FFDQバトルロワイヤル ..
41:保管庫5
03/03/30 10:02 LaCNqs9S
その回避し得ないかと思われた致命の一撃をジタンは紙一重で回避した。
視線を下に向けていたから助かった、それでもし床に映る相手の影を発見する事が出来なければ、
間違いなく彼もセーラと同じ運命を辿っていただろう。
「な!おまえはっ!」
次々と振り下ろされる鎌を床を転がりながら避けるジタン。
いきなりの攻撃に驚き慌てるジタンだったが、その正体を見てまた驚く、そうその姿はまごうことなく、
マゴットその人だったからである。
「おい!正気に戻…」
ジタンはマゴットに呼びかけるが、それは横薙ぎの鎌の一閃でさえぎられる。
今度も紙一重で避けたジタンは冷や汗を掻く、あと少し遅ければ首を斬り裂かれていた。
さらに容赦なく踏みこんでくるマゴットの斬撃を右に左に交わしながら、ジタンはあることに気がつく。
セーラの身体についた傷、あれは曲刃系の武器でつけられた傷だった、そう、例えば…
「まさか!お前がセーラを…」
その言葉にマゴットは答えない、ただクスリ…と笑っただけだ、その笑顔を見てジタンは確信した、
コイツは正気だ…素面でセーラを殺し、さらに今度は俺まで、ってまさか!
自分でこれまでわずかながらも感じていた様々な疑惑がここにきて一本の糸で繋がり始めた。
(おっさんは確かにこのゲームを壊すって言った…だけどもそれは俺たちのタメじゃない、
あくまでおっさん個人のため、俺達は駒ってことか?)
いや、駒ならまだマシだった、今の状況ではどう考えても生贄としか思えない。
ハーゴンへの怒りがふつふつと涌いてくるが、とりあえずは今この場を切りぬけなければ、
生贄にされてからでは文句も言えない。
42:保管庫5
03/03/30 10:04 LaCNqs9S
ここでマゴットの状態についてわずかながら説明させていただく。
実はハーゴンは余りに消極的なマゴットの性格に不安を感じ、万が一を考えマゴットにはイザというとき
攻撃的に動けるよう、あくまでも軽い暗示を何度かに分けてかけていたのだが、
力の源であるシドーを失った事により、ハーゴンはわずかずつであるが自らの能力の制御が利かなくなりつつあった。
それは彼本人にもわからない、微妙なものであったが、その微妙な狂いが積み重なり、
暗示は彼女の精神に過度の重圧を与え、そして蓄積された負担がある一点を越えたとき、
それは恐るべき形となってマゴットの精神を押しつぶしたのであった。
そう、今の彼女は活動的を通り越し、意識こそ明晰ではあるが、人間的な感情が麻痺した、
いわゆるソシオパスとなっていたのだ、今の彼女はハーゴンやアルスですらも平然と手にかけるであろう。
そしてまた、その開花したありあまる攻撃性をいかんなく発揮して、再びマゴットはジタンへと迫る。
しかし今度はジタンも反撃に出る、抜き放った仕込み杖で鎌を受けとめるとそのまま手首を返して
鎌の刃を天井に向けさせ、マゴットの力を分散させるとそのまま肩から体当たりをかます。
たまらずマゴットは手を離してしまい、スッポ抜けた鎌は壁に突き刺さる。
そして体勢を崩したマゴットの襟元を両手で掴むと、そのままジタンは背中から床へと倒れこみ。
その反動で相手を投げ飛ばすそう、柔道で言う巴投げだ。
だが、床に倒れこんだその時、ジタンの目に目を見開いたままのセーラの生首が入る。
この予想外の物体に動揺したジタンの手元が狂い、マゴットはあさっての方向へと飛んでいき
やはり壁に叩きつけられる。
駄目だ、これじゃ入りが甘い、来る。
そう考えたジタンは慌てて起きあがろうとするが、完全に起きあがったとき彼が見たもの…それは。
43:保管庫5
03/03/30 10:05 LaCNqs9S
実はマゴットが叩きつけられたのは、死神の鎌が突き刺さった壁の真下だった、
鎌はその衝撃でそのまま下へと滑り落ち、そしてまさにギロチンのごとく、マゴットの首を半ば切断したのだ。
どう考えても致命傷だ、しかしそれでもマゴットはまだ立ちあがろうとする。
がたがた、がたがたとまるで壊れかけの自動人形のように、首から噴水のように血飛沫を上げながら…
その恐るべき光景に流石のジタンも動けない…だがそれも長くは続かなかった。
やがて、プツリ、という音と共にマゴットの首は完全に胴体から千切れて、手前に組んでいた
自らの腕の中に転がり落ちる、そのまるで自分の首を抱いているかのような奇妙な亡骸、
それはセーラの残した呪詛の成せる業だったのかもしれない。
ジタンは部屋の真ん中にへたり込んだまま動こうとはしない。
これからどうする、これ以上面倒に巻き込まれたくないならこのままずらかるのも手だ、
だがもし自分が逃げたとして、その後はどうなる?
