FFDQバトルロワイ ..
116:1/4
02/11/27 19:57
セシルが今立っているのは闇の中、時折蝋燭の炎に似た灯が通り過ぎる以外、
何の光も存在しない。
そしてその炎が照らすものは、見渡す限りの無数の屍の山だった。
そこにはカインがいた、リディアがいた、テラが、エッジが、ギルバートが.......
皆、無念の表情で息絶えている。
しかしセシルは構わず進んでいく、彼らの屍を踏みしめて......
やがてセシルの目の前に1人の女性が姿を現す、彼女はまだ生きているようだ。
それを見たセシルの瞳に初めて表情のようなものが浮かぶ、
「ローザ!.....良かった、戻ってきてくれたんだね」
しかし、ローザはセシルを拒絶するかのように怒りと悲しみの表情で弓を構える。
セシルにはそれも分かっていたようだ、両手を広げ、自らの心臓を射手へと晒す。
「いいんだよ、だけど君だけは生きて、僕が奪った命の分まで」
そしてローザの矢をその心臓に受け、セシルもまた無数の屍の中へと落ちていった。
「......夢か」
セシルが目を開けるとそこは一面の雪化粧で覆われた森の中だった。
目覚めると同時にカインの嘆きにも似た叫びが頭の中に甦ってくる。
だが、その叫びをもってしてもセシルの心は動く事はなかった。
彼には罪の意識と悲しみは存在すれど、もはや迷いは存在しない、
自分にとって唯一無二の輝ける太陽を再び甦らせるため、
永遠の夜にその身を堕とそうとする、悲しき騎士の姿がそこにはあった。
ただ一言、
「ごめん.....」
と口の中で呟き、彼はまた新たな戦いを求め白銀の世界へと踏み出していった。
117:1/4
02/11/27 19:58
ひとまず話を止めます。申し訳無い
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製)
ギガスマッシャー 現在位置:ロンタルギア東の森 行動方針:皆殺し
(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
118:1/2
02/11/27 20:26
デ「はぁはぁ。おい少年。こいつなんとかしろって!」
導「なんとかしたいところなんですが……、エアロが効かないんですよぉ!!」
デッシュは変な機械においかけられていた。それはアークマージのキラーマシーンである。
新しいフィールドにきて、現在の位置がロンダルキア西部の森だと分かりこれからの対策を考えていたところ、
いきなり矢がデッシュの左腕にささり、その後、キラーマシーンが2人の前に姿を現した。
どうやらキラーマシーンはデッシュをターゲットにしたらしく、右腕のブレードでデッシュに襲い掛かる。
デッシュは逃げ始め、その後をキラーマシーンが追い、その後ろをまた導師が追うという形になった。
導師は走りながらエアロを唱えるも殆どきかなかった。
木が多いのでボウガンは使えないというのもキラーマシーンは理解しているようだ。
導『もしかしたらホーリーなら効くかもしれないけど、下位のエアロならともかく上位のホーリーは、
走りながらじゃむりだし……。せめて戦士系のジョブならなあ。』
先頭を走るデッシュとキラーマシーンとの間が詰まってきた。人間の機械の差だろう。
119:2/2
02/11/27 20:27
とその時、導師の後方から女性の声がした。
「わたしに任せて。」
というと、その女性は全力で走っている導師を軽々と抜き去り、あっというまにキラーマシーンに追いつき、
キラーマシーンのボディに裏拳を叩き込む。キラーマシーンの動きが遅くなる。
キラーマシーンも目の前の敵の排除を優先させたのか、女性に攻撃を開始した。
キラーマシーンの攻撃もかなり激しかったが、女性の攻撃は機敏な動きでそれをかわし、キラーマシーンに的確にダメージを与えた。
デッシュも何時の間にか走るのをやめ、痛みをこらえ1人と1体の戦いを口をあけてみていた。
導師も自分が同じように口をあけてみていることに気づき、口を閉じる。
戦闘はスピードで勝る女性が徐々にマシーンの動きをおさえ、最後はアッパーからのハイキックをマシーンに叩き込むと、
マシーンは動かなくなった。
女性は「この腕輪がなかったら危なかったわね。」とひとりごちると、2人ににっこり微笑んだ。
「あ、まだ名乗ってなかったわね。私の名前はティファ。」
【導師/デッシュ 所持武器:天罰の杖/なし
現在位置:新フィールドへ 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】
【ティファ 装備品 星降る腕輪 現在位置 台地西の森 行動方針 クラウドたちを探す/神殿に行く】
※ロンダルキア巡回のキラーマシーン動かなくなりました。
※デッシュとティファの怪我は導師が回復しました。
120:↑修正
02/11/27 20:28
【導師/デッシュ 所持武器:天罰の杖/なし
現在位置:台地西の森 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】
【ティファ 装備品 星降る腕輪 現在位置 台地西の森 行動方針 クラウドたちを探す/神殿に行く】
121:オルテガとか
02/11/27 20:48
ロンダルキア大雪原地帯
洞窟を抜けてきた者への、第二の洗礼。
遠目には平坦な雪原に見えるソコは、歩みを拒む深い雪と山地特有の急な斜面。
そして犠牲者を求む数多くのクレバスが聖なる者の侵入を拒む。
この地には珍しい青空の下、黄色い影がこの台地の創生以来のスピードで駆け抜けて行く。
「クエーーーー!!」
嘶きも鮮やかに、チョコボは羽をはばたかせながら一際大きな裂け目を飛び越える。
それに乗っているのは覆面マントにパンツ一丁。荒くれ戦士オルテガだった。
しかし華麗に着地するチョコボの表情とは対照的に、彼の顔はすぐれない。
「むう、やはり充電が少なかったか……。そろそろ変身が解けてしまうな」
おもむろに地図を広げ、どこか休めそうな場所を探す。
「ふむ。北の森で休憩を取るか。どこか隠れる場所があるだろう」
オルテガは進路を変え、北の森にまっすぐ向かって行った。
「…相方にも困ったものだ。何か手紙でも置いといてやるか」
とりあえず変身のシステムを説明しなければな。消耗が激しいのだ、コレは。
変身してから20分。もうすぐオルテガが眠りにつく時間だ。
森の中は非常に入り組んでおり、所々に巨木が聳え立っている。
「…ふむ、あそこが良いか。」
オルテガの言葉の意図を読み取り、かなり高く跳躍した。
チョコボは頭上の巨木の枝に飛び乗り、再び高く跳躍する。
そして三度目に跳躍した時、チョコボは木の洞に着地した。
「…高低差はほとんど無視か。よくやった」
チョコボから降りたオルテガはやさしくチョコボの首をなでる。
チョコボもオルテガを甘噛みする。
「時間も少ない。はやく手紙を残さなければな」
122:オルテガとか
02/11/27 20:49
〜覆面の使い方〜
このたびは当社の製品を… (この辺は省くか)
この覆面はあなたの内面に眠るもう一人のあなたにアクセスする手段の一つです。
この覆面に封印されし荒くれ達の記憶は以下の通りです。
・荒くれ戦士 ・荒魔道士 ・慰安夫 ・武器防具屋
もう一人のあなたの活動時間は、あなたの意識のある時間によって回復していきます。
健全な成人男性の場合、一時間で約20分の活動時間が回復します。
最大活動時間は約四時間くらいです。また、変身が解けた時に気絶する恐れがあります。
説明は以上です。それでは快適な荒くれライフを御送り下さい。
「…こんなものか。余計な脚色が入ってしまったがな」
大剣で器用に木の壁にメッセージを彫りこんだ
「…ここまでか。今度は長い眠りになりそうだ」
