オリックスバファローズバトルロワイアル第3章 at BASE
[2ch|▼Menu]
[前50を表示]
100:代打名無し@実況は実況板で
07/05/06 20:02:37 TMEHcqx40
オリオタの特徴。
楽天にだけは負けたくないとやたらと敵対心を持っている。
関西での阪神の圧倒的人気に露骨に嫉妬して反発し続ける屈折した感性の人達。
清原が本気で戦力だと信じている。
今年はシーズン1位が優勝なのに「3位にさえなればいい」という卑屈な発想の持ち主。
全国の清原ファンより全国のオリックスファンの方が数が少ない。
タダ券バラ撒き・社員大量動員・悪質水増しのトリプルコンボで過去二年無理やりパリーグ3位の観客動員を「捏造」し続けた事を必死に否定する。
他球団で活躍するノリ・谷・早川を「どうせ残ってたら活躍しなかった」と必死に現実逃避。
毎年シーズンオフと四月前半までは戦力分析スレでやたらと強気発言を繰り返す。
2球団のいいとこ取りの悪質極まりない合併をしたくせに糞弱い現状を「1+1は必ずしも2ではない」という苦しい言い訳を繰り返しておきながら、
残りカスを押し付けた楽天についに順位で抜かれて最下位に落ちる事となる。

オレがオリオタで一番嫌いな所は上を見ないで、すぐに下を見ること。
チームが弱いと「楽天よりマシ」
客が入らないと「楽天(西武)よりは入ってる」
GW全敗すると「阪神だって全敗」
いかにオリオタが屈折した思考の持ち主だということがわかる。
12球団1不人気で12球団1弱い。
ノリキヨ・ラロッカ・デイビー・菊地原・ローズ・村松・セラフィニと他球団のお下がりばかりアテにしたハイエナ球団。
負ければ全て「暗黒」・「負広」・「ノリ」の一言で片付け、ハイエナ選手頼みで若手が全く育ってないことは完全スルー。
ハイエナ球団オリックスはこのオフには誰を狙うの?
福留?カブレラ?和田?よしのぶ?
もういいかげんにしてください。


101:代打名無し@実況は実況板で
07/05/06 20:03:46 TMEHcqx40
オリオタの特徴。
楽天にだけは負けたくないとやたらと敵対心を持っている。
関西での阪神の圧倒的人気に露骨に嫉妬して反発し続ける屈折した感性の人達。
清原が本気で戦力だと信じている。
今年はシーズン1位が優勝なのに「3位にさえなればいい」という卑屈な発想の持ち主。
全国の清原ファンより全国のオリックスファンの方が数が少ない。
タダ券バラ撒き・社員大量動員・悪質水増しのトリプルコンボで過去二年無理やりパリーグ3位の観客動員を「捏造」し続けた事を必死に否定する。
他球団で活躍するノリ・谷・早川を「どうせ残ってたら活躍しなかった」と必死に現実逃避。
毎年シーズンオフと四月前半までは戦力分析スレでやたらと強気発言を繰り返す。
2球団のいいとこ取りの悪質極まりない合併をしたくせに糞弱い現状を「1+1は必ずしも2ではない」という苦しい言い訳を繰り返しておきながら、
残りカスを押し付けた楽天についに順位で抜かれて最下位に落ちる事となる。

オレがオリオタで一番嫌いな所は上を見ないで、すぐに下を見ること。
チームが弱いと「楽天よりマシ」
客が入らないと「楽天(西武)よりは入ってる」
GW全敗すると「阪神だって全敗」
いかにオリオタが屈折した思考の持ち主だということがわかる。
12球団1不人気で12球団1弱い。
ノリキヨ・ラロッカ・デイビー・菊地原・ローズ・村松・セラフィニと他球団のお下がりばかりアテにしたハイエナ球団。
負ければ全て「暗黒」・「負広」・「ノリ」の一言で片付け、ハイエナ選手頼みで若手が全く育ってないことは完全スルー。
ハイエナ球団オリックスはこのオフには誰を狙うの?
福留?カブレラ?和田?よしのぶ?
もういいかげんにしてください。


102:代打名無し@実況は実況板で
07/05/07 08:01:20 YztuQu7tO
↑保守どうも

103:代打名無し@実況は実況板で
07/05/08 01:21:01 B+4q1djt0


104:代打名無し@実況は実況板で
07/05/08 23:15:18 oy59fpTu0
ほしゅ

105:代打名無し@実況は実況板で
07/05/09 21:42:55 CgE41fxpO
連敗止まったよ、今日はしあわせだ保守!

106:代打名無し@実況は実況板で
07/05/09 21:48:12 OUOfCKVeO

∩(´∀`゚)゚・゚.。・。゚.


こっちの選手もガンバレ! 保守

107:代打名無し@実況は実況板で
07/05/10 15:28:57 m3JWflog0
あげ

108:代打名無し@実況は実況板で
07/05/11 03:02:48 Yo3UdhDWO
捕手

109:「135・求めていたもの 1/8」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:08:53 nCkj/W1d0
「畜生!あのクソガキ!」
追い続けていた白い背中は、とうに見えなくなってしまった。
それでも吉井は走らなければならなかった。グループを成立させた選手を見つける為に。
時間は残り15分を切った。【K】をひとつも持たない吉井は、他の誰かにすがるしかなかっ
た。元々向かおうとしていた日高と菊地原のグループは【K】が4個でオーバーしている。
しかしそこに田中彰が加われば【K】は6個。グループ成立だ。今の状況から考えてそこに
合流することが一番の近道に思われた。
しかし地図を失った今、日高たちの位置もうろ覚えだった。
(この俺が、あんなガキに!)
時間との勝負の他に、もうひとつ。禁止エリアとの勝負がある。禁止エリアの位置もあや
ふやだ。なんとなくこの辺り、という感覚でしかない。
(行ってやるぞ畜生!合流してやるからな!)
憤怒に押されるようにして、吉井は走り続けていた。
(生き抜くんだ!)
そう、あの時のように。パーティで聞いた仰木監督の一言。
「吉井を取って下さい」
吉井の目の前で球団幹部に上訴したあの一言。チームを解雇となり行き先を失った自分と
再度契約するよう、仰木監督自ら球団へと進言してくれた。
ずっと嫌われていると思っていた。仰木監督と自分の考え方は合わないのだ、そう思って
いた。なのにその人が自分を必要だと言ってくれた。この信頼に答えなければ男ではない。
『個人のわがままを聞いていると、チームが成り立たない』
そう窘められたのは若い日のこと。吉井はもう過去の自分を見つめ直し、糧とすることが
出来る大人になっていた。
感謝。
その一言を胸に、このチームを育てる為に、吉井はマウンドに立ったのではなかったか。
仰木監督への感謝、チームメイトへの感謝、野球への感謝、家族への感謝、支えてくれる
人たちへの感謝。
けれど、今の吉井にはそれらの言葉は動きを阻む枷でしかなかった。
生き残る為に、人の心を消した。
残り13分。

