- 25 名前:名無し物書き@推敲中? mailto:sage [2018/12/20(木) 21:38:04.07 .net]
- 冒頭から > ――その時。まで
L氏は退屈していた。数年前まで結婚していたが、妻から 「もう甲斐性のないあなたのために“主婦”でいるのは限界」と愛想をつかされ、 学生時代からの仲が良かった友人たちも皆、次々と出世して多忙を極め、 ひとりで過ごす休日の光景も当たり前になっていた。 > 長い間会っていなかったが、彼らは親切に教えてくれた。 長い間会わずにいるうちに脱サラして会社を立ち上げたらしい。名刺の「CEO」の横文字がまぶしかった。 > 左様ですか、とセールスマンは懐から何かを取り出した。 左様ですか、とセールスマンはカバンから片手で何かを取り出した。 >「では、毎月頭に50袋届けさせていただきます。こちら、いくつか種類がございますが……」 ↑からラストまで 「では、毎月二袋届けせていただきます」 セールスマンのカバンの中には“つまみ”がギッシリ詰まっていた。数えただけでも百袋はある。 「もっと欲しい。二袋だけじゃすぐに無くなってしまう」 お客様は神様です。 L氏にそのような傲慢さがあったのかは知る由もないが、セールスマンは 「まあまあ落ち着いて下さい」 と、営業スマイルのまま顔色ひとつ変えなかった。 「金ならいくらでも出す」 酒のいきおいで気が大きくなったのもあるが、奇跡的に出逢えた最高のパートナーを失いたくなかったのだろう。 「お願いだ。いや、お願いします。保険も解約する。家も担保にしていい。何でも言うこと聞きます」 L氏は平身低頭、必死の思いで頼み込んだ。 だが、その願いは通じなかった。
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