阪神タイガースバトル ..
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428:174(2/7)
07/05/20 18:17:02 Ix2egfVm0
 不器用で、我ながら要領が悪いと思う程、何事に対しても全力で取り組む中村と、
要領よく、抜くところは抜いて上手く立ち回る秀太。
 本来ならば不愉快に思ってもおかしくないタイプの人間なのに、何故か彼に
対して嫌な気をしたことはなかった。
 「まあ秀太だから」と周囲から笑って許容されてしまうような、不思議な愛嬌が
彼にはあった。
 彼の周囲で笑いの絶えなかった日々を思い出し、ふとほころびかけた頬を、
中村は慌てて引き締めた。
(今あいつがしてることは、笑って許されるようなレベルじゃない)
 人として腐りきった首脳陣共に手を貸す彼もまた、同じ種類の人間だ。
 しかし、こうも遅々として進まないと、追跡してる身としてもイライラしてくる。
(ちょっと待てよ)
 足踏みをしそうになりながら秀太の背中を睨み付けていると、中村はあることを
思いついた。
 この禁止エリアが、今回秀太が入るために解除されたのだとしたら、秀太が出た
後は再び禁止エリアに設定される可能性が高い。
 目的地は分かっているのだから、彼の後をついて行くよりも、彼より前に着いた
方が自由に使える時間は多い。
(先回りする必要があるな)
 なぜもっと早く気付かなかったのだろう。鈍い自分に歯噛みしながら、ロスした
時間を考えそうになり、中村はすぐに思考を切り替えた。
 気付かれないよう秀太の側を離れながら、進行方向を意識する。
 月と星の位置を確認して、中村豊は駆け出した。
 背に担いだライフルが背骨にぶつかり、見えざる手に急き立てられている気がした。


 グラウンドに出ると、空が明るくなったように感じた。
 広い土色の地面に、月明かりが吸い込まれる。
 小さな世界の中心から見上げる星空は、広大で、美しかった。
 全てを放り出し、グラウンドの真ん中に寝そべって満天の星明かりに吸い込まれて
しまいたくなるような―魔性の魅力。

429:174(3/7)
07/05/20 18:18:18 Ix2egfVm0
 それでも心を奪われたのはほんの一瞬だったように思う。
 足を止めることはなかった。視線を地上に戻したとき、目に入った二つの建物に
中村は瞼を瞬いた。
 忘れていたわけではないが、意識していなかった。いや、やはり忘れていたのだろう。
(ヤバイ)
 体育館―校舎。
(どっちだ!?)
 どちらが主催者の拠点になっているのか。間違ってしまったら時間の無駄だ。限られた
時間を無駄にしてしまったら、全てが水の泡だ。
 眼前に聳える二つの建築物に近づきながら、中村はゲーム開始直後の記憶を呼び
戻した。
 自爆装置に、禁止エリアや全島放送―
 今までの話を聞く限り、これらは一括して首脳陣がコントロールしているのは
ほぼ間違いない。
 その為には、それなりの施設が必要になる。
 体育館には、自分が記憶する限りそんな怪しげな機械類は置かれていなかった。
 また、そういった大がかりなものを収納できるようなスペースもなかったように思う。
 対して、校舎には山ほど教室がある。
(じゃあ校舎だ!)
 ほとんど勘で、中村は進行方向を決めて進んだ。
 正面の玄関口から校舎に入り込む。室内独特の、ひんやりとした空気が頬に張り
付いた。
 靴箱が並ぶ空間は、どこか懐かしい。
 スパイクが立てる音を気にして、中村は靴を脱ぎ適当な靴箱に押し込めた。
(見つかったら殺される……かな、やっぱり)
 今更ではあるが、敵の膝元まで来て改めてそんなことを思う。背中を流れる汗が、
ここまで走ってきた時とは違う冷たさを伴っていた。
(とにかく、手当たり次第当たっていくしかない!)
 がむしゃらに校舎内を駆け回り、中村は目に付く教室から一つずつ中の様子を探って
いった。

430:174(4/7)
07/05/20 18:19:22 Ix2egfVm0
 小さな孤島の廃校といっても、部屋数はそれなりにある。
(違う、……違う、ここじゃない)
 息を殺しながらの探索は過度の緊張を中村に与えた。空振りが続く。
 あれからどれくらい経ったのか―時間の感覚がなくなっている。
 秀太はもう着いただろうか。
『秀太が禁止エリアを離れれば、ここは禁止エリアに設定される』
 自身の推測ではあるが、それは限りなく正しいように思えた。 
 彼らの使徒である田中秀太が出ていけば、このエリアを無防備な状態のまま放って
おく必要はない。
(どこだ? どこにいる!?)
 募り続ける焦燥感に、少しずつ不安が染み込んでいく。
(もしかしたら、やっぱり体育館の方に―)
 ―光が見えた。
「っ……!?」
 思わず声が出そうになったのを慌てて押し殺す。
 暗く沈んだ廊下に、細い光の筋が差し込んでいた。
 慌てて床に這い蹲り、匍匐前進で近づいていく。
 完全に窓を分厚いカーテンで遮断した一室。
 立て付けが悪いのか、角に砂かゴミでも溜まっているのか、木造の引き戸からほんの
僅かに室内の明かりが漏れ出ている。
 跳ね上がる鼓動の音すら聞こえてしまいそうな空間で、中村豊は一人、そっと隙間
を覗き込んだ。
(何や……これ……っ!?)
 まず目に入ったのは、壁一面を埋め尽くすモニターだった。
 小さなモニターの一つ一つは、全て違う映像を映し出している。
 中には灰色の砂嵐が流れているだけのものもあるが、そこにある多くは間違いなく、
この島のどこかを映していた。
 目を凝らしてみると、画面内で動いている人間が確認できる。あれは今岡だろうか―
 森の中を武器を抱えて一人彷徨く者。どこかの部屋の片隅で蹲る者。
 ―まるで戦場のようだ。
 室内で、布団で寝込んでいる者と、その枕元で見守る者もいた。

431:174(5/7)
07/05/20 18:21:07 Ix2egfVm0
 こういう、複数人で助け合って生き延びようとしている人間もいるのだ。
 彼らの為にも、自分達のためにも、こんな狂った計画は潰さないといけない。
 思わず画面の方に目を奪われてしまったが、部屋の中央に鎮座する男に気付き、
ギクリとする。
 何と言うことのないパイプ椅子に座り、腕を組みながら画面の方を向いている
中年の男。
(平田―)
 平田ヘッドコーチだった。
 衝撃の事実だ。まさかこんな形で島中に隠しカメラを設置し、自分達の様子を
監視していたとは―
(でもそれなら、俺が入ってくるのも気付かれてたんじゃ―)
 その可能性に思い至る。ここまで何の妨害もなく来れたが、それ自体が罠だった
のではないか?
 ぶわっと全身から汗が噴き出た。
 後ろを振り返るのが怖い。
 背筋に冷たいものを感じながら中村が平田の背中を凝視していると―
 カクンッ、と平田の身体が前のめりに傾いだ。
「……ぐがっ」
 それに合わせて、そんな短いイビキが聞こえてくる。 
 動きはそれだけだった。反動で再び元の体勢に戻ったかと思うと、項垂れたまま
動かなくなる。
「………………」
(……寝てる?)
 信じられない思いで、その事実を飲み込む。
 よくよく耳を澄ませると、定期的に小さなイビキが聞こえた。
 呆気に取られながらも、中村は視線を平田から外して再度周囲を確認した。 
 シンと静まりかえった廊下は薄暗かったが、誰かが近づいてくる気配もない。
 平田以外の人間はどこに行ったのか気になるが、とりあえずこの部屋には平田しか
いないようだった。

