- 1 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2007/12/28(金) 02:34:18 ID:fY+xCXjT●]
- このスレは妹萌え萌えな虹板文士さんと虹板読者さんが集うスレです。
虹板絵師さんも常時 щ(゚Д゚щ) カモーン!! で、降臨して頂けますと即時ネ申決定です。 「兄攻妹受」、「兄受妹攻」、どちらでも萌えればヽ(*´ 3`*)人(*´ε`*)ノ ベリギュー!。 さらに愛のある妹系SSなら何でもアリ!幼なじみ、従兄妹、御近所のお兄ちゃん欲しいっ子、 幼少時別離数十年ぶり再会娘、果てはドジ性格プログラムド妹メイドロボットまで何でもどんと恋! 基礎ルール 1:煽り&荒しは放置もしくはネタ化の方向でシクヨロ。 2:基本はsage進行で。メール欄にsage・孕age・不age等の記載をお願いシクヨロ。 3:SSの途中放棄は厳禁。最後まで責任をもって(;´Д`)ハァハァシクヨロ。 4:>>970辺りで次スレ設立お願いしたい
- 53 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/02/13(水) 13:20:34 ID:Y/Zk95OH]
- 妹「兄さん、今日はバレンタイン・イヴです」
兄「何だ、その妙な記念日は…」 妹「残念ながらイヴなので、今日はまだチョコをあげるわけにはいきません」 兄「その辺はキッチリしてるんだな…まぁいいけど」 妹「明日の夕飯後のデザートはチョコのお菓子を色々作りますから、楽しみにしててください」 兄「あぁ、期待してるよ。ところで、何だか甘い香りがするんだが?」 妹「それは、このホットココアの香りです」 兄「なるほど、チョコはあくまで明日まで取っておくわけだな」 妹「イヴですから。さ、冷めないうちに飲んでください。その間、私の方は…」 兄「『兄さんのホットミルクをお腹いっぱい飲ませてもらいます』なんて阿呆なことは言わないよな?」 妹「……………」 兄「……………」 妹「………兄さんのホ」 兄「黙れ」 妹「 (´_J`) 」
- 54 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/02/14(木) 01:29:22 ID:MY7nj1pj]
- >>53
久々にktkr!!!!!!111
- 55 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/02/14(木) 11:33:33 ID:bpmGORTY]
- 妹「という訳で、いよいよバレンタインデーです」
兄「…正直、大昔の修行僧でももう少しマシなもの食ってたんじゃないかと思うくらい物足りない夕食だったが… このチョコ尽くしのデザートを見ると、何だか納得だな」 妹「丹精込めて作りましたから。さぁ、たくさん食べてくださいね」 兄「あぁ、では早速…(パクッ もぐもぐもぐ)…うん、甘さ控えめでちょっとホロ苦なのが俺好みで良いな」 妹「当然です、愛 が込められてますから。ほら、どんどん食べてください」 兄「お、おぉ……はぁ〜、この紅茶も美味いや」 妹「当然です、愛 が込められてますから」 兄「……何か妙な間が無かったか? お前、まさか怪しい薬とか入れてないだろうな? 例えば………その……媚薬とか…」 妹「そんな訳ないじゃないですか。確かに私は我ながら色んな意味で暴走気味ですけど……媚薬だなんて…」 兄「そ、そうだよな。いくらお前でも、そんなものを入れるようなことはしないよな、ハハハ」 妹「そうですよ。私が入れたのは媚薬じゃなくて愛液で」 兄「訴えてやるッ!!!」 妹「 (´_J`) 」
- 56 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ [2008/02/20(水) 02:00:33 ID:cg25lvvP]
- 紫煙age
- 57 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/02/26(火) 05:12:22 ID:k7Zk/+CL]
- ほしゅ
- 58 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/02/26(火) 19:21:23 ID:z4urg6Va]
- 妹を暴行して兄逮捕
sbc21.co.jp/news/index.cgi?page=seventop&date=20080224&id=0131125&action=details
- 59 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/02/29(金) 07:09:23 ID:lQLZCWmk]
- いまさらですが、バレンタインの話を書いてみたので投下したいと思います
ヘタクソな文章ですが、よかったら読んでやってください
- 60 名前:59 mailto:sage [2008/02/29(金) 07:11:21 ID:lQLZCWmk]
- 1月31日
夜11時、その家で起きているのは兄と妹だけだった。二人の親はすでに眠りについていた。 ユウコは居間でコタツに入りながらTVを見ていた。 そこへ兄がやってくる。 「はぁ、もう二月かよ」ケンイチは壁にかかっているカレンダーの1月を破りとった。 「ホント、あっと言う間だったよねぇ」TVから目を離さずにユウコは言った。 「まあ早いのは別にいいんだけどな、どうせなら一気に三月くらいまで過ぎてほしいんだけどな」 「なんでよ?二月って何か嫌なことでもあるの?」そう言って、ユウコは兄のほうを振り返る。 「なんかいろいろと面倒くさくないか……節分で投げた豆拾うのとか、花粉症の季節とか、とにかくなんかいろいろあるだろ」 「あと、バレンタインもあるじゃん」 「……ああ、そうだな」 ユウコはその微妙な間に兄の考えを読み取った。 「あ、なるほどねぇ」意地悪な笑顔を浮かべて兄を見る。 「なんだよ、なるほどって」
- 61 名前:59 mailto:sage [2008/02/29(金) 07:14:35 ID:lQLZCWmk]
- 「つまりお兄ちゃんはひがんでるわけだ、自分がチョコもらえないから」
「べつにそういうわけじゃあ……」 「だって、うち節分に豆まかないし、お兄ちゃん花粉症でもないじゃん」 「……そうだよ、俺はバレンタインが嫌いなんだよ。悪かったなひがみっぽい兄、でッ」 最後の一声と共に切り取ったカレンダーを丸めたものを妹に投げつける。 見事にユウコのおでこに当たる。「イタッ」と言って、ユウコは抗議のまなざしで兄をにらんだ。 ケンイチはほくそ笑みながらコタツに入る。 「まあでも、スキでもない女からチョコもらうよりいいけどな。お返しとか面倒だし」 「そんなこと言って。本当はチョコ欲しいくせ、にッ」 仕返しとばかりに、さっきのゴミをユウコが兄に投げる。 「すごくね」 ケンイチはそれを難なくかわし、後方へ飛んでいったゴミへと顎をしゃくり妹へ合図する。 ほほを膨らませユウコはコタツを出る。
- 62 名前:59 mailto:sage [2008/02/29(金) 07:21:01 ID:lQLZCWmk]
- ユウコがゴミを捨てて戻ってくると、兄は寝そべってコタツに腰までもぐりこんでいた。TVのチャンネルも勝手に変えていた。
そんな兄の姿を見てユウコは軽い怒りを覚える。ユウコは兄に近寄り、身をかがめて顔をのぞき込む。 「それで、そのようすじゃ今年もチョコもらえそうにないんだ」妹は言った。 「なんでそんなにうれしそうに聞くんだよ」ケンイチは妹を見上げる。 「いやだなぁ、大切な兄のこと心配して聞いているんだから」そう言うユウコの顔は露骨ににやけている。 「余計なお世話だ。あ〜あ、なんでこんなにモテないんだろうなぁ」 「心配しないでお兄ちゃん、優しい妹がちゃんとお兄ちゃんのチョコを用意してあげるからね」 ユウコは小さい子供にやるように兄の頭をなでる。 「別にお前からのチョコはもういらないかなぁ」 「えっ、何でよ?どうして!?」兄の言葉を聞き、ユウコは跳ねるように立ち上がる。 「そんなに驚くことないだろ。別にたいした理由はないけど……お前も大変なんじゃないか、って思ってね。 兄に金使うより、本命にでもその分をまわしてガンバってくれという兄からのエールだ。いい兄だろ?」
- 63 名前:59 mailto:sage [2008/02/29(金) 07:24:17 ID:lQLZCWmk]
- 「どうかな……なんか押し付けがましいよ。それに本命には毎年ちゃんと渡してますんで、ご心配なく」
そう言って、妹はコタツに入る。 「まあ、あとは俺のポーズの問題かな」兄は体を起こしてコタツに向く。 「何よポーズの問題って?」 「なんというか、バレンタインに対する心構えみたいな。 この年になって、家族チョコしかもらったことがないなんて悲しすぎるだろ。 だからいっそのこと、チョコを全部断っていることにすれば格好いいかなって。なんか硬派な感じがするだろ?」 そう言って、ケンイチはユウコの方を向きすこし気取った風に笑ってみせた。 「バカみたい」妹は言った。「だいたい家族チョコってなによ?」 「家族チョコは家族チョコだろ。家族ってだけでもらえるやつ。本命、義理って来て一番下に家族チョコ。 誰でももらえるからチョコの価値は低くて、まあ、残念賞みたいなものだな」 「残念賞って、ちょっとなにそれっ!いままで私からのチョコそんな風に思ってたの!!」 「なんだよ、お前だって本当は家族にチョコ渡すの面倒くさいって思ってたんだろ?」 「面倒くさいなんて思ったことありませんっ!」
- 64 名前:59 mailto:sage [2008/02/29(金) 07:31:38 ID:lQLZCWmk]
- ユウコはコタツのテーブルを両手で叩いた。激しい音が鳴り、テーブルが一瞬浮いたほどだ。
驚いたケンイチがユウコの方を見ると、険しい形相でこちらを見ている妹に気づく。 正面から目が合って、ケンイチはあわてて目をそらした。 「そういえば、確かに包装は毎年凝ってたような気がするな」 ケンイチはそう言って妹の機嫌をとろうとしたが、ユウコは黙ったままだ。 TVから流れる音だけが場違いに部屋に響いていた。 ケンイチは沈黙に耐え切れなくなり目だけ動かして妹のようすを探る。 視界の端で見た限り、妹は顔を伏せているようだった。 それならと、ケンイチは思い切って妹へ顔を向けて言った。 「お前誤解してるよ。つまり俺が言いたかったのは、家族チョコは挨拶みたいなものだってこと。 『あはよう』、『おかえりなさい』、『家族チョコどうぞ』みたいな。 家族チョコは気持ちじゃなくて形式が大事だって言うのかな?。 そういうことをすることで家族のコミュニケーションが豊かになるという重要な役割があって、 だからバレンタインの贈り物としての価値が最低でも全然問題ないという……」