110:「135・求めていたもの 2/8」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:09:38 nCkj/W1d0
(やべえよ!マジやべえよ!)
阿部真宏は辺りを見回しながら走っていた。
「誰かー!誰かいないかー!」
懐中電灯を振り回す。
「俺1個も持ってねえんだよー!誰かー!」
なりふり構わず叫び続ける。
さっき見かけた踊る猿。あの猿の向こう側に見えた、灯りのついた家。そこに行けばよか
ったのだろうか。勇気を出して不気味な猿を突っ切って行けば、仲間に出会えたのだろう
か。こんな状況で「もしも」の可能性を考えても仕方が無いとはわかっているのだが。
「だーれーかー!!」
叫びながら、はぐれてしまった水口のことを考えた。
(水さん大丈夫かな……怪我したっぽいし………まさか早川に襲われてたりはしないよな
……水さんを襲ったのも早川だったのかな………)
自分を襲ってきた早川のことを思い出す。早川自身はグループに入ることが出来たのだろ
うか。あの尋常ではない目つきを考えると、仲間を得ることは難しそうだ。彼はどうする
のだろう。何かに憑かれた不思議な目をしたまま、仲間を探しているのだろうか。それと
もそんなことを考える余裕もなく、狂気に流されてタイムアウトを迎えるのだろうか。は
たまたラッキーな偶然が重なって、見事にグループを成立させているのだろうか。
(こんなに清く正しく頑張ってる俺が放浪中で、おっかない早川がグループ成立なんて不
公平じゃないか?神様なんとかしてくれよ!)
心の中で愚痴を吐きながら、阿部は暗闇を駆け抜けた。
(放送じゃあ、ユウキのラッキーカードがなんとかって言ってたけど……)
今は自分に関係ないことを考えるのはよそう。とにかく仲間を探そう。その為に叫び続け
よう。時間は残酷なまでに限られているのだ。
「誰か仲間に入れてくれーっ!!」
残り12分。

111:「135・求めていたもの 3/8」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:10:16 nCkj/W1d0
(かっこつけすぎたかな……)
自分の選択は間違っていたのだろうか。川越は考えながら走っていた。
仲間を助けたかった。自分がいなくなれば本柳、塩崎、水口はグループ成立で助かるのだ。
だから走り出した。選手会長という責任感を背負って。
(俺だって……俺だって生きたいよ!)
半泣きになりそうな自分を抑え込んで、川越は耳をすませた。さっきどこかで誰かの叫び
声のようなものを聞いたからだ。
「おーい!」
自分からも呼びかける。
「誰か【K】1個持ってないかー!」
もしここで死んだとしたら、自分は誇りを持って死ねるだろうか。自分で納得出来るだろ
うか。自分の行動に後悔はしないだろうか。
(納得出来ないから走ってんだよ!生きたいんだよ!)
約束したのだ。グループを成立させて、生き延びて、本柳たちの所へと帰るのだ。
時折脳裏を掠める白い靄のようなものが気になるが、今はどうでもいいことだ。不確かな
記憶についてはまた後でゆっくり考えればいい。
残り11分。

112:「135・求めていたもの 4/8」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:11:08 nCkj/W1d0
自分では必死に走っているつもりだった。けれど的山の足がついてこなかった。年齢的な
もの、体力的なものと言い訳をすることは簡単だ。けれどスポーツ選手としてのプライド
がそれを認めたくはなかった。
ベテラン。
そんな言葉で全てを誤魔化せる年齢になった。けれど密かに的山はこの言葉を嫌っていた。
逃げの言葉と解釈した。
(俺だって……まだまだ出来るんだよ……)
息切れの中、自分を励ます。
(こんな所で死んでたまるかよ)
声を出そうとした。誰かに呼びかけたかった。けれどその為には呼吸を整えなければなら
ない。荒い息はなかなかおさまりそうにもなかった。
「誰……かっ!!」
途切れ途切れの声は、暗闇に響かない断片的なものだった。これが野次将軍の早川や下
山なら遠くにもよく響く声を出したのだろう。
こんな所で年齢を感じるとは思わなかった。また少し時間を作り、呼吸を整えた。
「誰かーっ!」
返事はない。だからまた走り始める。不毛な行動の繰り返しに思えてしまうが、それでも
止めることは出来なかった。これだけが、唯一生き残りへの方法なのだ。
(ジミーは……大丈夫か……?)
つい他人のことを考えてしまう優しさ。それが本来の的山であるはずなのに。
残り10分。

113:「135・求めていたもの 5/8」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:11:49 nCkj/W1d0
『残り10分になりました』
また音楽が大きくなり、放送が流れ始めた。
『そろそろ音楽が徐々に早くなっていきますので、それを目安にして下さい。では』
「もうイヤだもうイヤだもうイヤだっ!!」
「日高さん!落ち着いて!」
菊地原を背負ったまま、日高が絶叫する。前屈みになって声を振り絞るようにして叫んだ
為、菊地原の体が背中からずり落ちそうになった。
「危ない!」
ネッピーが慌ててそれを支えた。
「日高さん、落ち着きましょう、ね?」
同時に日高の肩に手を置き、必死に気持ちをなだめようとする。だが日高の表情は、見て
いる方がつらくなるくらい絶望的だった。
「なんで俺たちがこんな所で死ななきゃいけないんだよ!」
「死ぬと決まったわけじゃないです!頑張りましょう!」
さっきから何度もネッピーは通信機でリプシーに呼びかけていた。しかしリプシーからの
応答は無かった。気づいていないのか、それとも通信事態が何かの障害を受けているのか。
「日高さん、頑張りましょう!誰かを探しましょう!」
「誰を?!」
オウム返しに怒鳴る。冷静さを欠いていることは明らかだった。普段の日高らしからぬ様
子に、ネッピーも返事に詰まってしまった。
「畜生!もうイヤだ!」
「何がイヤなんです?」
ふいにのんびりとした声がした。日高とネッピーは驚いて声の方を見た。
「田中です。田中彰。【K】は2つ」
声はとても穏やかだった。
「日高さんが2個、菊地原さんが2個、合計6個、グループ成立じゃないですか?」
シン…、とその場が静まり返った。ただ聴きたくもない音楽だけが流れていた。

114:「135・求めていたもの 5/8」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:13:10 nCkj/W1d0
『残り10分になりました』
また音楽が大きくなり、放送が流れ始めた。
『そろそろ音楽が徐々に早くなっていきますので、それを目安にして下さい。では』
「もうイヤだもうイヤだもうイヤだっ!!」
「日高さん!落ち着いて!」
菊地原を背負ったまま、日高が絶叫する。前屈みになって声を振り絞るようにして叫んだ
為、菊地原の体が背中からずり落ちそうになった。
「危ない!」
ネッピーが慌ててそれを支えた。
「日高さん、落ち着きましょう、ね?」
同時に日高の肩に手を置き、必死に気持ちをなだめようとする。だが日高の表情は、見て
いる方がつらくなるくらい絶望的だった。
「なんで俺たちがこんな所で死ななきゃいけないんだよ!」
「死ぬと決まったわけじゃないです!頑張りましょう!」
さっきから何度もネッピーは通信機でリプシーに呼びかけていた。しかしリプシーからの
応答は無かった。気づいていないのか、それとも通信事態が何かの障害を受けているのか。
「日高さん、頑張りましょう!誰かを探しましょう!」
「誰を?!」
オウム返しに怒鳴る。冷静さを欠いていることは明らかだった。普段の日高らしからぬ様
子に、ネッピーも返事に詰まってしまった。
「畜生!もうイヤだ!」
「何がイヤなんです?」
ふいにのんびりとした声がした。日高とネッピーは驚いて声の方を見た。
「田中です。田中彰。【K】は2つ」
声はとても穏やかだった。
「日高さんが2個、菊地原さんが2個、合計6個、グループ成立じゃないですか?」
シン…、とその場が静まり返った。ただ聴きたくもない音楽だけが流れていた。

