ToHeart2 SS専用スレ 25
at LEAF
1:無題s
08/06/28 06:46:51 orY+Qjyy0
桜が舞う、暖かな季節。
新しい出会いや恋、そして友情に笑い、悲しみ。
すべてが始まり、終わるかもしれない季節。
季節といっしょに何かがやって来る、そんな気がするんだぜ――。
ToHeart2のSS専用スレです。
新人作家もどしどし募集中。
※SS投入は割り込み防止の為、出来るだけメモ帳等に書いてから一括投入。
※名前欄には作家名か作品名、もしくは通し番号、また投入が一旦終わるときは分かるように。
※書き込む前にはリロードを。
※割り込まれても泣かない。
※容量が480kを越えたあたりで次スレ立てを。
※一定のレス数を書き込むと投稿規制がかかるので、レス数の多いSSの投下に気づいた人は支援してあげて下さい。
※コテハン・作家及び作家の運営するサイトの叩きは禁止。見かけてもスルー。
前スレ
ToHeart2 SS専用スレ 24
スレリンク(leaf板)
関連サイト等は>>2
2:無題s
08/06/28 06:47:49 orY+Qjyy0
AQUAPLUS『To Heart2』公式サイト
URLリンク(www.aquaplus.co.jp)
Leaf『ToHeart2 XRATED』公式サイト URLリンク(leaf.aquaplus.co.jp)
Leaf『ToHeart2 AnotherDays』公式サイト URLリンク(leaf.aquaplus.co.jp)
ToHeart2 スレッド 過去ログ置き場(仮)
URLリンク(f55.aaa.livedoor.jp)
本スレや各キャラスレはこちらから。
ToHeart2 SideStory Links
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各キャラの呼称相関図は
URLリンク(botan.sakura.ne.jp)
内のToHeart2呼び方相関図を参照。
ToHeart2 SS の書庫 (スレの全作品保管)
URLリンク(th2ss.hp.infoseek.co.jp) (移転)→URLリンク(www.geocities.jp)
3:名無しさんだよもん
08/06/28 09:06:09 0DmHfpyI0
【 綾瀬はるか 】 巨乳がこぼれ乳首が見えた衝撃写真流出♪
URLリンク(photo.myfile-host.info)
URLリンク(photo.myfile-host.info)
URLリンク(photo.myfile-host.info)
4:名無しさんだよもん
08/06/28 12:09:51 q+E1Zays0
>>1乙
5:名無しさんだよもん
08/06/28 20:25:19 GX6NT/KL0
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄
6:名無しさんだよもん
08/07/01 21:28:29 /lserfIp0
あなたが落としたのは皇国の守護者ですか?
それともファイブスター物語ですか?
そう聞くピンク色の髪のフシギな女の子と、
桜の木の下で出会ったんだ…
7:名無しさんだよもん
08/07/02 00:14:40 RHYyRfqC0
>6
分かったから一緒に煉獄に帰ろう、な?
8:名無しさんだよもん
08/07/02 18:03:21 mZycPx4x0
>>1乙
9:名無しさんだよもん
08/07/02 23:56:32 xo3Cxh6a0
>>1乙
前すれも埋まったことだし投稿を期待
10:名無しさんだよもん
08/07/04 19:52:48 bKLZI8go0
即死回避sage&遅まき>1乙
11:名無しさんだよもん
08/07/05 13:00:00 m+FQUVa30
スレが寂しいので起爆剤投下
例によってあまり関係ないですがAD非準拠ですのでよしなに
12:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 1/13
08/07/05 13:03:02 m+FQUVa30
照りつける太陽がじりじりと俺の素肌を焼く。
俺はデッキチェアに寝転がったまま横にあったコーラのグラスを手に取り、突き刺さった
ストローを口に含んだ。
ウマー♪
汗をかきながら飲むコーラサイコー
「……だらしないわね。少しは泳ごうって気にならないのかしらこのヘタレ男は。」
ヘタレ呼ばわりされて、俺は似合わないサングラスをずらして声の主を見た。
そこには、挑発的な赤いビキニに身を包んだ呆れ顔の女の子……十波由真がいた。
◇
「今日は宿題パスして遊びに行くから。」
いつものようにうちにやってきた由真は開口一番、そんな事を言い切った。
「いつものルールはどうした。」
「今日は特別。ほら、これ。」
そう言って取り出したのは駅前にある来栖川グループの某有名ホテルのプールへのご招待
ペアチケット(ランチ付き)だった。
「これ結構いい値段するんじゃないの?」
「おじいちゃんに貰ったからタダだけどね。この間の約束は忘れて無いでしょうね。
……きょ、今日はあたしに付き合ってもらうからねっ。ちゃんとエスコートしなさいよ。」
俺を睨みながらそう言って由真は赤くなった。……正直、ちょっとかわいいと思った。
13:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 2/13
08/07/05 13:09:27 m+FQUVa30
しかし……こんな高価なチケットほいほいとくれるなんて……由真のところのじーさんは
何者なんだ。
考えてみれば、俺は由真のことを良く知らない。まあ、恋人でも無いのに立ち入った事を
聞く立場でも無いけど。
でも……そのうちそれとなく聞いてみよう。主に俺の好奇心のために。
「という事は……水着が必要か。前に海に行った時の奴はどうしたっけ。流石に学校指定
水着は履きたくないしなぁ……」
俺が水着のありかに思考をめぐらせていると、
「ふふーん。」
……なぜか由真は勝ち誇った顔で仁王立ちしていた。
「……なんだよ。」
「甘いわね、たかあき。あたしを見なさい!」
そう言うと……由真はなぜかシャツの前ボタンに手をかけた。
ちなみに今日の由真の服装は白い半袖のカッターシャツに茶色のショートパンツという軽装だ。
由真は下までボタンを外すと漢らしくシャツを脱ぎ捨てた
「ふふーん、どう?」
由真は裸の上半身にビキニのトップを装着済みだった。
ちなみに、偉そうに由真がふんぞり返ると結構豊かな胸がぷるるんと揺れておおっ、と
思ったのは内緒だ。
しかし、それはそれとして服の下に着用済みって……
「どう? あんたとは気合が違うのよ。」
「気合って……お前は小学生か。」
「しょ、小学生って……どういう意味よっ。」
「どうせ待ちきれなくて家で水着着てそのまんま来ちまったんだろ。……それになぁ、こんなとこで俺に見せびらかしてて恥かしく無いのか?」
俺が指摘すると、由真は自分の行動を思い返したのか、耳まで赤くなってがばっと胸を隠した。
「……ヘンタイ。」
「お前が見せたんだろうがっ!」
14:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 3/13
08/07/05 13:12:18 m+FQUVa30
◇
そんなこんなで、今俺と由真はホテルの屋上にあるプールに居るのだった。
ここにはハイソなリゾートにあるような丸いプールと小さいながらも競泳プールがあり、
プールサイドには白いパラソルとそろいのデッキチェアもいくつか並んでいた。
周りには緑がふんだんに植え込まれ、白いお洒落なカフェバーも併設されている。
とてもここが自分の住んでいる町のビルの天辺とは思えない光景だった。
この時期はイモ洗い状態が当たり前の市民プールとは雲泥の差だ。
「全く、せっかくプールに来たのに少しは泳ぎなさいよ。競泳プールであたしの華麗な泳ぎを
見せ付けてあんたに敗北感を味あわせてやろうと思ってたのに。ぶつぶつ。」
横のデッキチェアで拗ねている由真に、俺はサングラスの横からこっそり視線を向けた。
家でも見せつけられたけど、由真は真っ赤なビキニに身を包んでいた。しかも、スタイルに
自信があるのか、ただ単に直感で選んだのか知らないが、布地の面積がいささか心配な三角ビキニだ。
そして由真は結構肉付きがいい。
横から見ると横乳が零れ落ちそうになっていたし、今は花柄のパレオで見えないが下も
横が紐のタイプなので、程よく肉のついた脚のラインが水着に邪魔される事なく拝む事が出来た。
