- 164 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2010/09/05(日) 00:27:04 ID:Q2gwbvi5]
- 暗黒戦争終結後、カシムはようやく家族が待つタリスへ帰ります。
その手には、苦労して買い求めた、粗末な服が握られていました。 「リーン、よろこんでくれるかな・・・あいつならきっと似合うだろうな」 そんなことを考えながら、タリスへの道を急いだのです。 しかし、家に帰ったときには、すでに何もかも遅かったことがわかります。 リーンは、病気の母や幼い兄弟たちのために、自らを奴隷商人に売ったのです。 カシムからの仕送りが途絶えたとき、もはや彼女には、他になすべき方法がなかったのでしょう。 カシムは半狂乱になって妹を探し求めます。 ワーレンの薄汚い酒場で、妹の変わり果てた姿を見つけたのは、寒い冬の日の事でした。 身も心もボロボロになって、リーンは冷たい床の上に寝かされていました。 カシムは彼女を力一杯抱きしめて、泣きながら何度も何度も、詫びました。 リーンは優しく微笑んで、そして最後に、一言だけ言い残して息絶えたのです。
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