ToHeart2 SS専用スレ ..
87:名無しさんだよもん
07/01/13 23:21:52 DvRzts2Z0
同人作者スレが落ちたね
もはや語ることもないし、仕方ないか
88:Toheart2 るーこSSSS(1/2)
07/01/14 01:31:27 +3shey7+0
るーこが逮捕された。『保護責任者遺棄致死』という長ったらしい容疑で、だ。
どうやらこないだ出てきたミイラ化した男性の遺体にるーこが深くかかわっているらしい。
るーこのやつ、最近学校に来ないと思っていたら人の頭をぽんぽんたたいて
(彼女曰く『シャクティパッド』というらしい)高額な報酬を得ていたようだ。
そんなこんなで最近はテレビでるーこを見ない日はない。テレ東ですら
連日るーこ逮捕の瞬間を流してたりするからことの重大さがわかる人にはわかるだろう。
「はなせ。るーは末期癌患者だぞ。丁重に扱え」
もはや誰もが知ってるこの発言はるーこが逮捕時にした物だ。他にも
「るーはトマト、えび、そば。これ以外には何も食べない。」
「るーはそら豆オンリーしか食べない。」 - 差し入れの「ハンバーグ弁当」を食べながら。
「るーは歯を磨かない、なぜなら口臭がしない。臭くない。」
「るーは風呂に入らない、なぜなら汚くならない。自浄作用がある。」
「るーは24時間、365日起きている。」
「るーは大熊座41番星から光よりはやい光に乗ってやってきた」
89:Toheart2 るーこSSSS(2/2)
07/01/14 01:33:10 +3shey7+0
等等の各種電波発言は「るー」とよばれ本人いわく宇宙に二億存在する「るー」の中のごく一部に過ぎないとのこと。
『女子高生がカルト!!』という題材もさることながらるーこの凛とした顔立ち、そしてその美貌に似合わぬ電波発言に
マスコミが喰らいついた形で報道は加熱の一途をたどりネット上ではファンクラブもできているらしい。
いや、今テレビでやってたんだけどね。
そういえばサイババに指名された「シャクティパット・グル」であると自称するるーこが記者会見で
「サイババはあなたを知らないと言っています」
と記者に追及された時の「それはサイババの勝手であろう?」という返答は
(殺人事件と疑われているなかで不謹慎ながら)記者から笑いが起こっていた。
裁判では『「るー」によるとミイラ化した男性は発見された時点では生きていた。
被害者はドイツ最高裁の判決文に生きていると記載されており、
これが今では「るー」』だと主張するらしい。
るーこ……何があったんだ?
すみません、初めての書き込みです。るーこショート・ショートSS(略してSSSS)、少しでも面白いと思ったら心に留め、
「あそこが悪いここが悪い」といった意見をお願いします。
もれなく作者鬱の特典がつきます。
っていうかこれが処女作って……(つД`)
90:名無しさんだよもん
07/01/14 04:54:17 jBoi1oft0
とりあえず、るーこでやる意味無いね。
せめて本編中のイベントと絡めて欲しかった。(エイプリルフールとか首チョンパとか)
このショート・ショートなら貴明視点である意味もないね。
内容は全部伝聞なんだし。
91:名無しさんだよもん
07/01/14 05:22:22 abKWvau00
原作に対する愛が感じられない…
92:名無しさんだよもん
07/01/14 07:06:34 ioQS0iTJ0
ID:+3shey7+0が悪い
としか
最初コピペ改変かと思った
93:名無しさんだよもん
07/01/14 18:36:55 0yJTPB0Q0
つーか何が何だか判らんぞ。
ミイラは貴明じゃなかったのか。
94:名無しさんだよもん
07/01/14 19:01:26 rXGw760rO
無理に短くする必要ないな
95:河野家にようこそ の作者
07/01/14 19:15:27 hQIEBnXT0
どうもです。只今、第87話を書いてる最中の河野家です。
明日の投稿ですが、都合によりいつもより遅れます。
多分、23時頃になると思います。
96:名無しさんだよもん
07/01/14 21:43:41 +3shey7+0
わーいいっぱい批判が来たぞおーしくしく。
今更言うと昔「ライフスペース」という宗教団体がありました。
そこの高橋グルの言ってた「定説」が結構「るー」っぽい所があり書き始めたものです。
まずはマイナーすぎるといってもいいネタを使った上に
短すぎて何がなんだかわからないと言うのはネタのみに走った自分の公開オ(以下自粛)でしたね。
>>91さん、手厳しい意見ありがとうございます。確かに「愛」を忘れていました。
>>92さん、ごめんなさい。クオリティ低すぎですね。
これに懲りてこれを元にした話は取りやめます。
次以降はネタに走らずまじめに愛を込めて書こうと思いますのでそのときはどうかよろしく。
97:名無しさんだよもん
07/01/14 22:19:44 nmdjEV2c0
話自体が面白ければ、まだ救いがあったが…
例えば、るーこが花梨にインチキ宗教の教祖に祭り上げられて
ドタバタ劇を繰り広げるとかさ
ネタに走るなら、徹底的にやってほしいのです
98:名無しさんだよもん
07/01/14 22:42:56 ly5pFT+L0
>97
よし、書くんだ
99:名無しさんだよもん
07/01/14 23:25:23 nmdjEV2c0
考えてみる
100:名無しさんだよもん
07/01/14 23:40:36 +3shey7+0
どうも、>>97さんの情け容赦の無い愛の言葉に何かに目覚めそうな駆け出しSS作家です。
とりあえず今からるーこへの愛の再確認、ブラインドタッチの練習、
そしてなにより文章力の鍛錬のためToheart2るーこルートを
共通部分からメモ帳に書き写してみようと思います。
と言うわけで百ゲトー?
101:名無しさんだよもん
07/01/15 22:00:10 smSxfrHI0
元ネタ知ってるがだから何?というような意味不明さだな
何がしたかったのかすらわからん
102:名無しさんだよもん
07/01/15 23:08:42 jYdiPH5j0
あれ?今日って月曜だよな?
103:河野家にようこそ 第87話(1/9)
07/01/15 23:09:58 7DB19YY90
由真の心の迷いは、瑠璃ちゃんにはお見通しだった。だけど、迷いがあるのは瑠璃ちゃんも一緒
だったらしい。そんな二人は口論の末、取っ組み合いのケンカを始めてしまった。
騒ぎを聞いて駆けつけるタマ姉たち。重要な部分を瑠璃ちゃんに蹴られて動けない俺の代わりに
二人を止めてくれるのかと思いきや、タマ姉は静観を決め込む。けどそれは正解だったようで、二人
が体力切れで倒れるまで大して時間はかからなかった。ここで仲直りなら花梨の言うとおり一昔前の
熱血スポ根漫画だったのだが、由真も瑠璃ちゃんも生憎そういうノリではない。身体が動かなければ
次はまた口ゲンカ。けどあまりにそれが低レベルで、呆れた俺たちは放っておくことにした。
少ししてから様子を見に行くと、互いに鬱憤を晴らしきったのか、二人は仲直り。そして、由真と
瑠璃ちゃんは自分の気持ちと正直に向き合う。それはつまり、二人の問題はもう解決の一歩前まで
達したということ。けれど瑠璃ちゃんは、この家を出ると由真たちと疎遠になってしまうかと心配
する。そんな瑠璃ちゃんを由真は優しく抱き寄せ、大丈夫だよと励ました。
覗いていたのが由真にばれた俺。由真は俺に、自分たちがこの家から出ることを告げた。
「そう。決心したのね、二人とも」
俺と一緒に居間に行き、由真と瑠璃ちゃんはタマ姉たちにも家に帰ることを告げる。
「由真ちゃんと瑠璃ちゃん、二人が帰っちゃうんだ。寂しいなぁ」
「そんなこと言っちゃダメですよ、花梨さん」
そう花梨をたしなめる優季も、寂しげな顔。
「それであなたたち、いつ帰るの?」
タマ姉に尋ねられ、だけど二人ともそこまでは決めていなかったようで、うーんと考え込む。
「荷物は大した量じゃないからいつでもいいんだけど……」
―ん? 一瞬由真がチラッとこっちを見たような?
