空気ばね
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空気バネ(くうきバネ)は、圧縮空気の弾力性を利用したバネ装置である。エアサスペンション(air suspension, エアサス)などに利用される。


目次

1 特徴

2 用途

2.1 自動車

2.2 鉄道車両

2.2.1 空気バネパンク



3 関連項目

4 脚注

4.1 注釈

4.2 出典


5 参考文献


特徴

非線型特性である。ばね定数(ばねレート)は可変。共振し難い。

気体の性質としてボイルの法則がある。「一定温度下で気体の圧力と体積は反比例の関係にある」というもので、気体を2分の1の体積まで圧縮すると圧力は2倍になる、すなわち反発力も2倍になる。その性質を利用したのが空気ばねで、人や荷物を積んだ時は圧縮されるので反発力が上がり、それらをおろすと元の反発力に戻る。そのため平常時はそうとうに軟らかいばねレートを設定でき、積載時はどれだけ圧縮しても気体はなくならずより強い反発力を得られることから、乗り心地は悪化しても容易にボトミングすることもない。また、金属の弾力性を利用する金属ばねでは吸収しきれない、微細な振動をも減衰できるとともに、内容積や空気圧などの調整により、バネとしての強さを適切に設定することができる。空気の量を変えることで任意にばねレートや車高を設定できるが、空気源や弁装置、車高のセンシングが必要で、システムとしては複雑になる。
用途
自動車空気バネによるニーリング機構(FCHV-BUS)空気バネによるクラウチング機構(いすゞ・ガーラ

主にバストラックに採用されている。乗り心地を重視する観光バス高速バスでは標準装備となっている。

路線バスやトラックでは、構造がシンプルで廉価な板バネ(リーフ式サスペンション)が主流だったが、路線バスでは1990年代からバリアフリー化の進展による乗降性改善のために車高調整機能を備える必要があり、ノンステップバスに代表される低床車を中心に採用車種が増えている。バスでは乗降時に空気バネの空気を抜くことで車高を下げる機能を備えており、路線バスの場合は扉が複数有ることが多いため、前輪、後輪とも扉側の空気バネをパンクさせる機構が採用されている。これは、人が片ひざをつく姿勢になぞらえて、「ニーリング機能」と呼ばれている。観光バスや高速バスでは乗降口が前扉のみのものが多く、前輪の空気バネを左右ともパンクさせることで前方が下がることから、「クラウチング機能」とも呼ばれる。もちろん車高を下げるだけでなく、段差を越える場合や道路条件が悪い場合に車高を上げ、接地を防ぐ機能も有するが、速度が制限される。また、全ての空気バネをパンクさせることも出来る(フェリーに乗せるときに使用し、通常は使用しない。その状態では通常走行不可)。 トラックでは走行中の荷物の損傷を抑え、荷役時に車高調整機能を利用して荷台をスロープ状にできることから、バンボディの中型・大型車を中心に装着されている。後車軸が2軸1デフの場合は、デフのある後前軸の空気バネの内圧を後後軸より高くすることで、軸重(1軸当たりの負担重量)を上げ、発進時に大きなトラクション(駆動力)を得る機能を備えることもできる。

空気バネの構造で「2バッグ式」と「4バッグ式」という呼び方を用いることがある。これは1つの車軸に対して空気バネのベローズ(=エアバッグ)をいくつ用いているかを表し、2バッグ式は左右1個ずつ、4バッグ式は車軸の前後に2個ずつ備えている。4バッグ式は、ひとつあたりのばね定数を下げることができ、乗り心地や振動の減衰にメリットがあるが、高価となるため、コストを抑える場合は2バッグ式が採られる。前軸は荷重負担が少ないことと、ステアリング機構にスペースが割かれるため、バスも含めて2バッグ式が標準となる。従来の空気バネ付きトラックでは、後軸のみを空気バネとした車種が多かったため、前後ともに空気バネを採用する場合は、「総輪エアサス車」または「フルエアサス車」と称して区別することがある。

