罰金
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罰金(ばっきん)とは、刑罰の一種であり、行為者から強制的に金銭を取り立てる財産刑である。自然人だけでなく、法人に罰金刑を科すこともできる。
目次

1 日本における罰金

1.1 刑の適用

1.1.1 刑法

1.1.2 行政刑罰(刑法の適用)

1.1.3 行政上の秩序罰(刑法上の罰金との違い)


1.2 刑の内容

1.2.1 罰金の金額

1.2.2 物価変動による金額変更

1.2.3 前科となる刑罰


1.3 労役場留置

1.4 未決勾留日数の算入

1.5 執行猶予

1.6 科刑状況


2 韓国における罰金

2.1 刑の内容

2.2 労役場留置

2.3 未決勾留日数の算入


3 米国における罰金

4 出典

5 関連項目

日本における罰金
刑の適用

罰金は刑法に定められている刑罰の一種である。法律上は後述の行政上の秩序罰(過料、課徴金、過怠金、重加算税、道路交通法上の反則金放置違反金などの行政制裁)と区別される[1][2]
刑法

刑法に罰金刑を定めている罪は多い。しかし、窃盗罪などの財産犯や、公務執行妨害罪などの国家的法益に対する罪は、従来、選択刑として懲役のみが定められ、罰金は定められていなかった。これは、「窃盗は金のない者が犯すのであるから、罰金を科しても実効性がない」ことや、「国家的法益に対する罪は罰金になじまない」ことなどを理由とした。

しかし、少額窃盗(万引きなど)や、軽微な公務執行妨害(喧嘩の仲裁に入った警察官を突き飛ばした場合など)では、懲役を科すのは重すぎると考えられることもある。特に、公務員や一部の士業公認会計士など)は、禁錮以上の刑に処されると執行猶予が付いても失職・欠格となるので、軽微な犯罪で有罪になると酷な事態を招いてしまう。そのため、起訴猶予で処理されてきた事件が多かった。そこでこれらの犯罪への処罰にも柔軟に対応するため、選択刑として罰金刑が定められた(平成18年法律第36号、平成18年5月28日施行)。
行政刑罰(刑法の適用)

行政上の義務違反に対して科される制裁を行政罰といい、行政刑罰と行政上の秩序罰がある[2]

行政刑罰は行政上の義務違反に対する制裁として刑罰を科すものである[2]。刑法8条は「この編の規定は、他の法令の罪についても、適用する。ただし、その法令に特別の規定があるときは、この限りでない。」と定めており、他の法令の罪にも刑法総則を適用する[2]

罰金刑を定める他の法令(行政刑罰)の例

労働組合法28条(確定判決によって支持された労働委員会の命令違反)[2]

独占禁止法90条3号(排除措置命令又は競争回復措置命令が確定した後の審決違反)[2]

また、普通地方公共団体、特別区、地方公共団体の組合は、法令に特別の定めがあるものを除き、条例上の義務違反に対して2年以下の懲役もしくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料もしくは没収の刑を定めることができる(地方自治法14条3項)[2]。なお、条例では後述の行政上の秩序罰(5万円以下の過料)を定めることもできる[2]

刑法8条の「法令に特別の規定があるとき」の代表的な例は鉱業法194条や道路交通法123条などの両罰規定である[2]

以上の行政刑罰に対しては原則として刑事訴訟法の適用がある[2]
行政上の秩序罰(刑法上の罰金との違い)

行政罰のうち行政上の秩序の維持のために科される金銭的制裁は行政上の秩序罰に分類されるが、これは行政刑罰として科される罰金とは異なる[2]。行政上の手続違反の際に課される過料などを俗に「罰金」と呼ぶことがある。しかし、過料、課徴金、過怠金、重加算税などは刑罰以外の行政制裁であり行政処分の一種である[1]。行政上の秩序罰には刑事訴訟法は適用されない[2]

反社会性が強い行為に対しては行政刑罰、行政上の軽微な義務違反に対しては行政上の秩序罰が課されるが不統一が残存しているのではないかとの指摘もある[2]

行政上の秩序罰の例

過料

労働組合法32条(裁判所の緊急命令違反および出訴されずに確定した労働委員会の救済命令違反)[2]

独占禁止法97条(未確定の審決違反)[2]


加算税(重加算税)

課徴金

独占禁止法上の課徴金[2]


このほか行政制裁には間接国税等についての通告処分、道路交通法違反の反則金も含まれるが、これらは税金や反則金を支払わない場合に刑事手続に移行する特色がある[1]。間接国税等についての通告処分や道路交通法上の反則金制度は行政犯の非刑罰的処理(ダイバージョン)を制度化した例と捉えることもできる[2]

また、道路交通法上の放置違反金(道路交通法51条の4)も行政上の秩序罰であるが、立法者意思によれば、裁判所ではなく都道府県公安委員会が科すこととしているので、過料とは異なる独自の制度となっている[2]

なお、普通地方公共団体、特別区、地方公共団体の組合は、法令に特別の定めがあるものを除き、条例上の義務違反に対して5万円以下の過料を定めることもできる(地方自治法14条3項)[2]
刑の内容
罰金の金額

罰金の金額は、1万円以上と定められているが、減軽する場合においては1万円未満に下げることができる(刑法15条)。

刑法では上限については一般的に制限していない。そのため、個々の条文で罰金額の上限を定めている。特に、独占禁止法金融商品取引法、会社法第960条(特別背任罪)ような経済犯罪については、法律によって非常に高額な罰金が定められることもある。現在のところ法定刑の最高額は、金融商品取引法207条が規定する、法人に対する罰金7億円である。

罰金額は原則として定額制だがスライド制がとられている罪もある[1]。脱税および偽造通貨等収得後知情行使(刑法152条)については、脱税額および偽造通貨等の使用額面に比例して罰金を課すことができる(例えば所得税法第238条第2項では、脱税額が500万円を超える場合は、脱税額と同額の罰金を課すことができると規定している)ため、いわゆる青天井になっている。

なお、裁量的あるいは必要的に懲役刑などの自由刑と罰金刑が併科される場合がある[1]

罰金刑を言い渡された者が罰金を納付しないまま死亡したときは、その執行もできなくなる。ただし、刑事訴訟法491条に規定する犯罪(租税その他の公課若しくは専売に関する法令の規定により言い渡した罰金)に該当する場合には、相続財産に対して罰金刑を執行できる。

支払われた金銭は科料の金銭とともに国庫に入り、国を運営する経費に充てられる。
物価変動による金額変更

古い刑罰法規の中には、インフレーションにより罰金刑の額が現在の物価からすると、かなり金銭価値が安くなってしまった規定もある。そのような事情に対応するために、罰金等臨時措置法が定められ、罰金刑の額が個々の刑罰規定における額に関わらず、一定額に引き上げられており、実際の法定刑は個々の刑罰法規に罰金等臨時措置法を適用したものになる。


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