまともじゃない側ですよ。
 まだ生きてるんですから。聖祐人って名前に聞き覚えはありませんか?」
「いや、全く」
「そうですか。だいぶ前の話ですからね」

 少年は少し自嘲気味な笑みを浮かべていた。

「お前、逃げたく無いか?一緒に逃げないか?」
「逃げ切れる見込みがあるんですか?俺が逃げれば亜弓さんだけじゃなくて
 真弓も追ってきますよ」
「たかだか女2人だぞ?」
「本気で言ってるんですか?亜弓さんも怖いですけど真弓の行動力は異常ですよ。
 敵に回さない方がいいです。それに俺は自分でこの状態を選びましたから」
「……なんで」
「死にたく無かったから」

「俺だって死にたく無い」

「俺だって死にたく無い!なんか方法は無いのか!?俺は何もしてないだろう?
 死ななきゃいけないようなことしたか!?俺のせいか!?違うだろ」
「落ち着いて下さい」
「落ち着いてられるか!!何が多分死にますだふざけんじゃねえ!
 たかが恋したぐらいで殺しに来るな!!!失恋なんざその辺に死ぬほど転がっ」

 ドスッ

「落ち着いて下さい」

 鳩尾を殴られて静かにせざるを得なくなった。



414 名前:ホワイトD-A ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/14(水) 23:58:28 ID:KXW/9q8H]
「落ち着いて下さい。生きたいですか?」

 呼吸はまだ戻らなかったが上からのぞき込んで来る祐人の目を睨みつけるように
見返して頷く。死にたくなんか無い。殺されてたまるか。生きる意味がはっきり
あるような大層な人生は送っていないがこんな訳のわからない幕切れは嫌だ。

「だったら受け入れて下さい」
「それは、お前みたいになれってことか」
「真弓と亜弓さんでは少し異なるので一概には言えませんが受け入れて下さい。
 彼女達は彼女達なりの常識かあります。それを見極めて下さい。
 そんなにかけ離れたものではありません」
「首輪してる奴が言っても説得力が無い」
「でも俺は生きてます。俺は彼女達が違うことに気付くのが遅すぎてこれしか
 選べませんでした。相手が真弓だったせいもありますが」
「……ヒントは」
「受け入れて下さい。慣れればこちらの生活も楽ですよ」

 祐人はそれしか言ってくれなかった。




415 名前: ◆5PfWpKIZI. mailto:sage [2007/03/14(水) 23:59:39 ID:KXW/9q8H]
ここまでですorz
亜弓が出て来てすらいないとか言わないで下さい。

続きは必ず近日中に……


416 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 00:24:34 ID:C0w8rqaw]
祐人……
なんてこったい/(^0^)\

417 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 00:48:38 ID:/mHoVB2d]
主人公死亡フラグ立った!?
亜弓さんの登場wktkして待ってる!
真弓とラブなのかと思ったけど祐人は諦めただけなのか?

418 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 01:35:28 ID:M2tX/VXn]
つまり祐人は壊れたというより疲れたんだな!?
いや、ある意味壊れたんだろうが。

419 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 02:41:20 ID:GKnciXaR]
まじホラーSSだなこれwwしかし面白い!GJ!



420 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 15:36:08 ID:4Rclk8yD]
今更ですが未来日記を読んでみた。由乃イイ!


421 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 19:52:53 ID:DGtrgNbi]
ヤンデレっていうのは例えば病気で余命くばくもないってのもヤンデレにはいるの?

422 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 19:59:42 ID:GKnciXaR]
>>421 それはセカチューデレだな。


423 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 22:17:06 ID:z75dQFET]
流れを切って投下しますよ

424 名前:『首吊りラプソディア』Side首吊り mailto:sage [2007/03/15(木) 22:18:02 ID:z75dQFET]
 今日も一日疲れたけれど、でも楽しかった。最近はとても調子が良い、いつでもあの人
の側に居ることが出来るから。それだけで活力が沸いてくる。沸きすぎて少しばかり悪戯
をしてしまうのは悪いとは思っているけれど、あの人は色んな雌豚に優しくして自分の心
を掻き乱してしまうからお互い様かもしれない。まぁ、一番悪いのは彼に色目を使い誘惑
しようとする雌豚共だけれど。今日も新しい雌豚がやって来た、それも馴れ馴れしい態度
であの人に接していた。思い出すだけでも、腸が煮えくり返ってくる。
 でも、もうすぐあの人に会える。今の時間に約束はしていなかったけれど、あの人なら
快く迎えてくれるだろう。少し苛々としたような表情を見せながらも、結局は笑って自分
を迎えてくれる。あの人はそんなタイプだ、だから惹かれたのだ。
 彼の部屋まで辿り着き、ドアノブに手を伸ばした直後、
 女の、叫ぶ声がした。
 苦痛ではなく悦びの色を多分に含んだ、浅ましい声。
「何ですか?」
 答える相手が居ないのに、それだけでは問いとしても成立していないのに、無意識の内
に問掛けた。きっと、あの人にも聞こえなかっただろう。部屋の外にまで聞こえてくる程
激しい喘ぎ声だ、自分の囁きが届く筈もない。
「黙れ、この腐れ豚」
 もう一度呟くが、それも掻き消された。
 あの侍め、あの人に、何てことを。


425 名前:『首吊りラプソディア』Side首吊り mailto:sage [2007/03/15(木) 22:19:02 ID:z75dQFET]
 部屋の中で行われている光景を想像し、黙ってドアを睨み付ける。口から漏れてくる声
は自分でも驚く程に冷たい、だが自覚をしているのに止めることが出来ない。頭の中は、
意外と冷静だ。漏れてくる呪阻の言葉を聞き、よくもこれだけの言葉を言えるなと自分で
感心してしまう。どうやら自分は怒りが限界を突破すると、冷静になるタイプらしい。
 つい指輪を起動しそうになり、ドアに背を向けた。
「まだ、まだ」
 侍に対する仕打ちを考えながら、部屋から遠ざかる。今はまだ行動するべきではない、
きちんと計画を終えてから改めて彼の元へ向かうことにしよう。溜めた分、喜びは大きな
ものになる。あの人が自分に教えてくれた、大切な言葉の一つ。それを思えば、今の彼の
部屋から離れることすらも楽しくなる。
 さて、時間が空いたけれど何をしようか。
 昨日から始めた雌豚狩りをするには、時間が早い。適当に殺して気分を晴らしたいが、
それでバレてしまっては本末転倒だ。でも殺したくて心がうずいてくる。これまではただ
殺すだけだったけれど、雌豚と目標を決めた今では本当に楽しくて仕方がない。あの人の
為になる、そんな意識が自分をそうさせているのだろう。
 目的もなく歩くと、いつもの広場に着いた。今もまだ管理局に保護をされているので、
一緒に星を見上げた子供達は居ない。声が無いことで生まれた静寂の中で、淡々と自分の
足音が響いている。見上げれば、雲のせいで星も見えなかった。