オルテガは側に腰を下ろしているチョコボにもたれかけ、ゆっくりと覆面を外した。
【オルテガ(眠り) 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:洞窟北西の森の巨木の洞 行動方針:休憩】
123:>>91修正
02/11/27 22:24
>>91最後の段、 ロックは妙な顔を〜反応は弱々しい。 までを以下に修正します。ご迷惑おかきしまう。
ロックは妙な顔をしたが、「そうか」とだけいって再び歩き始めた。
エリアが立ち止まった理由―それはひどく奇妙なことに、
以前とはまったく違う、しかし他ならぬ水の反応がまた感じられたからだ。
ただ、それはとても弱く、ちょっと気をぬくとすぐに感じられなくなってしまう。
以前の人物とは違うことは明らかで、 何故かはエリアにはわからなかったが、それは恐ろしいように思えた。
しかし、自分たちよりは遙か西の方向にいる。ちょうど、城の南にある森のあたりだろう。
結局今のところはとにかく北へ向かうことに変わらないのならば、この問題はとりあえず放擲し、騒擾して心配をかけることのないようにしたほうがよい。
水の反応もまた北へと向かっている。相変わらず、反応は弱々しい。
124:2/4(116の続きです)
02/11/28 00:01
「くそっ!なんでこんなっ」
ロックとエリアは雪の平原をひたすら逃げつづけていた。
雪道で倒れている少女を助けようとしたら、その少女がいきなり攻撃を仕掛けてきたのだ。
「メラミ」
少女の手から火球が放たれる。
エリアに放たれたそれをロックがミスリルシールドで防ぐ、
「ぐうっ」
いかにミスリルと言えども呪文を受けとめた衝撃までは吸収しきれない、
強烈な痺れにロックは盾を落としそうになるが、
それでも何とか2人は森の中へと逃れる。
そして逃げながらもロックは心の中でずっと考えていたことがあった。
(俺の行為だ.....)
ロックはずっと後悔していた、あの時、先走って拳銃を射たなければ、
ファリスが傷つくことも無かったし、アモスが囮になることもなかったと。
だから....今度こそ俺が守らなければ、たとえ死ぬことになったとしても、
「俺がコイツを引きつける!アンタは必ず俺が守る!だから生き延びてくれよ!」
ロックはクイックシルバーを握り締め、盾を構えるとそのまま少女へとこれ見よがしに
その姿をさらし、南の方角へと逃げていく。
「お前の相手は俺だっ!」
「ほう」
少女、その正体は変化の杖で変身したエビルプリーストだ、は、禍禍しい笑顔を見せると
嬉々としてロックの後を追う。
(ふふふ、自分から別れてくれたわ、これは都合が良い、逃げろ逃げろ、くくく)
彼の目的は相手を倒す事でなく、自分が成り代わるべき確実な対象を拉致するためだ。
(死人が甦るわけには行くまいて、それにいつ本人と鉢合わせするかもしれんしの、
にしても、工場で出会ったお主とまた会えるとは思いもよらんかったわい)
そう頭の中で語りながらエビルプリーストは、あえて距離を置き、まるでロックを誘導するかのように
火球を放っていくのであった。
125:3/4
02/11/28 00:04
それからしばらくまた時間が経過する、と、森の中に潜むエリアの耳に足音が聞こえる。
(ロックさん.....!)
一瞬そう思ったが、どうやら違うようだ。
やがてその足音の主はエリアの前へとその姿を見せる、影のように黒い鎧をまとった青年だ。
エリアの存在は彼にとっては予想外だったようだ。
彼女を前にして少しだけ固まってしまうが、思いなおしたように剣を取る、その時、
「私を殺すつもりですね」
機先を制するようなエリアの声に、またその手が止まってしまう。
「ええ、まさかこんなところで会うとは思いませんでしたけど、ごめんなさい」
そう言って、ぺこりと頭を下げる青年。
その瞳はあまりにも哀しく、そして美しい色をしているとエリアは思った。
これほどの戦士を殺戮に走らせるには余程の理由があるはずだ。
エリアは迫り来る死の恐怖よりもその理由について知りたいと思った。
だからエリアは優しく微笑むと、青年へと問いかける。
「逃げも隠れもいたしません、ですが少しだけ理由をお聞かせ下さいませんか?」
青年はその言葉と表情に少し驚いたような感じだったが、そして......。
126:4/4
02/11/28 00:04
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製)
ギガスマッシャー 現在位置:ロンタルギア東の森 行動方針:皆殺し
(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬
水1,5リットル×2 吹雪の剣 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア東の森
行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
【ロック 所持武器:クイックシルバー 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア東の平原
行動方針:エリアを守る】
【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 現在位置:ロンタルギアの祠から北へ
行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末 ロックを確保し成り替わる】
127:修正
02/11/28 00:05
【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 現在位置:ロンタルギア東の平原
行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末 ロックを確保し成り替わる】
128:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/28 03:52
ロンダルキアの祠から西へ二つ目の橋の上。ミレーユは占いを再開していた。
近くにいる。
それだけはわかる。
けど…
「あの森の中で人を探すとなると厳しいわね。」
落ち着いていそうだが、彼女は焦っていた。
占いで守るべき人の反応が一つ消えた。
再び占いをしてみると二人が離れ離れになっているではないか。
「お願い。…アモス。私を導いて…」
そう思った瞬間。
──爆音が聞こえる。
「近い…?」
確かに近い。今、この橋の上から煙が見える。
そう思った瞬間、体が走り出していた。
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ベクタから旅の扉へ 行動方針:占いで見た三人に会う(ロック、エリア)】
129:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/28 06:31
訂正です。
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ロンダルキアの祠の西の橋の上 行動方針:占いで見た二人に会う(ロック、エリア)】
130:アルス組
02/11/28 06:36
「冷たっ!!」
降り積もる雪に顔からダイビングしてしまい、アルスは思わず声を上げる。
荒い息のまま、アルスは立ち上がって首に手をあてた。
どうやら時間には間に合ったらしい。安堵感がこみ上げてくる。
(あぁ、精霊ルビス様ありがとうございます。
さっきは暴言吐いちゃってすみませんでした。
これからも毎日お祈りします)
本当に時間ギリギリだった。
時間切れで死亡、なんて情けない死に方は死んでもごめんだ。