432:174(6/7)
07/05/20 18:22:13 Ix2egfVm0
 まさか監視役が居眠りをしているというラッキーに鉢合わせるとは想像もして
いなかったが、これは天が味方したと思っていいだろう。
 逸る気持ちを抑え、中村はそっと戸を押し開いた。少しだけ音がして身体を強ばらす
が、平田のイビキが止むことはない。
 胸を撫で下ろし、足音を潜ませて侵入する。
 そこは、ゲームの中枢機関だった。
 壁一面のモニターと、部屋を埋める大型のコンピュータ類。ボタンや画面のついた
それらは休みなく働いていることを主張するように、小さな機械音や点滅を絶え間なく
続けている。
(どうする―?)
 どこをどう手を付けていいものか分からない。
 死を覚悟で全てを破壊してもいいが、自爆装置などの管理もここで行っているの
だろうから、下手にいじるのは危険だ。
 途方に暮れて部屋の中を見回すと、唯一親しみのある機器を見付けて中村は近づいた。
 それは、ごく一般的なFAX機だった。
 どこからか送信されてきたらしい、放置された書類を手にとってみる。
(なんだ、コレ……?)
 それは一見、この悪趣味なゲームと何ら関係のない内容のように思えた。
 いや、それよりも―
(何でこの人の名前がここに……)
 文字の羅列を目で追いながら、数枚の紙をめくる。
(まさか、これって……!)
 限られた情報量からあることを推測する。
 もし、自分の推理が正しかったとしたら―
(あれ?)
 視界の片隅で点滅を始めたライトに気付き、中村豊は書類から目を離した。
 忙しなく明滅を繰り返しているのは、得体の知れない機械に張り付いたボタンの
一つだった。
 よくよく観察してみると、周囲にマイクとヘッドフォンがついていることから、
それが通信用の機器であることが分かる。
 どこからか通信が入っているのだろうか。

433:174(7/7)
07/05/20 18:24:18 Ix2egfVm0
 中村はヘッドフォンを装着し、震える指先でチカチカと呼び続けるスイッチを押した。
 その瞬間、耳に直接流れてきた声に。
 知らされる事実に。
「――」
 脳髄を直接殴られたような衝撃が走った。
(そんな……こんなことって……)
 有り得ない。あってはいけない。そんな言葉がぐるぐると頭を巡る。思考が、これ
以上考えることを拒否しようとしていた。
 それでも、無慈悲にも耳に流れ込んでくる情報は、確実に、残酷に中村に真実を
突き付けていた。
(そうか、だからあの人は―)
 失ったピースを見付けたパズルがするすると解けていく。
 その時は気付かなかった違和感が、今になって違和感であったことに気付く。そして、
その正体に気付く。
 呼びかけは執拗だった。しかし、一向に応えない中村豊―正しくは主催者―に
対して諦めたのか、先方は最後にひと言を残して通信は途切れた。
 無音になったヘッドフォンをはずし、中村豊は呆然と立ちつくした。時間にすると、
ほんの数秒間。感覚にすると、限りなく長い間。それはある種の絶望だった。
 このゲームに放り込まれた時と、秀太に裏切られた時と、同等か、もしくはそれ以上の。
(早く、伝えないと……!)
 一刻も早く彼らに会わなければいけない。
(ゴレンジャーに!)
 真実を知りにここに来たのだ。突き付けられた真実の惨さに、打ちひしがれている
暇はなかった。
 ここで得た情報を、伝えなければならない。―立ち向かえる者に。
 書類を手にしたまま、中村豊は開けたドアの隙間をすり抜け、出口へと疾走した。 
「…………」

 薄暗い廊下を走り去っていく彼を見送る視線に、中村豊は気付かなかった。

【残り34人】

434:代打名無し@実況は実況板で
07/05/20 19:25:31 Pxe2Amkj0
き、きてた・・・・。
うわ、ばれてたってこと?
豊さん、気をつけて!

435:代打名無し@実況は実況板で
07/05/20 19:46:38 1rrvc/ij0
おお、新たな展開が・・・
職人さん乙です!

436:代打名無し@実況は実況板で
07/05/20 20:07:24 gjhgXUpJO
うぉぉ
衝撃の事実って……

437:代打名無し@実況は実況板で
07/05/20 20:31:15 q5p7kkpf0
久々に新作キタ!
真実って一体何なんだ!
これからの展開が楽しみだ!

438:代打名無し@実況は実況板で
07/05/20 22:24:36 nUKYZgVW0
うあぁ新作きたー
豊ガンガレ!超ガンガレ!


439:代打名無し@実況は実況板で
07/05/21 01:20:17 zR5JthTh0
久々の新作投下乙です!!
おわぁああん気になる・・・ガンガレ豊さん・・・!

440:代打名無し@実況は実況板で
07/05/21 02:34:15 Y5O0l7ja0
新作乙です!!

豊よ、何を見たんだ?!

441:代打名無し@実況は実況板で
07/05/21 21:54:54 oCdE9eV00
ほしゅ

442:代打名無し@実況は実況板で
07/05/22 18:57:30 y5CLwtTFO
保守

443:代打名無し@実況は実況板で
07/05/23 01:29:51 kl8ddzwC0
スタメン桜井とか藤原とか
喜田移籍とか見るたび
ガクブルするのは
このスレの住人だけでいい…

とか 思いながらほしゅ

444:代打名無し@実況は実況板で
07/05/23 03:36:58 qc+e9EyW0


445:代打名無し@実況は実況板で
07/05/23 03:41:23 rjNx6vNJ0
なにがあったああああああ
豊さああああああああん
ゴレンジャーと豊は助けて・・・

446:代打名無し@実況は実況板で
07/05/23 08:08:51 /57yn5NP0
狩野ってここではまだ生きてたっけ…と思ってしまう他ファンの自分

447:代打名無し@実況は実況板で
07/05/23 13:10:23 9WSJcBYJ0
>>446
生きてるよ
エグ杉と一緒にいたとオモ

448:代打名無し@実況は実況板で
07/05/23 14:44:57 nrtRFXd30
吉野が気になってしょうがない
先に逝ってしまった安藤ファンの俺

449:代打名無し@実況は実況板で
07/05/23 23:02:30 U6VYPPth0
ここの狩野は病気でかなりまいってたけど頑張ってるなあ
でも一緒にいる杉山がなんかヤバそうで心配

450:代打名無し@実況は実況板で
07/05/24 21:59:29 zc39xEgO0
ほしゅ

451:代打名無し@実況は実況板で
07/05/25 16:57:25 OVhPsGjMO
職人さん降臨まで保守

452:代打名無し@実況は実況板で
07/05/26 05:26:53 j38im1X+0
がー! すげー!!
職人さん、めちゃ乙!!!

豊、生きてゴレンジャーのところまで戻ってくれ!

