- 1 名前:ノチラ ★ [2017/09/25(月) 12:25:29.62 ID:CAP_USER.net]
- 新しい技術の進展によって、ビジネスモデルが大きく転換する。これは人類のフロンティアを拡大する。
この状況は、大航海時代に似たところがある。カソリック支配の社会が終わったのと同じように、産業革命以降続いてきた大規模化、効率化、組織化という流れが、終ろうとしているのだ。 しかし、日本はこうした流れに対応しておらず、大企業の劣化現象が顕著に生じている。 中略 500年前の世界において、新しい技術への対応の仕方は、社会構造によって大きく違つた。 ヨーロッパで大航海を行なったのは、個人である。コロンブスもマゼランも、零細個人事業主と呼ぶのがふさわしい存在であった。いまなら、スタートアップ企業だ。 彼らは確かに国家の援助を求めたが、それは、後ろ盾を得るためであり、必要な資金は商人たちから調達した。これは冒頭で述べたICOと本質的に同じものである。 マゼランの場合、航海の目的は、西回りで香料諸島 に至るルートを発し、そこから胡椒をヨーロッパに持ち帰ることであった。 これは、実現するかどうかが全く不確実な、リスクの高い事業である。新大陸を通り抜けられる海峡があるのかどうか、誰も知らなかったのだ。 マゼランは、海峡が必ずあると信じて、商人に出資を求めたのである。それは、「将来どうなるかわからない事業で用いる仮想通貨を現在販売する」というICOと基本的に同じものだ。(なお、マゼラン艦隊がヨーロッパに持ち帰った積荷の価値は、艦隊の建造費を上回った。つまり、失われた人命を無視すれば、利益をあげたのである。) ところが、官僚国家である明帝国の対応は、まったく違うものだった。明は、ヨーロッパに先駆けて大航海を行ない、大船団はアフリカ東海岸まで達した。これが、「鄭和の大航海」(1405~33年)だ。 しかし、これは国家プロジェクトであり、鄭和は、皇帝の命を受けた官僚としてこれを行なったのだ。したがって、太平洋を横断する技術を持っていたにもかかわらず、ほぼ沿岸航海しか行わなかった。その目的は、朝貢関係の樹立と明帝国の威光示威だった。 つまり、中国は、地球就航をできる技術を持っていたにもかかわらず、それを行なわず、太平洋を横断して「新大陸」を発見することさえしなかった。 この時代以降、ヨーロッパは地球規模で膨張していったのに対して、中国は500年の大停滞に陥った。技術的には優越していた中国がその後の世界をリードできなかったのは、社会体制の違いによると考えざるを得ない。 日本だけが取り残されている しかし、現在の中国には、GAFA に匹敵する事業を行なっている集団「アリババ」もあるし、フィンテック関連のユニコーンも多数誕生している。だから 、今回は、500年前とは異なり、新しい技術の変化に適切に対応している。 ドイツは、ついこの間までは、日本と似た国だった。つまり、モノづくり中心から脱却できなかった。しかし、IoTとの関連で、この数年、大きく変わってきた。ブロックチェーン関連の新しい技術を開発してICOを行なう企業が続出している。 ここで本稿の最初に戻ろう。日本では、革新的な技術開発を行なうためのICOは行われていない。日本だけが、相も変わらず、産業革命から継続する路線を歩んでいる。 大規模な技術開発は、国家プロジェクトとして行われる。そうでなくとも、公的な研究機関や大学で行なわれる。 それにもかかわらず、東京大学は、国際的ランキングで順位を落としている。2018年(2017-18年)のTHE(The Times Higher Education)のランキングでは、過去最低の世界46位となった(2014,15年には27位)。 日本国内の評価でも、ロースクールの人気が凋落して閉鎖が続く半面で、法学部の偏差値が高くなっている。日本の産業界は、専門家を求めるのではなく、ジェネラリストを求めているのだ。 新しい時代を切り開く人材は育成されていない。政府の「働き方改革」にも、「人づくり革命」にも、ここで述べたような視点はない。 日本の大企業の劣化は、個々の企業の問題というよりは、社会体制の問題であり、人々の考え方の問題である。問題の根は極めて深く、簡単に解決ができるものではない。 gendai.ismedia.jp/articles/-/52940
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