またあの男は同じ事を繰り返すような気がする、それを関わりのないこと、と割りきるには、
ジタンは関わり過ぎていた、それとは別に騙されていたという怒りも、もちろんある。
「とりあえず騙してくれたお礼はしないとな…」
こうしてジタンはセーラの首を持つと、そのまま部屋の外へと飛び出していった。
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
第1行動方針:とりあえずハーゴンに一言
第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
【マゴット 死亡】
44:保管庫6
03/03/30 10:06 LaCNqs9S
「おい…何のマネじゃ?」
書庫から出て、執務室に向かうハーゴンたちの前にその行く手を阻むようにジタンが立ちはだかる。
その剣呑な雰囲気はただ事ではない。
「よくも…騙してくれたな」
「何の話じゃ?」
「俺達を犠牲にして、テメェたちだけで逃げようと思っていたんじゃねぇのか?」
それを聞いてハーゴンは無心ぎくりとしたのだが、勤めて平静を装う。
(そのテメェの中にワシは入っておらんがの…だが似たようなもんじゃ)
「何を言うかと思えば、いいか?不安なのは分かる、じゃがの……」
「だったらこれは何だ!」
ジタンはハーゴンへと何かを投げつける、それはセーラの首だった。
それを見て導師がひぃと声を上げる。
「調べたら傷のほとんどが背中についていた…どう考えても逃げようとしている所を強引に襲ったとしか思えない」
「俺達もああいう風にするつもりだったのか!答えろ!」
それを見るとハーゴンも流石に平静ではいられなかった。
「バカな…わしはそこまでしろとは命じてはおらぬ!」
確かにセーラを供物にしようと思ったことは事実である、だがそれはあくまでも後々のことで、
今この場で手を下すつもりなど無かった、万が一を考えマゴットにはイザというとき攻撃的に動けるよう、
軽い暗示をかけていたが・・・。
もしや…もうすでに自分の力を思うように操る事が出来なくなっている…だからほんの軽い暗示も、
思わぬ形でマゴットへと影響を及ぼしたのか…。
「それで、マゴットは…マゴットはどうした!…まさか」
答えを聞くまでもなく、ハーゴンは執務室へと走る、そしてその扉近くで物言わぬ骸と化したマゴットを見たとき、
「なんと…なんということじゃ…」
ハーゴンはふらふらとマゴットの亡骸に歩みより、その場にへたり込む
まぶたを閉じればここまでの数々の画策が甦ってくる、あと少し…あと少しで上手く行くはずだったのに。
45:保管庫6
03/03/30 10:08 agLvUprh
ハーゴンは自分を呪わずにはいられなかった、確かに手を下したのはジタンだ、しかし元を正せば
策を弄した挙句の結果である、彼は人の心を操るのに長けていたが故に人の心を侮り過ぎたのである。
「このロンダルキアはワシにとっては……聖地などではなく死地でしかなかったのかぁ〜〜〜」
するとハーゴンの身体からしゅうしゅうと煙が上がり、肌にはシワが刻まれ、その髪は白くなり抜け落ちていく
力の源であったシドーを失って以来、その肉体・魔力の崩壊を必死で食い止めてきたハーゴンだったが
この衝撃は大きかった、そしてついに力を繋ぎとめていた儚き1本の糸がぷつん、と切れたのだった。
「おっさん…」
後から追いついたジタンが見たものそれはただの無力な老人、ただ眼光だけは未だに鋭いままの姿だった。
実はジタンも不安だった、1時の感情に流され、人を殺めてしまった事に対する後悔。
だから彼は願っていた、自分の思っていた通り、ハーゴンとマゴットが自分を騙していて欲しかったと、だが。
その結果は皮肉なものだった。確かにハーゴンは自分を謀っていたのだろう、しかし…マゴットの亡骸のそばで
うなだれる姿は彼の想像していたものとはかけ離れていた。
「おっさん……そこまでしなきゃいけなかったのか?」
「ああ、必要ならばワシは神でも殺した、いわんやおぬしらごとき」
「騙したワシが…憎いか?殺したいか?」
そのハーゴンの呟きにジタンは答える事が出来ない。つい数分前まではそうだったのに。
(ちくしょう…おれこれじゃバカじゃないか…ちくしょう)
そんなジタンの内面の葛藤も知ってか知らずか、ハーゴンはジタンへと頭を下げる。
「だが、ワシはまだ殺されるわけにはいかぬ!ワシの全てを奪ったあの者にせめて一糸報いるまでは!」
「改めて頼む!この通りだ……お前の力をワシに貸してくれ!その後でならこの命くれてやる」
枯れ枝のようになった身体の何処にそんな気力があったのだろう?
しかもハーゴンが…この尊大な男が恥も外聞もなく血涙を流しながら土下座をしているのである。
その鬼気迫る姿にジタンは圧倒された。
46:保管庫6
03/03/30 10:09 agLvUprh
重苦しい沈黙の中、ようやくジタンが口を開く。
「あんたのためじゃない…殺さなくても良かったのに、殺しちまったマゴットのためだ…」
「そうか」
ハーゴンもそれ以上の言葉は発さない、ただ。
「こっちへこい」
ハーゴンはジタンを連れてまた別の部屋へと向かう。
「導師、お前もじゃ」
その言葉で物陰から様子をうかがっていた導師も、はっ、と気がついたように後を追うのであった。
それからしばらく経過して、ハーゴンの私室内。
「良いか、これの術式が完璧に解ける者でなければ連れてきても無駄じゃ、30分以内に解けぬ者は失格として扱え」
ジタンは数枚の紙を手渡されている、そこにはぎっしりと何やら難しい字が書きこまれていた。
どうやら魔法の公式のようだ。
「それと、これも持って行け」
ハーゴンが続いて茶ばんだ紙を渡す。それには地図が記されている。
「このロンダルキアの地下には縦横に通路が通っておる、そのマップじゃ」
「地上を歩くのとでは距離にして4倍は得が出来る、うまくやれば全土を十分回れるはずじゃ」
ワシはもう少しは保つかもしれんが、おそらく明日の朝までの命、それまでに必要な知識を全て伝えねばならぬ。
じゃからこの時計で0時になるまでに戻ってきてくれんかの」
ジタンは手渡された時計を見る、現在15時、ということは後9時間しかない……。
47:保管庫6
03/03/30 10:10 agLvUprh
一方。
「これは単純に魔力の強さや知識のみを問う問題ではない、ぶっつけ本番で儀式を成功させるには、
特別なセンスが必要、つまりこれはそのセンスを計るのが目的、それに魔力は人数でカバーできるしの」
そう声をかけるハーゴンの隣で導師は先ほどから例の術式にかかりっきりだ、
白魔法マスターの彼がてこずるあたりが問題の難易度を物語っている。
「おい、お前は行かないのか?」
ジタンの言葉に導師は申し訳無さ気に答える。
「僕は残るよ…病人を放ってはおけないから、そうだ、君にこれを」
導師は星降る腕輪をジタンへと差し出す。
「君は足が速いからきっと役に立つよ、それとお願いがあるんだけど、ここのすぐ東の森に、
ティファって胸のおっきな女の人と、デッシュってちょっとちゃらちゃらした男の人がいると思うから
よろしく伝えといて!」
「ああ、じゃあもう行くぜ」
「無理をしないで!危ないと思ったら逃げてよ」
ジタンは導師の言葉に背中越しに手を上げて応じると、そのまま足早に部屋を後にしていった。
それを見送るハーゴン、全てはジタンがどのような魔法使いを何人連れてくるかにかかっている。
それによって儀式の内容、方法も、果ては結果までもが変わってくるだろう、
そのための準備は整えておかねば……頭を抱えながら問題に取り組む導師の隣で、
ハーゴンは震える手で書物のページを紐解いていくのであった。
48:保管庫6
03/03/30 10:11 agLvUprh
【ハーゴン(呪文使用不能、左手喪失、衰弱・老化)
武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪 現在位置:神殿自室
第1行動方針:儀式の下準備
第2行動方針:不明
最終行動方針:ゲームの破壊】
(作中には書きませんでしたが、ジタンにいくつかグレネードを渡しています)
【導師(MP減少):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:ハーゴンの自室
第一行動方針:問題を解く
第二行動方針:ハーゴンの看病
最終行動方針:不明】
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、星振る腕輪、ギザールの笛 グレネード複数
試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計
現在位置:神殿から外へ
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:サマンサとピサロの殺害 最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
49:保管庫7
03/03/30 10:14 lvKEzwZY
ハーゴンの出した課題である術式の解読を行っている導師。
周囲には、この神殿にまだ残っていた知識の残骸である何冊かの書物が集められ、無造作に散らばっている。
拡がってページがめくれている状態の本。
それは、このロンダルギア地方の特性について書かれたものだった。
曰く。
この地方は、現実と幻覚との境界がひどく希薄な特性があり、それを利用した方術を行うのに適した一面がある。
とある精霊神ルビスに使える神官は、この地方のどこかにある祠をロトの血を引く者にのみ見える結界を張ってそれを守る礎の一つとし、その所在を隠しているらしい。
異界の神々を祭る西の神殿は、それら神々の加護の証を持つものでなければ己の中に抱く安らぎの地に永遠にを奪われる幻覚を見せられる。
もちろんこういった幻術を操るには、高位の魔力やそれに相当する能力、特殊な血脈などの要素が必要不可欠とされる。
その才覚に及ばない魔力は本来の効果を発揮することは難しいといわれ、知能の低いアンデッド程度をだますのが関の山だと思われる。
逆を言えば、力ある要素を取り揃えることが出来れば、幻を現実そのものとして具現化させることも可能であるだろう。
理想的な条件が――意図的にせよ、偶発的にせよ――重なれば、例えば…この世のすべてを破壊するとされる呪われた剣と、隼のような素早さを兼ね備えた剣を、次元的な位相を虚構によってずらすことで、一本の剣として力を兼ね備えさせることも可能なことだろう。
そのページを一瞥した導師の脳裏に、先程のハーゴンの言葉が蘇る。
「これは単純に魔力の強さや知識のみを問う問題ではない、ぶっつけ本番で儀式を成功させるには、特別なセンスが必要」
きっと、ここに書かれている『力ある要素』っていうのも同じことなんだろうなぁ、と思う。
自分にそれだけの資質があるのだろうか?