「……やっぱ、今すぐ帰ります」
何故か苦笑いの由真。
104:河野家にようこそ 第87話(2/9)
07/01/15 23:10:31 7DB19YY90
「う、うん。ウチも」
瑠璃ちゃんも決心したようだ。
「ええっ、もう帰っちゃうのぉ!? そんな急がなくても、明日でもいいじゃない」
「引き留めるようなことを言うな、うーかり。これは二人の門出だぞ。笑って見送るべきだ」
今度はるーこにたしなめられる花梨。
「分かったわ。ならとりあえず、お家にはあらかじめ電話で知らせておきなさい」
タマ姉に言われ、二人はコクリと肯いた。
由真と瑠璃ちゃん、それぞれ自分の家に電話を掛け、帰ることを知らせる。
由真の場合、
「……あ、おじいちゃん? うん、あたし。
あのさおじいちゃん。あたし、そっちに帰ることにしたから。
……うん、あたしもゴメンね、おじいちゃん。変な意地張っちゃって。……うん、それは会って
から話すよ。
……え、迎えに? い、いいっておじいちゃん! 一人で帰れるから!」
などと断ろうとしたが断り切れなかったようで、結局じいさんが迎えに来ることになった。一方、
瑠璃ちゃんも、
「……あ、さんちゃん? うん、ウチ。
あ、あのなさんちゃん。う、ウチ、えっと……、そ、そっちに帰ることにした。
……うん、え? え、ええって! わざわざ迎えに来んでも……あ、あうぅ」
と、由真同様、珊瑚ちゃんとイルファさんが迎えに来ることになったようだ。
それからしばらくして、夕方。まず迎えに来たのは珊瑚ちゃんとイルファさん。それと、
「何でお前が一緒にいるんだよ?」
105:河野家にようこそ 第87話(3/9)
07/01/15 23:11:13 7DB19YY90
イルファさんのとなりには雄二。別に連絡したワケでもないのに、なにゆえ?
「決まってるだろ、瑠璃ちゃんの荷物を運ぶためだよ。こういうことは男手が必要だからな」
などと格好いい台詞を言いつつイルファさんの方をチラチラと。
何となく事情が掴めてきた。雄二のヤツ、夕飯を食わせてもらおうとまた珊瑚ちゃんの家に行って
たな。で、珊瑚ちゃんたちが瑠璃ちゃんを迎えに行くことになって、イルファさんへの点数稼ぎに
自分も手伝うと言ってついてきた、と。
「雄二様には、その、大丈夫ですからと……」
困り顔のイルファさん。けれど雄二は気にすることなく、瑠璃ちゃんの荷物が入ったバッグ二つを
よいしょと抱える。
「なあ、瑠璃ちゃん」
珊瑚ちゃんは瑠璃ちゃんを見つめ、
「どうして、帰る気になったん?」
すると、瑠璃ちゃんは珊瑚ちゃんから目を逸らさず、
「答え、分かったから」
「答え?」
「うん。―ウチな、ここのみんなのこと、好きや。好きに……なれたんや。
それが答えやと思う。ウチとさんちゃんと、それに、イルファ」
「え!? 瑠璃、様……」
不意に名を呼ばれ、驚くイルファさん。瑠璃ちゃんは穏やかな笑みでイルファさんに、
「イルファのことも、きっと好きになれる。今のウチなら、きっと―」
「瑠璃様!」
―驚いた。それがまず、最初に思ったこと。
いきなり瑠璃ちゃんに抱きついた、イルファさん。
「い、イルファ!?」
106:河野家にようこそ 第87話(4/9)
07/01/15 23:11:47 7DB19YY90
「る、瑠璃様……、瑠璃様……」
「ちょ、ちょお、イルファ恥ずかしいって! みんな見てるやんか!」
顔を真っ赤にする瑠璃ちゃんだが、イルファさんはイヤイヤと離れようとしない。
「あ〜、いっちゃんに先越されたわ〜」
悔しいな〜、などと言うものの、ちっとも悔しそうに見えない珊瑚ちゃんの笑顔。
「瑠璃様、私、私、頑張ります! 頑張って、頑張って、瑠璃様に―」
「あうぅ〜、が、頑張らんでええから。そのまんまでええから、そのまんまで、な」
「は、はい、私、そのままで頑張ります!」
「あ、あうぅ〜」
ははは、打つ手なしって感じだな。けどなんか、見ているこっちまで嬉しい。
「な、なぁ、貴明」
「ん、どうした雄二?」
見ると、雄二は不安げに、
「もしかして、俺の最大のライバルって……」
雄二の視線の先には、抱きついたまま離れないイルファさんと、お手上げ状態の瑠璃ちゃん。
……案外、そうかもな。
「ま、頑張れ、雄二」
肩をポンと叩く。今の俺にはそのくらいしか出来ないのさ。
「ほな、ウチら帰るな」
玄関の前。みんなで瑠璃ちゃんたちを見送る。
「瑠璃ちゃん」
「貴明、なに?」
ありったけの気持ちを込めて、俺は、
107:河野家にようこそ 第87話(5/9)
07/01/15 23:12:24 7DB19YY90
「おめでとう」
「う、うん」
その言葉に瑠璃ちゃんは少し顔を赤くして、コクリと肯く。
「あ、あのな貴明」
「ん、なに、瑠璃ちゃん?」
「その……、お粥また作るって約束……」
「ん? ―あ、ああ、あれ。
いやいや、そんなの全然気にしなくていいって」
空笑いで手を振る俺。すると瑠璃ちゃん、ずいっと近づき、真っ赤な顔で、
「か、風邪ひいたらウチに電話しいや! ちゃんとお粥作りに来たるから!」
る、瑠璃ちゃん……
込み上げる嬉しさ。そして、ちょっぴりの寂しさ―胸が痛い。でも、
「うん」
「瑠璃ちゃん、もうカンペキに貴明のことすきすきすき〜なんやね☆」
「ちゃ、ちゃうもん! そんなんちゃうもん!