115:「135・求めていたもの 6/8」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:15:18 nCkj/W1d0
田中のその異様なまでの落ち着きっぷりに、日高は違和感を感じた。グループ成立という
ことは、自分はこのトラップから生き残ったことを意味する。それは無条件で喜ばしいこ
とだ。今さっきまで狂ったように叫んでいた状況が一気に好転した。両手離しで喜びたか
った。けれど、それら全てを引き潮のように鎮めてしまう何かが、田中の口調には籠もっ
ていた。日高は動けなかった。
「……どうしたんです?グループ成立ですよ?半径1メートル以内に集まらないといけな
いんでしたっけ?」
田中の呼びかけにも、日高は動けなかった。菊地原を背負ったまま、足を動かすことが出
来なかった。
すると田中の方から歩み寄ってきた。ゆっくりした足取りで、無邪気とも言える笑みを浮
かべて。
「よかったですね、これで成立」
田中は日高の顔を見、目を閉じたままの菊地原を見、ネッピーを見た。
「………田中」
「はい」
日高の呼びかけに、素直に田中は答えた。
「吉井さん、見なかったか?」
「吉井さん?どうしてですか?」
不思議そうな表情で尋ね返す。
「さっきネッピーがリプシーと連絡取って、吉井さんがこっちに向かってるはずなんだ。
吉井さんは【K】を1個も持ってないから、上手くこっちに向かってくれてればって思って」
「へえ……そうなんですか……俺は全然知らないですね」
「………ふうん………」
日高はそれっきり黙ってしまった。どうしても田中から感じる違和感を消せなかった。
菊地原はまだ目を覚まさない。
残り8分。

116:「135・求めていたもの 7/8」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:16:45 nCkj/W1d0
すでに大久保は歩いてもいなかった。
ふらつき、よろめく足で、少しずつ、ほんの少しずつ、立ち位置を変えていた。
顔色は蒼褪めている。意識もぼんやりしてきた。ただその場で右へ左へ揺れているだけの
状態だった。
放送を聞いた。けれど聞き流していた。残り10分という言葉は聞こえた。けれどもはや大
久保にはたいした意味を持たなかった。
大久保は、自分の残り時間を感じ取っていた。
ジェノサイダー。
それが大久保の役割のはずだった。この島に運ばれて、ルールを教えられて、そう決意し
たはずだった。けれどそう簡単にことは運ばなかったようだ。何かが足りなかったのだろ
うか。覚悟。殺意。憎しみ。開き直り。
信用してしまったのだ。ほんの少しだけ、チームメイトを。それはジェノサイダーには相
応しくない感情だった。
下半身、左側は脇腹から流れ出た血で真っ赤に染まっている。おそらく背中もそうなのだ
ろう。激しい肉体の損傷を伴うこれほどの出血量、圧倒的な赤に染まっても人は動けるも
のかと大久保は妙に感心していた。
それは執念。
ひとつのことへの執着。
けれど、それも限界が近づいていた。
ザッ。
音を立てて、膝から崩れ落ちた。
ドッ。
前のめりに倒れこむ。重い音と共に鞄が左肩から落ち、体の横に転がった。
大久保は右手を伸ばした。何かをずっと握ったままの震える手で人差し指を立てた。地面
にゆっくりと、その文字を書いた。

117:「135・求めていたもの 8/8」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:17:32 nCkj/W1d0
『リプシーへ』
彼女はいつも笑顔だった。楽しそうに踊っていた。どんなにつらくても、彼女は周りを元
気づけるべく立ち振る舞っていた。子供たちのアイドル。そして大久保の。
掌を返す。文字の横で、指を広げた。
金色の、錨の形のブローチ。
(……君に………渡したかったんだ………)
いつか、この小さなプレゼントは届くだろうか。
自分の秘めたこの気持ちも届くだろうか。
(………もう一度………ハイタッチ………したかった………)
少しずつ、全ての記憶が遠くなる。
『………誰かー………』
どこかで彼女の声が聞こえたような気がした。
大久保はそっと微笑み、目を閉じた。

【×大久保勝信 残り27人】

118:「136・カウントダウン 1/4」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 01:19:00 nCkj/W1d0
『残り5分です』
音楽のテンポが早くなる。川越は無我夢中になって走っていた。
「誰かいるかー!2個持ってるぞー!」
可能性は限りなく低い。【K】をひとつだけ持っている人物ただ1人と出会わなければいけ
ないのだ。
「誰かー!!」
懐中電灯を振りながら、川越は走っていた。気づくとやや急な坂道を登っていることに気
づいた。いちいち地図を出すのももどかしく、頭の中で地図を描く。これは中央辺りにあ
った丘だろうか。こんな所に仲間がいるのだろうか。
誰でもいい、返事をして欲しかった。1人でいることが嫌だった。もうすぐ自分は死ぬかも
しれない。その瞬間を1人で迎えることにも何故か恐怖を感じていた。誰かに出会ったとし
ても、それがすでに成立しているグループだったら自分の居場所は無い。それでも誰かと
対面して死ぬ方がマシな気がした。この暗闇の中、何の希望を得ることもなく独りぼっち
で死ぬのは嫌だった。
どちらにしても、死ぬことには変わりないのに。
「誰かーっ!!」
半狂乱に近い形相で叫んだ。
『残り4分です』
刻一刻と、執行猶予時間が減ってゆく。
「誰かーっ!!返事してくれーっ!!」
絶叫した瞬間、遠くでガサガサという音がした。弱々しかったが、木の枝を故意に揺すっ
たような音だった。
「誰だ?!」
思わず叫んだ。足はその方向へと勝手に向かっていた。夜の闇を生きる獣かもしれない。
だがそんな考えは微塵も浮かばなかった。残り4分。一抹の望みに縋ろうとしていた。
「川越だ!【K】は2個!そっちは!」
ガサガサとまた音がした。今度はさっきよりもやや激しく。それが返事のように思えた。
「音をくれ!そっちに行く!」
道しるべとなる音を求めた。またそれに答えるように、葉の擦れる音が聞こえる。間違い
ない。そこに誰かがいるのだ。そして川越に返事をしているのだ。音は続いた。

119:「136・カウントダウン 2/4」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 02:21:38 E730ijbH0
最後の賭けだった。川越は音だけを頼りに走り続けた。音が徐々に大きくなってくる。
『か……えさん!』
誰かが呼んだ。そして咳き込む音。草の音。間違いない。そこに誰かがいる。
川越を待っている。
『残り3分です』
音楽のテンポが川越を焦らせるように急激に早くなる。
だが木々の間から微かな灯りが見えた。音もその場所から聞こえてくる。
「そこか!」
走った。生い茂る木々を駆け抜け、頬を打つ葉も気にすることなく真っ直ぐに。
そして、その小さな場所に出た。
地面に転がった、灯りのついた懐中電灯。座った体勢のまま一本の長い枝を掴み、その周
囲に茂る木々を必死に揺らしている背中。
44番。
「鈴木!」
その背中に飛びついた。
「ぐっ!」
鈴木がうめく。川越は慌てて鈴木の顔を覗き込んだ。そして思わず目を背けた。
顔中が血で汚れていた。腹部も、両手も、ユニフォームも。顔は鼻の辺りを中心に無残に
傷つき、腫れていた。チーム内では端正なマスクを誇る鈴木とは思えない有様だった。
「す、鈴木!【K】は?!」
川越は慌てて尋ねた。鈴木が震える手で血だらけの指を1本立てた。
「1個か?1個だな?!俺は2個!これでグループ成立だぞ!成立なんだぞ!あと3分頑張
れ!助かるんだぞ!」
川越は鞄を降ろすと急いで救急箱を取り出した。
『残り2分です』
音楽がまた早くなる。早回しにした音が高くなり、妙に耳に障った。
「鈴木!怪我、大丈夫か?!」
『……―い!』
どこかから、誰かの声がした。慌てて川越は息を潜めた。

