透視図
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二点透視図法による立方体対象物からの光線が画面を貫き視点に届く様子。透視図法の基本概念を表す。

遠近法(えんきんほう、: perspective)は、広義には絵画や作図などにおいて、遠近感を持った表現を行う手法を指す。ここでは特に、目に映る像を平面に正確に写すための技法である「透視図法」(透視法、線遠近法ともいう)について記す。

透視図法によって描かれた図のことを透視図という。英語では「遠近法」「透視図法」「透視図」などを総称して perspective(パースペクティブ)といい、日本では遠近法、透視図のことをパースと称することが多い。(例:「建築パース」「パースがきつい」など)

遠近法の2大特徴として

同じ大きさの物でも、視点から遠いほど小さく描く

ある角度からの視線では物はひずんで見える (短縮法)

ことが挙げられる。

なお、透視図法によらない遠近法の代表としては、近くを明確に描き遠くを不明瞭かつ沈んだ彩度で描く「空気遠近法」がある。


目次

1 基本的な概念

2 関連する概念

3 歴史

3.1 初期の発展

3.2 数学的な基礎

3.3 レオナルド・ダ・ヴィンチ

3.4 コンピュータグラフィックスにおける遠近法


4 さまざまな図法

4.1 一点透視図法

4.2 二点透視図法

4.3 三点透視図法

4.4 零点透視図法

4.5 その他の透視図法


5 遠近法の用い方

5.1 例:透視図における四角形


6 短縮法

7 建築パース

8 逆遠近法など

9 ルネサンスの前後での遠近法の変化

10 参考文献

11 関連項目

12 外部リンク


基本的な概念

遠近法の基本は視点の前に置いた「投影面」に、それを通過する光を写し取ることであり、それは窓ガラスを通して見える光景を窓ガラス表面に直接描画することに似ている。ガラスに写し取られた図は3次元の光景を縮小し2次元平面上に変換したものとなる。

図法として一点透視図法(: one-point perspective)、二点透視図法(: two-point perspective)、三点透視図法(: three-point perspective)などがある。これらは美術にとどまらず、建築映画アニメコンピュータグラフィックスなど、視覚表現の分野で広く使用されている。
関連する概念地平線へと延びる線路。線路の先が消失点。空気遠近法の例。写真で見る遠近法。中央が消失点。

遠近法で描かれた絵画の代表は線遠近法 (linear perspective)を用いた透視図 (perspective drawings) である。透視図は視点と対象物の距離関係によって拡大あるいは縮小されて描画される。元の対象物の形状は距離に応じて変化するため、正円は楕円となり、正方形台形となってあらわされることもある。こういったひずみは、短縮法により、距離に応じて物体の様々な部分が、それぞれ独自に拡縮されることにより発生する。

透視図には一般的に水平線 が必要とされる。これは視点の真正面に位置し、視界に存在するすべてのものは遠ざかれば遠ざかるほど水平線へと近づいていく。それはちょうど、我々がよく知る地上の地平線、海上の水平線似するものである。

多くの透視図には消失点が存在する。一点透視図法とは水平線上に1つの消失点を持つものであり、視界に存在するすべての平行な直線は、距離に比例してこの消失点へと近づいていき、やがて消える。右上の参考写真のようなまっすぐ地平線の彼方へと消える2本の線路を想像すればわかりやすい。 二点透視図法では平行な直線が2組存在し、水平線上に消失点が2つ存在する。異なる角度の平行線は距離に応じてそれぞれこの2つの消失点へと近づいていく。消失点はいくつあっても良く、様々な角度を持つ平行な直線がどれだけあるかによって、消失点の数も変わってくる。

人工構造物の場合、数多くの平行線の組み合わせから成っており、いわゆる「直交座標系」と平行な直線だけで構成されることは稀である。単純な構造の家屋でさえ、5通りの角度を持つ平行線が存在し、5つの消失点が必要となる。

ここで注意すべきなのは、右上の参考写真のようなレールや道路など直線的な被写体であっても、人間の眼やカメラレンズを通した見ている画像は、正確には直線として見えていないことである。消失点に近い部分においては、直線的な構造物は限りなく直線として認識されるが、消失点から離れれば離れるほどレンズによる歪みが出てしまい湾曲していく。広角レンズを使った写真が中心から外周へ離れるほど歪んでしまうのはそのためである。これに対して、レンズの画角を絞込み消失点に近い部分を拡大してみせる望遠レンズ画像は、レンズ曲面による歪みが少なく、透視図法で再現する描画状態に近い画像になる。どちらにしても、そう言った意味で透視図法はあくまで擬似的な立体描画方であると理解しておいた方がいい。

一方、自然の風景などにはこういった平行線は存在せず、消失点を設定しても正確な絵画は描けない。自然を描くのに有効な手法の1つは、これまで述べたような線遠近法(透視図法)ではなく、遠くのものほどかすんで見えるという空気遠近法 (atmospheric perspective)である(例:レオナルド・ダ・ヴィンチ作『モナ・リザ』の背景)。これはルネッサンス期の絵画や東洋の水墨画などによく見られる手法である。なお、空気遠近法と色彩遠近法は混同されることが多いが、実際には、色彩遠近法は空気遠近法の一部(例:大気の影響で、遠くの方ほど青みがかっているなど)に使われている技法であり、同じではない。
歴史
初期の発展ペルジーノのこの『ペテロへの鍵の授与』(1481年?1482年作) というフレスコ画では遠近法が用いられている。この絵のあるシスティーナ礼拝堂ルネサンスローマへ伝える役割を果たした。

遠近法以前、絵画や線画などではその精神的主題によって対象物を描き分けてきた。特に中世の美術では絵画は写実性ではなく象徴性が重んじられ、距離によって人物を大小に描き分けることなどせず、ただ距離を表す唯一の手法は「遠くの人物は手前の人物の陰に隠れる」ことだけだった。

もっとも初期の遠近法は、紀元前5世紀頃の古代ギリシャ舞台美術に使われたものだった。舞台の上に奥行きを与えるために、平面パネルを置いてその上に奥行きのある絵を描いたという。哲学者アナクサゴラスデモクリトスはその透視図法に幾何学的理論を当てはめた。アルキビアデスは自分の家にこういった透視図を飾ったという。ユークリッドは透視図法に関して数学的な理論を打ち立てたが、これが現代の画法幾何学と全く同じものであるかについては論争があり定説がない。

11世紀ペルシャ数学者で哲学者でもあったイブン・アル=ハイサムは、その著作で視点に投影される光は円錐形をなす事に触れており、これは対象物を写実的に描画するもっとも基本的な理論となるものだった。だがアル=ハイサムの関心は絵画ではなく光学にあったため、この理論が絵画に利用されることはなかった。

中世以後初めて透視法的表現を用いたのは、13世紀 - 14世紀のイタリアの画家チマブーエ(「荘厳の聖母[1]」)、ピエトロ・カヴァッリーニ(「聖母の誕生[2]」)、ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ(「荘厳の聖母」)らであった。


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