オリックスバファロー ..
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125:「89・ロシアンコーヒー 1/3」 ◆UKNMK1fJ2Y 06/11/28 22:46:33 awMTKvDK0 全員の視線が相川に集まる。見つめるというレベルを越え、凝視していた。相川はそれを 気にしないようにしながら、4人に満遍なくぎこちない笑顔を振りまいた。そしてカウン ターの上に丁寧に、4個のコーヒーカップを並べた。4個とも模様が違う。けれど大きさ は同じ。相川の手が震えているせいか、小さくカチャカチャと音がした。 「村松さんご注文のエスプレッソを4つご用意しました。さ、みなさんどうぞこちらへ!」 何かを振り切るように、元気な声を出す。奇妙な雰囲気に下山と迎が顔を見合わせた。村 松も大きな目をキョトンとさせている。入り口に立ったままの筧は、ガルシアに即されて 中へと進んだ。そのままガルシアの巨体が出口を塞ぐ。 「さ、どうぞカップのある席にお座り下さい!」 相川がカウンター内から改めて4人を呼び寄せる。真っ先に筧がカップに歩み寄った。1 個1個、コーヒーの香りをしっかりと味わうように、必要以上に顔を近づけている。なに もそこまで顔を寄せなくても、と迎は思った。筧はそれほどコーヒー通だったろうか?微 かな香りの違いや濃さにこだわるほどコーヒー好きだったろうか?確かに筧の様子は異常 なほどで、液体の薄さ、濃さの違いまで見ているようだ。まるで体でカップを隠すように して念入りに調べている。1つのカップを選ぶと、ようやくその前の席に腰を下ろした。 「さ、村松さんも。ご注文のエスプレッソですよ。下山さんも迎も」 不審そうな顔つきで村松が席を立つ。残りの2人もカウンター中央に集まる。そしてそれ ぞれが適当に選んだ席に座った。特別コーヒーにこだわりは無い。エスプレッソと言われ ても、濃いコーヒーというぐらいしか知らない。目の前には申し分ない香りが立ち上るコ ーヒー。カウンター越しの相川が姿勢を正した。 「では、ご説明致します。これからみなさんにこのコーヒーを飲んで頂きます。自信作の エスプレッソです。エスプレッソの作り方は念入りに練習してきたんです。嫁さんもOK 出してくれました。とっても美味しいと思います。………でも」 内緒話をするように、そっと身を屈めた。 「でもこれは、ロシアンコーヒー」 明るい口調で語りたかったようだが、肝心の箇所で声が震えた。
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