- 512 名前:555 mailto:sage [2008/06/15(日) 20:17:34 ID:???]
- 潜入調査(2.5)
(…面倒だな…)自分に降りかかってくる災難と、公安・情報本部上層部への『貸し』を素早く計算しながら、内海は極めて常識的な返答を村上に投げてみた。 「…危険過ぎやしませんか?潜入捜査ってのは…潜入捜査員は、世間一般で言う未成年の学生ですよ?」 「十分わかってる。が、美統の全卒業生のチェックと常時監視が可能なほど日本の警察は人員が揃っていない。それに…」 「政治的圧力ですか?美統女子学園の入学条件からすると…」 「地獄の沙汰もなんとやらだ。美統の卒業生はある種の治外法権下にあると考えていい。いつもと同じの調子で捜査なんぞやったら、警察署単位で警官が懲戒免職になる。たぶん警視総監の首がいくらあっても足らんだろう」 「で、軍隊の出番?相手は日本制服を企む悪の組織ですか…日本征服ってのは、流行らないんですよね。特撮もアニメも事業的に割に合わないんでとうの昔に撤退してます。自衛隊の仕事はせいぜい大怪獣にケチョンケチョンにやられる程度なんですがね…」 内海の言葉に村上は少しむっとした表情で応じた。 「美統の全卒業生は国内ならず世界中に分散している。その数は2千名以上だ。彼女達の『爆発』や予定外の『暴発』も含め、これらを阻止せにゃならん。大体、爆弾処理は自衛隊の職域じゃなかったのか?」 内海はニヤリと笑って答えた。 「そこまで深刻には考えてないはずでは?本当のところをお伺いしたいんですが?」 「…喰えないな…内海二佐…『爆弾』製造に要する時間は少なくとも3年以上と見ている。でなければ中高一貫の全寮制の学校なんぞ設立しない。従って『出回っている爆弾』は60個以下だ」 「何せ私立だ。高校だけの方が、不良在庫(落ちこぼれ)とか、欠品(退学による欠員)が半分になりますからね。で、現時点での『爆弾』への対応は?」 「『爆発』されては困る場所の『爆弾』と思われる者はありとあらゆる手段を講じて『隔離』している。転勤、強制休暇取得、突然の体調不良、そして…不慮の事故だ。我ながら嫌になったよ。納税者の安全を守るための警察なんだからな…」
|
|