いや、迷っている時間はない。ジタンが条件に合う人物を見つけ出し、協力を取り付け、無事に戻ってこれるかどうかはわからないのだから。
導師は、再び術式の解読に頭を悩ませ始めた…。
【導師(MP減少):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:ハーゴンの自室
第一行動方針:問題を解く
第二行動方針:ハーゴンの看病
最終行動方針:不明】
50:保管庫8
03/03/30 10:14 lvKEzwZY
ザックスとスコールはそのまま素手の殴り合いに移行した。
元々剣使いである二人にとって格闘術は専門ではなかったが、それでも素人のリノアが立ち入れる領域ではなかった。
超近接状態でザックスが拳を繰り出せば、スコールはそれをしゃがんでかわし、そのまま足を払う。
綺麗に転倒したザックスはお手本どおりの受身を取り、そのままで蹴りを放つ。
最初はかわしかわされの攻防も、次第にお互いの攻撃が決まり始めて動きが止まる。
こうなると、負傷しているスコールの方が不利だ。顔面を殴られ、尻餅をついたところにザックスが馬乗りに圧し掛かる。
「これで、終わりィッ…!?」
スコールの動きを封じようとして自分の動きも止まる、そこに付け込む隙があった。
リノアは背後から妖精のロッドを思い切りザックスの横顔に叩き込む。
それ自体の威力はたいしたことは無いが不意をつかれてザックスは倒れる。
「スコール!」
その脇を抜けて、リノアはスコールの手を取る。
はぁ、はあ、と息を切らすスコールに人間味を感じて、リノアは少し嬉しくなった。
「行こう」
スコールの手を引いて駆け出すリノア。それに黙ってついていくスコール。
そんな二人の足音が遠くに消えた時、ザックスはダルそうに上体を起こした。
「ちェ、そう言えばそうだったな…あの子は、あいつを」
すぐにまた、地面に倒れる。ヒリヒリと頬が痛んだが、それ以上に胸がムカついた。
「これじゃ、道化師じゃねーか。クソッ」
51:保管庫8
03/03/30 10:15 lvKEzwZY
ザックスが追ってこないことを確認したリノアとスコールは走るのをやめた。
ただ、手は繋いだままだった。繋いだ、と言ってもリノアがスコールの手を掴んでいるというのが正確だろうが。
スコールと離れたくない、ということもある。それ以上に、離したらどこにいってしまうかわからないことが不安だった。
人気のない洞窟の中を進む。何度も迷いながらもさしたるトラブルもなく、出口近くまで来ることができた。
そこで彼等はその男に遭遇した。
暗くてよく見えないが、体格のいい男性である。腰には剣が下げられていた。
向こうはこちらのことに気付いていないようだけど、どうすればいいのだろう…とリノアは迷う。
スコールは迷わなかった。
「あっ!」
リノアの手を振り払い、その男めがけて疾走する。
殺到してくるスコールに気付いた男、だが彼が反応する前にスコールは彼の脇に入り、腰の剣に手をかける。
剣を半ばまで抜いたところで、スコールの腹に、男の筋骨隆々とした肘がめり込んだ。
弾き飛ばされるスコール。その拍子で男の腰から剣が抜け、地面に落ちた。
「スコール!」
男はリノアのほうをちらりと見た。そしてすぐに、スコールに視線を戻す。
スコールはふらつきながら落ちた剣を拾い立ち上がる。男はそれを冷ややかに見つめていた。
「賢しいな、小僧。そうやって人を騙して生き抜いてきたか」
重い、大人の声が洞窟に響く。それを断ち切ろうとスコールは一歩前に出ようとした。
その前に、男の足が前に出た。スコールは前に出るのをやめて、一歩退いた。
もう一歩、男が前に踏み出す。それにあわせてスコールは後退する。
「どうやら、性根が腐っているようだな。親に代わって私が仕置きしてやろう」
52:保管庫8
03/03/30 10:16 lvKEzwZY
男が前に進めば、スコールは下がる。男に向けた剣の先が揺れ、スコールの頬に一筋の汗が伝う。
緊張を断ち切るように、スコールは男から奪ったアイスブランドを振るう。
男はかわそうともしない。アイスブランドはかわすまでもなく空を斬るのみ。
「小僧、覚えておくがいい。戦場では闘気の勝るほうが勝つ」
スコールの目に、その男が大きくうつった。これまで出会ったことのない、強い力とそれを固める年齢を重ねた大人の存在が、果てしなく大きく見えた。
「腐抜けた魂と曇った気合、体だけで振ったそんな剣が、このパパスに通用すると思うな!」
刹那、スコールは殴り飛ばされた。顔面の骨格が歪むかのような強烈な一撃。
剣を取り落とし、洞窟の壁に叩きつけられる。そこに、追い討ちをかけるパパス。
リノアは呆然と目の前で繰り広げられる惨劇を見ていた。
一撃一撃がスコールの中の何かを削り取っていく様を、呆然と見ていた。
そして、スコールが完全に抵抗をやめ、成すがままにされているのに気付いて、ようやくリノアは我に返る。
「やめて!」
なおも拳を振るおうとするパパスと、ほとんど自力で立っていないスコールの間に飛び込む。
「お願いだから…止めてください。私たちが悪かったです、だから」
「だから、何かな。お嬢さん」
だから…言葉を続けようとして、リノアは口篭もる。だから…私は何をしたいんだろう。何が出来るんだろう?何が…
そんなリノアをパパスは射るような視線で見ていたが、すぐに見切りをつけて視線を外す。
床に落ちたアイスブランドを再び腰に戻すと、物影のほうに何か合図を送る。
物影から出てきたのは、一匹の犬である。近くまで来たことを確認すると、パパスは口を開いた。
53:保管庫8
03/03/30 10:19 b1UxEmBz
「子供と青年を探している。青みがかった髪の、10ぐらいの双子と、茶色の髪の20ぐらいの青年だ」
「…解りません。でも、奥に男性がいます。その人なら何か知っているかも」
「そうか。では会いにいくとしよう」
パパスは犬のトーマスを伴い、洞窟の奥へ歩いていく。威風堂々としたその姿には一片の揺るぎもない。
直後、スコールは力無く倒れた。地面に触れるところで慌ててリノアが抱きとめる。
「スコール…」
スコールはボロボロだった。これが、自分の弱さを隠すために人を殺めてきた報いなのだろうか。
自分より強いものに成す術もなく嬲られ、まもるべき人に逆に助けられる。
なんて、惨め。…何時しか、スコールの瞳から涙が零れ落ちた。
【スコール(気絶) 所持:真実のオーブ
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階
第一行動方針:なし】
【リノア 所持:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階
第一行動方針:スコールに着いていく】
【ザックス 武器:バスタードソード
現在位置:ロンダルキアの洞窟5F(移動してるかも)
第一行動方針:エアリス・ティファの捜索】
【パパス 所持:アイスブランド
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階(奥へ)