いや、情けなくない死に方ならいいってわけでもないんだけど。
自分でツッコミを入れつつ、アルスはティナの方に顔を向ける。
ティナは息を整えつつ、その場にしゃがみこんで雪を掬い上げていた。
手の上で雪がゆっくり溶けていくのをじっと見つめている。
神秘的な姿に一瞬見惚れてしまったが、すぐに頭を振って気を取り直した。
「ティナは、雪を見るのは初めて?」
「ううん、私達が元いた世界には、年中雪に覆われた炭鉱都市があるの。
とても・・・思い出深い所」
あの地――炭鉱都市ナルシェは、ティナ=ブランフォードという
人間にとって第二の始まりの地といえる。
ナルシェで氷付けの幻獣に出会ったこと。
あの瞬間から全てが始まったのだ。
もういちどナルシェに行きたい。今も炭鉱に住むモグに会って、抱きしめたい。
ささやかな願いではあったが、それだけに本心からの想いであった。
「そっか。もう一度行けるよ、きっと」
「そうだと・・・いいね」
弱々しく微笑むティナ。
131:アルス組
02/11/28 06:37
話題が途切れる。痛々しい沈黙。
(ど、どうしよう。雰囲気が重くなっちゃった。なにか話題は〜っと・・・)
「あ、あのさ、これからのことなんだけど・・・」
さんざん知恵を絞った挙げ句出てきたのは、
ヒネリもウィットも効いていない、あまりに現実的過ぎるセリフだった。
世界を救う勇者だなんだと言われても、ここらへんはまだまだ16歳の子供である。
「あ、ごめんなさい。そうよね、私達にはやることがあるものね」
微妙に情けない気分になりつつも、
アルスはティナの隣に腰を下ろし、考えをまとめる。
「やっぱり、仲間を探すことから始めようと思うんだ。
またティーダ達と会えればベストだね」
「そうね。あのゾーマっていう魔王を倒すにしても、
このゲームを抜け出すにしても、私達だけじゃ力不足だし」
アルスは周りを見渡した。
周囲は360度完全に険しい山脈で閉ざされている。
その頂は深い雲に覆われ、どれほどの高さなのか見当もつかない。
「あの山は丸1日かかっても越えられない。
きっと参加者は山に囲まれたこの土地の中に全員飛ばされてるんだ。
だとすれば、ここはさっきまでいた帝国領よりだいぶ狭いから、
誰かを探すだけならそう難しくないと思う。この杖もあることだし」
対人用のレミラーマの杖。
今までに試してみたが、感知できる範囲は半径100メートルといったところだ。
杖を手に取って念じなければ効果が現れないという欠点はあるが、
これさえあれば少なくとも不意の遭遇は免れることができる。
「問題は、『誰に会えるか』ね」
ゲームが始まってから2日以上が経過している。
この期に及んで単独行動をしているのは、ゲームに乗った人間である可能性が高い。
しかし、パーティを組んでいても全面的に信じることはできない
(デスピサロとサマンサという、アルスにとって信じたくない実例がある)。
安全度が高いのは3人以上のパーティだろうか。
とはいってもそういうパーティが都合よく見つかるかどうかは未知数だ。
132:アルス組
02/11/28 06:40
(結局、絶対確実なんてありえないんだな)
胸中でつぶやく。
単独行動をしているいい人だっている。
悪人同士が手を組む事だってある。
最終的には自分達の目で相手を見通すしかないのだ。
風が吹き抜けていった。寒さがじわじわと体に染み込んでくる。
砂漠を全力疾走してかいた汗が、こちらの世界の
寒冷な気候によって冷やされているのだ。
隣を見ると、ティナも寒そうに体を縮こまらせている。
「とりあえず動こう。じっとしてたら寒いし。
動き回った方が他の人を見つけやすいだろうから」
言いながらマントを外し、ティナにかぶせる。
「あ、これ・・・」
「使って。その格好じゃ寒いよ」
「ありがとう・・・アルスは、優しいね」
柔らかい笑顔を向けられて、アルスは思わず下を向いた。
心臓がドキドキいっている。
(変な気分だ。どうしたんだろう・・・)
あまり深く考えると泥沼にはまってしまいそうな気がする。
緊張しているからだと自分に言い聞かせて、アルスは立ち上がった。
「じゃ、じゃあ行こうか。とりあえずこっちの方向でいいかな?」
「? ええ」
慌てたように言って歩き出すアルスをきょとんとして見つめていたティナだったが、
すぐに後を追って歩き出した。
【アルス/ティナ:
所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣/プラチナソード
現在位置:ロンダルキア中央やや南西の平原を北へ(平原と砂漠の境目には結界)
行動方針:仲間を探す/謎の少年(テリー)の手にかかって殺される】
133:1/4
02/11/28 18:29
一面の銀世界。先ほどのベクタよりも、空気が薄く、冷たい。
「雪山、か」
慣れていない人間にとっては、厳しい戦場となるだろう。
酸素の不足は戦闘力の低下を招くし、冷たい外気は容赦なく体温を奪う。
最も、高山での奴隷生活を長年強いられてきたヘンリーにとっては、何の苦もないが。
アグリアスは、ヘンリーより少し離れた場所に降り立っていた。
二人ともすぐに互いの姿を見つける―が、少し困惑した表情を浮かべる。
殆ど垂直に近い、険しい斜面で阻まれていたのだ。
大した距離ではないが、飛び降りるには危険が過ぎる。さりとて道具もなしに昇れる角度でもない。
「私がそちらにいく」
辺りを見まわし、先に回り道を見つけたアグリアスが、声をかけた。
その時だ。
およそこんな雪山には似つかわしくない、透き通った歌声が響いたのは。
「おい、先に向こうに行ってるぞ」
ヘンリーはアグリアスの返事を待たずに、声の方向へと向かった。
134:2/4
02/11/28 18:30
セリスは、切り立った崖の上にいた。
重過ぎる罪の意識と、深い後悔に囚われて。
時と共に増大していく、死への誘惑に誘われて。
「…………」
虚ろな瞳に映ったのは、白銀の世界と、どこまでも広がる空。
それは『彼』と、彼に会った『場所』を思い起こさせた。
……だからだろうか?
―愛しの貴方は遠いところへ 色あせぬ永久の愛誓ったばかりに
気がつけば、あの時の歌が、口をついて出ていた。
そう……初めて『彼』、セッツァーに出会った時の、オペラの歌。
―悲しいときにも辛いときにも 空に降るあの星を貴方と想い
ここが戦場だということも忘れ。
両手を広げ、声量を上げて。美しい歌声を響き渡らせて。
その姿は、オペラの主役、女優マリアそのものだった。
135:3/4
02/11/28 18:31
人の気配は、とうに察知していた。
それでも彼女は、歌うことを止めなかった。
―ありがとう私の愛する人よ
― 一度でもこの思い 揺れた私に 静かに優しく答えてくれた
避けようと思えば、避けられただろう。
受け止めようと思えば、雪の上に置いた剣を拾い上げ、止めることもできただろう。
セリスは、どちらもしなかった。
その代わりに、白い雪の上に舞い散った、赤い血を一瞥し。
斧を振り下ろした青年の方に向き直って。
「さようなら、ロック……」
永久に歌われることのないフレーズの代わりに、たった一言を残して。
彼女の足は、トン、と雪を蹴った。
彼女は、幸せだった。
彼女は確かに、『帝国将軍セリス』の枷から解放されていたのだから。
だから―最期の瞬間まで、彼女は微笑を浮かべていた。
136:4/4
02/11/28 18:32
風になびいた金の髪と、女性の浮かべた微笑が。
かつての妻の面影と、一瞬重なる。
「……マリア!」
思わず差し伸べたその手は、虚空を掴んだ。
神の塔のように、奇跡は起こらない。
投げ出された身体は、どこまでも落ちていくだけ。
彼はその場にしゃがみこみ、遠くなっていく女性の姿を見届けた。
「………」
どれほどそうしていただろうか?