453:保守
07/05/26 14:43:57 yYFQJox50
保守

454:代打名無し@実況は実況板で
07/05/26 21:08:39 03/24R960
豊、試合でも姿を見たいよ・・・保守

455:代打名無し@実況は実況板で
07/05/27 10:59:09 OAhvoNhY0
豊ってケガしてたよね、確か。治ったのかな・・・
保守

456:代打名無し@実況は実況板で
07/05/27 22:08:49 XNr7ax9G0
めげずに保守

457:代打名無し@実況は実況板で
07/05/28 02:01:49 7hKQaai60
保守

458:代打名無し@実況は実況板で
07/05/28 15:23:31 PB2A7aGY0


459:代打名無し@実況は実況板で
07/05/29 18:34:18 r07KIjFh0
ほしゅ

460:代打名無し@実況は実況板で
07/05/30 01:15:19 ZUVwVQ+GO
矢野復活祈願保守

461:代打名無し@実況は実況板で
07/05/30 23:10:20 N7sE3d9i0
保守

462:代打名無し@実況は実況板で
07/05/31 00:10:58 w4rb1uiw0
 

463:924(1/4)
07/05/31 01:26:24 Hb/u/dub0
>>433より
149.立場の逆転

「ほんまに……ほんまに、それでええんですね?」
桜井がなおも念を押してくる。
「ええって言うてるやろ。さっさと撃ってくれや。ほら」
桟原は相手の右手に当てた左手に軽く力を込め、目を閉じた。
「そこまで言わはるんやったら―」
少し間をおいて、桜井の一段と低い声が聞こえてきた。
(そうや。撃て)
これでいい。引き金が引かれ、すべてが終わる。自分は楽になれる。
「―ああああああッ!!」
桜井が腹の底から溜めに溜めていた声を絞り出すように叫んだ。

予想だにしなかった激痛に桟原は思わず小さくうめいた。胸に撃ち込まれ、
即座に息の根を止めてくれるはずだった銃弾は飛んでこず、その代わり、
右の頬に拳をしたたか見舞われたのだ。
衝撃で傾いた身体を立て直しながら目を開けた時、桜井が拳銃を床に投げ
捨てるのが見えた。自由になった右手が固く握り締められ、うなりを立てん
ばかりの勢いで飛んでくる。それはよける間もなく桟原の左頬をとらえた。
利き手だけに左手で打ち込まれた一発目よりもさらに強烈だった。
こらえきれず、桟原は倒れこんだ。

「冗談やない! アホなこと言わんといてください!! こんなとこで死んで
 ええんですか!?」
桜井の怒鳴り声が降ってくる。転がったまま桟原は熱を帯びたようにじんじんと
痛む頬を押さえた。
「帰りたいんやないんですか!? 帰って野球やりたいんと違うんですか!」
口の中で血の味がする。殴られた拍子にどこか切れたらしい。
「……さっきはな。けど、今は……」
右手の甲で口元の血をぬぐいながら、桟原はのろのろと起き上がった。

464:924(2/4)
07/05/31 01:27:56 Hb/u/dub0
いつもの自分なら、後輩に殴り倒されたりすれば絶対に黙ってなどいない。
しかし、今はやり返す気力も失せていた。
「今? 今は気が変わったって言わはるんですか? そしたら、逆に今の
 死にたい思う気持ちかて、すぐまた変わるかもしれへんやないですか。さっき
 いろんなことがあって頭の中がワーッとなってるって言うたはったけど、そんな
 状態で早まって死んでしもて、後からあの世でやっぱり死なん方が良かった
 とか後悔しても、遅いっスよ? 死んだら、ほんまに何もかも全部がそれで
 終わりっスよ? 」
テンポよく桜井が畳みかけてくる言葉を、桟原は座り込んだ姿勢でただただ
ぼんやり聞いていた。

「だいたい俺が桟原さんを殺したりしたら、完全にあいつの思う壺や。
 それこそ、冗談やない。そんなん、俺は絶対いやや」
拾い上げた拳銃を乱暴にポケットに突っ込みながら桜井はいまいましそうに
吐き捨てたが、ふと思い出したように神妙な面持ちになった。
「それに……俺は桟原さんがおらんかったら、どうしたらええか分からへんし」
目を伏せた彼の表情がみるみるうちに不安に塗りつぶされて行くのが分かる。
「なに言うてんねん。お前は俺なんかよりよっぽど強いやろ?」
桟原が言い終わらないうちから桜井はぶんぶんと首を左右に振った。
「さっきも言うたけど、こんなわけ分からんことになって、桟原さんに会えへん
 かったらマジで気が変になってたかもしれへんし……」

桜井の目は、まるで捨てられかけている子犬か子猫を思わせる。この男でも
こんな顔をするのかと、不思議な気分になる。普段の桜井から想像が
つかないのは無論のこと、平然と人を殺せると分かった今となっては尚更だ。
そんな彼が今やぼろぼろの自分を頼ってくる様はなんとも奇妙だ。
「俺はそんな頼りになるような人間と違うんや。そうやったら、お前に殺してくれ
 なんて頼んだりせえへん。ていうか、自分でもあきれてるんや。俺はもっと強い
 人間やと思ってたのに、こんな弱かったんか?て」
桜井がまた大きく首を振る。
「弱かろうがなんやろうが、いてくれはったら、それでええんです」


465:924(3/4)
07/05/31 01:29:28 Hb/u/dub0
(いてくれはったら……?)
その言葉に、心の片隅がちくりと痛んだ気がした。
『牧野さんがいてくれはるだけで俺、どんなに心強いか』
脳裏に浮かぶのは、海辺の薄暗い洞窟。中には男が二人いる。一人は右腕に
傷を負い、壁際に座っている。もう一人が懸命に何事かを語りかけている。
訴えているのは、まぎれもない自分自身だ。
「そやから……死にたいとか言わんといて下さい」
こちらを見つめる桜井の顔は、今にも泣き出さんばかりに痛々しい。
『頼みますから、そんなこと言わんといて下さい!』
自分もきっと、同じ表情をしていたに違いない。耐えられなくなって目をそらし、
桟原は下を向いた。

「お前と一緒におっても、俺は……」
ずいぶん昔のことのような気がするが、まだ半日もたっていない。あの時の
牧野はまさに今の自分で、あの時の自分が今の桜井だ。牧野に死なないで
くれと訴えた自分が死を思い、逆に止められる立場になろうとは。
「……今のこんな状態の俺は、邪魔になるだけや」
『俺は利き腕がこれでは足手まといになるだけだからな』
そして自分もまた、突き放そうとしている。

「俺にとって邪魔かどうかは、桟原さんやなくて俺が決めることでしょ?」
桜井の口調の変化に気づき、桟原は顔を上げた。
「桟原さんが自分をどう思てはるかは関係ないっス。俺はとにかく、桟原さんが
 おらんようになったら困るんです」
いつの間にか弱々しさの消えた鋭い目が二つ、こちらを見据えている。
(こいつは―)
「そやから、絶対にこんなとこで死なせたりせえへん。そんなこと、俺は
 許さへん」
静かな声でゆっくりと、しかし有無を言わせぬ迫力で桜井は言い切った。

466:924(4/4)
07/05/31 01:30:52 Hb/u/dub0
(こいつは―俺とは違う)
思い知らされずにはいられなかった。迫り来る禁止エリアの恐怖があったとは
いえ、ただうろたえるばかりだった自分とは明らかに違う。
―絶対に、死なせない。
こう言えたなら、牧野の考えをひるがえさせられただろうか。牧野があの場を
離れない限り自分も絶対に行かない。それくらいの意志をぶつければ、彼を
動かせたかもしれない。自分には、そこまでの強い気持ちが欠けていた。

(俺は……)
そしてさらに思い知らされる。今の自分もあの時の牧野と同じではない、と。
牧野は数時間前から覚悟を決めていた。密かに遺言を書き上げ、ぎりぎりまで
黙っていた。自分はどうだ? ショッキングな出来事の連続で捨て鉢になり、
衝動的に死にたがっているだけだ。それも自らの手ではなく、他人に命を
絶たせようとしている。

「それに、死ぬつもりやったら逆にもう怖いものなんかあらへんはずでしょ?」
駄目を押すように桜井が聞いてくる。桟原はふと可笑しくなり、肩をすくめて
小さく笑った。いつか危害を加えられるのではと恐れていた男に自分の方から
殺してくれと頼み、逆に死ぬなと説得されていては、世話はない。
「桜井……俺な」
急に笑い出した自分を、桜井が不思議そうにのぞきこんでいる。
「捜してる人が、いるんや。この島のどこにいるか分からんけど」

笑うのをやめ、桟原は顔を上げた。
「その人に会えた時は、頼むから手ぇ出すなよ?」
「え? そしたら……」
言わんとすることを理解した桜井の顔がぱっと明るくなる。自分のような人間に
ここまで左右される彼に、今度は苦笑いを浮かべずにはいられなかった。
(今はこれで、ええよな?)
桟原は自分自身に問いかけ、心の中でうなずいた。

【残り34人】

467:代打名無し@実況は実況板で
07/05/31 03:13:37 yHT1XAiX0
>>463-466
ktkr!職人さん乙です。桜井男前だ
深夜まで起きててよかった!

