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ワイが文章をちょっと詳しく評価する![3]



1 名前:ぷぅぎゃああああああ ◆Puug571Ifs [2010/05/02(日) 10:29:01 ]
急遽、新装開店!(`・ω・´)

掌編、いつでも募集中!
採点、100点満点!
評価、コメント数行!
結果、コメント一行!

前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![2]
love6.2ch.net/test/read.cgi/bun/1254570717/

ワイが文章をちょっと詳しく評価する!
love6.2ch.net/test/read.cgi/bun/1249125836/

文章の一部、よい! オチがない、よい! 他人の文章、ダメ!

点数の意味
10点〜、日本語が書ける!
20点〜、日本語の意味がわかる!
30点〜、読み物に近い!
40点〜、形にはなっている!
50点〜、楽しめる域に入る!
60点〜、作品として出せる!
70点〜、欠点がほとんどない!
80点〜、佳作の域に突入!
90点〜、未知の領域!
満点――、神様は評価できない!

ここまでの最高得点78点!(`・ω・´)

311 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう mailto:sage [2010/07/11(日) 18:59:58 ]
隣に立つどこかの親父とぴったりくっついた二の腕には、汗が滲んでいた。
どうにかしてこの男と隙間をあけたいと思うも、帰宅ラッシュの満員電車の中では
僅かに身をよじることも不可能のようで、張りついた男のスーツははがれない。
男の顔をちらりと盗み見ると、うつらうつらと立ったまま目を閉じていた。
二人の腕は溶けて固まって一体化してしまったかのよう。もしかしてこの男は、
私に寄りかかって眠っているのだろうか。だったら私が腕を離したらこいつは倒れて
目を覚ます。その瞬間に目が合って気まずいままにすみませんと言われたり、
私の汗で濃くしみが出来たグレーのスーツを見てあ、って気まずくなったり。
この先の、私とこの男のこれからを十も二十も想像するけれど、どれもこれも
気まずくなって、という展開ばかりで気が萎えた。結局のところそんなことを
考えているうちに、駅のアナウンスで男はぱっちりと目を覚まし、腕のしみになど
気を留める間もなく人をかき分け出て行った。ぐるりと首を捻って男の背中を目で
追うものの、こみ合う人々の壁が高すぎて、私が男の腕につくったしみを見ることはない。


312 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう mailto:sage [2010/07/11(日) 19:01:41 ]
311の続き

電車では色々なことがある。二十センチもない隙間に座ろうとする中年女を見かけたり、
びっくりするようなブスがびっくりするような美人へと進化していく化粧のフルコースを見られたり、
ところかまわずいちゃつくカップルを鼻で笑ったり、倦怠感丸出しのカップルを鼻で笑ったり、
網棚の荷物を忘れたままおりて行く人を見送ったり、痴漢に遭ったらしき女が犯人らしき男を
ホームに引きずりおろしていくところを見たり、目の前で酔っ払いに嘔吐されたり、
自分が痴漢に遭ってみたり、どこからか空き缶がころころ転がってきたり、
発車時と停車時の車体のゆがみにふんばれずよろけてみたり。電車では色々なことがある。
私はもう、どこかへ行くために電車に乗るのではなく電車に乗るためにどこかへ行く。
無駄にひと駅ふた駅を乗り過ごして、行き過ぎた分を歩いて戻ることもしばしば。


313 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう mailto:sage [2010/07/11(日) 19:03:01 ]
312の続き

「きみは電車に乗っているときがいちばん楽しそうだね」
誰もいない終電で隣に座る彼がふと呟いた。そう見える? と返すと、そう見える。と言って
彼はにっこり笑った。
「小学生が遠足で電車に乗ってわくわくしてるだろ? あれに似てるよ」
「そう、かしら」
うつむいてはにかんでみせると、彼は上体をひねって私を抱きしめた。
「ねえ」
「なに?」
「私きのう、満員電車に乗ったの」
「へえ」
「そしたら横でくっついてた親父の服に、私の汗が滲んだの」
「へえ。……え、密着してたの?」
彼は私の顔をのぞき込んでふくれてみせた。こんなに近くはなかったわ、と言うと、
彼はそれでも少し悲しそうに私の頭を撫でた。
「タクシーにしなよ。電車は危ない」
「えーでも、私電車好きだし」
「痴漢にだって遭ったんだろ? 酔っ払いだっているし。僕といるとき以外はタクシー使いなよ」
「だってあなた、今、言ったわ。きみは電車に乗ってるときがいちばん楽しそうだって」
「そうだよ。小学生みたいだ、ってね。きみは痴漢や酔っ払いを怖いと思わないかもしれないけれど、
どんなに精神が強くても身体が傷つくことはあるんだよ」
「……私が、世間知らずだ、と?」
彼は一瞬怯み、顔をこわばらせた。そして固くなった腕を私から離した。
「ごめん。そんなつもりじゃないんだ。ただ、そう……」
好きなんだよ、と言って彼は顔を手で覆った。いつものこと。いつものパターン。
彼と電車に乗ると、彼はきまって私をそう諭そうとする。私は電車が好き。
電車に乗っているときの私が好き。







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