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山口貴由 シグルイ-SHIGURUI- 第十五景



106 名前:名無しんぼ@お腹いっぱい mailto:sage [2005/04/24(日) 02:19:27 ID:BS9zm+700]
寛永の頃、東海随一を誇る岩本道場に双竜と謳われる伊良子清玄と藤木源之助があった。
岩本虎眼の娘、三重の気高い美しさは二人にとって近寄り難く見えた。虐げられた虎眼の妾いくを労ったことから、清玄といくは関係を持った。
残忍な虎眼がそれを見逃すはずはなく、三重の婿選びと奥儀伝授の前提と称して清玄と源之助の試合を命じた。
烈魄の源之助にひきかえ清玄には苦悩の色濃く、勝負は簡単に決った。虎眼が罵声と共に真剣を振り上げ、三重といくが止めた瞬間、流れ星の剣が走った。
倒れた清玄の両眼は斬り裂かれていた。道場を追われた清玄といくが木曽山中に篭って一年余がすぎた。その間恥辱を雪ぐ一念で剣に打込んだ清玄は、再び岩本道場を訪れ勝負を乞うた。
一見盲が杖をついているかのようだが、妖しく殺気をおびた清玄の無明逆流れ剣法は、流れ星の秘剣より一瞬早く虎眼の顎から脳天に斬り裂いた。
その夜、激しい雨の中で源之助ら門弟を迎え、清玄は源之助の左腕を落した。悲願を叶えた清玄といくは旅に出、二人を仇と思う源之助、三重もあとを追った。
ある日、疾駆する奔馬を仆した清玄は、その様子を目撃した駿河藩の家老三枝の知遇を得、食客としての日々を送ることになった。
ところが、馬の主が掛川藩主であったことから清玄の引渡しを求めて来、両藩の間は険悪になってきた。こんな噂が源之助たちの耳に入らぬ訳はなく、
掛川藩も清玄、源之助の関係を知って源之助を召抱え、試合を挑んできた。その日、両藩の確執そのまま大勢の藩士たち、群衆の前に展開された盲目と隻腕の剣士の決闘は妖しい鬼気と凄惨さにみちたものだった。
清玄は源之助に仆され、快哉を叫ぶべき三重は自らの胸を差し果てた。後日、清玄の子を宿していたいくは木曽へひとり旅立っていった。






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