アグリアスの足音が、近くで聞こえた。
ヘンリーはすっくと立ちあがり、女性の荷物を手にする。
「行くぞ。もうこんな場所に用はない」
そう声をかけて、彼は崖を後にした。
【セリス:死亡】
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1 ロトの剣
現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:皆殺し】
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法
装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた
現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:ゲームにのる】
137:>>133-136
02/11/28 21:57
感想スレで『話が破綻している』との意見を戴きましたので、
>>133-136はNG扱いにしてください。
ご迷惑おかけしました。
138:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/28 23:38
剣を構える。
その場だけ静かなる刻が支配する。
──殺気が感じられない。
お互い何も言わずに剣を収める。
さぞ、名のある戦士に違いない。
…無言で互いの横を通り抜ける。
パパスは無言でその男の陰を見送った。
トーマスがクゥン?と鳴く。
「よい。とにかく私たちは人を探す。」
このまま山沿いに南にいけば洞窟があるはず…
そこに皆がいればいいが。
あの者は目的があり、それをしっかり見据えている人の目。
迷いなき目。
─かつては私もあのような目をしていたのかもしれない。
目的のない戦士、リバストはパパスの後姿を見て、そう思っていた。
自分はありもしない…
いや、あるのかもしれない。
友は何のために私を生かしたのだ。
まだ、自分の目に見えてないだけのかもしれないな…
リバストは空を見上げた。
見下ろした次の瞬間。その足は動き始めた。
【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい) 現在位置:南東の森付近の平原。平原を南へ 行動方針:パパスについていこうと思ってはいる】
【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:南東の森付近の平原。平原を南へ 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。跡地の旅の扉にて限界まで待つ】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:南東の森付近の平原。平原を北へ(祠を経由し、神殿へ) 行動方針:今のところ無し】
139:1/5
02/11/29 00:01
ぽとり....ぽとり.....
セフィロスの肩に地下水の雫が落ちる。
ロンダルキアから下界に向かう洞窟の入り口付近で、セフィロスは何をするでもなく佇んでいた。
その表情にはわずかながらも苛立ちのようなものが見える。
デスピサロ.....そしてアモス、自分こそ最強を信じて疑わなかったセフィロスにとって、
昨夜からの一連の戦いは不快きわまりない苦い思い出として胸の中にくすぶり続けている。
これを払拭するにはやはり戦いしかない。
セフィロスに生き残りたいという欲求は正直乏しい、とりあえずはルールにしたがっているのみに過ぎない。
だがそれでも最強の座についた者こそ、生き残るべきだとも思っているし、
それが自分であると信じて疑ってもいないことも事実だ。
そんなことを考えているセフィロスだったが、やがてこちらに向かう何者かの足音と気配を察知すると、
わずかに唇を笑みの形に歪ませ、背中の正宗へと手を伸ばした。
「ありがとよ、お前さんのおかげで楽に抜け出す事が出来そうだぜ」
「いえ、そんなことありませんよ」
無限回廊を突破したラグナの感謝の言葉に、アーサーは少し照れたようなそぶりを見せる。
出口が近くなってきた安心感もあるのだろう、3人の表情に少しだけ余裕が浮かんでくる。
余裕が出来れば口も軽くなる、誰からとも無く雑談が始まる。
もちろん1番かしましいのは1番後ろを行くマリベルだ、ぺちゃくちゃと口が止まらない。
「それにしてもあのギルガメッシュって男は情けなかったわよぇ、なーにがセフィロスに出会ったら逃げろ、よ
そのセフィロスって奴がどれほどの者だってのよ、箱に隠れて振るえていた奴が言っていても説得力ないんだっての」
マランダの街で自分が犯した大失態を棚に上げて、マリベルは強がっている。
つられてラグナも笑うが、アーサーは笑う気持ちにはなれなかった、同じ事をクラウドにも言われていたからだ。
140:2/5
02/11/29 00:02
「大体、こんなビジュアル先行の男が見かけ通り強かった試しがないわよ、
ホントは顔の1/10の実力も 無いんじゃないの?」
と、相変わらず軽口を叩くマリベルだったが、先頭のラグナが突然立ち止まったためにその背中に
鼻をぶつけてしまう。
「ちょ、いきなり」
「おい....そのビジュアル男がいるぜ」
そう、確かにラグナの指差した先にはマリベル言うところのビジュアル先行の男、
すなわちセフィロスが出口の光を背負って立っているのであった。
セフィロスは待ち構えていた相手がようやく現れたのを見て、正宗を抜き放ち3人へと襲いかかる。
「ベギラマ!」
マリベルとアーサーの声が同時に洞窟に響く、先に発見した分彼らの方が迎撃が早い。
だが、セフィロスの踏みこみは彼らの予想を遥かに超えていた、
ベギラマによる炎の壁が出来たのはセフィロスの遥か背後だった。
「こっちだっ!」
洞窟の奥へと退避しながらラグナがマリベルから借りていた、エルフィンボウを発射する、
セフィロスがそれを防ごうと正宗を構えた時、マリベルが同時にいかづちの杖を振りかざし、
また再びアーサーがベギラマを唱える。
2重にとどろく閃光、だがしかしそれでもセフィロスはとっさに上に向かって飛ぶと、
天井に正宗を突きたてて、呪文も弓矢も回避する、まさに凄まじいまでの戦闘能力だった。
天井に張りついたまま、セフィロスはマリベルへと尋ねる。
「どうだ?、これでもセフィロスはビジュアル先行の男か?」
聞こえていたらしい、頭上の声にマリベルは思わす口を押さえてしまう、自分が勝気な分、
マリベルは敵を楽観視する傾向があるが、今回は見事にそれが裏目に出た。
(いまさらあやまっても許してくれないわよね.....どうしようか)
悩んでいる間にセフィロスが動く、一旦正宗を引きぬくとそのまま空中で天井めがけて何度も
斬撃を繰り返す、まさに一瞬の早業、そして地上に着地するとそのまま出口へとバックステップで退いてゆく。
141:3/5
02/11/29 00:04
「?」
その行動の意図が掴めず、困惑する3人だったが天井から落ちる砂と水滴を見て、はっと気がついたように、
ラグナが叫ぶ
「崩れるぞ!」
もともと造られてかなりの歳月が経過していたのだろう、その上この周り一帯は地下水脈が通っている様だ。
そのため、水を含んだ天井は、わずかな衝撃にも絶えられぬほど脆くなっていたのである。
しかし恐るべきは、それを見抜いたセフィロスである。
自分めがけて崩れ落ちる岩盤を見て、立ちすくむマリベル、それを、
「あぶねぇ!」
ラグナがマリベルを抱きかかえ洞窟の奥へと飛び退さる、そして土煙と轟音
それが収まったとき、洞窟は岩盤で完全に塞がれてしまっていた。
そしてその場に残っているのはセフィロスとアーサーの2人だけになった。
出口側にいるセフィロスは正宗を青眼に構え、余裕の表情を見せている。
一方、アーサーはがくがくと笑い出しそうな膝を必死でこらえながら、呼吸を整えている。
「戦えるのは僕だけか......」
アーサーにはたった一つだけ策があった、これを実行すれば間違い無くセフィロスを倒せる、
だが、それは同時にアーサーの死をも意味していた。
142:4/5
02/11/29 00:05
その脳裏に魔法の師の声が聞こえる。
『よいか、この呪文は成功・不成功に関わらず術者は必ず死ぬ、術者の生命が発動の触媒なのだ』
(死にたくない......死にたくないよ.....でも.....)
