- 950 名前:代打名無し@実況は野球ch板で mailto:sage [2008/10/22(水) 15:53:46 ID:zZLlU+0L0]
- 3点差。9回裏。サード。
いつもの居場所。いつものように土をならして、前を見た。 もしかしてこのCS、ボールに触れないで終わるのかもな。 もしそうだったら、あとでいい笑い話にな……らないな。笑えない… ビール掛けとか、俺今年たいしたことしてないし…はじっこで一人で掛けてようかなあ。 まあ、いいや。とりあえず胴上げで真ん中行かなくちゃな。 『フォアボール!さあこれで二死満塁です!!』 マウンドには守護神マイケル。 簡単にツーアウトを取って見せるも、その後連打を許し、さらにストレートの四球を与えてしまった。 『もつれにもつれたCS第二ステージ。この第6戦、勝者が日本シリーズに駒を進めます!』 そう、あとアウト一つを取れば勝てる。 だが、相手にホームランが出ればサヨナラだ。 『ボール!よく見ました!さあこれでフルカウント!!次の一球が、全てです。』 一呼吸おいて、全てが懸かった一球が、投げられた。 『打ち上げてしまった――!いやボールはサードの後方、ファールゾーン!切れるか切れるか…』 ボールがバットに当たった瞬間、頭の中で起きたフラッシュバック。 忘れたくも忘れられない、”あの日”―― 今日と同じように、エースを立てて臨んだ大一番。 最後の最後…その最後の一球を、自分は捕ることができなかった。 それが放たれた瞬間、懸命に脚を動かし身体を伸ばしたが、触れることすら叶わず、勝利は自分の頭の上を超えていった。 一瞬、時が止まった。 呆然としていた自分に、最後までマウンドに立ち続けた彼が、静かな笑みを浮かべて自身を詫びた。 何も言えなかった。 彼の背負うものの大きさを見た後、自分の薄っぺらい背中を思ったら、何もできなかった。
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