426 名前:『首吊りラプソディア』Side首吊り mailto:sage [2007/03/15(木) 22:20:46 ID:z75dQFET]
 苛々した。
 どうやら今日はついていないらしい、そっと溜息を吐く。
「嫌になるなぁ」
 早く時間が経ってほしいのに、時計を見ても彼の部屋から離れてから、まだ幾らも経過
していない。どうしようか、と考えながら壁に背中を預けて欠伸を一つ。
 不意に、額に冷たさが来た。
 雨が、落ちてくる。
 軽音。
 最初は小さな音だったものが連続し、それは鼓膜を震わせるオーケストラとなる。人に
よっては嫌いという人も居るかもしれない、音と関係なく雨自体を嫌う人も少なくない。
けれど自分は好きだ、全てを塗り潰してくれるこの雨が。
 大切な言葉をまた一つ思い出す。
 雨は心の中の塊を流してくれる、とあの人は言った。あの人のことは信じているし尊敬
もしているけれど、自分は少し違うと思う。流すのではなく塗り潰してしまうのだ、水の
持つ透明という色で。表面が透明という色で覆い尽くされて、心の中の塊は見えなくなる。
傍目には消えてしまったと思うだろうけれど、それは勘違いだ。見えなくなっているだけ、
たったそれだけのことだと思う。確かな質量を持って心の中にいつまでも存在し続けて、
いつかは雨のペンキが剥がれて塊が歪に顔を出す。
 今の自分のように。
 塊というのは人によって違うが、共通点がある。
 痛み。
 誰でも抱えている、あの人も例に漏れず持っている、誰にも見せたくない、隠しておき
たいと思うものだ。どんなに大切な人が相手でも、出来れば見せたくないと思う痛みの塊。


427 名前:『首吊りラプソディア』Side首吊り mailto:sage [2007/03/15(木) 22:22:11 ID:z75dQFET]
 自分のそれは、あまりにも大きすぎた。取り返しが付かない状態になればなる程にそれ
は肥大化をして、やがて隠すことが出来なくなる。醜く肥えた悪意の塊は、そうして他人
に痛みを与えながら益々肥大化をしてゆき、もう戻れなくなってしまう。
 それが、自分だ。
 自分の痛みは、過去と呼ばれるものだ。
 殺してしまった人はもう生き返ることは出来ない、それが痛みとなって心に残り続ける。
元より生きる価値のない豚ばかりだったけれど、それでも傷にはなる。
 あの人は、それを見てしまった。
 けれど、自分を否定もしなかった。
 雨は心の中の塊を流してくれる、と慰めてくれた。
 連鎖的に頭に浮かんでくる言葉や出来事に、心が軽くなってきた。同時に、雌豚狩りの
やる気もどんどん沸いてくる。あの人の顔を思い浮かべれば、それは尚更だ。加速度的に
増してゆく思いが冷えた体を熱くさせ、鼓動を強いものへと変化させる。
 見て下さい、その慰められた女は頑張っています。少しでも誉められたいと、あの時の
心を失わずに頑張っています。だから見て下さい、誉めて下さい。昔のように頭を撫でて、
その柔らかな笑みを自分だけに向けて下さい、見せて下さい。
 心の中であの人にメッセージを送り、足を踏み出した。考え事をしていた間に、時間も
それなりに経過していたらしい。丁度良い時間だし、雨ならば人通りも少なくなってきて
いるだろう。一歩踏み出す度にブーツが水を跳ねる音が響き、それが自分の心を鼓舞して
くれる。あの人の心臓の音のような気がして、気分が盛り上がる。


428 名前:『首吊りラプソディア』Side首吊り mailto:sage [2007/03/15(木) 22:23:41 ID:z75dQFET]
「待ってて」
 もう、あと少し。
 今の計画が完了すれば、あの侍なんか目に入らなくなる。
「誰の邪魔もさせない」
 あの人にまとわり付く馬鹿な泥棒猫や妙な喋り方の火傷女なんて、絶対に要らなくなる。
他の有像無像なんて論外、自分だけを見るようになるだろう。その光景を考えただけで、
足が軽くなってくる。いつまでもどこまでも進むことが出来るような、例えどんなに障害
があっても乗り越えることが出来るような、そんな気がする。
 歩いていると、仕事帰りなのかスーツ姿の若い女が歩いていた。
「やった」
 やっぱり全ては自分に味方をしてくれている、いや愛の力が幸運を呼んだのか。そちら
の方がロマンがあるし、そう思った方が力が沸いてくる。口の端を上げて、駆け出した。
「死ね、この腐れ豚が!!」
 ステップを踏むように体を運び、腕を振り上げる。どんなに大きな目的でも、進むのは
小さな一歩から。あの人がよく言っていた、大切な言葉だ。端女が相手でも、自分の計画
の足しにはになる。だから見逃すなんてことも絶対にしない。
 指輪を起動させ、振り下ろす。
 こちらを向いて驚いたのも一瞬のことだっただろう、雌豚は苦しむこともなく息絶えた
筈だ。もっと苦しませても良いかと思ったけれど、無関係な雌豚はそれ程苦しめなくても
問題ない。肝心なのはあの人に正体を明かすまで証拠を残さないだ、さぞ驚くことだろう。
 心の中であの人の名前を呟き、空を仰いだ。
「やり遂げてみせます」
 自分達だけの夢舞台を作り上げる為に、
「全力で」
 この、『首吊りラプソディア』が――


『"The Rhapsodea Of Neck Hanger"Starting Baby』 is END.

429 名前:ロボ ◆JypZpjo0ig mailto:sage [2007/03/15(木) 22:26:25 ID:z75dQFET]
今回はこれで終わりです

取り敢えず第一章が終わりです
これは全四章の予定ですが、これだけでもヤンデレとして読めるかも


無理ですね

次からはフジノも本格参戦しての話になります
乞う御期待!!



430 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 22:26:31 ID:BleML2dL]
このスレワロスww
邪気眼スレに転載してもいいっすかw

431 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 22:36:01 ID:C0w8rqaw]
>>430
(;^ω^)うわあ……

432 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/15(木) 23:49:20 ID:/mHoVB2d]
第一章終了乙です!
首吊りはどっちなんだろー?

433 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/16(金) 00:12:21 ID:odt0OjyU]
>>429
第一章終了、乙カレー。

俺的には同僚が『首吊り』だったら萌える。

434 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/16(金) 07:21:33 ID:WtSrGkIy]
>>429
GJ!&第一章終了乙です
十分ヤンデレとして読めていた俺ガイル
ということはこの先はさらに…wktk

435 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/16(金) 09:56:29 ID:GoZewXCQ]
>>430
春休み乙

436 名前: ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/16(金) 20:59:00 ID:usAZ35BY]
>>384
チラシの裏レベルの話であることを承知の上でマジレスすると、
本来おにいたん1のラストは全員死亡オチだった。
けどソレだと救いがないしありきたりだな〜と思ったとき2のプロットを思いつき、
そのために全員(DVおやぢ除く)助かったほうがいいなと考えた末
全員変態エンドに至ったという経緯がある。

