- 44 名前:名無シネマ@上映中 mailto:sage [2007/11/15(木) 10:30:03 ID:VzmD7OUD]
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こうなった理由は、ディテールの弱さにあるのではないだろうか。同じ脚本を映像化するにしても、登場人物たちの生活 や生理というものをしっかり描写していくだけの根気強さがあれば、映画はずっと引き締まったものになったような気がす る。雪山でのアクションはそこそこ立派なものだ。でもこの映画の弱点は北アルプス以外の場所にある。 例えば竹内結子扮する写真部編集者の生活ぶりに、都心の独身ひとり暮らしの部屋に、姉の残した小さな子供を抱え 込んでしまったという生活の実感は感じられるだろうか。写真誌の編集部で働きつつ、各種の情報筋からネタを集め、政 府公安にまで顔が利く編集長が、石黒賢でいいのだろうか。一国の首相が藤竜也というのはともかく、なぜ彼は画面に登 場したときから無精ひげ(というわけではないんだろうけど)なんだろう。首相を演じるなら、ひげぐらい剃ろうよ。でなけりゃ この役は、津川雅彦にでもやらせりゃよかった。藤竜也は自衛隊のトップにでも回せばサマになっただろう。 政府の危機管理室に集まった連中の顔ぶれは、とりあえず員数集めのためにかき集められた無名の俳優ばかりの様 子。ポリティカル・サスペンスとしては首相を中心とするこの部屋が中心なんだから、ここに重みがないと話にならない。こ れじゃ怪獣映画なみの安っぽさだ。こういう場面では、他の閣僚や役人の役に、何人かベテランの俳優を混ぜておくべき なのだ。台詞なんて無くても、それで重みが変わってくる。黒澤明の『天国と地獄』に、藤田進や志村喬が出ていたのがい い例だと思う。 ttp://www.eiga-kawaraban.com/07/07101004.html
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