アーサーは、これまで出会った数々の人々の顔を思い出す......
(誰かの為に死ねるのなら、この命が無駄にならないのなら......)
幸い、ここには自分とセフィロスの2人しかいないし、後ろは分厚い岩盤で塞がれている、
使っても誰も巻き添えにはならない。
そして、アーサーもまたゆっくりとひのきの棒を構え、セフィロスへと叫んだ、
精一杯の勇気と覚悟を込めて.......。
「行くぞ!」
【マリベル/ラグナ 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前、ただし岩で遮断されている)
所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト
行動方針:首輪を外してゲームを抜ける】
【アーサー 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前・洞窟側)
所持武器:ひのきの棒 行動方針:何とかしてセフィロスを倒す】
【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前・ロンダルキア側)
行動方針:全員殺す・勝ち残る】
(5/5はありません、失礼)
143:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/29 02:28
青眼に構えたセフィロスからの一撃がアーサーへと迫る、アーサーはひのきの棒でそれを受けるが、
それは一瞬で手元から切断され、さらに返す刀が、
そのままアーサーの左脇腹から右脇までをも一気に斬り裂いていた。
アーサーも決して剣が不得手なわけではないが、だがいかんせんひのきの棒ではどうしようもなかった。
しかし、そうなるのは覚悟の上だった、アーサーは歯を食いしばり正宗を脇に挟み最期の力を振り絞り
呪文を・・・・・自分の生命を代償に、究極呪文の一つメガンテを唱え始める。
が、その時アーサーの視界に人影が入る、セフィロスの背後だ。
逃げてと言いたいが呪文の詠唱に入っているため声を出せない、究極呪文だけあって、
かなり長い詠唱が必要なのだ。
(だめだ・・・・これじゃ使えない)
今メガンテを唱えれば、確実にセフィロスは倒せる、しかしそれは背後の人を巻きこんでしまうことになる
(出来ないよ・・・・出来ない・・・よ・・・で・・も)
アーサーは呪文の詠唱を止める、と同時に正宗が閃き、アーサーの身体はバラバラになっていく、
薄れ行く意識の中で飛び散る自分の肉片を眺めながら、ぼんやりとアーサーは呟いていた。
「これで・・良かった・・んだ・・・・・そうだよ・・・ね」
ごとりという自分の首が地面に落ちる音を合図に、アーサーの視界は闇に閉ざされた、永遠に。
セフィロスはアーサーに止めを刺してから、ゆっくりと背後の気配を確認する。
「逃げたか・・・・」
つまらなさそうにセフィロスは呟いたが、彼はその人物に感謝すべきだろう、
そいつがあと1秒立ち去るのが早ければ今ごろセフィロスはアーサーもろとも、
粉微塵になっていたのだから・・・・
【アーサー:死亡】
【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前・ロンダルキア側)
行動方針:全員殺す・勝ち残る】
(逃げたキャラは不明・お任せします)
144:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/29 05:54
「…ん?」
リノアが目を覚める。鼻を突くのは腐敗臭。
生物の死骸が腐った臭い。
ここはロンダルキアの台地からある意味一番遠い箇所。
ロンダルキア、地下部。綺羅星の如きの勇者がこの洞窟に果敢にも乗り込んでいって敗れた者。
未練を残した英傑はこの洞窟にて、また一人仲間を増やさんと永久に彷徨うことになる…
いま、ここにいるのは二人。スコールとリノア。
ここを彷徨っているはずの腐った死体の姿は見えない。…当然ではあるが。
その代わり、すでに動くことを許されず終焉を迎えた死体はあるわけだが。
「スコール?」
沈黙を保ちつつ、振り返る。
─あれから、何も話してくれない。
何があったのか。何を問いかけてもその答えは首を振るだけ。
わかるのは今、ここに彼はいて、気を失っていた間守っていてくれたということ。
…それだけでも十分なのかもしれないけど。
「行こう。どこかへ…ね。」
スコールは頷く。
ふと、部屋の隅にある宝箱に目が行く。
それはかつて命の紋章というアイテムが眠っていた宝箱。
何か、ひきつける、ものがある。スコールは感じていた。
「…」
「これって、宝玉、だよね。」
かつての魔王が幾多の術を用いて、勇者たちを惑わした。
だけど、そのまやかしの術は必ずや破られることになる。
…真実のオーブ。まやかしの術を打ち破る術であるそれはエビルマージが恐れて自室に封印していた…はずのもの。
無言を保ちながら階段へと歩き出した。リノアがあわててそれを追う。
【スコール(負傷)/リノア 所持武器:真実のオーブ/妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階 行動方針:?/スコールに着いていく 洞窟を抜ける方針で】
145:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/29 06:13
(流出アイテムは以上で全てです。)
146:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/29 06:34
「ちく....しょう」
あと数メートル先に進めば外に出られるというのに・・・・
ラグナは腹立ち紛れに、自分の目の前で出口を塞いでいる岩を殴りつける.....痛い。
どうやら大人しくしていた方がよさそうだ、ただでさえかなりヤバイ状態なのだから。
そう、マリベルは何とか助かったものの、ラグナは岩盤の下敷きになってしまっている。
その膝から先については痛みはおろか感覚すら感じない、どうやら潰れるどころかそこから千切れてしまったらしい。
「必ず助かるから......泣くなよな、おい」
ラグナはそれでも自分の傍らのマリベル----ラグナの位置からだと足しか見えないが、へと優しく話しかける。
「泣いてなんかいないわよっ!」
「何だよ、俺の為に泣いてくれてんのかと思ったのに」
強がる割りに瞳は真っ赤に充血している、とにかくマリベルは通路をびっしりと塞ぐ岩を色々と調べている。
(今のままでラグナさんを助けるのは無理ね)
崩れ落ちた岩と岩との微妙なバランスによってラグナの身体はペシャンコ寸前で保たれている、
もし下手に崩せば今度こそ本当にペシャンコになってしまうだろう。
ならばまずは何とかして通路を開通させて、誰か助けを呼ばないと、
マリベルは比較的頑丈でなおかつ安定している岩に目星をつけると、イオの力を一点に凝縮させて、
少しずつだが砕いていく、それは気の遠くなるような作業だった。
イオナズンやベギラゴンを使えばもっと楽なのだが、強力な分だけ制御が難しいし、
もし失敗すれば、ラグナが巻き添えになってしまう。
ラグナにもマリベルが何をしているのか分かったのだろう、嗜める声が飛ぶ。
「おいよせ、この岩がどれくらいあるのかわかってんのか!?」
しかしマリベルはそれには応じず、酸欠気味の洞窟内で早くも意識を朦朧とさせながら、
