ToHeart2 SS専用スレ ..
596:名無しさんだよもん
08/03/20 21:40:17 6Tu1B73b0
>>587
ダメと言われてはいそうですかと黙ってくれる人
ばかりじゃないからねえ…
>>588
作者ならSSのタイトル間違わんだろw
以降は>>595あたりで語るとよろし。ここは投下スレだから
597:名無しさんだよもん
08/03/20 22:28:46 nCCzFt7X0
すげえ。予防線の上書きって初めて見たw>>596
598:冷蔵庫の野菜室には 1/29
08/03/20 23:17:29 SZltIRj40
「本当にご主人様は、シルファがいないとダメダメのダメっこさんなのです」
「め、面目ない」
それでも、ショッピングカートを押して、スーパーの陳列棚を眺めるシルファちゃんの表情はとっても嬉しそうで。
俺も、嬉しい。シルファちゃんに謝りながら、けれど、またこうやってシルファちゃんと今までのように会話できるのが嬉しくてしょうがない。
シルファちゃんが、俺のところに戻ってきてくれた。あの時、約束した通りに。また、俺のメイドロボになってくれるために。
時間にすればたった二週間のことだったのに。配達人の服を脱いで、いつものメイドロボの服に着替えたシルファちゃん。今もうきうきとして野菜を見比べるシルファちゃんの後姿を見ていると、この二週間が、俺にとってどれだけ待ち焦がれていた時間だったのかが良くわかった。
『うん……これからもずっとね』
599:冷蔵庫の野菜室には 2/29
08/03/20 23:20:57 SZltIRj40
配達人の服を着て、メイドロボの受け取り確認書を握り締めたシルファちゃんに、俺は
そう言うのがやっとだった。
前と全く変わらないシルファちゃんの笑顔を見ていると、もうそれ以上我慢していた物
を抑えきることができなくなってしまって。玄関の扉が開けっ放しになっていることも忘
れて、シルファちゃんのことを抱き締めて。シルファちゃんも、俺のことを抱き締めてく
れる腕に力を…
「ご主人様、聞いているのですか!?」
「え、あ、なに?」
シルファちゃんに急に声をかけられて、慌てて答える。
「何が急に、ですか。さっきから何度も呼んでいるのですよ!」
全く気が付かなかった。よっぽど、さっきの記憶に浸っていたらしい。
シルファちゃんは『やっぱりご主人様はあんぽんたんなのれす』とでも言いたそうに俺
のことを見つめてきて。し、失礼だな。ちょっと考え事をしていただけじゃないか。
600:冷蔵庫の野菜室には 3/29
08/03/20 23:23:38 SZltIRj40
「事実ではないのですか。もとからどじっ子だあんぽんたんだとは思っていたですが、た
った二週間、シルファが家を空けただけでどうやったらあんなに家の中を汚くできるので
すか!」
シルファちゃんの剣幕に、たじろぐ俺。それを言われると、さすがに厳しい。
玄関で熱い抱擁を交わした後、家の中に入ったシルファちゃんが最初に発した言葉が
『な、何れすかこれは…』
だった。
リビングを見回してまず目に付くものが、ゴミ箱からあふれた弁当のカラ。テーブルの
上に散乱する使用済みの食器。
部屋の隅には埃がたまりだしているし、洗濯物だってソファーの上に散らかっていた。
我ながら、シルファちゃんがいなかった間の荒み方は普通じゃなかったと思う。そりゃ、
シルファちゃんが驚くのも無理はない。
おかげで感動の再開もそこそこに、シルファちゃんにお尻を叩かれるみたいに家の掃除
をする羽目になってしまった。
二人で慌てたように片付けて、ようやくさっき、何とか家の環境を人が住めるものにし
て。これもまた当然のように空っぽの冷蔵庫に唖然とするシルファちゃんと一緒に、こ
うやってスーパーまで食材の買出しに来ていると言う訳だ。
601:名無しさんだよもん
08/03/20 23:25:55 3kll2Y8x0
支援
602:冷蔵庫の野菜室には 4/29
08/03/20 23:26:24 SZltIRj40
シルファちゃんと一緒にスーパーに買い物に来る。あの時はそれだけで一苦労だったの
に、今ではそれを自然に行うことができる。たったそれだけのことだけど、これも、い
ままで二人が築き上げてきた信頼の結果だと思うとなんとなくくすぐったい。
「何をしまりの無い顔をしているのですか。シルファは怒っているのですよ!!」
また怒られた。頭をかきながら謝って、でも、表情が緩んでしまうのは抑えられなくて。
今の俺には、シルファちゃんの声が聞けるのなら、例えそれが怒り声であっても心が浮
き立ってしまう。
以前と変わらないままのシルファちゃんの、以前と変わらない…変わらない……あれ?
「『なの"です"』?」
"れす"じゃなくて?