468:代打名無し@実況は実況板で
07/05/31 05:50:19 aytkl59TO
新作投下キタ(・∀・)!!
職人さん忙しい中お疲れ様です!!!

中継でサジッキーと広大を見るたび表情が変わってしまいそうだ…w

469:代打名無し@実況は実況板で
07/05/31 06:17:02 4dSdWpLsO
職人さん乙です!
広大は記憶が戻ったらさじきーをどうするんだろう…orz

470:代打名無し@実況は実況板で
07/05/31 10:19:05 7kwhrUbX0
そんなもん、オマエ・・・

471:代打名無し@実況は実況板で
07/05/31 21:13:34 8WEFZ+aA0
乙です!!
がんばれ、桜井もさじっきーも…

472:代打名無し@実況は実況板で
07/05/31 22:16:48 pGFU3qKV0
職人様ありがとう!!!
よかったああああひとつ解決うう

・・・ん?あとフラグ立ってたのって・・・。
いかん、読み直してきまww

473:代打名無し@実況は実況板で
07/06/01 07:05:49 0F1F99E00
職人さん、すげー! 待ってたよー!!

>桜井の目は、まるで捨てられかけている子犬か子猫を思わせる。
中継で映るたびに、このフレーズを思い出してしまうかもしらんwww

474:代打名無し@実況は実況板で
07/06/01 11:11:37 v7bGoodm0
職人様投下乙ですぁああ!
できれば記憶は戻って欲しくない俺が来ましたよorz


475:代打名無し@実況は実況板で
07/06/01 21:11:28 Y8+lPSoR0
サジッキーよかったサジッキー・・・(つД`)
泣きそうになったよううぅぅ

476:代打名無し@実況は実況板で
07/06/02 18:58:36 3PHmU/ue0
ほしゅ

477:代打名無し@実況は実況板で
07/06/03 10:19:26 XbjMLtK60
捕手

478:代打名無し@実況は実況板で
07/06/03 16:18:05 /clUowUS0


479:代打名無し@実況は実況板で
07/06/03 18:18:25 RyvnRJ5pO
阪神ファン=犯罪者は極めて正しい
認めたくない犯罪者もとい阪神ファンはいますか??
いるなら反論してみてください

480:代打名無し@実況は実況板で
07/06/03 18:19:20 RyvnRJ5pO
鈴木宗男ファン=犯罪者は極めて正しい
認めたくない犯罪者もとい鈴木宗男ファンはいますか??
いるなら反論してみてください

481:代打名無し@実況は実況板で
07/06/03 18:22:38 RyvnRJ5pO
松浪健四郎ファン=犯罪者は極めて正しい
認めたくない犯罪者もとい松浪健四郎ファンはいますか??
いるなら反論してみてください

482:代打名無し@実況は実況板で
07/06/03 20:47:36 watscqSK0
ほしゅ

483:代打名無し@実況は実況板で
07/06/04 01:28:42 2CQoJ7Ir0
ほしゅ

484:代打名無し@実況は実況板で
07/06/04 22:05:27 fsOKrDBj0
hoshu

485:代打名無し@実況は実況板で
07/06/05 21:56:47 2C4M48ww0
保守


486:代打名無し@実況は実況板で
07/06/05 23:07:34 r+IDimMn0
こまめに矢野っとく

487:代打名無し@実況は実況板で
07/06/06 04:33:53 EhAWcojp0
ほしゅ

488:代打名無し@実況は実況板で
07/06/06 22:12:07 5mZKoE9S0
保守

489:代打名無し@実況は実況板で
07/06/07 23:06:57 OETYSebCO
保守

490:代打名無し@実況は実況板で
07/06/08 06:06:35 XOw8YSPe0
hoshu



491:代打名無し@実況は実況板で
07/06/08 08:16:13 nNWsoeQYO
矢野復活祈願保守

492:代打名無し@実況は実況板で
07/06/08 22:40:20 Sl22leAu0
また出た!
☆32段 前通路 阪神vs広島 8月29日甲子園ライト外野 18連番 ☆彡
URLリンク(page4.auctions.yahoo.co.jp)

493:代打名無し@実況は実況板で
07/06/08 22:44:39 XOw8YSPe0
矢野 狩野

494:代打名無し@実況は実況板で
07/06/09 10:14:15 ELVO1132O
浅井

495:代打名無し@実況は実況板で
07/06/09 16:11:21 Uxw9jAQn0
清水

496:代打名無し@実況は実況板で
07/06/10 12:47:18 IK363RLq0
嶋田(兄)


497:代打名無し@実況は実況板で
07/06/10 17:41:54 uHSWm43L0
定詰

498:代打名無し@実況は実況板で
07/06/11 20:04:24 1OvqWraIO
保守

499:代打名無し@実況は実況板で
07/06/12 02:11:05 OPGY7Cu00
hoshu

500:代打名無し@実況は実況板で
07/06/12 03:07:35 X8924gIO0
ほっしゅん。

501:代打名無し@実況は実況板で
07/06/12 13:10:55 o9Bte0/U0
他球団ファンだが、虎バト読むようになってから
リアルで桜井が気になってしかたがない。

502:代打名無し@実況は実況板で
07/06/13 19:14:09 yw/fUpRY0
ほしゅ

503:代打名無し@実況は実況板で
07/06/14 03:38:50 iDK4ekXI0
保守

504:代打名無し@実況は実況板で
07/06/15 00:09:46 TyAgBflAO
矢野完全復活祈願捕手

505:代打名無し@実況は実況板で
07/06/15 00:14:17 ZeA5Dged0
読まないように。










細村香奈という中学2年生の女の子が夜道を歩いていると男3人にレイプされました。
彼女は必死で抵抗しましたが男3人の力に勝てるわけでもなく、まだ14歳という年齢で知らない男達に犯され、口封じとして殺されました。
男達は別に罪の意識など少しも、欠片もありません。
彼女は成仏出来ないまま、自分を犯した男達を探し続けています。

この話を全部読んでしまった人は必ず、他のスレ5個に同じ内容のレスを貼り付けて下さい。さっきも言いましたが、ここまで読んでしまったなら張り付けるほか方法はないです。殺されてもいい人は関係ない話ですが…。
・有村奈津実
・清中みずき
・鈴鹿陽一
・村上梓
・畠山龍夜
・野口太一

上の人たちはこのチェーンレスを貼り付けなかった為に殺されました。
細村香奈に…。


506:代打名無し@実況は実況板で
07/06/15 12:51:07 X+xgS5gk0
保守

507:代打名無し@実況は実況板で
07/06/15 12:52:41 TyAgBflAO
捕手保守ほしゅ(☆o☆)

508:代打名無し@実況は実況板で
07/06/15 13:30:56 p+dY3qNa0
新しいととこを軽く読み直してみた
なにこの泣けるの(゚д゚)
よ〜し、パパ、今晩がんばって読むぞ〜(最初から)

509:代打名無し@実況は実況板で
07/06/15 22:32:05 pAtX5l8U0
>>508
がんばれw
俺なら読むの遅いから一晩じゃ読み終わらなさそうだ(´・ω・`)

