二項定理(にこうていり、binomial theorem)とは、二項式 x + y の冪乗 (x + y)n の展開(二項展開)を表す公式のことである。これは、この展開の一般項 xkyn?k の係数を n と k のみで表す定理であるということもできる。二項定理はペルシアの科学者ウマル・ハイヤームによって発見された。 二項展開の一般項 xkyn?k の係数を二項係数と呼び、 とあらわす。すなわち定義から が成り立つ。そして定理の主張はこの二項係数は n 個から k 個選ぶ組合せの数 nCk に等しいということである。これはまた、階乗を用いて表される: 詳細は「パスカルの三角形」を参照 2 項係数は次のようにしても求めることができる。 この関係式はしばしば n 段目の k 番目に nCk を配置(もちろん n も k も 0 から数え始める)した三角形として表され、パスカルに因んでパスカルの三角形という。ある次数の 2 項係数は、左上と右上にある前の次数の 2 項係数 2 つを足したものになる。数が書いていない空白は 0 と考える。 パスカルの三角形から二項係数が求まることは、分配法則と数学的帰納法を用いれば明らかである。実際、 と表されたならば、この両辺に x + y を掛けることにより が成立することが確かめられる。これを と比較すれば係数について所期の関係を得る。 二項定理を適用する多項式 x + y は実数や複素数を係数とする多項式である必要はない。任意の単位的可換環上の多項式についても上の式が成立する。 正確には、可換環 R の単位元を 1R とすると、各項の係数は である。これは単位元の整数倍(可換環を自然な意味で整数環 Z 上の加群とみている)という意味である。たとえば、x + y を二元体 F2 = Z/2Z 上の多項式とみなすと、 F2 の標数は 2、つまり 2 ・ 12 = 0 (ただし 12 は F2 の単位元)であるから、 などと計算することができる。 もう少し一般に、係数環の標数が p > 0(このとき p は素数である)なら、 ただし、 は を p で割った余りのこととする。またこのことと、 が、k = 0, p の場合を除いて p の倍数であることから、上で挙げた例の一般化として(x + y)p = xp + yp となることを得る(ただし、いま p は係数環の標数であったことを忘れてはいけない)。これはさらに の形に一般化できる。これはとくに位数 q = pn の有限体 GF(q) において各元を q 乗する写像 は GF(q) の(体としての)自己同型を与えることを示している。この自己同型写像はフロベニウス写像と呼ばれる。 また、1 + x (|x| < 1) の任意の複素数 α 乗は次のように二項級数 ただし、この展開の係数はポッホハマーの記号(α)k = α(α + 1)(α + 2)…(α + k ? 1), (α)0 = 1,(α)k = α(α ? 1)(α ? 2)…(α ? k + 1), (α)0 = 1 やガンマ関数 Γ(z)を用いて と表される。α が自然数なら、これは既に定義したものと一致する。 多項定理とは、k 項多項式の冪乗 (x1 + x2 + … + xk)n について展開の各項 の係数を与える公式である。これを二項で行えば既に述べた二項定理となる。(なお多項式の指数ベクトルを用いた表示については多項式も参照。) (x1 + x2 + … + xk)n の一般項 xp (p = (p1, ..., pk), |p| = n) の係数(多項係数)は などのように記される。すなわち、 そして具体的に多項係数の値は で与えられる。これについては順列も参照すると良い。
目次
1 概要
2 パスカルの三角形
3 可換環上への拡張
4 一般の二項定理
5 多項定理
6 関連記事
概要
パスカルの三角形
可換環上への拡張
一般の二項定理
多項定理
関連記事
q二項定理
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更新日時:2012年1月11日(水)05:59(日時は
取得日時:2012/02/09 04:16
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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