第一行動方針:奥の人物(ザックス)と接触
第二行動方針:バッツと双子を捜す。
第三行動方針:ゲームを抜ける】
【トーマス 所持:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい)
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階
第一行動方針:パパスについていこうと思っている】
54:保管庫9
03/03/30 10:21 b1UxEmBz
日が完全に落ちるには、まだ少し時間がありそうだった。
紅の空に浮かび上がった白い月が、太陽を追うように山の線の向こうに沈んでいく。
それをミレーユは森の中で、声を潜めながら見ていた。
占いに出てきた人物は確かにこの森近くにいるはずだった。
中に分け入りしばらく散策して、出会いの時を今か今かと待ち続けたが、結局誰も現われなかった。
それとも行き違いになったのだろうか。
もう一度占ってみようとしたが、何故か気が落ち着かず集中力が沸かなかった。
少し間を置いて何度か実行を試みても、やはりダメだった。
病み上がりの時のような気だるさが全身を襲い、気が削がれてしまうのだ。
自分のセンスを疑い出しため息をついた。
いい加減、別の場所を探そうと森を抜けようとしたそのとき。
背筋に悪寒が走り体が思わず反転した。
木の陰からそっと外を覗ってみると、南の方から歩いてくる者が見えた。
長身で銀髪をした精悍な男だった。
自分にはない強靭な精神力で雪原を踏み鳴らし、真正面のみを見据えながら北へ歩いていった。
男が一歩進むたびに、周りの空気が膨張して破裂しそうだった。
ミレーユが隠れ蓑にしている木も連動して震えていた。
残された足跡にさえも抑えきれんばかりの衝動が注ぎ込まれているようで、ミレーユは圧倒された。
ミレーユは大きな吐息をついた。今度は心からの安堵のために。
誰もいなくなったことを確認すると、森から出て男が向かっていった方を見つめた。
日はほとんど沈みかけていたが雪明りで思ったより遠くまで見えた。
あの先は間違いなく嵐だろうと予感して、ミレーユは肩をすくめた。
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・ 現在位置:ロンダルキア東部の森 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】
【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:ロンダルキア東部の森→祠の方へ向かう
行動方針:全員殺す・勝ち残る】
55:保管庫10
03/03/30 10:22 b1UxEmBz
祠の離れの中は騒然としていた。
「オルテガ殿、今すぐここを出よう!」
「何故だ? もう少し話を聞いても」
「わからないか、外を取り巻く『気』が変わっている」
言われてみると確かに只ならぬ気配が接近していることがわかる。
この娘の連れとはまた別の人物。他にもまだ誰か来る……?
「ここが見つからなければ良いのだが、そう都合よくいかないだろう。
もし火でも放たれたら事だ」
「む、わかった。このお嬢さんは……」
モニカが不安そうな顔をして座っていた。オルテガはどうしたものかと頭を掻いたが、
やがてすっと手を差し出した。
「仲間はすぐ近くにいるんだったね?」
「え、ええ。外にいるはずです」
モニカはオルテガの手を取って立ち上がった。
「お嬢さん、申し訳なかったな」
「いえ、私は別に。息子さんのことは驚きましたけど」
二人を待っていたリバストが声を強めて言った。
「早くした方がいい。敵は待ってくれんぞ」
そのとき祠の方で物音がした。
「そうだ、向こうにも何人かいたな……」
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上
行動方針:外へ出るか、祠の人物をどうにかするか】
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の離れ
第一行動方針:仲間と合流
第二行動方針:アーロンの傷を完治させる
第三行動方針:仲間を探す】
チョコボが奥に隠れています。
56:保管庫10ー2
03/03/30 10:23 b1UxEmBz
「…アーロン殿」
「ああ…見られて…いるな」
アーロンの言葉に、メルビンは無言で頷いた。
南の方から現れた何者かは、じっと息を潜めてこちらを伺っている。
気配はほとんど感じられない。
もちろんこんな芸当のできる奴など、まともな人間ではない。
「どうする? どんな人間かわからんが…」
相手に聞こえない様に、アーロンは小さい声で問いかけた。
「十中八九、味方ではないでござるな。
こんな気味の悪い視線はまともな人間が出せる代物ではないでござる」
「こちらから仕掛けるか。相手にやる気があるのかはわからないが、
先手を取られるのは面白くない」
「うむ。わしが隙をつくるでござる。飛び道具があるやもしれぬでござるから、
正面からは避け、左右から挟みこむ形で行くでござる」
「わかった。中にいるモニカが心配だ。すぐにケリを…!!!」
その時、思ってもみない事が起きた。
三人が行動に移す前に、森の中にいる何者かが足早にこちらから遠ざかっていくのだ。
「話が聞こえていたのでござるか!?」
「たぶんな。おそらく、時間を置いたらまた来るだろう」
「うむ。追いかけたい所でござるが…」
「やめておこう。先にやらなくてはならない事がある」
建物の中にいる連中には、未だに動きが無い。
モニカが叫んでからは静寂を保ったままだ。
さっきの奴がまたいつくるのかわからない。
しかし人質をとられている以上、こっちの相手には先手を取る事が出来ないのだ。
どうしたものか…。と三人が考えを巡らせていたその時、
南の森の方からの女性の叫び声が、保たれていた静寂を切り裂いた。
57:保管庫10−2
03/03/30 10:25 45RTkmsQ
「アーロン殿!!」
「ああ。俺達より向こうを優先したんだな」
「うむ。見過ごすわけにはいかないでござるな。
わしとガウ殿で行く。アーロン殿はここで待機していて欲しいでござる」
「…わかった。気をつけろよ」
この状況で半怪我人の自分がどれだけ足手纏いになるのか
アーロンもよくわかっているのだろう。
メルビンとガウを見送り剣を鞘に収めると、建物の中の様子に意識を集中させた。
今、自分が果たさなくてはならない仕事に専念しなくてはならないのだ。
「とんぬらさん、今の悲鳴は!」
「ああ。助けに行かないと…。
アニー、ここで待っていて。すぐに戻るから」
「イヤ、行かないで!」
アニーはとんぬらの服の裾をつかんで離さない。
「アニー…」
「なにがあるかわからないのよ。もしなにかあったら…私……」
「………」
アニーは目に涙を溜め、服の裾をより強く握りなおした。
「イヤ…イヤなの……」
とんぬらはすすり泣く娘を抱きしめた。
お互いに程度の違いはあれ、離れたくないのは同じだろう。
