【君を守るよ】ククール×ゼシカ 4【はいはい】 at FF
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811:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/08 01:26:39 uXaGPWVj0
>>802-804 悶絶しますたハァハァ(´Д`;)ハァハァハァハァ(´Д`;)ハァハァ
お互い大変ですねえ、といった感じの院長と兄さんもいい感じです。

812:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/08 01:39:29 2Ktjda7E0
>809
孫じゃなくて賢者の力をククに譲ったということだお

813:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/08 10:12:40 ZmlnPSEG0
メシデタメシデタ

814:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/08 15:59:51 7oVXfr8D0
ゼシカ並みにツボに来たwww
◆JbyYzEg8Isさんに次期オディロの称号を与えます

815:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/08 20:34:01 fJQQ0cCz0
2ちゃんにSS書きは多くいるだろうけど、私ほど幸せな書き手はいない・・・(つД`)
みんな、大スキだーっ!!!

さて、引っ張ったわりに大した設定じゃない、ククール賢者。
ただ単に『けんじゃのローブ』をゼシカが装備できないのにククールが出来るので、こじつけました。
サーベルトがドルにあっさり殺(自主規制) な理由も欲しいと思ってたので、オディロもサーベルトも、チェルスの先祖がハワードの先祖に力を譲ったのと同じことをしたと、これまたこじつけました。
つまり、賢者の末裔は殺される時は只の人になってて、抵抗できなくても仕方なかった、と。
私の書く話の90%はこじつけで出来てます。
それで良ければ、もう少しの間、お付き合いください。

816:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/09 14:13:32 AuUG3m3j0
メシデタ?

817:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/11 00:49:36 COFKIkeA0


818:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/12 10:29:22 gSxqcen60
age

819:『ほしかったもの』前編1/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:11:54 Wim1SCbv0
随分、時間を無駄にしてしまったわ。
ラプソーンが自らの城を取り込み、完全な復活を果たしてしまったっていうのに、ヤンガス以外の全員が、まともに歩くことさえ出来ないダメージを負ってしまい、戦える状態に戻るまで一週間も費やしてしまった。
レティスに指示された七つのオーブを集め終わり、これからレティシアに向かおうという時、エイトはミーティア姫と話をすることを望んだ。
私は別れの挨拶のようなことは好きじゃないんだけど、これは違うとわかる。
エイトは必ず勝つためにそうするんだって。エイトが戦う理由は、世界を救うためだけじゃなく、ミーティア姫を元の姿に戻してあげるため。その気持ちをもう一度力に変えるために、彼女に会いたいんだって。

でも最近、移動する時は空を飛ぶか、ルーラを使うかしてたもんだから、ミーティア姫は人の姿に戻れるほどの量の水を飲めなかった。
それでどうしてるかっていうと、エイトとミーティア姫は一生懸命、泉の周りを走って喉を乾かそうとしている。
ダイエットを兼ねたヤンガスもそれに付き合ってるんだけど、私は辞退させてもらった。
もちろん魔物が襲ってくるようなことがあったらすぐに加勢するつもりだけど、今のところそういう様子はない。
私は泉から少し離れた場所に座って、空を見上げた。
暗黒神、ラプソーンが待つ空。
追いかけて、追い詰めて、今度こそと何度も思ったのに、あいつはそれをあざ笑うかのように、次々と犠牲を増やしていった。
もう許さない。もう次はない。ラプソーンは必ず、この私の手で倒してみせる。

不意に視界が遮られた。
「そちらの美しいお嬢さん。私めに貴女のそばに座る栄誉をいただけますか?」
ククールがすました顔して、私の顔を覗き込んでいた。折角ひとが気合入れてたっていうのに、拍子抜けしちゃうじゃないの。
「勝手にどうぞ」
今は彼の軽口に付き合う気分じゃない。
「それでは、お言葉に甘えて」
そう言ったククールは、わざわざ私の真後ろに回り込んで腰をおろした。
何してるんだろうと思うと同時にククールは、いきなり私に全体重を預けてきた。
完全に油断していた私は、手の指が足のつま先についてしまうほどの、完全な屈伸を強いられる。