- 65 名前:59 mailto:sage [2008/02/29(金) 07:34:15 ID:lQLZCWmk]
- 「もういいっ、もう何も言わないでっ!」
兄の話をさえぎって、ユウコは立ち上がる。唖然とする兄を見下ろしながら、ユウコは言った。 「わかってない、お兄ちゃん全然わかってないよ。今までの私の気持ち、ぜんぜん伝わってなかったんだね。 わかろうともしてくれなかった。こんなんじゃ女の子からチョコなんて貰えるわけないよ」 「なんだよそれ?全然関係ないだろ」 急に自分の話題が出てケンイチはつい反発してしまう。 「大アリなの!だいたい、今まで一度だってホワイトデーのお返しくれたことないじゃない」 「ハッ、家族チョコにいちいちお返しなんてしてられるかっての」 言いながらも自分の言葉を悔いるケンイチ。やめろ、そんなことが言いたいわけじゃない。 彼の口はそんな頭からの命令を無視して続けた。 「でも、これでわかったぞ。結局お前はホワイトデーのお返しがほしくて俺にチョコ渡してたんだな。 お返しが欲しいなら欲しいと最初からそういえばよかったのにな」
- 66 名前:59 mailto:sage [2008/02/29(金) 07:36:20 ID:lQLZCWmk]
- 「サイテー、マジ最低ッ。もーいい、二度とお兄ちゃんにチョコあげないんだから。
他の女の人からだってもらえるもんか! 一生、一人でバレンタインのことひがんでいればいいんだッ、バカーッ!!」 そう言って、妹は部屋を出て行った。 「なんだよ、あれ……」 部屋には、なぜ妹が怒り出したのかわからずに途方にくれる兄が一人残ったのだった。
- 67 名前:59 mailto:sage [2008/02/29(金) 07:46:42 ID:lQLZCWmk]
- 今回はここで終わりです
続きはありますが、まだ書けていません 今頃、バレンタインの話を投稿したことでもわかるように、 書くのが遅いので次に何時書き込めるかわかりません でも、なるべく急ぐようにします どうか、気長に待ってやってください あと、最後まで言ってもエロ展開はないのであしからず
- 68 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/02/29(金) 21:49:19 ID:IeVC7MEy]
- >>67
久々の新作キタ! なかなか読みやすい文体でいいんでないかい? でもエロは入れて欲しいっすねw
- 69 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/01(土) 00:41:45 ID:FBdyD4o8]
- 何でエロパロじゃなく角二で…?
- 70 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/01(土) 01:00:27 ID:uAo0sS/p]
- たまに絵師さんが来てくれるから
- 71 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/03(月) 11:55:18 ID:juUQ6/Dk]
- 妹「兄さん、雛祭りです」
兄「こっちは、ついさっき飾り付けが終わったところだ……速攻で片さなきゃならんけど」 妹「いっそ出しっぱなしでも全然問題ありませんよ?」 兄「(無視)さて、飾り付けの次は飯の用意でもするか。定番は、蛤のお吸い物とかだな」 妹「兄さん、それなら私の蛤を」 兄「もう買ってあるから。砂抜きもバッチリだから。後は、ひし餅と…」 妹「兄さん、ここに菱餅ならぬ乳餅が」 兄「もう買ってあるから。既にひな壇に飾ってるから。それと、ひなあられと…」 妹「兄さん、こことここに合わせて三粒のひなあられが」 兄「もう買ってあるから。老舗で買ってきたから。それと…」 妹「兄さん、是非とも兄さんの白酒を」 兄「もう買ってあるから。ちなみに昨日の夜で白酒工場は一時休業だから」 妹「 ・゜・(ノД`)・゜・。 兄さんのバカ―――――ッ!!!!!」(ダダダダダダダッ!) 兄「……勝った…」
- 72 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/03(月) 21:40:38 ID:/faUk2hV]
- 勝ち負けってレベルの問題じゃねぇ!w
- 73 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/04(火) 02:43:17 ID:HqL1xpTG]
- むしろ兄に萌える件について
- 74 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/04(火) 09:17:37 ID:GY37ShKA]
- スレ移ってたの気付かなかった…
>>48 ncode.syosetu.com/n3341d/
- 75 名前:1/3 mailto:sage [2008/03/05(水) 14:34:49 ID:av4TPM/O]
- 風呂
兄「ふぅ……しかし、あいつも来年は受験だっていうのに… 俺が言うのもアレだが、もうすこし兄離れしてもらわないとなぁ」 妹「……………」
- 76 名前:2/3 mailto:sage [2008/03/05(水) 14:36:09 ID:av4TPM/O]
- リビング
妹「兄さん。お話があるんですけど、隣座っていいですか?」 兄「(きた……突き放すのもアレだけど、ここで甘やかすと良くないからな…) 別にかまわんが、あまりベタベタくっつくんじゃないぞ」 妹「はい………それで、お話なんですが」 兄「あぁ、何だ? 聞くだけ聞いてやろう」 妹「実は、下校時にナンパというものに遭遇したんです」 兄「(ピクッ)……そ、そうか…」 妹「少し軽薄そうな人だったので、すぐにお断りして帰ろうとしたんですが その人が妙に諦めが悪くて、『お茶だけで良いから』等と言いつつしつこく誘ってきて…」 兄「ふ、ふ〜ん………それで?」 妹「あまり付きまとわれるのもうんざりだったので、まぁ少しお茶するくらいなら、と…」 兄「! まさか、付いて行ったのか!?」 妹「ちょうどおあつらえ向きの場所があったので、じゃああそこにしましょうか?と…」 兄「お、お前……」 妹「交番を指差してそう言いながら睨みつけたら、逃げるように去っていきました」
- 77 名前:3/3 mailto:sage [2008/03/05(水) 14:36:36 ID:av4TPM/O]
- 兄「……………」
妹「どうしたですか、兄さん? 何だか落ち着かない様子ですけど」 兄「い、いや……何でもない… ……ま、まぁお前のことだから大丈夫だとは思うが、そういうような輩には絶対付いて行くんじゃないぞ?」 妹「判ってます。兄さんに心配をかけるような真似はしませんから あ、そうだ。今日は宿題が出てたんだっけ……それじゃあ、私は部屋に戻りますね」 兄「あ、あぁ……あ、それと」 妹「? 何ですか?」 兄「何かあったら、すぐに逃げるか助けを呼ぶかしなさい。場合によったら俺に連絡すれば飛んでいくから」 妹「はい。私が一番頼りにしているのは兄さんですから(ニコッ)」 兄「そ、そうか…(照) ………しかし、そんなナンパ野郎がいるのか……こりゃ『兄離れ』なんて言ってる場合じゃないな…」 妹「……………(ニヤリ)」
- 78 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/05(水) 16:06:05 ID:LftbxziY]
- 妹策士
- 79 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/11(火) 05:15:12 ID:NTv0c96P]
- ほしゅ
- 80 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/11(火) 12:32:37 ID:QcSZQ3P5]
- ホシュ
- 81 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/11(火) 13:51:51 ID:RkkWvsxi]
- 兄「…妹に悪い虫が近づかないようにしてるのも、保守と言うんだろうか?」
妹「私の貞操も、兄さんの為にバッチリ保守して」 兄「黙れ」 妹「 (´_J`) 」
- 82 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/11(火) 19:37:46 ID:hYk8rT/h]
- 俺の部屋にあった「みゆき」と「ぼくのマリー」を読んだらしく
どうもここ数ヶ月妹の態度がおかしい…
- 83 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/12(水) 01:54:58 ID:vciHKsDY]
- kwsk
- 84 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/12(水) 13:36:30 ID:A6zKM9tQ]
- それは、たった二行から始まった兄妹の物語…
- 85 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/14(金) 13:58:41 ID:oSKVDVcG]
- ほしゅ
- 86 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/14(金) 21:46:00 ID:XUKX+XW3]
- 〜始まらない兄妹の物語〜
=完=
- 87 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2008/03/19(水) 00:25:43 ID:FqJEI2BO]
- 夜中に急に眼が覚めたと思ったら執筆神が降臨してました。脳内に。
↓
- 88 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2008/03/19(水) 00:27:51 ID:FqJEI2BO]
- goodbye, sister.
