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陪審制(ばいしんせい、英: Jury system)は、刑事訴訟や民事訴訟の審理に際して、民間から無作為で選ばれた陪審員(ばいしんいん)によって構成される(裁判官を含まない)合議体が評議によって事実認定を行う司法制度である。
陪審員の人数は6? 12名である場合が多く、その合議体を「陪審」という。陪審は、刑事事件では原則として被告人の有罪・無罪について、民事事件では被告の責任の有無や損害賠償額等について判断する。
現在は主に、アメリカ合衆国やイギリスをはじめとするコモン・ロー(英米法)諸国で運用されている。日本でも、1928年(昭和3年)から1943年(昭和18年)まで行われていた。なお、2009年に開始された日本の裁判員制度は、厳密な意味では陪審制とは異なるものである。
目次
1 概要
1.1 構成
1.2 審理手続
2 類似の制度
2.1 参審制
2.2 裁判員制度
3 歴史
3.1 イングランドにおける生成・発展
3.2 アメリカにおける継受
4 陪審制をめぐる議論
4.1 陪審制の意義
4.2 陪審制に対する批判
4.3 陪審による法の無視
4.4 陪審と報道
4.5 評議の秘密
4.6 英米法に与えた影響
5 アメリカの陪審制
5.1 アメリカの刑事陪審
5.1.1 刑事陪審の保障
5.1.2 陪審審理の放棄
5.1.3 陪審員の人数及び選任手続
5.1.4 評議及び評決
5.1.5 評決後の手続
5.2 アメリカの民事陪審
5.2.1 民事陪審の保障
5.2.2 陪審審理の要求
5.2.3 陪審員の人数及び選任手続
5.2.4 評議及び評決
5.2.5 評決後の手続
5.3 統計
6 イギリスの陪審制
6.1 イングランド及びウェールズ
6.1.1 刑事陪審
6.1.2 検死陪審
6.1.3 民事陪審
6.1.4 陪審員の数と評決
6.2 スコットランド
6.3 北アイルランド
7 その他の国における現行の陪審制
8 日本の陪審制
8.1 昭和初期の陪審制
8.1.1 沿革
8.1.2 対象事件
8.1.3 陪審員
8.1.4 陪審裁判の手続
8.1.5 陪審制の停止
8.1.6 復活論と裁判員制度
8.2 アメリカ統治下にあった沖縄県での陪審制
9 注釈
10 出典
11 参考文献
12 関連項目
13 外部リンク
陪審には、刑事事件で被疑者を起訴するか否かを陪審員が決定する大陪審(だいばいしん、grand jury、起訴陪審とも)と、陪審員が刑事訴訟や民事訴訟の審理に参加する小陪審(しょうばいしん、petit jury、審理陪審とも)がある。大陪審・小陪審の名称は、大陪審の方が小陪審よりも構成人数が多いことによる(伝統的に、大陪審は23人、小陪審は12人)。一般に陪審という場合は小陪審のことを指す(以下、#歴史の項を除いては、小陪審のみについて記述する)。 陪審員(上記のとおり伝統的には12人だが詳細は各国の項参照)は、一般市民から無作為で選ばれ、刑事事件や民事事件の審理に立ち会った後、陪審員のみで評議を行い、結論である評決を下す(→#審理手続及び各国の項参照)。同様に一般市民が裁判に参加する制度として、参審制や、日本で実施されている裁判員制度があるが、陪審制は、裁判官が評議に加わらず、陪審員のみで事実認定と法の適用を行う点でこれらと異なる(→#類似の制度)。 陪審制は、イギリスで古くから発展し、アメリカ合衆国等に受け継がれたものである(→#歴史)。 アメリカでは、連邦や各州の憲法で刑事陪審及び民事陪審が保障されており(→#アメリカの刑事陪審、#アメリカの民事陪審)、全事件数から見れば一部であるとはいえ、年に9万件以上の陪審審理が行われている(→#統計)。イギリスでも、刑事陪審が行われているが、現在、民事陪審はほとんど行われていない(→#イギリスの陪審制)。その他、オーストラリア、カナダ、韓国、デンマーク、ニュージーランド、ロシア等で陪審制が行われている(→#その他の国における現行の陪審制)。 日本でも戦前、1928年(昭和3年)から刑事陪審が実施されたが、1943年(昭和18年)に施行停止にされたまま現在に至っている(→#日本の陪審制)。 現在陪審制が実施されている主な国であるアメリカ(連邦、各州)及びイギリス(イングランド、ウェールズ)における一般的な陪審審理の手続は、以下のとおりである[1]。 陪審員の数は、伝統的には12人であるが、法域(国や州)[注 1]によって、これより少ない人数としているところもある。陪審員は、一般市民の中から無作為で選任され、宣誓の後、法廷の中に設けられた陪審員席に着席して審理(トライアル[注 2])に立ち会う。ネバダ州にある裁判所の陪審員席。通常は陪審員席は左右どちらかの壁際にあり、法廷の中央に設けられているのは珍しい。 陪審員の参加する審理においては、裁判官は法廷を主催して訴訟指揮(異議の裁定など)を行い、陪審員が偏見を与えられたり、不適切な証拠が法廷に持ち込まれたりすることを防ぐ。そして、裁判官は、審理が終わった段階で、陪審員に、どのような法が適用されるべきかという詳細な説示 (instruction, charge) を行う。陪審は、法廷に提出された証拠と、裁判官の説示を踏まえ、事実認定とその事実に対する法の適用の双方について密室で評議した上で、評決 (verdict) を答申する[注 3]。民事陪審では、例えば被告の責任の有無だけでなく損害賠償額についても評決を答申する。刑事事件では、陪審が有罪・無罪を答申し、有罪の場合の量刑については裁判官が決定するのが原則である。評決は、伝統的に全員一致であることが必要であるが、現在では、法域によって特別多数決(11対1や10対2など)を認めるところもある。
概要
構成
審理手続「トライアル (裁判)」も参照
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