はっきり言って健康な高校生男子には目の毒だ。
そのくせウエストには余計な肉がほとんど無い。あんだけ俺と一緒にがつがつ色々と
食いまくってるのに太ってないのは、怒ったり暴れたりする事でエネルギーを発散してるからなのか、
ただ単に燃費が悪いからなのか。
ともかく、顔はかわいいんだしスタイルも悪くないんだから、もう少し大人しくなってくれれば
俺の苦労も減って万々歳なんだけどな。
15:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 4/13
08/07/05 13:15:07 m+FQUVa30
視線をずらしてもう一度由真の顔を見てみる。由真はまだそっぽを向いたまま膨れてる。
付き合いもそれなりの長さになってきたせいか、最近由真の行動パターンが少しわかってきた。
今のようなときは、構って欲しい時だ。
というわけで、そろそろへそを曲げたお嬢さんのご機嫌をとることにする。
「さて、じゃあお言葉に従って一泳ぎしてこようかな。」
「……あたしは行かないからねっ。」
そっぽを向いたまま由真が予想通りのへそまがりな答えを返した。
そこで俺は「釣り糸」をたらす事にする。
「ふーん、そうか。……由真は俺に泳ぎで負けるのが怖いのか。」
向こうを向いて寝転がったままの由真の肩がぴくっ、と動いた。
「ま、誰でも負けるのは悔しいからな。」
びくびくっ、と由真の肩がまた動いた。そろそろいいかな?
「じゃ、俺泳いでくるから由真はゆっくり休んでろよ。」
「ま、待ちなさい!」
HIT!
由真は俺のたらした「釣り糸」に食いついて、デッキチェアからがばっと起き上がった。
「そ、そこまで言うなら。勝負してあげるわ。たかあき、覚悟しなさい!」
案の定、いつものポーズで俺に人差し指を突きつけると由真は俺に挑戦状を叩きつけて来た。
その表情は挑戦的で……でも自分では気がついて無いだろうけど、由真の目は楽しそうに笑っていた。
16:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 5/13
08/07/05 13:18:04 m+FQUVa30
◇
途中、一流ホテルの美味しいランチで腹を満たしつつ、俺と由真はしこたま泳ぎ倒して
くたくたになったところで家路に着いた。
「で、雨か……あんなに天気が良かったのにな。」
「あんたが雨男?」
そう言って由真が迷惑そうな顔で俺を睨んだ。
今俺たちは雨宿り中だ。
ホテルから歩いている途中でパラパラと大粒の雨が降り出してきて、雨宿りできる場所を
探して駆け込んだのは学校の傍の山のふもとの木の下だった。
「俺が特別雨男ってことは無いと思うぞ。お前こそ雨女なんじゃ。」
「あたしは晴れ女に決まってるでしょ。」
由真は間発入れずに言い返してきた。何だろうねこの無駄な自信は。
しかし……あれだけ晴天だった空がべったりと重い雨雲に覆われていて、バケツをひっくり
返したような雨は一向に止む気配が無い。
しばらく二人で黙って空を見上げていたが、やがて沈黙に耐えられなくなったのか由真が口を開いた。
「ねえ、たかあき。どうせなら上に行かない?」
「上?」
「ここじゃぽつぽつ水が落ちてくるし。上のお社で雨宿りしたほうが濡れないんじゃない?」
そう言って由真はすぐ横の石段を指差した。
たしかに、ここは直接雨には当たらないとはいえ完全に濡れずに済むというわけではないし。
とはいえ、泳ぎ倒して疲れた身体で石段を登るのはおっくうだ。
「……根性無し。やっぱりヘタレね。」
俺の表情で察したのか、由真が馬鹿にしたように言った。
17:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 6/13
08/07/05 13:21:03 m+FQUVa30
「うるさいな。泳いで疲れてるんだからしょうが無いだろ。」
「ふーん……ま、あたしは平気だけど。」
そう言って由真はひょいひょいと石段を登り始めた。まったく、毎度あの元気はどこから
湧いてくるんだろうね。
「……登るか。」
放っておこうかとも思ったが、後で逆切れされるのが容易に想像できてしまったので、
俺は諦めて石段に足をかけた。まったく、俺も付き合いがいいよな……
石段は両側から延びた木々の枝のおかげで天然のトンネルのようになっていて、さほど
濡れずに上まで登る事が出来た。
だが最上段を目前にして俺たちの足が止まった。
「これは盲点だったな。」
「……」
石段を上がりきったところでトンネルは途切れ、鳥居をくぐってお社までの間には何にも無い。
そこに土砂降りの雨が降っているのだ。
「……戻るか。」
俺が諦めて石段を下りかけた時、由真の奴は何を考えたのかいきなり雨の中に飛び出した。
「おい!」
「走ればすぐに着くってば!」
そう言って由真は全力疾走でお社へと走っていった
「……くそっ!」
由真を放って帰るという選択肢を取る事が出来ず、俺もまた雨の中に飛び出した。
……なんだかんだ言って由真に振り回されてるなぁ、俺。
18:名無しさんだよもん
08/07/05 13:23:27 RabmUlRN0
支援
19:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 7/13
08/07/05 13:24:03 m+FQUVa30
「はぁ、はぁ……何がすぐに着く、だよ。」
「しょ、しょうがないでしょ……いきなり雨が強くなるなんて思わなかったし。やっぱり
あんたが雨男に決まりね。」
俺と由真はお社の中に飛び込んで扉を閉めたところで悪態をつき合った。
俺が雨の中に飛び出したところで天候が悪化、バケツをひっくり返したような雨だったのが
ナイアガラのような雨にランクアップし、おまけに横殴りになったので、お社にたどり着くまでの間に
俺も由真もびしょぬれになってしまった。
小さなお社の中は奥に小さなご神体があってそのほかには少し掃除道具などがあるだけだ。
とりあえずスポーツバックに入っていたタオルで頭を拭くと、人が4〜5人も入れば
いっぱいの広さの部屋の両端に俺と由真は腰を下ろした。
正面に居る由真をまじまじと見ているのもなんなので外に目を向ける。
格子戸から見える空は鉛色から黒と言ってもいい感じになりつつあり、耳が痛くなるような雨音も衰えを見せずに続いている。
「……さむ。」
ポツリと聞こえた言葉に視線を戻すと、由真は肩を抱いて震えていた。
「なんかあったまる方法とかない?」
「そういわれてもな……」
お社の中で焚き火をするわけにもいかないし、なにより火をつける道具を持ってない。
でもこのままだと風邪引くだろうし……
そこまで考えたところで、俺はひとつの方法を思いついた。
でも、なぁ……でも他に手は無いし……ま、ダメ元で言ってみるか。
「ひとつ方法を思いついたんだけど。」
「……言って見なさいよ。」
「いいか、言うけど怒るなよ。」
俺はひとつ呼吸を整えて続けた。
20:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 8/13
08/07/05 13:27:04 m+FQUVa30
「たとえばだ、雪山で遭難したときなんかに、燃やすものも無い山小屋で良くやる手なんだけど。」
「そ、それって……」
由真の顔が耳の先まで真っ赤になった。
「その……くっついて温めるって言うか……」
「す、スケベ! 変態! あ、あたしに何する気!?」
ここが人気の無い場所でよかったと思うような言葉に俺はむっとしながらも忍耐強く話を続けた。
「だれも裸で抱き合うなんて言って無いだろ。俺だってそんな恥ずかしいのはごめんだ。
ただ服着たままでもくっついてればあったかいと思って……。」
「…!」
こちらに人差し指を向けたポーズのまま由真の口撃が止まった。
そして由真はしばらく逡巡する様子を見せてから俺に向けていた指を下ろした。
「わ、わかったわよっ。そ、そっち、行くから……あっち見てて。」
そう言って由真がご神体の置いてある神棚のほうを指差したのでおとなしくそちらを向く事にした。
俺がご神体の石ころを仔細に観察している間に、由真がゆっくりと歩いてくるのがわかった。
そして……俺の脚の間に腰を下ろした……って、おい。
由真は投げ出し気味だった俺の脚の間に腰を下ろして俺の胸に背を預けてきたのだった。
「ちょっとまて。なんでここなんだ。」
「いっ、いいでしょっ! このほうが密着してあったかいし……だ、だからって、変な事するんじゃないわよっ!」
赤い顔でそう言うと再び前を向いて俺にもたれかかってきた。
……確かにあったかいけどな……だけど、俺だって男なんだぞ。無防備すぎないか?