それに、おそらくこの舞台には安全地帯など存在しないのだ。
「…これじゃあ行けないね」
「………」
「えっと、僕が見てくるよ。とんぬらさんはアニーについていてあげて」
「ルーキー。…ごめん」
「気にしなくていいよ。でも、なにかあったら助けにきてよ」
「ああ。約束する」
ルーキーはスナイパーアイを装備すると、まっすぐ悲鳴のした方へ走り出した。
58:保管庫10−2
03/03/30 10:26 45RTkmsQ
「足跡は残っているでござるな。ガウ殿、臭いを追えるでござるか?」
「ガウ!!」
ガウは地面に残った足跡を嗅ぐと、南西の方角へと走り出した。
メルビンも後ろからついて行く。
途中足跡が増え、おそらく襲われた女性も同じ方向へ逃げているらしい事がわかった。
木々の隙間を縫う様に走る事数分、森が開け、
切り立った崖と、対岸の島へ渡る吊り橋が見えた。
「ガウ!」
「この橋を渡っていったのでござるな。行くでござるよ!!」
そう言って二人は吊り橋の上を駆け出した。
ちょうど半分まで来た所であろうか、前を走っていたガウが急に立ち止まった。
「どうしたんでござるか?」
「ガウゥ…。(臭いが…消えてる…?)」
メルビンの顔がこわばり、弾かれたように後ろを振り返った。
対岸にいたのは、紫の髪をした女性の姿。
「しまった! 罠か!!」
女性は醜く顔をゆがめると、掌に生み出した火球を吊り橋に叩きつけた。
「ガウ殿! 逃げるでござる!!」
「ガウ!!」
間一髪、二人は橋が落ちる前に対岸にたどり着くことが出来た。
後ろを振り返ると、さっきの女性の姿はどこにも見当たらない。
火に包まれた吊り橋があげている、黒い煙しか見えなかった。
(どうしよう。すごいものをみてしまった。
キレイな女の人が変な杖をふると、メルビンさんそっくりに変身したんだ。
それだけじゃない。変身する直前、一瞬だけど気配を隠すのをやめた時、
…アイツの体からものすごい瘴気が漏れたんだ。あんなの、高位の魔族じゃなきゃ…。
アイツの向ってる方向は、地図で祠が書いてあった方みたいだ。
橋の方が気になるけど、先にとんぬらさん達と合流しないと)
59:保管庫10−2
03/03/30 10:27 45RTkmsQ
「…どうなっているんだ」
つい数分前から立ち上った黒い煙を、アーロンは歯がゆそうに見上げていた。
煙とメルビン達が向かっていった方角は一致していた。
「…あの二人に何かあったのか?」
建物の中は未だに沈黙を保っている。
今すぐ向こうの様子を見に行きたいが、モニカを放っておく訳には行かない。
体を二つに裂いてしまいたい衝動に襲われる。
どちらも自分の命の恩人であり、大切な仲間なのだ。
その時、森から誰かが姿を現した。
「アー…ロン…殿……」
現れたのは傷だらけになったメルビンだった。脇腹から血を流している。
「どうした! なにがあったんだ!!」
アーロンは今にも倒れそうになっているメルビンを支えた。
「罠…だったんで…ござる…。ガウ殿は…」
「わかった。もう喋るな」
「モニカ殿は…どうなったで…ござるか?」
「まだ中にいる。さっきから何も動きがない」
そういってアーロンは見えない祠の方を向いた。
「なるほど。そこに祠があったんだな」
耳慣れない言葉。アーロンがその言葉の意味を理解する前に、
メルビンの右手に発生した雷撃が、アーロンの体を絡め取った。
「ぐ…がぁ…」
「ほう、確かにここに何かがあるな」
メルビンは地面に倒れこんだアーロンを一瞥すると、
アーロンの向いた方向を調べ始めた。
「貴様…何者だ……」
アーロンは剣を構え、フラフラと立ち上がった。
60:保管庫10−2
03/03/30 10:28 45RTkmsQ
とんぬらは帰ってきたルーキーの話を聞くと、アゴに手をやって思案し始めた。
「…行こう。祠の中にだれかいるかもしれない」
とんぬらはそう言って立ち上がった。
「………」
アニーは心配そうにとんぬらを見上げる。
「アニー。さっき話しただろう。
ぼくは死なない。おまえやクーパーを残して死ねるわけはないだろ?」
とんぬらはアニーの肩に手を置いて、ゆっくりと話し掛ける。
「大丈夫。ぼくがどれだけ強いかわかってるだろ?」
アニーは黙って首を縦に振る。
「ここで隠れていなさい。でも危なくなったすぐににげるんだよ」
「…私も行く。もう離れたくない!」
少女の決意は固く、曲げる事はできないようだ。
「…わかった。急ごう。もう祠についているかもしれない」
「ぐうっっ」
見えない衝撃波にアーロンの体は吹き飛ばされ、近くの木に叩きつけられた。
「わしか?…そうだな。次の姿は貴様にしようか」
「一体…何を……!!!」
メルビンは袋のなかから奇妙な杖を取り出し、呪文を唱えた。
奇妙な煙がメルビンの体を覆い、次の瞬間、メルビンの姿はアーロンそっくりになった。
「こういう事だ。まあ、貴様は見事にだまされてくれたわけだな」
アーロンもどきはそう言うと、印を組み呪文を唱え始めた。
「同じ人間が二人もいるのはおかしいからな。貴様はしばらく眠っておれ」
61:保管庫10−2
03/03/30 10:30 BCqMWAAx
少しずつアーロンの体から自由が奪われていく。指先が痺れて動かない。
舌が全く動かない。モニカに危険を知らせる事も、もはや出来ないようだ。
(くっ…意識が……気を…失っ…て……たまるか…)
「安心しろ。殺しはしない。もっとも、誰も貴様を助けに来る者などいないのだがな。
ヒョーッヒョッヒョッヒョッヒョッヒョぶっ!!!」
えらそうに高笑いをしているアーロンもどきの後頭部を、
彼方から飛来したブーメランが直撃した。
【アーロン(怪我・半冷凍
所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:気を確かに持つ
第二行動方針:モニカを助ける
第三行動方針:仲間を探す】
【メルビン/ガウ
所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠から南の島
第一行動方針:アーロンとモニカを助けに行く
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】
【エビルプリースト(現在の姿はアーロン)
所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:この場にいる全員の始末】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:アーロンもどきを倒す
第二行動方針:クーパーをみつける】
祠から南にある橋は焼け落ちました。
62:保管庫陸戦型
03/03/30 10:31 BCqMWAAx
不意をつかれ、エビルプリーストは横によろけた。
今はアーロンの姿をしている事も忘れ、血走った目を衝撃が襲ってきたほうに向ける。
雪の中駆け抜けてくる人影一つ、剣を抜き放って振りかぶる。
「何者だぁっ!」
言うが早く魔力を構成し、イオナズンの魔法を唱える。相手の動きは速いが、こちらのほうがもっと速い…!