悲惨なラストのほうは2完結後にでも。

>>385
病みます。突然に。ていうか、『突然病む』っていうのを書きたかったんだ。

>>398
祐人はテュルパンでバイトしてもやっていける気がしますw

ということで「新店長でG.O.」第4話です。

警告:
これより先、以下の属性にたいし嫌悪感のある方はアボーンもしくはスルーでお願いします。
・ロリペド
・レズ
・放尿シチュ
・ふたなり

437 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/16(金) 21:00:22 ID:usAZ35BY]
「店長・・・いえ、笑留さん、どうしてここに?」
耕治の問いに対し、笑留は両手を離しやれやれのポーズをとる。
「あのね・・・薫ちゃんたちと別れたときにね、薫ちゃんが持ってたCDが気になってね。
事務所のパソコンを二人が帰ったあと調べたのよ。そしたら何?得体の知れないファイルが入ってて」
うっ、とたじろぐ二人。
「ファイル調べたらなんかWEBテレビ電話みたいだったから安心はしたんだけど、一応ね。
耕治君たちが他社のスパイって線を疑っちゃったのよ。それで今日・・・
閉店後に耕治君たちは何か行動おこすかな〜、って思って店にもう一回来たのよ。
そしたら・・・うふふふふふふ。ま・さ・か、こんな用途に使うとはね?」
ぽたり。笑留の口元からしずくが落ちる。5,6滴。
「笑留さん・・・よだれ落ちてます」
「あ〜ら、失礼♪」
じゅるり。下品にも手でぬぐう。
「笑留さん・・・いったいいつから覗いてられてたんですか?」
「あずさちゃんがカメラいじってたぐらいから」
「て、てんちょう!んじゃ、最初っからみてたんじゃないですか!!」
「そぉ〜うよぉ〜」
じゅるり。よだれをまた手でぬぐう笑留。
「で、ずっと覗いてたんだけど、本番始めたでしょ?だから
『あー多分今入っていっても気づかないだろーなー』
って思って、中入って間近でじっくり見させてもらったの♪」
「じ、実際気がつかなかったわね・・・」
「ああ・・・」
「で、二人の処罰なんですが」
「え゛?!」
ハモる二人。
「会社内備品のパソコンに私的利用のプログラムをインストールすることは社内規定違反です」
「う゛っ・・・」
「さぁて・・・二人の処罰ですが・・・」
「おにいたん!」
「?、薫ちゃん?!」
「えみるおねえたんにかわってくだたい・・・」
薫の言葉に耕治は自分のインカムを笑留に渡す。
「あのね、えみるおねえたん。おにいたんとあづさおねえたんは、わるくないの。
ぜんぶね、かぁるがわるいの。かぁるが、おねがいちたの。だからね、おにいたんたちをゆるちてくだたい!」
「きゃ〜かぁるちゃぁん!!かぁいぃ〜!!」
笑留はパソコンのマウスを動かし、省電力モードになってるモニターを表示させる。
画面に現れたのは全裸(・・・)の薫ととき子。
「ん〜ちゅっ」
画面に向かって投げキッスを送る笑留。
「うんうん。かぁるちゃんの言うことなら何でも聞いてあげたい・・・んだけど!」
で、ここで言葉を切って耕治たちのほうを向く。
「コレとそれとは話が別!耕治君!あずさちゃん!」
「はぃ!」
「えみるおねえたん・・・おにいたんたち、『くび』なんでつか?」
「そんなことするわけないじゃなぁ〜い♪」
笑留の言葉にほっとする4人(画面の向こうの二人含む)。
「さて、二人に対する懲罰ですが」
真顔になる笑留。対して真剣な表情をするあずさと耕治。しかし笑留の口から出てきた言葉は。
「今ここでもう一回Hしなさい」

438 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/16(金) 21:00:55 ID:usAZ35BY]
「は゛い゛っ?!」
「もっかい、あたしの前で、今すぐ、Hなさいといったの!」
「え〜!!」
「店長!それ横暴です!」
「えみるって、呼べって言ったでしょう?!」
「だっててんちょ・・・」
「次言ったら解雇します」
「え゛〜!!」
「そ、そこまで言いますか、笑留さん?!」
「だぁってぇ〜」
といって体をくねらす笑留。
「だってぇ、店長なんて、堅っ苦しい言われ方いやなんだもん♪それにね」
というや笑留はあずさの背後に回りこみ後ろからあずさを愛撫し始める。
「て・・・えみるさん・・・ちょっと・・・あ・・・」
「こんないいことしてて笑留だけ仲間はずれって、ずるいんじゃない?」
「え・・・えみるさん・・・うますぎ・・・」
笑留はついさっき耕治がやったように片手を胸、もう片方を股間にやり愛撫している。
しかしその手つきは、耕治よりはるかに巧い。
見る見るうちにあずさの股間からしずくが滴り落ち始める。
「さぁーてと、あずさちゃんの準備運動はおしまい♪耕治君、さぁ、始めて貰いましょうか?」
「あのー笑留さん?」
耕治が手を上げて質問する。
「なぁに?」
「笑留さんはどうするんですか?一人でするんですか?」
「いや〜ねぇ、そんなわけないじゃない。丁度いいエサがここにあるし」
「えさ?」
笑留は梓から離れると事務室の中にあるロッカーの扉に手をやる。
ロッカーは人間の身長ぐらいの高さ、無理すれば大の男一人でも納まりそうだ。
「ほぉら♪」
笑留はロッカーの扉を開ける。そこには・・・。
「み、みーな!」
「美衣奈ちゃん!!」
美衣奈は両手を股間にやった状態でロッカーに収まっていた。
「あ・・・お、おねぇちゃん・・・」
「アンタなにしてんのよ!閉店からいきなり姿を消したと思ってたら」
「だって・・・お姉ちゃんたちがここでHするの分かってたから・・・ここでずっと待ってたの・・・」
画面の向こうでは薫がキーボードに突っ伏している。
とき子は頬に手をやり、いつもの如く「あらあらまぁまぁ」。
「普通に出てきたらいいじゃないの!」
「だって・・・こっちのほうが興奮するし・・・」
「まぁ・・・姉妹そろって変態さんね♪」
あんたにだけは言われたくない。耕治は心の中で突っ込んだ。
「ということで、美衣奈ちゃんはあたしがいただきます。いいよね?」
断ったてもどーせやるだろうと思って笑留以外の全員がうなずく。
「では、いただきま〜す♪」
笑留はロッカーから美衣奈を取り出すと後ろに回って抱きしめた。
そして笑留は片手で器用にスカートのホックを外し、ミニタイトは下にすとんと落ちる。
笑留は上はスーツにブラウスのまま、下半身は丸出しの状態。
そして美衣奈は自分の腰に異様な感覚があることに気がついた。
何かが当たっているのだ。その感覚に近いものといえば、耕治の・・・。
「え、笑留さん・・・」
「なぁに?」
「腰に、なにか、当たってるんですが・・・」
「ああ、これ?」
笑留は美衣奈から離れ、自分の下半身を見せる。そこにあったのは・・・