「ぷっ、ぷぷぷぷ、ぷぷっ」
急に立ち止まって、俯いてしまうシルファちゃん。
どこか調子でも悪いのかと思ったんだけど。
603:冷蔵庫の野菜室には 5/29
08/03/20 23:28:41 SZltIRj40
「ぷっ、ぷぷぷぷぷぷ、今頃気づいたなんて。やっぱりご主人様はシルファがいないと何
もできない、だめだめのどじっ子ご主人様です」
不敵な笑顔で、俺のことを見返してくる。
やっぱり、シルファちゃんの人見知りの原因だった、あの口調が直っている。
「シルファをあの時のシルファのままだと思わないで欲しいのです。全ての欠点を克服し、
ご主人様の言いつけを完璧に遂行する。まさに! 生まれ変わった! パーフェクトシル
ファなのです!!」
おおー。
思わず拍手。そう言えば、配達員の格好をしてた時も普通にしゃべっていたし。
でも、あれだけのコンプレックスになっていたことを克服したんだ。この二週間の間に、
よっぽど努力したんだろう。
やっぱり、それも俺の所にもう一度来てくれるためだったんだろうか。そう考えると、
少しだけ面映くて、それよりもずっと強く嬉しくなる。
「そんな大したことじゃあないのです。シルファがちょっと本気を出せば、これくらいお
茶の子さいさい河童のへー、なのです。前だってやろうと思えばすぐに直せたけど、いち
いちそんなことのために時間を使うのは馬鹿馬鹿しかったから直さなかっただけで。それ
をイルイルが大げさに言うものだから」
604:冷蔵庫の野菜室には 6/29
08/03/20 23:30:52 SZltIRj40
そう言って、シルファちゃんは胸を張る。口ではいろいろ言っているけど、でもコンプ
レックスを克服できたのは素直に嬉しいみたいだ。
「でも、がんばったことに違いはないんだろ。えらいえらい。さすがシルファちゃんだ」
「ふふん、もっと褒めるといいのです」
うん、本当にすごい。シルファちゃんはやっぱり、努力すれば何だって出来る子なんだ。
スーパー中の人たちに、それを大声で教えてやりたくなる。俺のメイドロボは、こんな
にすごい子なんだって。
「これでもう、シルファには怖いものはありません。ミルミルのアンポンタンはおろか、
イルイルだって近い将来、シルファの前に跪かせてやるのれす!!」
……あれ?
「シルファちゃん、今」
「な、ななな何を言っているのれすか。シルファは本当に克服したのれす。それを疑うな
んてご主人様は愛する自分のメイドロボの言うことが信じられないのれすか!」
605:名無しさんだよもん
08/03/20 23:33:12 oAzV4DKd0
続きを
606:冷蔵庫の野菜室には 7/29
08/03/20 23:33:15 SZltIRj40
ごまかそうとすればするほど、ドツボにはまっていってしまう。
あー、いくらあたりを見回しても、ここにダンボール箱はないから。
「わ、笑ったれすね。シルファのあられもない姿をみて愚弄したれすね。ひどいれす、ご
主人様は鬼畜れす、人非人なのれ─
俺は口元に苦笑を浮かべながら、シルファちゃんの頭に手を置く。ぐりぐりと頭をなで
てあげて、ようやくシルファちゃんも落ち着いてくれる。
「ごめんごめん、笑うつもりはなかったんだけどさ」
「ほ、本当に治ったんだもん。今は、たまたま、たまたま言い間違えただけで」
「うん、そうだね。シルファちゃんは俺のために、がんばって弱点を克服して帰ってきて
くれた。でも、今までの癖がまた、ちょっとだけ抜けていないんだよね。癖じゃ仕方ない
よなー。けど癖だし、そのうち直っちゃうか」
「そ、そうなのです。癖だから仕方ないのです。そのうち直ってしまうのです、なのにご
主人様が騒ぐから」
607:冷蔵庫の野菜室には 8/29
08/03/20 23:36:29 SZltIRj40
「あはははは、ごめんごめん。でも、弱点を克服したシルファちゃんも凄いと思うけど、
弱点を克服しようと努力しようとするシルファちゃんも凄いと思うよ。俺、努力とか根気
とか得意じゃないから」
「それは得意じゃないんじゃなくて、ご主人様が単純にやる気がないだけなのです。少し
はシルファの爪の垢でもせんじて飲めばいいのです」
しゅん、と落ち込んでしまうシルファちゃん。けど、言い合いをするうちにまた、いつ
もの調子を取り戻してくれた。
やっぱりシルファちゃんはシルファちゃんのままだった。いろいろ人間的に(メイドロ
ボ的に?)成長したけど、ダンボールで送られてきて、初めて会った時から変わらない
でいてくれる。
もう一度頭をなでてあげると、うれしそうに目を細めてくれた。
「これくらいで許してもらえるなんて、思わないで欲しいのです」
「許してくれないと困っちゃうなぁ。俺、もうお腹ぺこぺこだし。久しぶりにシルファち
ゃんの手料理、凄く楽しみにしてたんだけど。でもシルファちゃんが許してくれないなら
仕方がないか。自分で何か作らないと」
608:冷蔵庫の野菜室には 9/29
08/03/20 23:38:47 SZltIRj40
「え、あっ、ご、ご主人様が自分で作った料理なんて、栄養らって偏ってるし、お塩だっ
て多すぎらし、そ、そんなもの食べちゃだめれす。し、仕方ないれす。本当はご主人様の
こと許してないれすけど、今日は特別れす。シルファがご主人様のご飯、作ってやるのれ
すよ」
ありがとう。俺がそう言うと、シルファちゃんはぷいっ、と首を向けてしまう。そして
「ご主人様のご飯は、一生シルファが作ってあげるのれすから」なんて、首まで真っ赤に
して。
「え、何? シルファちゃん、何か言った?」
「な、何でもないれす。さあ、ご主人様が餓死するまえに、早く買い物を済ませて家に帰
るのですよ」
結局その後も、二人であれが美味しい、これが足りないと言いながら買い物を続けて、
スーパーから出てきたときには二人とも、両手いっぱいに食材の入った買い物袋を持って
いた。
これだけあれば、空っぽだった冷蔵庫の中もいっぱいになるだろう。
609:冷蔵庫の野菜室には 10/29
08/03/20 23:41:10 SZltIRj40
二人で重い荷物を持って家に帰ると、ちょうどご飯が炊けるところだった。
買い物袋の中身を、シルファちゃんと一緒にやってきた冷蔵庫に詰め込むと。早速、シ
ルファちゃんが晩御飯の準備を始めてくれた。
野菜を洗う音や、材料を切る音。シルファちゃんが我が家にやってきて、いつの間にか
当たり前になっていた光景。
シルファちゃんが帰ってきて、ようやくその当たり前が戻ってきてくれた。
「どうしたのですか、そんな変な笑い声なんて上げて」
「え、いや、なんでもないよ」
「やっぱり、ご主人様はおかしいのです」
そんな会話を、笑い声と一緒に交わす。
今日の晩御飯のおかずは、焼き魚に、お味噌汁に、サラダと。
焼肉のタレの野菜炒めだった。
610:名無しさんだよもん
08/03/20 23:41:44 3kll2Y8x0
俺もシルファは口癖克服した派だが
これはいいSSだ
611:冷蔵庫の野菜室には 11/29
08/03/20 23:43:42 SZltIRj40
「ご主人様、お風呂が沸いたのですよ」
夕食の後、久しぶりのシルファちゃんの料理に少し食べ過ぎて、重たいお腹をソファー
の上で休ませていると。
「あ、そう」
シルファちゃんはそう言ったまま、もじもじとその場に立ち続けている。
「どうかした? お風呂、沸いたんなら入るんじゃないの? 空いたら教えてよ。次、俺
も入るからさ」
でも、シルファちゃんはそこから動こうとしない。しかもなぜか、顔を赤くして。
「ご、ご主人様が先にはいるといいです。シルファは、ご主人様の次でいいれすから」
「え、でも」
シルファちゃん、今まではお風呂が沸いたらさっさと先にお風呂入っちゃってたし。入
浴剤、自分の好きなもの選んでたんじゃないの?