820:『ほしかったもの』前編2/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:13:26 Wim1SCbv0
「いたたたたたっ! いたっ、おもっ、ちょっと重い! 痛いってば!」
パッと見、細く感じるけど、鍛えてる上に背も高いから結構重いのよ、この男。
「へえ、途中で胸がつかえるかと思ってたのに、ゼシカは身体やわらかいんだな」
妙に感心したような声をあげられた。
「このっ・・・ドアホーッ!!!」
渾身の力を込めて押し返す。何とか元の体勢まで戻すことは出来た。
「おおーっ。すごいすごい」
拍手までされてしまった。何なのよ、このバカ。
付き合ってられないとは思うけど、ククールの力加減は絶妙で、立ち上がって逃げるまでは出来ない。
「あんまり上ばっかり見てると疲れるぜ? 足元が疎かにもなるしな」
・・・何よ、その見透かしたような言い方。
いつもそうよ。自分は何もかも全部わかってるっていうような顔をして、私のことは子供扱いする。

この一週間で、やっぱりククールは私には理解しきれない人なんだっていうことがわかった。
立つのもやっとっていう時は、辛い気持ちやオディロ院長との思い出なんかを、本当にちょっとだけなんだけど話してくれたりして、少し距離が縮まったような気がしてたのよ。
だけど少し回復すると、ククールはマルチェロから渡された指輪を見つめて考え事することが多くなって。そして私はそれを、お兄さんを心配してるんだと受け止めてた。
マルチェロときたら死にそうなケガしてたのに、治療もしないでゴルドから歩き去ってしまったから。あの姿を見送る時も、本当に回復魔法が使えない自分が歯痒かったわ。
だけど、それは私の思い込みだった。
普通に歩けるようになるとすぐ、ククールは一人でサヴェッラに行くと言い出した。
私もエイトも、やっぱり歩けるようになったばかりの時で、どうせ戦えないんだし、ルーラを使うからすぐに戻るって。
もちろん私たち、止めたわよ。何をするつもりなのかわからないけど、行くなら全員で行こうって。
だけど、同行を許されたのはエイトだけ。私とヤンガスは置いてけぼり。
キメラのつばさを使って後を追うことも考えたけど、絶対についてくるなってクギを刺されて、出来なかった。本気で怒らせると、ククールは結構怖いから。


821:『ほしかったもの』前編3/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:15:18 Wim1SCbv0
その夜、二人が戻ってきた時もククールは何も話そうとはしてくれなくて、何があったのかを教えてくれたのは結局エイトの方だった。
ククールはサヴェッラ大聖堂のお偉方のところに行って、『行方不明の新法皇様から即位式の直前に、煉獄島の囚人たちを新法皇誕生の恩赦による減刑で出獄させるよう、命令を受けていた』なんて涼しい顔して大嘘ついて。
マルチェロからもらった騎士団長の指輪を証拠の品だって見せて、ニノ大司教たちを助け出す手筈を整えてしまったんだって。
それと崩壊してしまったゴルドへの救援も一緒に要請したらしい。
もちろん、嘘ついたのが悪いなんて言うつもりはないわよ。
煉獄島みたいなひどい所、助けられるなら一日だって早く出してあげた方がいいと思う。崩壊してしまったゴルドにも、回復魔法の専門家の聖職者たちを送り込むのは何よりの助けになると思う。
でも、どうして一人でやろうとするの? 聞くまでもなく、理由はわかってるわよ。もし嘘がバレた時でも、自分一人が捕まれば済むなんて思ってるんだわ。だけどそういうところが本当に腹立つのよ。

・・・でも多分私が一番ショックを受けてるのは、マルチェロに貰った指輪を見ながらククールが考えていたことが、マルチェロの行方じゃなくて、その使い道だったっていうことの方なのかも。
ククールがマルチェロのことを全く心配してないとは思わないわ。でも私だったらきっと、あんな形でお兄さんに渡されたものを、何かに使おうだなんて思いつきもしない。
そして、いくら人助けのためだからってそれを使って公の場でサラッと嘘ついて、その帰りにベルガラックのカジノに寄るなんて絶対無理よ。
そばで見ていたエイトにも教えなかったらしいんだけど、多分とんでもないイカサマをして、わずか数時間の間にコインを40万枚も稼ぎ、大量の剣やら鎧やらをお土産にすました顔して帰ってきた。
私にもグリンガムのムチなんていう最高級の武器をプレゼントしてくれたもんだから、いろいろ言ってやりたいことがあったのに、何も言えなくなってしまった。
本当にわからない。繊細で傷つきやすい人なのかとも思うのに、変なところで人並み外れて図太いんだもの。
そういうところ、半分くらい分けてほしいもんだわ。