湧き上がってくる文句を堪えて、ひとつため息をつくと由真のウエストの辺りに腕を回して
軽く抱き寄せた。
由真は一瞬身体をこわばらせたけど、少しすると慣れたのか再び力を抜いてもたれかかってきた。
21:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 9/13
08/07/05 13:30:04 m+FQUVa30
すごく背中が小さい。
いつも元気いっぱいで、その言動で俺を振り回しているけど、こうやって見ていると
やっぱりか弱い女の子なんだなと思う。
腕だって細くて筋肉なんてろくに無いし、今俺に触れている部分はどこもかしこも
柔らかくて頼りない。
目の前には由真の頭がある。ショートカットの髪は今は濡れていて、かすかに汗とプールの
塩素の臭いがした。ほっそりとした首には数本後れ毛が張り付いていて、なんだかひどく艶かしい。
「……あたしの耳元で鼻スピスピさせるな。」
「あっ、ごっ、ごめん。」
いつの間にか、俺は顔を由真の頭に近づけていて指摘された瞬間に気がついてあわてて
顔を離した。
とはいえ、女の子と密着した状態というのはやっぱり色々妄想なんかも膨らんじゃったりするわけで、
健全な男子にはなんともつらい。
由真の身体の柔らかさと体温に悶々としながら、俺は外の雨音を聞いて気を紛らわせる事にした。
外はまだ強い雨が降り続いている。今の体勢だと格子戸の格子を通して見える狭い範囲の
空しか見えないが、見えるのはべったりと重い雨雲だけで、まだしばらく止みそうに無い。
しばらく雨音に耳を傾けていたら、雨音に混じってすうすうという穏やかな呼吸音が聞こえてきた。
「……由真?」
返事が無い。
俺はそっと横から顔を覗き込んだ。……由真は穏やかな顔で眠っていた。
なんだ……由真だって疲れてたんじゃないか。
「ん……」
寝苦しいのか、俺に背中を預けていた由真は横に向き直ると、俺のシャツの胸の辺りに
つかまって再びむにゃむにゃと眠り始めた。
こ、これはちょっと……
先ほどは細い背中と柔らかいお尻の辺りが俺の身体に当たって色々面倒な事になって
いたのだが、今度は俺にもたれかかっている格好だ。
文字通り目と鼻の先に由真の顔がある。
間近にある由真の顔を上から観察する。長いまつげ、うっすらと開いたうす桃色の唇は
リップでも塗っているのかつやつやしていて、すうすう言う甘い吐息で俺の首の辺りをくすぐっていた。
22:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 10/13
08/07/05 13:33:02 m+FQUVa30
やばい……可愛過ぎる。
散々ヘタレといわれ続けてきた俺だけど、別に女の子に対する興味が無いわけじゃない。
ここで由真をぎゅっと抱きしめてキスしてしまいたい欲求に理性がぐらついた。
眠ったままの由真の肩に手をまわして身体を支える。そして、ちょっとだけ顔を上向かせた。
ちょっとだけ顔を寄せる。まだ由真は目覚めない。
もう少しだけ顔を近づける。由真の寝息が俺の頬をくすぐった。
「ん……たかあき?」
ついに由真が目を覚ました。だけど、もう弁解できるような距離じゃない。
だから度胸を決めた。俺はさらに顔を近づける。
「え……たかあき?」
由真は戸惑ったような……それでいて、何かを期待するような眼差しで俺を見ていた。
暴れたり、逃げ出そうともしない。借りてきた猫みたいに大人しくしている。
これは……いいって事だよな?
抵抗しないのを了解の意志と受け取って、俺はさらに顔を寄せた。
由真がぎゅっと目を閉じる。身体を少しこわばらせ、俺のシャツの胸元をつかむ手にも力がこもった。
23:名無しさんだよもん
08/07/05 13:34:05 UBvWjbD90
替えの下着を忘れた支援
24:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 11/13
08/07/05 13:36:08 m+FQUVa30
もうちょっと……あと少し……もうちょい……
その時だった
どがぁぁぁぁぁぁん!
「うわっ!なっななな、なんだっ!」
「きゃっ!何!爆発!?」
お社全体がびりびりと振動するようなすごい爆音に俺と由真は飛び上がった。
そして、俺は咄嗟に由真を押し倒して上に覆いかぶさった。
変な意味じゃないぞ。お社が倒れるんじゃないかと思うぐらいすごい轟音だったから
由真を守らなきゃ、と思ったんだ。
由真の上に覆いかぶさったまま、俺は頭を抱えてしばらくじっとしていた。
バケツをひっくり返したようなうるさい雨音はまだ続いている。
そして、雨の湿った土の香りに混じってわずかにきな臭い臭いが漂ってきた。
「……なんだったの?」
「良くわかんない……」
俺は身体を起こして格子から外を覗いてみたけど特に何もなかった。
「外は別にどうもなって無いけどな……」
「……たかあき。」
「ん?どうかし……た」
その時になって俺は今の体勢に気がついた。
由真を守ろうとしたとはいえ、今俺は由真を押し倒した体制でいるわけで……
25:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 12/13
08/07/05 13:39:16 m+FQUVa30
由真が真っ赤な顔で俺を見上げていた。
そして視線を落とすと…シャツの胸元がちょっとはだけて胸の谷間が見えていて……正直、たまりません。
そしてよくよく見れば濡れた白いシャツの布地が透けていて、その下の肌色とピンク色が…
って、ぴんくいろって?