突進してくる人影の周りに光の粒が浮かび、それが連鎖自壊していく…
寸前。
「はぁぁぁぁっ!」
男の掲げた剣から光のベールが生まれた。それは、エビルプリーストも知っているある呪文と同じ現象である。
大爆発。だが、その衝撃は男に届かず、エビルプリーストに跳ね返ってきた。
「ぬうううぅぅっ!」
両腕を突き出して耐える、だがそれにも限界があった。
腕に無数の裂傷が生まれ、宙に投げ出されて雪の上を撥ねて転がる。その衝撃か、変化も解けて凶相の老人に戻った。
慌てて変化の杖で再び変化しようとする…それ自体には何の意味もなかったが、強襲に彼も混乱していた…が、
杖を持っている手にブーメランが直撃し、取り落としてしまった。
ブーメランは何かの元に戻っていく。何か。それはスライム。
あの「スライム」に邪魔をされた。エビルプリーストの頭に血が上った。
魔属の王ですら駒にしてきた自分が、最底辺の魔物に虚仮にされた。
紫のターバンをしている男もそうだ。選ばれし者でもない人間の分際で、自分を出し抜こうなどと大それたことをした!
今も、自分に害をなそうと迫ってくる。許せない。あの男と、あの屑モンスターだけは…!
63:保管庫陸戦型
03/03/30 10:32 BCqMWAAx
彼自身は頭に血が上っていて気付いていないが、状況はエビルプリーストにとって絶体絶命だった。
相手は魔力反射ができる戦士、自分はろくに武器も持っていない、こんな状況で勝てるわけがない。
だが、彼にもまだツキは残っていた。
一つはとんぬらたちがエビルプリーストを仕留めようとした矢先に離れの扉が開いたこと。
「お父さん、危ないっ!」
後方に控えていたアニーがヒャダルコを唱えて入り口付近に氷柱を作り出し、
とんぬらとルーキーは一旦足を止めて離れの入り口に視線を向けた。
そして、もう一つ。
エビルプリーストが弾かれたあたりに、ちょうど祠の入り口があったこと。
その扉の向こうには息を殺した人の気配に、エビルプリーストが気付いたことだった。
【エビルプリースト
所持武器:危ない水着 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:この場にいる全員の始末】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
祠(ピピンたち)の存在に気付きました。変化の杖を落としました。
【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:エビルプリーストを倒す/オルテガたちとの対応を決める
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】
祠の離れからオルテガたちが出てこようとしたのでヒャダルコで入り口を塞ぎました。
64:保管庫指揮官用
03/03/30 10:33 BCqMWAAx
「ぬっ!?」
「ちっ、いきなり仕掛けてきた!」
リバストが舌打ちしながら凍りついた扉を拳で叩いた。
「呪文か、厄介だな。相手は見たのか?」
「いや、見えなかった。……蹴破れば出られそうだがどうする?」
「無論、行くまで!」
オルテガがそう息巻いた。
「待って! 今のは私の連れがした事かもしれません」
それまで黙っていたモニカが突然口を開いた。
少し息を弾ませ、振り返ったオルテガとリバストと交互に視線を交わす。
「まさか。誰が出てくるか確認もせずいきなり攻撃してきたんだ。
もし扉を開けたのが我々でなくお嬢さんだったらどうなる。仲間なんだろう?」
「え……そうだったんですか?」
モニカが不可解な表情をした時。
「しっ! 静かに」
そう言ってリバストが部屋の奥の壁に寄り聞き耳を立てるのを見て、オルテガたちは口を噤む。
「……声がする」
祠の方からだ。
「くはははは これぞまさしく人間の盾」
「卑怯だぞ!」
「子供を離せ!」
微かにそんな声が聞こえてくる。リバストもオルテガも瞬時に事態を悟った。
「我々のことは眼中になかったわけか」
リバストは弾かれたように部屋の入口まで駆け寄り、力任せに凍りついた扉を何度も蹴りつけた。
「こいつもただの足止めだ。厄介払いされるとはな」
「それにしても忌々しい。悪の臭いがぷんぷんする」
オルテガも加わり、扉は二人の勇者の猛攻に晒された。
扉は今にも音を立てて崩れそうだった。
モニカが遠巻きに声を殺しながらじっと二人を見守っていた。
65:保管庫指揮官用
03/03/30 10:37 LZBXm8ch
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上
行動方針:外へ出る】
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の離れ
第一行動方針:外へ出る
第二行動方針:アーロンの傷を完治させる
第三行動方針:仲間を探す】
チョコボが奥に隠れています。
66:保管庫改
03/03/30 10:39 LZBXm8ch
あれからジタンは彼自身のスピードと腕輪の力もあって順調に地下道の中を進んでいた、
かのように思われたが、ここに来て少々事情が変わっていた。
ジタンは息を潜め、柱の影から様子をうかがう、その先にはデスピサロとサマンサの姿があった。
「2度あることは3度あるっていうけど、厳しいな、さてどうする」
時間を考えると後戻りするのは避けたいところだ。
(あの2人…神殿に入ったのかな?)