120:「136・カウントダウン 3/4」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 02:22:27 E730ijbH0
やっとグループが成立したのだ。【K】はジャスト3個でなければならない。それ以上でも
以下でもいけないのだ。またさっきのような事態だけは御免だ。残酷だとは思いながらも、
川越は今を生き残ることに必死だった。もしもの時は鈴木まで死ぬことになる。
『誰かーっ!!』
声が近くなる。川越は鈴木の肩を抱きこむようにして地面に体を近づけ、木々の影と一体
になるようにした。時折鈴木が痛みに呻いたり咳き込みそうになったが、必死にそれを堪
えた。
『俺1個も持ってねーんだよー!!』
その絶叫に川越は身を起こした。
「誰だ!」
思わず尋ねていた。
『阿部!阿部真宏!どこにいるんですか!』
「こっちだ!声の方に来い!!」
川越は片手で懐中電灯を掴むと360度グルグルと振り回した。
「急げ!!」
『残り1分です』
音楽のボリュームが一段と上がった。そしてテンポも。狂った音楽が島の中に流れ始める。
「阿部!!急げ!!」
土を蹴る音。草を打つ音。何かが必死になって近づいてくる。川越はその方向へと灯りを
振った。
「頑張れ!!こっちだ!!」
『残り30秒』
何も出来ない。灯りを振り、声を出すこと以外、何も。それでも川越は必死だった。阿部
がここに辿り着くことだけを祈っていた。頭の中がいっぱいになり、呼吸もままならない
状況で、ただ自分の心臓の音だけがやけにハッキリと聞こえていた。
「阿部―っ!!」
阿部は何も答えない。声を出す余裕も無く、ただひたすら走っているのだろう。
『残り20秒』
音楽はただ川越の精神を圧迫する。そして阿部の焦りをけしかける。

121:「136・カウントダウン 4/4」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 02:23:28 E730ijbH0
カタン、と小さな音がしたことに川越は気づかなかった。
鈴木の手が川越の救急箱に伸びていた。蓋を開けようとしているのだが、腕に力が入らず
上手く出来ないようだった。
『残り10秒』
「阿部―っ!!」
『9』
木々の間から零れる灯りは確実に大きくなってきていた。
『8』
救急箱の蓋が開いた。
『7』
土を蹴る音が近くまで来ている。
『6』
微かな灯りの中、鈴木は横目で救急箱の中身を確かめた。
『5』
震える指先が箱の中を探る。銀色に光るそれに触れた。
『4』
一際大きく、枝を弾く音がした。
『3』
「急げーっ!!」
川越は叫びながら、鈴木の体を抱えるようにして立ち上がった。無駄だとわかっていても、
少しでも阿部との距離を近づけようとしていた。
『2』
ガサリ、という音と共に大きな光が川越の目を射た。
『1』
「うわあああああああああーっ!!」
絶叫と同時に、阿部はヘッドスライディングをするように頭から2人の方へと飛び込んだ。

【残り・27人】

122: ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/12 02:24:19 E730ijbH0
今回は以上です。
次回はちゃんと連投規制かからないように計算して投下します…orz

123:代打名無し@実況は実況板で
07/05/12 08:10:56 EFg0ZYVA0
乙であります!
あ、阿部ちゃんは間に合ったの…!?
そして川越さんピーンチ?!

124:代打名無し@実況は実況板で
07/05/12 09:39:54 /zHKe/fpO
乙でございます!


うわぁーん…大久保がぁ、大久保がぁ…
そして阿部ちゃんは大丈夫かあ!!

125:代打名無し@実況は実況板で
07/05/12 18:07:21 OyS49ibb0
新作乙です!
ついに大詰めか……
オクボーン……。・゚・(ノД`)・゚・。
やっぱりリプシーの想い人はこの人だったか……
そして鈴木が一体何をするつもりなのか気になる。


126:代打名無し@実況は実況板で
07/05/12 19:57:16 Tn4iFDxJO
投下乙です!!


あべちゃん誕生日おめでとう、そしてどーなった?!



127:代打名無し@実況は実況板で
07/05/12 21:45:41 P3Yystbz0
すげー、読んでるだけでドキドキするわ。
オクボーンさよなら・・・。プチエースたちはどうなるんだろう。

128:代打名無し@実況は実況板で
07/05/13 21:45:22 fwrpYL2G0
乙です!
チーム状態に反してこちらはクオリティ高いなぁ(ノД`)

129:代打名無し@実況は実況板で
07/05/14 16:49:51 hFOPv4WS0


130:代打名無し@実況は実況板で
07/05/14 18:23:54 fLfaek2WO
>>129
こっちにしてくれw
つ☆

131:代打名無し@実況は実況板で
07/05/15 23:43:09 mQBxXEzFO


132:代打名無し@実況は実況板で
07/05/16 21:31:11 MXwheq1iO


133:代打名無し@実況は実況板で
07/05/17 05:57:14 C5RV2ixw0


134:代打名無し@実況は実況板で
07/05/17 22:14:42 nsIpdNkeO


135:代打名無し@実況は実況板で
07/05/18 19:12:05 KktNLPKFO



136:「137・神の判断 1/2」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/19 00:36:04 GC6hjBs30
『0』
ゼロ、という言葉がとても穏やかに響いた。
島内に流れている音楽が突然ピタリと止んだ。
それでも立ち止まることなく吉井は走っていた。もう少し、もう少しでその場所に着くは
ずだ。そう信じて走り続けていた。立ち止まることは諦めを意味する。自分から敗北を認
めることだけはしたくなかった。先に諦めた者に敗北は約束されるのだ。
『トラップタイム、終了です』
喜怒哀楽すら見せず、業務的な放送が続く。
『グループを成立させた皆さん、おめでとう』
吉井は走り続けた。微か遠くに見える灯りがあった。それを目指して走っていた。
『では、グループを作ることが出来なかった皆さん』 
ドクン、と心臓が一際大きく跳ねた。
『残念ですが、ここまでです』
(嘘だ!)
心の中で叫んだ。こんな馬鹿な話があるはずがない。そう簡単に人の命を扱えるはずがな
い。オモチャのように弄び、いらなくなったら捨てる。そんなことが。
スポーツ選手になった以上、監督やオーナーの意志で簡単に売買されることは諦めにも近
い気持ちで悟っている。すでに吉井は何度もその落胆と屈辱を味わった。
けれど、命までそんな風に扱える人間がこの世にいるものか。
もしいるのなら、神様はどこにいる?
吉井は生き残りたかった。家族の為に。野球の為に。
その為にチームメイトの命を奪った。オーナーに脅されたからだと自分に言い訳をした。
けれどそれは都合のいいように御託を並べただけだ。この島で簡単に人の命を扱い、オモ
チャのように弄び、いらなくなったら捨てた人間がここにいる。
故に、神様はいない。

137:「137・神の判断 2/2」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/19 00:37:19 GC6hjBs30
仲違いをし、気まずい関係になった吉井と仰木監督ですら、数年後に握手が出来たのに。
仰木監督、その人間性に触れ、その人の為に全力を尽くそうという気持ちになれたのに。
人間はどこかでわかり合えるはずなのに。吉井は常に『感謝』の二文字を胸にここまで生
きてきたのに。
なのに。
その人間的な感情すら持たない人間が、今、彼らの上に君臨している。
その人間的な感情すら捨てた自分がここにいる。
そして、そんな吉井の命を彼らは奪おうとしている。
(俺が……人を殺した罰か………)
因果応報。
全ては巡ってくるのだ。
(そういう道を選んだのは自分、か)
吉井は走ることを止めた。
手に持っていた消音銃を、鳩に餌でもあげるような動作で軽く投げ捨てた。
ダラリと両手を下げ、空を見上げた。
真っ黒な空に、月が煌々と照り輝いていた。
(山本と吉川の命を奪った俺は、あいつらにとって運命を握る神……悪魔か)
では、吉井の場合は。
『さようなら』
その瞬間、首に嵌められた吉井にとっての運命の神が爆発した。