「お、おまえ……なんでのーぶ」
「ノーブラ言うな!」
げしっ!
由真のアッパーカットが俺のあごに炸裂した。
◇
「だ、だってしょうがないでしょ。家で水着着てきたから下着忘れたの!」
「お前は小学生かよ……」
あの後……
激しい雨がぴたりと止んで嘘のように晴れ上がったので俺と由真は河野家へと戻ってきた。
ちなみにあの爆音は境内の立ち木に落ちた雷だったらしい。真っ二つになった立ち木を見て、
由真と二人肝を冷やして逃げるように帰ってきた。
そして今、由真の服はいつぞやのように我が家の乾燥機の中で絶賛回転中だ。
そしてこれもまたいつぞやのように、由真は我が家に常備されている専用メイド服を着ていた。
そして……さっきまでの雰囲気はどこへやら、俺と由真は罵り合いの真っ最中だった。
26:メイド日和 エピソード3 ツンデレ危機一発 13/13
08/07/05 13:42:16 m+FQUVa30
「小学生とか言うな!」
「だって小学生だろ。うきうきしすぎて下着忘れるとか。」
「く〜〜!」
俺に言い負かされた由真が悔しがって地団駄を踏む。
しっかし……さっきはせっかくいい雰囲気だったのにな……
もしあのまま……その……き、キス出来ていたら……俺と由真の関係も少しは変わって
いたんだろうか。
とはいえ、あの時の雰囲気はちょっとやばかった。勢いに任せてさらに先の行為に及んで
いたかもしれない事を考えるとあれはあれで良かったのかな、とも思う。
特にあの透けたシャツ越しに見えた由真のおっぱいは驚くと同時にかなり刺激的だった……
そこまで考えて、俺は気がついた。
「由真……まさかとは思うんだけど。」
「なに? まだなんか言う気?」
「いや、下着忘れたって事は……そのスカートの下はまたのーぱn」
次の瞬間、由真の足の裏が俺の視界を埋め尽くした。
27:名無しさんだよもん
08/07/05 13:45:28 m+FQUVa30
メイドコスネタで書くのも難しくなってきたし、
そろそろ話がパターン化してきたのでサブタイ「ツンデレの帰還」にして話を〆ようと思ってたのですが、
〆る話が思いつかなかったです orz
今回は単にコスチュームネタ(水着)になっています
サブタイは水野晴郎先生を偲んで……(すげー罰当たり)
内容は高校生男子なら誰もが抱く妄想炸裂で固めてみますた
>>23
読まれた〜w
28:名無しさんだよもん
08/07/05 13:55:45 XjATfGymO
GJ!
ひたすらGJ!
自分、由真属性じゃないんですが、このシリーズはイイ!!
これからもがんばってつか〜さい
29:名無しさんだよもん
08/07/06 05:40:42 UuNISlxH0
つんでれ最高!!
30:名無しさんだよもん
08/07/06 07:58:02 FC37CRRy0
GJ! どの辺がメイド? とか突っ込もうと思ったら最後にきっちりktkr
動きと感情と情景(というか由真の身体の外形w)の、描写のバランスがいいねえ
31:名無しさんだよもん
08/07/06 09:59:59 IO2C3IS90
>>27
GJ!
>サブタイ「ツンデレの帰還」
SW旧三部作かw
32:名無しさんだよもん
08/07/06 16:25:15 DDg9hQg30
トップバッターでなくて良かったw
どうも。一度、離脱宣言した人です。
場が荒れるの避けたかったので控えるつもりだったんですが、よくよく考えて、せめて、書きかけのブツだけでも
終わらせてから、去るという事にしました。
前言撤回、まことに恥ずかしげもなく申し訳ないです。orz
というわけで、無駄に長いだけのSSですが・・・・
閲覧者が少ないうちに投下します(^^;
33:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(1/27)
08/07/06 16:32:06 4QuxcodJ0
書き手が出入り禁止喰らってしまい、しばらく間が開いてしまったから、一応、前回のあらすじを説明しよう!
数々の不幸や苦難を乗り越え、学園公認のバカップルとなった、河野貴明と彼の専属メイドロボ、ミルファ。
そして、その貴明の家でメイド修行に奮闘するミルファの妹、シルファ。
そんな彼、彼女らの下に、新たなる刺客の影が迫る。
その刺客の名は ―― 来栖川エレクトロニクス製量産型メイドロボ、HM-16“リオン”!
34:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(2/27)
08/07/06 16:33:12 4QuxcodJ0
結局、くじ引きを終えた後、デートもお開きにして、河野家に帰ってきた貴明とミルファ。
「で、どーすんの、ダーリン?」
「ろーするんれすか、ご主人様?」
ソファに腰かけ、う〜ん、と唸りながら、貴明は、抽選会場で貰ったパンフレットに目を通していた。
背後にはミルファがいて、後頭部に豊満な胸を押付けるように貴明を抱きかかえている。
そして左側にはシルファが侍り、貴明の表情を窺っていた。
人間そのものの少女の写真が並べられたパンフレットの紙面は、なにやらAVビデオのパンフのようで、どうにもぞっとしないな、などと思う貴明。
写真のそれは、目の前のシルファによく似たデザインの制服を着ていた。
なるほど、聞いていた通り、このタイプが、三姉妹達の体の元になっているのか、と彼は納得する。
それで、彼は、写真の少女に、イルファ達の面影を探そうとした。
・・・・しかし、写真の“リオン”は、HMX-17三姉妹よりはもっと大人びた印象がある。
パンフの説明にも書かれているが、購入者の趣向に合わせるように、様々な顔立ちのリオンが用意されているらしかった。
このリオンは、身長も三姉妹達より高い。恐らく、イルファ達は、珊瑚達に合わせるように、やや小柄にカスタマイズされたものだろう。
35:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(3/27)
08/07/06 16:35:10 4QuxcodJ0
しばらく思案した後、貴明が言った。
「・・・・・やっぱり、やめておこうかな。辞退にマルつけて、来栖川にハガキ送っておくよ。」
それを聞いて、ミルファがニンマリする。
「当然だよね〜、ダーリン。妻・兼優秀なメイドは一人で充分だもんね〜♪」
憮然としたシルファが言う。
「何を言ってるれすか?ご主人様の専属めいろろぼはシルファれす。ミルミルはご主人様の性欲処理専門ろぼれすよ〜ら!」
「あんたのご主人様登録は“仮”じゃない。ダーリンの正式な専属はあ・た・し。あんたはお情けで置いて貰ってるんだから感謝しなさいよね。」 返すミルファ。
「その契約は、“はるみ”が勝手に結んらものれすよ?」 腹黒な表情を浮かべてシルファが言った。
「ふーんだ。そんなんで動揺誘おうったって、もう効かないんだから。」
フフン、と、腕を組んで、それを余裕の表情で受け流すミルファ。
「都はるみだかエドはるみだかが過去のあたしだろうが赤の他人だろうが、もーまんたい!今現在のダーリンの正式な専属メイドロボが、“HMX-17b・ミルファ”だという事実だけが肝心なの!」
「“おぽんち”なりに、いろいろ考えてるようれすね」
「イルファお姉ちゃんならともかく、ひっきーであまのじゃくでひねくれ者のあんたに言われたって、な〜んともないんだから。」
36:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(4/27)
08/07/06 16:38:18 4QuxcodJ0
シルファが、ぱっと立ち上がった。
そして、貴明の頭上で、顔を付き合わせる二人。
「きぃ〜っ!」
「うぅ〜っ!」
バチバチと頭の上に降りかかる火花を感じながら、貴明がパンフに目を落としつつ言った。
「二人ともさぁ、喧嘩やめないんだったら、どっちの契約も解除しちゃって、このリオンさんに来て貰おうかなぁ〜。」
それを聞いて、ギョッとなるミルファとシルファ。