君に送るお別れの言葉。 ホントの想いを何一つ伝えられなかった僕からの。 最初で最後のmessage. I say. goodbye, sister. 色んな想いを込めて。 全てが君に届くとは思わないけれど、今。 君へ送るこのgoodbye.
- 89 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2008/03/19(水) 00:29:58 ID:FqJEI2BO]
- ―――始まりはいつからだろうか。
そんなことはもう忘れてしまったよ。 もしかしたら初めて出逢ったあの日から恋に落ちていたのかも? いつか叶わない想いの果てに絶望を知ることも知らずに。 無邪気に、ただ無邪気に君だけを想っていた。 本当は全てを知っていたくせに。 本当は何も知らなかったくせに。
- 90 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2008/03/19(水) 00:33:00 ID:FqJEI2BO]
- 時は流れ。
ただ笑い合う日々の中にも変化が生じて。 君のOne and Onlyはいつしか僕じゃなくなってたんだ。 「ただ君に愛されてたい」 何もapproachせずにそれはちょっとワガママじゃない? でも結局何も言い出せないまま。 ―――今、最後の時を迎える。
- 91 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2008/03/19(水) 00:35:35 ID:FqJEI2BO]
- goodbye. sister.
今まで僕が君にあげられたもの。 どうかどうか忘れずに、僕の分も幸せになってほしいよ。 now I say. my dear sister. 何一つ君に伝わらなくても。 あの日のように君が笑っていられるならそれでいいと思えるから。
- 92 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2008/03/19(水) 00:37:43 ID:FqJEI2BO]
- goodbye, sister.
君に送るお別れの言葉。 ホントの想いを何一つ伝えられなかった僕からの。 無限の愛を込めて届けるLast message. I say. goodbye, sister. 色んな想いを込めて。 今更何一つ君に届くとは思わないけれど、今。 それでも君に届けたいと願うこのLast message is goodbye.
- 93 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2008/03/19(水) 00:47:39 ID:FqJEI2BO]
- …以上です。どうやら降りてきていたのは兄殺しの神だったようです。いつもの事ですか。
幾分前に書いた「please stand up sister.」に似た系列になりました。 音楽で例えると前回はロックっぽい感じ、今回はラップポップ(そんなジャンルあるの?)みたいな感じ。 読み手側にメロディーが伝わるかどうかは書き手のスキル次第ということで、諦めてください(← エロ担当は謹んで (´_J`) の方と59氏に丸投げさせて頂きますw それでは(´ω`)ノシ
- 94 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/19(水) 13:30:59 ID:gFbT8K37]
- >>93
妹「……何だか切ないですね、兄さん」 兄「そうだな……俺も、せめて後悔だけはしたくないな」 妹「兄さんも、心に秘めている私への想いを遠慮なくぶつけていいんですよ?」 兄「ん……まぁ、その…なんだ……お前が望むなら、兄はいつでもお前の傍でお前の事を守ってやるからな…(照)」 妹「嬉しいです、兄さん………実は、私も兄さんに伝えたいことがあるんです」 兄「へぇ、何だ?」 妹「確実に着床出来るように、私の排卵周期を」 兄「黙れ」 妹「 (´_J`) 」
- 95 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/19(水) 19:36:00 ID:r8Zgp4Bi]
- バロスwww
- 96 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/19(水) 21:17:17 ID:69fe79aD]
- >>94
230さんの切ない文章がこっぱみじんwww
- 97 名前:59 mailto:sage [2008/03/20(木) 01:07:52 ID:/cP1LA7G]
- 2月14日
夜7時、私は夕飯を食べに食堂へ向かった。 他の家族はそろっていたが、そこにお兄ちゃんはいなかった。 夕飯を食べ終わると私はすぐに部屋に戻った。 クローゼットの奥から綺麗なリボン飾りの付いた紙包みを取り出した。 あの出来事の後、私はお兄ちゃんへのプレゼントを買いに行ったのだ。 お兄ちゃんの言ったことにちょっとへこんだけど、だからといってプレゼントを止めようとは思わなかった。 すごいプレゼントをあげて見返してやる、なんて考えていつもよりやる気が出てきた。 やる気はプレゼントの値段に反映した。 お財布は軽くなったけど、お兄ちゃんがプレゼントに喜ぶ姿を想像して期待で胸が膨らんだ。 早くバレンタインになればいいのにと思っていた。
- 98 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/20(木) 01:11:27 ID:/cP1LA7G]
- だけど、実際にバレンタインが近づくにつれて不安になってきた。
気がつくとあのときのお兄ちゃんの言葉を思い出してしまう。 私もお兄ちゃんにひどいことを言ってしまった、ような気がする。 興奮していたので言ったことを正確には覚えていないけど、 二度とプレゼントをあげないと怒鳴ってしまったことは覚えていた。 お兄ちゃんのために立派なプレゼントを用意したつもりだ。 でも、そのことですら気がかりになってくる。 家族への贈り物としては高価すぎる気がしてきたからだ。 考えれば考えるほど心配事が思い浮かんできた。 これではだめだ、何とかしようと思って、まずはお兄ちゃんと話をしようと考えた。 話をして、あのときのことをちゃんと謝って、プレゼントを用意していることを伝えたかった。 でも、あれ以来お兄ちゃんとまともに話をしていない。話どころか顔をあわせることもなくなっていた。 私にはお兄ちゃんが会うことをわざと避けているように思われた。 お兄ちゃんはそこまで私のことを嫌いになってしまったのだろうか? 結局お兄ちゃんとは何も話せないままバレンタインになってしまった。
- 99 名前:59 mailto:sage [2008/03/20(木) 01:13:21 ID:/cP1LA7G]
- 私は紙包みを机の上に置いて椅子に座った。紙包みを眺めながら考えをめぐらせる。
このままお兄ちゃんにこれを渡してもいいのだろうか、と。 渡したいという気持ちは強かった。 もし今日渡せなかったら、今年は渡せずじまいになってしまう。 それどころか二度と渡すチャンスがなくなってしまうような気がしていた。 しかし、お兄ちゃんが私のことを嫌っているかもしれない今、プレゼントを渡しても素直に喜んでくれるとは思えない。 私は兄がプレゼントに納得するような理由を考えようとした。 でも、二人が家族であるということ意外思いつかない。 お兄ちゃんは家族からのバレンタインはいらないと言ったのだ。 これではだめだ、他の理由を探さないと。こじつけでも何でもいいので理由が欲しかった。 まるで答えのないなぞなぞを解こうとするかのように、私は必死になって考えた。 ふと時計を見ると10時になろうとしていた。いつの間にか3時間近く悩んでいたことになる。 頭の使いすぎで、鉛でも詰め込まれたかのように頭が重かった。
