- 704 名前:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!! mailto:sage [2015/12/26(土) 08:44:51.49 0.net]
- それ以前から、小番は妻の変化に気づいていた。
帰りが遅い。化粧や服装も派手になった。頻繁にメールのやりとり。 問い詰めるといつも喧嘩になった。「仕事だもの仕方ないじゃない。」。 「行って帰ってくるだけじゃ済まないのよ。秘書ってのはいろいろあるのよ。 個人的用事頼まれたり。半分サービス業。」「私だってやりたくてやってるわけじゃ ない。」。 気にはなっても、妻が楽しそうに勤めをしているうちはまだよかった。 だんだん無口になり、何か考え込んでいることが多くなった。 もの思いに沈んでいるような様子で、話しかけても返事をしないこともある。 ある日、妻がポツリと言った。「私、事務所やめようかな。」。 「どうしたんだ。何かあったの。」と聞くと、それには答えず、立ち上がって 隣の部屋に行った。窓から外を見ていた。 小番が横に立ち、妻の横顔をのぞき込むと、目から涙がみるみる溢れ、 頬をツーっと伝って落ちた。
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