- 172 名前:名無し物書き@推敲中? mailto:sage [2015/01/31(土) 16:36:57.24 .net]
- お前が書くものを、決まっていつも誰より先に読む奴いるよな。
そいつは何かにつけてお前に「下手くそ」とか、「つまんねえ」とか、「なんか違うんだよなぁ」とか 「さすがにこれはやりすぎだろ……」とか、「こんなんで本当にいいのかぁ?」とか、腹立つことばっか言ってくるよな。 わかるだろ? そいつはお前自身だ。 正確には、「お前の頭の中にいる仮想の読み手」だ。 そいつはお前自身が文章力の向上をはかる上で、誰に頼まれるでもなく自分で生み出した存在だ。 名前は「能なし編集者」。 だってそうだろう? そいつはお前担当の編集者のくせに、担当作家であるお前にまだ一作も書き上げさせてないんだ。 無能以外のなにものでもない。そんな使えない編集者とはさっさとおさらばするべきだ。 お前の中にいる能なし編集者、つまり「心の中の仮想の読み手」は一体どんなやつだ? 一度はっきりとイメージしてみろ。 思いつく限りのそいつの特徴を、やぶったノートの切れ端にでも書き出してみろ。 「このタイトルとあらすじに好感触を示すってことは、まあ男だろう。思春期以上、中年未満ってとこだな。人のやる気を奪う天才みたいな奴だ」 「ちょっとでも文章が長いと、すぐ『わかりにくい』とか、『2つに分けろ』とか言ってきやがる。きっと俺以上に本を読み慣れてねえ馬鹿だ」 「句読点の位置には、とにかくうるせえ。言葉は知らないくせにくだけた文体を嫌うし、あざといのも嫌いだ。クソ真面目で神経質。俺が大嫌いなタイプだ」 「具体的なことは何も助言できねえくせに、『もっと叙情的に書け』とか注文をつけてきやがる。そのうえ昨日と今日じゃ言ってることが全く違う。最低な無責任ヤローだ」 まあ、こんなに口悪く書く必要はない。とにかく特徴を列挙すればいい。あとは書いたその紙を、あえて丁寧に折りたたんで、机の引き出しの奥にでも突っ込んでやれ。 「お前とは一緒に仕事したくない。二度とその面を見せるな!」そう言ってやったら、お前はもう自由の身だ。お前が書くのを邪魔する奴はここにはいない。 あとはとにかく、ひたすら完成を目指して突っ走るだけだ。お前が向き合うべきは、居もしない誰かじゃない。実際にお前が書いたものを読んでくれた、実在する読者だ。 その人が言うことにこそ、耳を傾ければいい。まだその段階にすら、お前は立ってない。
|
![](http://yomi.mobi/qr.gif)
|