- 100 名前:59 mailto:sage [2008/03/20(木) 01:16:58 ID:/cP1LA7G]
- 気分を変えようと考えて、私は椅子から立ち上がり軽く伸びをしてベッドにうつぶせに倒れこんだ。
枕を胸に引き寄せて軽く抱きしめ、目をつぶり兄のことを想う。 想像の中のお兄ちゃんはいつも優しくて、私の望むままに動いてくれる。 今、私はプレゼントを差し出す。 お兄ちゃんは私からのプレゼントを受け取り、私が思うとおりに驚き、そして喜んでくれていた。 お兄ちゃんは「ありがとう」と言って、私の頭を優しく撫でてくれる。 私はうれしくなって、目の前のお兄ちゃんの胸にしがみついてしまう。 お兄ちゃんは驚いたようすで撫でていた手を止めた。 私が見上げるとお兄ちゃんは微笑みを返してくれて、 お兄ちゃんは私の背中に腕を回し、やさしくその胸の中に引き寄せてくれた。 私はこのまま時間が止まればいいのにと思いながら、お兄ちゃんにすべてを預けた。
- 101 名前:59 mailto:sage [2008/03/20(木) 01:19:58 ID:/cP1LA7G]
- 目が覚めて、いつの間にか眠っていたことに気がついた。
近くにあった目覚まし時計を引き寄せる。12時を少し回っていた。 目覚めたばかりの頭ではその意味するところがわからずに、しばらく時計を見続けた。 やがてバレンタインはすでに終わってしまったことに気づいて愕然とする。 急に鼓動が早くなり、汗が全身ににじみ出るのを感じた。 私は目覚めたばかりの重い体を無理やり起こして机へと向かう。 紙包みを手に取って、そこで一度気持ちを落ち着かせようと考えて深呼吸をする。 改めて壁掛けの時計を見ると12時40分になっていた。 大丈夫、40分過ぎただけ。まだ渡せるよ。そう自分に言い聞かせる。 迷いはまだあったが、迷っている時間はもうなかった。 もうやるしかない。 そう決めた私は紙包みを胸に抱いて目をつぶり、夢の中のお兄ちゃんをもう一度呼び戻そうとした。 いいイメージを思い浮かべて、そのままその勢いで渡してしまおうと考えたのだ。 しかし、いくらがんばってみても先ほどのような優しいお兄ちゃんは想い浮かべることはできなかった。
- 102 名前:59 mailto:sage [2008/03/20(木) 01:22:58 ID:/cP1LA7G]
- かわりに、もうプレゼントはいらないというお兄ちゃんの言葉が思い出された。
これが現実なんだよね。 そんなことを考えて、はっとして目を開けた。 そうだ、これが現実なんだ。 全身から力が抜けていくように感じられ、崩れ落ちるように椅子に腰掛ける。 私はプレゼントを渡したかったけど、お兄ちゃんはそれを望んでいなかった。 私は今までのような関係、話をしたり、ふざけ合ったり、頼ったり、笑ったり、甘えたり、 お兄ちゃんとのそんな関係をずっと続けたいと思っていたけれど、お兄ちゃんはそれを望んでいないのかもしれない。 結局、兄妹はいつか別れなければいけないということなのだろうか。 このまま私がお兄ちゃんに付きまとえばお兄ちゃんは幸せになれなくなってしまう。 だから、今の私がお兄ちゃんのためにできることといったら…… いつの間にか時計は1時まであと数分というところまで進んでいた。 私は何をすることもなく時間が流れるようすを見ていた。 1時を告げるチャイムを聞いて、私は思い切って立ち上がりクローゼットへと向かった。
- 103 名前:59 mailto:sage [2008/03/20(木) 01:25:58 ID:/cP1LA7G]
- ふと手に持った紙包みを見て思う。
毎年私がバレンタインを渡していたのはお兄ちゃんだけだったと知ったら、お兄ちゃんはどんな反応をしたのだろう?と。 その答えが知りたい気もしたけど、もう私には関係のないことだと思い直してそれ以上考えることはやめておいた。 「これでいいんだよね、お兄ちゃん……」 私は紙包みをクローゼットの奥にしまいこんだ。
- 104 名前:59 mailto:sage [2008/03/20(木) 01:32:16 ID:/cP1LA7G]
- 遅くなってすみませんでした
あと1回で終わりそうなのでもう少しお待ちください 本当はホワイトデーまでに全部終わらせるつもりだったのにな…… >>68,93 すみません、この話には入りませんでした 次のにはエロ入れるつもりです いつ書けるか、わかりませんが……
- 105 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/20(木) 02:53:23 ID:ZtElexow]
- GJGJ
失恋系妹話が好きな俺にとってはかなり楽しめてるぜ今のところ 続き期待
- 106 名前:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY mailto:sage [2008/03/24(月) 22:34:24 ID:v02Q3TQf]
- ほしゅがてら。
>>94 (´_J`)<流石だな兄者 >>104 (ι゜ω゜) GJ! すっかり改行癖が付いちゃってる自分のと違ってぎっちりと内容も濃くて(ι゜ω゜)ィィ・・・! エロ分は謹んで投げてるので是非頑張って頂きたいところでw
- 107 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:24:10 ID:aeyuC3nI]
- 3月14日
よる11時、居間にて。 ユウコは一人、TVをつけずにうつぶせになり腰までコタツにもぐりこんでまどろんでいた。 ケンイチが部屋に入ってくる。まっすぐに妹に近づいて、そのすぐ側で立ち止まった。 ユウコは目を閉じて動かない。眠っているのだとケンイチは考えた。 「なあ、ユウコ、おきろ」 「なによっ」 ユウコは急に上半身を起こして言った。ケンイチは思わず一歩後退る。 「なんだよ、寝た振りか。起きてるなら返事くらいしろよ」 「いいじゃない、私の勝手でしょ」 ユウコは体を起こしてコタツへ向かい直る。 「で、何の用?」 「えっと……これなんだけど」 そう言って、ケンイチは体の後ろに隠していた小さな箱をユウコへ差し出した。 「なにこれ?」 「だから、あれだよ、……ホワイトデー」
- 108 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:25:52 ID:aeyuC3nI]
- 「エッ?」
ユウコは兄の顔を見上げる。 ケンイチは微妙に視線をそらしていた。その顔はすこし紅潮している。 「だから、バレンタインのお返しだよ。ほら取れよ」 ケンイチは手に箱をさらに妹のほうへ突き出した。 「ありがとう……」妹は戸惑いながら受け取って、言った。「でも、なんで?」 ケンイチは空になった手で照れくさそうに頭をかいた。 「お前の言ったこと考えてみたんだ。ほら覚えてるか、二月の頭くらいに言っただろ。 俺がホワイトデーのお返しを一度もしたことがないって。 確かにお前の言うとおりだ。怒って当然だよな。 だから一度ちゃんとお返しをしようと思って、それでな。 ぶっちゃけると、今年のバレンタインに1個も貰えなかったのが辛かったよ。 今までお前から貰うのが当たり前になってたからなぁ。全然もらえないっていうのがなんかさびしくて。 それで思ったんだ。もしかしてお前もホワイトデーにお返しを待っていたのに何もなくて、さびしい思いをしたんじゃないかって」
- 109 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:27:47 ID:aeyuC3nI]
- ユウコは兄からの贈り物を両手で大切そうに持ち、それを見つめながら言った。
