白血病
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この項目では、白血病全般について説明しています。急性骨髄性白血病急性リンパ性白血病慢性骨髄性白血病慢性リンパ性白血病について個々にはそれぞれの項目、慢性骨髄増殖性疾患については「骨髄増殖性疾患」を、リンパ系腫瘍については「悪性リンパ腫」をご覧ください。
健康人の正常な血液。中央に1つある細胞が白血球。正常な血液で白血球は赤血球の 1/500 から 1/1000 の数しかない。なお、各写真は見やすいように染色した画像である。染色しない白血球や幼若細胞は無色半透明である。急性骨髄性白血病 (AML-M6) の血液の例。白血病では赤血球は減少していることがあり、逆に白血球が著明に増加していたり(減少していることもある)、血球の幼若球(芽球)が末梢血に出現したりする。この画像では(健康人の血液では決して出現しない赤芽球に似た)白血病細胞が著明に出現している。なお、標本の作り方、観察方法によって顕微鏡写真像は異なるので、白血病の血液が皆、このように見えるとは限らない。

白血病(はっけつびょう、Leukemia)は、「血液がん」ともいわれ、遺伝子変異を起こした造血細胞(白血病細胞)が骨髄で自律的に増殖して正常な造血を阻害し、多くは骨髄のみにとどまらず血液中にも白血病細胞があふれ出てくる血液疾患。白血病細胞が造血の場である骨髄を占拠するために造血が阻害されて正常な血液細胞が減るため感染症貧血出血症状などの症状が出やすくなり、あるいは骨髄から血液中にあふれ出た白血病細胞がさまざまな臓器に浸潤(侵入)して障害することもある。治療は抗がん剤を中心とした化学療法輸血や感染症対策などの支持療法に加え、難治例では骨髄移植臍帯血移植などの造血幹細胞移植治療も行われる。大きくは急性骨髄性白血病 (AML)、急性リンパ性白血病 (ALL)、慢性骨髄性白血病 (CML)、慢性リンパ性白血病 (CLL) の4つに分けられる。


目次

1 概要

2 歴史と白血病の名の由来

2.1 歴史

2.2 血の色と白血病の名の由来


3 症状

4 検査

5 疫学

5.1 日本の白血病発症率


6 原因

7 分類

8 治療法

8.1 急性骨髄性白血病の治療

8.2 急性リンパ性白血病の治療

8.3 慢性骨髄性白血病の治療

8.4 慢性リンパ性白血病の治療

8.5 抗がん剤の副作用と対策・支持療法

8.5.1 副作用への対策・支持療法


8.6 将来の治療法


9 白血病幹細胞

10 白血病細胞の分裂・増殖速度

11 年齢による白血病の違い

11.1 小児白血病

11.1.1 小児白血病の疫学

11.1.2 小児白血病の特徴

11.1.3 小児白血病の治療

11.1.4 ダウン症小児白血病


11.2 高齢者の白血病


12 その他の白血病

12.1 二次性(治療関連)白血病

12.2 成人T細胞白血病

12.3 ヘアリーセル白血病

12.4 系統不明な白血病

12.5 低形成性白血病


13 白血病と類縁疾患の境

14 放射線と白血病

14.1 原子爆弾と白血病

14.1.1 原爆による放射線被曝による白血病とがんの発生の違い


14.2 チェルノブイリ原発事故と白血病

14.3 マヤーク核兵器生産炉周辺での白血病増加

14.4 その他の放射線被曝と白血病


15 白血病患者への支援

15.1 日本における白血病患者に対する支援


16 動物の白血病

17 脚注

17.1 註釈

17.2 出典


18 参考文献

19 関連項目

20 外部リンク


概要

日本血液学会では

『白血病は遺伝子変異の結果、増殖や生存において優位性を獲得した造血細胞が骨髄で自律的に増殖するクローン性の疾患群である。白血病は分化能を失った幼若細胞が増加する急性白血病と、分化・成熟を伴いほぼ正常な形態を有する細胞が増殖する慢性白血病に分けられる。また分化の方向により骨髄性とリンパ性に大別される』?-引用、日本血液学会、日本リンパ網内系学会編集、『造血器腫瘍取扱い規約』金原出版、2010年、p.2

としている。

白血病は病的な血液細胞(白血病細胞)が骨髄で自律的、つまりコントロールされることなく無秩序に増加する疾患である。骨髄は血液細胞を生み出す場であり、骨髄での白血病細胞の増加によって正常な造血細胞が造血の場を奪われることで正常な造血が困難になり、血液(末梢血)にも影響が及ぶ。あるいは骨髄から血液中にあふれ出た白血病細胞がさまざまな臓器に浸潤(侵入)して障害することもある。白血病患者の血液中では白血病細胞あるいは病的な白血球を含めると白血球総数は著明に増加することも、あるいは減少することもある。しかし、正常な白血球は減少し血小板赤血球も多くの場合減少する[註 1]

白血病の症状として、正常な白血球が減ることで感染症(発熱)、赤血球が減少することで貧血になり貧血に伴う症状(倦怠感、動悸、めまい)、血小板が減少することで易出血症状などがよく見られ、また血液中にあふれ出た白血病細胞が皮膚や神経、各臓器に浸潤(侵入)してそれらにさまざまな異常が起きることもある。

治療は抗がん剤を中心とした化学療法によって白血病細胞の根絶を目指し、白血病の諸症状の緩和に輸血や造血因子投与や(抗菌薬やクリーンルームなどの)感染症対策などの支持療法に加え、難治例では骨髄移植などの造血幹細胞移植治療も行われる。

白血病は年に10万人あたりおよそ7人(2005年、日本)が発症する比較的少ないがんであるが[註 2]、多くの悪性腫瘍(癌、肉腫)は高齢者が罹患し小児や青年層では極めてまれなのに対し、白血病は小児から高齢者まで広く発症するため、小児から青年層に限ればがんの中で比較的多いがんである[1]。造血の場である骨髄で造血の元になっている細胞が変異したことによって起きるのが白血病であり、癌や肉腫のように固形の腫瘍を形成しないため、胃癌や大腸癌などのように外科手術の適応ではないが、その代わり抗がん剤などの化学療法には極めてよく反応する疾患である[2][註 3]。19世紀にドイツの病理学者ルドルフ・ルートヴィヒ・カール・ウィルヒョー(ウィルヒョウ,フィルヒョウ)が白血病を初めて報告して Leukemia(白血病)と名付けたが、かつては白血病は治療が困難で、自覚症状が現れてからは急な経過をたどって死に至ったため、不治の病とのイメージを持たれてきた。また、白血病は現代においても現実に若年層での病死因の中で高い割合を占めることから、フィクションでは、かつての結核に代わって、癌と並び現代ではしばしば若い悲劇の主人公が罹患する設定になることが多い[3]。しかし、1980年代以降、化学療法や、骨髄移植 (bone marrow transplantation; BMT)、末梢血造血幹細胞移植 (peripheral blood stem cell transplantation; PBSCT)、臍帯血移植 (cord blood transplantation; CBT) の進歩に伴って治療成績は改善されつつある[4]


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