さ、さっさと帰るでさんちゃん! ほなみんな、また学校でな!」
慌ただしくそう言い残し、瑠璃ちゃんは珊瑚ちゃんの手を引き、飛び出していった。
―うん、大丈夫。俺はそう確信した。
それから程なく、由真のじいさんもやってきた。
すると由真、じいさんを居間に招き入れ、ソファーに座らせた。そして、
「おじいちゃん、どうぞ」
自分で淹れたお茶をじいさんに勧める。
「う、うむ」
108:河野家にようこそ 第87話(6/9)
07/01/15 23:13:02 7DB19YY90
面食らいつつも、茶碗を手に取るじいさん。そして、一口。
「―ほう」
「どう、おじいちゃん?」
少し不安げにそう尋ねる由真。すると、
「まだまだじゃな」
「え、ウソ? ちゃんと淹れたんだけどなぁ」
その評価にやや不満そうな由真。
「茶の湯が熱すぎる。それに、味が薄い。
沸騰した湯を急須に入れ、すぐに茶碗に注いだな。これではせっかくの茶葉が台無しじゃ」
おお、さすがじいさん。執事だけあってお茶にはうるさいな。
「お茶の淹れ方はちゃんと教えていなかったわね。
申し訳ありません長瀬さん。私の監督不行届です」
そう言ってタマ姉が頭を下げる。
「ああいやいや、向坂さんが頭を下げることではありません。単に孫が不勉強なだけですじゃ」
「あ、その言い方ひどーい。
あたし、これでも色々と勉強したんだよ。料理とか洗濯とか掃除とか」
「ほっ、どの程度のものやら」
馬鹿にしたような笑みのじいさん。すると由真、
「むむむ……なら、証明してやるわよ! ちょっと待ってなさい!」
と、息巻いてキッチンへ。何か料理を作るつもりらしい。
「な、なんかおかしな展開になってきたな。
俺、てっきり由真とじいさん、すんなり仲良く家に帰るって思ってたんだけど」
「お茶がいけなかったんでしょう。多分由真、自分の成長を見てもらいたくてお茶を淹れたんだろう
けど、相手が執事じゃ、ねえ」
109:河野家にようこそ 第87話(7/9)
07/01/15 23:13:43 7DB19YY90
苦笑いのタマ姉。
「ヤヲイさんにフェルミのパラドックスについて語るようなもんだよね」
全く意味不明な花梨のたとえ話。
「優季のお茶なら満足してもらえるでしょうけど、ね」
「え!? わ、私、そんな、執事さんにお茶だなんてとても!」
慌てまくりの優季。
「茶なら、るーも得意だぞ」
胸を張るるーこ、だが……
以前見た、るーこのパフォーマンス的なお茶淹れ。執事さん相手にあれは、どうよ?
「はい、お待たせ!」
それから約10分後。由真がじいさんに差し出したのは―卵焼きだった。
「ほほう。では」
箸を取り、一口。―じいさんは目を閉じ、モグモグと咀嚼し、飲み込んだ。
「ど、どう、おじいちゃん?」
おずおずと尋ねる由真。だがじいさんは何も答えず、二切れ目の卵焼きを取り、食べる。
そのまま何も言わず、次々と卵焼きを口に運ぶじいさん。そして全て食べ終え、箸を置き、心配
そうな由真の顔を見て、
「由真」
「な、なに?」
「わしはな、塩味の方が、好みじゃぞ」
……全部食っておいて、それかよ。思わず笑いそうになる。
「な、な、なによ! と、年寄りは塩分控えなきゃダメじゃない!」
「糖分の摂りすぎも、な」
110:河野家にようこそ 第87話(8/9)
07/01/15 23:14:22 7DB19YY90
「な、なら、全部食べてんじゃないわよ!」
「ふむ」
するとじいさん、顔を横に向け、あごひげをいじりながら、
「いや、なかなかじゃったから、つい、の」
「え……」
呆然とする由真。でも、
「―うん!」
最高の笑顔。―よかったな、由真。
家に帰る由真とじいさんを、玄関まで見送る。
「じゃあみんな、今までありがとう」
「うん、元気でね、由真ちゃん」
花梨の目がウルウル。
「いやだな花梨。明日学校で会えるじゃない」
「う、うん。そうだね」
「向坂さん、それに皆さん。今まで孫の面倒を見てくださって、本当に、有り難うございました」
改まって頭を下げるじいさん。つられて俺たちも「いえいえ」などと言いつつ頭を下げる。
「環さん、これからも色々教わってもいいですか?」
「ええ」
「るーこ、勝負はまだついちゃいないからね」
「無論だぞうーゆま。るーはいつでも勝負に応じるぞ。家に帰ったからと言って怠けるな」
るーこの言葉に不敵な笑顔で肯く由真。
「花梨、あんたもさ、料理とか頑張んなよ」
「うん」
111:河野家にようこそ 第87話(9/9)
07/01/15 23:14:59 7DB19YY90
「それから―優季。えっと……、今のうちに謝っておく。ゴメン」
「え?」
「たかあき」
「ん?」
「あたしがいなくなって、寂しくなるだろうけど、我慢しなさいよね。
環さんや優季たちに甘えるくらいなら許してあげるから。それからさ」
何か言い返そうとする前に由真は俺に近づき、耳元に、
「もう分かってると思うけど、あたしがあの時貴明に告白したの、あれはナシにして」
「ああ、分かってるよ」
「その代わり―」
ちゅっ。
頬への、軽いキス。
「これ、お詫び」
そう言ってすぐ離れる由真。
「な!? ちょ、由真さん!?」
優季が驚きの声を上げる。って言うか俺もビックリだよ!?
「あははっ、だからさっき謝ったじゃない、ゴメンって。
じゃ、たかあき、みんな、また明日、学校でね!!」
愕然とするじいさんの手を引き、由真は振り向かず、家を飛び出していった。
俺は―胸がドキドキして、何も言えなかった。
つづく。
112:河野家にようこそ の作者
07/01/15 23:15:41 7DB19YY90
どうもです。第87話です。
今回、投稿の時間がいつもより遅れてしまいましたが、もしかしたら今後も時間が遅れる、
あるいは次の日に投稿、なんてことになるかもしれません。
その時はゴメンなさい。m(_ _)m
113:名無しさんだよもん
07/01/15 23:57:21 /FevqWb40
>>112
乙
114:名無しさんだよもん
07/01/15 23:58:11 AYbF3Qgb0
>>112
乙です。
115:名無しさんだよもん
07/01/16 01:13:47 szz+4TOw0
>>112
乙でした
個人的には良い占め方でホッとしました♪
116:名無しさんだよもん
07/01/16 18:49:22 Gyl81lzW0
>>112乙
草壁さん…先越されてばっかだな。一番に本格的なアタックをかましてきたはずだったのに
117:名無しさんだよもん
07/01/16 22:00:55 9UqTP+FjO
>>112
乙
他の人はどうするんかな
そういやるーこって何で貴明の家に来たんだっけ?
118:名無しさんだよもん
07/01/16 22:30:33 G+KvMFiF0
>>117
住処だった公園が閉鎖され、行き場がなくなったから。
119:名無しさんだよもん
07/01/16 22:31:43 T17AU6bQ0
>>117
るーこが根城にしてた公園が工事中のため。
由真と瑠璃が帰ったいま、よんどころない理由で
河野家にいるのはるーこだけなんだよな。
120:名無しさんだよもん
07/01/17 02:07:42 vr/BhSdx0
ここで作者の人が「…そうでしたっけ?」
121:お風呂の中で温めて 1/10
07/01/18 20:45:14 lcizrTqr0
「だぁぁぁぁーっ!!」
季節外れのにわか雨に、俺は慌ててマンションに駆け込む。
学校を出た時には晴れていたのに、ちょっと曇ってきたかなと思っていると、駅前に出
る頃にはバケツをひっくり返したような雨になっていた。
もちろん傘なんて持っていなかったし、お陰で靴も制服もびしょ濡れだ。こんなことな
らコンビニにでも寄って、傘を買えばよかった。
けれど後悔は先に立たず、エレベーターに乗っている間もぽたぽたと床に水が滴り落ち
ていくのを我慢する羽目になっている。
体なんかもう冷え切ってしまって、空調のきいているマンションの中に居るはずなのに
震えが停まらない。腕を組んで、足踏みをしながら何とか体を温めようとしていると、よ
うやくエレベーターが珊瑚ちゃんの部屋のある階に着いてくれた。
扉の鍵を開けようとするんだけど、手が震えてなかなか開いてくれない。ロックが外れ
る音がした時には、本気で救われたような気持ちになった。
「た、ただいま!!」
122:お風呂の中で温めて 2/10
07/01/18 20:46:18 lcizrTqr0
挨拶もそこそこに、家の中に入る。まずはこの濡れた服を着替えようと部屋に入ろうと
して、自分がずぶ濡れで、今だって廊下に水溜りを作りながら歩いていることを思い出し
た。
「ま、まずい」
慌てて洗面所に向かうと、とりあえず上着もズボンも脱いで下着だけになる。下着も完
全に濡れてしまっているけど、服のまま家の中を歩き回るよりはマシだろう。ちょっと恥
ずかしい気もするけど、家の中、今誰もいないみたいだし・・・・・・そういえば、イル
ファさんどうしたんだろう。いつもなら、玄関まで出迎えにきてくれるのに。
どこかに買い物にでも行ったのかな? この雨に濡れてなきゃいいんだけど。
「へっくしゅん!」
123:お風呂の中で温めて 3/10
07/01/18 20:47:36 lcizrTqr0
ううぅっ、さむっ。このままじゃ風邪をひいちゃいそうだ。
部屋にもどると、急いで服を着替える。下着も乾いた物に取り替えると、ようやく一息
つけた気がする。リビングも暖房のお陰で、大分暖かくなっていて。
あれ、俺、いつの間にエアコン付けていたっけ?