「わたし、嫌われてるのかと思ってた。お兄ちゃん最近わたしのこと避けているみたいだったから」 「お返しのことは秘密にしておきたかったし、それに、あんなこと言ったからなんだか顔が合わせ辛くて」 ケンイチの言葉を聴いてユウコの顔から笑顔がこぼれた。 久しぶりの妹の笑顔にケンイチはなんだか安心する。やっぱりプレゼントしてよかったと思う。 「ねえ、開けていい?」 ユウコは言った。 「ああ、あけろあけろ」 ケンイチは自分もコタツに入りながら言った。 ユウコは包装を丁寧に取り外して、箱を開ける。 「わぁ、クッキーだ」 「まあ、たいした物じゃないけど、こういうのは気持ちだから」 「ハート型の」 「……」 「LOVEって書いてある。これって本命用かな?」
- 110 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:29:49 ID:aeyuC3nI]
- 「そっ、それは違うんだ。デパートの売り場探したんだけどいっぱいありすぎて迷っちゃって。
で、おすすめって書いてあるの買ってきたんだ。だから、中身とかよく確かめてなくて……」 耳まで真っ赤になって必死に言い訳する、そんな兄をユウコはカワイイと思って見ていた。 「すごくうれしいよ、お兄ちゃん。ありがとう」 ユウコのお礼に、ケンイチは短く「おう」と答える。 ふと会話が途切れた。しばらく静寂が二人を包み込む。 「じゃあ、俺行くわ」 なんだか居ずらさを感じて、ケンイチはコタツから出て立ち上がろうとする。 「あ、ちょっとまってて」 ユウコは兄を制して立ち上がり、どこかへ行ってしまう。ケンイチは再びコタツに入って待つことにする。 しばらくしてユウコが戻ってくる。なんだかとてもうれしそうだ。顔から笑みがこぼれている。 ユウコは兄の隣に座った。 綺麗なリボン飾りの付いたノートぐらいの大きさの紙包みを胸に抱えるようにして持っていた。 ユウコはケンイチに向かってそれを差し出した。 「はい、バレンタインプレゼント」
- 111 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:31:47 ID:aeyuC3nI]
- 「バレンタイン、今頃か?」
「なんだか渡すチャンスがなかったから……」 ケンイチは紙包みを受け取って、まずその軽さに驚いた。それに触った感触もおかしい。 よくあるような箱に入ったバレンタインのチョコ、という感じではない。もっと、柔らかい感じだった。 ケンイチは紙包みを振ってみた。カサカサと音がする。 「それ、チョコじゃないから」 ケンイチのようすを見ていたユウコが言った。 「チョコじゃないなら、なんなんだ?」 「うん、マフラー」 「マフラー、って高かったんじゃないのか?」 「ちょっとね。だってお兄ちゃん、チョコは惨めだから嫌だって言ったでしょ。 だから今年はチョコじゃないものにしたの」 あれはそういう意味じゃなかったんだけどな、とケンイチは心の中でつぶやく。 「でも、マフラーか……俺マフラー嫌いなんだよね」 ケンイチは言った。
- 112 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:33:46 ID:aeyuC3nI]
- 「えっ!?」
「なんか、毛糸が皮膚に当たるとちくちくしてさ。それに首になんか巻くってのが苦手で。なんか息苦しくて……」 そう言いながら妹を見て、ケンイチは驚く。妹の眼から涙がこぼれていた。輝くしずくが頬を伝わって落ちてゆく。 ユウコ自身も気づいていなかったらしく、ケンイチの驚く顔を見て自分が泣いていることに気づく。 ユウコは立ち上がり兄に背中を向けた。 「えっ、なんだ、どうした?」 ケンイチは妹を見上げて言った。 「私、また失敗しちゃった。お兄ちゃんの嫌いな物プレゼントするなんて。 こんなものもらってもうれしくないよね。 やっぱりプレゼントあげなければ良かった」 その言葉を聞いて、ケンイチはまだお礼を言っていないことに気づく。 お礼より先にプレゼントに文句を言うなんて俺はなんて馬鹿なんだ。ケンイチは自分の無神経さに情けなくなる。 「いや、プレゼントはうれしいよ。本当だぞ」 「無理しなくていいよ。本当はわかってたんだ。お兄ちゃん、妹からのプレゼントはいらないって言ってたのに。 それなのに、私、こんなプレゼント勝手に用意して困らせてる」
- 113 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:35:46 ID:aeyuC3nI]
- 「そんなこと思ってないって」
思っていたよりも近くから声がしてユウコは息を呑んだ。いつの間にか、兄はすぐ後ろに立っていた。 「あれは俺が間違ってたんだ。自分のことばかり考えてプレゼントをする人の気持ちを考えてなかった。 だから、お前は悪くないよ」 「でも、今だっていきなり泣いちゃって、お兄ちゃんを困らせてる。ウザイ妹だ、って思ってるんでしょ」 「そりゃ驚きはしたけど……なあ、いいか」 ケンイチは妹の肩に手を置いた。小さな肩がわずかに震えていた。 「こんなこと兄が言ったらまずいかもしれないが……お前は可愛いよ」 ユウコにとって兄の言葉はまったくの驚きであった。 夢の中で想い描いたようなことが、今現実に起こっていることに胸が一杯になる。 自分の頬を次々と熱いものが流れていくのを感じた。それが自分の涙だとわかっても感極まって動けずにいた。 「プレゼントありがとうな、ユウコ」 ケンイチは言った。 その言葉に少し我を取り戻したユウコは肩に乗った兄の手に自分の手を重ねる。 それに応えるように兄の手に力がこもるのをユウコは感じていた。
- 114 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage 嫌な予感w [2008/03/26(水) 13:36:27 ID:OAIgBHqf]
- (´_J`)<支援
- 115 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:42:01 ID:aeyuC3nI]
- だめだな、私って。
お兄ちゃんのことあきらめようとしたんだけど、できそうにないや。 ううん、それどころか今は前よりももっと…… ユウコははっとする。 もっと何だというのだろうか?そう自分に問いかける。 答えはすぐに出た。 そんなのはわかりきっている。もっと好きになったんだ。 いままで、私はお兄ちゃんとただ兄妹でいたいだけって思っていたけど、本当はそうじゃなかった。 今ならはっきり言える。私はお兄ちゃんのことが好きだったんだ。 こんな簡単なこともわからなかったなんて、っとにダメだな、私って……
- 116 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:46:56 ID:aeyuC3nI]
- 「なあ、ユウコ」
兄の呼びかけがユウコを現実に連れ戻す。 今度はどんな発言をするのか、ユウコは気になって耳をそばだてる。 ところが…… 「そろそろコタツに戻らないか?なんだか寒くなってきちゃって」 ユウコの手が兄の手に乗っているせいで、兄が動けずにいることはわかっているのだが、 いまいち空気を読めていない兄の発言に 「寒いならマフラーでも巻いておけばいいのに」 なんて文句をユウコは頭の中で考えてしまう。 今の発言でユウコの中にあった兄の理想化されたイメージは吹き飛んだ。 ここにいるのは自分勝手でモテナイ、毎年バレンタインに家族からしかチョコをもらえない男だと気づく。 でも、ユウコの気持ちは変わらない。 ユウコが今まで愛おしさを感じてきて、これからも一緒にいたいと願っているのは、 このほかでもないケンイチだった。 想像の兄をちょっと格好よくしすぎたことにユウコは反省する。
- 117 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:53:10 ID:aeyuC3nI]
