高速増殖炉
ご協力下さい!!
■暇つぶし何某■

[Wikipedia|▼Menu]
日本の高速増殖炉 もんじゅフランスのスーパーフェニックス

高速増殖炉(こうそくぞうしょくろ、Fast Breeder Reactor、FBR)とは、高速中性子による核分裂連鎖反応を用いた増殖炉のことをいう。簡単に言うと、「増殖炉」とは消費する核燃料よりも新たに生成する核燃料の方が多くなる原子炉のことであり、「高速」の中性子を利用してプルトニウムを増殖するので高速増殖炉という。高速中性子を利用しながら核燃料の増殖を行わない原子炉の形式は、単に高速炉 (Fast Reactor: FR) と呼ばれる。


目次

1 概要

2 構成要素

2.1 冷却材

2.2 燃料

2.2.1 MOX燃料

2.2.2 ブランケット



3 核燃料サイクル計画

4 特徴

4.1 増殖

4.2 プルサーマル方式に対する優位性


5 FBRの形式

6 問題点

6.1 技術的課題

6.2 社会的課題

6.3 経済的課題


7 世界の高速増殖炉

7.1 日本

7.2 アメリカ合衆国

7.3 フランス

7.4 欧州

7.5 イギリス

7.6 ドイツ

7.7 イタリア

7.8 ロシア(旧ソ連)

7.9 カザフスタン(旧ソ連)

7.10 インド

7.11 中国

7.12 韓国


8 脚注

8.1 注釈

8.2 出典


9 参考文献

10 関連項目


概要

現行の商用発電用原子炉として一般的な軽水炉と比較した場合の高速増殖炉の特徴を述べる[1]
増殖比(核反応において消費される核分裂性核種の消滅数に対する生成数の割合)が1.0を超えること

核燃料の主体がウラン238/プルトニウム239となること(他に核反応起動用のウラン235が若干必要)

減速材を使用しないこと(熱中性子を利用せず、高速中性子をそのまま利用するため)

減速材が不要であり、従来と比べ核燃料(核反応断面積がウラン235と比べ格段に小さい)の高密度配置が必要となるため、炉心単位体積あたりのエネルギー量の大きさが飛躍的に向上する。また冷却材の高能率化が必須となる。

現在開発が進められている主な形式としては以下のようになる。
冷却材軽水(つまり普通の純水)を使わずに、代わりに溶融金属(主に金属ナトリウム)を使用する

燃料には天然ウランまたはウラン/プルトニウム混合燃料(Mixed oxide: MOX燃料)を使用する

MOX燃料の元となるプルトニウム239とウラン238は通常の軽水炉で燃料として使うこともできるが、高速増殖炉の炉心で燃やすことで、さらに不要なウラン238から次の高速増殖炉用の核燃料であるプルトニウム239を作り出すことで核燃料を循環させる「核燃料サイクル」を実現するための要となる装置である。高速増殖炉は、核燃料サイクルのウラン?プルトニウム系列を実施する。ウラン238(天然・非核分裂性)+中性子 → ウラン239ネプツニウム239プルトニウム239(核燃料)

こういった意欲的な構想の下に先進工業国で研究開発が進められて来たが、軽水炉にはない様々な問題を含んでいるため、実験炉から原型炉までは数か国でいくつか完成しつつも、実証炉の完成までは時間がかかっていた。いくつかの国が研究開発を挫折する中、ついに2014年6月27日にはロシアで実証炉BN-800が臨界に達し、実用化の目処がついた。一方日本では2016年12月21日にもんじゅの廃炉が決定され、今後も核燃料サイクルの開発は継続するもののその原子炉は高速炉とされ、増殖炉とはされていない。2014年に開始されたフランスの高速炉ASTRIDにおける日仏協力についても継続するとされた[2]
構成要素

高速増殖炉は流体を冷却材に使って炉心の熱を外部に導き、蒸気を発生させて発電等に利用する点では、一般的な軽水炉と似た仕組みを持っている。一方では、冷却材と燃料において大きな違いがある。
冷却材

軽水炉では、炉心の熱エネルギーを外部に取り出すための冷却材や中性子の減速材、反射体などを兼ねて軽水を利用するのに対し、高速増殖炉では高速中性子を減速させないように加熱溶融した金属ナトリウムのような液体金属を使用する。

高速増殖炉の冷却材は、平均速度が秒速1万km程の高速中性子に対して減速効果が小さくその運動を衰えさせないものでなければならず、また単位体積当たりの出力密度が軽水炉よりもかなり大きくなるため、熱伝導率の良いものでなければならない。高速中性子に対する減速効果は水素や重水素のように核の原子量ができるだけ少ない元素が大きくなる。