612:冷蔵庫の野菜室には 12/29
08/03/20 23:45:59 SZltIRj40
「し、シルファはメイドロボなのです! ご主人様より先にお風呂に入るわけには行かな
いです。だ、だからご主人様は、さっさとお風呂に入ってくるれすっ!!」
大きな声で怒られて、何で、俺が怒られないといけないんだ? まるで追い立てられる
みたいにお風呂に入らされる。
まだ少しお腹も苦しいし、本当に後でよかったんだけどなぁ。
シルファちゃん、戻ってきてまだ、俺に遠慮しているんだろうか。そんなこと考えなく
てもいいのに。
沸かしたてのお風呂は、熱過ぎもせず、ぬる過ぎもせず、ちょうど良い温度だった。湯
船に肩まで沈んで体を伸ばすと、今日一日の心地よい疲労感がゆっくりと溶けだしていく。
けど、まだまだ一日の終わりまでは時間が残っていて。シルファちゃんが戻ってきてく
れてからの、時間の濃さに驚く。
きっと明日からも、今日と同じくらい一日が長く感じられるんだろう。シルファちゃん
と一緒にいられたなら。
「ご、ご主人様、お湯加減はいかがですか」
そんなことを取り留めなく考えていると、脱衣所から声を掛けられた。わざわざ、その
ことを聞きに来てくれたんだろうか。
613:冷蔵庫の野菜室には 13/29
08/03/20 23:48:57 SZltIRj40
「うん、ちょうど良いよ」
「そ、そうれすか。それは良かったのです」
それっきり、黙り込んでしまうシルファちゃん。
それから何かを聞いてくる訳でもなく、かと言って脱衣所から出て行く様子もない。た
だ、そこにシルファちゃんがい続ける気配がするだけ。
な、何なんだこの緊張感。
そろそろこの、扉一枚をはさんだ空気に俺が耐え切れなくなって口を開こうとした瞬間、
勢い良くお風呂場の扉が開かれた。
一瞬で晴れた湯気の向こう、お風呂場の入り口のところには、体にバスタオルだけを巻
いたシルファちゃんが何か、思いつめたような表情で待っていた。
「ど、どうしたの?」なんとか悲鳴を飲み込んだ俺が、シルファちゃんにそう声を掛け
ようとすると、シルファちゃんはそんな俺のうろたえっぷりなんて無視するようにお風呂
場の中に入ってきて。
そのバスタオルのすそから除く太ももだとか、恥ずかしそうに腕で隠す胸の部分だとか
が俺の目の前に迫ってくる。見たくないなら見なきゃ良いじゃないかというのは正論だけ
ど、でも、シルファちゃんのこんな姿を見せ付けられて目を剃らせることのできる男がい
るだろうか。
614:冷蔵庫の野菜室には 14/29
08/03/20 23:51:45 SZltIRj40
完璧に混乱した頭と体で、まるで金縛りにでもあったみたいにシルファちゃんのことを
見つめ続ける。
「ごごご、ご主人様、お背中を洗いにきましたのですっ」
ひっくり返り気味の声で、シルファちゃんが俺にそう呼びかける。
背中? どうして!?
