コードギアス 反逆のルルーシ ..
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348:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 10:59:21 6iz4LTXD
 ○

 スザクまで走っていったのを見送って、ロイは深々とため息をついた。
「全く。ジノは本当に……」
 どうしようも無い奴である。
 ロイとてジノと付き合い始めて一年になるが、いまだに彼の行動の不規則さは予想もできない。
「あ〜あ。予定変えなきゃ」
 その時、ロイの隣からスッと現れた女性が残念そうに、でもどこか楽しそうなニュアンスを感じさせる口調でボヤいた。
 少しウェーブのかかった金髪。悪戯好きな猫を連想させる瞳。抜群に良いからだのスタイル。美少女ではなく美女。
「? あなたは……」
 ロイが眼鏡を指でかけ直しながら聞くと、その女性はニコッと笑って答えた。
「私? 私はミレイ。この学校の生徒会長です」
 それを聞いてロイは少し驚いた。妙に大人びた外見なので、若い教師辺りだと思っていたからだ……。
(いや、まて。生徒会長という事は……)
 ロイは、上司に行うのと同じ仕草でピッと背筋を伸ばした。
「となると、あなたはこの場の責任者ですね。今回は私の連れが大変迷惑な事をしてしまい、なんとお詫びすればよいのか……」
 丁寧に頭を下げると、ミレイと名乗った女性は今度は上品に微笑んだ。
「あ、いえ、気になさらないで下さい。面白くなってきたし」
「はっ、面白く?」
 ロイが聞き返すとミレイは、スカートの裾を広げて一礼した。
「では、私もそろそろ会場に向かわねばなりませんので失礼いたします。ごきげんよう。キャンベル卿」
 貴族らしいその仕草は、ロイが一瞬頬見惚れてしまうほど優雅なものだった。
 ちなみに、余談だがそのミレイの仕草に見惚れているロイの隣でアーニャがムッとした表情を浮かべたのだが、ロイは気付かなかった。
「……ご親切にどうも」
 ロイがそれだけを何とか返答すると、ミレイはまた微笑んで、
「では……よっしゃ〜。待て待てスザクにルルーシュ〜!」
 ドレスのスカートを翻しながら大またで走り出した。
「……」
 ロイがその変わり身の早さに小さく驚いていると、隣のアーニャが不機嫌そうに聞いてきた。
「知り合い?」

349:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 10:59:54 nUSiVa3j
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350:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:01:05 4AznWd6k
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351:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:02:12 6iz4LTXD
「へ? ……いや知らない。初めて会った人だよ。何で?」
「ロイの事、キャンベル卿って言ってた」
 ここで、ロイははたと気付いた。
「ああ、そういえば……」
 確かにそうだった。ロイはこの学園で誰にも一度も名乗ってないのに、ミレイは「ごきげんよう。キャンベル卿」と言った。
 ロイは首を傾げた。
「あの人。何で僕の事知ってたんだろう……どこかで会ったっけ?」
 ロイはミレイという名前を、脳の中で検索にかけた。
 該当。一件。
 ロイはポンと手を叩いた。
「思い出した。あの人、アッシュフォード家のご令嬢だ」
 隣でクレープを頬張るアーニャもロイの言葉を聞いて「ああ、そういえば」と頷いた。
 アッシュフォード家の令嬢といえば、ロイ・キャンベル専用KMF“クラブ”の開発者であるロイドの婚約者である。彼女が夫になるかもしれない人の担当の騎士ぐらい、知っていても不思議ではない。
「しまったな。ロイドさんに世話になってる手前、もっとちゃんと挨拶しておけばよかった……」
 ロイドさんの奥方になるのなら、自分にとってもあのミレイさんとは一生の付き合いになるかもしれない。人との関係というのは第一印象が大切であり。できることなら、もう少ししっかり挨拶すればよかった。とロイは後悔した。
「あの人は婚約済み……」
 その時、後悔するロイの隣で、アーニャが何かを考え込み……そして、
「うん、ノープロブレム」と頷き、食べかけのクレープをパクっと頬張った。
 ちなみに一体何が“問題無し”なのかは、彼女自身にしか分からない。
「ん? 何か言ったアーニャ?」
「ううん。何でもない……」
 アーニャは首を振ると、ロイの裾を軽くクイッと引っ張った。
「それよりロイ。スザク達。走っていったけど、面白い事になる?」
「面白い、ねぇ……」
 ロイは面白いという表現はえらく不謹慎のような気がしたが、もうここまできたら別段怒る気も沸かなかった、
「ああ、多分そうなる……」
 ロイは力なく言った。
 間違い無くジノの悪ふざけによってアーニャの言う意味での面白い事態にはなるだろう。それは断言できた。

352:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:03:20 4AznWd6k
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353:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:05:40 6iz4LTXD
 もっとも、ロイにとっては全くもって頭が痛い話だが……。
「じゃあ記録してくる」
 アーニャはクレープの最後の一口を頬張って、包み紙をポケットにしまうと、身を屈め、そして次の瞬間、優れた身体能力を生かしてスザク達を追いかけるために走り出した。
 そしてあっと言う間に離れていく走るウェイトレス、アーニャ・アールストレイム。それを見送って、ロイはまた苦笑した。
「好きだな、アーニャも……」
 面白いものがあると分かれば、いつも、

『アーニャ・アールストレイム……発艦!』

 と言わんばかりの勢いで走っていく。その様子は本当に、アヴァロンから発進するランスロットのようだ。
 ロイは自分の想像のおかしさに吹き出しながら、ゆっくり歩いて皆の後を追い掛けようとした。
 その時、
「!」
 ロイはとんでもない事に気付き、驚きおののいた。
 だんだんと離れていくアーニャ。もちろん彼女はまだ、あのウェイトレスの格好である。
 そして、あの服のスカートは短い。それこそいかがわしいお店の店員並に。
 そして、アーニャの体力は一般のそれを大きく上回る。イコール。アーニャは足が速い。イコール、足が速いと受ける風の影響が大きい。イコール、その風の影響でスカートがめくれ、後ろから見ると思いっきり白いのが……。
「ちょっ!? アーニャ待て! それを着て走るな!」
 ロイは顔を真っ赤にして、一目散に駆け出した。しかし、アーニャは小柄なのもあって素早い。すぐに追いつけない。
「アーニャ! 止まれ!」
 何度か校舎の角を曲がり、途中。なんか汗を垂らしながらバテている学生の横を通りすぎた。しかし、二人の距離は縮まらない。
「アーニャぁぁぁ!」
 呼びかけても、絶叫してもアーニャは止まらない。どうやら、走るのに夢中で聞こえてないらしい。
(ああ、くそ!)
 ロイは心の中で毒付いて、走る速度を速めた。
 どうやら、あのオテンバを止めるためには、走って追いつくしかないらしい。
『中の人。違いま〜す。それでも僕は! 焼きたいピザがあるんだぁぁぁ! なんちゃって♪』
 その時、またまたジノの悪ふざけの声がスピーカー越しに学園に響いた。

354:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:06:26 nUSiVa3j
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355:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:10:18 ko8bt2am
中の人自重ww支援w

356:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:10:54 6iz4LTXD
 ○

 その後、ロイはなんとか人目に付く前にアーニャを止める事に成功した。
 そしてKMFから降りて合流してきたジノを小突き、ミレイの所まで引っ張っていき、頭を下げさせて詫びを入れさせたころには、もう日は沈みかけていた。そしてあたりはあっと言う間に暗くなり、遂には夜になった。
 今、ロイはアッシュフォード学園のクラブハウスにいた。隣には私服に戻ったアーニャもいる。
 ここには二人だけだった。
 ジノはミレイに詫びを入れた後、なぜか彼女と意気投合して校庭で一緒にダンスを踊っている。
 スザクはピザの一騒動の時、ピザを焼くかまどの近くででアーサーを抱えていたのは見かけたが、すぐにどっかに消えた。携帯にかけても繋がらない。
 ロイとアーニャもミレイにダンスに誘われたのだが「柄ではない」と断り、「それなら。ウチの学校見てって下さい」というミレイ勧めもあって歓迎会だけに参加していたら、足を踏み入れない場所の見学をする事にした。
 人気の無い校舎を回り。裏庭を回り、雑木林を探索し、そして、ロイは今ここにいた。
「へぇ、ここ“も”クラブハウスか」
 ロイは周りを見ながら、床の軋む廊下を歩く。
 外からは、校庭で行われているダンスに合わせたゆったりとした音楽が聞こえてくる。
 アーニャは携帯で写真を撮りながら呟いた。
「ここはとても静か。別館のクラブハウスと違って……」
 ロイは苦い笑みを浮かべた。
「そうだね。何度も死にかけたね……」
 ここに来る前に立ち寄ったクラブハウスの別館は、部屋に入った瞬間サイレンが鳴ったり、落とし穴があったり、いきなり水撃銃が飛び出してきたりと、なぜか悪意のこもったトラップが満載で、何度も殺されるかと思った。
 しかし、聞けばそれでも昔、ある生徒会役員が別館の大掃除をしてから大分マシになったらしく、今回ロイ達が遭遇したトラップはその掃除の取りこぼしだったらしい。
 しかし、ロイ達が経験したトラップのあの量で取りこぼしだというのなら、その掃除をしたという生徒会役員はそれこそトラップの嵐に晒されて無事にすまなかったのではないだろうか?
 ロイはその生徒会役員が今も五体満足でどこかで元気に暮らしている事を祈りつつ、廊下を進んだ。

357:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:14:14 6iz4LTXD
「それにしても。クラブハウスって言う割には何のクラブも入ってないんだな」
 先ほど回ってきた別館はトラップという異常なものを除けば、建物内は様々なクラブの私物に溢れており、その場所で行われている、または行われていた活動内容が良く窺えるいわゆる普通のクラブハウスだった。
 対して、ここはほとんど空き部屋であり、しかもほとんど私物が置いていない。これではクラブハウスと言うよりは一風変わったホテルや空室の多い寮と言った方がしっくりくる。
 アーニャは撮った写真を携帯で整理しながら言った。
「一階は大きなホールだった」
「そうだね。もしかしたら、共同の多目的ルームならぬ多目的施設なのかも。寝泊りとかできるのはオマケみたいな感じで」
「ホールでは飲んで騒いでドンちゃん騒ぎ。そして酔っ払った人たちはベッドのある空き部屋に放り込む。そんな感じ?」
「あ〜アーニャ。一応ここは未成年者が通う神聖な学校だから」
 すると、アーニャはそのどことなく眠たげにも見える瞳を、携帯からロイに移した。
「それをロイが言う? 今朝、ジノとロイを起こすのは苦労した」
 今日の朝。ロイとジノは部屋で酔いつぶれて床で重なるようにして寝ていた。それを発見して、叩き起こしたのはアーニャだった。
 ついでに、二日酔いでフラフラな二人を介抱したのもアーニャだった。
「……」
 ロイはそれを思い出して冷や汗を流し口をつぐんだ。
 アーニャは更に言った。
「お詫び」
「はい、申し訳ありませんでした……」
 ロイは歩きながら素直に頭を下げた。しかし、アーニャは納得がいかないらしく、小さく唇を尖らせた。
「……謝れば済むと思ってる」
「いえ、思ってません。以後気をつけます……」
「前から言いたかった。ジノもロイもお酒飲みすぎ。体に良くない」
「ごもっともです」
「本当に分かってる?」
「イエス・マイ・ロード。いつもご迷惑をおかけしております……」
 珍しく二人の注意の攻守が入れ替わった瞬間だった。ロイは困った顔で頭を下げ続けた。
 実は、ロイはお酒、特にワインが大好きだった。

358:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:16:37 6iz4LTXD
 一年ぐらい前、ジノと一緒に食事をした時、彼に食後のワインを勧められて、そのまま二人で飲み明かしたのがいけなかったと今になって思う。
 そしてあれからすっかりワインの味にはまり、暇な夜はジノと飲み明かすのが習慣になってしまった。
 そして、それをアーニャは快く思ってない。
 ちなみに、本当にアーニャが快く思っていない理由は、体の健康云々というのももちろんあるが、ロイが暇な夜というのはとても珍しいのに、それを全部ジノに掻っ攫われて面白く無いという点である。
 アーニャだって、ロイとは夜、お菓子をつまみながら二人で夜通しおしゃべりをしたいのである。
 ただ、悲しいかな。ナイトオブセロはそんな乙女心を微塵も感じる事はできず、ただペコペコと頭を下げ続けた。
 その態度が、更にアーニャをイライラさせるのも無理は無かった。
「いっその事。お酒飲むのやめたら?」
「いえ、もう、二日酔いになるまで飲みません。次から気をつけますからそれだけは―ん?」
 その時、ロイはふと足を止めた。隣にいたアーニャもそれに習う。
「?……どうしたの?」
 アーニャが聞くと、ロイは「あっ、いや」と曖昧な返事をした後、視線と体を横に向けた。
 そこは木製の扉があった。
「ここがどうかしたの?」
「……」
 アーニャが更に聞く。しかし、ロイは黙り込んで何も答えない。
「ロイ?」
 もう一度問いかけて、ロイは始めて自分が呼ばれている事に気付いた。
「ん? 何かなアーニャ」
「ここがどうかしたの? って聞いた」
「いや、どうかしたって訳じゃないんだけど……」
 言いながらも、ロイは足を前に踏み出して扉を開けた。軋んだ音と共にあらわになった部屋。
 中には机とベッド、そして一つのタンスが置いてあるだけ。私物らしきものは何も無かったので、どうやらここも空き部屋らしい。
「? ロイ。この部屋がどうかしたの?」
「……いや、何でもない。……というか、なんで僕はこの扉を開けたんだろう?」
 眉間に皺をつくりながらも、ロイはゆっくりとした足取りで部屋の中に入っていった。アーニャはロイのその行動を不思議がりながらも、後に続いて扉をくぐった。
「? 意味も無く扉を開けたの?」

359:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:17:08 nUSiVa3j
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360:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:19:13 6iz4LTXD
 アーニャが部屋の中にあったベッドにポスンと音を立てて腰掛けながら聞くと、ロイは部屋においてあった机を指でなぞりながら、
「うん。というか体が勝手に動いた」
 と、部屋全体をグルリと眺めながら答えた。
「?」
 アーニャは首を傾げた。しかし、ロイも首を傾げたい気分だった。
 部屋に入ったのは本当に何も考えずに取った行動だった。なぜか、この扉の前に立つと、この部屋の中に入るのが当たり前。という気がして仕方が無かったのだ。
「本当に……なんで僕はこんな部屋に入ったんだろう……」
 ロイは頬をポリポリとかきながら、部屋の中を何度も見回し、そしてその度に言いようのない不思議さに困惑した。
(この部屋……見覚えがある?)
 そんな気がした。しかし、ロイはすぐにそれを否定した。
(いや、それは無いな……)
 なにせ、自分がエリア11に来たのはつい最近であり、この学園には今日初めて足を踏み入れたのだ。
 しかし、どうもこの部屋にいると、
「なんか……。なんかこう、モヤモヤしてくるな……」
 ロイが呟くと、アーニャがチラリとロイを見て、
「ムラムラ?」
「……」
 ロイは心の中に湧き上がっていた何とも言えない感情を一時引っ込めて、そのアーニャの聞き間違いを即座に訂正した。
「違う。間違っているよアーニャ。モ・ヤ・モ・ヤ。モヤモヤって言ったの僕は」
「そう」
 アーニャはそう納得したあと、携帯を操作し始めながら、
「じゃあ、前から一度聞いてみたかったんだけど……ロイは私といてムラムラする?」
 訳の分からない事を、本当に唐突に聞いてきた。
「…………」
 ロイは長い沈黙の後、
「ごめんアーニャ。良く聞こえなかった。今、何て言った?」
 幻聴だと思って―いや、幻聴だと願って聞き返す。しかし、アーニャの小さな口から出てきたのは残念ながらそれが幻聴でないという事を証明しただけだった。
「だから、ロイは私といてムラムラする? って聞いた」
「……」
 どうやら、聞き間違いではなかったようだ。ロイは当然の如く戸惑った。
 おそらく、スザクに『ロイ! 実は僕はテロリスト、ゼロだったんだ、ふはははははは!』と荒ぶるゼロのポーズを取りながら告白されてもここまで戸惑わないだろう。

361:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:19:49 moRWPeYD
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362:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:19:50 nUSiVa3j
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363:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:22:40 fiweccIG
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364:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:23:35 6iz4LTXD
(どういう意味だ? というか僕にどう答えろと……) 
 考えても分からない。分かるわけが無い。なのでとりあえず、
「しません! っていうかいきなり何言いだすんだよアーニャ……」
 アーニャは携帯から顔を上げて、眉をひそめた。
「それは私に対する侮辱?」
「……なんでさ」
「“ジノが言ってた”。女が男にムラムラしないって言われるのは侮辱されているのと一緒だって」
(また君か! 厄介な奴だよ君は!!)
 そう心の奥底で嘆き、うなだれるロイを尻目に、アーニャは違うの? と言いたげに首を傾げた。
「……」
 ロイは、余計な事しか言わない友人に対して、自分の奥底から静かな怒りがふつふつと沸いてくるのを感じた。
(そうかジノ。そんなに僕からのフレンドリー・ファイアがお望みか)
 とりあえずロイは、今度ジノに会ったら出会いがしらにボディーブローを見舞う事にして、改めてアーニャと向き直った。
「というか、アーニャ。そもそもムラムラの意味分かってる?」
 そう聞くと、アーニャは困った顔をした。
「……実を言えば分からない。でもジノはロイに聞けって言ってた。きっと事細かく手取り足取り詳しく教えてくれるからって……」
(うん。ボディじゃなくて顔を殴ろう)
 ロイは―ジノが! 謝るまで! 殴るのをやめない! と固く心に誓った。
「で、ロイ。良い機会だから教えて。ムラムラって、何?」
 ベッドの上から、二つの無垢な瞳がこちらを覗き込む。
「……」
 ロイはしばらく黙考しつつ、脳を高速で回転させた。
 このまま何も言わないのは不味かった、そもそも、教えなかったとしてもアーニャの事だからその手に持った携帯を駆使しインターネットでクグるだろう。そうなったら終わりだ。
 そして、ロイは答えを導き出した、
「……複数の村をまとめて示す事だよアーニャ。“村々”っていう言葉が旧日本にはあるんだ」
 ロイが身を屈め、アーニャと視線を合わせて非常に苦しい事を言うと、彼女はまた不思議そうに首を傾げた。
「? なんでそれが、女性への侮辱に繋がるの?」
「さぁ? アーニャもあんまりジノのいう事は気にしなくていいんじゃないかな。だってあのジノの言う事だし」
「……」

365:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:24:15 nUSiVa3j
支援!

366:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:24:50 moRWPeYD
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367:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:27:47 6iz4LTXD
 あんまりな言い草だったが、今ここにナイトオブスリーを擁護する人間は誰もいなかった。というか、多分ブリタニア全土を見ても彼を擁護する人間はいないだろう。
「“村々”をどうやって手取り足取り教わる事になるの?」
 アーニャに聞かれて、ロイはニッコリと微笑んだ
「はは、馬鹿なジノと違ってアーニャは賢いから、別に口で言うだけで教えられるんだよ」
「ジノは馬鹿なの?」
「軍人、同僚、仲間としては優秀だけど。友達としては残念ながら……」
 と、ロイが湧き上がる怒気を理性で押さえつけながら言うと、
「お楽しみの所。失礼いたします!」
 と、ロイとアーニャの側面から声がかかった。二人は咄嗟の事に驚きながらも動揺はせず、声の方に素早く振り返る。
 いつの間にか。ロイとアーニャが入ってきた部屋の入り口には一人の人物が立っていた。
(! 僕が気を取られているとはいえ、人の気配に気付かなかった!?)
 ロイは表情を変えないまでも内心は驚いていた。自分が気配を感じずにここまで人の接近を許すなど、ラウンズのメンバー以外では始めての事だった。
 やがて、その人物が数歩前に出る。するとその姿が月明かりに照らされて、その容姿が明らかになった。
 扉の前にいたのは女性だった。
 褐色の肌。アスリートのようなしなやかな肉体。それを強調するスウェットスーツ。半そでの上着。彼女は油断の無い足取りで近寄ってくると、やがてロイ達と適した間合いでピタリと止まる。
「……あなたは?」
 ロイが今までの少々間の抜けていた感情を捨て去り、レンズ越しに淡々とした強い視線を浴びせながら尋ねると、女性は背筋を伸ばしてブリタニア式の敬礼をしてから名乗った。
「ブリタニア軍機密情報局所属。ヴィレッタ・ヌゥであります。ナイトオブシックス様とナイトオブゼロ様ですね?」
 そのいかにも軍人らしい話し方から出た言葉を聞いて、ロイは首を捻った。
 機密情報局?
 機密情報局と言えば、通常の軍情報部とは別系統の独立した皇帝直轄の諜報部局である。その存在は別に秘匿もされておらず、空港の職員でも知っているある程度オープンな組織だ。
 だが、決してどこにでもいて良い組織では無い。それなのになぜこんな場所にその諜報部員がいるのか?
「……」

368:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:28:33 moRWPeYD
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369:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:29:34 fiweccIG
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370:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:31:07 6iz4LTXD
 ロイが相手の意図を掴めず、ナイトオブゼロである事を肯定するか否定するかを迷っている内に、アーニャが「そう」と答えてしまった。
「……」
 ロイは仕方なく「何か?」とそのヴィレッタと名乗った女性に尋ねた。
 ただ、まだ本当にブリタニアの機情の人間と決まったわけではないので。ロイは相手の一挙一動に対応できるように、足幅を相手に気付かれないように広げ、どんな動きにも対応できるように構える。
 それに並列して、目の前の女性がどんな行動をとっても対処ができるように脳の中で何十通りのシュミレーションを一瞬で済ませた。こうしておけば例え目の前の女性が急にナイフや銃を取り出して襲い掛かってきても、とりあえず、頭脳だけは取り乱さない。
かたやアーニャも、どうやら完全に信用はしていないらしく、ベッドから腰を上げて立ち上がり、手に持っていた携帯を懐にしまうと、両手を自由にさせて、相手を見据えた。
 当のヴィレッタは姿勢を崩さずに言った。
「ここは機情の作戦区域であります。そして、このクラブハウスは一般人の立ち入りを禁止しております。よって、恐れながら今すぐに退館をお願いいたします」
(……作戦区域?)
 ロイはそのただ事では無い言葉に、他人に気付かれない程度に眉をピクリと上げた。
 今日、ロイはこの学園を隅々まで回ったが、生徒のイベントに対する熱意がすさまじすぎる点を除いてはいたって普通の学園だった。
 少なくとも、普通の情報局ならともかく、わざわざ皇帝陛下直属の諜報機関が作戦行動を行うような場所には思えなかった。
 ロイは、ヴィレッタと名乗った女性を値踏みするような目で見た。
(なぜだ? テロリストでもこの学校にかよっているのか? それとも、皇族クラスの親族でも学校に通ってて、護衛をしているのか? それとも……)
 ここで、ロイは自分が様々な思考を巡らせている事に気付いて、(……っと、悪い癖だな)と、かぶりをふった。
 何か分からない事があると、すぐにその答えと、そのさらに裏まで理解しようとする、自分の癖。
 確かに、その姿勢は軍人として必要なものだが、度を超すのはやはりよくない。

371:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:31:24 moRWPeYD
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372:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:34:24 6iz4LTXD
 この目の前の機情の軍人が、完全に軍人としてこちらに声をかけているならばともかく、自分達が言われていることは、“ここは一般人は立ち入り禁止なので、出て行ってください”。という学園の警備員にも言われそうな些細な内容である。
 それに、女性の服装を見るに、どうやらここの教師“役”をしている人のようだ。なら、ただ単にその教師という立場から、一般人として遊びに来ている自分たちに注意を促しているだけという可能性も高い。
 つまり……確かにこの学園でどんな作戦が行われているのかというのは気にならなくもないが、気にしたところで仕方が無いとも言える。
 ブリタニア程大きな国家ともなると、このように隠密でしかも一見不可解に見える作戦の数は格段に多い。しかもロイはラウンズという立場上その作戦を知る機会も多く、それらを一つ一つ気にしていたらキリが無い。
 ロイは、とりあえず軽く頭を下げた。
「そうですか。すみません。この場所が立ち入り禁止だとは知らなかったものですから」
 ロイは続けて言った。
「では、すぐに出て行きます」 
「お願いします」
 ヴィレッタは、スッと横に移動し、部屋の入り口の前を開けた。
「ほら、行こうアーニャ」
「分かった」
 そして、二人はヴィレッタの横を警戒しながら通り過ぎ、廊下に出た。ヴィレッタはその様子をずっと眺めていたが二人が退出するのを黙って確認すると、最後に扉を閉めて廊下に出てきた。
「ご迷惑をおかけしました。ヴィレッタさん」
「ごめんなさい」
 二人が揃って頭を軽く下げる。
「いえ。任務ですから」
 ヴィレッタはそう言って、また背筋を伸ばして敬礼した。
 そしてロイとアーニャは、きびすを返して元来た道を戻る。
 ちなみに、後になって知ったことだが。ここはあのテロリスト。“ゼロの左腕”ライが生活していた場所であり。ロイが入った部屋もそのライが生活していた部屋だった。

 ○

 この場所―クラブハウスは、ルルーシュが生活している以上色々と秘密が多い。一般人ならともかく、ラウンズにうろつかれると困る。
「あれが、ナイトオブゼロとナイトオブシックスですか」
 ヴィレッタがラウンズの二人を引き返させ、その姿が見えなくなって安堵の息を吐くと同時に、廊下の影から一人の少年が現れた。
「ロロ……」

373:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:34:53 moRWPeYD
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374:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:38:56 6iz4LTXD
 ヴィレッタは視線だけをその少年に向ける。
 栗色の髪。童顔とも言える顔立ち。しかし、その瞳だけは大人以上に据わっている。彼はその瞳で、ラウンズの二人が去っていた廊下を見て言った。
「それにしても。なぜ、わざわざ逃がすような真似を? 僕なら二人同時に殺せたのに。ここなら人もめったに来ないから死体の処理も楽だし」
 無垢そうな外見に似合わず、そう淡々と言うヴィレッタの部下―ロロ・ランペルージ。
 その言葉に嘘は無い。それは上司であるヴィレッタが一番良く分かっていた。
 このロロは、あどけない少年のような外見とは裏腹に、中身はただの殺人鬼である。事実、ヴィレッタの部下もこのロロに無意味に何人か殺害されている。
 実を言えば、ナイトオブセブンの依頼でナイトオブゼロとシックスを監視していたロロとヴィレッタがクラブハウスに入っていった二人を連れ戻すために追いついた時、このロロはあろうことか懐からナイフを取り出して、
「これは、兄さんの敵を減らすチャンスか……」と二人を殺そうとした。それを制止したのがヴィレッタだった。
「馬鹿を言うな」 
 ヴィレッタは腕を組みながら勢い良くロロに向き直り、言った。
「こんな場所で皇帝陛下直轄のラウンズを二人も“失踪”させるつもりか」
 怒気を交えた視線を送るヴィレッタとは対照的に、ロロは冷めた視線を返した。
「陛下―いや、皇帝程度への報告は何とでもなります。そうでしょう?」
 ロロは皇帝陛下直轄である機密情報局の一員でありながら、その皇帝を卑下するようなニュアンスを漂わせた。
 いや、そもそももう彼はブリタニアの皇帝を敬意を込めて呼ぶ必要は無かった。なぜなら、彼は―ロロはすでにブリタニアの敵となっていた。
 つまりは裏切ったのだ。この世界の三分の一をすべる大国を……。それも自らから進んで。
 ロロの主はもはやシャルル・ジ・ブリタニアではなく、ブリタニアの敵であり彼の最愛の兄、ルルーシュ・ランペルージだった。
 ヴィレッタかかぶりを振った。
「お前は分かっていない。あの二人がこんな場所でいなくなれば―特にナイトオブゼロがいなくなれば、彼と親交の深いシュナイゼル殿下やオデゥッセウス殿下を初め、同僚のヴァインベルグ卿。エニアグラム卿。クルシェフスキー卿あたりも必ず動く。
そうなれば、私たちなど一瞬で終わりだ」

375:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:39:30 nUSiVa3j
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376:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:41:10 moRWPeYD
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377:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:41:39 6iz4LTXD
 そう説明するヴィレッタをロロはまたもや冷めた視線で見据え、そして、次にその視線をナイトオブゼロたちが去っていった方向に戻して、笑みを浮かべた。
「……へぇ、愛されてるんですね。あの、ロイって人」
 ヴィレッタは、そのロロの何も理解して無さそうな顔にたまらなく腹が立った。
「笑い事じゃない。情報部の大部分の馬鹿共はナイトオブゼロの性格自体が大人しいから、情報部の信用を失墜させた“あの事件”での事を恨んで堂々とキャンベル卿を中傷するが、私から言わせればその行動は愚かな事この上ない。
 考えてもみろ。一人敵に回す事によって、その国の皇帝陛下と宰相閣下と第一皇子殿下が敵になる人間が他にいるか?
 いないだろう。ナイトオブゼロの恐ろしさはその戦闘技術でも、その頭の良さでもない。人望だ。確かにキャンベル卿の支援を表明している人物は少ない。しかし、それはあくまで、実利的な付き合いではないからそう見えるだけであって、
実際の奴の親交範囲は少ないながらもその質は並じゃない。並じゃないからこそ。ナンバーゼロがいなくなればブリタニアの多くの大人物が、その原因を熱意を持って解明に走る。……これは言い換えれば、奴を敵に回す事は、
 ブリタニアの怒りを買うといっても大げさじゃない」
「あの事件?」
 ロロは首を捻った後、「ああ」と納得した。
「東ロシア戦線でナイトオブゼロが情報部が提出した報告を真っ向から否定して、しかもそれが合っていたものだから、情報部の長ドクトリン将軍含め上層メンバーの面子が丸つぶれになったあの事件ですか……」
 ドクトリン将軍と言えば、ブリタニア内で“泣く子も黙る”と言われている猛者であり。情報部だけでなく軍部全体に強い影響力を持っている人物だ、このドクトリン将軍の意見はあのシュナイゼル殿下も無下にはできないと言われている。
しかし、そのドクトリン将軍が提出した情報を、ロイは多くの皇族が参加する会議で根本から、しかも真っ向から否定した。しかも、ロイの発言は後に正しかった事が証明され、もし、最初にドクトリン将軍を初めとする情報部が提出した情報を鵜呑みにし、
軍を進めていたら、司令官であったシュナイゼル殿下の身も相当危なかったと言われている。これにより、シュナイゼルのロイに対する信頼は確固たるものになり、逆にドクトリン将軍の面子は丸つぶれになった。

378:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:42:15 moRWPeYD
支援

379:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:45:29 6iz4LTXD
そのせいで、ロイはドクトリン将軍に逆恨みされており、色々と不遇な扱いを受けている。
それは主に戦果の天引きや、能力の過小評価等の情報操作だ。お陰で、ロイは戦場でいくら武功を立てようともそれが軍全体に伝わらないし、評価も上がらない。一般人にもその実力が知らされない。
 なので、ロイはいつまでたってもうだつのあがらないラウンズ。としてブリタニア全体に認知されたままなのである。
 しかし、当のロイはそんな事をされていると知っていても文句など一つも言わない。なので、本当ならロイを擁護したい一部でありながらも大きな力を持った皇族や、貴族、そして軍人はなにもできない。こういう問題は第三者が騒げばよいというものではないのである。
「僕はあの将軍は好きじゃありません」
 そこだけは、ロロは歳相応の子供の顔でボヤいた。
「そこは私も同感だ」
 ヴィレッタも同意した。そもそもあの将軍は好意を抱けるような人物ではない。上司にもなって欲しく無い。
というのがヴィレッタの意見だった。同じ情報を扱う部署でも、ドクトリン将軍の息のかかっていないこの機密情報局に配属になった事に素直に感謝したいぐらいだった。
「それにしてもヴィレッタ隊長。あなたのキャンベル卿に対する評価は実に的を得ていますね。騎士として戦場を駆けるよりこちらの方が向いているんじゃないですか?」
 ヴィレッタはロロを睨んだ。
「……裏切り者から誉められても嬉しくない」
「これからもその明晰な頭脳で僕達兄弟の支援をお願いします」
「っ……」
 ヴィレッタは口をつぐんだ。
 目の前のロロはブリタニアの敵である。しかし、すでにヴィレッタにとってロロは敵ではなかった。
 そう、ヴィレッタももうブリタニアから見れば裏切り者なのだ。もっとも、それはロロと違い自ら望んでではなく、脅されてそうなったのだが……。
「……それにしても。まるで王様みたいですね。あのナイトオブゼロは」
 ロロが唐突に言った言葉に、ヴィレッタは顔を向けた。
「なに?」
「一人を敵に回すと。国が敵になる」
 ロロが自嘲気味に笑った。それは、いくつもの死線をくぐりぬけたヴィレッタが寒気を感じるほど暗く、でも少し悲しげな笑み。

380:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:46:06 nUSiVa3j
支援!

381:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:46:49 moRWPeYD
支援

382:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:47:46 6iz4LTXD
「……そうだ。そういう事だ。ナイトオブシックスはまだ良い。この場で失踪したとしてもどうにでもなる。だが、ナイトオブゼロだけはだめだ。皇族や、有力貴族の怒りに触れることだけは―」
「なら、今から追いかけてナイトオブシックスだけでも殺しておきましょう」
 そう言いながら、スッと目を細めるロロ。ヴィレッタは即座に反対した。
「それもだめだ。ナイトオブゼロを敵に回す事になる。ナイトオブゼロが支援を頼めば手を貸す大物は一人や二人じゃないと言っただろう」
「……つまり。少なくともこの学園では殺せない。今は二人を見逃すしかない。そういう事ですか?」
「そういう事だ」
「そうですか……」
 そして、ロロはまた無表情とも言える顔になって、
「でも、いずれ二人共殺します。兄さんのために」
 底冷えするような声でそう言った。
「……」
 ヴィレッタはそのロロの言葉を聞いて改めて背筋に寒気を感じていた。
 その時、ピピピという小さな電子音。
『んっ?』
 ロロと、ヴィレッタの小型通信機が同時に鳴ったのだ。二人は、それを慣れた動作で耳に当てる。
「どうした?」 
 ヴィレッタが聞くと、すでにギアスによってルルーシュの制御下に入っている部下が応答した。
『校舎屋上にいるゼロの所に枢木卿が向かっています』
「……そうか。分かった」
 ヴィレッタは通信を切る。そしてロロも同じ動作で通信機を切ると、こちらに顔を向けた。
 その顔は先ほどまでと違い、冷たい殺人鬼のものではなく、兄の危機を純粋に心配する弟のそれであった。
「僕は、兄さんの所にいきます」
「ああ……その方がいいだろう」
 そうヴィレッタが言うと、ロロはきびすを返し、早足で最愛の兄の下へ向かって言った。
 やがて、ロロが廊下の端に消える。そしてこの場所はヴィレッタ一人だけになった。
「その方がいいだろう。か……」

383:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:47:58 moRWPeYD
支援

384:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/09/14 11:50:47 6iz4LTXD
 ヴィレッタは誰もいない空間に声を投げかける。そして、力なく近くの壁にもたれかかった。
「私にとって、本当にいい事とは、何だ……?」
 ルルーシュの死か? それともルルーシュの生存か? いや、どちらにしろ自分にはもう輝く未来は無いだろう……。
(全く、あんな男に助けられたせいで、私は……)
 ヴィレッタは、ゴールの無い螺旋階段にはまってしまったような気分になった。
 そのまま、何十分ヴィレッタはそこにそうしていたのだろう。
 気付けば、外から聞こえていた音楽はいつの間にか止まっていた。
 色々あった一日は、今まさに終わろうとしていた……。 

 シーン6 終わり。次回シーン7『紅 と 青』に続く。

<投下終了です!> 
 支援感謝です! いつも投下が長くて本当にすみません……。おかげさまで今回は猿にかかりませんでした。

 ふぅ、今週もとりあえずSSをお届けできたな。
 まぁ、もっとも

 大学の先生にレポートは届けられなかったけどね……。(一日遅れで無事に提出しました)

 あれ、おかしいな、大学のレポートより今週一週間で書いたこのSSの方がKB容量が大きいや。(オイ

385:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:56:03 moRWPeYD
>>384
乙です!今回も面白く…ってレポート!w
これから紅い人と青い人の接触が多くなってきそうな雰囲気が感じられてワクワクします。
次回のご更新お待ちしてます!

386:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 11:57:34 nUSiVa3j
ふぅー
>>384
KOUSEI卿、GJでした!
主にジノを主体とするまったりしたギャグと息を飲むシリアス
二つのテイストが重なってこの面白さは止まらないぜ!
無意識にかつての部屋に入るロイ、また戦果が少なかった訳も判明
読み終わって最高にハイってやつだぜ!!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただけますか!?
答えは聞きません、待たせていただきます!

387:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:00:03 ko8bt2am
昨日投下しました捏造特派ENDifの続きを投下します。
3レスほどになります。
短いですが、少し話が進んでます。
あくまで繋ぎですが気に入っていただければ幸いです。



388:叙勲
08/09/14 12:01:18 ko8bt2am
EUとの戦争もEUのブリタニア側の玄関とも言うべき海岸線を獲得した。
その後は国境線を中心に戦線は停滞。その後は停戦を結んだ。
帝国宰相であるシュナイゼル殿下はいつまでも前線だけに居るわけにはいかない。
その為ナイトオブセブン枢木スザク卿を残し、本国に帰国する事となる。
スザクと別れの挨拶を交わし、アヴァロンにて帰還となった。
本国帰国早々、先延ばしとなっていた騎士の叙任式をするという。
そこで僕は、懐かしい人と再会する。



389:叙勲
08/09/14 12:04:46 ko8bt2am
以前、スザクの叙任式を見ていた自分がそれをする事になるとは考えたことが無かった。

「ライ・アスプリウス」

殿下が呼ぶ。余談ではあるが、この名は何時までも家名が無いというのは
騎士としての体裁が悪いため、そのためになんとバトレーの養子となったのだ。
決まった時の僕らの表情はとても微妙なものだったと言う事をここに記す。
閑話休題。

「汝、ここに騎士の制約を立て、ブリタニアの騎士として戦うことを願うか?」

「イエス、ユアハイネス」

「汝、我欲にして大いなる正義のために剣となり盾となることを望むか?」

「イエス、ユアハイネス」

「私、シュナイゼル・エル・ブリタニアは、汝、ライ・アスプリウスを騎士として認める。
 勇気、誠実、謙譲、忠誠、礼節、献身を具備し、日々、己とその信念に忠実であれ」



390:叙勲
08/09/14 12:08:48 ko8bt2am
そして、立ち上がり、この場に集まった人たちを見る。
貴族が多数だったがそこには様々な感情が入り混じっていた。
羨望の眼差しで見るもの、嫉妬の目で見るもの、媚を浮かべるもの。
人の欲望の縮図のようだった。
スザクはこんな視線の中で・・・・・・。
彼に出来て、僕が挫く訳にはいかない。

「ライ・アスプリウス、確かに拝命致します。我が主」



僕の世界が変わった瞬間だった。



391:快風
08/09/14 12:12:25 ko8bt2am
投下終了です。
短文ですみません。なんとなく書いてしまって、切りが良かったので。
前回同様中途半端に切ってしまいましたが、いかがでしょうか。
次回のテーマは「再会」となります。
では、これで。
また見てぎあす。


PS
今日のギアスはどんな展開か、超展開だろうが楽しんで見てみせるw

392:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:14:40 nUSiVa3j
>>391
快風卿、GJでした!
ただ、一応前の投下からは15分ほど間を空けた方がよろしかったですよ(感想等が有るかもしれないので)

まさかのバトレー養父に驚愕
貴方様の素晴らしき発想、とてもGJでした!
これからどの様な展開となるのか、かなりの期待を持ち
全力を挙げて次の投下を待たせていただきます!


ギアスはあえてビグロブで見ます
正直、最近の展開は気分落ち着けないとまともに見れないですorz

393:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:19:59 ko8bt2am
>>392
すみません、次回からは気をつけます。

バトレーに関しては、ライと関わりがあって、貴族的ポジションかつ、
シュナイゼルと親しい、あと一番重要なので、多分初のネタだったから
バトレーになりました。

驚いていただけたなら、こちらとしても狙い通りで嬉しいですw

感想ありがとうございます。

394:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:34:55 9/MVErrX
油断して一晩こなかったら、結構レスが進んでいる!
しかし、読んでしまうと、怖じけるかもしれないので先に投下してしまいたいのですが、
お昼時ですが、どなたかいらっしゃいますか?

395:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:36:21 moRWPeYD
支援いけますぜ

396:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:39:34 nUSiVa3j
休日は朝昼兼用です
という訳でどーんとこーい!
全力を挙げて投下を支援しましょう

397:KAMEI ◆0zkc8WmJ3k
08/09/14 12:39:54 9/MVErrX
支援表明ありがとうございます。

こんにちは。
思い付きと欲望と勢いのままにSSを書いている気がするKAMEIです。
タイミングを外しまくりの記憶喪失CCネタになりますが投下したいと思います。
今更だし、もう止めておこうかとも思ったのですが、最終回が近づき、
多分、今を外したら本当にお蔵入りだ!と、思いきって投下することにしました。



(注意事項)
・ライ視点でライ+CC
でも、ライはCCの事と同じくらいルルーシュについても語ってます
・似非シリアス
・ルル×CCが苦手な方は避けた方がいいかもしれません
CCにとってルルーシュはあくまでもご主人様で、明確な恋愛感情を持ってるわけではないのですが、
ちょっとルルCC駄目な人にはキツい内容を含んでいるかも?
・このスレの標準的なライより世間ずれしていると思います
・微エロ?
・ギャルゲ板に投下するSSとして、間違った方向に力が入りまくってる気が……
・実はマトモなライ視点は初投下
時系列も錯綜ぎみです
口調などおかしいと思う箇所があったら指摘していただけると嬉しいです
・本文は8レス予定
念のため、途中2〜3回くらい支援があれば安心できます

398:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:40:43 nUSiVa3j
支援

399:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:40:50 moRWPeYD
支援

400:1/8
08/09/14 12:42:21 9/MVErrX
「ライ様…今晩こちらで眠らせていただいてもいいでしょうか?」
 CCは上目遣いで不安そうな顔を僕に向けた。

「それは構わないけど、ル、……ゼロは何て?」
「ご主人様は、ライ様が構わないなら好きにしていいと仰いました」
「ご主人様、か」
「あの……何かいけなかったでしょうか?ライ様が駄目だと仰るなら……その……」

 僕はしばらく考える。
本当ならCCはなるべくルルーシュと一緒にいた方がいい、と思う。
そうでなければ、新しい関係が構築できない。
ただ、今のルルーシュはいつも以上に不安定だ。
CCを傷付けるつもりなんて少しもなかったのに、怪我をさせてしまった事でルルーシュ自身がひどく落ち込んでいる。
いや、傷付けた事だけではないだろう。
CCの指に貼られた絆創膏を見て思う。
傷が治らない―その事実がCCの変化を雄弁に物語っていた。



 CCの記憶は失われ、ただの幼い娘になってしまった。
その変化には僕も戸惑っている。
全てを超越した尊大な不死の魔女が、何も知らないただの小娘に変わってしまったのだから。
いや、ルルーシュの感覚からすれば、今のCCは「ただの小娘」未満だろう。
 しかし、僕はルルーシュとは違う。
過去に王として生きた僕は、今の彼女のような存在を数多く見てきた。
主に命令され、是非もなく従うことに慣れた者たち。
理不尽に暴力を振るわれても怒ることなく、過ぎ去るのを待つか、許しを請うことしかできない存在。
ブリタニア統治下のイレブン─いや「名誉ブリタニア人」に何処か似ていて、
だが決定的に何かが違う彼ら。
そんな風に隷属することに慣れた人間は、何もしなくてもいいと言われても戸惑うことしかできない。
自由という概念さえ知らない彼らは、そんなことを言われても困るのだ。

401:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:43:28 moRWPeYD
支援

402:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:43:29 nUSiVa3j
 支援

403:2/8
08/09/14 12:44:25 9/MVErrX
 CCは自分に出来ることを、すべきことを探そうとしていた。
だが、相手はルルーシュだ。
脱いだ服は直ちにたたみ、ゴミはでた瞬間に分別してゴミ箱に入れ、汚れは直ぐに拭き取る。
CCがそれに気が付き対処しようとした時には、ルルーシュはほぼ作業を完了している。
ルルーシュにとっては当たり前のことなので、それでCCが不安になることが理解できない。
すべきことができないということは、不必要だということだと、
直ぐにでも捨てられ、売られてしまうのではないかとCCが不安を感じている事が。
 そんなことにはならないとCCに説明はした。
だが、それは彼女には理解し難いということも判っていた。
だから、少しでも彼女の不安を取り除くために、僕の部屋への出入りを自由にさせることをルルーシュに提案した。
 その提案を聞いたルルーシュは不思議そうな顔をした。
ルルーシュにとってはCCが僕の部屋に勝手に出入りするのは当たり前の事で、
改めて提案されるような事だとは思わなかったのだろう。
 だが、CCにとっては違う。
今のCCを他の団員に見られるのは得策とはいえないが、幸い僕の部屋とゼロの部屋は書庫を共有する作りになっていた。
使う時以外は閉ざされていた扉を常に解放しておけば、CCは人に見られる事なく僕の部屋に来ることができる。
 僕はCCに「ゼロが部屋にいない時は書庫か僕の部屋にいること」、
「僕の部屋の掃除をすること」、
「僕もゼロも居なくて、する事がなくて困ったら書庫の本を読むこと」を指示した。



「あの…ライ様……困らせて申し訳ありません、でした。
 私…その……、ご、ご主人様のところに戻ります……」
 黙りこんで考えていた僕の態度を、拒否と受け取ったらしいCCが、僅かに震えた小さな声で退室をつげる。
「いや、いいよ。このままこの部屋にいてかまわない」
 僕の言葉に、CCはうつむいていた顔をパッとあげた。
「いいのですか?」
「ああ、かまわない。ただし、寝るのはソファーだよ」
「ありがとうごさいます!」
 CCは心の底から、安堵したような笑みを浮かべた。

404:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:45:10 moRWPeYD
支援

405:3/8
08/09/14 12:47:31 9/MVErrX
 ソファーで眠らせる。
ルルーシュにとっては、それすらもひどく戸惑うことだろう。
以前のCCなら、ルルーシュに「床で寝ろ」と平然と言い放ち、
ルルーシュが整えたルルーシュのベッドでさっさと寝てしまったのだから。
根本的にフェミニストなルルーシュは、その態度こそ不満に思っても、
実際のところは女性を床に寝かせるくらいなら、自分が床に寝るのをよしとする。
たとえ、翌日、自分の体がボロボロになると判っていても、だ。ましてソファーなら問題ない。
CCが記憶を喪った最初の日に、ルルーシュはそのつもりで
「俺のベッドで寝ろ。寝る前にちゃんと風呂に入るんだぞ」と言ったらしい。
これをCCは勘違いした。

 CCが正確にいつの時代のどのあたりの生まれなのかは判らなかったが、
その仕事の内容から考えて使用人の中でも低い身分だったようだ。
恐らく、賃金を貰えないような下層の。
そんな彼女にとっては、羽毛どころか綿の詰まった布団に寝ることさえ、空恐ろしい出来事だろう。
いや、継ぎや綻びのない清潔で真っ白なシーツというだけで、充分恐ろしかったに違いない。
「もし、これを汚したらどれだけ折檻されることだろう?」
「この布団は自分一人を売ったお金で買えるものなんだろうか?」
 そんな考えが頭に浮かんだに違いない。
だが、そんな身分の彼女でも、ふかふかの布団に寝る事を許される可能性がひとつだけある事をCCは知っていた。



「ほあぁぁぁぁっ!」
「何があった?ゼロ!?」
 ちょっと間抜けなルルーシュの声を聞きつけた僕が、慌てて部屋に入った時見たのは素っ裸のCCだった。
白く美しい肌。女性にのみ許された円やかなライン。手にすっぽりと包み込めそうな胸の隆起。
生まれたままの姿で、手にバスタオルを握りしめ、緊張した面持ちでルルーシュを見つめていたCCは綺麗だった。
「ラ、ライ。こ、これは、その……」
 少しの間、見とれてしまった僕を正気に戻したのは、先程と変わらず、ちょっと間抜けなルルーシュの声だった。
「し、CC!なんて格好で出てくるんだ!ちゃんと服を着ろ!」

406:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:47:50 moRWPeYD
支援

407:4/8
08/09/14 12:54:05 9/MVErrX
 最初は僕に誤解されないかを気にしたルルーシュだが、
すぐに女性の裸を自分と僕が見ているという事態を改善する方が先と切り替えたようだ。
「え、でも、ご主人様……」
「早く!早く服を着るんだ!ライ!いくらCC相手とはいえ、そんな恥ずかしげもなく女性の裸を見てるんじゃない!」
 とはいえ、年齢のわりには奥手過ぎるルルーシュは、口で言うだけで自分から動けないでいた。
仕方がないので、僕がバスローブを取りだし、CCの肩からかけてやった。
便利なルルーシュがいない時、代理としてCCにいいように使われていた僕は、
この部屋の物の位置は全て把握していた。
CCの下着の保管場所どころか、どんな種類をどれだけ所有しているのかまで知っている。
つまり、洗濯させられていたわけだ。
 バスローブをきちんと着せて立ち上がると、CCは困惑した顔で、僕とルルーシュを交互に見つめていた。
「あ、あの、ご主人様。ラ、ライ様もご一緒するんでしょうか?
 そういう場合もあると聞いたことはありますが、私は、は、初めてなので、出来れば最初はご主人様お一人とが……」
「な……っ、何を言っている、CC?」
 ルルーシュの回転の速い頭は、当然、正解を導き出していただろう。
だが、それを認める事は拒否したようだった。
「CC。君が考えているような事をゼロは望んでいないよ?」
「え?でも……」
 CCはチラリとベッドの置いてある奥の部屋を見た。
「CCが一人で寝ていいんだよ?」
「でも、ご主人様は……?」
「俺はこのソファーで眠る。お前は向こうのベッドで一人で眠るんだ」
「……そんな!できません!ご主人様のベッドを私が一人で使うなんて、できません!」
 激しく首を振り、拒否するCCを見て、ルルーシュは驚くばかりだった。
今までのCCとは違いすぎるから、仕方ない部分もあるんだけど、
もう少し何とかならないものかと思ってしまうような態度だ。
「CC。君の新しいご主人様は、女の子には優しいんだ。大丈夫。汚したって破いたって怒らないよ」
「ライ……」
 ルルーシュが不満そうな顔をこちらに向けた。
汚すのは構わないが、破くのは簡単には承知できないと言うところだろうか?
「でも……」
「あ、いや。別にそうなっても怒らない。わざとなら別だが、過失ならしかたない。だから……」

408:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 12:55:17 nUSiVa3j
支援

409:5/8
08/09/14 12:59:32 9/MVErrX
 CCが言い澱むのを聞いて、自分の表情が彼女の不安を煽った事に気付いたルルーシュが、慌てて弁明した。
が、既に遅い。
CCはルルーシュのベッドでは─少なくとも一人では─絶対に寝ないだろう。
そう判断した僕は次善の策をとることにした。
「じゃあ、僕のベッドで寝る?」
「……え?」
「は……っ?」

 ルルーシュの間の抜けた顔を見るのは楽しいと思う。
普段がカッコつけだから、気を許されているのが実感できて嬉しいというのも、少しあるかもしれない。
でも、ルルーシュはプライドが高いからわざとそんな顔をさせるような方向にもっていく事はしないし、
その時だって、別にそういうつもりで言ったわけではなかった。
「お前、……それ、は……」
「誤解してるだろ、ルルーシュ。僕はこっちで寝るよ。ソファー貸してくれるだろ?」
 それで得心がいったルルーシュは、ホッとした顔で応えた。
「あ、ああ。もちろん構わないとも」
「でも……」
「CC。僕のベッドはゼロのに比べたら、小さくて狭いけど、それで我慢してくれる?」
 大した物じゃない。そう思わせるように誘導する。実際、ルルーシュのベッドに比べたら、
僕のベッドは普通のベッドだ。
もちろん、幹部である僕に与えられたものだから、一般隊員のベッドに比べればモノ自体は格段にいいが。
「我慢だなんて、とんでもありません。ここは寒くないし、こんなちゃんとした服があるし、私は床で充分です」
 CCはそれでも固辞した。
確かに彼女の身分なら、隙間風が吹き抜ける部屋の床で寝るのが普通だったかもしれない。
台所の竃の傍や、家畜小屋なら、暖がとれるだけ有難いというところだろう。
今考えるととんでもない状況だが、そういう時代はたしかにあったのだ。
「君のご主人様は、女の子を床で寝かせたくないんだよ」
 こればかりは紛うことなき事実だ。一片の嘘もない。
「でしたら、私がそちらの……ソファー?…で寝ます」
 普段ならルルーシュはこれで納得するはずだ。
そう思い、確認のためにCCから視線を外し、ルルーシュを見た。
だが、今日のルルーシュはどうしてもCCをベッドで寝かせたいらしい。そういう顔をしている。

410:名無しくん、、、好きです。。。
08/09/14 13:01:20 nUSiVa3j
支援!

411:6/8
08/09/14 13:03:04 9/MVErrX
それだけCCが疲れているはずだと思っている、という事だろう。
「……今日だけ、僕のベッドで寝てくれないかな?
 実は、ゼロに報告する事があるんだけど時間がかかりそうな内容なんだ。
 終わる頃には真夜中過ぎになっていると思う。部屋に戻るのも億劫だし、そのまま寝たいんだ」
 夜、部屋を汚さないような灯りを点けるにはとんでもなくお金がかかる。多分、CCはそう認識しているはずだ。
そうまでして話す内容は、重要で緊急性のある事に違いないと思うだろう。
実際は明日でも構わない内容だったが、書類も出来上がったし、その日の中に報告してはいけないという事はない。
「……判りました」
 狙い通り誤解し、納得したCCはその日僕のベッドで眠った。

 しかし、僕にもひとつだけ誤算があった。
それ以来CCは、ルルーシュがいなくて僕がいる時は、僕の部屋に入り浸るようになったのだ。
出入り自由を明言したとは言え、正直に言ってここまで極端になるとは思っていなかった。
僕とルルーシュとしか知らないから不安だった事もあるだろうけど、最大の原因は、多分、灯りだ。
 点灯スイッチの仕組みを理解したCCは、ルルーシュが出かけると灯りを消して、僕の部屋にくるようになった。
うん、まあ、省エネは大事だよね。
特にエナジーフィラーは注意を怠ると行動不能になっちゃうしね。



 そういうわけで、ルルーシュがいない夜は、僕の部屋のソファーで眠るのがCCの習慣となった。
僕としても、今の状態のCCを放っておくのは不安だから、好都合といえば好都合だと言える。
 ただ、精神的には見た目より幼い少女になっているCCは、とても無防備で、
色んな意味でドキドキハラハラさせられるはめに陥った。
ルルーシュほど取り乱しはしないが、健全な青少年としては、喜ぶべきかどうか非常に難しい問題だ。
いつものCCなら、わざとだろうから有り難く拝見させていただくけど、子ども相手だと思うと胸が痛む。

 今晩こっちに来たのは、そういった今までの積み重ねがあっての事だろうけれど、
ルルーシュが居るのにこっちで寝るのは、初日を除けばはじめてだった。
あの日、僕は、ルルーシュの部屋に泊まったから、本当に初めてのパターンだ。
まあ、疚しい事はないからいいんだけど、ルルーシュと何かあったんだろうか?


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