- 739 名前:ゲームセンター名無し・後編 mailto:sage [04/03/26 20:25 ID:???]
- 狭い店内が恨めしかった。
シューティング台、格ゲー台、レゲー台……どこを向いても、DDRの台は見つけられなかった。 10回は見渡しただろうか……とうとう、僕は折れた。 DDRの時代は、もう終わったんだ。 一年近く通ってるのに、一度も話した事のない店員に初めて話しかけてみる。 「あのぉ……DDR、撤去したんですか?」 「ええ、そうですよ。いい加減古くなって来ましたし、場所も取りますから」 その後、この場所には何が置かれる、何が新しく入る、だの延々と聞かされていた。 まったく興味はなかったが、これだけはハッキリと言えた。 間違いなく、DDRに取って代わるようなゲームは来ないだろう……と。 喪失感と絶望感の中、なんとなく僕はDDR台が置かれていた場所の前に居た。 周りの床は黒く汚れているのに、そこだけ白く汚れていなかった。 「あら〜……DDR、無くなっちゃってるわねぇ」 ふと、話し声が聞こえた。 見ると、幼い子供を二人連れた、一人の女性が立っている。 一人は、そこだけ刳り貫かれたように白い床を奇妙に思っているのだろうか、じっと床を見つめている。 「DDR〜? DDRー!」 もう一人は、その単語を知っているようだ。 その四角く白い床で、足をペチペチと鳴らし始めた。きっと、踊っているつもりなんだろう。 この子のステップは――そう思った瞬間目頭が熱くなり、堪らず外に飛び出した。 なんとか涙を流さずに済んだようだが、目は恐らく真っ赤だろう。 どうしてだろう、あの子のあのステップは、僕が始めて踊った曲に似ていた。 目を瞑れば譜面が見える サントラからステップが聞こえる
|

|