- 233 名前:押川勝太郎 [2019/02/03(日) 23:00:34.55 ID:3HyDoNcY.net]
- >>221のつづき
反論@-1,2への回答A ・筆者が「手術第一主義」を主張しているように見える。放射線治療にもっと注目すべきだ。 当方は外科医ではなく腫瘍内科医であるため、手術に肩入れする理由はありません(ただし消化器内科医でもあるため内視鏡治療には肩 入れするバイアスはかかる可能性はありますが)。 手術至上主義云々ではなく、現実的に放射線あるいは化学放射線療法で完治する固形がん種は限られています。 放射線治療あるいは抗がん剤と組み合わせた化学放射線治療で根治的治療になり得るのはざっと挙げると遠隔転移がない条件で ・ある種の脳腫瘍(ただしガンマーナイフ、サイバーナイフを用いた良性腫瘍のみ) ・ 上、中咽頭がん、喉頭がんなど頭頚部がんであるものの一部 ・食道がんの一部 ・子宮頚がん(組織型は扁平上皮がんのみ) ・肛門管がん(扁平上皮がんのみ) ・前立腺がん まず一番多い肺がん、固形がんの半分を占める消化器がん(食道、胃、大腸、膵臓、胆道)では放射線治療では根治は無理です。 食道がんも一時化学放射線療法が手術に匹敵する根治率と脚光を浴びましたが、遺残再発例に対する救済手術例も含めても、術前補助 化学療法+手術療法にはわずかに劣ることが判明しています。 患者さんの実数、割合から考えても、完治を目的にするには手術での切除が大きなウエートを占めるのは動かしがたい事実だと思いま す。 ただし放射線治療は再発予防の術後照射や、再発転移がんの症状緩和目的が多いですが、それも十分に活用されているとは言えないの は確かです。 これは施設や専門医が限られていることも一因でしょう。 放射線治療も手術も局所療法ですが放射線療法が有利な要素としては ・比較的放射線感受性の高い扁平上皮がん ・呼吸や蠕動運動でがんの位置が変動しない固定された臓器がん(放射線照射が正確にできる) ・ 手術自体が摂食、発声、排泄機能や性機能などQOLに重大な影響を来す部位 などが挙げられます。 治療と言うのは生き延びるのが第一の目標ですが、生活の質を無制限に失って良いと言うわけではありません。 ただそこには患者さんの価値観で大きく左右される部分があるため、患者さん全体で最も有利な治療法を選択すれば良いというわけで はなく、主治医との対話で落としどころを決める必要があります。 つづく...
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