ぱおーん。

439 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/16(金) 21:03:00 ID:usAZ35BY]
「ででででで、でん゛ぢょ゛う゛!!!」
「なんですかその黒光りしたりっぱな象さんは!!」
「なにって・・・クリトリスだけど?」
「見えません!どう見ても男のアレです!!」
そこにあったのは耕治のソレとほぼ同サイズのペニス(?)があった。
「いやぁ〜ねぇ。間違いなくあずさちゃんや美衣奈ちゃんのモノと同じものよぉ?その証拠に・・・」
笑留は右手でおいでおいでの仕草をする。近づく3人。
「ここ・・・見て・・・」
笑留は3人に自分の一物を近くで見させる。
「あ・・・ほんと・・・ない・・・」
「穴が・・・ない・・・」
笑留の亀頭に相当する部分には、男にはあるはずの尿道口が存在しなかった。つるつるの巨大ルビー。
「この部分、整形でもしたんですか?」
「生まれつき」
耕治は自分がした質問が不用意なものであることに言ってから気がついた。案の定、禾森姉妹に睨まれる。
「こぉ〜じ〜」
「失礼ですよ・・・それは・・・」
「笑留さん・・・失礼なことを言ってすみません!」
すぐに自らの非礼をわびる耕治。
「いいの」
ため息をつきながら笑留は答える。
「コレのせいで小さい頃はいじめられてね・・・味方はおにいちゃんしかいなかったの」
(お兄ちゃんって、前の店長のことだよね)
3人は納得する。
「中学になって、女子校に入ったの。当然コレのせいでバケモノ呼ばわりされたわ。
けど、そこで出会った先輩に助けられたの」
笑留はそこで切り、再びため息をつく。
「入れるほうも入れられるほうも、その人が初めてだった。それから自分に自信がついて。
人付き合いも出来るようになって、高校卒業の頃にはちょっとしたハーレムだったわぁ〜」
言葉に陶酔の色が出だす笑留。3人は半ばあきれた表情でソレを聞いていた。
「その恩人には最後の最後で裏切られたんだけどね」
え?最後の言葉に驚きの声を上げる3人&画面の向こうの二人。
「はい、昔話はこれでおしまい。耕治君、さっさとしないと。
せっかくほぐしておいたあずさちゃんがまた硬くなっちゃうよ?」
「え・・・あ・・・はい」
「え〜、やっぱりするの?」
「あずさちゃん?お姉さんに『解雇』なんて言葉言わさないで、ね?」
「う゛・・・」
「あずさ・・・あきらめろ。入れるぞ」
「ちょ、ちょっと、心の準備が・・・あん!」
じゅるり。耕治の一物はあずさの後方から浸入した。
「あっちもはじめたし、こちらもはじめますか。ね、美衣奈ちゃん?」
「は・・・はい!」
笑留はパソコン前の椅子に腰を下ろした。
「美衣奈ちゃ〜ん?お姉さんの上に腰を下ろしてくれる?」
「はい・・・」
ぬちゃり。
笑留の一物を体の中に受け入れる美衣奈。笑留に言われずとも美衣奈は腰を動かしはじめる。
「うぁ・・・すごい気持ちいい・・・いいなぁ・・・毎日こんな気持ちいい事してるんだ耕治君は・・・」
「耕治さんはいつもお姉ちゃんか薫ちゃんとです。美衣奈はいつも見てるだけです・・・」
「そっか・・・それでこの気持ちよさは納得でき・・・って、耕治君!」
「はい!」
「かぁるちゃんといつもしてるデスって?!犯罪よ、ソレは!!」
「す、すいません!!」
「うらやましすぎ!!!」
がくっ。繋がったまま崩れ落ちる耕治&あずさ。




440 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/16(金) 21:03:33 ID:usAZ35BY]
がくっ。繋がったまま崩れ落ちる耕治&あずさ。
「かぁるちゃぁぁぁぁん?おねえちゃんとしよぉぉぉぉ?!」
「い・・・いえにきてくれたらいつでもいいでつよ?」
同じくキーボードに突っ伏したまま答える薫。
「うん!ここで一回したら、すぅぐに、行きますからねぇ〜」
よだれをだらだら流しながら話す笑留。
「ところで・・・ええと、美衣奈ちゃんはお尻もOK?」
「え、え?あ・・・一応経験は・・・っ、って、あ゛あ゛っ!」
笑留は自らの一物を一度引き抜くと、今度は美衣奈の後ろの穴に前技もなしに入れた。
「え・・・笑留さん!前技もなしに入れるなんて無茶ですぅ!」
「けどはいっちゃったよ?う〜ん♪後ろも前並に、でりぃしゃぁす♪」
笑留は椅子を回転させて美衣奈の全身がカメラに映るようにする。
そして笑留は指で美衣奈のクレヴァスを開いた。画面の向こうで大写しになる美衣奈の秘所。
「きれい・・・」
うっとりとするとき子。笑留は画面の向こうに話しかける。
「あーあーとき子さん、でしたっけ?聞こえます?」
「ええ、聞こえますよ」
「美衣奈ちゃん、きれいでしょう?」
「ええ。下のお口から流れるよだれ、その上に赤く光る宝石、とても・・・」
「ねぇ、とき子さん?ここまでしたんですから、とき子さんもしなければいけないことがあると思うのですが?」
「え?なにを・・・ああ、そういうことですか」
ぽん。両手で拍手を一回する動作をしてからとき子は居間の後ろにある戸棚に行き、なにやら物色をはじめた。
「まま、なにちて・・・えぇっ!!」
とき子が薫のほうを振り向いたとき、とき子の股間にはりっぱな一物が生えていた。
こちらはもちろんイミテーション物、俗に言う『ペニスバンド』。
「まぁ、さすがとき子さん、わかってらっしゃる」
「さぁ・・・薫ちゃん・・・一緒に楽しみましょう?」
「ま、まま!!」
とき子は薫を片手で抱きかかえ、もう片方の手に持った小瓶からローションを人工の一物にたらす。
そしてとき子は薫の後ろを貫く。
「あ゛あ゛っ!」
とき子はテレビの画面のほうに向き、笑留が美衣奈にしたように指で薫の一本筋をこじ開ける。
「笑留さん・・・見えますか?我が家の、可愛い、薫の、みだらな、秘密・・・」
「ああ〜たまんなぁ〜い!!」
がしゅがしゅがしゅがしゅ!
急激に腰を振り出す笑留。
「ちょ・・・笑留さん!はげしすぎます・・・ああん!」
直腸に往復運動されながら指では膣と陰核に刺激をあたえられたもんだから、たまったもんではない。
「ああっ、美衣奈さん、素敵ですわぁぁぁ!!」
とき子も腰を振り出し、同じく薫にみだらな刺激を与える。
「まま、まま、おちっこ、おちっこでるでつぅぅぅぅ!!」
「笑留さん!もだめ、もだめですぅぅぅぅ!!」
「あ、あたしもぉぉぉ!」
ぷしゃぁぁぁぁぁ・・・。
4人はほぼ同時に失禁して果てた。
ずるっ。
笑留は美衣奈から一物を抜くと下の服をきちんと着なおした。
「さてと、耕治君、あずさちゃん?なに繋がったままでひっくり返ってんの?お店閉めて帰りますよ?」
「あ、はい。笑留さん、お帰りですか」
悪夢が終わったと思いほっとする二人。しかし。
「なに言ってるんですか?これから禾森邸に家庭訪問よ!?
こんなエッチな家庭とは一度訪問の上きちんと話しておかないといけません!」
止まらないよだれを手で拭きながら宣言する笑留。呆然とする二人。
「さぁて、いくわよぉぉん!」
「って、あたたたた!!服引っ張らないでください!せめてきちんと服着せてください!」
「せめてパンツぐらいはかせてぇ〜!!」