510:代打名無し@実況は実況板で
07/06/16 16:29:30 M8jPd7xe0
ほしゅ

511:代打名無し@実況は実況板で
07/06/17 18:03:48 Sy/wxM3D0
とりあえず狩野

512:174(1/5)
07/06/17 22:05:44 0VNpoGLL0
>>466
150.回想・桧山と矢野

「何です? 俺の顔、そんなに男前ですか?」
 年齢より若く見える顔を上げて、桧山進次郎(背番号24)は糞真面目な顔で
見返してきた。
「アホか」
「いやー、矢野さんに見つめられるとなんか照れますねぇ。男前に男前と思われる
俺って超男前? みたいなー」
「アホやな」
 自他ともに認めるナルシスト男のふざけた台詞を、矢野輝弘(背番号39)は
容赦なく切り捨てた。
 部屋にいるのは、矢野と桧山の二人だけだ。
 昼の定時放送の時に仮眠を取っていた鳥谷敬(背番号1)は別室に籠もっている
はずだ。
 放送後、目を覚ました鳥谷に、矢野は放送内容を告げた。
 普段ポーカーフェイスの男が蒼白になって、ふらふらと部屋の隅に座り込んで
しまった痛々しい姿に、今は一人にしておいた方が良いと判断し、二人は静かに
退室した。
 とはいえ二人でいたところで、何か明るい話題があるわけでもない。
 あまりにも多すぎる死者と、そこで呼ばれた名前に、沈黙というには長すぎる
沈黙が続いていた。
 小さなテーブルを挟んで暗い顔を付き合わせ、ようやく口を開いたかと思えば
こんな気の抜けた会話だ。
「ひーやん」
 窘めるように、矢野は男の渾名を呼んだ。
 この家に一つしかない簡素なソファに身を沈め、呼吸のついでに溜息を吐く。
「誤魔化すなや」
 我ながら随分と尖りのある声だと思った。

513:174(2/5)
07/06/17 22:06:34 0VNpoGLL0
「何であいつ連れてきた?」
「矢野さん、顔こわーい」
 厳しい調子で突き付ける問いを、桧山がおどけた口調でかわしてくる。
 眉と眉の間に人差し指を突き付け、桧山はわざとらしく皺を作った。
「眉間に皺、寄せてばっかいると老けますよ」
「またそれかい」
「ホラホラみんなが喜ぶ矢野スマイル」
「桧山」
 どこかで聞いた台詞を口にする桧山を、矢野は冷静な口調で遮った。
 笑える心境では到底ない。それは桧山だって同じはずだ。
(こいつに無理やり笑わせている俺の責任か……)
 今更彼におかしな気を回させねばならないほど、自分が落ち込んでいるように見えた
のだろう。
 視線を落とし、小さく溜息をつく。その視界の隅で、桧山が肩をすくめたようだった。
「何が聞きたいんです?」
「さっき言ったやろ」
「いいやないですか、別に鳥谷連れてきても」
 あっさりと言って、テーブルの上に両肘を組む。
「あいつなんか、危なっかしくてー」
「危なっかしいんやない、危ないんや」
「そんなはっきりと……」
「お前やって分かってるんやろ?」
 のらりくらりとかわそうとする桧山に苛立ちながら、矢野は身を乗り出した。
テーブルに拳を置いて、目の前の男を睨み付ける。
 最初は珍しい組み合わせだと思った。ただそれだけの感想だった。
 だが、彼らが共に行動することになった経緯を聞き、鳥谷と同じ時間を過ごすと
共に、一つの疑念が沸いてきた。
「あの目―信用できるか?」
 桧山は応えない。
 代わりに透明な笑みを浮かべ、恐らく眉間に皺を寄せているであろう矢野の顔を
見返している。
 諦め、矢野は大げさに溜息を付いて身を引いた。

514:174(3/5)
07/06/17 22:07:34 0VNpoGLL0
「信用も出来ないやつ連れて歩くとはお前はほんまお人好しやな」
 腕を組み、弾力のある背もたれに身を預けると、少し頭がぼんやりした。 
「いつか寝首かかれるで」
「かもしれませんね」
 まるで人ごとのように答え、曖昧に笑う。矢野は何度目かの溜息を飲み込んだ。
 吐く息の数だけ、脳の芯に霞がかっていくようで不快だった。
 桧山進次郎はつかみ所のない男だった。それは昔から変わらない。鳥谷敬を連れて
きた理由も、何か意味があるのではないかと矢野は思っているのだが、考えたところ
で分からない。
 なぜなら桧山は矢野にとって『つかみ所のない男』なのだから、どうやったところ
で結局掴めないのだ。
「俺、矢野さん好きですよ」
「きしょいわ」
「即答ですか」
 ケラケラと笑う。
 一通り笑った後、目の前の後輩は、ふいに真面目なトーンで口を開いた。
「矢野さん、忘れないんで欲しいんですよ」
 この男はつかみ所はないが馬鹿ではない。結局、どれだけ突拍子もないことをやって
も、それには必ず意味があるのだ。
 つまりは先の何の脈略もない告白も、本当に伝えたいことの導入である、ということだ。
(そしてそれが)
「あなたは一人じゃないってこと」
(意外に的を射てたりするねんな)
 それが矢野の知る桧山進次郎という男だった。
「ひーやん」
 告げられた言葉の意味を誰よりも深く理解する。自分が抱えている深い闇も、彼には
とうに見透かされていたらしい。
「今の俺にとってその言葉は……重荷や」
 自分を止めようとするたくさんの顔が脳裏を過ぎる。
 憎悪と復讐。
 今の自分を突き動かしているのは、ただそれだけの感情だ。
 理由も、意義も、リスクも、全てに蓋をして、理性を抑え込んでいる。意図的な激昂。

515:174(4/5)
07/06/17 22:09:06 0VNpoGLL0
「……似てるなぁ」
「何?」
「いえ、何でも」
 ポツリと呟いた声を聞き咎めた時、桧山は初めて矢野から目をそらした。
「それより、鳥谷のヤツ大丈夫なんかなぁ。放送のこと聞いて引きこもっちゃって
からもう結構経つけど」
 話題を逸らされた気がした。あるいはそれにすら意味があったのかもしれないが、
その時矢野には分からなかった。
「あいつ、筒井と仲良かったみたいやしなぁ」
「筒井か……」
 直接話す機会はあまりなかったが、期待していた投手の一人だ。
 無意識に、矢野は掌を開き、じっと見つめた。
 この手に、沢山のモノを託されている。そう思っていた。少なくともほんの一日前
までは。
 温め、大切に育てていきたかったタマゴが割られる度に、このチームの未来が音を
立てて打ち崩されていく。
 失っていく。
 育てていきたかった者と―共に夢を追いかけていきたかった者を。
(シモ……お前はどんな気持ちで死んだんかな?)
 分からない。
 最も死を想像できない男の死に混乱させられる。
 本当は会いたかった。
(会って、話がしたかった)
 会って、話をして―
(俺は、お前になんて言って欲しかったんやろう)
 つまらない甘えを断ち切れたのは良かったのかもしれない。
 彼も、福原や球児さえもいないのなら、自分の道を惑わす者はそう多くはない
気がした。
『あなたは一人じゃないってこと』
 警告のように桧山の声が響く。
 そうかもしれない。そうなのだろう。だが、そうは思いたくなかった。誰かの思念
に引きずられるのは嫌だった。自分の進むべき道が分からなくなりそうで怖かった。

