- 5 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 mailto:sage [2017/07/27(木) 19:09:00.85 ID:QW3DWJed0.net]
- 金髪に長身の、ややもすると軽薄な印象を受けるその見た目とは裏腹に、京太郎自身の内面はひどく穏やかで献身的であり、同時に女性の好みと言うのも古風なものだった。
すなわち、家庭的で心優しく、しかして芯には強さを秘めた大和撫子的な女性像である。 同郷長野においては、風越女子の福路美穂子を理想としている節があり、こんな人が将来自分の隣にいてくれたら……と妄想したことは一度二度の話ではない。 また、豊満な、女性的な肉付きに魅力を感じてもいるので、そういった意味でも美穂子と言うのは、彼にとって一種の偶像にすら成り果てるものであった。 そんな須賀京太郎にとって、石戸霞と巡り会えたという事実は、雑用兼応援がてら付き添ったインターハイにおけるほぼ唯一の、彼個人にもたらされた栄光と言える。 偶然にも幾度か顔を鉢合わせ、互いに、よく迷子になる幼なじみと、目を離せばどこかで寝転けてしまう癖のある護るべき存在とを捜索する内に、すっかりと意気を合わせたのだ。 当初は見た目の印象から警戒心を持たれてなくもない京太郎であったし、事実、霞のあまりにも母性に溢れた肉体に目を奪われてしまっていたので、彼女の警戒心は責めるに当たらない。 しかしその時点での京太郎には、迷子を探すと言う大変な目的があり、幾ら好みの女性とは言えどそこまでかまけてもいなかったのが幸いした。 滲み出る誠実さはすぐに霞にも感じとれ、外見からの印象で決めつけてしまっていたと言う反省を、彼女に与えたのである。 そうなると石戸霞という少女もまた誠実であり真摯であるので、申し訳なさから自然と京太郎に対して友好的になり……そうなれば後は成り行き任せでも仲良くなっていくのは、京太郎の持つコミュニケーション能力から言えば余りに当然の帰結であった。 互いに何度か遭遇し、交流する度に心理的な距離は近付き、インターハイが終わりそれぞれの故郷に戻った今現在においては最早、意識せずにはいられない、と言った状況にまで到達しているのである。 今の京太郎と霞は電話やメールやチャット、スマートフォンアプリを用いての交流を可能な限り行っている。 文章でやり取りし、言葉でやり取りし、あるいはネットゲーム上で共に遊んだりもして、お互いの地理的な距離を埋めるために尽力しているのだ。 そうした地道な育みは、確かに両者の想いのボルテージを上げることに成功している。 そして冬には、須賀家の家族旅行で鹿児島へと向かうことが京太郎と霞にとある一大決心をさせた。 要するに告白する決心と、それを受け入れる決心なのだが、お互いにそれを言わずとも感じあっているのだから、段階としては最早、彼氏彼女の域などとうに達していると言えるだろう。 とまれかくまれ、幸多からん冬に向けて、京太郎と霞はやはり、遠距離ながら密かな想いを交わし高めあっているのであった。 カン! スレ立て乙です 景気付けに一発
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