中日ドラゴンズバトルロワイアル第十二章 at BASE
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199:152−154
05/07/18 00:22:39 AIrcDwIZ0
>>183
「……そうか」
 井上はそれ以上の追及をしようとはせず、英智の方に視線を向けた。
「英智―よかった。息をしている」
 井上の表情に安堵の色がさす。
 ……だが、それもつかの間。
「お前、足が―」
 ありえない方向に曲がった英智の右足を見て、
「馬鹿野郎、外野手が足怪我してどうするんだよ……」
 井上は悔しげに呟いた。自身も満身創痍でありながら、自分よりまず後輩のことを考え
られるのがこの男の魅力なのだろう。
「……とにかく、雨を凌げるところへ行こう。これ以上の消耗はまずい―そうだな…あ
 のでかい木の下なんてどうだ」
 井上の指差す先―十メートルほど向こうに、大人数人がかりでやっと一抱えできる位
の巨大な幹を持った木があった。
「そうですね―じゃあ、俺は英智を背負いますけど、一樹さんは独りで歩けますか?」
「っ……、ああ、何とか、な……。お前こそ大丈夫なのか? 疲れてるだろ」
「俺はまだまだ大丈夫です。怪我もありませんし。英智のことは任せて、先に行ってくだ
 さい」
 そう言って小笠原は笑みを浮かべて見せた。その笑みは表面だけ取り繕った、ひどく弱
々しいものだったが―井上も心中を察したのだろう、
「……わかった。任せる」
 それだけ言って、大木の方へと歩きはじめた。その足取りは見るからに重く、いつ倒れ
てもおかしくはないように見える。
 そんな井上の背中を不安げに見つめたあと、小笠原は英智へと視線を移した。その顔に
はもはや先ほどまでの笑みは無い。
 小笠原は地面にしゃがみ込み、片膝を立てて英智を持ち上げ、背に負って立ち上がる。
 小笠原と英智の体重はほぼ同じだ。その重みは、疲労した体にはかなりの負荷だろう。
 けれど小笠原はそれを微塵も表層に出しはしない。辛いとさえ思わない。
 顔を上げると、井上はまだ小笠原と大木の半ばほどを歩いていた。出血は止まっておら
ず、足取りもふらついている。


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