逃走の罪
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

逃走の罪

法律・条文刑法第97条 - 第102条
保護法益国の拘禁作用
主体各類型による
客体各類型による
実行行為各類型による
主観故意犯(第100条は目的犯)
結果結果犯
実行の着手各類型による
既遂時期各類型による
法定刑各類型による
未遂・予備未遂罪(第102条)
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プロジェクト 刑法 (犯罪)

逃走の罪(とうそうのつみ)は、刑法に規定された国家的法益に対する罪で、国家による拘禁から逃れること、または国家による拘禁にある者を逃れさせたり、その援助をする犯罪類型。
目次

1 概説

2 単純逃走罪

2.1 主体

2.2 行為

2.3 未遂


3 加重逃走罪

3.1 主体

3.2 行為

3.3 未遂


4 被拘禁者奪取罪

4.1 客体

4.2 行為

4.3 未遂


5 逃走援助罪

5.1 目的犯

5.2 客体

5.3 行為

5.4 既遂時期

5.5 未遂


6 看守者等による逃走援助罪

6.1 主体

6.2 客体

6.3 未遂


7 脚注

8 参考文献

9 関連項目

概説

逃走の罪は第二編「罪」第六章に規定がある。逃走の罪の保護法益は国家の拘禁作用である[1]

逃走の罪の類型としては、被拘禁者が自ら逃走する場合(被拘禁者が犯罪の主体となる場合)と被拘禁者を他者が逃走させる場合(被拘禁者が犯罪の客体となる場合)とがあり、このうち前者(単純な逃走)については期待可能性が低いために不可罰としている国もあるが、日本では処罰対象としている[1]。最高裁は本罪の合憲性について「未決若しくは既決の囚人が拘禁の苦痛を免れようとする衝動から逃走するのは、憲法が保障する自由を回復する行為ではない。なぜならば未決、既決の囚人がその身体の自由を制限されている場合には法律の定める手続によらなければ右自由を回復しえないものだからである。そしてかかる囚人の自己逃走を処罰するために設けられた前記刑法規定は公共の福祉を保持するために自由の制限を認めたものであって、所論のごとき違憲のかどは認められない」としている(最判昭26・7・11刑集5巻8号1419頁)。
単純逃走罪

裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、1年以下の懲役に処せられる(刑法第97条)。加重逃走罪と区別する目的で、単純逃走罪と呼ばれる。
主体

本罪の主体は「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」であり身分犯である。

拘禁された既決の者とは、確定判決を受けて自由刑の執行のために拘置されている者(刑法第12条第2項・第13条第2項)と、死刑の言い渡しを受けて、執行までの間に刑事施設に拘置されている者(刑法第11条第2項)をいう。通説的見解によれば、罰金又は科料を完納することができないために労役場に留置されている者(刑法第18条第1項・第2項)も含まれる[2]

拘禁された未決の者とは、勾留状の執行のために拘禁されている者をいう(札幌高判昭和28年7月9日高刑集6巻7号874頁)。また、刑事訴訟法第167条及び第224条による、鑑定留置に付された者も含まれるというのが通説的見解である(仙台高判昭和33年9月24日高刑集11巻追録1頁参照)。一方、逮捕状の執行のために拘禁されている者は、「裁判の執行により」拘禁された者ではないから、加重逃走罪の「勾引状の執行を受けた者」にはあたるが、単純逃走罪の主体とはならないとするのが通説的見解である(東京高判昭和33年7月19日高刑集11巻6号347頁参照)。
行為

本罪の行為は「逃走」であり、看守者の実力的支配を脱した状態をいう。未決の者が施設の外へ脱走したが、看守者がすぐに発見して追跡し、まもなく発見された場合、看守者の実力的支配を脱したとはいえないから、逃走未遂罪となるとした下級審の判決がある(福岡高判昭和29年1月12日高刑集7巻1号1頁)。
未遂

本罪は未遂も罰する(刑法第102条)。
加重逃走罪

裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、3か月以上5年以下の懲役に処せられる(刑法第98条)。
主体

本罪の主体は単純逃走罪の主体(裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者)のほか「勾引状の執行を受けた者」も含まれる(身分犯)。逮捕状により逮捕された者は含まれるが(東京高判昭和33年7月19日高刑集11巻6号347頁)、現行犯逮捕緊急逮捕の場合には逮捕状が発行されていないので本条の主体から除かれるとするのが通説的見解である[2]

通謀を逃走手段とした場合の主体については、二人が通謀して一人を逃走させた場合について、共同正犯の規定が適用されるか否かで争いがある。適用できるとする説もあるが、適用できず、行為の態様により、各人に単純逃走罪、加重逃走罪又は逃走援助罪を適用すべきであるとする見解が有力である。また、各人につき既遂又は未遂の判定をすべきであるとした下級審の判決がある(佐賀地判昭和35年6月27日下刑2巻5=6号938頁)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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