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【朝日社説】靖国参拝―静かな夏に見る変化



1 名前:ときめきトゥナイトφ ★ [2007/08/16(木) 22:41:13 0]
靖国参拝―静かな夏に見る変化

敗戦から62年。靖国神社の夏は例年より静かだった。
小泉政権の間は、首相が自民党総裁選で公約した8月15日の参拝をするかどうかが関心を集めた。
とくに15日参拝を断行した昨年は、首相を見ようと集まった群衆から「万歳」があがるほどだった。

それが今年はどうだろう。小泉氏の後継である安倍首相は参拝するともしないとも言わないとしつつ、
姿を見せなかった。85年の中曽根首相の公式参拝以来、定例化した閣僚の参拝だが、今年は
高市早苗内閣府特命相だけである。

全国戦没者追悼式で安倍首相は、アジア諸国への加害責任を認め、「深い反省とともに、犠牲となった方々に
謹んで哀悼の意を表します」と語った。持論の「戦後レジームからの脱却」を思い起こさせる言葉はなかった。

一方、河野洋平衆院議長は、戦後日本は「海外での武力行使を自ら禁じた、日本国憲法に象徴される新しい
レジームを選択して今日まで歩んで参りました」と述べ、逆に「レジーム」の継承をうたった。さらに「日本軍の
一部による非人道的な行為によって人権を侵害され、今もなお苦しんでおられる方々」という言い方で慰安婦にふれ、
謝罪を述べた。

こうした変化が一時的なのか、時代の深い潮流なのか。即断はできないが、歴史認識の問題をめぐる最近の
新しい動きが背景にあるのは疑いない。

ひとつは、参院選における自民党の惨敗だ。年金問題や閣僚スキャンダルに翻弄(ほんろう)された結果では
あるが、憲法改正や集団的自衛権の行使容認や歴史見直しなど、「美しい国」を掲げた復古的、保守的な
路線が、国民の関心からズレていることが根底にあった。

靖国賛美派の基盤をさらに突き崩したのは、昭和天皇が靖国神社へのA級戦犯合祀(ごうし)に反対だった
ことが史実として確定したことだ。

天皇が参拝を中断した背景に合祀があることは、関係者の間で指摘されていた。だが、昨年来、故富田朝彦
宮内庁長官のメモや、故卜部亮吾侍従の日記、さらに歌人の岡野弘彦氏が故徳川義寛侍従長から聞いた
証言でも裏付けされた。

このことは、天皇の意思をまず尊重する保守派の内部に、A級戦犯の合祀に対する疑問の声を広げた。

また、首相の参拝に関していえば、安倍内閣で修復した中韓との関係をこわしたくないという外交判断もあるだろう。

そして、国際社会の目も変化した。米下院の慰安婦決議から分かるように、過去に向き合わない日本への批判は、
アジア諸国にとどまらない。

静かな夏の底流で進む変化を見落としてはならない。戦前の軍国主義のシンボルである靖国神社に戦争指導者を
まつり続けることは、ますます受け入れられなくなってきた。小泉内閣で一度は検討した「新たな国立の追悼施設」
の構想を再び動かすときである。

ソース
www.asahi.com/paper/editorial20070816.html






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