けれど服を着替えて落ち着くことが出来たのも、ほんの一瞬のことで。一度冷え切って
しまった体はなかなか温まってくれない。温風の前に立っていても、歯の根がかみ合わな
い。
牛乳でも温めて飲もうか、それともベッドの中に入ってしまおうか。問題は、どちらも
今すぐに体が温まるわけじゃないんだよなぁ。
「あ、そうだ。お風呂」
なんで思いつかなかったのか。シャワーを浴びよう。お湯をうんと熱くして。
そうと決まれば善は急げだ。
一緒にお風呂も沸かしておいてあげよう。イルファさんや珊瑚ちゃんが帰ってきたら、
すぐに入れるように。
雨はまだ降り止まないようで、脱衣所にいても激しい雨音が聞こえてくる。後で、迎え
に行ってあげた方が良いかもしれない。多分、イルファさんは商店街だろうし、二人も今頃、研究所からバスに乗って帰ってきている途中だろう。
ただその前に、自分のことを何とかしなきゃ。このままじゃ3人を迎えに行くどころか、
俺が風邪で倒れてしまう。
124:お風呂の中で温めて 4/10
07/01/18 20:48:36 lcizrTqr0
でも、本当にすごい雨だな。雨音なんて、まるで隣の部屋に雨が降ってるみたいだ。
「え・・・・・・?」
「あ・・・・・・ひゃ─ぁぁぁぁ」
お風呂場の扉を開けると、なぜかイルファさんがシャワーを浴びていた。なんで? ど
うして?
とりあえず
「ご、ごめん」
慌てて扉を閉める。
そうすると、とりあえずシャワーの音だけは小さくなって。ああ、雨音だと思っていた
の、シャワーの音だったんだ。イルファさんの。
イルファさん、驚いた顔してたなぁ。ばっちり、目が合っちゃったし。
何も、服来てなかったし。当然だけど。
前にもこんなこと、あったよなぁ。
125:お風呂の中で温めて 5/10
07/01/18 20:50:13 lcizrTqr0
「あの・・・・・・」
「あ、その、イルファさん、ごめん。イルファさんが先に入ってたの、気が付かなくて」
お風呂場の扉の陰から、イルファさんの顔が覗いている。曇りガラスの向こうにイル
ファさんのシルエットが浮かんでいて、いけないとはわかっているのに、どうしても今
さっきうっかり見てしまったイルファさんの裸を思い浮かべてしまう。
シルエットだけ、っていうのが、かえってこう想像を掻き立ててしまうと言うか。
「いえ、それは構わない、訳ではないですけれど。貴明さんになら。で、でも見て良いと
は言ってませんからね。次からはちゃんと、確認してください」
「うん、ごめん。気をつけるよ」
ほんと、気をつけないとなぁ。
「ところで。貴明さん、お風呂、入りに来たのではないんですか?」
「あ、うん。そのつもりだったけど、イルファさんが入ってるのなら後にするよ」
126:名無しさんだよもん
07/01/18 20:53:32 FVjOioll0
支援?
127:お風呂の中で温めて 6/10
07/01/18 20:56:54 lcizrTqr0
そう言ったとたん、大きなくしゃみが出た。
そう言えば、シャワーを浴びるのに裸になってるし、今だって無意識のうちに足を動
かしてしまっている。
「もう。それでは風邪を引いてしまいますよ。さぁ、どうぞ入ってください」
イルファさんがお風呂場の扉を引いてくれる。
確かにこのままリビングに戻っても、寒いままだし。申し訳ないような気もするし、
ちょっと恥ずかしいんだけど、ここは素直に行為に甘えさせてもらおう。
お風呂場の中に入ると、もう既に湯船にはお湯が張られていた。
「ひどい雨でしたし、貴明さんたちがお帰りになられたら入られると思いまして」
そう言うと、イルファさんは腕をお湯の中に入れて温度を測っている。
いつもだったらその背中だとか、あといろいろ。後姿を目で追ってしまっていたかも
しれないけれど、今日はそれどころじゃない。湯気の立つ湯船の中に、早く飛び込んで
しまいたくて。
「ちょうど良いみたいですね」
128:お風呂の中で温めて 7/10
07/01/18 20:57:48 lcizrTqr0
洗面器にお湯を汲んで体に掛けると、体が冷えている分、まるで焼けどでもしてしま
いそうなくらい熱かった。
ただ、湯船の中に浸かっても、体の表面はそれこそ痛いくらい熱いのに、なかなか体
の中の方まで温まってくれない。ちょっと、体が冷えすぎたみたいだ。
「お湯の温度、もう少し上げた方がよろしいでしょうか?」
「いや、これくらいでちょうど良いよ。もう少し入ってたら、温まると思うし」
お陰でイルファさんにまで心配されてしまって。本当に、傘くらい買えばよかったな。
と、イルファさんも湯船の中に入ってくる。
上がった水面に、俺はちょっとだけ体を引いた。
イルファさんと一緒にお風呂に入ることなんて、別に今回が初めてって訳じゃないけ
ど。でもいつもだったら珊瑚ちゃんたちも一緒にいたし。それに、あらためて、恥ずか
しそうに前を隠してお風呂に入ろうとするイルファさんなんかを見てしまうと、どうに
も今、自分が照れくさいことをしているんだって言う気分になってしまう。
「イルファさん、どうかした?」
129:名無しさんだよもん
07/01/18 20:59:10 OxKMCbNs0
紫煙
130:お風呂の中で温めて 8/10
07/01/18 21:00:08 lcizrTqr0
しかも、イルファさんは俺のすぐ隣に座って。それどころか、水面に立った波はだん
だんと俺の方に近づいてきて。
「もう、こんなに体を冷やしてしまって。風邪を引かれたらどうするんです」
お湯の中にいても、肌に触れるイルファさんの体温が気持ちいい。
「貴明さんが風邪を引いてしまったら、私だけではなく、瑠璃様も、珊瑚様も。とても
心配するんですから」
「えっと、うん、ゴメン。次からはちゃんと傘、買うことにするよ」
怒ったように言われてしまって。どうもイルファさんを心配させてしまったみたいだ。
よっぽど、俺は寒そうにしているらしい。
それでもようやく、お風呂に入って、それにイルファさんから伝わってくる温もりの
お陰だろう。体の震えも収まってくれた。
「貴明さん。お願いが、あるのですけれど」
「何?」
131:お風呂の中で温めて 9/10
07/01/18 21:01:06 lcizrTqr0
「あの、実は私も、この雨に当たってしまっていて。それだけなら良かったのですが、
帰る途中に、トラックに水をかけられてしまって。それでさっきも、シャワーを浴びて
いて」
そうして、ちょっと恥ずかしそうに俺のことを見て。
「私のことも、温めていただけますか?」
俺がイルファさんの肩に腕を回すと、イルファさんも、俺の胸の方に体を寄せてくれ
た。
『ただいまー。あ、瑠璃ちゃん、貴明もいっちゃんももう帰っとるよ』
『さんちゃん、そんなことよりも早く服着替えな。風邪引いてまうよ』
132:お風呂の中で温めて 10/10