【×吉井理人 残り26人】

138:「138・帰着点 1/2」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/19 00:39:18 GC6hjBs30
『残り2分です』
その言葉を的山も走りながら聞いていた。
気づいたら市街地の方まで来ていた。地図を片手に握ってはいるが、もう何の意味もなし
ていない。ただ禁止エリアを避ける為の道具。音か光を探してただ走り続けていた。
諦めたくはなかった。例え可能性は低いにしても、諦めることは自分のプライドが許さな
かった。2分後に殺される運命だとわかっていても、的山は走った。
すでに息が上がっている。これ以上走り続けるのはつらい、もうダメだ、もう諦めてしま
おうか、そう思いながらも1秒1秒を前に進んでいた。
一件の建物を曲がった所で、灯りの点いている建物を見つけた。公共施設のような大きさ
だ。暗闇の中に窓から漏れる灯りが見えた。
(誰かいるのか!!)
微かな希望ではあったが期待に胸をドキドキさせてその建物に駆け寄り、壁沿いに走り、
ドアを見つけた。ガチャガチャと力任せにドアノブを捻る。開かない。
(ダメか!)
諦めかけたその時、数メートル向こうに違うドアが見えた。少し開いているようで、その
ドアからも確かにぼんやりとした灯りが漏れていた。
(そこか!)
誰かいるのだ。ここに誰かが。的山は急いでその入り口へと駆けつけ、中へと飛び込んだ。
そして足を止めた。
多目的ホール。
見覚えがあった。
明るさが足りないと感じるくらいの中途半端な照明。
その理由はすぐわかった。
舞台の上に大きな照明器具が落ちているからだ。
飛び散っているガラスの破片、黒い塊。
そして。

139:「138・帰着点 2/2」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/19 00:40:45 GC6hjBs30
「…………ハハ」
気づいたら、小さな笑い声が漏れていた。
「………ハハハハハハハ」
笑い声は続いた。乾いたその声は、ひんやりとした室内に響いた。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
大声で笑った。
戻ってきた。
戻ってきてしまったのだ。
舞台へと歩いた。壊れている照明の下に、うつ伏せに倒れている彼がいた。
「………牧田」
手を下したのは、的山。その場所へ巡り巡って戻って来てしまったのだ。
「お前か!お前が俺を呼んだのか!」
楽しげに的山は話しかけた。
「そうか!これがお前の精一杯の復讐か!こいつはやられたぞ!」
的山は舞台に上がると、両手両足を広げて牧田の横に大の字に転がった。
「そうかそうか!そういうことか!」
不思議と的山は晴れやかな表情だった。笑顔のまま天上を見つめた。
(自分の起こした行動は、いつか自分に返ってくる。ジミー、お前は方法を間違えるなよ)
可愛がっていた後輩の姿が浮かぶ。
(お前、もう少し髭の手入れしろよ。今のままだと山賊みたいだぞ)
小さく笑った。
(似合うけどな)
いつの間にか音楽は止んでいた。そして抑揚の無い放送が室内に降った。
『さようなら』
的山の意識はそこで終わった。

【×的山哲也 残り25人】

140:「139・一難去って、また一難 1/4」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/19 00:42:16 GC6hjBs30
『0』
その声と共に、まるで空を飛ぶような体勢で阿部の頭が鈴木の傷ついた腹を直撃した。
「ぐわあっ!!」
鈴木があまりの激痛に叫び血を吐く。そのまま2人の体が重なったまま後ろへと倒れた。
「危ない!」
2人から離れじと川越もそこに飛びつき、3人揃って草の上へと倒れこんだ。
そのまま3人は動かなかった。動けなかったと言った方が正しい。動くことが恐かった。
阿部は間に合ったのか、否か。自分達は無事なのか。
『トラップタイム、終了です』
とても大きな意味を持つ言葉が、やけにアッサリと告げられた。
『グループを成立させた皆さん、おめでとう』
阿部と川越は顔を見合わせた。鈴木はまた咳き込んでいる。
「助かっ……た?」
恐る恐る、阿部が尋ねた。
「……多分、大丈夫っぽい?」
川越も自信なさげに答える。
『では、グループを作ることが出来なかった皆さん』 
続けられた言葉に思わず阿部は顔を上げた。
『残念ですが、ここまでです』
ゴクンと阿部の喉が鳴った。
『さようなら』
阿部はギュッと目をつぶり、思わず鈴木と川越のユニフォームを握り締めた。
何も起こらない。
ただ、どこか遠くの方で何かが弾けたような音がした。
『トラップタイムは以上です』

141:「139・一難去って、また一難 2/4」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/19 00:43:18 GC6hjBs30
いきなり阿部の肩がバンバンバンバンと連続で叩かれた。思わず顔を上げると、そこには
満面の笑顔の川越がいた。阿部も思わず笑顔になり、無言のまま川越の左肩をバンバン
叩き続けた。極限状態から解放されたせいか2人とも感情が飽和してしまい、言葉にするこ
とが出来なかった。
「ゲホッ!」
一際苦しそうな音で鈴木が咳き込んだ。慌てて2人は体を起こし、鈴木を見た。
「大丈夫か?スマン、俺思いっきり激突したよな?」
鈴木は阿部の問いかけに答えることも出来ず、嫌な印象を受ける咳を続けていた。両手で
口を抑えてはいるが、その指の間から赤いものが飛び散っていた。呼吸をしても、ヒュー
ヒューと喉が鳴った。川越は急いで救急箱を探した。蓋が中途半端に開いた箱が少し離れ
た場所に転がっている。こぼれた道具を急いで箱に戻し、再び鈴木のそばにしゃがんだ。
「止血しよう。怪我は腹だけか?」
鈴木がかろうじてうなずいて見せた。川越は腹を見て、一瞬小さく呻いた。そこに筒状の
ガラスが埋まっていたからだ。ポタリ、ポタリと赤い血が滴り落ちている。
止血しようにもどうすればいいのか。川越は呆然とした。
「ど、どうすれば……」
困った目で阿部に意見を求める。阿部はひとつの言葉を思い出した。
「そうだ!『Cafe Bs』だ!」
「え?」
「さっき水さんに聞いたんです。『Cafe Bs』って場所があって、そこになら何かあるかも
って。えっと、市街地の端っこだったかな、丘の麓だって。そこで待ち合わせてるんです」
「ちょっと待て、水さんなら塩崎と本柳と一緒にいるぞ」
「え?」
今度は阿部が問いかける番だった。
「俺とガブのいた小屋に、水さんと塩崎が来たんだ。水さんは肩を怪我してた。一応止血
みたいなことはしたけど……【K】がオーバーしたから、俺が飛び出してきたんだ」
「飛び出したって……川越さん、残り時間少なかったのに?死ぬかもしれなかったのに?」
「なんか……気づいたら必死になって飛び出してた」