441 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/16(金) 21:05:02 ID:usAZ35BY]
「おちっこ・・・」
薫が目が覚めたのは夜中だった。
禾森邸の居間。今薫以外5人の男女と一匹の犬がいる。
「うん・・・はん・・・」
薄明かりの中、一人だけ起きている人物がいる。
「えみる、おねえたん・・・?」
「はぁ・・はぁ・・・たりないのぉ・・・」
(まだやりたりないのでつか?)
薫はあきれながら薫の自慰を見ていた。体は伏せたまま。気づかれないように。
「こんなんじゃぁ・・・満足できないのぉ・・・」
(ぢぶんだけだからでちょう?)
他の人間は全員寝ている。但し、全員目を見開き、白目をむいたまま。失神しているとも言う。
「やっぱり・・・でないとぉ・・・だめなのぉ・・・」
(え、いまなんといったでつか?なんでないといけないのでつか?)
笑留の言葉に聞き耳を立てる薫。一字一句、聞き逃さないように。
「あの裏切り者・・・笑留の・・・大切なものを・・・うばって・・・かえしてよぉ・・・」
(うばった?)
「○○○○○○!」
「ええっ!?」
「え、うそっ!薫ちゃん?!」
「あ・・・」
笑留は薫を手招きして呼び寄せた。
「ごめんね?起こしちゃった?」
「あい・・・」
「今お姉ちゃんが言ったこと・・・聞こえた?」
「ひめい、ぢゃないのでつか?」
「ちがうよ・・・分からなかったら、いいの。ごめんね」
ちゅっ。笑留は薫のおでこにキスをした。
「あたしももう寝るね。かぁるちゃんもね」
「おちっこいってからねまつ」
「一人で行ける?何ならお姉ちゃんがのんであげるよ?」
「とのままねむれなくなるのでいいでつ。おねえたん、あちたも、ちごとでちょう?」
「そだね。ごめんね」
そういって笑留は横になった。すぐに寝息を立てだす。
(おねえたん・・・)
トイレに行く途中、薫は笑留の言葉を思い出していた。
(えみるおねえたん、たしかにいったでつね・・・とれがおねえたんの、ほんちんでつか・・・)
(おねえたんにとっては、みんな、とのかわりでちかないんでつね・・・)
ただのH好きなら薫も許した。しかしその言葉は薫に殺意に近いものを抱かせた。
(おねえたん・・・おちおきでつ・・・)
ちろろろろ・・・
便器に座って用を足しながら、薫はその頭脳をフル回転させていた。笑留の絶叫が頭を何回もよぎりながら。

「お兄ちゃぁん!」

442 名前:新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA mailto:sage [2007/03/16(金) 21:07:20 ID:usAZ35BY]
続きます。
・・・エロが度を過ぎた。今は反省している。だけど後悔はしていないw

次回。薫の逆襲。そして店長病化。

・・・ええ。
薫たんの復讐ですよ?
容赦ありませんよ?

443 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/16(金) 21:16:05 ID:sL9Wn9E/]
GJ!



しかし、どんどんヤンデレとは違う方向に進んでいるような気がするのは気のせいか。

444 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/16(金) 21:24:05 ID:odt0OjyU]
いや、たぶんこの話はたまたまエロが集中していたのだろう。
このスレで直接的なエロが濃いSSは数が少ない。エロいのはいいことだ。

次回の病みに期待。


あと、作者さんに一言。
地の文の前にはスペースを入れてもらえると読者としては読みやすいですよ。
もし、狙ってやっているのでなければ、考えてみてください。

445 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/16(金) 21:44:00 ID:iIwhdpQ9]
“いない君”をバールのようなものを抱えながら期待。

446 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/16(金) 22:49:35 ID:WtSrGkIy]
>>442
このエロが前フリになってどんな病みになるのか期待!

447 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA mailto:sage [2007/03/17(土) 02:24:58 ID:22hp4O8L]
投下します 
注意 ふたなりものです

「ねぇ、貴方…」
「財布、返して頂戴」
「聞こえないの?」
「大丈夫?」
「も〜し、も〜し?」
「………」
「ねぇ…、財布」
「………」
「私の…」
「ここって貴方の家?」
「ねぇ…」
「………」
「………」
「………」
「貴方…、犯し殺すわよ!!?」
幽鬼の如き足取りで否命は家に帰った。
「ただいま」
ドアを開け、声を掛けても応える人はいない。否命の唯一の同居人である沙紀は、部活で否命より遅く帰るのだ。
否命は明かりの付いていない暗い家の玄関を見ながら、いつから「おかえりなさい」と言ってくれる人がいなくなったのかが、唐突に頭に浮かんだ。


448 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA mailto:sage [2007/03/17(土) 02:26:36 ID:22hp4O8L]
否命はおぼろげな記憶しかないが、お姉ちゃん(梓)と居た頃は「おかえりなさい」なんていう言葉を聞いた事がなかった。基本的に否命は外に出ることは無く、外に出たとしても大抵はお姉ちゃんが一緒だったからである。
それからお姉ちゃんが死んで親戚の家に引き取られたが、ここでも否命は「おかえりなさ
い」と言われることは無かった。否命は、どうしてもここが(親戚の家)自分の家だとい
う気になれず「ただいま」と言う事に抵抗があったのだ。勿論、幼いながら否命は自分は
これからずっとこの家で暮らす事になるのが分かっている。だから、否命は最初に親戚の
家に来た時、否命は咄嗟に「ただいま」と言おうとした。しかし、やはり否命の目に飛び
込んできたのは「知らない道」「知らない門」「知らない庭」「知らない玄関」そして「
知らない人達」であり、否命はここが自分の家と理解する反面、ここを自分の家と思っていいのかな…という遠慮にも似た感情が、「新しい家族」を見れば見るほど湧きあがっていく…。
結局、否命は無言で新しい母親に連れられて家に入った。
それからも否命はこの家のドアをくぐる度にあの感情が湧きあがり、否命は目を伏せ背を縮め、無言で家に入っていった。
この行動に否命の親戚が気まずい思いをしないはずはない。しかし、それでも親戚の人達は大人であり、それによって否命自身が一番気まずい思いをしているのを分かっていたので、それを理由に否命を疎んだりはしなかった。
否命が親戚の家から再び使用人を付けられて、自分の家に戻されたのは別の理由があっての事である。


449 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA mailto:sage [2007/03/17(土) 02:27:32 ID:22hp4O8L]
否命が自分の家に戻ると聞いた時、否命は喜んだ。「自分の家」に帰れる事もあったが、なにより否命が嬉しかったのは、使用人の娘「浅原沙紀」という同年代の遊び相手が出来た事だった。
その頃は、使用人が沙紀と一緒に幼稚園から帰る度に「おかえりなさい」と優しく声を掛けてくれたし、人見知りの激しい否命も沙紀につられて「ただいま」と言う事が出来た。
その新しい環境に否命がすっかり馴染んだ時だった。
ある日、使用人が何の前触れもなく忽然と姿を消したのだ。否命が13才、沙紀は14才の誕生日を迎えたばかりの時である。
その日、否命は泣かなかった。自分に優しくしてくれて、10年近く世話をして貰った、言わば母親代わりのような人間がいなくなって哀しくないはずがない。ただ、否命はあまりに突然の事で実感が湧かなかったのである。
使用人が居なくなった事実は理解している。しかし否命はその事実が現実であると分かってはいても理解する事は出来なかったのだ。使用人が消えたのが、本当に唐突過ぎて…。
それから三日後、否命が沙紀と一緒に中学から家に帰ってきた時であった。