07/01/18 21:02:21 lcizrTqr0
玄関のドアが開いて、珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんの賑やかな声が聞こえてきた。お風呂
に入ってるだけなお陰で、二人の声がここまで聞こえてくる。
この様子だと、二人もにわか雨に濡れてしまったようだ。
俺はイルファさんと顔を見合わせると。イルファさんも、同じことを考えたらしい。
二人で声をひそめて笑いあうと、お互いの体から離れる。もう、十分暖めてもらった
から。
イルファさんは湯船から上がると、お風呂場の扉を開けて。
「瑠璃様、珊瑚様。お風呂が沸いていますよ。一緒に、温まりませんか?」
終
133:お風呂の中で温めて あとがき
07/01/18 21:05:40 lcizrTqr0
支援ありがとうございました。
また風呂ネタで、よほど僕はイルファさんとお風呂に入りたいらしい。
134:名無しさんだよもん
07/01/18 22:29:35 FVjOioll0
>>133
乙乙
お風呂の中で暖めあうって何をする気だったんだ(*゚∀゚)=3
135:名無しさんだよもん
07/01/19 00:37:31 yzGqtxx20
>>133
乙
俺も温まった
136:名無しさんだよもん
07/01/19 13:55:52 l8QlgVcC0
>>133
乙
このあと四人であったまるワケか
……個人的な意見なんだが、「・」を幾つも並べるんじゃなくて、「…」使ってくれた方が読みやすいかも
中黒だとそこだけ太字にしたみたいに見える
勿論スルーしてくれておkだが
137:河野家にようこそ 第88話(1/9)
07/01/22 20:47:11 Yf/CvhT30
自分の家に帰ることを決めた由真と瑠璃ちゃん。それぞれ家に電話をし、由真はじいさんが、瑠璃
ちゃんは珊瑚ちゃんとイルファさんが迎えに来ることになった。
先に来たのは珊瑚ちゃんたち。瑠璃ちゃんは珊瑚ちゃんに、自分は河野家メンバーズのみんなが
好きなこと。そしてそれが答えなんだと告げる。珊瑚ちゃん以外を好きになれた瑠璃ちゃんなら、
イルファさんとだってきっとうまくいく。ここに、姫百合姉妹のケンカは無事終結した。
帰り際、瑠璃ちゃんは俺に、また風邪を引いたらお粥を作りに来ると約束してくれた。―俺には、
その気持ちだけでも充分嬉しくて、だから、ほんの少しの寂しさは押し殺した。
続いて由真を迎えに来たじいさん。そのじいさんにお茶を勧める由真。だが相手は執事。じいさん
から容赦ないお茶のダメ出しを食らい、ならばと由真は、卵焼きを作ってみせる。それを食べたじい
さん、塩味の方が好みだとか言いながらもキッチリ残さず食べ、由真は大喜びだった。
玄関前で由真を見送る俺たち。タマ姉たちと別れの言葉を交わし、けど何故か優季にはいきなり
ゴメンと謝る由真。すると由真、俺に告白したことはナシにしてくれと言い、それに同意した途端、
俺の頬にキスしやがった! あ、あいつ、何て置きみやげを……
由真と瑠璃ちゃんがいなくなったことで、部屋割りを変えることとなった。
今まで由真と一緒に俺の部屋を使っていた優季が、瑠璃ちゃんの代わりにタマ姉との相部屋になり、
結果、俺はやっと自分の部屋を取り戻せたのだ。
「ああ……またベッドで寝られる……」
「なんだか凄く嬉しそうね」
感慨に耽る俺にタマ姉が苦笑する。
「やっぱさぁ、この間の風邪のときに思ったんだけど、人間寝るときはベッドか布団だよ。
ソファーも慣れると寝られないこともないけど、寝心地が違うんだよね、うん」
その寝心地を確かめようと、俺はベッドへと―
「まだダメよ」
138:河野家にようこそ 第88話(2/9)
07/01/22 20:47:46 Yf/CvhT30
タマ姉に首根っこを掴まれた。なにゆえですか?
「シーツと枕カバーを取り替えるから、その後でね」
「いや、別にそのままでも」
「それはダメ。私が由真に怒られるわ」
何故そこで由真の名が? ―ああ、由真が今までこのベッド使ってたってことか。
そして、真夜中。俺は今、自分の部屋のベッドに横になっている。
けれど、なかなか寝付けない俺。自分の部屋なのに、妙に落ち着かない感じがするのだ。
由真と優季が長らく使っていたせいだろうか。この部屋、妙に女の子っぽい匂いが……
特にベッド。シーツとかは新しいのに変えてもらったけど、それでも何となく由真の匂いが……
って、俺、なんかヘンタイっぽいな。いかんいかん。
そう言えば由真と瑠璃ちゃん、今頃どうしているかなぁ。瑠璃ちゃんは珊瑚ちゃんと一緒に寝る
だろうからいいとして、由真、自分の部屋に独りぼっちで、寂しくて泣いてたりしてな。で、あまり
に寂しくて思わず、お父さんとお母さんの部屋に一緒に寝ようって行ってたりして。ププッ。
などと色々考えているうち、いつの間にか寝付いていた俺だった。
翌日。月曜日の朝。校門の前で―
「おっはよ〜!」
「どわっ!?」
ザザーッ!
目の前にいきなり、MTBに乗った由真が急ターンで止まる。
「あ、危ないだろうが!」
「大丈夫よ、ちゃんと計算通りだから」
それはつまり、俺を脅かすのも計算の内ってことか。
139:河野家にようこそ 第88話(3/9)
07/01/22 20:48:27 Yf/CvhT30
「おはよう由真」
「あ、おはようございます環さん! みんなもおはよう!」
朝っぱらからやけにハイテンションだな、由真。
「うわ〜っ! 由真ちゃんその自転車格好いいね!」
「MTBって呼んでよ。どう、花梨も乗ってみる?」
「うん!」
意気揚々と由真と交代し、MTBにまたがる花梨。
「わ、わ、何コレ、ふにゃふにゃするよ!?」
「前後サス付きだからね〜」
「わ、何か面白いかも! よ〜し」
すると花梨、いきなりペダルをこぎ出し、
「笹森花梨、いっきまーす!」
「ってドコ行くのよ花梨〜!?」
何故か校庭に向かって走り出す花梨と、慌てて追いかける由真。
「とりあえず元気そうね、由真」
タマ姉が微笑む。
「ああ」
じいさんと仲直りしたし、あの様子だと両親にもキチンと謝って許してもらえたのだろう。
「ま、よかったよかったってトコだな」
「……あまりよくありません」
不機嫌そうにこっちを見る優季。あの不意打ちキスのせいで昨日からこっち、優季はずっと不機嫌
だったりする。―正直、困ってます。
「おはようございます」
「おはよ」
140:河野家にようこそ 第88話(4/9)
07/01/22 20:49:31 Yf/CvhT30
「おはよーさん」
「おはよう」
「はよーっす」
愛佳、郁乃と、珊瑚ちゃんに瑠璃ちゃん、それと雄二。
「おはよう瑠璃ちゃん。久しぶりの我が家はどうだった?」
俺がそう尋ねると、
「……」
瑠璃ちゃんは何故かむくれ顔で俺を睨む。……え、俺、ヘンなこと聞いちゃった?
