有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro-Luminescence:OEL、有機EL)とは発光を伴う物理現象であり、その現象を利用した有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode:OLED)や発光ポリマー(Light Emitting Polymer:LEP)とも呼ばれる製品一般も指す。
これらの発光素子は発光層が有機化合物から成る発光ダイオード(LED)を構成しており、有機化合物中に注入された電子と正孔の再結合によって生じた励起子(エキシトン)によって発光する。日本では慣習的に「有機EL」と呼ばれることが多い。
目次
1 有機ELの発明
2 有機ELの発光原理
3 発光材料
4 製膜技術
5 有機ELディスプレイの将来性
6 有機ELディスプレイの構造
7 駆動方式
7.1 パッシブ・マトリクス
7.2 アクティブ・マトリクス
8 カラー化方式
9 有機ELディスプレイの特徴
10 商業利用
11 有機EL照明
12 参考文献
13 出典・脚注
14 関連項目
15 外部リンク
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現在もっともよく用いられている有機EL積層機能分離型デバイス発光素子[1]は1987年にEastman Kodak社のC.W.Tang, S.A.VanSlykeらによって発明された。
陰極および陽極に電圧をかけることにより各々から電子と正孔を注入する。注入された電子と正孔がそれぞれの電子輸送層・正孔輸送層を通過し、発光層で結合する。
結合によるエネルギーで発光層の発光材料が励起される。その励起状態から再び基底状態に戻る際に光を発生する。励起状態(一重項)からそのまま基底状態に戻る発光が蛍光であり、一重項状態からややエネルギー準位の低い三重項状態を経由し、基底状態に戻る際の発光を利用すればりん光である。励起しても光に上手く利用できないエネルギーは無放射失活(熱失活)する。
陰極にはアルミニウムや銀・マグネシウム合金、カルシウム等の金属薄膜を、陽極にはITO(Indium Tin Oxide)と呼ばれる酸化インジウム錫などの透明な金属薄膜を使う。発生した光は反射面で反射され、透明電極と基板(ガラス板やプラスチック板など)を透過する。
有機EL素子の主要部は発光層であるが、その発光層に使用される発光材料にはさまざまな材料が試されてきた。それらは大きく高分子と低分子のどちらかに分けられる。ポリマー状の分子を用いたものが高分子材料であり、それ以外の分子を用いたものが低分子材料である[2]。
低分子材料
低分子材料は、有機材料を蒸着により薄膜化・積層化することによりデバイスを作成している。前述の発光原理により蛍光材料とりん光材料に大別できる。蛍光材料は前述一重項発光を利用した材料で、光の三原色となる赤・緑・青色ともコスト・寿命・耐久性・成膜性に充分な要件を持った材料がそろっている。りん光材料は前述の三重項発光を利用した材料であり、原理的に蛍光材料よりはるかに発光効率がよい。しかしりん光材料は寿命、電流増加時の効率低下(Triplet-triplet annihilation)、精製の困難さ、熱耐性の点で蛍光材料ほどの普及はしていない。特に青色はまだ十分な特性を持つ材料が開発されておらず、実用化には至っていない。各社がこの青色りん光材料の開発競争を続けている状況である(2008年段階)。高分子材料と比したとき、低分子材料の欠点として製造技術が挙げられる。デバイスにする際、薄膜製造(後述)には透明のガラス基板やプラスチック基板に蒸着させる方法が一般的である。しかし通常のシャドウマスクを用いた色分け成膜技術はシャドウマスクの精度、熱膨張の観点から大型化が困難である。現状の有機ELディスプレイが小型のものに限られるのはそのためである(2008年段階)。この問題を解決するために様々な手法が提案されている(「解像度」参照)。
高分子材料
高分子材料は、それをインクとした印刷技術の応用により大量・安価・大型の有機ELデバイスが容易に生産できると言われ、次世代の材料として日本国内の大手印刷会社・化学企業・電気家電メーカー等で研究開発が続けられている。しかし、高分子材料で有機EL素子を作成する場合、層間の材料同士が溶解しやすく、有機ELに不可欠な前述のヘテロ構造を持たせることが非常に困難である。そのため、単層ないし少数の層の素子構造しかできず、多くの機能(各層の機能)をこれら単数または少数の層や材料に持たせる必要がある。したがって高分子材料の分子設計への要求は低分子材料にそれに比べて非常に高く、そのため低分子材料に比べて高分子材料の開発は大幅に遅れている(2009年段階)。