- 174 名前:名無し三等兵 mailto:sage [2008/05/06(火) 11:37:05 ID:???]
- 樹海忌憚
「コイツで4体目と…」 携行型GPSで大雑把な位置を確認しながらマップに情報を記入する。目の前の枝振りの良い樹にはロープが結びつけられ、周囲に腐臭を漂わせながら『奇妙な果実(Strange Fruit)』がぶら下がっていた。 「中年男性と…まだ日ぃは経ってへんな…ナンマンダブナンマンダブ…」 「死にに来るモンもおれば、生きて帰ろうとゴミ振りまくアホもおる…生死の混沌としたケイオスな小世界、富士樹海…う〜ん…詩人や…」 楽しい連休にも関わらず彼女が訓練まがいの単独行動を採っているのには訳がある。 去る3月。企業実習中の飲酒が露見し、懲罰として富士樹海のマッピングと張り巡らされたビニール紐の『清掃』を言い渡されたのだ。 恐怖と畏敬の念で語られる卒業試験程の事はない。何せ今回は完全装備だ。努力しないと迷うことすらできないだろうし、陸自富士学校の非公式なバックアップもある。 樹海に足を踏み入れてから既に4日目。広大な樹海全ての清掃には程遠いが、ビニール紐の撤去は順調だ。巷の冒険者が『樹海探検』のために張り巡らせたらしいが、この調子で紐が増えたら卒業試験が簡単になってしまう… 「紐引っ張ってゆくのを考えたのんは…ミノタウロス…テセウスやったかな?迷惑なやっちゃ…キチンと回収せーゆとったらこんなコトにならへんのにな…アホ!」 最初はおっかなびっくりの行動だったのだが、半日すると慣れてくる(さすがに最初の夜はガクブルだったが)数本のビニール紐同時に巻き取りながら前方に横たわる巨木を越えようとしたとき、彼女の視界に白い影が映った。 (全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください) 嘘です…続きません…
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