142:「139・一難去って、また一難 3/4」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/19 00:44:12 GC6hjBs30
川越が苦笑いをする。これが川越なのだと阿部は思った。無意識のうちに自分よりも他人
を優先してしまう、そんなお人よし。だからこの混合チームの初代選手会長に選ばれ、誰
も異議を唱えなかったのだろう。
以前誰かが言った。
『川越さんは無難って言うか……川越さんを嫌いになる人なんていないでしょ』
確かにそうだ。無難な存在なのだ。だから今こうやって、阿部自身も川越をいつの間にか
信じている。この人は決して自分からその手を血に染めたりしない。そう思った。
「じゃあ、その小屋に行けば合流出来るんですね」
「ああ、合流してからそのカフェとやらに行くのもいいと思うけど、鈴木の手当てを優先
させた方がいいのかな。水さんはカフェに来るのか?」
「多分。水さんの怪我の具合はどうだったんです?俺、会ってないんです」
「え?会ってない?」
「ええ、声だけのやりとりでした」
「そうか………動けない怪我じゃないと思うけど………血が止まってるかだな」
川越が腕を組む。阿部もそれに倣うように腕を組んだ。
「でも水さんに言われたんです。そのカフェで会おうって。水さんの性格だから、きっと
来ると思いますよ」
「でも………」
川越の表情がまた困ったものになる。
「カフェへの道もわからないまま3人揃ってウロウロするのは、鈴木にとってはつらいかな
……体がきついかもしれない」
「そう言われるとそうですよねえ………やっぱり先に小屋に戻って、水さんに案内しても
らった方がいいのかな」
阿部の言葉に、ずっと迷っていた川越も決意を固めたようだった。

143:「139・一難去って、また一難 4/4」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/19 00:45:40 GC6hjBs30
「カフェと小屋の距離が近ければいいんだけどな。それにメチャクチャに走って来たから
小屋までの道がちょっと曖昧なんだよなあ……」
「その為の地図っしょ!」
阿部がバサバサと地図を開いた。
「小屋はどの辺ですか?」
「えっと、この辺の小屋だから、方向から行くとあっちだな」
暗闇の中の1本の道を指し示したその時。
ガシャンと音がして、鈴木が川越にタックルをするような態勢で救急箱に飛びついた。
「鈴木?!」
鈴木はガシャガシャと箱を漁ると、1本のメスを両手で握り締めた。
「………お前………らぁ………」
掠れる声で喋った。また喉からヒューヒューと空気が漏れた。
「す、鈴木?!」
思わず川越と阿部は寄り添うようにして後ずさる。
「…………道連れだあっ!!!」
ナイフを腹の位置で握り締めたまま鈴木が突っ込んできた。とても怪我人とは思えないよ
うな勢いで。
「うわああっ!!」
その体を間一髪でかわした。攻撃対象を失い、重心を崩した鈴木の体が地面へと倒れる。
狂人となった鈴木から逃れるべく、ようやく休息を得たはずの2人はまた必死になって走り
出す運命となった。
一瞬だけ川越の脳裏に白い靄のようなものが膨らみかけた。自分の思考を支配するような
その感覚に、思わず立ち止まった。
「川越さん!」
阿部に呼ばれ、我に返る。腕を引っ張られるようにして、川越は阿部の後ろを走り出した。

【残り・25人】

144: ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/19 00:47:00 GC6hjBs30
今回は以上です。

145:代打名無し@実況は実況板で
07/05/19 00:51:46 cGfzQEpx0
うあぁ・・・
初めてリアルタイム投下に遭遇した・・・
鳥肌モンでドキドキしちまったよ


146:代打名無し@実況は実況板で
07/05/19 01:29:01 2T2EaTOHO
乙どす。

吉井も的山も……
特に的やんの話はゾクっとしました…


147:代打名無し@実況は実況板で
07/05/19 01:38:31 d7jBXKCVO
乙です。
的やんの結末が恐い…

職人さん、IDがラッカルw

148:代打名無し@実況は実況板で
07/05/19 01:41:47 BEFEYU4R0
乙。
ベテランが一気に消えて寂しいな……
あとベテランと言えるので残ってるのは水口くらいか?

149:代打名無し@実況は実況板で
07/05/19 13:08:00 2Ta7g7L+0
乙です。
二人とも今までの業が廻り廻ってという感じの最期だ・・・ゾワッとくるわ。
頑張れ川越&阿部ちゃん

150:代打名無し@実況は実況板で
07/05/19 18:05:26 4r8Hd95a0
乙です。
川越が心配だ...
これからどうなるか。
頑張れ二人とも。

151:代打名無し@実況は実況板で
07/05/19 22:26:11 iPiN+pIFO
乙です!
まーとーやーまぁぁぁぁぁ…゚・(つД`)゚・゚。

さて、トラップタイムが終わった瞬間からあの人やあの人やらがどう動くのかドキドキ

152:代打名無し@実況は実況板で
07/05/20 01:16:22 6gDpWt8r0
あげ

153:代打名無し@実況は実況板で
07/05/20 19:32:40 j+T2yFSOO
☆☆☆

154:代打名無し@実況は実況板で
07/05/21 03:01:13 J6N2NIIrO
一つ質問
Kはジャスト三つじゃないといけないってことだが
菊地原・日高・田中彰のグループの二個×3はOKなの?
3の倍数ならいいの?

155: ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/21 19:47:57 mb8bsj3w0
>>154
菊地原・日高・田中組の【K】6個の展開は、今週末か来週末の投下分でわかるようになっています。
伏線などの都合上、投下順序が他のグループよりも後にしてあります。
すみませんが、もう少々お待ちください。
それから、出来ればsage進行でお願い致します。次のスレではテンプレにも入れるようにしますね。

156:代打名無し@実況は実況板で
07/05/21 22:45:26 BNd4Avs4O
wktkにしてます

157:代打名無し@実況は実況板で
07/05/22 21:08:42 UBJhCR9QO
☆☆☆☆

158:代打名無し@実況は実況板で
07/05/23 03:37:43 qc+e9EyW0


159:代打名無し@実況は実況板で
07/05/24 00:10:04 XNOh/yYnO
保守

160:代打名無し@実況は実況板で
07/05/24 19:24:01 oYXS9LpaO


161:代打名無し@実況は実況板で
07/05/25 15:44:45 akH6mFNj0
ほしゅ

162:代打名無し@実況は実況板で
07/05/25 22:37:43 sAOt0E5vO
保管庫さん…

138.帰着点の話が変な事になってます…



163:代打名無し@実況は実況板で
07/05/25 23:31:46 y6dAuosL0
>>162
すいません直しておきました。
また何かあれば教えてもらえると助かります
よろしくおねがいします

164:「140・本当のこと  1/5」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/26 01:11:30 zNm4C0780
『トラップタイムは以上です』
その言葉の流れた5秒ほど後、早川が小さな息を吐いた。
グループが出来上がった後もしばらく歩き回っていたのだが、歩きつかれた早川、後藤、
平野佳寿の3人は、見つけた丸太の上に並んで同じ方向を向いて座っていた。近くからサ
ーッ、サーッという不思議な音が聞こえた。多分、波が打ち寄せている音だと後藤は思っ
た。かなり沿岸部まで来ているようだ。
「今、グループを作れなかった皆さんって言ったよな?」
早川が呟く。
「言ってましたね」
後藤が静かに答える。
「じゃあ、このトラップで生き残れなかった奴がいるってことだよな?」
「そうですね」
早川はまた息を吐いた。今度はため息だった。
「……下山とか、大丈夫かなあ……」
「元気印の野次将軍ですもんね」
「ベンチでよく俺とシモで並んでさあ、いろいろ大声出してたんだよなあ……あいつにだ
けは負けられんって感じで」
「そんなところで勝負しないで下さいよ」
後藤が小さく笑う。早川も笑った。その両手はしっかりと刀を握り締めてはいたが。
「あいつなら、なんやかんやで生き残ってると思うけどな………こういう状況だと、なん
だかわかんないけど些細なこととか思い出すんだよな……ホント、あいつの大声は耳に響
くんだよ。一度隣で聞いてみ?」
「遠慮しときます」
「でもさあ……」
早川はとても穏やかな目で遠くを見つめた。

