- 443 名前:試し書き mailto:sage [2007/06/05(火) 14:26:25 ID:ca08tWtl]
- 俺は自分が嫌いでしかたない。
物心ついて俺が世間一般でいう「平凡」にあてはまらない体だということを知って、 ずっとそれを気に病んでいた。 父の再婚で家族になった継母は機嫌が悪いときは「あんたがそんな体だから母親 は逃げてったのよ」とあげつらう。 細かい陰湿ないやがらせは毎日のように続いて、父さんに相談しようとしたけれど 俺がなにか言おうとするまえに「新しいお母さんと仲よくやってくれるよな?」と、言葉をふさぐ。 高校3年の初冬には、はやく家を出たいとそればかりを考えるようになっていた。 そんな頃だった。あいつと出会ったのは。 「久賀貴幸先輩、ですよね」 うつむいて歩くクセのある俺は、まずそいつのキレイに磨かれたローファーが目に入っていた。 名前を呼ばれて顔をあげると、品の良さそうな坊ちゃんヅラが微笑んでいる。 「僕、常葉公彦といいます。お話したいことがあるんですが、お時間いただけないでしょうか」 その「お話」というのは、随分と突拍子もないものだった。 「僕の子供を産んでもらえませんか」
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