822:『ほしかったもの』前編4/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:16:46 Wim1SCbv0
「最後の戦いの前に、ゼシカに話しておきたいことがあったんだ」
自分の考えにふけっていた私は、背中越しにつたわるククールの声の響きに、ちょっとドキッとした。
「やめてよ。戦いの前にどうとかって、私、そういうの好きじゃないのよ。話なら帰ってきてから聞くわ」
「今じゃないと、意味ないんだ」
いつになく真剣な声に、それ以上は拒絶できない。
「・・・わかったわ、どうぞ」
「オレがこのパーティーに加わる時、ゼシカに言った言葉、覚えてるか?」
何よ、何言うつもり?」
「・・・覚えてるわよ。私だけを守る騎士になるとか何とかでしょう?」
「そう、それ。あれ、無かったことにしてくれ」
頭をウォーハンマーで殴られたような衝撃がきた。
「あの頃のオレは何も考えてなかった。ひと一人守るってことがどれだけ難しいことか、わかってなかったから簡単にそういうことを口にできた。本当にバカだったと思う」
ひどい・・・。
ククールのバカバカバカ! 何よ。どうしてそういうことを、今言うの?
守ってくれてたじゃない、ずっと。私がどれだけ支えられてきたか、わからないの?
これから決戦だっていうのに、いきなりそんなこと言って突き放すなんて、ひどすぎる。一気にテンション下がっちゃったじゃないの。

・・・本当に、私ずっと頼りっぱなしだったんだ。ククールのこんな一言でショック受けるほど。
もしかしてククールは、もういやになったのかしら。この間だって私のために危うく命を落とすところだったんだし。
そう考えると、これ以上甘えちゃいけないんだと思う。
そうよ、初めは私一人で兄さんの仇を討つつもりだったじゃない。
私だけを守るなんていうククールの言葉も、言われた時は全く信用してなかった。
それなのにククールは、私を何度も助けてくれて、守ってくれた。
これ以上望むのは間違ってる。次が最後の、それも一番大きな戦いなんだもの。こんなことで落ち込んでるようじゃあ、暗黒神なんてものに勝てるわけないわ。


823:『ほしかったもの』前編5/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:18:51 Wim1SCbv0
「それにゼシカつえーしな。ドラゴンキラーやもろはのつるぎなんて片手で振り回してるのを見た時には、うかうかしてたら剣でも負けると思ったもんだ」
でも何か、こういう言われ方されるのはムカつく。
確かに身体が回復してからというもの、今までは重くて上手く扱えなかった剣が嘘のように軽く感じるようになった。
力が特別強くなったわけではないんだけど、私にも少しは魔法剣士だったご先祖様のチカラが受け継がれてたっていうことなのかしら。
でも、だからって剣でククールより強くなれるなんて思ってないわよ。ククールだって、きっと本気では思ってない。
こういう時でも、私をからかうのは忘れないのね。

「それにゼシカだけ守ったって、そんなものに意味なんてないんだよな。大事なものが何もない世界に一人だけ取り残されても寂しいだけだ。ケチなこと言わずに、守れるものは全部守る」
ちょっと泣きそうだったんだけど、続くククールの言葉に、そんな気分は吹き飛んだ。
「オレ一人じゃキツいけど、ゼシカと一緒だったらこの世界全部だって守れる気がする。・・・頼りにしてるんだぜ、これでも。ラプソーンとの戦いでも、よろしくな」
・・・どうしよう、目眩がする。
「ゼシカ?」
私が返事をしないもんだから、ククールがこっちの様子を伺おうとしてる。
ダメ! こっち見ちゃダメ。
「・・・まかせといて」
それだけ言うので精一杯だった。でも、ククールの動きは止まったので一安心。
見られたくないの。私きっと今、すごく変な顔してるから。嬉しすぎて、頭がおかしくなりそうなんだもの。
ずっと聞きたかったの、その言葉。『頼りにしてる』って、そう言ってほしかった。嘘や慰めじゃないよね? ククール、そんなに甘くないものね。
言葉は何も思い浮かばなくて、でも何かは伝えたくて、私もククールの背に体重をかけた。広くて温かくて、力強い背中。命も何もかも、全て預けられる。
うん、私も頼りにしてる。あなたを信じてる。一緒に守ろうね、私たちがこれから生きていく世界を。
さあ、首を洗って待ってなさいよ、ラプソーン。今の私には怖いものなんて、もう何もないんだから!


