- 204 名前:A dog and his lord 20 mailto:sage [2006/11/07(火) 13:15:55 ID:UeIE62hP0]
- 僕の勘は間違ってはいなかった。
その後2日ばかり僕たちにお呼びはなかったが、 3日目の朝、執事が犬舎から連れ出したのはやはりリューだったのだ。 そして、リューは丸3日戻って来なかった。 ご主人様は僕とジュンの醜い争いに気づいてしまわれたのだ。 そんな僕たちに嫌気がさし、穏やかなリューをお側に置いておられるのだ。 僕の中でリューへの嫉妬心が色濃く、どす黒く渦巻き始めた。 嫉妬心が生む妄想が次から次へと湧き上がってくる。 ご主人様の横にゆったりと横たわるリュー。 ゆるくウェーブのかかった金髪をなぜて頂き、優美にたわんだ背をなぜて頂き、 青い瞳をのぞき込んで、うっとりと接吻まで頂く。 リューはあの細い指でご主人様にご奉仕するのか、あるいはあの赤く艶めかしい口で…… ご主人様は、リューの綺麗な肢体がお気に入りだ。 きっと真っ白なシーツの上に横たえ、全身くまなく愛されるのだ。 いや、ご自分の上に乗せて優雅に踊り悶える様を愛でられるのかもしれない。 リューの白い肌は、ご主人様に愛されるとピンク色に染まる。 ご主人様は常々、それが一番の魅力と仰っていた。 僕は一度だけご主人様に抱かれピンクに染まるリューを目の当たりにしたことがあった。 肌をピンクに染めながらリューはうっとりと目を閉じ、赤い唇の隙間からふぅと吐息を漏らす。 その様は、美しく造られた造形が溶けていくように見えるのだ。 美しいリュー。優雅で穏やかな気性のリュー。 決してご主人様にご不快な思いなどさせないリュー。 嫉妬に燃える僕と若く血気盛んなジュンの振る舞いに嫌気のさしたご主人様は、 今、リューのような犬をお求めなのだ。 3日の間、僕は、ご主人様の腕の中でピンク色に染まっていくリューの姿を幾度も幾度も思い描き、 嫉妬と後悔に身を捩っていた。 ご主人様は、僕たちにはお姿さえ見せては下さらない。 僕の心はきしんできしんで壊れそうに痛んだ。 ジュンが隣で同じ思いを抱え苦しんでいるのだという確信がなければ、 犬舎を抜けだして屋敷中ご主人様を探しまわったかもしれない。
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