「瑠璃ちゃん、ヤキモチ妬いてるねん」
「な!? 何言い出すのさんちゃん!!」
姉の爆弾発言に驚く妹。や、ヤキモチ?
「ヤキモチって、どうかしたの、瑠璃ちゃん?」
「あ、あうぅ……」
このみの質問に、真っ赤な顔で頭を抱える瑠璃ちゃん。
「ヤキモチ、ねぇ」
郁乃、何故ニヤニヤ笑いながら俺を見る?
「ちゃ、ちゃうもん! 貴明関係ないもーん!」
瑠璃ちゃんの大声にみんなが振り返り、たちまち俺たちは注目の的。……いや、もう慣れたけどさ。
「あんな、昨日、花梨から電話あったんや」
「電話?」
と、見るも花梨は未だ校庭をMTBで暴走中。―おいおい、由真のヤツ、止めるどころか後ろに
乗っかって、何やら花梨を煽ってるぞ。
「由真と貴明がちゅーしたって。それ聞いて瑠璃ちゃんカンカンに怒ってるんや〜☆」
「お、お、怒ってなんかないもーんっ!!」
141:河野家にようこそ 第88話(5/9)
07/01/22 20:50:20 Yf/CvhT30
げ、花梨のヤツそんなこと密告しやがったのか!? って言うか微妙に間違ってるぞ、由真と俺
じゃなくて由真が俺の頬に―
「あ、あの、あたしの家にも連絡ありました、それ……」
ま、愛佳の家にも!? って言うか何故それを連絡しまくるのかなあのミステリさんは!?
「あ、いや、その……な。ま、愛佳も珊瑚ちゃんも誤解しないでほしいんだけど、ちゅーをしてきた
のは由真の方で―」
「うわ、格好悪。言い訳してるし」
郁乃の視線がマジで冷たい。
「―ねぇ、タカくん」
「ん?」
背後からこのみの声、それに振り返るより早く、
ぎゅ〜っ!
「ぐえぇ!? ぐ、ぐるじい……」
俺の首にしがみつき、このみは、
「わたし、そんな話、聞いてないよ」
な、何か声が怖いんですけど!?
「そう言えば花梨さん、このみちゃんには連絡してなかったですよね」
「多分、今朝伝えるつもりだったのを忘れてしまったんじゃないかしら。昨日、その方がサプライズ
性が高くて面白いとか言ってた気がするわ」
ちゅ、中途半端に忘れやがって、花梨のヤツ……!
キーンコーンカーンコーン。
「あ、予鈴」
142:河野家にようこそ 第88話(6/9)
07/01/22 20:51:03 Yf/CvhT30
その音でパッと手を放すこのみ。
「タカくん、さっきの話、後でちゃんと聞かせてね。
さ、行こ、郁乃ちゃん、瑠璃ちゃん、珊瑚ちゃん」
郁乃の車椅子を愛佳の代わりに押し、先に歩いていくこのみ。あ、後で、ね……
「たかあきくん、あたしたちも」
愛佳に急かされたので俺たちも校舎に―って、
「……」
一人、その場に立ちつくするーこ。空を―いや、校舎の一角を見上げている。
「るーこ、どうした?」
だけど、るーこは何も答えない。じっと、同じ所を見たままだ。
気になったので俺もるーこの見ている方向を目で追う。……ええと、よく分からないなぁ。一体
るーこは何を見て―
キーンコーンカーンコー……ザザッ。
ん、予鈴にノイズが混じったぞ。スピーカーの故障か? まぁそんな大して気にすることじゃ―
「―来た」
るーこの、呟き。
思わず振り返る。そして、
「るーこ、どうした?」
もう一度、同じことを尋ねる。すると今度は、
「―何でもないぞ、うー」
そう答えるが、るーこの表情からは何かに驚いてるような感じを受ける。
「本当に何でもないのか? さっきお前、確か『来た』って―」
143:河野家にようこそ 第88話(7/9)
07/01/22 20:51:50 Yf/CvhT30
「本当に何でもないぞ。
それより急げ、うー。このままだと授業に遅れるぞ」
俺から目をそらし、るーこは駆けだした。
ちなみに、校庭を暴走していた花梨と由真だが、その後駆けつけた先生たちに捕まり、散々お説教
された挙げ句、罰として一週間、学校中の草むしりを命じられたそうな。
その夜。
しつこいけどソファーなんかより寝心地満点なベッドでウトウトしかけた時、
「起きろ、うー」
「……ん?」
いつの間にか、俺の部屋にるーこがいた。
「話し相手になれ、うー」
俺の目の前にぺたんと座るるーこ。
「ん〜、話なら明日でもいいだろ。もう寝かせてくれよ」
「ダメだ。今、話し相手になれ」
なんだ? るーこのヤツ、いやに強情だな。
……ま、少しの時間なら、いいか。
「分かったよ。けど、長話は勘弁だからな」
ベッドから身を起こすと、るーこは何故かまた立ち上がり、
すとん。
俺の横に腰掛けた。―やけに距離が近いんですけど。肩密着してるし。
「で、何を話そうか?」
俺がそう尋ねると、るーこは、
144:河野家にようこそ 第88話(8/9)
07/01/22 20:52:40 Yf/CvhT30
「うーは今、寂しいか?」
「寂しい?」
「そうだ。うーゆまとうーるりがこの家からいなくなって、寂しいか?」
寂しい、かぁ。うーん……
「まぁ、なぁ」
頭をポリポリかきながら、俺は、
「朝はそんなでもなかったけど、夕飯のとき、いつもより人数が少ないのはちょっと静かだなって
思ったかな。今日はこのみも来なかったし。でも」
夕食の光景を思い出し、俺は、
「その分花梨が賑やかだったし、うちにはまだるーこたちもいるからなぁ」
特に花梨はいつも異常にうるさかったな。自分たちが草むしりしてるのに先に帰るなんて薄情だ
とか何とか。自業自得でしょうが。
「それに、由真も瑠璃ちゃんも、学校で会えるしな。あまり寂しいって気がしないんだよ」
「そうか」
るーこは足下を見ながら、
「るーは、……寂しいぞ」
「るーこ?」
その声は、本当に、寂しげで。
……思えば、故郷の家族と会うことすら出来ないるーこにとって、我が家で一緒に暮らしてきた
由真や瑠璃ちゃんは、るーこにとって家族の代わり、いや、家族そのものだったのかもしれない。
その家族が家から去っていったのだ。どれほど喜ばしいことであろうとも、それはるーこにとっては
寂しい以外の何者でもない、と言うこと、か……。
るーこを何とか励ましてやりたい。……意を決し俺は、るーこの肩に手を置いて、
「うー?」
145:河野家にようこそ 第88話(9/9)
07/01/22 20:53:20 Yf/CvhT30
驚き、こっちを見るるーこ。顔が熱くなるのを自覚しつつ、俺は、
「あ、あのなるーこ、その、上手く言えないんだけどさ、この家にはまだ花梨だって、優季だって、
タマ姉だって」
肩に置いた手に少しだけ力を入れ、
「俺だって、いるんだから、な」
「うー……」
じっと、俺を見つめるるーこ。―な、なんか凄い心臓がドキドキしてる。
「うー、それなら」
るーこは、
「もし、るーがこの家を離れたら、うーは寂しいか?」
―え?