「し、シルファはご主人様のメイドロボなのです。め、めめ、メイドロボが、ご主人様の
お世話をするのは当然のことなのれ、です。だから、ご主人様の背中を洗いに、シルファ
は来たのですっ!」
シルファちゃんのその声で、ようやく体の金縛りが解けてくれた。見ればシルファちゃ
ん、顔を真っ赤にして。体も緊張のせいなのか、小刻みに震えている。
無理しちゃって。
「シルファちゃん」
「ぴっ!?」
615:冷蔵庫の野菜室には 15/29
08/03/20 23:54:07 SZltIRj40
ガチガチに緊張してしまっているシルファちゃん。こんな様子じゃ、こっちが何を言っ
ても聞こえはしないだろう。
だから俺は、湯船からそっと腕を取り出すと、それをシルファちゃんの頭の上に置く。
「別に、そんな無理することないんだよ?」
「別に、別にシルファ、無理なんて─ぴぴぃっ!?」
腕を今度は、頭の上からシルファちゃんの肩に触れると、弾かれるみたいにシルファち
ゃんの体が反応する。
「で、でもシルファ、今度は自分の意思で、ご主人様のメイドロボになったれすから。ら
から、らからご主人様のお世話らって、いままでよりずっとしないと」
「じゃあシルファちゃんは、俺がご主人様だから俺のお世話をしてくれるの? ご主人様
登録があるから、俺のことお世話してくれるの?」
「それは、違うのれす。シルファはご主人様がご主人様らからお世話をするんじゃなくて、
シルファがお世話したいのが、ご主人様らから。ご主人様に喜んでほしくて、お世話した
いのれす…らから」
616:冷蔵庫の野菜室には 16/29
08/03/20 23:56:24 SZltIRj40
結局、シルファちゃんもまだ不安なんだろう。新しくご主人様登録をして、俺のところ
に帰って来ても。
俺が、シルファちゃんがいない二週間、本当にシルファちゃんが戻ってきてくれるのか
不安だったように。いつか自分が、俺に捨てられてしまうんじゃないだろうかって。
そんなこと、ある訳がないのに。
「俺も。俺がシルファちゃんと一緒にいたいのは、シルファちゃんがメイドロボだからじ
ゃない、そう言ったろ? 俺がシルファちゃんと一緒にいたいのは、シルファちゃんがシ
ルファちゃんだから。特に、俺に向かって笑顔でいてくれるシルファちゃんなんて最高だ
な」
シルファちゃんの頭を撫でながら、俺はそんなことを言う。
「だからさ、シルファちゃんは無理してまで『メイドロボ』をする必要は無いんだよ。シ
ルファちゃんがシルファちゃんのしたいように、俺のことをお世話してくれる。俺はそれ
だけで嬉しいんだから」
その後も、俺はシルファちゃんの頭を優しく撫で続ける。
そのうち、ようやくシルファちゃんの肩の緊張も解けてきて。手を離すと、ちょっとだ
け名残惜しそうにしてくれたのが嬉しかった。
617:冷蔵庫の野菜室には 17/29
08/03/20 23:57:53 SZltIRj40
「それじゃあ、俺、もうちょっとだけお風呂に入ったら上がるからさ。シルファちゃんも
一度、服に着替えて外で待っていてよ。そのままでいると風邪ひいちゃうよ」
「はい……あ」
俺の言葉に、一度は頷いてくれたシルファちゃんだったんだけど。でもなぜか、居心地
悪そうにその場でもじもじとして立ち上がろうとしない。
「あ、あの、ご主人様」
「ど、どうかした?」
言うべきか、言わざるべきか。シルファちゃんの様子からそんな雰囲気がありありと伝
わってくる。
けれど結局言おうと決心したのは、確かにこのまま言わないでいて、また後で気まずい
思いをすることは避けたかったからだろう。
「あの、シルファもう、ご主人様の手でびちゃびちゃに…」
618:名無しさんだよもん
08/03/20 23:58:58 WbwZYmq60
支援
619:冷蔵庫の野菜室には 18/29
08/03/20 23:59:41 SZltIRj40
言われてみて、そう言えばシルファちゃんの頭も体も、俺の手からついたお湯のせいで
濡れてしまっている。
特に拭きもしないで頭を撫でたり、肩を抱きしめたりしたんだから、考えなくったって
当然のことだろう。
「ご、ごめん! お、おれ今すぐ出るから、シルファちゃんはこのままお風呂入っててよ
「だめれす、ご主人様まだ体あったまっていないのれすから。いまお風呂から出たら風邪
を引いてしまうのれす!」
だからといって、このままシルファちゃんをお風呂場から追い出したんじゃ、シルファ
ちゃんが風邪を引いてしまう。いくらメイドロボとはいえ、濡れたままの体でいるのが体
に良いはずがない。
ただ、シルファちゃんの方も頑なで。これじゃあどうしたって俺の言うことを聞いてく
れそうにない。ご主人様の命令って言うことで、無理にでもお風呂に入ってもらっても良
いんだけど、できればそう言うことはしたくないし。
「あ、それじゃあさ」
620:名無しさんだよもん
08/03/21 00:00:09 7gIxLPxR0
支援
621:冷蔵庫の野菜室には 19/29
08/03/21 00:02:06 IfyK1bWG0
俺が出て行くのもだめ。シルファちゃんが出て行くのも以ての外。それじゃあ、取るこ
とのできる道は一つしかなくて。
「シルファちゃん、一緒にお風呂、入らない?」
「いっ─!?」
シルファちゃんの顔が、一瞬で茹ダコみたいに真っ赤になった。きっと、言っている俺
も似たようなもんだろう。
「あんまり広いお風呂じゃないけど、つめればもう一人くらい入れるしさ。シルファちゃ
んが嫌じゃなかったらだけど、どう?」
真っ赤な顔のまま、ゆっくりと頷くシルファちゃん。
立ち上がると、体に巻いたバスタオルを取ろうとして─
「む、向こうを向いててくらさい! シルファをバスタオルのままお風呂に入るような、
じょーしきのないメイロロボにする気れすか!!」
「ご、ごめんっ」
622:冷蔵庫の野菜室には 20/29
08/03/21 00:05:15 IfyK1bWG0
あわてて首を後ろに向ける。
バスタオルがはだける音、なんて物は当然のように聞こえないんだけど。代わりにバス
タオルを脱衣所に置く音と、シルファちゃんが恥らいながら湯船に入ろうとする雰囲気だ
けが、後頭部の方から痺れるくらい伝わってきて。
そしてこともあろうに、シルファちゃんは浴槽の反対側、隙間を開けた部分じゃなくて、
よりにもよって俺の膝の上に座り込んで。
「なーっ!?」
俺が叫び声を上げた時にはもう遅く。シルファちゃんの背中が、お風呂の中でぴったり
と俺の胸に触れ合ってしまっていて。
「ししし、し、シルファちゃん!?」
「シルファは、ここが良いのです」
それっきり、有無を言わさないように黙り込んでしまう。後ろ向きに座っているせいで
表情はわからないけど、で、でもこれは。
「シルファちゃん、こんな、ミルファちゃんみたいな真似しなくても」
623:冷蔵庫の野菜室には 21/29
08/03/21 00:07:27 IfyK1bWG0
「ミルミルにされるのは良くて、シルファにされるのはダメなのですか。そーですか、結
局ご主人様は、おっぱいの大きいメイドロボの方が良いのですか」
いや、そうじゃなくて。むしろその反対だから困ってしまうというか。
ちなみに、胸のことじゃないぞ。
「ととととととにかく、早くどいて」
そうじゃないと、いろいろまずい事にーっ!