ふと、ジタンは地下に入る前に出会った二人の男女、ティファとデッシュのことを思い出していた。
結局ティファたちとは、ただ導師からの伝言とフライヤの死、それだけを簡潔に伝えたのみで別れた。
言いたいことが無いわけでもなかったが、あの出来事はフライヤ自身が誰のせいでもなく、
誰が悪いわけでもない、と言い残しているのだ、ならばジタンが言うべき事は事実を伝えるのみだろう。
ジタン自身の心境はともかくとして…。
と、そこで。
「おい、そこで隠れている奴、これで3回目だがまだ懲りぬのか?」
気配を完璧に絶っていたはずなのに…男からかけられたその言葉に流石のジタンも背筋が寒くなるのを覚えた。
これまで2度戦い、2度とも力量の差を見せつけられている。
武器やアイテムが多少増えたところで、さしてその差が覆ることはないだろう。
逃げるか…いや逃げるにはもう遅い、どうする。
だったら、いちかばちかだ。
この話にあいつらが飛びつくかどうか…声をかけてきた以上あいつらも問答無用ってワケじゃなさそうだ。
わずかでも助かる可能性があると分かれば、もしかすると態度が変わるかもしれない。
(そういえば、2回とも仕掛けたのは俺からだっけ?)
ともかく、ジタンは覚悟を決めると、足元に武器を投げ捨て両腕を頭上で組み。
抵抗の意志の無い事を示しながら、ゆっくりと柱の影から彼らの前へと進んでいった。。
「なぁ…俺の話も少しだけ聞いちゃくれないか?」
67:保管庫改
03/03/30 10:41 LZBXm8ch
一方そのころ、デスピサロたちがいる通路の厚い壁を隔てた向こう側では、
部屋を飛び出そうとするアリーナをクラウドが制止していた。
「まてよアリーナ、何処へ行こうっていうんだ」
「決まってるじゃない!今やってきた人を助けるのよ!」
クラウドはアリーナの行く手を阻むように立つと、説得を続ける。
「俺は今は動くべきじゃないと思う、声を聞く限りあいつらに戦う意志は無いみたいだし
それで今やってきた奴が戦いを仕掛けて返り討ちにあうのは、自業自得というものだ…
俺達が動くべき問題じゃない」
「じゃあ、このままにしておけというの!」
「俺は俺自身と、そして何より君が生きてこの状況を抜け出すことが第一だと考えている、
それに君は命の恩人だ、危険に晒すわけにはいけない」
この部屋を出て先に進むには、今デスピサロたちがいる場所を絶対に通過しなければならない。
つまりあの2人が動かない限り、彼らも動く事は出来ないのだ。
「とにかくもう少し様子を調べてからにしよう、俺たちがやらなくちゃいけない事は戦うことじゃない
逃れる事だ」
こうして引き続き2人は通風口に耳を近づけて、向こう側の様子をうかがうのであった。
「すげぇ、2人とも正解だ」
それからしばらくして、ジタンは自分の賭けが成功した事にほっと胸を撫で下ろしていた。
脱出の儀式の話を持ちかけたところ、2人は興味津々といった感じで喰いついてきた。
しかしなによりもデスピサロが賛成の意を見せたのが意外だった、これにはサマンサも驚いていたが。
ともかくジタンはハーゴンから託された問題を2人に見せて、解いてもらうよう頼んだ。
「我々の力量を疑うとは…」
これには2人もやや機嫌を損ねたが、一発勝負である以上それも仕方が無いと割りきって
彼らは問題に取り組んでいた、そしてその結果が今、出たのであった。
68:保管庫改
03/03/30 10:45 LZBXm8ch
「難問でした、これは単純に強力な魔法の使い手というだけでは解答する事ができない
魔法知識や実際の儀式の運用に長けた者、あるいは元々そういった類の分野に特別なセンスを
発揮できる者でなければ解けないでしょうね」
余裕の表情のデスピサロとは正反対に、正解に胸を撫で下ろすサマンサ。
「とにかく、正解者が見つかって良かったよ」
ジタンもまた胸を撫で下ろす、これでまずは2人、導師が解答出来ていれば3人。
人数としてはこれでも充分かもしれないが、まだ時間がある。
それに唯一の仲間の生き残りであるエーコを探すという、新たな目的もあった。
と、そこでサマンサがやや挑発的な態度でジタンに問いかける。
「そういえば私を倒そうとは思わないのですか?」
挑発には乗らず、ジタンはしれっと答える。
「無事に脱出できたら、改めて考えるさ」
確かにビビの一件は正直、まだ遺恨が残ってはいる。
だがフライヤの件を通して、必ずしもサマンサの行動が悪いと言えるものであったのか、と考えると
ジタンにもサマンサを否定する資格は無いように思えるのだ。
それにマゴットの事での負い目もある。この事は今言うべきだろうか?
いや、この場でもめれば全てが水の泡だ、黙っておくか、放っておいてもいずれ分かるだろう。
その時はその時で考えればいい、折角丸く収まったのだから。
色々あって幾分疑り深くなったとはいえ、基本的にお人よしの彼は2人の協力を疑ってもいなかった。
しかし、当然デスピサロたちには裏があった。
実際、ジタンが問題の答え合わせに手間どっている間に2人の間でそれらのことについて、
話はついていたのである。
それはジタンに悟られぬよう、高位の魔法使いが用いる特殊な言語で行われていた。
これで聞き取られる心配は無かったし、例え聞こえてもジタンには理解不能だっただろう。
69:保管庫改
03/03/30 10:51 A164Gprn
以下が会話の概要である。
「しかし、ピサロ卿がこんな眉唾な話に乗るとは意外でしたよ」
「確かに眉唾だ、だがそれでも材料をそろえて煩雑な手はずを整えてくれるというのであれば
それだけでも価値はある」
「と、いいますと?」
「そうだ、儀式を乗っ取る、乗っ取って何を行うかはまだ決めてはおらんが、今言える事は
腕輪を手に入れていない状態で、易々と脱出などさせるわけにも、するわけにもいかん
と、言う事だけだ」
「神殿にはお前1人で行け、私は後で合流する」
「何かお考えでも?」
「私の目的はあくまでも腕輪を探すことだ、もし腕輪が入手できればその時は脱出の儀式に賭けるのも
悪くは無い、それに他の連中の状況を知るいい機会だ」
「私がもしも戻らぬ時は、その時はお前が、お前自身の判断で儀式を動かすが良い
ハーゴンとやらの話に乗るもよし、その他を選ぶもよしといったところだろうかな」
「了解いたしました、それではご無事を」
その後、デスピサロがジタンに同行を求めたとき、明らかにジタンは嫌そうな顔をしたが、
「こんな大事な計画をお前のような無鉄砲な奴だけに任せてはおれん」
そう言われると、思い当たる事がありありなのだろう、バツの悪い表情に変わる。
それにサマンサが先に向かってくれるのなら、その分時間に余裕も出来る。
そういった事情も手伝って、結局渋々ながらも同行を承知したのであった。
こうして3人は、それぞれ必要事項を打ち合わせた後、デスピサロたちはそのまま東へ、
サマンサは西へと向かったのであった。
70:保管庫改
03/03/30 10:52 A164Gprn
だが、しばらくすると西に向かったはずのサマンサが、何故か引き返してきた。
サマンサの手にはジタンから受け取った手榴弾が握られている、その数は3つ。
神殿には魔法の効かないロボットが徘徊してる可能性があるという事で受け取ったのだ。