「ちょ、ちょっと!ダーリン!?」
「ぴっ!?な、何を言うんれすかご主人様!?」
ミルファは、貴明の首に再び腕を絡め、グイっと締めつけてスリーパーホールドを掛けにいく。
シルファは、ソファの上で貴明を横にし、足を絡めて四の字固めの体勢に入った。
「ぐわぁ〜っ!ぐほぉ!!や、やめてっ!二人とも!ゴメン、お願いだからやめてぇ〜〜〜っっっ!!」
37:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(5/27)
08/07/06 16:41:07 4QuxcodJ0
―― そして、翌日、学校にて。
「タカ坊、雄二、今日はいい陽気だから屋上で昼食とらない?」
環とこのみが、貴明達の教室に、昼食の誘いにきた。
晩秋ながらこの日は風もなく、ポカポカと日差しが暖かい。
貴明、ミルファ、環、このみ、雄二の5人が、持ち寄ってきた弁当をシートの上に広げた。
「はい、ダーリン、あ〜ん♪」
あ〜ん、と開けた貴明の口の中に、ミルファが箸でつまんだ出し巻きタマゴを放り込む。
「どお、ダーリン?お姉ちゃんと瑠璃ちゃんについてもらって、いっぱい練習したんだよ」
「うん、おいしいよ。」 もぐもぐもぐ。
これでもか、とばかりに、バカップルぶりを見せつける貴明達に、もはや環もこのみも苦笑するしかない。
あまりに割り切った爽やかさに脱帽である。
ウインナーを口に放り込みながら、雄二が羨望の眼差しを貴明達に向けつつ溜息をつく。
「はぁ〜。いいなぁお前ら・・・・。」
そのつぶやきを聞いて、環が横目で雄二を睨みつつ言った。
「何よ、雄二。私の作った弁当にどこか不満でも?」
― いっ、いえお姉様!とっても美味しいです!ブラボーです!グラッチェです!・・・・と、雄二が焦って両手をかざす。
38:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(6/27)
08/07/06 16:43:23 4QuxcodJ0
何となく、貴明には、雄二の溜息の理由の察しがついた。
今自分がこうしていちゃいちゃしている相手が、このみやタマ姉ではなく、“メイドロボ”のミルファなのが、余計に羨ましいのだろう。
― そうだ!
貴明は、例の抽選の二等賞品の件を思い出した。
「なぁ、雄二。もし、一年でも半年でも、お前が新型メイドロボのモニターにでも選ばれたら、受けるか?」
― 何だと貴明?何をわかりきった事を!―
くわっと貴明の眼前に乗り出してきた雄二。
「うちじゃ買えない、いや買う気が親父達には全くないんだよ!お前みたいな機会に俺も恵まれてぇ〜〜っ!メイドロボちゃんに着せる可愛い服も、いっぱい用意してあるというのに・・・・とほほ・・・・」
そう言って、雄二はがっくりと頭を落としてうなだれた。
39:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(7/27)
08/07/06 16:45:57 4QuxcodJ0
雄二のその様子を見て、環が額に手を当てて、ハァー・・・・と、溜息をつく。
「何バカなこと言ってるの、あんたは・・・・駄目に決まってんでしょう。わかってるわよね?」
そして、貴明に視線を向ける。
「ねぇタカ坊、夏頃、うちにイルファが運用テストに来た時の事、覚えてる?」
― ああ、雄二に無理矢理せがまれた時の。そういえば、そんな事が。思い起こす貴明。
「あの時は来栖川から捻じ込まれてきたから、不承不承、黙認してたけど、お父様、あからさまに嫌な顔してたんだから。」
息子の趣味を知って、その将来を、かなり憂えているのだとか。
人間の娘以上に、メイドロボを傍に侍らせたいというその願望を。
山田家との縁談も、それで断ってしまったのだと疑われていて、もはやメイドロボが目の敵にされているらしかった。
「だから、いかにもメイドロボな格好でうちに来るのは避けた方がいいみたい。ミルファちゃん、一応イルファや珊瑚ちゃん達にも言っておいて」
うんわかった、セーラー服とか私服なら大丈夫だよね、と言いながら、ミルファは貴明の耳元に顔を寄せ、囁いた。
― 何?ダーリン、あのリオンお姉ちゃん、ゆーじくんに押し付けるつもりだったの?―
― 押し付けるなんて。雄二なら喜んで受けるかと思ったんだけど・・・・あんな様子じゃ無理かなぁ。―
40:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(8/27)
08/07/06 16:47:54 4QuxcodJ0
「タカくんもユウくんも、メイドロボさん大好きなんだね〜。」
このみがつぶやいた。
俺はメイドロボというより、HMX-17三姉妹が好きなんだけど・・・・などと思う貴明。
「ていうか、みんな、メイドロボが好きなのかな〜。あのね、男の子達の間で、ミルファちゃんのファンクラブまであるんだよー。」
― わぁ〜い!そうなんだー、嬉しいぃ〜♪― と言いつつ、
「でも、あたしはダーリンだけのものだから〜♪」 と、貴明に抱きついて、胸元に顔をうずめるミルファ。
先端技術的なものに興味を示しやすい高校生男子が、メイドロボに興味津々なのは不思議な事ではないにせよ・・・・
ミルファの場合は、メイドロボという先入観を取り去って、人間の少女として眺めてみても、無邪気で快活な性格が人気を集めるのは至極当然だろう、と思う貴明。
「いいなぁ〜。このみもメイドロボに改造してもらって、タカくんにご主人様登録してもらおうかな〜。」
真顔でそんな事を言ったこのみに、一同が“エェッ!?”と、思わずのけぞった。
41:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(9/27)
08/07/06 16:50:17 4QuxcodJ0
「ウホッ!いいヘタレ・・・・」
― いいわいいわ〜、今日のタカ君。一段と憂い顔で。ヘタレパワーをムンムン感じちゃう♪ ―
そう女言葉で話す白衣姿のこの人は、れっきとした男性である。
口髭まで生やし、フレディ・マーキュリー似でかなり筋骨たくましいのだが、仕草が妙に女性的で色っぽい。
―― 様々な、怪しい機器が並んだ一室。
貴明は、センサーのついた帯を頭に巻かれて座しながら、モニタに映し出される、自分の脳波の動きらしい妖しげな波形をぼうっと眺めていた。
ここは、来栖医大の付属研究施設の、『リラクゼーション研究所』。
一部で、別名、“ヘタレ力研究所”と、呼ばれている施設であった。
そのいかがわしさすらも感じる研究内容のために、来栖川エレクトロニクスがスポンサーになって、かなりの出資をしているらしいが・・・・
先般、自分の記憶を消去してしまおうとしたミルファを貴明が追った時に、バスに踏まれて無残に破壊されてしまった、由真から借りたMTBと、バス会社が蒙った被害の補償は、ミルファの後見である来栖川のロボット研究所の長瀬氏がしてくれた。
しかし、それは何としてもお返ししたい、と貴明が言い張ったので、それなら、と、イルファが、この研究所での被験者のバイトを紹介してくれたのだった。
42:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(10/27)
08/07/06 16:53:30 4QuxcodJ0
貴明をねっとりとした視線で見つめる、ゲイっぽい研究員のフレディ(仮)さん曰く、貴明はこれまでで最高の研究対象らしい。
コンコン、とドアを叩く音がした。
カチャリ、とドアが開いて、入ってきたのは・・・・
「失礼します。」
―― イルファだった。
「あらぁ〜。イルファちゃん、今日もご苦労様ね。書類一式、もうちゃんと用意してあるわよ。長瀬のおじさまにも宜しくね♪」
フレディ(仮)さんは腰をくねらせながら机に向かい、置いてあった書類を取ってイルファに手渡した。
そもそも、最高のヘタレパワーの観察対象、と呼ばれるだけでもかなり抵抗があるのに、その採取データを、ロボット研究所でどう使うというのだろう?