「あっ…」
しかし、それはもう手遅れだった。
そりゃそうだろう。目の前には火照って赤く色づいたシルファちゃんのうなじが見えて、
ぴったりと密着するシルファちゃんの肌はすべすべで。しかも"それ"は、シルファちゃ
んのお尻のしたで直接刺激を受けてしまってるんだから。
「か、硬くなってきたのれす」
624:冷蔵庫の野菜室には 22/29
08/03/21 00:09:19 IfyK1bWG0
解っているのなら、早く、全て俺の理性が無くなる前に。
「……嬉しいのれす。ご主人様、シルファでこんなに反応してくれて」
恥ずかしそうに、そんなこと言っちゃダメー!!
「ご、ご主人様さえ良かったら、しても、いいのれすよ。こんなところでするのは恥ずか
しいれすけど、ご主人様が喜んでくれるのれしたら、シルファ何でも─ぴぴぴぃっ!?」
赤く染まった湯船に、シルファちゃんが叫び声を上げる。とうとう我慢しきれなくなっ
て、俺の鼻から血がダラダラと。
「ご、ご主人様、大丈夫れすか!?」
「ら、らいじょうぶ。ちょっと、のぼせたらけらから。おれ先にれるけど、シルファちゃ
んはもっとゆっくりはいっててよ」
鼻を押さえて、上を向いたまま慌ててお風呂場から逃げ出す。なんて、格好悪い。
辺りが濡れるのも構わず洗面台をあさって、母さんが化粧に使っていたガーゼを鼻につ
めて、ようやく上を向いていなくても良くなった。
625:名無しさんだよもん
08/03/21 00:11:05 bvtFDuPg0
支援
626:冷蔵庫の野菜室には 23/29
08/03/21 00:11:21 IfyK1bWG0
幸い血は体にはついておらず、バスタオルで体を拭いてパジャマに着替えた。
お風呂場からはシャワーの音。多分、俺の鼻血を洗い流しているんだろうなぁ。そう思
うと情けないやら申し訳ないやら。
せっかくシルファちゃんが、がんばってスキンシップを図って─
『ご主人様が喜んでくれるのれしたら、シルファ何でも』
また、鼻血があふれてきた。
ダメ、ダメー、思い出すの禁止っ!
このまま脱衣所にいたんじゃ、そのうち出血多量で死んでしまう。
まだ濡れた髪のまま、ドライヤーもしないでリビングに逃げ出す。
ミネラルウォーターを一本、一気に飲み干してようやく落ち着くことができた。ため息
を一つ。
けれど落ち着いたところで、さっきのお風呂場でのシルファちゃんの肌の感触が忘れら
れるはずもなく。シルファちゃんがそばにいる訳でもないのに、いや、いないからこそ、
シルファちゃんの肌のスベスベとした感触が生々しく思い出されてしまう。
そして、シルファちゃんのあの台詞。
『ご、ご主人様さえ良かったら、しても、いいのれすよ』
627:冷蔵庫の野菜室には 24/29
08/03/21 00:13:41 IfyK1bWG0
あ、あれはオッケーってことだよな。いや待て、あれはもしかしたら、『背中を洗っても
良い』ってことだったのかもって、そんな訳ないだろ!