空車時に非駆動軸(デッドアクスル)の一部を持ち上げる「エアリフトアクスル」用のエアバッグを装備するものもある。

また、車種は多くないものの、一部の高級乗用車NVH低減)、SUV(NVH低減に加え、車高調整機能による最低地上高や対地障害角の確保と、乗降性の両立)、スポーツカー(車高調整機能による最低地上高の確保)にも用いられている。

同じく圧縮された気体をばねとして利用するものに、シトロエンの「ハイドロニューマチック」があるが、これは、窒素ガスの反発力をばね力に、油をばね力の伝達と減衰に使用している。この方式では、ゴム膜(ダイヤフラム)で隔てられた2つの空間を持つ鉄製のアキュムレータ(蓄圧容器)の片側に窒素ガスを封入し、油圧配管につながるもう一方に専用の作動油を満たし、その油圧を変化させることでばね力(窒素ガスの反力)と車高の調節を行う。経年により窒素ガスがゴム膜を通りぬけて内圧が下がってしまい、徐々にばねとしての役割を果たさなくなる。ゴム膜の交換や窒素ガスの再封入が可能な分解式のアキュムレータも存在するが、GS以降のシトロエン車は非分解式となっており、アッセンブリー交換以外にばね機能を再生する方法はない。

近年では乗用車用としてミニバンローライダーと呼ばれるジャンルの改造車(古いシボレーなどのアメリカ車ホンダセダン等をアメリカ西海岸で行われているような改造を施した車)、VIPカースポーツカーなどを中心として、それらの純正金属バネと交換するための後付けのエアサスペンションキットが発売されている。しかし純正のものと異なり、エアタンクの水抜き(ドレン)を始めとしたこまめなメンテナンスが必要である。また、室内から車高の調整を行えるようにした場合は車検に通らないため、注意が必要である。最近では最低地上高の低いスポーツカー用として、車高調整式サスペンションのアッパーマウントに取り付ける補助用のエアサスキットも販売されており、段差など、対地クリアランスが求められる場面で用いられる。

テレスコピックショックアブソーバーに似た構造のケースに高圧の窒素ガスを封入したガススプリングと呼ばれる部品は、跳ね上げ式のバックドアの開閉を補助し、開いたドアを支えるなどの用途に用いられている。高級車では車内のグローブボックスなど、収納スペースの蓋にまでガススプリングを使用したものもある。

特殊な用途としては、競技用車両のエンジン内部のバルブスプリングとしても使用されており、共振しづらさを活かしてバルブサージングを抑制し、エンジンの超高回転域での使用を可能にしている。

前軸用2バッグ型

後軸用4バッグ型
サスペンションはトレーリングアーム式

セミトレーラーのエアリフトアクスル。
前(左)側を上げている。

同左
リフト用アームとエアバッグ



鉄道車両鉄道車両の台車(ボルスタレス台車)における使用例。台車枠と車体の間の円盤状のもの(枕バネ)が空気バネである。鉄道車両のボルスタレス台車に使用されているダイヤフラム式の空気バネのカットモデル、Aがダイヤフラム・Bが積層ゴム・Cが絞り穴・Dが下面板・Eが上面板。

客車貨車気動車電車の別なく路面電車モノレールから新幹線に至るまで広く採用されている(国鉄では急行形特急形201系以降の通勤形キハ66/67117系以降の近郊形に採用)。鉄道では古くからブレーキシステム作動に圧縮空気を使用していたため、ブレーキ用の空気圧縮機や配管などを空気バネの作動にも流用できるメリットがあった。

初期の試作的なもの [注釈 1] をのぞいてほとんどが台車枕バネ部に使用され、ベローズ式(ゴム筒の中間に何本かの金属線条を通した形状が提灯を連想させることから「提灯バネ」とも通称される)およびダイヤフラム式(外部からは金属製の椀を伏せたような形、またはゴムまりを上下から押し付けたような形に見える)などの構造がある[1]


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