うわごとのように小声で呟くのみだった。
「それでも、何とかしなくちゃ.....何とか」
147:名前が無い@ただの名無しのようだ
02/11/29 06:34
【マリベル/ラグナ(重傷) 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前、ただし岩で遮断されている)
所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト
行動方針:首輪を外してゲームを抜ける・洞窟から脱出する】
(もし全体攻撃呪文等で岩を破壊しようとした場合、100%ラグナは巻き添えになります)
148:1/3
02/11/29 06:41
世界を渡る旅の扉、抜けた先にあったのは銀世界だった。
雪に覆われた山道に自分は立っている。
「…さむ」
吹き付ける風に、マントをすり合わせるセリス。
辛い事はこれまでにもあった。雪山で剣を振るった事もあった。
でも、その時にはそばに誰かがいてくれた。…『あの人』がいてくれた。
「……ロック……」
今は誰もいなかった。それが、堪らなく寒かった。
何でも、今自分達は殺し合いをしているのだという。
聞こえてくる放送では、仲間であるセッツァーがすでに誰かの手に掛かったそうだ。ケフカも、逝ったらしい。
だが、セリスには信じられなかった。仲間たちの強さは自分が一番知っているし、
それに自分は…この『ゲーム』が始まってから、誰にも会っていなかった。
実際にはすぐ側で殺戮が繰り広げられていたのだが、神懸り的な偶然でセリスはそれらに遭遇もしていない。
だが、それは逆にセリスの孤独を煽った。
もう、自分ひとりしかいないのではないか。いや、最初から誰もいないのではないか…
寂しさと不安がセリスを包む。
私は…たった一人で、朽ちていくのだろうか…?
耳の奥で、ケフカの笑い声が聞こえてきた。マリオネットを操る道化師の笑い声だ。
ああ…気が、狂いそうだ。
思い切り叫ぼうとした、そのときだった。
人の気配に気付いたのは。
「…誰」
思わず、口に出していた。
自分の命を狙う者かもしれない。それでも、出さずに入られなかった。
そして、物影から一人の男が現れた。
「こんにちわ。あなたも、今回の事に巻き込まれた人ですよね?」
一見友好的な態度。ヘンリーだった。
149:2/3
02/11/29 06:42
セリスは戸惑った。こんな非常事態に、これまで誰にも会わなかったのに、突然現れた男。
男は何事もなかったように平然としている。まるで、何事もなかったかのように。
もしかして、自分は騙されていたのかもしれない…ゾーマと名乗る、狂言師に。
何が正しくて、自分は何を信じればいいのだろう。
そんな事を考えているうちに、ヘンリーは歩み寄ってくる。
「そうそう、僕は『とんぬら』というんですよ。あなたは?」
笑顔。だが、後ろ手には幾人もの血を吸った斧が握られている。
後もう少し、そこが必殺の間合いだ。
なにやら考えているトロそうな女を見ながら、ヘンリーは口の中で笑った。
だが、その笑いは、凍りついた。
「マリア…です」
セリスは、ただ単に不用意に名乗るのはまずいかもしれないと思ったから、偽名を使ったに過ぎない。
『マリア』という名前も自分が初めて使った偽名で、咄嗟に頭に浮かんだからだ。
だが、ヘンリーにとっては違った。その名前はヘンリーにとって無二のもので…奇しくも、セリスと妻、マリアは同じ金髪だった。
硬直するヘンリーに、怪訝そうな表情を浮かべるセリス。
どうかしたのか。そう口を開こうとして、セリスは咄嗟に状態を逸らした。
「何をやっているっ!」
怒声。女のものだ。衝撃と痛みがセリスの頭をシェイクした。
何か、飛礫のようなものをぶつけられたらしい。右肩に当ってしまったが、咄嗟に身を逸らしたおかげで砕けてはいないようだ。
痺れる肩を抱きながら、ヘンリーから飛び離れる。再び飛礫がきたが、避けるまでもなく明後日の方向へ飛んでいった。
着地すると同時に腰に佩いていた剣を抜こうとして…
「え?」
セリスは、足元を見た。崩れる地面、奇妙な浮遊感。
次の瞬間、セリスは宙に投げ出されていた。
150:3/3
02/11/29 06:43
「キサマ、やる気あるのか!」
アグリアスは怒鳴った。
ヘンリーは、セリスが落ちていった崖を見ている。その姿は、腑抜けたものに見えた。
――この男、思った以上に役に立たんかも知れんな。寝首をかく日も遠くないようだ。
しばらくして、ヘンリーは、崖から視線を外した。
「どうする、止めを刺しに行くか」
「この崖を降りて、か?行きたければ一人で行け」
「キサマ…」
「ふん…行くぞ」
ヘンリーは歩き出す。
マリアと名乗ったあの女は、やはり自分の妻であるマリアとは違った。
わかっている、違うことは。
わかっているのに…ヘンリーの内には、小さなしこりが残ったままだった。
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1
現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:皆殺し】
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法
装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた
現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:ゲームにのる】
【セリス 所持武器:ロトの剣
現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯 行動方針:錯乱? 崖下へ転落】
151:1/4
02/11/29 12:57
《午前8時四十分前後》
「愛する者の命のために。」
まっすぐなエリアの眼差しを正面から受け止めながら、セシルは答えた。彼女の問いに。
その言葉に、エリアの微笑が消え、何か別の表情が取って代わる。
「…そのために命を奪うのですか?沢山の、同じ、命を。」
我知らず手を握りしめながら、エリアは静かに言った。自分を押さえていないと、怒鳴りだしてしまいそうだ。
「僕にとって、命は“等価”じゃない。このゲームに参加してる全ての人間より、僕にとってのローザの命は重い。」
彼自身、冷たいなと驚くほどの声音でセシルが言う。まるで自分に言い聞かせるみたいに。
セシルは、ウソを言ってはいなかった。少なくとも今の時点では。
昔は、ゲームに参加する前は、そうは思っていなかった。全ての命は等価値だと思っていた。
だけど、気づいた。彼女が死んで。
彼女は何よりも大事だ。だから、他の命を奪ってでも彼女を生かす。
決意した時、彼はゾーマの操り人形になる事を決め、己を捨てた。
リディアと出会い、まだ僅かに心に残っていた己に気づき、再びソレを放棄した。
カインと出会って、再確認した。
セシルは今、誰だって殺せる。エッジでもカインでもリディアでも。ましてや知らない他人の命などそれ以前だ。
「…分かります、あなたの思いは…だけど、私にも背負うモノはあります!同じくらい、重いモノが!」
思わずそう叫んで、エリアは携帯していたミスリルナイフを抜いた。
エリアの心の中で焔(ほむら)が唸った。優しき水の心の中で、炎が怒りの産声を上げた。勇気の炎が。
その瞬間、セシルの表情が変わった。顔が強ばる。顔の裏で激情が爆発する!
