活用の詳細は、活用の節を参照。
動詞はラテン語文法の中でも複雑な項目である。個々の動詞には多数の変化形があり、三つの法(直説法、仮定法、命令法)と二つの態(受動態、能動態)、二つの数(単数、複数)、三つの人称(第一人称、第二人称、第三人称)、他の雑多な形式が区別される。
動詞は主要な六つの時制(現在、未完了、未来、完了、過去完了、前未来)に対して活用する。現在、完了、未来の時制には、不定詞と分詞が備わっている。
ラテン語の動詞には4種類の活用形があり、不定詞形の語尾、-?re, -?re, -ere, -?reで識別できる。
時制(ラテン語:tempus)
現在(ラテン語:praesens)
発話の時点で起きている事象を表す。英語での対応する表現:The slave carries (or is carrying) the wine jar home.
未完了(ラテン語:imperfectum)
過去に継続して起きていた事象を表す。英語での対応する表現:The slave used to carry (or was carrying, or kept on carrying) the wine jar home.
未来(ラテン語:futurum simplex)
未来に起きる事象を表す。英語での対応する表現:The slave will carry the wine jar home.
完了(ラテン語:perfectum)
現時点で完了した事象を表す。英語での対応する表現:The slave carried(or have carried) the wine jar home.
過去完了(ラテン語:plusquamperfectum)
過ぎ去った過去の時点で完了した事象を表す。英語での対応する表現:The slave had carried the wine jar home.
前未来(ラテン語:futurum exactum)
未来のいつかの時点で完了する事象を表す。英語での対応する表現:By tomorrow, the slave will have carried the wine jar home.
法(ラテン語:modus):
直説法(ラテン語:indicativus)
事実について述べる場合に用いられる。英語での対応する表現:That slave is carrying a wine jar.
仮定法または接続法(ラテン語:coniunctivus)
可能性や意思、事実に反する仮定などの表現に用いられる。英語での対応する表現:Let the slave carry the jar.
(The subjunctive is also used with the formation of subordinate clauses):
We hoped the slave carry the jar.
If the slave were carrying the jar. ラテン語の動詞の活用は、次の4つの基本形の派生として説明される。 たとえば「愛する」を意味する語を例にとると、この4つはそれぞれ、 となる。 辞書ではこの最初の形を見出し語とし、他の3つを併記するのが慣例となっている。2番目の形は不定詞として用いられる形であるが、現代の欧州諸語と異なり見出し語とはしない[1]。 上記「愛する」を例にとると、辞書の見出し語は amo であって、その後に省略した形を添え、amo, -are, -avi, -atum のように記載するのが通例である。 一方現代語の語源辞典や、各種読み物の中で軽く語源にふれるような場合には、ラテン語の動詞をひくときに上記2番目(amare)の形を用いることも多い[2]。 とりわけイタリア語、フランス語、スペイン語などラテン語の血を引く現代語(ロマンス諸語)においては不定法の用法が発達し、辞書の見出しなどにももっぱら不定法の形(「愛する」の同系語を例にとれば、イタリア語: amare、フランス語: aimer、スペイン語: amar[3])を用いるようになっているので、ラテン語を含めた各言語の不定形どうしを対照することは一般的である。 格変化の詳細は、人称代名詞の格変化の節を参照。 ラテン語には不定冠詞や定冠詞が存在しないが、hic, haec, hoc(それぞれ、男性、女性、中性に対応する、近称、英語のthis)、ille, illa, illud(同じく、遠称、英語のthat)などの指示語は存在する。英語における、this,thatのように代名詞としても機能する。 所有形容詞や所有代名詞、基数詞や序数詞、数量詞、疑問詞なども在る。 人称代名詞も三つの人称のそれぞれに対応して存在し、単数、複数が同形で用いられる。多くのロマンス諸語や英語と同様に、三人称に対応する代名詞のみが性の変化を伴う。三人称の語はis, ea, idであり、それぞれ英語のhe, she, itに相当する。 ラテン語の名詞は、数 (numerus) ・格 (casus) によって語の形を変える。これをdeclinatioという。日本語では、格変化と呼ばれる。数には、単数 (singularis) と複数 (pluralis) がある。古典ギリシア語のような双数はない。格には、主格 (nominativus) 、呼格(vocativus) 、属格 (genitivus) 、与格 (dativus) 、対格(accusativus) 、奪格 (ablativus) 、地格 (locativus) の七つがあるが、呼格は大体において主格と同形であり、また、地格についてはこの格を持っている語自体が稀である。従って、通常の名詞については、五つの格を覚えればよいということになる。つまり、通常一つの名詞につき、2*5=10の形を覚える必要がある。 しかし、ラテン語では、格変化はおおよそ規則的であり、パターン化されている。大概、典型的なものについて十個の形を覚えておけば、他の名詞については、単数主格と単数属格の形が分かれば、他の形は類推できる。このため、辞書には単数主格と単数属格の形しか出ていない。単語を書く際には、この二つの形を並べて書く(こうすることで、名詞であることも明らかになる)。 なお、名詞には必ず性があり、これを覚えておかないと、形容詞を正しく変化させることができないから(数・格のみならず、性をも一致させる必要があるため。これを性数格の一致という)、これも覚える必要がある。性には、男性(masculinum)・女性(femininum)・中性(neutrum)がある。中性は、イタリア語やフランス語などでは消失してしまったが、ドイツ語には現在でもある。
命令法(ラテン語:imperativus)
命令文で用いられる。英語での対応する表現:Carry this wine jar home!
態(ラテン語:genus):
能動態(ラテン語:activum)
動詞が主語に示されるものの動作を表す。英語での対応する表現:The slave carried the wine jar home.
受動態(ラテン語:passivum)
動詞が主語に示されるものに対する動作を表す。英語での対応する表現:The wine jar was carried home by the slave.
動詞の4基本形
現在・直説法・能動態・単数・一人称
現在・不定法・能動態
完了・直説法・能動態・単数・一人称
スピーヌム(目的分詞)
amo (私は愛する)
amare (愛すること)
amavi (私は愛した)
amatum (愛するために)
限定詞と人称代名詞
格変化 (declinatio)
名詞の格変化 (declinatio)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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