516:174(5/5)
07/06/17 22:11:33 0VNpoGLL0
 気が付けば掌で額を覆い、瞑目していたらしい。
 はっと顔を上げると、桧山の労るような視線を感じた。
「疲れた顔してますよ」
 そうなのだろう。彼に気を遣うことも出来ないほどに疲れている。それでも、
ここにいるのが彼で良かったと思う。
 彼といると少しだけ、気持ちの糸を緩めることが出来る気がした。
 この男は常に『らしさ』を失わない。それ故に、いつでもそこに当たり前にいる
ような、妙な錯覚を覚える。それが恐らく、安心感に繋がっている。
(こいつが我を失うことなんてあるんやろうか―)
 想像がつかなかった。
「昼飯食ったら、寝た方がいいんじゃないですか」
「寝首かかれたらどうすんねん」
「俺が側にいますよ」
 ひねくれた答えを返す先輩に苦笑して、桧山が立ち上がった。脇に置かれていた
荷物を解き、テーブルの上に昼食を並べる。
 申し出は有り難かった。
 疲労感や倦怠感がじわじわと身体の外側から染み込んでいく。睡眠でも取らない
ことには、持たないことは自分でも解り切っていた。
 食欲もあまりなかったが、これからのことを考えると体調には気を遣うべきだろう。
 桧山が用意してくれた、手を付ける気になれなかったパンに手を伸ばす。
 ―コンコン
 タイミング良く響いた律儀なノックの音に、矢野は思わず手を引っ込めた。
「失礼します、鳥谷です」
 間を置かずドアが開き、鳥谷敬が顔を出す。
「矢野さん、昼飯まだありますか?」
 何で俺に聞くんやろう、とぼんやりとどうでもいいことを疑問に思いながら黙って
いると、代わりに桧山が答えた。
「危なかったなー。めっちゃ腹減ってたから、鳥谷の分まで食べてまうとこやったわ」
 もう一人の、最も死を想像できない男。
 彼が、笑顔で後輩を迎えるのを横目で身ながら、矢野は緩慢にパンを囓った。

【残り34人】

517:代打名無し@実況は実況板で
07/06/17 23:23:33 +oRI3aGr0
>>512-516
乙です
桧山の飄々としたよさが上手く描写されてて感嘆しました
一人だと自分を傷つけてしまう矢野と鳥谷を引き合わせて心の壁を壊してやるのは桧山の存在だったと
泣けました

518:代打名無し@実況は実況板で
07/06/18 02:10:34 tqqEL4/U0
職人様乙です!

ふたりとも大人だなぁ…。

519:代打名無し@実況は実況板で
07/06/18 06:38:56 JKPSxgVG0
新作乙です!!

この後ひーやんは・・・(ノд`)゚。

マジで泣ける。。。

520:代打名無し@実況は実況板で
07/06/18 06:51:50 4XbcCws40
乙です!
「あなたは一人じゃないってこと」
このフレーズマジで泣けます!


521:代打名無し@実況は実況板で
07/06/18 20:22:40 cNXMU3hu0
新作乙です!
やっぱりひーやんは必要だよ・・・(・ω・`)

522:代打名無し@実況は実況板で
07/06/19 02:08:46 EjOQ/Y520
新作乙です


この三人の「この後」をも一回
読み返してきました

そしてまた泣きました


523:代打名無し@実況は実況板で
07/06/19 22:25:42 C0Bbzsc10
ほす

524:代打名無し@実況は実況板で
07/06/20 01:59:55 yuPn83NB0
保管庫さんの更新ないのかなぁ。

とりあえず保守。

525:代打名無し@実況は実況板で
07/06/20 22:45:39 xS0h0uwZ0
保守

526:代打名無し@実況は実況板で
07/06/21 05:08:38 /LJ41JjMO
保守

527:代打名無し@実況は実況板で
07/06/22 02:11:14 EsB4ZuZR0
ほしゅっとな

528:代打名無し@実況は実況板で
07/06/22 03:15:48 EFz5ZFhG0
保守するよ

529:代打名無し@実況は実況板で
07/06/23 00:35:53 uaE+qJBxO
どうか職人様方、どんなに時間かかっても待ちますから、
このトラバト、完成させて下さい!
応援してます!

530:代打名無し@実況は実況板で
07/06/23 20:36:13 B+bNtxfJ0
ほす

531:代打名無し@実況は実況板で
07/06/24 12:38:49 2QFARdSE0
矢野ほしゅ

532:代打名無し@実況は実況板で
07/06/24 23:52:21 F56l46tX0
新作キテター!!




・゚・(ノД`)・゚・マジ泣ける…職人さんありがとう…

533:924(4/4)
07/06/25 00:00:44 ACk+8ffA0
>>516
151.紙一重

「久慈さん、まだ寝ないんですか?」
ドアが開いて浅井良(背番号12)が入ってきた。久慈照嘉(背番号32)は
デスクの上で組んだ両手の上に乗せていた顎を上げ、振り返った。
「ちょっと考え事しててね」
「やっぱり、新井のことですか?」
遠慮がちに浅井が尋ねてきた。久慈は座ったまま椅子の向きを浅井の方に
変えた。
「それもあるけど、他にもいろいろとね。さっきの爆発のことも気になるし、
 みんなが今どうしているかとかもね」
これは嘘だ。久慈が今考えているのは、ほとんど新井智(背番号49)のこと
だった。

結局、新井は見つからなかった。久慈は雨の中を必死で捜し回ったが、一人で
待たせている浅井が気がかりだったうえ、付近がもうすぐ禁止エリアになると
あっては短時間で捜索を打ち切らざるを得なかった。後ろ髪を引かれる思いで
浅井とともに出発し、適当な民家に落ち着いた。あまり新井のことを心配
しすぎると浅井に自責の念を負わせてしまうと思い、必要以上に口には
しなかったが、心の中では絶えず気にかかっていた。

「……俺のせいですね。俺があんなこと言ったから、あいつは……」
浅井が申し訳なさそうに視線を落とした。
「それは分からないよ。さっきも言ったけど、もしかしたら、あの間に誰かが
 あそこに来て、何かあったのかもしれない」
言ってはみたが、自分たちが離れていた間に新井がなんらかのアクシデントに
見舞われてあの場を去った可能性はきわめて低いと久慈は考えていた。
それは浅井も同じらしい。でも、と小声でつぶやき、唇をかんだ。

534:924(2/4)
07/06/25 00:02:09 ACk+8ffA0
「いや、もし浅井の言うとおりだったとしても、お前のせいじゃないよ。お前が
 新井に撃たれたのは事実なんだし、目を覚ましたところにその相手がいたら
 びっくりするのは当たり前だ。俺がもっと注意してたら良かったんだ」
久慈自身は新井と対話を重ね、彼が本当には人を殺す気持ちなど持って
いないと十分に理解できた。だが、目覚めたばかりの浅井には、気を失う
直前に見た新井―自分に向かって発砲してくる姿がすべてなのだから。
仮に新井があの一言を気にして去ったのだとしても、浅井を責められるはずは
なく、責める気もない。ただ、自分の配慮が足りなかったことが悔やまれる。
「俺がまず一人できちんと事情を説明してから新井を呼ぶとか、そういう風に
 してれば驚かすこともなかった……」

浅井は黙ったままじっと下を見ている。彼も相当気にしているようだ。
「まあ、もし新井が自分の意思でいなくなったんだとしても、ちゃんと自分の
 荷物は持って行ったわけだから、その点は安心してもいいかな」
久慈はつとめて明るい調子で言った。浅井にだけではなく、自分自身に
言い聞かせる意味もあった。何よりも心配なのは、新井が思いつめたあげく
妙な気を起こすこと。有り体に言えば、死を選ぶことだ。はかない希望だが、
死のうと考える人間が荷物を持って行きはしないと思いたい。

