- 430 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ mailto:sage [2011/03/08(火) 23:19:14.46 ID:qYbxwIlf]
- ーーその明くる日も、ごんはくりを持って、兵十のうちへ出かけました。兵十は、物置でなわをなっていました。
それで、ごんは、うちのうら口から、こっそり中へ入りました。そのとき兵十は、ふと顔を上げました。 と、きつねがうちの中へ入ったではありませんか。こないだ、うなぎをぬすみやがったあのごんぎつねめが、またいたずらをしに来たな。 「ようし。」 兵十は立ち上がって、なやにかけてある火なわじゅうを取って、火薬をつめました。 そして、足音をしのばせて近よって、今、戸口を出ようとするごんを、ドンとうちました。 ごんは、ばたりとたおれました。 兵十はかけよってきました。うちの中を見ると、土間にくりが固めて置いてあるのが、目につきました。 「おや。」と、兵十はびっくりして、ごんに目を落としました。 「ごん、おまえだったのか、いつも、くりをくれたのは。」 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。 兵十は、ひなわじゅうをばたりと取り落としました。青いけむりが、まだつつ口から細く出ていました。
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