824:『ほしかったもの』後編1/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:21:03 Wim1SCbv0
本当にゼシカは自分の感情に素直だな。
気負ったり、怒ったり、落ち込んだり、張り切ったり。全部背中越しに伝わってくる。
この素直さは、人生のどの辺りでなのか覚えてないけど、オレが置き忘れてきてしまったものだ。今さら取り戻したいとは思わないけど、羨ましいと思う気持ちは少しある。
だけど、やっぱりゼシカは変わってる。
普通の女の子だったら、『君を守る騎士になる』で喜んで『強いから頼りにしてる』なんて言ったら怒りそうなもんなのに、全く逆だ。
機嫌が悪くなるとスパンコールドレスは突っぱねるくせに、どんなに怒っててもグリンガムのムチは受け取る。
まあ、スパンコールドレスはエイトの錬金用にくれてやることになり、今はプリンセスローブになって着てもらえてるからいいけど。
・・・修道院にいた頃はこうやって誰かに背中を預けられる日がくるなんて、思ってもみなかった。ましてその相手が、か弱いはずの女の子だなんてな。
思えばオレの壁によりかかるクセ。あれは誰かに背後に立たれるのが嫌だっていう、自己防衛の気持ちがあったのかもしれない。
誰も本当には信じようとしないで、感情を表に表すことは、弱みを見せることと同じだと思い込んで、自分で自分を檻の中に閉じ込めてた。
でも、それはもう過去の話だ。

「悪かったよ。サヴェッラへ行くのに、置いてけぼりくらわして。だけど仮にも聖堂騎士団員として行くのに、女連れってのはマズいと思ったんだ。ヤンガスみたいな悪人ヅラの強面と一緒なのもな」
その一件以来、ゼシカはずっと機嫌が悪かった。でも文句の一つも言ってくれれば、こっちだって弁解できるのに、何も言わないもんだから、ついそのままになってた。ついでにスッキリさせとくか。
「・・・それはいいのよ。人助けのために必要なことだったんだから。でも今度から、ああいう時は目的を教えてよ。そうしてくれれば、こっちだってよけいな心配しなくて済むんだから。約束して」

オレはバカだ。
すれば良かったんだ、約束。滅多にあることじゃないんだし、口先だけで簡単に。でもしなかった。
オレは基本的に嘘つきだけど、本音でぶつかってくるゼシカに嘘はつきたくなかった。
「それは約束できない。だいたいあの件は、基本的にゼシカには関係なかったことだしな」
結果は予想通りだ。ゼシカは過去最高レベルにスネちまった。


825:『ほしかったもの』後編2/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:23:51 Wim1SCbv0
自分が間違ってるとは思わない。
他のことならともかく、煉獄島のことも、ゴルドの崩壊も、オレの兄貴がやらかしてくれたことだ。
そして、その発端はオレへの憎しみだ。だからオレには責任がある。
特に煉獄島に送られた囚人たちは、暗黒神とは無関係のところで起こってることだ。何とかしたいと思うのは、オレの個人的感情でしかない。
だから万一、嘘がバレて罰せられることになったとしても、それはオレ一人でいい。他のヤツまで巻き込むことはない。
知らずにいてくれれば、それで良かったんだ。知ってて、知らないフリをするなんて芸当、初めから期待してないからな。
やっぱり、エイトも置いてけば良かったんだ。あのヤロウ、案外口の軽いところがありやがるから。
でも一人では行かせないっていう、心配してくれる仲間の気持ちはありがたいと思ったから、つい情にほだされたのが間違いだった。
・・・中途半端に考えが甘くなってたのが悪かった。
以前のオレなら、皆が起き出す前に黙ってサヴェッラまで行って、一人でサッサと用件済まして、帰ってから問い詰められても適当にごまかして終わらせてたはずだ。
だけど、黙っていなくなって心配させるのは悪いなんて思ったりするから、面倒なことになる。

マルチェロの指輪を利用して、サヴェッラで一芝居打ったことに関しても、オレは何もおかしなことしたとは思ってない。
でもゼシカは帰ってきたオレに、心の底から意外そうに訊いてきた。
『指輪を見つめて考えてたのって、このことだったの?』
ゼシカが一番ひっかかったのは、どうやらそのことらしい。そしてこう続けた。
『私、ククールはマルチェロの心配してるんだと思ってた』
ああ、全く心配してないってことはないさ。でもあいつはいい年した一人前の男で、回復呪文だって使えるんだ。少なくとも生きてはいるだろうから、今は気持ちを切り替えて、自分にできることをしようと考えただけだ。
そのために、あいつから『奪った』んじゃなく、初めて『貰った』物を少しでもまともなことに使って、ちょっとでも罪滅ぼしになってくれればいいって思うことが、そんなにおかしいか?
それなのに、あんな別世界のものでも見るような目で見られると、やっぱり結構傷つくんだぞ。根っからの正直者だから仕方ないとは思うけど。
・・・それとも、やっぱりオレはおかしいんだろうか?