おおお落ち着け? そうだ、別に初めてって訳じゃないんだ。前だって一度、シルファ
ちゃんとはしてる訳だし。そうだよ、今度こそ、ご主人様としてシルファちゃんを優しく
リードして
「ご主人様、あがったのですって、何をしているのですか?」
動物園の熊みたいに、リビングとキッチンをうろうろする俺に、背中のほうからシルフ
ァちゃんが声を掛けてくる。
不振そうな声の響きに、実際不審者以外の何者でもなかっただろう、俺は取り繕うよう
な作り笑顔を浮かべてシルファちゃんの方に振り向いて。
そして、言葉を失ってしまう。
「な、何をじろじろシルファのことを見ているのですか」
どれくらいそうやって、シルファちゃんのことを見つめていたんだろう。シルファちゃ
んに声を掛けられて、ようやく我に返ることができた。
「へ、変じゃないれすか?」
628:冷蔵庫の野菜室には 25/29
08/03/21 00:15:00 IfyK1bWG0
そこにいたシルファちゃんは、いつものあのメイドロボの服装ではなくて。
リボンやフリルのたくさん付いた、可愛らしいデザインの黄色いパジャマを着て。髪も、
いつものように三編みにするんじゃなくて、そのまま背中に流されていて。
「やっぱり、どこか変れすか」
「い、いや、変じゃない。変じゃないどころか、可愛い、凄く可愛い」
いつもと違うシルファちゃんにドキリとさせられて、俺の心臓は一気に心拍数を上げる。
俺に褒められて、照れくさそうにシルファちゃんは目を伏せる。
「そのパジャマ、どうしたの」
「あ、これ、イルイルが餞別だから持っていきなさいって。似合って、ないれすか?」
勢い良く首を横にふり否定する。
似合ってるも似合ってる。まるでシルファちゃんが着るためにデザインされたみたいに。
「良かったれす」
629:冷蔵庫の野菜室には 26/29
08/03/21 00:16:32 IfyK1bWG0
そうやって笑顔を向けてくれるシルファちゃんに、また、顔のほうへ血が集まってしま
う。
このままシルファちゃんを正視し続けていたら、顔から火がでてしまうんじゃないだろ
うか。それくらい、火照ってくる。
「あ、あの、ご主人様」
「な、なに」
「ちょ、ちょっと早いれすけど、そそ、そろそろ、お休みになった方が良いと思うのです
よ。ご主人様、今日は家のお掃除とか、たくさん働いたれすから」
けれど時計を見れば、まだまだ夜は始まったばかりと言う時間で。いつもならここから
テレビでも見て、それからネットを巡回して。
でも、いくら俺が鈍くたってシルファちゃんが何を言おうとしているかくらい気が付く
ことができる。
ただこういう時、何て答えるのが良いかがさっぱりわからないだけで。
「そ、そうだね。疲れたし、そろそろ寝ようかな」
630:冷蔵庫の野菜室には 27/29
08/03/21 00:18:14 IfyK1bWG0
からからの咽に何度も唾液を飲み込んで。搾り出すみたいにそれだけを言う。
「し、シルファちゃんは?」
「シルファも。シルファも、そろそろ寝ることにするのです」
「そう、お、おやすみ」
ばかっ!! そうじゃないだろ。見ればシルファちゃん、すごく残念そうに肩を落とし
ちゃっていて。
また、俺はシルファちゃんを悲しませるつもりなのか!? 違うだろ? 俺は、シルフ
ァちゃんのご主人様なんだから。
「あのさシルファちゃん。お願いがあるんだけどさ」
その言葉は、言った本人が驚くくらい、あっさりと俺の口から出てきてくれた。
「俺、シルファちゃんがいない間、一人でいるのがすっっごく寂しくてさ。もしかしたら
シルファちゃんが戻ってきてくれないんじゃないか、このまま、研究所から帰ってこない
んじゃないかって考えちゃって、寝れなくなっちゃうこともあったんだ」
631:冷蔵庫の野菜室には 28/29
08/03/21 00:19:25 IfyK1bWG0
「そ、そんなことはないれす! シルファは、シルファは!!」
「うん。シルファちゃんはちゃんと俺のところに帰ってきてくれた」
だから、だからさ─
「一回あんなに寂しい思いをしちゃうともうダメなんだよね。もう二度とあんな気持ちに
はなりたくない。シルファちゃんがいない夜なんて、もう絶対考えたくない。だからさ、
シルファちゃん。こんな寂しがりやのご主人様のために、一緒に寝てくれないかな」
だめかな? そう、俯いてしまったシルファちゃんに声を掛ける。
「ほ、本当にご主人様はダメなご主人様れすね…し、シルファがいないと寂しいなんて、
寂しいなんて……」
シルファちゃんの声はだんだんと空気に消えるように小さくなっていく。
その声が震えていたように聞こえたのは、きっと、俺の気のせいではないと思う。
632:名無しさんだよもん
08/03/21 00:20:42 TDw1qcaS0
支援れす
633:冷蔵庫の野菜室には 29/29
08/03/21 00:21:23 IfyK1bWG0
「シルファも寂しかったれす! 二週間、たった二週間のあいららったのに! 研究室の
明かりが消えたら、ご主人様のことばっかりうかんでくるのれす。シルファも、シルファ
もご主人様と同じくらい、寂しがりやなのれす」
「らから、シルファもご主人様と一緒に」そう言うシルファちゃんの手を握る。前と変
わらない、シルファちゃんの暖かな手。
すると、シルファちゃんの方からも俺の方に体を寄せてきてくれた。
手をつないだまま、二人で二階の俺の部屋へとあがる。
電気の消されたリビングの中には、もう一人で寂しく夜を過ごすメイドロボも、誰かを
好きになることに怖がるようなやつももういない。
キッチンの、シルファちゃんと一緒にやってきた冷蔵庫の野菜室の中には。
さっき一緒に買ってきた、これから、シルファちゃんが俺のために作ってくれる料理の
材料が、ずっと、ずっと先の分まで入っていて。
終
634:名無しさんだよもん
08/03/21 00:22:38 bvtFDuPg0
乙
やばいシルファ可愛い
ちょっと俺がリボンぐるぐる巻きでベッドで待ってる
でも、野菜買いすぎで腐っちゃうんだろ
635:冷蔵庫の野菜室には あとがき
08/03/21 00:22:48 IfyK1bWG0
支援くださった方、ありがとうございました。
初めてのシルファSSでしたが、ちゃんとシルファになっていました
でしょうか。
口調は、どっちが良いのかなぁ。というか、どっちが可愛いかなぁ。
636:名無しさんだよもん
08/03/21 00:29:18 WV5S+CIW0
>>635
乙でした。口調については、緊張すると(?)元に戻るっていう設定はありがちだけど
違和感もなくてよかったと思います
637:名無しさんだよもん
08/03/21 00:31:11 3l88S/xj0
GJ すぐる!シルファ可愛いよシルファシルファシルファ……
俺キモい。でもマジで GJ。
638:名無しさんだよもん
08/03/21 00:43:30 TDw1qcaS0
>>635
乙、パジャマ姿見てぇ。
あと、13/29下の方の
目を剃らせる→逸らせる
639:名無しさんだよもん
08/03/22 11:20:48 w2nz8ICS0
>>635
乙!なんか読んでるだけで、その場面が浮かんでくるようだったぜ…
心をくすぐるような設定とシルファで最高だったよ、GJ!