- ユウコが手をどかして、ケンイチの手がユウコの肩から離れる。
一通り涙の後始末を済ませてからユウコは振り向いた。すでに兄はコタツに戻りプレゼントを開け始めていた。 まだ目が腫れぼったいような気がしていて、それを見せないように顔を少し伏せながらユウコはコタツに入る。 ケンイチは包装を開けるのに苦労しているようだった。せっかくの綺麗なラッピングがめちゃくちゃになっている。 こういうことは相変わらず雑だな、とユウコは思った。 いっそのことユウコ自身が開けてあげたいと思ったが、実際に手を出すことはやめて見守ることにした。 やっとのことでケンイチはマフラーを取り出した。それを目の前で広げて、言った。 「で、いくらした?」 「もう、他に言うことがあるでしょ」 「いや、真面目に。あんまり高いもの貰うのも、なんか悪いし」 妹はドキリとする。 「やっぱり迷惑?」 「そう言うわけじゃないけど。あんまり無理するなって話だよ。お前の気持ちは伝わってるんだから」 「いままで伝わってなかったでしょ。だから奮発したんじゃない」
- 118 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 13:58:57 ID:aeyuC3nI]
- 「えーと……」
ケンイチが気まずくなって目をそらしていると、つぶやくような小声で妹がなにか言うのが聞こえた。 「本当の気持ちはまだ伝わってないけど……私だってさっき気づいたばかりなんだから」 「なに?」 「別に。もういいじゃない、せっかくのバレンタインなんだから。何もいわずにもらってよ」 「もらうよ。もらうけどさ、せっかくのバレンタインなんだから兄じゃなくて他のところににお金かければいいだろうに。 お前って変わってるよな」 「うん、そうだね。でも、自分が変わっているって気づいた人は幸せなんだよ。 だって、もう自分の気持ちにウソついて悩むことがないんだから」 「どうしたんだ、急に?なんか悟っちゃって」 「そう?だとしたら、それはお兄ちゃんのおかげかな」 「ん、どゆこと?」 「知りたい?」 「ああ」
- 119 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 14:04:37 ID:aeyuC3nI]
- 「じゃあ、ヒントね。……ねえ、お兄ちゃん。私が毎年あげてたチョコは『家族チョコ』じゃなかった、って言ったらどうする?」
探るような視線を兄に送りながらユウコは言った。 「『家族チョコ』じゃない?それって俺が『家族チョコ』のことを悪く言ったから、 それと一緒にされたくない、ってことか」 「んー、そうじゃなくて。なんて言ったらいいのかな……私はいつも一人だけにしかチョコを渡してなかったの」 「そういえば毎年本命に渡しているって言ってたな」 「そうそう」ユウコは思わず身を乗り出して兄の答えを待つ。 「で、それが俺と何の関係があるんだ?」 ユウコはテーブルに突っ伏して倒れる。 「なんとなく、そう答えるんじゃないかって思ってたよ」 「勿体つけないで教えろよ」 「だめです。いくらお兄ちゃんだって、女の子の気持ちをそう簡単に教えたげないんだから」 「なんだよ、そんな意地悪するなら、クッキー俺が食っちまうぞ」 ケンイチはユウコに贈ったクッキーの箱に手を伸ばす。 「あ、だめー」 あわててユウコは箱を体の後ろへ隠した。
- 120 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 14:11:30 ID:aeyuC3nI]
- 「それなら、こうしない?」ユウコは言った。「私がお兄ちゃんにあげていたのは『秘密チョコ』ってことにするの」
「『秘密チョコ』ってなんだよそれ?」 「秘密の気持ちを気持ちを込めて送ったプレゼント。だから『秘密チョコ』。……だめ、かな?」 ユウコはすこしはにかみながら上目遣いにケンイチを見る。そのしぐさがとても可愛く思えてケンイチの胸は高鳴る。 「……わかった、それでいいよ」 ケンイチは言った。ユウコはうれしそうに微笑んだ。それを見たケンイチは高鳴りが大きくなるのを感じた。 慌てて視線をそらす。ケンイチは戸惑っていた。なんで妹にこんなにときめいているのだろう? 先ほどから妹の雰囲気が変わったような気がする。そのせいかもしれないとケンイチは考える。 「じゃあさ、今度の日曜日にでもどこか連れて行ってよ」 ユウコが言った。ケンイチははっとして我に返る。 「なんで、いきなりそんな話になる?」 「だからぁ、バレンタインのお返しに」 「さっき、渡しただろ?」
- 121 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 14:17:22 ID:aeyuC3nI]
- 「それは、去年までの分でしょ。今年のはまだ貰ってないです。
お兄ちゃんがチョコ嫌だ、って言うから奮発してマフラー買ったんだけどなぁ」 「わかった、わかったよ。一緒に出かければいいんだろ?ったく、ちゃっかりしてるよな」 「えへへ」 ユウコはコタツから出て立ち上がり、兄を指差して言った。 「じゃあ、そういうことで。約束したからねお兄ちゃん」 「わかったよ。『秘密チョコ』のお返しだろ?」 「そう、『秘密チョコ』の」そこでユウコが何か思いつく。「ひょっとして、これも秘密になるのかな?」 「まあ、そうなるかな」 「そっか。そうしたらこれからどんどん二人のだけ秘密が増えていくかもしれないね」 「かもな」 「ちょっと楽しみかも」 「おいおい、隠し切れない秘密になっても困るぞ」 「大丈夫、その辺はちゃんとわきまえてるから」 ユウコはそう言って、部屋をでようとする。
- 122 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 14:34:21 ID:aeyuC3nI]
- ケンイチは妹の後姿を見送る。
一方で妹の言葉に不安を覚えながらも、もう一方では期待に胸を膨らませていた。 部屋を出る前にユウコは振り返り、言った。 「ねえ、お兄ちゃん。ずっと二人だけの秘密のままでいようね」
- 123 名前:59 mailto:sage [2008/03/26(水) 14:42:51 ID:aeyuC3nI]
- これで話はおしまいです
お付き合いしてくださって、ありがとうございました >>105,106 レスありがとうございます 次の話はちょっと休んでから書きたいと思います またしばらくしたらお会いしましょう では
- 124 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/26(水) 17:45:07 ID:64FtVNZy]
- イイ( ・∀・)!
ケンイチが実は鈍いのではなく必死に会話の軌道修正を試みてるように見えてくるのは 俺がリアル兄だからか?
- 125 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/03/27(木) 00:51:33 ID:PfxhAm9b]
- ケンイチに自分自身を重ね合わせてしまったダメダメリアル兄が来ましたよ!
59氏gj!!
- 126 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/04/01(火) 03:03:30 ID:g8ErDxr+]
- 妹「保守です」
兄「うむ、見事な保守だな」 妹「捕手です」 兄「うむ、見事に字が違うな」 妹「正に兄さんの女房役、いやむしろ女房そのもので」 兄「黙れ」 妹「 (´_J`) 」
- 127 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/04/03(木) 11:40:39 ID:lUVVYy4b]
- >>126
お兄さん、エイプリルフールくらい 「黙れ」じゃなくて「そうだな」とか言ってあげてもよかったのでは?