「る、るーこ、それってもしかして」
朝のことと関係あるのか? そう言いかけ、けれど、不安で言葉に詰まる。まさか、るーこ……
「―冗談だ」
「は?」
「うーをからかっただけだ。気にするな」
「じょ、冗談? な、なぁるーこ、それって本当に冗談なのか?」
するとるーこはすっくと立ち上がり、そのままてくてくとドアの方へ、そしてくるりと振り返ると、
「大丈夫だ、うーは寂しがりやだな。心配するな」
優しい笑みを浮かべた。
つづく。
146:河野家にようこそ の作者
07/01/22 20:53:57 Yf/CvhT30
どうもです。第88話です。
るーこの番です。
多分、るーこ編は次回で終わると思います。
147:名無しさんだよもん
07/01/22 21:39:03 W5bzAH500
乙です><
148:名無しさんだよもん
07/01/22 21:52:05 dIsUHi3V0
Zです><
149:名無しさんだよもん
07/01/23 00:32:46 epX+bP4d0
2です><
じゃない。 久しぶりに、河野家喜多ーーー!!!
しばらく忙しくて読めなかった間に、シリアスにまとめに入ってますね^^;
しかも、この流れだと、るーこは、、、
なんか、来週はお涙頂戴の展開になりそうな悪寒。
せめて、公園の改修工事が終わるぐらいで済めばいいのですが。
150:名無しさんだよもん
07/01/23 02:26:37 C+azj+S2O
Ζです。
るーこが出ていくと、るーこの調査目的?で住み着いた黄色の人も出ていきそう。
151:名無しさんだよもん
07/01/23 15:27:48 yGNs/erVO
閉鎖されたら河野家の続きが…
葉鍵は大丈夫なんだっけ?
152:名無しさんだよもん
07/01/23 16:58:18 jj/9gHNx0
>>150
というか他の方の理由を思い出してみよう。
もう雪崩れ式に・・
153:名無しさんだよもん
07/01/23 18:08:36 epX+bP4d0
第88話の時点で残っているキャラだと、古い順に
・タマ姉…元々は由真への対抗のため、転じて保護者役
・るーこ…寝泊りしていた公園が改修工事(?)
・花梨…るーこの監視役
・優季…貴明が好きなので
でしたっけ? うろ覚えですけど。
るーこ&花梨が河野家を出れば、実質的に優季も
河野家に残る理由がなくなりますね。
タマ姉は最後の一人と一緒に河野家を出るはずだし。
ということは、最後の勝者は、一番近くに住んでるこのみか。
154:名無しさんだよもん
07/01/24 01:08:53 zk83vB660
いや、そこで伏兵よっち&ちゃるの出番ですよ?
155:名無しさんだよもん
07/01/24 16:38:36 WUKv4//F0
春夏さんを忘れちゃ困るんだぜ?
156:名無しさんだよもん
07/01/24 18:30:01 NZYFsMoKO
大穴で菜々子ちゃんに一票
157:名無しさんだよもん
07/01/24 19:46:24 UzfAOGK80
誰か一人忘れているような気がする
158:153
07/01/24 20:59:26 um2L3Qrs0
>>157
そこで、ゲンジマルだっ!
というか、何?この流れ?w
159:名無しさんだよもん
07/01/25 07:48:50 xHFzWJb40
>>157にすら忘れられた郁乃に幸あれ。
160:名無しさんだよもん
07/01/25 07:52:50 SuG/XC6ZO
お前らささらを忘れるなw
161:名無しさんだよもん
07/01/25 14:11:50 z/U63FG10
まーりゃん先輩が乱入じゃないのか?
162:名無しさんだよもん
07/01/25 20:35:37 kLWyGEgR0
PS2準拠だからささらとまーりゃん先輩は最初からいないだろ。
163:名無しさんだよもん
07/01/25 20:45:26 PNC0gd700
全員還ってふと見たらベッドにクマ吉が置いてあるんですよ
164:名無しさんだよもん
07/01/27 02:17:58 IqmpDtHnO
なんだその大穴エンド
165:名無しさんだよもん
07/01/27 15:35:25 pWJEdz//0
桜の群像マダー??
166:名無しさんだよもん
07/01/28 15:47:09 RulPm5H20
書庫で桜の群像読んでたらいきなりダニエルが出てきて吹いたw
167:名無しさんだよもん
07/01/28 22:42:40 1r6Mj+0N0
>165
また停まってました(汗)。とりあえず第12話は来週の今頃くらいまでには投下したいです
全22話くらいになりそうで、AD発売前に終わ…延期しまくりそうだから大丈夫かなw
168:名無しさんだよもん
07/01/29 01:18:55 Q3W0ORzvO
>>167
のんびり待ってますー
最近SSめっきり減ってるから尚更楽しみにしてます
玲於奈かわいいよ玲於奈
169:名無しさんだよもん
07/01/29 06:11:44 zGCCEb6J0
んじゃ便乗して、やゆよマダー??
170:河野家にようこそ 第89話(1/9)
07/01/29 20:49:02 POkEAnfY0
由真と瑠璃ちゃんが我が家を去ったのは、正直言うと寂しい。けどそのおかげで俺は自分の部屋を
取り戻せたワケで。けれどベッドからは由真の残り香が……こう言うと何かエッチっぽいな。
翌朝。MTBに乗って現れた由真はやけにハイテンション。家族と仲直り出来たようでよかったね、
などと思っていたら、逆に朝から不機嫌な瑠璃ちゃん。昨日、俺が由真に不意打ちキスをされたこと
は、花梨によって瑠璃ちゃんや愛佳たちにも伝わっていたのだ! しかも花梨ときたら、このみに
だけは伝え忘れてて、それでこのみ、怒って俺の首を絞めやがるし。
などとやってる内に予鈴が鳴り、さて校舎へ。だけどるーこは何故か立ち止まり、その時俺は予鈴
にノイズが入ったこと、そしてその直後、るーこが「来た」と呟いたのに気付く。
その日の夜。部屋にやってきたるーこは俺に、由真たちがいなくなって寂しいと漏らす。そんな
るーこの肩を抱き、励ます俺。するとるーこは俺に、もし自分がいなくなったら寂しいかと尋ねて
くる。それってるーこ、もしかして……
「冗談だ」と否定したるーこ。
実際、それから数日経ってもるーこは今まで通り俺の家にいて、特に変わった出来事もなく、日々
騒がしくも穏やかな時間が流れた。そして俺はいつしか、不安どころかその台詞すら忘れていた。
だけど。
「明日の朝、この家を出ることにしたぞ」
いきなりるーこがそう告げたのは、土曜日の夕食時。
「る、るーこ!?」
思わず声がひっくり返る。
「いきなりどうしたの、るーこ?」
「そ、そうですよ! いきなり過ぎますよ!」
タマ姉と優季も驚いている。
171:河野家にようこそ 第89話(2/9)
07/01/29 20:50:03 POkEAnfY0
「急に決まったことだ。仕方がない」
「きゅ、急に決まった? 決まったって、どういうことなんだ?」
るーこの言葉が引っかかり、尋ねずにいられなかった。”決めた”のではなく”決まった”と言う、
その理由が知りたい。
けれど、るーこは何も答えようとはしない。だが俺は諦めず、
「な、なぁるーこ、黙ってないで教えてくれよ。決まったってどういう―」
「言えない」
きっぱりとるーこ。
あまりにもあっさりとした返事。―俺は怒りが込み上げ、
「何だよそれ!? いきなり出ていく、しかも理由が言えないって、そんなのアリかよ!?」
「タカ坊、落ち着きなさい」
思わず怒鳴ってしまったのをタマ姉に咎められる。
そ、そうだな。とりあえず落ち着いて……落ち着いて……
「あ、ああ。るーこ、怒鳴ってゴメンな。
けど、この家を出て、どこに行くんだ? 行くあて、あるのか?」
するとるーこ、何故か黙ってしまう。―何だ?
