言語類型論(げんごるいけいろん)とは、世界中の言語の特徴を収集し、それらの相違点、類似点を探ることにより、最終的にすべての言語に普遍的な要素を見つけ出そうとする学問のことである。
類型論は文法的な特徴に基づくものであり、歴史的系統関係、地理的分布、社会状況などに関する分類は通常、類型論の範疇に含まれない。歴史言語学による系統上の分類は語族と呼ぶが、類型論的分類は類型と呼ぶ。 20世紀前半までの類型論は、アウグスト・シュライヒャーによる屈折語・膠着語・孤立語の3分類に見られるように、世界中の言語をいくつかの類型に分類することを主な目的としていた。現在の類型論を基礎づけたのはジョーゼフ・グリーンバーグである。彼以降、類型論の主要な関心は、部分的な文法現象ごとに多くの言語を比較することで、人間言語に見られる普遍的な性質を見いだすことに移ってきている。 全ての言語について網羅的にデータを集めることは事実上不可能なので、類型論の研究者はなんらかの形でサンプルをとる必要がある。その場合、できるかぎり無関係な言語から均等にサンプルを集めることが望ましい。そうでないと、たまたま歴史的起源が同一であったとか、地理的な近さによる影響で、サンプルの言語が共通の性質を示すかもしれないからである。グリーンバーグは30言語を調査対象にしたが、その3分の1近くがインド・ヨーロッパ語族であり、今日的観点からするとそのサンプリングには問題があったことが指摘されている。 類型論的研究によって見いだされる普遍性には、次のようなものがある。絶対的普遍性とは、これまでのところ例外なく全ての言語に当てはまるような普遍性であり、たとえば次のようなものが挙げられる(ただし異論がないわけではない)。 それに対して、次のような命題には少数だが例外があり、非絶対的普遍性と呼ばれる。 絶対的/非絶対的の区別とは別に、普遍性には含意的か、非含意的かの区別がある。含意的普遍性とは条件文の形で記述されるような普遍性であり、たとえば次のようなものが挙げられる。 この含意的普遍性の発展的な形として「含意階層」の考え方がある。たとえば、英語ではさまざまな文法的役割をもつ語が関係節の先行詞になれるのに対し、マダガスカル語では主語しか関係節化できない。エドワード・キーナン 類型論は伝統的に機能主義言語学 生成文法もやはり言語普遍性の追究を標榜する学問であるが、そのアプローチは大きく異なっており、特に初期にはその研究対象が英語に集中していたこともあり、類型論との結びつきは弱かった。しかしながら近年では生成文法も多くの言語に応用されるようになってきており、原理とパラメータのアプローチ 形態論に関する議論は類型論のなかで最も古い歴史をもち、19世紀ヨーロッパにその来源を遡ることができる。類型論に貢献した初期の学者としてはフリードリヒ・フォン・シュレーゲルとヴィルヘルム・フォン・フンボルトの名が挙げられる。
目次
1 類型論の方法論
1.1 類型論におけるデータ
1.2 普遍性の種類
1.3 類型論における「説明」
2 形態
3 語順
4 文法関係の表示
4.1 対格型と能格型
4.2 主要部標示と従属部標示
4.3 主語優勢言語と主題優勢言語
4.4 動詞枠付け言語と衛星枠付け言語
5 注
6 参考文献
類型論の方法論
類型論におけるデータ
普遍性の種類
上唇と下の歯で閉鎖を作って調音する音をもつ言語は(生理的に不可能ではないが)存在しない。
全ての言語は名詞と動詞の区別を持つ。
摩擦音が一つしかない言語では、その摩擦音は [s] である。(例外:ハワイ語の唯一の摩擦音は [h] である)
ほとんどの言語で、平叙文の末尾を上昇調で発音すると yes/no 疑問文として機能する。(例外:タイ語などでは疑問をイントネーションで示さない)
ある言語が VSO(動詞-主語-目的語)語順をもつなら、その言語では形容詞は名詞に後続する。
類型論における「説明」
形態
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