- 110 名前:[名無し]さん(bin+cue).rar mailto:sage [2006/01/07(土) 22:36:50 ID:9amTEzoj0]
- 「御正室の徳子様はすでに御所に入られているが、あのお方は島津家が勢力を広げるための布石に過ぎん。我が紀州家からも側室としてお前を上げ、次の世継ぎに血を残せれば・・・・・」
「世継ぎ、ですか。」 「そうだ。」 「私が?」 「う・・・・・・中身よりも、家柄だ。心配ない。明日花、御所へ上がってもあまり口を開くな。うん、それがいい。」 父上が苦い顔をするのは私も変わり者だからだ。 姫と呼ばれるような気品が備わっているとはとても、思えない。 「明日花という名前を変えたくないんです。それは大丈夫ですか?」 「ああ、それはどうとでもなるだろう。」 「じゃあ、私御所へ上がります。いつになるかあとで教えてくださいね。」 別に生贄のように差し出されるこの身を、不幸だとは思わない。 それどころか面白いとさえ思えた。 大奥へ上がったら一生だけれど、側室だからそこまで厳しくはない。 実家も江戸城から近いし、それに私は・・・・・ 「うふふ、た〜のしみ。」 「明日花様、お支度は整いましてございます」 女中の案内で奥入りの挨拶、引越し、奥での決まりについての講義を済ます。 大奥って本当に細かい。 「上様のお渡りは明日になります。それまでにお体をしっかり磨いて、上様に失礼のなきようお願いしますね。」 大奥総取締役、桜木殿がにっこり笑ってそういう。 すごくきれいな人。 けど、噂ではこの間お亡くなりになった家慶さまの後内相の方とか
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