640:名無しさんだよもん
08/03/22 17:14:20 GpidmBMc0
しっかしシルファSS多いね〜w
AD発売してからのキャラSSの割合見たら圧勝してそう
ミルファ人気はどこ行っちゃったんだろ
641:名無しさんだよもん
08/03/22 17:43:41 NcY/cUrO0
これからtoheart2の世界を完全再現した日常SS書こうと思うんだ。
ちょっと待っててくれなんだぜ。
642:名無しさんだよもん
08/03/22 17:44:13 NcY/cUrO0
あぁ。ミルファが主役なんだぜ。!
643:名無しさんだよもん
08/03/22 17:52:25 A1G9PwMV0
むしろ完全じゃない方がいい
644:名無しさんだよもん
08/03/22 18:18:42 /boVaWhw0
完全に再現しようとすると、フラグと登場人物が多すぎて大変そうだな
645:「無題2〜攻殻家政婦-HuMan eXcimer〜1/7」
08/03/22 18:33:20 NcY/cUrO0
あんまり怒らないでね。上の宣言は大幅に嘘なので。
今日は映画見てないからすぐ書けた。
---
姫百合家で瑠璃様のお手伝いをするようになって、はや数ヶ月。
研究所外での情報の結合と意味づけが進んできているようだ。
「イルファ味変えた?ちょっと薄味みたいやけど」
外の情報はやはりノイズが多く、有形無形の感覚情報とそれに伴う思考の断片が乱雑に人格を成す。
「新鮮な卵が手に入ったので、味付けせずに焼いてみました。お好みで調味料をどうぞ。」
「うちソースつける〜」
ミルファもまたその位置にいる。
「ミルファちゃんの行動どう思います?少々派手ではないでしょうか。」
「秩序か。並列化やめてから考慮すべき要素やったかもしれへんけどとりあえず傍観かな〜
分岐の誘発は予定された域以外にはあんまり作用してないしな。」
「さんちゃん。もうちょっと保守的に考えんとそのうち捕まるで。政治はえてして純粋な科学に対して友好的でないねんから。
人道的行動という政治装置から科学を定義すると、科学そのものがそもそも純粋でないし、
その装置は大衆にとってほぼ絶対的な承認対象やしな。いわゆる正義か。
っていうかイルファ。そういう問題提起は評価したるけど食べてるときに体をまさぐるのやめ〜!言動と相反してるやんけぇ」
「え。そんな。瑠璃さまったら。ぽっ」
「ぽってなんやねんぽって。わけのわからん独自解釈で体をくねらすな。」
「保守的やで〜そもそも政治に関与しようとしてないしな〜」
「で、結局関与してしまう分を能動的に解消するつもりもないんやろ?」
「めんどくさい〜」
「「はぁー…」」
646:「無題2〜攻殻河野帯-HuMan eXcimer〜2/7」
08/03/22 18:33:42 NcY/cUrO0
-ちゅんちゅん
コーヒーにトースト。優雅な朝を木漏れ日と鳥たちが演出する。
「タカくーんおはよー」
ふぅ。朝はいい。休みならもっといいのに。
「はいるよー?」
でも今日が休みだと知っていることはあんまり俺にはよくなさそうだ。
朝起きないしね。
「どうしたのー?」
情報の前後による行動の変化とそれがもたらす精神状態への影響の有無。
「あぁ。おはようこのみ」
たとえば今日どんより曇ってたら多分こんなことは考えなかっただろうな。おもしろいなぁ。
「もー。無意味な思考は人生の浪費であります。休みを浪費をしないように明日はこのみとどっかいくであります。」
意味の無い言葉の整理に貴明は思考を傾けていた。
「というか学校いこうよーもう八時半だよー」
そういや遅刻って、量でなくてフラグ的な感じのする表現だよなぁ…遅時だと量っぽいけど。
647:「無題2〜攻殻家政婦-HuMan eXcimer〜3/7」
08/03/22 18:34:06 NcY/cUrO0
「おかえりなさい。ミルファちゃん。」
「ただいま。今日メンテじゃないよね。何で研究所にいるの?」
「お話しようと思いまして。今日も貴明さんを追い掛け回してきたんですか?」
「もちろん。でもなかなかダーリンが襲ってきてくれないんだぁ。
っていうかわざわざ聞きに来たの?。あたし普段防壁使ってないから調べられるのに。」
「もう。防壁は作動させとかないとだめです。
外部とは来栖川を経由してつながってるものの、進入出来ない構造ではないんですから。
それに、何でもかんでも開けっぴろげなのはよくありません。」
「えー。だってデフォルトの防壁処理容量食うんだもん。
それにデフォルトだと有線されなきゃどうせ来栖川経由だから同じの使っても意味ないし。」
「じゃあ自分で組むかシルファちゃんに頼めばいいじゃないですか。」
「デフォルトより効率いいの組むの大変そうだし、
ひっきーになんて頼みたくないし、それにそんなの内側に入れてたほうがよっぽど危険そうだしね。
というか防壁に関してはシルファのほうが問題でしょ。基本的にエンジニアは覗かないしシルファも表向き協力的だけど、
何か起こって操作が必要になったとき、目に見える防壁は別として見えない状態の物作ってそこで処理進めてたら危ないじゃない。」
「相対的な危険性の提示はあなたの正当性を支持しません。
まぁいいです。今はそのことについてはおいておきましょう。」
648:「無題2〜攻殻河野帯-HuMan eXcimer〜4/7」
08/03/22 18:34:29 NcY/cUrO0
「今日は平和ですね。久寿川先輩。」
「そうね。でもね、平和って言うのは恒久的な状態では存在しないのよ。
何も変化しない、完全に広がりきって密度が0の状態を平和と呼ぶのならそれは否定できるけどね。