「けど、やっぱり俺のせいであんなことになって。最初はね、ふらふら歩いてた
 あいつが気になったから声かけたのに、いきなり銃向けられて撃たれて、
 びっくりしたし怖かったし、腹も立ったんですよ。でも、結果的には大丈夫だった
 わけで、久慈さんの話だとあいつも悩んでたみたいで、そう思うとひどいこと
 言ったなーって……」
浅井は腹の前で両手を組み、今まで以上にうなだれてしまった。
「あのな、浅井」
久慈は声のトーンを落として切り出した。いずれは彼にも話しておかねば
ならない。その機会は今をおいてないと思えた。
「まだ話してなかったことがあるんだ。言うべきかどうか迷ってたんだけど」
「なんですか?」
浅井が顔を上げた。


535:924(3/4)
07/06/25 00:04:47 ACk+8ffA0
「新井はお前に会う前に―本当に一人、殺してるんだ」
「えっ……」
細い目を一瞬大きく見開き、浅井はそのまま言葉を失った。
「といっても、殺そうと思って殺したわけじゃない。はずみというか、不幸な事故
 みたいなもんだ。けど、新井にとっては自分自身の手で人を殺したという
 事実は変わらない。だからあいつは苦しんでたんだ」
久慈自身も「その時」の様子を実際に見たわけではない。ただ、新井が
涙ながらに語った過去をそのまま伝えた。浅井はその間一言もなく、息を
のむような表情で久慈の方を見つめていた。

「今の浅井になら話しても大丈夫だと思ったから、思い切って話した」
最後の一言で、浅井のこわばった顔がほんの少しやわらいだ気がした。
「俺、ずっと思ってたことがあるんだ。もう二十人以上死んでるわけだけど、
 いったい人を殺した人間とそうでない人間の違いって何なんだろう?って」
久慈は話しながら天井を仰いだ。死んでいった仲間たち、そして彼らを殺した
者が確実にその中に含まれている、まだ生き残っている仲間たちの顔が
浮かんでは消えていく。
「ニュースや新聞なんかで殺人事件を見ると、ああいうのは異常な人間がやる
 ことだと思ってたけど、今この島で現実に人を殺してるのは、普段からよく
 知ってるチームメートなんだよね。上坂や新井を見てると、ほんのちょっとした
 きっかけで誰でもああなってしまうんだと思ったよ」
今はまだ誰も殺していない自分にも、そうなる可能性はある。

「俺も実際、気を失ったお前を新井に背負ってもらって移動してた時は、もし今
 誰かに襲われでもしたら、相手を殺すのも仕方ないと思ってた。そう考えると
 自分とすでに誰かを殺した人間の違いなんて、紙一重なんじゃないかって」
久慈は顔を動かし、浅井の目を見た。
「だから、ここまで誰も殺さずに来ているお前や俺は、幸せなんだと思う。
 そして、殺してしまった新井も決して特殊な人間なんかじゃないということは
 分かっておいてほしいんだ」

536:924(4/4)
07/06/25 00:07:20 ACk+8ffA0
「……はい。今なら、俺にも分かります」
浅井は神妙な面持ちでうなずいた。
「俺も、こいつを持っている以上は新井と同じことになっても不思議じゃない
 わけですから。でも、できれば人殺しなんかしたくないと思ってます。
 できることなら、使わないでも済むようにって」
そう言って浅井は後ろポケットからベレッタを抜き出し、両手に持ってじっと
見つめた。彼が気を失っている間は久慈が拝借していたものだ。

「けど、だからって手放すことはできないんですよね。使いたくないとは
 思ってるんですけど、ないとやっぱり心配っていうか……」
どことなく気まずそうに浅井は手の中で拳銃をこねくり回した。
「それ、返していいかどうか結構迷ったんだよ」
久慈は拳銃を指差した。
「え?」
「もちろん浅井のものだから返すのが当然なんだけどさ。さっき言ったように、
 俺はそれを借りてた時は誰かを撃つのも仕方ないと思ってた。浅井に渡すと
 いうことは、そういう重い役目も押し付けることになる気がしてね」

「久慈さん……」
浅井は再び手の中の武器に目をやり、少し間をおいて久慈を見た。
「大丈夫です。なんか、さっきから話聞いてるとすごく気を遣ってもらってる
 みたいですけど、要するに俺ってぜんぜん信用されてなくないですか?」
微苦笑を浮かべつつ浅井が抗議する。久慈もつられて笑った。
「ごめんごめん。でも今は違うよ。だからこうやっていろいろ話せてる」
「そうですか? だったら、いいんですけどね」
今度は正真正銘の笑顔だ。それを見て久慈は立ち上がった。
「さてと、そろそろ寝るかな。あの爆発も、結局その後は何もないみたいだし」
腕時計を確認すると、午前7時の放送まではまだ数時間ある。
久慈は心の中でつぶやいた。
(新井、死ぬなよ?)

【残り34人】

537:924
07/06/25 00:09:03 Q2OUbrrc0
>>533は4/4とありますが、1/4の間違いです
失礼しました

538:代打名無し@実況は実況板で
07/06/25 01:40:36 I5y488RW0
新作投下乙です!
この二人はまだ和ましいな(・ω・`)
頼むから変な気起こすなよ新井・・・!・゚・(ノД`)・゚・

539:代打名無し@実況は実況板で
07/06/25 23:39:21 LQbtjNlmO
職人さん乙です!!
久慈さん、いいなあ。

540:代打名無し@実況は実況板で
07/06/26 04:34:15 t/JoSKWy0
hoshu

541:代打名無し@実況は実況板で
07/06/26 11:06:18 uj+/Joha0
着底保守

542:代打名無し@実況は実況板で
07/06/27 06:56:20 oTkH2G7BO
保守

543:代打名無し@実況は実況板で
07/06/27 19:11:18 j4Bm96nX0
ほしゅ

544:代打名無し@実況は実況板で
07/06/27 21:01:18 DgjedSlK0
暑気当たりに……




















いや何でもないw

545:代打名無し@実況は実況板で
07/06/27 21:02:27 DgjedSlK0
暑気当たりに……






















いや何でもないw

546:代打名無し@実況は実況板で
07/06/27 21:03:39 DgjedSlK0
暑気当たりに……

























いや何でもないw

547:代打名無し@実況は実況板で
07/06/27 21:29:54 WvFNW53v0
保守

548:代打名無し@実況は実況板で
07/06/27 22:31:14 98VAemPU0
test

549:代打名無し@実況は実況板で
07/06/28 10:43:52 HGDrspmg0
 

550:代打名無し@実況は実況板で
07/06/29 20:24:06 01fKNBc70
捕手

551:代打名無し@実況は実況板で
07/06/30 02:01:56 xJtRjTRjO
矢野捕手

552:代打名無し@実況は実況板で
07/06/30 11:56:07 dNxa7oGv0
狩野捕手

553: 【大吉】
07/07/01 20:04:40 cmQafpQw0
ひーやんの運勢

554:代打名無し@実況は実況板で
07/07/03 00:20:06 7KbNM0Df0
ほしゅ

555:代打名無し@実況は実況板で
07/07/03 06:45:41 GHRMWrzQ0
保管庫さん、更新されてますね。

556:代打名無し@実況は実況板で
07/07/03 17:08:19 7KbNM0Df0
保管庫管理人さん、乙です!!
これでまとめて読み返せる・・・・・・!!

557:代打名無し@実況は実況板で
07/07/03 22:19:13 XVEj545t0
おお〜、待ってました!
保管庫さん、乙です!

558:代打名無し@実況は実況板で
07/07/04 22:59:26 D92ftOEn0
保守

559:代打名無し@実況は実況板で
07/07/06 09:53:02 HVsYROx50
遅れながら保管庫更新乙です!