さらに右手には星降る腕輪がはまっている。協力を盾に強引にねだり、
神殿につき次第、本来の持ち主に返すという条件付でgetしたのだった。
サマンサは殺気の篭った視線で、通風口の向こうを睨む。
「先ほどの屈辱は倍にして返えさせて頂きますよ」
この向こうにアリーナとクラウドがいるということはデスピサロから聞いている。
風向きの関係でデスピサロの力を持ってしても向こうの様子までは聞き取れなかったようだが。
恥辱のほかにも理由がある、あのアリーナとか言う娘はピサロの宿敵の1人。
ここで倒す事が出来れば、またとない援護射撃になるはずだ。
視線が通らなければ正確な攻撃は行えないし、大規模魔法を下手に使えばこちらも危険に晒される上、
何より魔法を刎ね返すアイテムを所持している、だがこれならば。
サマンサは手榴弾のピンを抜き、それを通風口の中へと放りこみ、足早にその場を去ったのであった。
71:保管庫改
03/03/30 10:52 A164Gprn
そしてその向こう側では。
「さっきから何も聞こえない、ってことはいっちゃったのかな?」
「いや、あともう少しだけ待った方がいいだろうな」
相変わらずクラウドとアリーナが通風口のすぐそばで耳を傾けていた。
あの闖入者が現れてからしばらく経過して、急に彼らの声が聞き取りにくくなった、
どうやら場所を少し変えたらしい、それでもわずかな物音で彼らがまだあの付近にいる事だけは理解できた。
そしてつい数分前、それらの音が全く聞こえなくなったのだ。
と、その時、通風口から突如として音が聞こえだした。
それは話し声とは違い、何かが高速でこちらに向かってくるような音だ、
2人ははっと顔を見合わせるが、すでに遅い。
その時には手榴弾が2つ、彼らの間を分かつように床へと転がり落ちていた。
「!!」
ずぅぅぅぅん。
「さて、先を急ぐとしましょうか」
爆発音を遠く背後で聞きながら、振り向くことなくサマンサは事も無げにそう言い放つ。
相変わらず冷たい笑みを浮かべながら。
72:保管庫改
03/03/30 10:53 A164Gprn
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける
【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明
【サマンサ:所持アイテム:勲章(重装備可能)星降る腕輪 手榴弾×1
現在位置:地下通路(大陸中央付近から西へ)】
第一行動方針:神殿に向かう
第二行動方針:生き残る
第三行動方針:不明
【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計
現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出
73:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc
03/03/31 00:38 1fDTRITs
保守。
74:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc
03/03/31 00:46 1fDTRITs
保守。
75:保管庫キャノン
03/03/31 01:48 c+nt7XS+
とんぬらは何もない空間から突然現われた扉に視線を移した。
扉は子猫が通れるかどうか、といったところでアニーの魔法によって凍結させられている。
中の様子は窺えないが、扉の向こうに人がいることには違いはない。
「お父さん、どうしよう?」
「…そうだね、この状況で乱入されるのは困るな。アニー、頼めるかい?」
「はい」
アニーはうなずくと呪文を唱え始める。これで少しは時間を稼げるだろう、この隙にあの邪神官を討つ。
とんぬらは再びエビルプリーストに視線を向けた。
何故か、エビルプリーストのいた所のすぐ側に扉が現われていた。
視線を外していた時間は僅かなものだ、これまた突然現われたもう一つの扉に驚いたが、
扉から飛び出してきた一人の少女と、
「きさま、リディアちゃんを離せ!」
聞きなれた男の声に、とんぬらは更に驚愕した。
エビルプリーストは自分に剣を向ける兵士に嘲笑うように笑みを浮かべた。
「ふん、その剣でどうするつもりかな?」
うぐ、と…腕の中にいる少女、リディアが呻き声を上げる。
腕からはどす黒い血が流れていた。扉を開いた時にいきなり切りつけられたせいだ。
それでもう一人の少女は取り逃がしてしまったが…しかし一人でも十分事足りる。
「やめろ!」
「やめて欲しいのならそれ相応の態度というものがあるだろう?まずはその剣を捨ててもらおうか」
「…くッ」
ピピンは下唇を噛んだ。リディアは泣きそうな目で自分を見ている。
それが何を訴えているのか、結局はわからないまま………ピピンは剣を捨てた。
「結構、では早速だがお別れだ」
リディアが何を言おうとしている。だが、エビルプリーストの腕が咽喉に食い込んで、声を上げられない。
エビルプリーストはリディアを拘束したまま、外へ飛び退いた。
空いている手に光の粒が集まりはじめて。それがまるで、リディアの瞳から涙が零れ落ちているようだった。
ああ、この子はきっと凄い美人になるんだろうな――
――それが、最後だった。
76:保管庫キャノン
03/03/31 01:49 c+nt7XS+
「お父さん、今の声」
「ああ…ピピンだ!」
「とんぬらさんの知り合いなの?あの子も?」
ルーキーが森の奥へと消えていく少女を見ながら言う。
ちょうど、メルビンたちが向かったほうに駆けていく少女の姿を確認して、とんぬらは首を横に振った。
「いや…多分、ここに来て知り合った子だと思う」
「そっか。あっちの橋は落ちているから、結局戻ってこなきゃいけないんだけど…」
と、扉の中からエビルプリーストが飛び出してくる。刹那、扉の向こうから激しい轟音が鳴り響いた。
「………!」
二人と一匹は息を飲む。それが何を意味しているのか、理解できずに。
エビルプリーストはイオナズンの余波を心地よく感じながら、厭らしい笑みを浮かべて三者に相対する。
「くくく…動くなよ」
「人質…?」
「そういうことだ。武器を捨ててもらおうか」
ああ、そういうことか。とんぬらは思った。子供を人質にとられ、何も出来ないままやられた、ということ。
咽喉の奥がヒュゥ、と音を立てた気がした。遥か昔の、けして忘れられない刃の冷たさを思い出して。
「いいのか?この子供の命が惜しくないのか?」
あぅ、と捕らわれの少女がうめく。その顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。
とんぬらは無造作に剣を捨てた。ルーキーも、迷いながらもブーメランを捨てる。
「結構結構。くくく…くはははは!これぞまさしく人間の盾といったところか!」
「卑怯だぞ!」
ルーキーが怒ったような声を上げる。
怒っている。ああ、そういうことか。とんぬらは思った。
――この状況は、あの時と同じじゃないか。
それに気付いた時、とんぬらの内から急激に怒りの感情が溢れた。
そして叫ぶ。
「子供を離せ!」
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