165:「140・本当のこと  2/5」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/26 01:13:08 zNm4C0780
「こういう風に追いつめられた時にフッと肩の力が抜ける時ってあるじゃん、緊張感が切
れる時って言うかさ。そういう時に思い出すこと程、本当のことなのかもしれないよな」
早川の言葉の意味が平野にはよく理解出来なかった。何故なら平野の緊張感はまだ続い
ていたから。そして、そういう時に思い出すことなど何もなかったから。あったとしても、
印象にも記憶にも残らないような、取るに足らないことだろう。
「シモの馬鹿デカイ声思い出すんだよ。懐かしいんだよ。ついこの間までよく聞いてたこ
となのに。デカイ声、ベンチの声、見てる試合、野球をしている自分……全部大切って言
うか、俺にとっては本当のことなんだよ」
「シモさんの野次からそこまで繋げる早川さんがすごいです」
後藤が茶化したように言う。
「じゃあゴッツ、お前が思い出したこと、何?」
後藤の頭には、この島に放たれてからずっと考えていたことが当然のように浮かんだ。阿
部真宏を見つけなければならない。大切な一言を告げなければならない。そのまま言うの
はあまりに恥ずかしかったので、オブラートに包んだ。
「阿部ちゃんかなあ。同級生だし、大学時代からのチームメイトだし」
「そっか、阿部探してるって言ってたもんな。平野は?」
話題を振られて平野は軽く小首を傾げて見せた。
「特になにも」
サラリと告げる。早川が大袈裟に残念そうな顔をした。
「あー、まだ若いからかなあ」
「俺だってまだ若手ですよ」
後藤が負けずに自分を指差す。
「ゴッツが若手ならこの早川大輔は永遠の若手だぞ」
風が吹いた。周囲の草木がさわさわと揺れた。

166:「140・本当のこと  3/5」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/26 01:14:11 zNm4C0780
「あれ?」
何かに気づいたのか、平野が立ち上がった。木々の向こう、じっと一点を見つめている。
その方向へと数歩歩いた。
「どうした?」
後藤も立ち上がる。平野の隣に並ぶようにして、同じ一点を見つめた。
「……ゴッツさん」
「ん?」
相変わらずのとぼけた返事が返ってくる。
「どうしてゴッツさんはそう簡単に人を信じるんです?」
「さっきも言っただろ、俺はいつでも友達募集中だよ」
「……お人よしなんですね」
「違うよ………お前はまだ子供だな」
また自尊心を傷つけられて、平野は憎々しげに後藤を見た。後藤はニヤニヤ笑いながら、
平野が見つめていた方へと少しだけ足を進めた。
「警戒心が強いから、逆に誰とでも友達になりたいのかなあ……」
暗闇の方へと顔を突っ込む。両手で小銃を大事そうに抱きかかえたまま。
(これじゃあ……無理だ)
平野は心の中で小さく舌打ちをした。
「おい平野、こっちに何が見えたんだ?」
後藤の問いかけを無視して、平野は早川へと歩み寄った。
「早川さん、ちょっとこっちに」
「ん?どうした?」
出会った時よりも冷静さを取り戻している声で、早川は答えた。そして地面に突き立てた
刀に重心を預けるようにして立ち上がる。静かに刀を土から抜いた。
「あの、こっちに……」
言いかけたその直後、平野が思い切り早川の体にタックルをした。
驚きの声を上げることも出来ず、そのまま早川の体が地面に倒れる。平野は全身で刀に
飛びつくと、早川の手から闇にきらめく長刀をもぎ取るようにして奪った。

167:「140・本当のこと  4/5」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/26 01:14:58 zNm4C0780
「平野!」
早川が叫ぶ。と同時に平野の刀がその体へと情け容赦無く振り下ろされた。
「うあっ!!」
「は、早川さん!!」
後藤が早川の元へと駆け寄ろうとする。しかし平野はすぐに立ち上がり、後藤へと突進し
てきた。
「うわっ!や、やめろ平野!」
叫びながら後藤は平野に背を向けると走り出した。銃を構える暇など無かった。刀の長さ
を考えたら、とにかく平野から間合いを取らねばならない。しかし物凄い勢いで駆けて来
る平野から逃れるには、今はただ走るしかなかった。
その瞬間、後藤の左の足場がズッと崩れた。
「え?!」
重心が崩れる。左足の下の地面が勢いよく崩れてゆく。それは一気に右足にも伝わった。
「う、うわっ!」
崖だった。暗闇の中、高さはわからない。
「うわあああああっ!!」
絶叫しながら後藤の体は崖の方へと倒れ、平野の視界から消えた。ザザッと砂が滑る音。
ドサッと何かが当たる音。平野は地面にしゃがみ自分の足場の安全を確認すると、早川を
見習って首から下げていた懐中電灯を崖下へと向けた。かろうじて後藤の体がゴロゴロ転
がっている様子がチラリと見えた。
「あああああああ!!」
後藤の叫び声は遠くなっていった。そして、ドサン、と何かが落ち着いた音と共に消えた。
崖自体はそれほど高くはないようだった。平野は懐中電灯で下を照らした。8の字を描くよ
うにして辺りを調べる。打ち寄せる波が見えた。倒れている後藤がいた。動く気配は無い。
気を失っているのか、それとも頭の打ち所でも悪くて死んだのか。
(どっちにしろ、とどめを刺しには行けないな)
苦笑いをする。本当は自分の手で後藤を殺したかったのだが。

168:「140・本当のこと  5/5」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/26 01:15:45 zNm4C0780
(今って、引き潮の時間かな?)
よく目をこらすと後藤の倒れている近くの枝に、海草のようなゴミにも見えるものが引っ
かかっている。
(じゃあ、時間がきたら満ち潮になるわけだ)
不敵な笑みが浮かんだ。出発地点でオーナーが行っていたこと。海に入って脱出しようと
すると、首輪が爆発する。体温を検知するとか言っていた。全身が海に浸からなくても爆
発するのだろうか。
(とりあえず……ゴッツさんにはそのまま寝てて欲しいな)
楽しげに笑いながら、平野は後ろを振り返った。まだ早川にとどめを刺してはいない。あ
れだけこの刀に固執していた早川だ。きっと追ってくるに違いない。ならばこちらから迎
え撃ってやろう。向こうは他に武器など持っていないようだ。平野は元いた場所へと歩き
出した。
丸太が横たわっているその場所には、もう誰もいなかった。早川の姿もない。ただ血痕ら
しきものだけが地面に残っていた。
(逃がしたか……またゴッツさんのせいだ)
舌打ちをする。
(まあ……いいや)
なんだか楽しい気分になってきていた。高揚しているのがわかる。刀を月灯りにかざした。
美しく、力強くきらめく光に平野はうっとりと見惚れた。
(この刀があれば……勝てる)
確信した。
(さて………川越さんを探さなきゃ)
刀を一振りして血を払うと、平野は闇の中を独り歩き出した。