どぉぅんっ!と、エリアの足下で黒の衝撃が弾け、ばっと雪が散る。周りに生えている木の一本が衝撃で倒れる。
剣の切っ先をこちらに向け、セシルが低く叫んだ。先ほどの黒の爆発も彼の仕業か。
「分かるものか…あなたに…!」
剣の切っ先に黒い光を集め、それをエリアに向ける。
…このまま話していたら、捨てたはずの己が戻ってくる。ソレは駄目だ。
ローザを生き返らせるためには、みんな殺すためには、何よりも、甘い自分自身が不必要なのだから。
152:2/4
02/11/29 13:01
ナイフを構えながら、エリアは小さく息をのんだ。
目の前にいる騎士は、強い。どうしようもなく強い。
ナイフを抜いて怒鳴ったのは失敗だったか?
否、そもそも彼女に打算など全くない。ただ、思いをぶつけただけ。
…騎士の、セシルの剣の切っ先の、黒い輝きが吠え狂う。
一瞬後には、エリアは黒い爆圧でバラバラになるだろう。避けられそうもない。
エリアはぐっと歯を食いしばった。その爆圧と、訪れる死を耐えるべく。
だあんっ!
爆圧は、エリアを殺しはしなかった。
「っ…!」
「エリア!無事か!」
「ロックさん!」
間一髪のところで駆けつけたロックのクイック・シルバーが、セシルの腕を撃ったのだ。
残念ながらその一撃は真芯を捕らえず、腕を軽く裂くにとどまったが。
「邪魔をするな…!」
セシルは静かな怒りをたたえ、ロックに向かって剣を向ける。
「ロックさん!これを!」
エリアはザックから吹雪の剣を取り出すと、ロックの方に向かって思いっきり投擲する。
非力な彼女としては長い時間、剣は宙を舞い、ロックの足下に突き刺さる。
「っ…!」
ロックが剣に向かって跳躍する、ロックの立っていた場所を黒が薙ぐ。クイックシルバーの弾丸が空を切る…!
「エリア!下がれ!遠くまでだ!」
剣を握ったロックが短く叫ぶ。エリアはソレを聞いて一瞬迷い…振り向くと、南に向かって走り出した。
自分では足手まといになる…味方がいる。
そして、ここからしばらく南には…あの、小さな水の反応があったはずだった。
153:3/4
02/11/29 13:09
「く…くう…。」
邪神官エビルプリーストは、弾丸に打ち抜かれた腕を引きずりながら雪原を歩いていた。こちらに走っていったロックを追って。
(あの男め、なかなかやる。)
彼と戦っていたバンダナの男、呪文すら使えないくせをして…。
あの弾丸さえ喰らわなければ、ヤツを捕縛できたのに。一瞬の隙に逃げられてしまった。
腕の治療にベホマを使っているが、どうも効きが悪い。なにか、力を制限されているような…。
ぼふっ!
突然なにかに足を取られて、エビルプリーストはその場に倒れた。
考え事をしていたせいで、足下に気が回らなかった。
「む、むう…。」
腕を引きずりながら立ち上がり、振り向く。何だ?何に足を取られた?
振り向き、足元を見ると答えは知れた。死体だ。死体に足を取られた。
深い雪に埋められ、埋葬されていたのだろう。彼が派手にこけたせいで雪が散り、ソレは顔を露わにしていた。
女性だった。紫色の髪の、美しい女性。
エビルプリーストは一時思案する。
死人に化けるのはリスクが大きい。本人の知り合いに会ってしまえば一発でばれる。
だが、いきなり出会ったら…どうだ?
驚くだろう。死んでいるはずの人物が生きて目の前にいるのだから。
その一瞬の隙さえあれば…呪文をたたき込める。
しかも、この女性は相当な美人だ。武器が無くて困ったフリでもしていれば、お人好しが助けに現れるだろう。ソイツを、仕留めればいい。
エビルプリーストはニヤリと笑い、変化の杖を振りかざした。すぐに彼の身体が女性の…ファリスの姿に変わる。
エビルプリーストはとりあえずおとなしい表情を作って、軽く一回転してみる…完璧だ。
「こんな物かしら…。」
声を出してみる。なるべくしおらしく。
もしもまったく事情を知らないバッツがコレを見たら大笑いするだろう。もしくはファリスは気でも狂ったかと心配するだろうか。
ファリスの姿をしたエビルプリーストは、にやっと嫌な…ファリスが絶対浮かべないような笑みを浮かべて、ファリスの死体を埋め戻した。
154:4/4
02/11/29 13:12
「む…。」
ファリスの死体を埋め戻そうとしたエビルプリーストの手に、何か堅いモノが触れた。
金属の感触。何か生き物のような形。
雪の中に手を突っ込んでまさぐり、ソレを取り出す。
ペンダント。大空を舞う飛龍を象ったペンダント。
「…もらっておくとするか。」
ファリスの姿をしたエビルプリーストは、ソレをザックの中に放り込んだ。
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) ギガスマッシャー
現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方) 行動方針:皆殺し(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【ロック 所持武器:クイックシルバー 小型のミスリルシールド 吹雪の剣 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)
行動方針:エリアを守る】
【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬
水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から南へ
行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
【エビルプリースト(現在の姿はファリス) 所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:ロンタルギアの祠南に8マス・ファリスの墓
行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
155:1/3
02/11/29 17:27
「あいててて……」
ティーダは頭を抑えながら立ちあがった。
「大丈夫ー?」
頭上から、エアリスの心配そうな声が響き渡る。
「大丈夫じゃないッス……もう、5回目ッスよぉ?」
「全く、情けないな! バッツならこれくらいの落とし穴、簡単に避けられるぞ?」
「オレより引っ掛かってる人に言われたくないっつーの!」
偉そうなことをいうギルガメッシュに突っ込みをいれてから、ティーダは階段に走った。
ティーダ・エアリス・ギルガメッシュは、かれこれ一時間以上も、4階と5階を行ったりきたりしていた。
理由は簡単。5階に仕掛けられた、異常な量の落とし穴のせいである。
それらは巧みに床とカモフラージュされている上、魔法でもかかっているのか、
時間が立つとまた、元の床に紛れて判別がつかなくなってしまう。
誰が仕掛けたのかはしらないが、意地悪ここに極まれり。
お陰で最初は、モロに全員引っ掛かった上、エアリスが頭を打って気絶してしまったりもした。
ちなみに、この間に、アーサーに道案内されたマリベル達が、5階を通り過ぎていたのだが。
