阪神タイガースバトル ..
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07/06/17 22:11:33 0VNpoGLL0
気が付けば掌で額を覆い、瞑目していたらしい。
はっと顔を上げると、桧山の労るような視線を感じた。
「疲れた顔してますよ」
そうなのだろう。彼に気を遣うことも出来ないほどに疲れている。それでも、
ここにいるのが彼で良かったと思う。
彼といると少しだけ、気持ちの糸を緩めることが出来る気がした。
この男は常に『らしさ』を失わない。それ故に、いつでもそこに当たり前にいる
ような、妙な錯覚を覚える。それが恐らく、安心感に繋がっている。
(こいつが我を失うことなんてあるんやろうか―)
想像がつかなかった。
「昼飯食ったら、寝た方がいいんじゃないですか」
「寝首かかれたらどうすんねん」
「俺が側にいますよ」
ひねくれた答えを返す先輩に苦笑して、桧山が立ち上がった。脇に置かれていた
荷物を解き、テーブルの上に昼食を並べる。
申し出は有り難かった。
疲労感や倦怠感がじわじわと身体の外側から染み込んでいく。睡眠でも取らない
ことには、持たないことは自分でも解り切っていた。
食欲もあまりなかったが、これからのことを考えると体調には気を遣うべきだろう。
桧山が用意してくれた、手を付ける気になれなかったパンに手を伸ばす。
―コンコン
タイミング良く響いた律儀なノックの音に、矢野は思わず手を引っ込めた。
「失礼します、鳥谷です」
間を置かずドアが開き、鳥谷敬が顔を出す。
「矢野さん、昼飯まだありますか?」
何で俺に聞くんやろう、とぼんやりとどうでもいいことを疑問に思いながら黙って
いると、代わりに桧山が答えた。
「危なかったなー。めっちゃ腹減ってたから、鳥谷の分まで食べてまうとこやったわ」
もう一人の、最も死を想像できない男。
彼が、笑顔で後輩を迎えるのを横目で身ながら、矢野は緩慢にパンを囓った。
【残り34人】
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