捕手

560:代打名無し@実況は実況板で
07/07/06 21:14:50 45pYzftXO
捕手

俺は補習(・ω・`)

561:代打名無し@実況は実況板で
07/07/07 02:44:40 15JTpPtnO
矢野捕手

562:代打名無し@実況は実況板で
07/07/07 20:56:34 utrnk6lpO
保管庫更新ありがとう!
保守

563:代打名無し@実況は実況板で
07/07/08 15:40:31 dtx1aACy0
シャブ首位攻防戦で三連敗wwwwwwwwwww

564:代打名無し@実況は実況板で
07/07/09 18:47:02 5ZXUeANJ0
ほしゅ

565:代打名無し@実況は実況板で
07/07/10 10:52:11 KvzbVvZQ0
保守

566:代打名無し@実況は実況板で
07/07/10 15:49:45 Wufvf5Rp0
本当なのはどっち??


310 :可愛い奥様:2007/07/05(木) 18:03:40 ID:hSyLOi9u0
阪神で一番モノが大きいのは赤星だそうです。

314 :可愛い奥様:2007/07/05(木) 22:43:44 ID:CztcpZWb0
>>310
プロ野球界の日本人選手の中では3本の指に入るほどの巨根は矢野じゃないのかい?

567:代打名無し@実況は実況板で
07/07/10 20:43:10 66JcA/jP0
保守

568:代打名無し@実況は実況板で
07/07/11 22:48:52 EEkW0/yUO
保守

569:代打名無し@実況は実況板で
07/07/12 22:15:50 5GaMyyOg0
保守

570:代打名無し@実況は実況板で
07/07/13 00:14:37 ao54RtG90
これ読んでなんとなくこのスレが浮かんでしまった

818 名前:代打名無し@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/12(木) 10:08:10 ID:oOWIxnZKO
スポニチコラムみたいなやつの桜井記事少し笑って少し泣けた。

プロ初昇格する5月17日の夜、初の一軍を前に向かった先はレンタルビデオ店。
手にしたのは戦争映画のDVD。それを自室で一人で観賞して眠った。
「昨日な、戦争映画を借りに行ってん。それはな、あいつらな、戦って死ぬんやで。
そんなこと思えば、一軍なんか楽に思えるやろ。
一軍の怖さはある。でも命までは取られへんやろ。オレな、気持ちが8割で技術2割や」

571:代打名無し@実況は実況板で
07/07/13 11:24:41 zo90BekFO
ほしゅ

572:代打名無し@実況は実況板で
07/07/13 13:07:22 4Q1ttfxn0
>>570
虎バトの前にこういう事言ってたら、と思うと一層感慨深いな
虎バトの年代設定が2004だから有り得ない話だが。
すまん聞き流して欲しい。

573:代打名無し@実況は実況板で
07/07/14 13:30:55 ftoG6N4G0
保守

574:代打名無し@実況は実況板で
07/07/14 23:20:59 01VNQgNFO
捕手

575:代打名無し@実況は実況板で
07/07/15 21:51:43 NS+gduR90
ほしゅ

576:代打名無し@実況は実況板で
07/07/16 14:48:07 TKrJ3zwn0
保守

577:代打名無し@実況は実況板で
07/07/16 20:58:21 k80jU3FD0
保守

578:代打名無し@実況は実況板で
07/07/17 00:49:51 IBANI8aM0
捕手

579:代打名無し@実況は実況板で
07/07/17 23:33:24 a1XY3MsT0
保守

580:代打名無し@実況は実況板で
07/07/18 21:37:53 YeOt1f7d0
捕手

581:代打名無し@実況は実況板で
07/07/18 23:29:12 AGlyv2zSO
こちらの広大もどうなるのか…気になる。

582:代打名無し@実況は実況板で
07/07/19 01:25:41 lC+FX7E80
ほしゅ

583:代打名無し@実況は実況板で
07/07/19 22:44:30 E8jrueTB0
えぐすぎは無事かしら…

584:代打名無し@実況は実況板で
07/07/20 01:05:29 qtupqhJg0
続きが気になる・・・。

1から読み直そう。。。

585:代打名無し@実況は実況板で
07/07/20 17:23:39 0UuEet69O
ほしゅ

586:代打名無し@実況は実況板で
07/07/21 06:08:55 LlYl8lDZO
保守

587:代打名無し@実況は実況板で
07/07/21 06:32:09 /oBgg6ue0
hosyu

588:代打名無し@実況は実況板で
07/07/21 13:17:03 rECxHiYqO
ジェフはどうなるのだろう?


589:代打名無し@実況は実況板で
07/07/21 14:29:12 aNi4SiM20
URLリンク(www.cosplex.biz)

590:代打名無し@実況は実況板で
07/07/22 05:17:13 QWoqBLGa0
hosyu

591:代打名無し@実況は実況板で
07/07/22 23:47:54 uYN40qJK0
濱中が何考えてるのか、気になりつつ保守

592:代打名無し@実況は実況板で
07/07/23 22:46:55 GILfe1M30
ほす

593:代打名無し@実況は実況板で
07/07/24 11:38:15 ZiwzUAt20
イマオカモナー

594:代打名無し@実況は実況板で
07/07/25 22:59:44 4JEnmWUTO
保守

595:代打名無し@実況は実況板で
07/07/26 22:49:07 LA3olKB80
ほしゅ

596:代打名無し@実況は実況板で
07/07/27 23:58:36 sr7LOyxbO
捕手

597:代打名無し@実況は実況板で
07/07/28 21:19:14 JE9prfRjO
矢野と鳥谷が好きだ

598:174(1/5)
07/07/29 13:19:21 3wqs3kpm0
>>536
152.生き残る者

 家族でうどん屋に行った。
 近所のうどん屋だ。近所と言っても、歩いていける程の近場ではない。
 駐車スペースがあり、席数もそこそこ多い。
 常に混んでいるというわけではない。これで経営が成り立つのかと心配してしま
う程閑散としているわけでもない。
 今岡誠はここできつねうどんを食べる。
 特に決めているわけではないが、何となくきつねうどんを頼んでしまう。何度か
別のメニューを試してみたことはあるが、結局、次に来たときはきつねうどんを頼
んでしまう。
 時折、無性にここのきつねうどんが食べたくなる、という程美味いわけでもない。
かといって不味いわけでもない。食べるとそれなりに美味いと感じる。だが食べ終
わって、その美味さの印象が後々まで残るわけでもない。
 家族でうどんを外食することは少ないが、たまに誰かがうどんを食べたいと言っ
たり、なんとなくお腹がすいていなかったり、あっさりしたい物が食べたい時は、
ここに来ることが多い。
 駐車スペースがあり、席数もそこそこ多いからだ。
 うどん屋は、桜で有名な公園の隣にある。だが桜の季節にここに来ることはない。
 桜ならば、もっと家の近くに、もっと見やすい場所がある。
 芦屋は桜の街だ。春は街の半分が薄桃色に染まる、美しい街だ。
 妻はこの街を気に入っている。街の美しさを気に入っているのか、ブランド力を
気に入っているのかは微妙なところだ。恐らく両方だろう。
 今岡は美しさの方を気に入っていた。
「稜ちゃん、きたないからダメよ」
 きつねうどんを食べて表に出ると、すぐ右手に小さな池がある。
 それこそ大きめの室内水槽程度しかない小池が、伸びた雑草に半分覆われるよう
にして顔を覗かせている。
 そこの水に手を付けようとした息子を見咎め、妻が注意をした。
 息子が池に手を突っ込んで服を濡らし、妻が激怒する前に今岡は我が子を抱き上
げた。同時に、しきりに息子が気にしていた水中を覗き込む。


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