826:『ほしかったもの』後編3/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:26:21 Wim1SCbv0
姫様と心ゆくまで話したエイトは、今度は呑気に世界一周を始めた。
パルミドやゲルダの家、寂れたままのトロデーンにリーザス村。それにご丁寧にマイエラ修道院にまで寄ってくれた。
こんなふうに世界を回ったって、何もいいことなんてない。
結構しんどい思いして、命懸けで戦ってるっていうのに、チヤホヤしてもらえるわけでもなく、知名度は限りなくゼロに近い。
パルミドは相変わらず貧乏臭いし、ゲルダとヤンガスの仲は進展しないし、トロデーンは悲惨な光景だし、ゼシカのお袋さんには意味もなく睨まれるし、修道院では自分が品行方正だったと錯覚おこしちまう様な乱痴気騒ぎが繰り広げられてる。
呑気にしてる連中にイラついて意地の悪い気持ちになったりもするし、サッサと空に行ってラプソーンなんて倒しちまいたいのに、エイトの奴が相変わらずの寄り道好きと錬金マニアぶりを発揮してくれるもんだから、そうもいかない。
きりがないから、そろそろ一発殴って、引きずってでもレティスのところへ行くとするか。

『四人全員が祈れた時、賢者の魂はひとつ・・・またひとつとオーブに宿りゆき救いの手を差し伸べるでしょう』
レティスがそう言うのを聞いた時、オレの人生はほんとに皮肉で構成されてると思ったね。
七賢者の命を守ってくれなかった神様に腹立てて、もう二度と祈らないって思った矢先に、七回も祈れだ? 何の嫌がらせだよ。
『暗黒神のもとへ急ぎましょう。すぐに行けますか?』
しかもレティス、気ィはえーし。
盾や兜なんて、四六時中身につけてるわけじゃない。少し時間をもらって装備を整え、エルフの飲み薬やまんげつそうなんかの道具も確認する。
何げなくゼシカの方を見ると、杖を手に深刻な顔をしていた。
鳥だから仕方ないのかもしれないけど、レティスもデリカシーが無い。
ゼシカにとってこの杖は、暗黒神に乗っ取られた時のことを思い出させる最悪のものだっていうのに、そんなものに向かって祈れっていうのは、ずいぶん酷な話だ。
「ゼシカ、大丈夫か?」
今はオレに心配されても嬉しくないだろうとは思うけど、つい訊いちまった。
「え? 何? ごめん、ちょっと考え事してたから、聞いてなかった」
「・・・いや、いい。何でもない」
心配したところで、他の手段を思いつくわけじゃないんだ。これはオレの自己満足でしかない。

827:『ほしかったもの』後編4/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:30:09 Wim1SCbv0
「ねえ、この杖でラプソーンを殴っちゃダメかしら?」
「・・・は?」
あまりにも突拍子もないことを言われて、オレはマヌケな声をあげる。
「ほら、あいつって、自分を封じた岩を女神像に変えたご先祖様への当てつけで、私の身体を乗っ取ろうとしたじゃない?
そういうイヤミなことする奴には、こっちもそのぐらいのイヤミで返してもいいんじゃないかと思って。この杖で殴られたら、あいつきっと凄く悔しがるわよ」
「・・・いや、ダメだろ、それ。宿ってる七賢者が気の毒だ」
「あ、そっか・・・じゃあ諦めるしかないわね、残念」
・・・心配して損した。
オレだったらこんな杖、触るのもイヤだと思うだろうに、本当にゼシカは逞しい。そういうところ、半分とまでは言わない。1/10でいいから分けてほしいもんだぜ。