450 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA mailto:sage [2007/03/17(土) 02:28:34 ID:22hp4O8L]
「ただいま」
いつものように否命は帰宅の挨拶をした。それからしばらくして、否命はその場で固まってしまった…。
「どうしたのですか?お嬢様…」
怪訝そうな顔で沙紀は否命の呆けた顔を覗きこむ。それでも否命は、口をポカンと開けたまま目を何処か遠くにやっていた。
「お・じょ・う・さ・ま」
少し強い口調で呼ばれ、否命は下から顔を覗き込んでいた沙紀と目が合い、ようやく否命は意識を取り戻した。
「お嬢様、どうなさられたのですか?」
「何かが足りない気がするの…」
明かりのついていないくらい玄関で否命はポツリと呟いた。
「………お嬢様?」
「そっか、そうだよね…ごめんなさい、沙紀さん。なんか、「おかえり」っていう声が聞こえそうな気がして」
言って、否命は泣き出した。
否命はようやく気付いたのだ、もう「おかえり」という声が聞こえるはずはない。そして明日も明後日も明々後日も「おかえり」という声は聞こえない。それを理解した否命の目から涙が留め止めもなく溢れてきた。使用人が消えてから初めて見せる涙であった。
泣きじゃくる否命を沙紀はその場でしばらく見守っていたが、やがて腰を屈めて否命と視線を合わせるとニッコリと笑って言った。
「お嬢様…、変顔選手権に出場されるおつもりですか?」


451 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA mailto:sage [2007/03/17(土) 02:29:59 ID:22hp4O8L]
途端に否命の泣き声が止む。
「さっ、沙紀さん!!なにもこんな時…」
否命は顔を耳まで真っ赤にして沙紀を怒ろうとしたものの、どうしても口が緩んでしまい、とうとう吹きだしてしまった。
「やっぱり、お嬢様は泣き顔より笑っている顔のほうが似合いますよ」
「………」
「フフフ…照れてます?というか照れて下さい…、正直に申しますと私は今、とてもいたたまれない気持なのですから」
そういって沙紀も顔を真っ赤にする。
「もぅ、沙紀さん、臭すぎるよ」
否命と沙紀はそこで顔を見合わせると再び笑いあった。そして沙紀は、玄関の明かりを付けると否命の前に立って言った。
「おかえりなさいませ…、お嬢様」
否命の胸に、ほんのりと暖かい何かが宿る。否命はさっきまでの沈んだ気分が嘘みたいに、
無くなっているのに気付いた。否命はきっと今、自分は笑っているんだろうと思った。幸せそうに、楽しそうに…、
でも何故か否命は自分が涙を流している事に気づいた。
あれっ?っと思う間も無く、否命の口から同時に泣き声が飛び出す。
否命は泣いた。なんで泣いているのか自分でもよく分からなかったが、とにかく泣いた。
涙が泣いても泣いても尽きること無く流れ出てきた。その否命を沙紀がそっと胸元に抱き
寄せる。するとより一層、否命は激しく泣いてしまった。沙紀の背をがっちりと抱き、沙紀の制服を涙と鼻水で汚しながらたっぷり10分間、否命は泣いた。
それから沙紀は自宅に帰ると必ず否命より先に電気を付けて、「おかえりなさいませ、お嬢様」と否命を迎えるようになった。
その度に否命はホッとするような、肩の力が抜けるような、そんな気持になり「ただいま」と自然に口に出せるのだ。


452 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA mailto:sage [2007/03/17(土) 02:31:16 ID:22hp4O8L]
否命は、自分の家に帰る時のこの沙紀とのやりとりが好きだった。
しかし、否命は高校に入学するのをきっかけに沙紀を半ば強制的に部活にいれ、自分が沙紀より早く家につくようにした。当然、帰宅の挨拶は無い。
否命はどうして家で一人の時間が欲しかったのだ。
そこまで考えたとき否命はようやく白昼夢から覚め、慌てて玄関に立てかけてある時計を確認した。
あの少女と関わってしまったせいで、時計は17:30を指している。否命は慌てて玄関
の鍵を閉め、防犯ブザーのスイッチを入れた。この防犯ブザーはドアが開くと騒音が鳴り響くタイプである。
確かに、女二人だけの生活であるから防犯するに越したことはない。だが、否命が防犯ブザーを設置したのは防犯のためでは無かった。これから始まる毎日の日課のために取り付けたのである。
否命はちゃんと防犯ブザーにスイッチが入っているのを確認すると、靴を脱ぎリビングへ向って駆けていった。
リビングには沙紀と共有しているPCがある。
否命はそのパソコンの前に置いてある回転椅子に腰を下ろすと、直ぐにパソコンのスイッチを入れた。

投下終わります

453 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 09:05:07 ID:kr7pc7WG]
おもしろい、おもしろくない以前に読みづらい。
せっかくおもしろいSSなのにもったいないと思う。


454 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 13:52:20 ID:2Sn7VTqy]
>>452
GJ!
次にwktkして待ってるぜ!!

>>453
改善点も書かなければどうしようもないだろ・・・

455 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 16:19:59 ID:tfngQ5h3]
・シーン・場所の切り替わりや、強調したい部分で空白行を入れる。
・地の文の先頭にスペースを入れる。
・句読点や括弧の、適切な位置で改行する。

などかな。そうすると一話あたりの行・レス数が多くなるけど。

456 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 17:19:44 ID:aAIw/jZz]
エロパロのカテゴリーの掲示板なのに
読みにくいシステムを使っている運営者側に問題があるのでは
と言ってみるテスト

大体、エロパロスレに相応しい作品連載システムとコメント付きの
独特な掲示板をオーダーできるだろうにね

457 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 17:25:55 ID:uUtFVBGI]
ああ、くせぇくせぇ。
勢いが付いてくると、エセ批評家共が沸いて来るんだよな。

特にこの時期。

458 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 17:30:21 ID:waRfT1kk]
エセ批評家は作品の一つも書けないのかな・・
そんな相手に批評される側もうんざりするだろうにね・・
お互いを高めるような相手同士ではないと嫌がらせに等しい

459 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 18:19:24 ID:OF4Om5PA]
読みづらい云々って、読む側が慣れている環境とか形式によっていくらでも変わるわけで
文の最初にスペース、つまり段落を入れよーとかもっと細かく刻んで改行せよーとか、
そういうお前個人の主観的読みやすさ、みたいなのに対応するよう工夫しろなんて押し付けてもなあ



460 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 18:31:43 ID:1Rt50IEa]
とりあえず、読みづらいか読みやすいかで言えば
おれは「読みづらい」と思う

改行を増やすだけでも大分変わると思うんだよね

読みやすいか読みづらいかで、
本当なら読んでくれたかもしれない人まで
読んでくれなくなっちゃうのはもったいないと思うから


>>458
そうすると、書いてもいないのに
「GJ」とか「面白かった!」とか言ってる俺らもやばいな。

461 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 18:40:12 ID:OF4Om5PA]
「GJ!」「面白かった」って言ってもらえれば、書いた人は認められてうれしいと感じるし、作品を続けていくモチベーションのうpに繋がる。
でも、「読みづらいよー\(^0^)/もっといじってねー」とかだけ言われても、書いた人はそれに従うだろうけど、いくらか萎縮してしまう。

