- 358 名前:名無し三等兵 mailto:sage [2012/07/23(月) 21:01:56.68 ID:???]
- フロイス『日本史』
第八一章 「主が会の一司祭を通じて、古河、日見、長与の諸城、および他の地方であげ給うた成果について」より (兵士たちが)三番目の処刑を終えようとすると、(受刑者の)男は少しも気負ったところがなく、また勇気ある様子を 示すこともなく、むしろ信心深い言葉と、悲しげな表情をしながら次のように乞うた。 「どうあっても死なねばなりませぬからには、(武士の)情けと憐れみから、せめて両手を前に括っていただきたい。 そうすれば(縛られてはいても)両手をあわせて、私を救って下さる仏様や神様を目の前でよりよく拝むことができましょうから」と。 その囚人は別に武器を携えていたわけでもなく、兵士たちは彼を恐れる何ものも見出さなかったので不憫に思って その願いを聞き入れた。 兵士の一人が彼の両手(の紐)を解いて、それを前で縛ろうとした時に、囚人は驚くばかりの迅速さと身軽さで 自分を縛ろうとしていた兵士に襲いかかり、彼の太刀を鞘から抜き取るやいなや一撃のもとに相手の首を切断した。 四人(の兵士)は、このあまりにも突然で考えも及ばなかった出来事に仰天し、抜刀して、やはり相手に近づきながら 彼が逃げられぬように包囲した。だが彼は腕利きであり勇者でもあって、一人一人を倒していき、自らは掠り傷一つ 負うことなくついに相手をみんな殺してしまった。 彼は五人がいずれもそこで殪れたのを見届け、新たにせめて来る者がいないことを確かめると、刀を収める鞘を 持っていなかったので、抜身を手にさげたまま海辺の道を遁走した。 五人も敵がいるのにいちいち組み打ちなんかやってたらこっちが殺されるわなw
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