釈然としない思いの貴明である。
しかし、1週間に1度、ただ、座っているだけの楽なバイトに、不満など言ってはいられないのはわかっているつもりだった。
フレディ(仮)さんは、PCのモニタに映し出されたデータログを一通り見てから、言った。
「うん、今日はこれで終り。とってもいい結果が得られそうよ。また来週もよろしくね、タカ君♪」
43:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(11/27)
08/07/06 16:56:24 85Hx7U+f0
夕焼け空の下、来栖医大からバス停へと続く、すっかり葉の落ちてしまった並木道を貴明と並んで歩きながら、イルファが口を開いた。
「すいません貴明さん、変なお仕事、紹介しちゃって・・・・」
― でも・・・・と、続けるイルファ。
「貴明さんにはとっても素敵な力があるんです。ミルファちゃんやシルファちゃんを救って下さったんですもの。これから世に出て来る私達の妹達や、世の中のために、きっと、その力が必要になると思います。」
「そんな・・・・気楽な仕事紹介して貰って、感謝してるよイルファさん。」
不機嫌が顔に現れていたようで、イルファに余計な気を遣わせてしまったかと、後悔した貴明だった。
44:名無しさんだよもん
08/07/06 16:57:50 JSkKFyI/O
戻って来てくれて嬉しいぞ支援
45:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(12/27)
08/07/06 16:58:14 85Hx7U+f0
「ところで・・・・」
ふいに、話題を切り出したイルファ。
「HM-16の無料体験キャンペーン、当選されたんですって?」
勿論、ミルファから聞いたのだろう。貴明は頷くと、その権を雄二に譲ろうとしたが、それは難しそうだという事までをイルファに語った。
「そうですか・・・・雄二さんに。確かに、とても、喜ばれるとは思いますけど・・・・」
イルファは、向坂家にメイド修行に行った時の、雄二の喜色満面な様子を思い出す。
そして同時に、このキャンペーンには、何か裏がありそうだとも思案していた。
HM-16は今、市場から非常な好評で迎えられていて、まさかくじ引きの景品で無料体験キャンペーンを張る程の、販促が必要には思われなかった。
それは、販売サイドから出た話ではない。多分に、開発サイドの要望からと想像される。
―― 何の為に?
最初から購入を意図している、ある程度利用パターンの読める客層ではなく、様々な層からのモニタを募りたいのだ、恐らくは。
そういう意味では、雄二はあまり最適とは言えないモニターかも知れないが・・・・
長瀬のおじさまが噛んでるのかしら、やっぱり・・・・・
46:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(13/27)
08/07/06 16:59:59 85Hx7U+f0
「どうしたの、イルファさん?」
「きゃっ?」
急に貴明の声がイルファの思考の間に割って入って来た。
「い、いえ、その、今の貴明さんの、ミルファちゃんにシルファちゃんに私と一緒の生活に、リオンお姉様まで加わってのラブラブな日々を想像したら、つい、いけない妄想が・・・・・」
そう言って両手に顔をうずめ、頬を赤らめるイルファ。
はは、はは、と、苦笑する貴明であったが、イルファがこういうHな妄想の話を持ち出す時は、多くの場合、何かをはぐらかす為だと、少々鈍感な貴明もさすがに気付いていた。
「そ、それで、やっぱり、諦めちゃうんですか、貴明さんも雄二さんも?」
そうするしかないかな・・・・と呟いた後、貴明は言う。
「でもなぁ・・・・雄二にはいろいろ世話になったし、何とか、喜ばせてやりたいと思うんだ、俺。」
47:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(14/27)
08/07/06 17:02:05 85Hx7U+f0
イルファは顎に手をやって、思案していたが、何か思いついたか、貴明に向いて言った。
「貴明さん、“蓋然性の理論”って、ご存知ですか?」
首を振る貴明。
おぽんちミルファとほぼ同じパーツで出来ている“姉”とは、とても思われない程、イルファさんは、難しい知識をどんどん吸収しているな・・・・と、思わずにはいられない貴明だった。
ミルファの興味は、“快”の方向に向いている。イルファは恐らく、人間で言うところの“マニアック”な方向に興味が向かっているのだろう。
「昔、オランダの数学者が著した理論です。その数学者は政治家も務めていて、イギリスとの戦争を終わらせるために、その理論を応用してみたんです・・・・結果は、大成功でした。」
そして、貴明にニッコリ微笑んだイルファ。
「かいつまんで言ってしまうと、“既成事実さえ作っちゃえば、もうこっちのもの。後戻りなんか出来っこない”という理論だったんです、それは。」
48:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(15/27)
08/07/06 17:04:21 85Hx7U+f0
―― そして再び、翌日、学校にて。
放課後、貴明が視聴覚室に入ると、珊瑚と瑠璃の二人だけが、広い部屋の中でノートPCに向かって座っていた。
机上の、珊瑚のノートPCの隣には、クマのぬいぐるみ ― 実は、小型ロボット ― が、侍っている。“クマ吉”だ。
「なんや、貴明か。」 瑠璃が先に話しかけて来た。
「あ、たかあきい〜。」 と、珊瑚。
いつもの珊瑚なら、“る〜☆”と、バンザイで迎え入れるのだが・・・・何やら、元気がない。
「どうしたの、珊瑚ちゃん?元気なさそうだけど・・・・・」
貴明に尋ねられると、珊瑚はPCのキーボードから手を離して、うつむいて話し出した。
「うん、実はな・・・・・」
数日前、貴明の事を好きだという、別のクラスの少女が珊瑚達を訪ねてきて、いろいろ、ミルファの悪口を言ったのだとか。
「みっちゃんを、“人間に恋するおばけ機械”とかな〜。もう、ウチも瑠璃ちゃんも、それでぶちきれてしもうたんや。」
ミルファは人気者だと思っていたけど・・・・そういう見方をする人もいるのか。心しないといけないな、と思った貴明。
― 何を言われようが、ミルファは自分が守らないと。
49:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(16/27)
08/07/06 17:06:11 85Hx7U+f0
で、どんな子だったの、と貴明が訊くと、その少女の特徴を瑠璃が話した。
