日本語の乱れ
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表記に関するもの
仮名遣いの誤り

現代仮名遣いでは認められないものを挙げる。「おまえ→×おまへ」などの間違いは児童に多く、学校教育を受けるにつれて直るものであるが、以下に記す事例はまま見られる。ただし、現代仮名遣いは、その前書きにおいて「この仮名遣いは,科学,技術,芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない」と定めている。現代仮名遣いに沿っていないからといって個々人の表記をあげつらうのは、逆に現代仮名遣いの趣旨に反する。

こんにちわ→正:こんにちは

ワと発音する音節は「わ」と表記するのが原則だとしながら助詞の「は」にだけ「は」と書いてワと読ませる例を残した現代かなづかいの主観性は『私の国語教室』などで強く批判されたところだが、この規定は現行の改訂現代仮名遣いにも引き継がれた。1946年の規定では助詞の「は」を「わ」と書くことをも許容する含みを持たせていたものが、現行の規定では明確に「は」と書くと定められている[10][11]。「今日は御機嫌いかがですか」のような表現の省略されたものであり、もともと助詞の「は」だったから「は」と書くのだ、と説明されることがある[要出典]。

ゆう→正:いう

動詞「言う」は、発音どおりに表記するという現代仮名遣いの原則に従えば「ゆう」だが、特例として「いう」と表記すると定められている。現代仮名遣いによれば「いう」と表記して「ユー」と発音するものである。

この他、歴史的仮名遣こそ日本語として本来あるべき仮名遣いであるとして、現代仮名遣い自体が批判されることがある。この立場からは、先に挙げた「おまへ」の表記こそが正しく、「おまえ」の方が間違っていることになる。
かな書き

新聞や広告、テレビなどは、できるだけ多くの人がわかりやすいことが前提であるべきで、そのために制定されたのが常用漢字であり、現代仮名遣いである。新聞などではかつては常用漢字外の文字は使わずにかな書きするのが原則だったが、近年は読みを括弧書きするなどした上で漢字表記することが増えた。これに比べて、雑誌または書籍は購読者層がある程度絞られることが多いため、以前からかな書きはあまり行われてこなかった。その一方で、例外的に誤読防止や文面を和らげるために意図的にかな書きを用いることも少なくない。

例えば、

「何」は、「なに」と読むのか、それとも「なん」なのか紛らわしい場合に「なにより(何より)」「なんの(何の)」と表記

「私」を、「わたくし」と読んでほしいのか、それとも「わたし」であるのか明確にするために「わたし」と表記

「?の方」を、指示語の「ほう」か、「?の人」の意の「かた」なのかを明確にするためにかな書きとする

といったケースは少なくない。このほかにも、

「じつは」「じつに」「そのじつ」→実

「とくに」→「特に」

「なかでも」「?のなか」→「中」

とする場合がある。編集者以外の記者が書いた原稿は、筆者のオリジナリティーを尊重する観点から原文ママとすることがある。
平仮名に長音符号

長音符号は、音引き・伸ばし棒とも呼ばれ、片仮名で用いられる。この長音符号を平仮名に用いるのは、昭和61年告示第1号『現代仮名遣い』の規定により誤用とされる。100年以上前の文部省発行の小学校教科書では、平仮名中の長音符号が正式に採用されていた時期があったが、数年で廃止された。

例:
おじーさん
正: おじいさん
らーめん
正: ラーメン、らあめん
交ぜ書き

公文書でも、かつては常用外漢字については基本的に交ぜ書きまたはかな書きされることが多かったが、この常用漢字も別記のように限界が見えてきたので、文部科学省は2005年、「数年以内に見直しを検討する」としている。

新聞・雑誌・書籍などにおいてもこうしたケースは少なくなく、たとえば

「荒唐無稽」→「荒唐無けい」

「誹謗中傷」→「ひぼう中傷」

「拉致」→「ら致」

といった具合に表記することがある。
当て字

当て字」とは、規範的な漢字の読みを無視して、便宜的または慣用的にまったく別の読みを当てることである。江戸時代から明治時代にかけては盛んに行われたが、近年はあまり行われない。それでも歌謡曲の歌詞では近年でも次のような表現が残る。

理由 - 「わけ」(正しくは「りゆう」)

孤独 - 「さびしさ」(同上「こどく」)

娘 - 「こ」(同上「むすめ」)

宇宙 - 「そら」(同上「うちゅう」)

送りがなの区別

「行」は「い・く/ゆ・く」「おこな・う」の2つの訓を持つが、連用形や過去形では両者の区分が付かない(「行った:いった/おこなった」)。このため便宜的に「おこなう」の送りがなを「おこ・なう」として区別することがある。
カタカナ文の濫用

昔から多い表記の揺れが、文章中にカタカナをやたらに多用することである。戦前の文学作品、手紙を書く時や個人経営の商店のチラシ、10?40代前半が対象の雑誌、テレビバラエティ番組等でのテロップ、そして携帯端末パソコンe-メールなど、数えだしたらきりがないが、次のような表現が見られる。

そんな無茶なことを云い出しては人迷わせだヨ。腕で無くって何で芸術が出来る。まして君なぞ既(すで)にいい腕になっているのだもの、いよいよ腕を磨(みが)くべしだネ。(昭和14年、幸田露伴『 ⇒鵞鳥』)

我々は見学だヨ(昭和6年、宮本百合子『 ⇒ソヴェト労働者の夏休み』)

風刺の意図を込める表現

と慰めて? 遣ったら、長江画伯イヨイヨ茫然とした淋しい顔になって眼をパチパチさせた。(昭和10年、夢野久作『 ⇒呑仙士』)

連用形の連体修飾

「×許可なく立ち入りを禁ず」の類。「許可なく」は連用形なので「立ち入り」という名詞を修飾することはできず、文法的に「禁ず」を修飾していると解釈される。正しくは「許可なき立ち入りを禁ず」のように「許可なく」を連体形にするか、「許可なく立ち入ることを禁ず」のように形式名詞を用いる必要がある。
全然?ない

全然 - 「全然?ない」などと後ろに否定を伴うのが正しいとされ、そうでない場合に「日本語の乱れ」とされる。しかし夏目漱石などによる近代初期の文学作品に否定を用いない例があり、社会における規範の方が変化した可能性が高い。「漢字の意味を考慮するなら『乱れ』どころか自己是正現象である」とする立場もある。間違っていると言われないための便法としては、「全く」、「完全に」、「非常に」などと言い換える方法がある。「とても」と言い換えるのは問題がある。「とても?できない」のように否定を伴う用法が本来だからである。なので、但し、「全然違う」、「全然だめ」、「全然反対」、「全然別」などは、否定的な要素が含まれていて、古くから使われているので、正しい言葉であるとしている[12]話し言葉では正しく、書き言葉では誤りとすべしという意見もある[要出典]。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Momi