「るーこ、本当に大丈夫なのか?
俺の家ならいつまでだっていてもいいんだぞ。お前が故郷に帰れる日まで、ずっとここにいていい
んだからな」
「―それは、出来ない」
出来ない? 出来ないって、一体どういう意味……?
そこでふと、あの、ノイズ混じりの予鈴のことを思い出す。そして、その直後にるーこが呟いた、
「来た」という言葉。
「る、るーこ、お前、もしかして……」
172:河野家にようこそ 第89話(3/9)
07/01/29 20:51:20 POkEAnfY0
「たかちゃん」
それまで無言だった花梨が突然席を立ち、俺の手を掴むと、
「ちょっと、こっち来て」
俺をキッチンから連れ出した。
連れられてきたのは、花梨とるーこの部屋。
花梨はビデオカメラを手に取り、
「たかちゃん、コレ見て」
カメラの液晶画面を俺に向ける。画面に映っているのは、布団を並べて寝ている花梨とるーこ。
「花梨、コレは?」
「昨日の晩の分なんだけど、おかしいんよ」
昨日の晩の分? ……忘れてた、花梨はるーこを監視してたんだっけ。寝てるときもビデオカメラ
で録画してたのか。
「おかしいって、どこが?」
「もう少し、したらね……来た!」
画面を見ると、それまで寝ていたるーこが突然ムクリと立ち上がり、そして、
ザーッ……
「―え?」
突然、画面が砂嵐になる。
「花梨、コレって……」
すると花梨、カメラの早送りボタンを押して、
「この後、ずっと砂嵐のままなんよ。こんなこと、初めてだよ」
確かに早送りの画面を見ても、ずっと砂嵐のままだ。
「寝ちゃってたから何も気付かなかったし……。たかちゃん、夕べ、何か気付いた?」
173:河野家にようこそ 第89話(4/9)
07/01/29 20:53:28 POkEAnfY0
「いや、何も」
「そう……」
花梨を見ると、真剣な表情で、
「あるいは私たち、”眠ったままにされていた”のかもしれないね」
眠ったままに……つまり、るーこか、他の”誰か”の仕業ってことか。
そして、その”誰か”とは―るーこの、仲間か。
もう、るーこに聞く必要はなかった。
予鈴に混じったノイズは恐らく、るーこの仲間からの最初の連絡。
そして、昨日の夜中。るーこの仲間からの二度目の連絡、あるいは、仲間が直接やって来たのか。
とにかくそこで、るーこが明日の朝、俺の家、いや、地球を去ることが決まったのだ。
……喜ばしいことなのだろう。
元々るーこはこの星の人間ではないのだ。いつかは故郷の”るー”に帰るのだと、るーこ本人が
何度も言ってたじゃないか。ようやくそれが叶う時が来たんだ。
よかったなと、一緒に喜ばなきゃ。笑って見送ってやらなくちゃ。
なのに……
「たかちゃん」
肩に置かれた花梨の手のひらが、やけに暖かく感じられる。―それは多分、俺が今、見た目にも
落ち込んでいるからだろう。
「……参ったな」
「え?」
「いつかはこういう日が来るって、分かってたつもりなんだけどな」
「たかちゃん……」
「でも」
174:河野家にようこそ 第89話(5/9)
07/01/29 20:54:21 POkEAnfY0
顔を上げ、俺は、
「いいこと、だものな」
笑顔を作る。ちょっと心が痛むけど、笑顔でなきゃ、な。
ぎゅっ。
「―え?」
途端、視界が真っ暗になり、顔には柔らかい感触。―俺は花梨に抱きしめられ、花梨の胸に顔を
埋めていた。
「我慢、しなくていいよ」
「が、ま、ん……?」
「るーこがいなくなるの、辛いんでしょ? だったら、無理して笑わなくたって……!」
そっか……花梨、俺のこと心配してくれて……
俺の頭を抱きしめてくれている、その両腕をそっと離して、
「……大丈夫」
「たかちゃん、でも……」
花梨の顔を見上げて、
「ありがとう花梨、心配してくれて。でも、ホントに大丈夫だからさ。
って言うか、むしろ花梨の方が辛そうな顔してるぞ」
花梨から少し離れ、立ち上がって俺は、
「花梨も俺に抱きついておくか? 俺の方は胸ないから固くて心地悪いかもしれないけどな」
ハハハと笑う。すると、
ぎゅっ。
わ、花梨、ホントに抱きついてきた。
「―ううん、そんなことない。たかちゃんの胸の中、とっても気持ちいい」
「そ、そっか」
175:河野家にようこそ 第89話(6/9)
07/01/29 20:55:08 POkEAnfY0
驚きと、またも花梨の柔らかさにドキドキする。
「……ふふっ」
「な、なんだよ?」
「たかちゃん、すごいドキドキしてるね」
俺の胸に耳を当てている花梨。
「もしかして今、エッチな気分?」
「ば、バカ!」
慌てて花梨を引き剥がし、
「と、とにかく! これはるーこにとってはめでたいことなんだから、喜んでやらないとな」
「……うん、そうだね」
俺と花梨は居間に戻り、夕食の残りを平らげた。そしてみんなで食後のお茶を飲みながら、
「なぁるーこ、明日の朝だけど、みんなを呼ぼうか?」
るーこにそう尋ねる。
「みんな?」
「このみや愛佳たちだよ。明日の朝、みんなで見送ろうかってこと。
今から電話すれば、きっとみんな来てくれるから―」
「その必要はない」
またも、あっさりとした返事。
「るーこ……」
「うーたちも、見送る必要などないぞ。
いや、見送ることは出来ない。るーは明日、この家からいなくなる。それだけだ」
見送ることが出来ない? いなくなる? どういうことなんだ? ―いや、それ以上に、何故
るーこはこんなにも淡々としていられるのだろうか?
176:河野家にようこそ 第89話(7/9)
07/01/29 20:56:43 POkEAnfY0
唐突に、しかも一方的に家を出ると告げ、見送りも要らないと言う。まるで他人じゃないか。
俺たちとるーこって、そんな寂しい関係だったのか?
―でも、それでも、
「……そっか。分かったよ」
笑って、見送ってあげなくちゃ、な。
「タカ坊……」
「貴明さん……」
悲しげに俺を見るタマ姉と優季。―参ったな、ちゃんと笑顔を作れてないのかな、俺?
「きっとコレが、るーこたちの流儀なんだよ。正直寂しいけど、るーこがようやく故郷に帰れるん
だから、一緒に喜んでやらないと、な。
るーこ、さっき”見送ることは出来ない”って言ってたけど、それって俺たちが寝ている間に
るーこはいなくなるってことなのか?」
「そうだ」
「そっか。……なら、今のうちに言っておかないとな。
るーこ、おめでとう。それから、今まで美味い飯作ってくれて、ありがとうな」
「タカ坊……、うん、そうね。
おめでとうるーこ。元気でね」
「るーこさん―おめでとうございます。私、るーこさんのこと、忘れませんから」
俺の後にタマ姉と優季も別れの言葉を。花梨は感極まっているのか、何も言わない。
そして、るーこは、
「今まで世話になった。礼を言うぞ」
穏やかな笑顔で、そう答えた。
明日の朝になったら、るーこは、もういない。
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