高めるっつっても、技量の話だけじゃあないってことっすよ

462 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 19:23:48 ID:4TxjHW5p]
自分が面白いものにはGJを!
自分が面白くないものにはスルーを!
我々ば読んでやってる゙訳ではないぞ。
゙読ませてもらってる゙のだから。
神々に感謝の気持ちを忘れてはいけない。


463 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 19:28:53 ID:i7TuP7m5]
批評したければ1レスでもSSを書けば良いのだろうか。

464 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 19:31:32 ID:i7TuP7m5]
すまん誤爆

465 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 20:54:06 ID:KDTooFVy]
SS書きの控え室スレ読んでると、GJだけじゃ逆にやる気なくすって言ってる書き手さんもいるんだよね。

だから具体的にここをこうしたらもっと良くなるみたいな指摘ならいいんじゃないかと思うんだけど。

466 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 20:59:20 ID:uw1OvWHa]
成虫化で死んだ人間の死因って脳死なのかなぁ

467 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 21:00:28 ID:uw1OvWHa]
スマン誤爆

468 名前:〜お菓子と、男と、女ふたり〜 mailto:sage [2007/03/17(土) 21:35:00 ID:tfngQ5h3]
投下します。

469 名前:〜お菓子と、男と、女ふたり〜 mailto:sage [2007/03/17(土) 21:35:33 ID:tfngQ5h3]
 彼の好物はお菓子である。

 どれぐらい好きなのかということの実例を挙げると、
朝昼晩の食事をせずに500円分のお菓子を食べることで済まそうとした、
ということがある。
 それを毎日繰り返していたわけではないが、週に一回、
土曜日になると近所のスーパーに出かけてお菓子を買う。
 そしてそのお菓子を当日の食事代わりにする。

 それでも彼の体は均整がとれていた。
 彼が20代で、まだ若いこともあったが、
彼は毎朝5時から行う体操を欠かさなかったことも原因だった。

 彼は自身の住む村の役所に勤務していた。
 近くにある高校に通い、卒業すると同時に勤務を始めた。
 役所での仕事は年に数回ある祭りや、盆と正月に役所の前を
時節のもので装うことと、書類整理と清掃作業ぐらいのものだった。
 退屈ではあったが、村の外にいる友人から聞かされる
中小企業の現状を聞いていると、自分は充足している、と思った。

 彼には大きな悩みが無かった。
 父親と同居している、愛着のある家もあった。
 母親とは死別していたが、十年以上昔のことを気にかけるほど
神経質な性格をしていたわけではなかった。

 彼が執着していることは、自分が興味のあるものだけだった。
 働き始めてからローンで購入した、通勤に使用する50ccのバイク。
 町の古本屋で購入した本と、それを読むための時間。
 毎週の楽しみである、カロリーを無視して食べるお菓子。
 そして、彼が愛する女性。 

 彼には、同じ職場に勤める同僚で、恋人でもある女性がいた。
 二人きりで村の外に出かけて夜を過ごし、翌日の朝に帰ってくる、
ということを何度も繰り返した。
 結婚指輪を送るために、彼は何ヶ月も貯金をしていた。
 彼女に対して結婚を匂わす発言をしたときも好意的な反応が返ってきた。

 ――きっと、上手くいく。

 そう彼は考えていた。



470 名前:〜お菓子と、男と、女ふたり〜 mailto:sage [2007/03/17(土) 21:36:11 ID:tfngQ5h3]
 三月の第一週目の、土曜日。

 彼は朝の九時に、村に一つだけあるスーパーへ来ていた。
 いつものように彼はお菓子が陳列している棚へ向かい、
500円分の商品をカゴの中に入れた。
 そして、そのまま店員が立っているレジへ向かい、カゴを置いた。

「いらっしゃいませ!」

 レジに立っている女性の店員が挨拶をした。
 店員は頭を上げると、男に向かって挨拶をした。

 すべての商品のバーコードを読ませた後、店員はこう言った。
 
「504円になります」

 男がちょうどの金額を払い、店員が中身の詰まった買い物袋を手渡した。
 すると、女性店員が男に向かって声をかけた。

「いつも買い物をされてますよね? お菓子が好きなんですか?」

 そう店員に言われて、男は恥ずかしくなった。
 いい年をした男性が毎週のようにお菓子を買っていく。
 その行為は他人からすると奇特にしか見えないだろう。
 男がなんと答えようかと考えていると、店員が小さな箱を取り出した。

 これは何か、と聞くと女性店員からこのように言われた。

「私が作ったクッキーです。
 誰かに試食を頼もうかと思っていたんですけど、
 一人も食べてくれなかったんです。
 ですから、もしよろしければどうぞ」

 男に受け取らない理由は無かった。
 一言礼を言い、箱を受け取る。
 箱はとても軽かった。しかし軽く振るとコトコトと音がした。
 
「今度、ぜひ感想を聞かせてください」

 店員の言葉に対して頷くと、男は買い物袋と小さな箱を持って店を出た。

471 名前:〜お菓子と、男と、女ふたり〜 mailto:sage [2007/03/17(土) 21:37:24 ID:tfngQ5h3]
 三月の第二週目の、土曜日。

 男は小さな箱を持って、スーパーに来ていた。
 先週、女性店員から受け取ったクッキーの箱だった。

 店内に入り、先週話をした店員を捜す。すぐに見つかった。
 先日と同じようにレジに立っている。

「いらっしゃいませ」

 と言って店員が頭を下げた。
 男が、ありがとう、と言って手に持っていた箱を店員に差し出すと、受け取ってくれた。
 
「あのクッキー、美味しかったですか?」

 美味しかったよ。また作って欲しい、と男が言うと、店員は満面の笑みをつくった。

 その日も先週のように男はお菓子が並んでいる棚の前に行って、
適当なものを選ぶことにしたが、あることに気がついた。

 クッキーの箱が一つも置かれていない。

 しかし、男は特に気にすることも無かった。
 もともと商品は多く並んでいたわけでもないし、売り切れということもある。
 棚に置かれていたものをカゴに入れる。
 店内を歩き、女性店員が立っているレジに買い物カゴを乗せる。

 女性店員がすべてのバーコードを読ませて、買い物袋に詰める。
 そして、男はちょうどの金額を女性店員に渡す。
 レジから吐き出されたレシートを受け取ると、店員が箱を取り出した。

「あの、またクッキーを作ったんです。
 もしよろしければ、どうぞ。
 また来週会えたら感想を聞かせてください」

 わかった、と男は頷いて、箱を受け取った。
 
「ありがとうございました」

 女性店員の声を聞きながら、男は自動ドアを通り抜けて、家路に着いた。

472 名前:〜お菓子と、男と、女ふたり〜 mailto:sage [2007/03/17(土) 21:38:56 ID:tfngQ5h3]
 三月の第三週目の、土曜日。

 男はスーパーにバイクで乗りつけた。
 その手には、小さな箱が握られている。
 
 先週、女性店員に手渡されたクッキーは、とても美味だった。
 焼け具合、かおり、共に問題が無かった。
 一口に収まるほどの大きさのそれを頬張ると、バターのなめらかさ、
ほどよい甘さが口の中に広がった。
 気がつくと、四枚入っていたクッキーは全て男の胃の中に収まっていた。

 男が店内に入ろうとすると、後ろから声をかけられた。
 振り向くと、女性が立っていた。
 クッキーを作ってくれた女性だった。
 その日は、セーターにジーンズという格好をしていた。