貴明も、その少女には見覚えがあった。確か、学食の自動販売機で、転がった100円玉を拾ってやってから後、よく、貴明の視界に入って来る・・・・・そうなのか、付き纏われていたのか。
そんなささいなきっかけで、女の子が寄って来る俺って、一体、何よ?と、頭を抱えてしまう貴明。
しかし、それにしても、あの子、そんな思い切った事が言える印象はなかったけどなぁ・・・・・
そう考えた後で、こういうキナ臭い話の陰に、いつも暗躍している、ある人物に思い当たった。
― 確か、居たな。“略奪愛が大好き”とか、日頃、公言してた人が。そう、生徒会室の辺りに。
“ナイスボート”で“あの女のハウス”な、修羅場スキーな人が。人なのかすらも最近は怪しくなってきたけど。
多分、それで間違いないだろう。
そろそろ、決着をつけないといけないのかも知れない、あの邪神とは。― タマ姉に助けて貰う事になりそうだが。
50:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(17/27)
08/07/06 17:08:28 85Hx7U+f0
「で、何しに来たんや、貴明?」
瑠璃に尋ねられて、貴明は、昨日の、イルファとの会話の事を二人に話した。
「うわぁ〜、イルファ、だんだんえげつない策士になってくわ。貴明のせいやーっ!」 罵る瑠璃。
「せやけど、もともと、愛と本能のままに赴く、いけないメイドロボやったもん、いっちゃんは〜。」 と、珊瑚。
ポリポリと頭をかき、苦笑しながら貴明が言った。
「・・・・でさ、俺が言うよりも、珊瑚ちゃん達から誘って貰った方が、真実味あるかなって。ホントの事言っちゃうと、“お前のらっきー☆ぱらだいすは、いつ崩壊するんだーっ!!”とか、キレて臍曲げちゃいそうだし。」
「おもろいな〜、それ。うん、ウチ、乗った〜♪」と、珊瑚が両手を上にかざして言った。
「ところで、貴明、ミルファはどないした?」 瑠璃が訊いて来る。
「あ〜、今、職員室。先日の数学に続いて、英語の小テストも壊滅でね・・・・。」
51:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(18/27)
08/07/06 17:10:26 85Hx7U+f0
―― 放課後の教室には、まだ雄二の姿があった。
半ば放心状態で、机に向かい、黄昏ている。
手にした英語の小テストの答案には、大きく、“9点”と、書きなぐってあった。
ミルファよりはマシだったとはいえ、堂々たる赤点である。
― くそぉ〜っ。こんなの姉貴に見られたら、もう当分、外出禁止喰らっちまう・・・・。
帰るに帰れなかった。
「よぉ雄二。ま、元気だせよ。いつものことじゃんかよ。」
クラスの悪友達が、雄二に慰めの声をかける。
「それより、さ、こいつ、どう思う?」
男子生徒の一人が、雄二に、とある雑誌のページを開いて見せた。
軍事関係の情報誌である。
そこに書かれていた記事は、米国が極秘裏にイスラエルに貸与し、中東の紛争地域に駆り出しiた最新鋭の軍用アンドロイドが、たった1体で、テロ支援国家の戦車50両を破壊する大戦果を上げた、というものだった。
52:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(19/27)
08/07/06 17:12:54 85Hx7U+f0
“メイトリックス”というコードネームで呼ばれるその軍用アンドロイドは、携行可能なありとあらゆる兵器を使いこなし、敏捷な運動性能を誇り、エシュロンのデータにすらアクセス出来るという。
屈強そうな白人男性の写真が載せられていた。勿論、想像図である。
「問題はさ、どうやって、ロボ三原則をクリアしてるかだよな。」
「無論、適用されてないんだよ。ジュネーブ条約違反もいいところ、真っ黒けだな。」
「でも、公式には、ちゃんと守ってるって強弁してるそうだけど、米軍は」
「日本に寄航する原潜に、核兵器積んでませんってのと同じような理屈だよな、ははは」
「それよりさ〜、雄二、どう思うよ?メイドロボ博士としてはよ」
ん?と、訊いて来た男生徒を見上げる雄二。
「我らが来栖川が誇るメイドロボちゃんズと、どっちが優秀なんかね。」
勿論、量産機ではなく、イルファ達三姉妹の事を指しているのは明らかだった。
国家予算を投入して作られた戦闘ロボットと、民生用の販売機体を流用して作られたメイドロボ試作機を比較するのは、単純に身体機能などを問うのならそもそも無理のある話ではあったが。
何より、イルファ達の開発コンセプトは、心身共に、“どれだけ人間に近付けるか?”にあるのだから。
53:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(20/27)
08/07/06 17:15:48 85Hx7U+f0
― ガッ!
雄二は、その雑誌を奪い取ると、“フンッ!!”と唸り、ビリリッと引き裂いてしまった。
「うわっ!ゆーじ、何すんだよっ!!」
文句を言ってきたその雑誌の持ち主だった男生徒を、ギロリと睨み、雄二が啖呵を切った。
「うるせぇっ!愛と平和と萌えの化身たるメイドロボちゃんズと、こんな人殺しロボを比較するなんぞ、虫唾が走るわっ!!」
どうやら雄二の逆鱗に触れてしまったらしく、フー、フーと唸る彼を前にして、男生徒達はすくんでしまった。
「でもな〜、その子も、好きで軍用ロボに生まれたんとちゃうんよ。みんな、人間の勝手やもん。」
関西弁の女の子の声が聞こえたので、彼らが入り口の方を向くと、おだんご頭の下級生の双子姉妹が入って来たところだった。
メイドロボちゃんズを作った“神”の降臨に、途端に居心地の悪さを感じた男生徒達は、雄二を残して、そそくさと立ち去ってしまった。
「お、珊瑚ちゃん瑠璃ちゃん、珍しいな、どうしたんだよ?」
姫百合姉妹がわざわざこの教室に現れたのは、雄二には意外だった。
54:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(21/27)
08/07/06 17:17:57 85Hx7U+f0
「ゆーじ兄ちゃん、今度の土曜、予定入ってへん?」 珊瑚が言った。
「う〜ん、暇っていやぁ暇だけど・・・・」
雄二は手元の小テストをチラリと見た。
もし、外出を伴うお誘いだったら、これをタマ姉に見られたら、まずアウト。
それにしても、姫百合姉妹の方から誘ってくるとは、つくづく珍しい。
何だろう、と、訝しむ雄二。
「実はな〜、貴明ん家で、土曜日、メイドロボの起動デモ実施するねん。」
― 何っ!メイドロボの、起動デモとなっ!?
がしっと、珊瑚の手を掴む雄二。
「行く行くっ!絶対行くっ!天地逆になっても参上するぜっ!!」
― バシッ!