「ねえ、ククール。マルチェロから貰った指輪は?」
また唐突もないことを言われる。
「・・・持ってるよ」
「持ってるのはわかってるわよ。ちょっと出して」
何となく拒否するのも面倒で、オレは言われた通りに騎士団長の指輪を懐から取り出す。
「やっぱり、そういう無造作な持ち方してたのね。落としたりしたらどうするのよ」
「そんなヘマしねえよ。仕方ねえだろ。あいつ手ェごついし、おまけにそれ、手袋の上から嵌めてたんだぜ? ブカブカで、オレの繊細な指に嵌めたらそれこそ絶対落とす」
もうその件に関しては放っといてほしい。マルチェロの話題が出るたびに、ゼシカとの関係は気まずくなるだけだ。いい加減に懲りた。
「そう思って、これ、買っておいたの」
そう言ったゼシカの手には、細い銀の鎖。ゼシカはオレの手から指輪を取り、鎖に通してペンダントにしてくれた。
「こうして首にかけておけば、簡単には無くならないでしょう? はい、どうぞ」
差し出されたペンダントに、オレは手を伸ばさなかった。
「・・・もしかして気にいらなかった? 余計なことだっていうのは承知してるわよ。でもやっぱり口出ししないなんて私には無理。
だって気になるし、心配だし、放っておけないんだもの。この鎖も本当はプラチナとかにしたかったけど、あんまり高いのは手が出なくて・・・」
「いや、こういうのが欲しいと思ってた」
慌てたように弁解するゼシカに、ようやくかける言葉が見つけられた。


828:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/12 23:30:56 6j/WmMv10
リアル遭遇キタ━━(゚∀゚)━━ !!!

829:『ほしかったもの』後編5/5 ◆JbyYzEg8Is
06/01/12 23:31:56 Wim1SCbv0
「ゼシカにかけてほしいな」
「は?」
今度はゼシカがマヌケな声をあげる番だった。
「何甘えてるのよ、子供じゃあるまいし」
やっぱりな。さすがにそこまではしてくれないか。
「ほら、頭さげて」
「へ?」
「まったくククールときたら、中身がコレなのに背ばっかり高いんだから。届かないのよ、早く」
「あ、ああ」
言われた通りに頭を低くすると、ゼシカが背伸びをして、ペンダントをかけてくれた。
「・・・ありがとう」
何かいいよな、こういうの。
誰かが自分を気にかけてくれて、ささやかな優しさをくれる。世界中探したって、これ以上のものなんて、きっとどこにもない。
「何よ、しまりのない顔して」
かけてくれる言葉には優しさはないけどな。
「いや、この体勢だと、抱き締めてキスしたくなるなぁと」
覚悟はしてたけど、やっぱり殴られた。しかも顔の両側から挟むようなビンタ。痛い上に、見た目にも結構マヌケだ。
「あのねえ、そういう話は帰ってきてからにしてって言ってるでしょう? 何度も言わせないでよ」
・・・。
帰ってきてからなら・・・いいのか?
「用意できたのなら、サッサと行くわよ。今度こそ本当に終わりにするんだから」
ゼシカはもう戦闘モードに入ってる。いったいどういうつもりで、あんなふうに言ったのか、聞ける雰囲気じゃない。
・・・とにかくラプソーンを倒してからだ。
思えば杖に宿ってるのは人間だ。神にはごめんだが、かつて頑張った人間になら祈ることに抵抗なんてない。七回でも十回でも祈ってやるさ。
よし、テンション上がってきた!
『ゼシカだけを守る騎士』じゃなく、『一人の男として、ゼシカの大事なもの全てを守る』って、さっきは言いそびれちまったからな。
チャッチャとラプソーンはぶちのめして、泉での話の続きと、『そういう話』の続きをするぜ!
<終>


830:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/12 23:40:57 iKeAkx/IO
もう駄目だ、萌え死ぬ。助けて(;´Д`)


相変わらず乙でございます!!

831:名前が無い@ただの名無しのようだ
06/01/12 23:55:08 mH6+ZDTG0
背中越しトーク萌えーーーーーーーーーーー!!!!

いやあ盛りだくさんですね今回。しかし終わりが近付いてるのが寂しい。
『そういう話』もちゃんと書いてくれるんです、よね?よね?
ほんとJbyさんのはゲーム本編に忠実で、余計な脳内背景設定がなくていいなぁ。
ご自分でサイト作る気ないんですよね?どっか一箇所にまとめて読みたい。
(スレのまとめサイトさんではなく、Jbyさんだけの。)

2箇所、笑いました。
>>820 オディロ院長との思い出
これってこないだの囁きダジャレのことですかねw
>>826
レティスほんとに気ィはえーんだよ!あれあせったよ!


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