 男は箱を女性に手渡した。
 美味しかった、と感想を言ったが、言葉足りない気がした。
 あれほどの美味しいものを作ってもらったのに、「美味しかった」の一言では味気ない。
 本当に美味しかった、と再び言った。

「そんなに美味しかったんですか。ありがとうございます」

 何かお礼をしたい、と女性に向かって男は言った。
 女性は数回まばたきをして、右手を下唇にあてた。
 数秒の沈黙のあと、彼女は口を開いた。

「それじゃあ、私の家に来てくださいませんか?
 またクッキーを作ったんです。
 今度は一味改良を加えたんですよ」

 また美味しくなったのか、と男が聞いたら女性は首を右に傾けた。

「それは、食べてみてからのお楽しみです」

 女性はほほえみを浮かべた。
 
 女性の自宅はスーパーからそう遠くない位置にあるという。
 男はバイクを駐輪場に置いたまま、女性と一緒に歩き出した。

473 名前:〜お菓子と、男と、女ふたり〜 mailto:sage [2007/03/17(土) 21:41:07 ID:tfngQ5h3]
 四月の第一週目の、土曜日。

 目の下にくまを張り付かせた女性が、駐輪場に何も停まっていないスーパーへとやってきた。
 あからさまな落胆の表情をして、女性はスーパーのドアをくぐった。

 店内を何周か見てまわったあと、その女性は女性店員の一人に声をかけた。
 人を捜しているんです、と言って女性は写真を店員に渡した。

 女性店員はその写真を一目見て、女性に写真を差し出した。

「すいません。私では、力になれません。
 先月の中旬にこのお店に来たことは覚えていますけど、
 それから『このお店の中』では見たことがありません」

 女性店員はすまなそうに頭を下げた。
 そうですか、と言って女性は表情を沈ませた。

 とぼとぼといった調子で立ち去る女性の姿を見ながら、女性店員は一言つぶやいた。


「もう、彼はあなたの前には現れません」


 女性店員は、下を向いた。
 
 そして、勝ち誇ったような、嬉しくてたまらないといった表情を浮かべて、わらった。


 終

ーーーー
変なことを言って、荒れる原因を作ってしまって申し訳ありませんでした。
今後、不用意な発言は慎むことにします。

474 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 21:48:25 ID:GntrcA5/]
>>473
GJ!
落ち込まないでまた作品読ませてくださいw
棚になぜかクッキーがない等のさりげない怖さが(・∀・)イイ!

475 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 21:52:19 ID:1Rt50IEa]
>>473
女の情念という者は怖いのう…
ていうか、なんかリアルでこれくらいのことならやってる人がいそうでgkbr

476 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 22:23:57 ID:ca7hXdnd]
こういうお菓子な空気は心がいい感じにお菓されるから大好きだw

477 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/17(土) 22:32:56 ID:+sk5+L74]
GJ!>>473

しかし、男はどこに行ったんだ?
1:女の家・建物内(監禁)
2:女の家・地面の下(satugai)
3:女の胃袋(かにばりずむ)

478 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/03/18(日) 00:00:47 ID:tv1vZc10]
>>473
イヤhッホオオ!
ぐっじょぶ!

479 名前:慎PC故障中につき携帯から ◆lPjs68q5PU mailto:sage [2007/03/18(日) 00:12:43 ID:wc98nDi2]
おぉまたもや新たな職人さんが!>>473なんか恐いです…用意周到というか…クッキーを棚ごと消すなんて、そしてラスト…いいもの読ませていただきました。今回限りといわず次もぜひ。



480 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA mailto:sage [2007/03/18(日) 02:01:47 ID:Ld8wUyk/]
投下します
本編とは関係のない短編ですが、読みやすさを意識して書いてみました

題名 否命

 あるところに貧しい農夫がいました。彼の田圃はとても荒れていて、しまいには作物が
すっかりとれなくなってしまいました。そこで仕方の無く、農夫は森にいき薪をとって市
場で売り、それで一日を食いなぐようになりました。

 ある時、いつものように農夫は薪をとりに森の中に出かけました。すると、まだ一度も
会った事の無い老人が歩み寄ってきて、
「なんだって、そんな憂鬱そうな顔をしているんだい?」
と農夫に声を掛けました。
「おお老人よ!」
 農夫は思わず嘆息しました。
「どうして楽しい気持になれましょうか?私は一日も休むことなく先祖代々つづく田圃を
耕してまいりました。それなのに田圃は荒れ果てていくばかりで、とうとう私は田圃を耕
すことを諦めてこうして森で薪をとっているのです。別に貧しい事は苦ではありません。
ただ、先祖様が守り抜いてきた田圃を私が駄目にしてしまったことを考えると、憂鬱にな
らざるを得ないのです」
 この言葉を聞くと、老人は農夫の畏祖の義にすっかり感心してしまいました。老人は実
は妖精でしたので、この農夫を幸せにしてやりたいと思い、ある提案をしました。
「もし貴方が私の欲しいものをくれるのなら、貴方の田圃をすっかり良くしてあげよう」
 すると農夫は農民にしては珍しく儒学を心得ていたので、自分の持っているモノのなか
で土地ほど大切なものは無いと考え、
「私が差し出せるモノなら何でも…」
 と答え、妖精に証文を書きました。
 妖精はニッコリと笑って、
「帰ってごらん。もう、貴方の土地はすっかり良くなっていますよ」
 と、言いました。


481 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA mailto:sage [2007/03/18(日) 02:02:31 ID:Ld8wUyk/]
 さて、農夫が家に帰ると妻が飛び出して、
「あんた、どうしてうちの田圃に水がしっかり引かれて、稲が植えてあるんだい?急に、
どこもかしこもうちの田圃はすっかり良くなっちまったよ。まったく、どうしてだか分か
らないよ」
 と、言いました。
「それは私が森で出会った妖精のおかげだよ。彼が私に田圃をすっかり良くしてくれると
約束したのさ。その代わり、妖精の欲しいものを何でもあげると証文を書いたけどね」
 すると妻は、
「まぁ、一体うちに妖精が欲しがるようなものなんて、あるのかしら?」
 と、首を傾げました。農夫の家は本当に貧しくて人様にあげるものなんて、なんにも無
かったからです。

 それから一年後、農夫に娘が出来ました。
農夫の娘はとても美しく、働きものに育ちました。この娘が年頃になる頃には様々な男
から結婚を申し込まれるようになりました。しかし、娘は申込を悉く断っていました。そ
れも、実際に男に会いもせずに娘は結婚の申込を断ってしまうのです。
「ねぇ、おまえさん一体、何が不満なんだい?」
 農夫はとうとう、娘のあまりに男を寄せ付けない態度に呆れ、娘を呼び出して問いただ
しました。すると娘は
「心に決めた方がいるのです」
 と、一言いいました。
「それは誰なんだい?」
 と、農夫が聞くと娘は
「父さんの田圃を、すっかり良くしてくれた妖精さんです」
と、答えました。農夫はそれを聞くとすっかり魂消てしまいましたが、心の奥底では、
いつもあの妖精に恩返しをしたいと思っていましたので、
「妖精がおまえを欲しがるのなら…」
 と、納得しました。それを聞くと娘はニッコリと微笑みました。娘は農夫から妖精の話
を聞くたびに、密かにその父さんを助けてくれた妖精に恋焦がれていたのです。







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