- 128 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/04/04(金) 00:36:30 ID:CAc/zOQ5]
- いやいや、うっかりそっちにノセようものなら
妹が瞬時に暴走するのは分かりきってるじゃないか
- 129 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/04/05(土) 01:14:57 ID:E0mt3ikF]
- こんばんは
また書いてみましたので、投稿したいと思います よかったら最後まで見てやってください
- 130 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 01:17:58 ID:E0mt3ikF]
- 金曜日 夜7時
カズトは妹の部屋をノックした。夕食の時間になっても降りてこないユイを呼びにきたのだ。 「おい、ご飯だぞ」 部屋の前で呼びかけてみるが妹の反応はない。カズトはドアを少し開けて中を覗いてみた。 部屋には電気がついていたが、ユイの姿は見当たらなかった。 不思議に思ったカズトはドアを開け放ち部屋の中を見渡した。布団が膨らんでいることに気づいた。 カズトがベッドに近づくと、首まで布団を被り兄に背を向けるような姿勢で寝ているユイを見つけた。 「おい、ご飯できてるぞ。寝てるのか?」 カズトは呼びかけてみた。しっかり眠っているのだろうか、ユイは動かない。 起こすのもかわいそうだと思って、カズトは部屋を出ようとする。 体の向きを変える途中で、布団が動くのが見えた。 動きを止めてベッドを見る。すぐまた同じように動いた。 寝返りにしては妙な動きだとカズトは思った。布団の下でゆっくりと脚を交互に曲げ伸ばししているようだった。 不思議に思ったカズトは再びベッドに近づいてみる。兄の接近を察知したのか、布団は動かなくなる。
- 131 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 01:21:03 ID:E0mt3ikF]
- カズトは妹の頭の辺りに近づいて耳を澄ましてみた。
とても静かだ。寝息すら聞こえない。まるで、必死に息を押し殺しているようだった。 カズトはユイが起きているのではないかと思った。 ユイは寝たふりをして兄をやり過ごそうとしているらしい。 妹のこの行動はかえってカズトのイタズラ心に火をつけることになる。 カズトは気づかれないようにユイの脚に近いほうの布団の端をつかみ、頭のほうへ向かって一気にめくりあげた。 「きゃっ!」 不意打ちに驚く妹の声をカズトは聞いた。 それよりも布団の下にあったものを見て、カズト自身が声を出しそうになった。 ユイは下半身に何も着ていない状態で寝ていたのだ。 カズトはユイのお尻をモロに見てしまう。 「ダメーッ!」 ユイは飛び起きて、呆然と立ち尽くす兄から布団を奪い取る。 その布団をタオルのように腰に巻きつけて下半身を隠した。 ユイは上半身に制服のシャツを着ていた。とりあえず裸でないことに兄は安心する。
- 132 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 01:28:32 ID:E0mt3ikF]
- ユイがもの凄い形相で兄をにらみつけた。
もしユイが動きやすい格好であったなら、ビンタの1発でも飛び出しそうなようすだった。 しかし布団を巻いていてはうまく動くことはできない。 ユイは悔しそうな表情をしてベッドの端に腰をかけた。 「何やってるんだ?」 カズトは言った。ユイの顔がみるみる朱に染まってゆく。 「うるさいっ!」 ユイは言った。羞恥心をごまかすようにまくし立てる。 「それはこっちの台詞よ!勝手に部屋に入って、布団を剥ぎ取るなんて何考えてるのよ。 こんなの犯罪よ、レイプよ!!」 「おい、ちょっと待てよ。それは言いすぎだろ。 確かに俺も悪いけど、お前だって起きてるならすぐ返事すればよかっただろ。 それを寝たふりなんかするから……」 「うるさいっ、うるさいっ!」 取り付く島もない。カズトは言い訳することを諦めた。
- 133 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 01:32:04 ID:E0mt3ikF]
- 「わかった、俺が全部悪かったよ。もう出て行くよ。もともと夕飯に呼びに来ただけなんだから」
兄はそう言って、早々に部屋を出て行こうとする。 「ちょっと、待ちなさいよっ!」 カズトはユイの制止を無視した。 「ねえ、待ってってば。話があるんだから、待ってよ」 ユイは言った。その声の中に悲愴な響きを感じ取りカズトは立ち止まる。 「話って、なに?」 「こっち来てよ」 「ここでも聞こえるだろ」 「いいから、来て」 カズトはベッドの前に戻った。ベッドに腰掛ける妹を見下ろす形になる。 ユイは下を向いていて、兄のほうを見ようとしない。落ち着かない様子で体を小刻みに動かしている。 「なあ、話があるなら早くしろよ。もうご飯用意できてるんだから」 「わかってる、いま話すから」 ユイはそう言ったが、まだ迷っっているようすでため息をついた。 妹の勿体を付けた態度を見ているうちに、カズトまで緊張してくる。
- 134 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 01:37:00 ID:E0mt3ikF]
- ユイは決心したように顔を上げて兄を見て言った。
「私さっきから我慢していたんだけど、もうだめ、限界なの」 ユイは潤んだ瞳で兄を見つめている。カズトは戸惑う。妹のこんな表情をこれまで見たことがなかった。 と、ここでカズトの脳裏にあることが思い浮かぶ。 これは近親相姦もののエロ漫画のシュチュエーションそのものじゃないか。 裸を見られて興奮した妹が、それまでの秘めた思いを兄に告白して、二人はそのまま…… カズトは思わず自分の考えに身震いした。あまりに今の状況にはまり過ぎている。 「だから、カズト……」 「まて、ユイ」 カズトは言った。 「もしプライベートな話なら親とかに話したほうがいいんじゃないのか。 ほら、母親なら同性なんだから話しやすいだろ」 「こんなこと親には言えるわけないよ……お兄ちゃんにしか」 ユイの口から「お兄ちゃん」という言葉を聴いてカズトは驚く。 妹からそう呼ばれなくなってから久しい。いまではただの『カズト』だ。 名前を呼ばずに済まされることだってある。
- 135 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 01:41:11 ID:E0mt3ikF]
- それをいまさら「お兄ちゃん」とは。いよいよ妹は本気だとカズトは思った。
「ねえ、助けてお兄ちゃん」 「お、おう」 カズトは妹からの告白を想定して混乱していた。 どう妹の思いに答えたらいいのか、いろいろな考えがカズトの頭の中を行き交った。 ユイは言った。 「わたし、お兄ちゃんにどうにかして欲しいの……この『かゆみ』を」 ユイの言葉をカズトは理解できなかった。 緊張のせいもあったが、なによりカズトの予想を完全に裏切っていた。 「なに?」 「だから、かゆいのよ」 少し考えてからカズトは言った。 「かゆいって言うのは蚊に刺されたときに感じる、あの『かゆみ』のことか?」 「ほかに何があるのよ」 カズトは息を吐いた。息とともに体中の余分な力が抜けていくのを感じた。自然と顔に笑みが浮かぶ。 「そうか、かゆいだけかぁ。俺はてっきり……」
- 136 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 01:45:06 ID:E0mt3ikF]
- 「てっきり、何よ?」
「う、うるさい、なんでもない。お前こそかゆいくらいで思わせぶりに相談なんかするな。 かゆいなら自分で掻いとけよ」 「それができないの」 「できないってなんだよ。じゃあ、薬でもつけときゃいいだろ」 「薬もダメなんだってば」 「なんだよそれ、掻くこともできない、薬もぬれないって」 「だから、どっちもできないデリケートな場所なの」 「はぁ?」 「なんでここまで言ってわかんないのよ。少しは察してよ。アソコがかゆいんだって」 「あそこ?あそこって、どこ?」 カズトは首をひねっている。からかっているとかではなく本当にわかってないようすだ。 ユイの苛立ちが限界に達した。 「ここよ、ここ!」 ユイは布団の上から指で自分の股間を指し示した。 「えっ?……えーっ!」
- 137 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/04/05(土) 01:49:07 ID:E0mt3ikF]
- カズトは思わず妹の股間を凝視してしまう。
「それって大変なことじゃないか」 「だから、そういってるでしょ」 ユイはそう言いながらも、体をもぞもぞと動かしている。思うようにかゆみが解消できなくて苦しそうだ。 先ほどから小刻みに動いていたり、布団の中で動いていたのはそういう理由からだと、いまさらながらにカズトは気づく。 「どうするんだよ」 カズトは言った。 「わからない。だから恥ずかしいのを我慢して相談してるんじゃない。本当に、つかえない奴」 「とにかく、まず落ち着こう。こういうときは落ち着くのが一番大事だ」 兄は眼を閉じて深呼吸を始める。それを見たユイは「慌てているのあんただけでしょ」と思う。 2〜3回深呼吸をした後、カズトは眼を開けて言った。 「よし、思いついた。こういう場合はなんで痒くなったのか、その原因を調べるのが大切なんだ。 思い当たるのは何かあるか?」 ユイは首を横に振る。 「カズトは?」
- 138 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 01:54:00 ID:E0mt3ikF]
- カズトは険しい表情をしてから、ユイに小声で囁いた。
「これって性病じゃないのか」 「えっ……」 兄の言葉にユイは不安な顔をする。 「性病って、そんな……」 「なんか性病の中には痒くなる奴もあるらしいぞ。雑誌で読んだ」 「性病だなんて、ありえないよ。だって……」 「だって、なんだよ?」 「私、誰ともしたことないんだからっ」 ユイは言った。顔を下に向けて布団を握り締め、恥ずかしさに耐えている。 「まあ、そうだと思ってたよ。お前に男っ気がないのは俺が一番知ってるからな」 カズトは言った。 「なによ、偉そうに。自分だって童貞の癖に」 ユイはすぐに言い返す。