この時は、誰一人としてお互いの存在に気づいてはいなかった。
156:2/3
02/11/29 17:29
「じゃ、今度は気をつけてね」
「は〜い、はいはい……」
3人がとった手段は、マッピング。
ティーダとギルガメッシュが色々な方向に進み、エアリスが紙に印をつけていく。
地道だが、確実な手段ではある。
……しかし、この手の勘と運があまりない二人。
落とし穴という落とし穴に、片っ端から引っ掛かること引っかかること。
最初は呆れ顔だったエアリスも、だんだん笑いを隠しきれなくなってきた。
「……もうイヤッス」
「もう少しだから頑張って、ねっ?」
たんこぶだらけの頭をさするティーダに、有無を言わせない笑顔で励ますエアリス。
「まぁ、ここまでくれば後少しだからな……ぁぁあああああああ?!」
一歩踏み出したギルガメッシュの姿が、不意に消えた。
エアリスは早速ペンで印をつける。
「ここにも落とし穴ね……ということは、ここを迂回すれば、階段に着くはずよ」
「だってさ。頑張って上がってこいよー」
投げやりに声を掛けて、ティーダは先に進もうとする。
その時、上の階から、重く低い音が響き渡った。
157:3/3
02/11/29 17:30
―ズ……ズズゥン……
「……?」
二人は顔を見合わせる。昨日聞いた土砂崩れの音に、良く似た音……
「ちょっとオレ、行って見てくるッスよ!」
不安に駆られたティーダは、慌てて階段へと駆け出した。
「あ、待って、そっちは!」
「へ? ……うわぁあああああああ!」
エアリスの制止は、ちょっと間に合わなかったらしい。
ティーダは足を踏み外して、落っこちた。
ギルガメッシュの落ちた穴へと。
「はぐぅっ!」「うぎゃっ!」
二人分の悲鳴が、階下で木霊する。
「……私、先に行ってるね」
エアリスはため息をつくと、マッピングした紙を穴の下へ落とし、階段を上がった。
【エアリス/ティーダ/ギルガメッシュ/ 所持武器:癒しの杖/無し/無し/
現在位置:ロンダルキアの洞窟
行動方針:上階で何が起こったのか確かめる/落とし穴フロアを脱出(w)】
158:リュック
02/11/29 19:15
「…う〜ん。…あれ?ここは…」
リュックは目を覚ました。いつの間に気を失っていたのだろう。
しかし、今はそんな事はどうでもいい。今いる場所は見覚えのある、
いや、自分の家と言ってもいい場所。飛空挺の中の、休憩室。
「あら、リュック。目を覚ましたのね」
「ユウナン!?」
「どうしたの?狐に化かされたような顔して」
「…えーと」
(なんで?私、あのゲームに参加してたはずなのに)
「ふふ、大丈夫そうね。うなされてて心配だったんだから」
(そう、なの?あれは全部夢だったの?)
「ちょっと待ってて。今、食べる物持ってくるから。おなかすいてるでしょ?」
「あ、うん。お願い」
部屋から出ていくユウナの背中に、なんとか言葉をかけた。
部屋の中に誰もいないのを確認して、リュックはベッドから出た。
腕を伸ばしてみる。あの腕輪はもちろん無い。意識を集中してみる。別にヘンなトコは無い。
「…ぜんぶ、夢だったの?」
飛空挺の駆動音が、質問に答えてくれる。YESと。
「あ〜もう、ヤな夢だった。」
思いっきりベッドに仰向けに倒れこむ。あのバカらしいゲームも、銀髪の剣士も、
怪物になった自分も、…アーロンを殺してしまいそうになった事も、夢だったのだ。
みんながいる。いつもと変わらない、新しい今日が始まる。あたり前の事なのに、すごく嬉しい。
そして、長く大きな腹の音がリュックの思考を停止させた。外から美味しそうな匂いが漏れてきた。
159:リュック
02/11/29 19:17
「はい、今日のお昼ご飯。いくらダイエットしてるからって残しちゃだめよ」
(ダイエットなんかしてたっけ?まあいいや。すごくお腹すいてるし)
ユウナの持ってきたトレイの上には、ジューシーな音を立てているステーキとワインが乗せてあった。
「うわぁ、おいしそう。」
「ふふ、お代わりあるからたくさんたべてね」
「いっただっきまーす」
歓喜の声も高らかに、ナイフとフォークを巧みに操って肉を一口大に切り分ける。
中にまだ赤い部分が残っているレアステーキ。耐えきれずフォークに突き刺さったそれを口に運ぶ。
「…おいしーコレ!!」
中まで巧みに火の通った完璧なレアステーキ。味、風味、食べごたえ、どれも完璧。
フォークとナイフがきらめき、あっという間に食べきってしまった。
「ユウナン、おかわり!」
「はいはい。すぐに持ってくるからね」
お腹はまだ満たされていない。それとなく側のワイングラスに手を伸ばす。
透き通るようなクリムゾン・レッド。かぐわしい香りが鼻腔をくすぐる。
とりあえず一口。
…言葉が出ない。感動すら与えるこのワインを、リュックは一気に飲み干した。
「それにしても、ワッカもひどい事言うわよねぇ」
「モガ?」
口にお肉をほお張ったまま聞き返す。
「リュックの事、ぷにぷにっていうんだもん。女のコをなんだと思ってるのかしら」
(モグモグ、ごっくん)
「ワッカ、そんな事言ってたんだ。くぬ〜。今にみてろ〜」
160:リュック
02/11/29 19:18
「だからって、絶食なんかしちゃダメよ」
「大丈夫。明日っからたくさん運動するから」
いっぱいになったお腹をさすりながら、ワインをすする。
テーブルの上には皿が山のように積まれ、床にはワインのビンが散乱していた。
「ところでユウナン。このお肉とワイン、普通のじゃないでしょ。どこで買ってきたの?」
いたずらっぽい顔をして問い詰めるリュックに、ユウナは微笑して答えた。
「それ、アーロンさんよ」
――沈黙だけが空間を支配した。駆動音は、いつのまにか消えていた。
ゆっくりとした波紋のように、言葉の意味が部屋の中に広がっていった。
「…ユ、ユウナン?ナニ言ってるの?」
何十秒も経ってから、ずいぶん間の抜けた声で答えた。
「なにって、リュックが採ってきたんでしょ?」
表情を変えずにユウナが答える。対照的に、リュックの心は激しく荒れ狂っていた。
「厨房にまだ残ってるから、見にいってきたら?」
既にユウナの声では無かった。しかしリュックは弾かれたように走りだした。
ドアを開けて――
「いや、やめて、いやだよ、こんなの」
ドアを開けたソコは廊下になっているはずだが、厨房に変わっていた。
リュックの視線の先、真ん中に置いてある大テーブルの上には、後ろを向いているが間違いない。
アーロンの、生首が置いてあった。
体は…どこにも無い。床に置かれたバケツに、骨がたくさん入っていた。
血は…一滴もない。壁のところに、ワインのビンが積まれていた。
「どう?人って、とってもおいしいでしょ?」
声の方を振り向き――ソコにユウナはいなかった。そこにいたのは――私だ。
「どうして?どうして私がソコにいるの?…ヒッ!!」
目の前のリュックの背中から、黒い羽が生えた。
「…私はお前だ。驚く事もあるまい」
低く、暗い声。変化は、絶えず続いていた。
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