【残り・25人】

169:「141・号外  1/5」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/26 01:17:09 zNm4C0780
トラップタイムが終わっても、日高と田中彰はぼんやりしていた。
菊地原の体は地面に横たえられている。横にネッピーが座り、水を濡らしたタオルをその
うなじに当て、繰り返し名前を呼んでいた。
「………行くか?」
日高が尋ねる。
「ま、行かなきゃダメでしょうね」
どこか楽しそうに田中が答える。
「オーナー直々の命令ですからね。そのお陰で俺らは助かったんだし」

トラップタイム残り5分の時、突然日高の首輪の一部が黄色に点滅し始めた。
そして聞こえた声。
『日高君、聞こえますか?』
突然の出来事に日高、田中、ネッピーの3人は息を飲んだ。
『宮内です。聞こえているなら返事をして下さい』
声は日高の首輪から聞こえていた。
「は、はい」
『よろしい。……さて、君たちはさっきから全然動きませんね、残り5分なのに』
「え、ええ、一応【K】が6個揃いましたから……」
奇妙な問いかけに戸惑いながら、日高は言葉を選びつつ話した。
『6個?』
宮内が問いかける。
「はい、俺が2個、菊地原さんが2個、田中が2個。合計6個です。【K】3個のグループが2つ
出来てます」
すると、会話に微妙な間が空いた。思わず日高は田中を見た。田中も曖昧な表情を返した。
『おや、君たちはさっきの私の説明を聞いていなかったんですか?』
「え?」
『【K】はジャスト3個でひとつのグループとして成立します。君たちの場合はどうですか?
数えてみて下さい』
途端に田中の表情が凍った。
『2が3個で合計6個。3のグループが作れないんですよ』

170:「141・号外  2/5」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/26 01:17:58 zNm4C0780
「で、でも、6は3の倍数じゃないですか!」
『グループを作るのは数字じゃありません。人間です。3個ピッタリで1グループと私も宣
言してしまいましたからね、そのルールに従って頂かないと』
日高は言葉に詰まった。確かにその通りだった。思わず3の倍数が集まったという時点でグ
ループは完成したものだと浮かれてしまった。それは田中も同じことだった。
(菊地原さんを真っ二つにして3個のグループ2つ………タチの悪いジョークだね)
田中は心の中で苦笑いをした。そんな場合ではないのに。
残り5分。短い時間で仲間を見つけられるだろうか。日高は唇を噛み締めた。
『…………特例として、助けてあげてもいいですよ』
「えっ……」
『ただし、こちらの命令を聞いてくれるならですが』
宮内の声は絶対的な響きを持っていた。
『ちょっと私の指示する場所へ行ってくれればいいんです。簡単です。今から出発すれば、
明日の朝くらいには楽に到着します。そこで私の言ったことを調べて欲しいのです』
日高は時計を見た。残り時間は5分を切っている。このままでは間違いなく自分は死ぬ。自
分だけではなく、田中も菊地原も。その無残な姿をネッピーに見せることになる。
ネッピーは悲痛な表情を浮かべていた。どうすればいいのかわからず、じっと日高を見つ
めている。
『さあ、どうしますか?』
答えはひとつしかなかった。
「………行けば、このトラップタイムを無事に生き延びられるんですね?」
『そうです。日高君も、田中君も、菊地原君も』
「………なら、行きます。指示に従います」
『契約成立です。行くのは日高君と田中君の2人だけ』
「えっ?」
『ネッピー、君は菊地原君と一緒にいなさい。どうやら意識のない菊地原君は行動するに
はお荷物になりそうですから』
宮内はネッピーがここにいることに気づいている。ならばリプシーの存在もわかっている
のだろう。場所も確実に把握しているのだろうか。

171:「141・号外  3/5」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/26 01:18:50 zNm4C0780
「あ、あの」
日高が思わず問いかける。
「全員一緒じゃダメなんですか?背負って行動出来ますから」
『2人です』
冷たい声だった。
『1人では、私の命令に背いて約束を果たさない可能性もあります。誰かに殺される場合も
あります。2人なら互いに牽制し合うでしょうし、どちらかがハプニングで倒れても、残り
の1人がいますから。3人では菊地原君がお荷物。ネッピーは論外』
「じゃあやっぱり全員で行った方が確率は高いじゃないですか!」
「僕が!僕が行きます!」
ネッピーが思わず声を上げた。宮内の小さな笑い声が聞こえた。
『こちらにも時間というものがありましてね。回答を急いでいるんですよ。菊地原君はお
荷物です。ネッピーの存在は反則です。だから、明日の朝8時までにその場所に着いて、調
べて結果を報告して下さい。………契約は成立したはずですよ?』
最後の一言の裏側に、言い知れない凄みを感じた。日高は目を閉じ、拳を握り締めた。
「……どうして俺たちなんですか。俺たちが一番近くなんですか?」
『いいえ』
「じゃあどうして。オーナーの命令を聞く人ぐらいいるでしょう?そっち側のスタッフと
かそこにいるんじゃないですか?」
『このゲームに関係ない人を島の中に放り込むのは危険だと思いましてね』
(だろうな。俺がスーツの男を見つけたら即座に捕まえて脅すもんな)
田中が心の中で呟く。
『一応ブランボ……いえ、緊急事態用のメンバーがいるんですがね……少々今は使えない
ので。最も適した取引条件を兼ね備えていて、動かしやすい人数なのが君たちです。さあ、
もういいですね?』
有無を言わせない言葉だった。日高は諦めたように肩の力を抜いた。
「途中で約束を破るような素振りを見せたら……」
『首輪が爆発します。当然ですね。だからネッピーには頼めないんですよ。こちらのコン
トロール下にいないのでね』

172:「141・号外  4/5」 ◆UKNMK1fJ2Y
07/05/26 01:19:32 zNm4C0780
「…………行きます」
その後、宮内は日高に目的地を教えた。地図を開かせ、詳しい場所を。
『ここにいる清原君に会って下さい』

死んだはずの清原に会いに行けという指令。
日高と田中は納得出来ないものを感じつつも、鞄を肩にかけ直し、それぞれの持ち物チェ
ックをした。
「ネッピー、菊さんを頼むよ」
「はい。菊さんのことは任せて下さい」
「時間的な問題もあるから、ひょっとしたら、俺たちはもうここに戻って来られないかも
しれない」
「……歩いてる途中で、新しい誰かに会うかもしれませんよ。そうしたら、その人たちと
上手い脱出方法が見つかるかもしれないし。希望を捨てちゃダメですよ!」
ネッピーが無理矢理明るい声を出して励ました。日高も笑顔でうなずいた。
「ネッピー」
日高が手招きをした。そして地図を裏返し、ペンで殴り書きをした。
『多分、俺たちの会話は盗聴されてる。だから』
ネッピーがうなずく。日高はまた地図の面を表にすると。自分達のいる島から少し離れた
場所にある小島をペンで指した。何度も。そしてまた地図を裏返すとペンを走らせた。
『夜になるとこの島から光が見える。誰かいる。SOSを送れば助けが来るかも』
ネッピーは思わず日高の顔を見た。
『このことをみんなに知らせたい』
ネッピーが力強くうなずいた。日高のメッセージを背後から覗き込んでいた田中の顔に、
怪しい笑みが浮かんだ。
(これは……なかなかいい情報だ)
日高の地図がしまわれる。そしてネッピーを見つめた。
「戻って来れるように頑張るから」
「はい……僕も頑張ります!」
「じゃあ……」
日高が背中を向ける。田中も続くようにしてネッピーに背中を向けて歩き出した。


次ページ
最新レス表示
スレッドの検索
類似スレ一覧
話題のニュース
おまかせリスト
▼オプションを表示
暇つぶし2ch

5363日前に更新/346 KB
担当:undef