これらの条件を満たすものとして、金属ナトリウムが使われている計画が多いが、鉛・ビスマスやヘリウムガス冷却も一定の経済性を持つと言われる。ナトリウムは発火性が、鉛・ビスマスは腐食性が問題である。過去には水銀ビスマスカリウムNaK(ナトリウムカリウム合金)などが考えられた。ナトリウムを採用するメリットとして、以下のような点も挙げられる。

水と違って、圧力をかけなくても800度以上にならないと沸騰しないので扱いやすい。

比重が水と同程度なので、水と同様にポンプで循環できる。

金属ナトリウムとして存在している安定同位体の23Naは、炉内で中性子を吸収し放射化され22Na(半減期 2.6年)と24Na(半減期 15時間)に変化するが、半減期が短いため炉停止後の作業者の被爆量を増加させない[3]

また熱伝導率の高さから「もんじゅ」においては3系統ある冷却系のうち、2系統が故障してしまった場合でも1系統のみで炉心の崩壊熱を除去し冷却する事ができる。また循環ポンプなどの電源を全て失う、全電源喪失が起きて循環ポンプが全て停止しても3系統の冷却系にてナトリウムの自然循環と空気冷却器により崩壊熱の除去が可能である。これらの安全性も評価されているため、ナトリウム冷却高速増殖炉は国際的な第四世代原子炉の一つとして位置づけられている。
燃料
MOX燃料

炉心内中央部にはMOX燃料と呼ばれる核燃料集合体が置かれる。

使用前のMOX燃料は、燃料となるプルトニウム239ウラン235が微量と、あとは核分裂をほとんど起こさないウラン238で占められている。

MOX燃料は、(最初は)他の原子炉で使用済みとなった核燃料棒を再処理して取り出されるプルトニウムとウランを混合して酸化させペレット状に固めて燃料被覆管に詰められ核燃料棒とされる。酸化させることで熱に強くして溶けにくくしている。このプルトニウムは、軽水炉内から取り出された使用済み燃料を再処理して得られた物か、高速増殖炉のブランケットを処理して得られた物のいずれかであり、軽水炉由来の方がプルトニウムの同位体が多く含まれている。ウランは、天然ウランからウラン235を相当分抽出した残り(劣化ウラン)か、または天然ウランそのものである場合と、軽水炉や高速増殖炉のMOX燃料・ブランケットを処理して得られた物などであり、いずれも核燃料として有益なウラン235はあまり含まれていない。

使用済み核燃料中には核分裂に伴う分裂片や多くの元から含まれる核燃料近縁の重核種の同位体が含まれ、再処理前にプール内で十分な冷却期間を置いても何年も熱を帯びながら崩壊による強い放射線を放ち続ける。プルトニウムを分離後も、プルトニウム239の他にプルトニウム238やプルトニウム240、プルトニウム241などが含まれ熱と強い放射線を受けながら核燃料の製造を行わねばならない。

なおプルトニウムの混合割合を富化度といい、高速増殖炉ではこの割合を20 - 30%とする。
ブランケット

炉心内の周辺部にはブランケットと呼ばれるウラン238を主成分とする燃料集合体が置かれる。ブランケットも炉内で「燃える」つまり核分裂反応して発電に寄与するがその割合は比較的少ない。

炉心中央部のプルトニウム239やウラン235といった核分裂性の核燃料が臨界による連鎖反応を起こすことで放たれた高速中性子が冷却材にさえぎられることなくそのかなりの割合が周囲まで飛び出して来る。周囲を取り囲むように配置されたブランケット内のウラン238は、この高速中性子を原子核に吸収することで2度のベータ崩壊を起こしネプツニウム239を経てプルトニウム239に変わる。プルトニウム239は(低速な)熱中性子を吸収するとプルトニウム240に変わるが減速材が存在しなければほとんどの中性子は高速のままで飛び込んで来るため、それがプルトニウム239の核に当たると分裂することになる。ただし、プルトニウムの核分裂断面積は小さく高速中性子が核に当たることはまれである。結局、ブランケットのウラン238は徐々にプルトニウム239へと変化してゆく。

ブランケットのウランは天然ウランか劣化ウラン、またはそれらの混合物であり、ウラン238が主体となる[4]


◇ピンチです!◇
■暇つぶし何某■

次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:64 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:FIRTREE