識字率
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識字(しきじ)(literacy)とは、文字書記言語)を読み書きし、理解できること、またその能力。

文字に限らずさまざまな情報の読み書き、理解能力に言及する際には、日本語ではリテラシーという表現が利用される。
目次

1 概説

2 識字状況

2.1 発展途上国における識字運動

2.2 機能的非識字


3 国別の識字率

3.1 アジア

3.2 アフリカ

3.3 北アメリカ

3.4 南アメリカ

3.5 ヨーロッパ


4 歴史

4.1 総論

4.2 メソポタミア

4.3 ヨーロッパ

4.4 日本

4.4.1 近世以前

4.4.2 近代以後


4.5 その他


5 識字に関する基本文献

6 脚注

7 関連項目

概説 1970年から2015年にかけての45年間の全世界の非識字率の推移。この45年間に非識字率は半減した 1990年から2015年にかけての25年間における世界各地域の識字率の推移。発展途上国において急速な識字率の上昇が認められる

識字は日本では読み書きとも呼ばれる。読むとは文字に書かれた言語の一字一字を正しく発音して理解できる(読解する)ことを指し、書くとは文字を言語に合わせて正しく記す(筆記する)ことを指す。

何をもって識字とするかには様々な定義が存在するが、ユネスコでは、「日常生活で用いられる簡単で短い文章を理解して読み書きできる」状態のことを識字と定義している[1]

この識字能力は、現代社会では最も基本的な教養のひとつで、初等教育で教えられる。生活のさまざまな場面で基本的に必要になる能力であり、また企業などで正式に働くためには必須である。これまで識字能力がなくとも生活することのできた地域においても、近代以後の急速な産業化によって識字能力が必須となり、識字能力は生存に欠かせないものとなりつつある。また識字能力は生活水準と直結し、また国家の産業力とも連動するため、人間開発指標など多くの開発指標において識字率は重要な要素の一つとなっている[2]。またこの理解のため、開発経済学などにおいても識字率は重要な指標の一つとして用いられる。

また、この項目を読み、内容が理解でき、何らかの形式にて書き出すことができる者は、少なくとも日本語に対する識字能力を持ち合わせているとみなすことができる。

文字を読み書きできないことを「非識字」(ひしきじ)または「文盲」(もんもう)ないし「明き盲」(あきめくら)といい、そのことが、本人に多くの不利益を与え、国や地域の発展にとっても不利益になることがあるという考えから、識字率の高さは基礎教育の浸透状況を測る指針として、広く使われている(「識字率が低い」場合は「文盲率が高い」とも言い換えられる)。

なお、「文盲」や「明き盲」は視覚障害者に対する差別的ニュアンスを含むことから、現在は公の場で使用することは好ましくないとされている[3]

光学文字認識(OCR)の読み取り精度を指して識字率と呼称するのは全くの誤りである。
識字状況

識字率(推定)
(
OECD)
 1970年2000年
 世界全体  63 %  79 % 
 先進国および新興工業国  95 %  99 % 
 後発開発途上国  47 %  73 % 
 内陸開発途上国  27 %  51 % 

18世紀以降、ヨーロッパや北アメリカにおいては識字率の上昇が続いてきた。これは産業革命の進展と近代国家の成立に伴い、国民の教育程度の向上が必須課題となり、国家によって義務教育が行われるようになったためである。この傾向は20世紀に入り、産業化の遅れたアジアやアフリカ、南アメリカなどの諸国が国民の教育に力を入れるようになったことでさらに加速した。第二次世界大戦後、世界の識字率は順調に向上しており、1970年には全世界の36.6%が非識字者だったものが、2000年には20.3%にまで減少している[4]。しかし、まだ世界の全ての人がこの能力を獲得する教育機会を持っているわけではない。また、男性の非識字率よりも女性の非識字率の方がはるかに高く、2000年には男性の非識字者が14.8%だったのに対し、女性の非識字者は25.8%にのぼっていた[5]。ただしこの男女間格差は縮小傾向にあり、1970年に比べて2000年には5%ほど格差が縮小していた[5]。地域的にみると、識字者の急増は全世界的に共通しており、どの地域においても非識字率は急減する傾向にあるが、なかでも東アジアオセアニアにおいて識字率の向上が著しい。識字率は北アメリカやヨーロッパにおいて最も高いが、東アジア・オセアニア・ラテンアメリカの識字率もそれに次いで高く、この3地域における非識字者は1割強に過ぎない。それに対し、アフリカ中東南アジアの非識字率はいまだに高く、4割程度が文字を利用することができない。最も世界で非識字率が高いのは南アジアであり、2000年のデータでは約45%が非識字者である[6]。アフリカにおいては2001年のデータで非識字率は37%となっている[7]。また、非識字率は急減を続けているものの、非識字者の実数は減少せず、むしろやや増加している地域も存在する[6]
発展途上国における識字運動

発展途上国、特に第二次世界大戦後に独立したアジアやアフリカの新独立国においては識字率が非常に低いところが多かったが、識字および教育は国力に直結するとの認識はすでに確立されていたため、これらの発展途上国の多くは初等教育に力を入れ、識字率の向上に努めた。途上国政府のみならず、先進各国の政府も識字能力の向上のため多額の援助を行い、多数のNGOも積極的な支援を行った。これらの努力により前述のように途上国の識字率は急上昇をつづけているが、教員や予算の不足によって国内のすみずみまで充実した公教育を提供することのできない政府も多く、アフリカの一部においてはいまだ識字率が50%を切っている国家も存在する。

第二次世界大戦後に設立されたユネスコは識字率の向上を重要課題の一つと位置付けており、様々な識字計画を推進している。その一環として1966年には毎年9月8日国際識字デーと定められ[8]1990年は国際識字年として様々な取組が行われた。そして識字への取り組みをより強化するために、2003年には「国連識字の10年」が開始され、2012年まで10年にわたって行われた[9]
機能的非識字

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文字を読み書きできない非識字(illiteracy)と読み書きを流暢にできる段階(full fluency)の間には、初歩的な読み書きを行えても、社会参加のための読み書きを満足に使いこなせない段階が存在する。これが機能的非識字(functional illiteracy)である。1956年にウィリアム・グレイ(William S. Gray)は識字教育に関する調査研究報告書の中で、「機能的識字(functional literacy)」の概念を明確にして、識字教育の目標を機能的識字能力を獲得することに設定すべきと提言した。
国別の識字率詳細は「識字率による国順リスト」を参照

識字率は、初等教育を終えた年齢、一般には15歳以上の人口に対して定義される。一般的には識字率を計算する場合、母語における日常生活の読み書きができることを識字の定義とするが、識字の定義はその国によって異なっている[10]。全世界の識字率は2000年時点で約80%で[4]、母語と公用語が異なる場合(公用語が2言語以上存在する場合)や、移民が多い国ほど識字率は低下する傾向がある。この点で、識字率を国際的に比較するには大きな注意を払う必要がある。

 一般に、識字率の調査は、角(2012)の研究で詳述されているように、実施方法・費用調達の点において、設計と実施が極めて困難であり、流布されている数値の信頼性はかなり低いと考えなければならない。


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