「あがっ!?」瑠璃が、鞄を雄二の頭に振り下ろした。
「さんちゃんに気安すぅ触んな、ボケッ!」
55:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(22/27)
08/07/06 17:19:30 85Hx7U+f0
つつつ・・・と、頭を押さえながら、珊瑚に尋ねる雄二。
「しっかし、なんで、貴明ん家なんだよ?」
「最近のロットの“リオン”から、簡単な起動プログラム用意してんねん。それのテスト。ついでやから、みっちゃんとしっちゃんにも情操教育や〜☆」
雄二は鞄を手にすると、すっくと立ち上がった。
「万難を排して、絶対お邪魔するぜ。珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃん、ありがとう。それじゃ土曜日なーっ!」
ピューッと、教室外に消えていった雄二。
その様子を見送って、ふうっ、と、ため息をついた珊瑚。
「ほんまに、単純なあんちゃんやな〜、ゆーじ兄ちゃんは。」
そして、瑠璃と向き合って、二コリとした。
「これで、お膳立ては完了やな。」
56:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(23/27)
08/07/06 17:21:04 85Hx7U+f0
そして、土曜日。
― ピンポーン。
インターホンが鳴る。
「あ、シルファちゃん、俺が出る出る!」
朝食の準備をしていたシルファを押し留めて、貴明が玄関に向かった。
鍵を開けて、「はい、どちら様・・・・」と、ドアを開けた途端、
「ダーリンッ!」
「ぐほっ!」
ミルファが、貴明の胸元に飛び込んで来た。
「むふ〜ん、ダーリン、おっはよー☆」 そう言って、貴明の胸に頬をスリスリと擦りつける。
胸元のミルファから視線を玄関の外に移すと、イルファと、珊瑚、瑠璃の姿があった。
「る〜☆」
「おはようございます、貴明さん。」
「げっ、イルイル」
苦手なイルファの姿を目にして、嫌そうな顔を見せたシルファ。
更に、その奥に、珊瑚の姿を見つけると、
「ぴっ・・・・!」 と、思わず体を引いてしまった。
「しっちゃん、怖がらんでええよ〜。元気してたか〜?」
シルファの警戒を解こうと、珊瑚がにっこりと微笑んだ。
57:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(24/27)
08/07/06 17:22:28 85Hx7U+f0
「相変わらず綺麗にしとんな〜。しっちゃん、まめやな〜。」
ソファにくつろぎながら、珊瑚は部屋の中を見回した。
「地味妹、それだけが取り得だもんねー。」 頭の後ろに手を組んで、ミルファが言った。
彼女の視線の先には、コンロの前に立って鍋に具を注いでいるシルファの姿がある。
「ミルファちゃん、あなたも貴明さんの専属メイドロボなんだから、たまにはシルファちゃんのお手伝いしなさい。」
イルファが、そんなミルファをたしなめる。
「は〜い。」 そう返事しながら、ミルファは唇を尖らせた。
ミルファは、この日は珍しく、メイドロボの制服を着ていた。
イルファ、シルファとは若干襟のデザインが違い、白いセーラー襟風になっている。
おまけに、イヤーバイザーまで装着して、すっかりメイドロボ然とした姿だった。
「ミルファちゃん、珍しいね。どういう風の吹き回し?」 そのミルファの姿をしげしげと眺めながら、貴明が言う。
くるんと1回転して、ミルファが言った。「むふ〜ん、どう?たまには目先が変わっていいでしょ?」
どういう心境なのか、深くは推し測ることは出来なかったが、おそらくは、新しいメイドロボの仲間がやって来るという事で、ミルファもそれなりに高揚しているのだろう、と貴明は想像した。
58:名無しさんだよもん
08/07/06 17:25:48 DljUh7/C0
しえん
59:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(25/27)
08/07/06 17:25:57 HiLTzmAF0
― 外から、トラックらしき車が近付いてくる音がする。そしてそれは、河野家の前でキィーッ!とタイヤを鳴らして、停車したようだった。
「来たのかな?」
貴明はソファーから立ち上がる。すると、果たして、“ピンポーン”と、インターホンが鳴った。
「は〜い、今行きま〜す。」
カチャリとドアを開けると、そこには、眼鏡をかけた、年の頃30歳前後の、精悍な印象の男性が立っていた。
ネクタイを締め、来栖川エレクトロニクスのロゴの入ったジャンパーを着用している。
ぺこりと頭を下げて、名乗った。
「来栖川エレクトロニクスから参りました。HM開発室の東吾と申します。このたびは、弊社のHMモニタテストプログラムにご応募頂き、まことにありがとうございます。」
60:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(26/27)
08/07/06 17:28:28 HiLTzmAF0
そして、続ける。
「― 河野貴明さん。長瀬からよく話は伺っております。いつもミルファやシルファのご面倒を見て頂いてるそうで。お礼申し上げます。」
リビングに通されてきた東吾氏を見て、珊瑚が驚きの表情を見せた。
「東吾のおっちゃん、何で?わざわざどうしたん?」
「やぁ、珊瑚さん、おはようございます。いらっしゃったんですね。」 珊瑚を見て、にこりとする東吾氏。
二人が知り合いらしいので、貴明は珊瑚に目顔で尋ねた。
「東吾のおっちゃん。HM開発室の、主任はんや〜。最近、重工の方から異動してきた〜。」
― えっ?主任さんて、確か、長瀬さんだったんじゃ・・・・
貴明のその疑問に、珊瑚が答える。
「メイドロボがバカ売れしたお陰で、長瀬のおっちゃんの今の役職は研究所の次長で、開発室長や。けど、主任開発員やからと、いつもみんなに主任と呼ばせてるんや〜。」
なるほど、飾らない性格の、長瀬さんらしいな、と思った貴明。
「でも、HM開発室の偉い人が、何で、こんなとこに来るん?」 珊瑚が問うた。
「新しい起動プログラムに精通した人間が営業部門にいないんで、急遽、駆り出されたんですよ。」と、東吾氏。
― そら変やわ。ずっと簡単に改良した筈なのに・・・・ ―
腑に落ちない珊瑚。
「さて、そろそろ、運び込みますか。」 そう言って、東吾氏はトラックの方へ向かう。
61:いわゆる普通のメイドロボ 第二話(27/27)
08/07/06 17:33:44 N3O/ADDJ0
― 東吾氏と、ドライバーが、白い細長いケースを抱えて、玄関から戻って来た。
さすがに、シルファが送り届けられてきた時のように、ダンボールではなかったようだ。
ケースに、“KURUSUGAWA HM TYPE-16e RION-CUSTOM”の、文字が見える。
「ここで、いいですか?」 リビング中央の空きスペースまでやって来た東吾達。
「あ、あたしら手伝うよ。地味妹も、ほら。」
ミルファが歩み寄って来たが、「いや、結構。」と、それを断る東吾氏。
ゆっくりと、ケースが床に置かれた。
ケースには、ちょうど顔のあるあたりに窓がついていて、中のHMを覗けるようになっている。
一同がケースの周りに集まってきて、窓の中の、メイドロボの顔を覗きこんだ。
― これは・・・・!?
奇妙な、既視感にとらわれた貴明。
隣で覗き込んでいる珊瑚達も、やはり、同じ思いなのか、訝しんでいる様子が窺える。
中で眠る、HMは赤毛だった。
しかし、どこかで、会っている人のような・・・・
― !思い出した。
あの、やたらと負けず嫌いの、同級生の女の子。
眼鏡を外した時の顔と、瓜二つだった。
― 十波、もとい、長瀬由真、と!?
―― (つづく) ――
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