- 139 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:孕age [2008/04/05(土) 01:59:32 ID:tXmoVDZL]
- ∀・)リアルタイム遭遇…
- 140 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 02:00:02 ID:E0mt3ikF]
- 「なあ、お互いを傷つけあうのはよそうぜ。いま、大切なのはお前の体のことじゃないか」
カズトは本格的な言い合いになる前に話題を元に戻そうとする。 こういう言い合いで妹に勝てる気がしなかった。 「とにかく、なんでかゆくなったのかを調べないとな」 「そんなの私にもわかんないよ。昨日までなんともなかったのに、いきなりなんだから。 今日だって学校終わるまでは平気だったんだし」 「じゃあ。家に帰ってから何かあったってことだな。そういえば今日お前早かったな」 「部活が休みだったから」 「そうか。で、どうなんだ」 「なにが?」 「時間はあったんだろ?家に帰ってから何してたんだ?」 「う、それは……」 妹は視線をそらして、そのまま黙ってしまう。 「どうした?」 「だから……今日は時間があったし、 最近部活が忙しくてなんかいろいろとモヤモヤしてて、だからリラックスのつもりで、その……」
- 141 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 02:04:06 ID:E0mt3ikF]
- 「なんだよ、早く言えよ」
「だから、久しぶりにナニをしていたと言うか……」 「ナニ?ナニって何だ?」 「オナニーしてたのっ!いちいち言わせないでよっ!」 そう言って、ユイは顔を両手で押さえてベッドに倒れる。脚をじたばたを動かしてかゆみとは違うものに悶えた。 「もーヤダーッ。何で馬鹿カズトにこんなこと言わないといけないのよっ」 「別に恥ずかしがることはない。普通のことだ。お前くらいの年ならみんなやってる。 俺はオナニーしていたからといって、その人に対する評価を変えることはない」 兄は言った。 「そういう風に落ち着いて言っているのが、逆にムカつくんですけど」 妹はムクリと起き上がり、兄をにらむ。 「別にムカつくのはお前の勝手だけど、その後どうしたか話せよ」 「は?」 「まだ、かゆくなった原因がわからないだろ。帰ってきてからお前がしたこと全部話してみろよ」
- 142 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 02:08:05 ID:E0mt3ikF]
- ユイはため息を一つ吐いてから話し始める。
「別に。何もしてません。オナニーして疲れたからそのまま寝ねました。 下半身が裸なのは着替えをしないまま寝てしまったからです。 眼を覚ましたらすでにかゆくなっていました。 すぐにカズトがやって来たので、とっさに寝たふりをしてしまいました。 これで全部よ。どお、わかった」 ユイは言った。なにかもう、いろいろと諦めたようすである。 「うーん」 兄は少し考えてから言った。 「帰ってきてすぐオナニー始めたのか?」 ユイは兄を睨む。 「そうよ」 「もちろん外から帰ってきて手は洗ったよな?」 「なんで?洗ってないわよ。だって汚れてなかったもの」 「ばかだなぁ。眼に見えないだけで汚れてるかもしれないんだぞ。細菌とかばい菌とか」 ユイは不安な表情になる。
- 143 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 02:12:02 ID:E0mt3ikF]
- 「そんな……じゃあ、それで性病になったってこと?」
「まあ、性病ではないと思う。でも他の雑菌で炎症を起こしてかゆくなったとか……あ」 「なにっ?」 「もしかして、あれじゃないか。花粉症」 「花粉症!?だってあれって鼻水とか眼のかゆみとかでしょ」 「そう、それ。そもそも花粉症ってのは、体の粘膜に花粉が付くことによっておきるアレルギー反応だろ。 その……デリケートな部分だって粘膜なんだから花粉が付いたらアレルギー反応でかゆくなったりするんじゃないのか。 きっと外歩いていた時に手に花粉が付いたんだな。今ちょうど季節でいっぱい飛んでるし。 で、そのままオナニーを始めたから今度は花粉がデリケートな部分に付いてかゆくなったと」 「でも、私いままで花粉症になったことないのに」 「急になることもあるらしいぞ。 何でも現代人はいろいろな添加物やら何やらでアレルギーを起こしやすくなっているんだそうだ。 テレビで見た」
- 144 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 02:16:08 ID:E0mt3ikF]
- 「じゃあ、どうすればいいのか言ってよ」
「花粉症対策だろ。アソコにマスク付けるとか」 「まじめにっ!」 「わかったよ。ようは花粉がなくなればいいわけだから、とりあえず風呂に入って綺麗になってみたら?」 「そんなことで治るの?」 「やってみるだけやってみろよ。親には俺からうまく言っといてやるから、今から入るといい」 「うん、わかった。そうする」兄を見てはにかみながら言った。「ありがとう、お兄ちゃん」
- 145 名前:129 mailto:sage [2008/04/05(土) 02:22:57 ID:E0mt3ikF]
- >>139
支援ありがとうございます とりあえず、今回はここまでです 次はエロシーンの予定ですが いままで、そういうシーンを書いたことがないのでうまく書けるか不安です とにかくやってみるので、そんなに期待せずに待っていてくださいませ
- 146 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:孕age [2008/04/05(土) 02:26:59 ID:tXmoVDZL]
- あ、アソコが花粉症…w
そんなデリケートな部分の痒みを母親じゃなくて兄に相談してる辺り妹も妹だな 次回に超期待
- 147 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2008/04/05(土) 09:07:30 ID:SHGgUD1g]
- あそこが花粉症という斬新な発想ワロスw
続きをwktkして待ってます
- 148 名前:道草 ◆uumichipSU mailto:sage [2008/04/07(月) 19:46:41 ID:KICq4q9U]
- なんとか桜の咲いている時期に間に合った…?
葉桜になってるところも多数ありますが… というわけで時期ネタ書いてたんですが あんまり桜がシナリオに関係なくなってしまってorz とりあえず、投下してみます まだまだ文章は未熟ですのでお目こぼしを… ↓
- 149 名前:道草 ◆uumichipSU mailto:sage [2008/04/07(月) 19:47:28 ID:KICq4q9U]
- 桜の咲く頃 〜雄一と裕香B〜
裕香「満開だね〜」 雄一「きれいだな…」 春爛漫の、親の実家の小高い丘に二人で来ていた。 時期的にちょうど桜が咲く頃。 今宵は満月。 夜桜見物にはちょうど良かった。 裕香「上に一番大きな桜があったよね、行ってみようよ」 雄一「そうだな」
- 150 名前:道草 ◆uumichipSU mailto:sage [2008/04/07(月) 19:48:46 ID:KICq4q9U]
- …
雄一「ふう、ちょっと休憩」 裕香「もう…お兄ちゃん運動不足だよ…」 だったら荷物を持ってくれ…とは言わないでおこう。 そう、お花見をしよう、とお弁当とお茶と酒を持ってきている。 …裕香には酒は内緒だけど。 前みたいに即寝てしまっては大変だしな。 裕香「大丈夫〜?」 雄一「ああ、行こうか」
- 151 名前:道草 ◆uumichipSU mailto:sage [2008/04/07(月) 19:49:53 ID:KICq4q9U]
- …
丘の上までたどり着く。 そこには大きく、見事な桜があった。 満月の光に照らされて、とても幻想的な姿を見せていた。 裕香「すごく綺麗…」 雄一「ああ…」 優雅な桜を一通り見終えた後、ビニールシートを引いて弁当を食べる。
- 152 名前:道草 ◆uumichipSU mailto:sage [2008/04/07(月) 19:50:34 ID:KICq4q9U]
- 裕香「いいね、こういうとこで食べるご飯って」
雄一「裕香の作ってくれたご飯おいしいぞ」 裕香「えへへ、ありがと〜…ってお兄ちゃん何を出してるの…」 雄一「酒。お前は飲んじゃダメだぞ」 裕香「あ、甘くておいしそう。わたしも飲む〜」 雄一「前に数分で酔いつぶれたのを忘れたのか?」 裕香「あの時は…えと…、そう、度数が高かっただけだよ」 雄一「それでもダメだ」 裕香「む〜」 雄一「また酔いつぶれたらここから帰れなくなるだろうが…」 裕香「じゃ、家でならいいよね?」 雄一「そういう問題じゃなくてだな…」 裕香「じゃ、一口だけ、いいでしょ?」 雄一「…食べた後でな」 裕香「お兄ちゃん、ありがと!」
- 153 名前:道草 ◆uumichipSU mailto:sage [2008/04/07(月) 19:51:40 ID:KICq4q9U]
- さて食後。
約束なので一口飲ませてみた。 度数は5度くらいなので酔っ払うもんでもないはずなのだが…。 裕香「やっぱりおいしぃ…」 雄一「寝るなよ」 裕香「ふわふわ…」 軽く回ったか… でも寝るような感じではなさげ。 裕香「気持ちいい…」 そう言うと体を俺に預けてくる。 雄一「お、おい、裕香?」 裕香「お兄ちゃん、あったかい…」 雄一「しょうがねーなぁ…」 裕香の温もりが伝わってくる。 雄一「…裕香もあったかいぞ」
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