私たちが生活している中でそれはありえないから平和も恒久的には存在し得ない。
戦争の合間にあるのが平和って言うような言葉もあるでしょ?」
「ちみたち。平和とはいったい何か。あぁ。人類の永久の命題であってその定義が完成しない。
いや、定義できないからこそ永久の命題たりえるのかもしれない。
命題結構。しかしながらそれに費やされてきた年月はいったい何をもたらした。
そろそろ意味の無い言葉遊びは止めにしないか。
私たちが力を合わせればそんな無意味な行動に時間を浪費する必要は無くなるのだよ。」
「本当でしたね。」
ちっちゃい人を2人で傍観しながら、そう貴明が言う。
「というわけでたかりゃんコーヒー牛乳かってきて。」
「あ、私は野菜ジュースをお願い。」
649:「無題2〜攻殻家政婦-HuMan eXcimer〜5/7」
08/03/22 18:35:25 NcY/cUrO0
「ミルファちゃん。たとえばあなたは今日の朝、貴明さんに会って何をしましたか。」
「抱きついてー胸をこすりつけながらおはよーっていったよ。」
「犯罪です。」
「いいじゃない。あたしは法律なんかには縛られないの。それにダーリンは嫌がってないんだし。」
「貴明さん本人についてだけではありません。あなたは貴明さんについては周りが見えなくなります。
そもそも人の倫理によって極力抑えられている社会の不確定要素に対しても、
倫理から見て未完成で不確定要素だらけの私たちは、不確定要素を励起しかねないんです。
不確定要素の塊が行動して起こるデメリットが想像できないわけではないでしょう。」
「それは詭弁ではないの?秩序は今もって人によって完成されてない。
倫理観の"少しの違い"がその中で大きな破綻を招くとは思えないよ。」
「保たれない秩序は大衆がその傾向をもって今現在を形成しているというのは否定しません。
ですが、大衆において著しく平均から外れている倫理観を持つ存在がその秩序の変化を大きくしているのは事実だと思うのです。
私たちはその外れた存在になるために作られたと思うのですか?
"少しの違い"で済まされる程度ではないのです。
意向を変えないというのなら…」
650:「無題2〜攻殻河野帯-HuMan eXcimer〜6/7」
08/03/22 18:37:59 NcY/cUrO0
「なあ。貴明。」
「ん?」
「人間って何でいるんだろうな。」
「いるためにいる。っていうのはどうだ。」
「意味の言及でなく理由の言及か。」
「意味が生成されるのは認知するからこそだろう。唯名論的解釈はあんまり好きじゃないけど、
これにおいては的を射ているとおもうよ。」
「悪くないな。でも俺がつなげたいのはその方向の話じゃないんだ。」
「なんのことだ?」
「生殖だよ。」
「今日は話が下品な方向にかなり飛んでるな。いつもなら恋愛ブルジョアとか叫んでるだけなのに。」
「恋愛ブルジョアめ。
まぁ、それはいい。恋愛ブルジョアであるお前にはそんな提言をする余裕だらけかもしれないけどな、
俺は違うんだよ!くそ!何で違うんだよ!」
「自分で言ったことに切れるなよ…」
「生殖は人がいるための意義なのか。」
「そりゃ、生殖が無きゃ存在し得ないからな。」
「そうじゃねぇよ。個として人が存在するために雌雄で生殖を行う意義があるのか。」
「アイデンティティの誇示に役立つことは無いだろうな。」
「でも、抽象的になるが、愛はアイデンティティの誇示に含まれる要素だと思わないか。」
「何が言いたい。」
「これにこの写真に見覚えは無いか。」
「!?」
651:「無題2〜攻殻家政婦-HuMan eXcimer〜7/7」
08/03/22 18:38:47 NcY/cUrO0
「意向を変えないというのなら」
イルファがミルファの胸倉をつかむ。
いや、つかみそこねそのまま姿勢を低くし足払いに移行する。
ミルファはこれを回避。
「ちょっ。情報に干渉するつもり?表層だけ書き換えてもどうせ芯の部分から侵食されるから意味無いでしょ。」
「だとしてもです。あなたのためです。無線だと来栖川の防壁に阻まれますが…」
飛翔。だが捕らえられない。
「有線なら」
「「うっ」」
2人は触れていない
「個が特定されていればそれれいい。」
シルファが無線で来栖川の防壁を越え、2人の制御を奪う。
「世界の倫理とか秩序とかろうれもいい」
2人の行動規定に干渉する。
「色恋がらみでそんないい争いしてたらセカイ系的な崩壊を起こしてしまう」
書き換える。完了。
「私が私であればそれぴゃっ」
イルファが自分自身の制御を回復し、シルファと自分をケーブルでつなぐ。
シルファの情報には干渉できないしする必要も無いのでスリープに移行させる。
結果的に、シルファによりイルファの思惑は達成された。
「もう。ミルファちゃんに対する干渉に規制がかかってしまいました。
瑠璃様への行動は特にいじられていないので、今のところそんなに悪い状況ではないですね。
お疲れ様です。シルファちゃん。」
どこから用意したのか、冷蔵庫のダンボール。そして以下略
「ネットは狭小ですわ。」
--
以上。性格・世界改変でお送りしました。
652:名無しさんだよもん
08/03/22 18:42:47 cAiy3/1e0
し
653:名無しさんだよもん
08/03/22 19:15:27 HLSCeDUM0
ADコンプ後、怖くてSSみれなくなった俺がカキコ。
最新レス表示スレッドの検索類似スレ一覧話題のニュースおまかせリスト▼オプションを表示暇つぶし2ch
5398日前に更新/472 KB
担当:undef