植物界
分類
Plantae sensu lato = Archaeplastida
Plantae sensu stricto = Viridiplantae
Plantae sensu Margulis 1981 = Embryophyta
下位分類
アーケプラスチダ Archeplastida
(広義の植物)
緑色植物 Viridiplantae
(狭義の植物)
緑藻植物 Chlorophyta
ストレプト植物 Streptophyta
接合藻 Zygnematophyceae
車軸藻 Charophyceae
陸上植物 Embryophyta
(マーギュリスの植物)
紅色植物 Rhodophyta
灰色植物 Glaucophyta
植物(しょくぶつ、羅: plantae)とは、生物区分のひとつ。以下に見るように多義的である。
慣用的生物区分: 一般的には、草や木などのように、根があって場所が固定されて生きているような生物のこと。動物と対比させられた生物区分[1]。
生態的生物区分: 光合成をする生物のこと。多細胞体制のもののみとする場合や単細胞のものまで含める場合がある。
系統的生物区分: 真核生物の中の1つの生物群。陸上植物およびそれらに近縁な生物が含まれる。ワカメなどの褐藻は系統が異なるため含まれない。
植物という語が指し示す範囲は歴史的に変遷してきており、現在でも複数の定義が並立している。そのため、「植物」を分類群としては認めなかったり、別の名前を採用し「植物」はシノニムとする動きもある。分類群としての名称は植物界となる。なお、本文においては、系統的生物区分すなわち単系統群について主に記述する。
目次
1 現在の植物
2 歴史
2.1 リンネ以前
2.2 リンネ以降
2.3 系統分類へ
3 分類学以外の用語
4 分類
5 植物の進化
6 人間と植物
7 脚注
8 関連項目
9 外部リンク
かつては植物は、広く光合成をする生物一般、すなわち藻類(光合成をする水生生物)全体やシアノバクテリア(藍藻)を含んでいた。さらに、光合成能力を失った植物と考えられていた真菌や、時にはシアノバクテリア以外の細菌まで含むこともあった。 具体的にどの範囲を植物と呼ぶかは定説がなく、次に挙げる各範囲が植物界としての候補となる。 このように、植物の定義が定まらないため、なるべく植物という名を避け別の呼び名を使う傾向がある。これは、動物がほぼ常に後生動物の意味で使われ、むしろ後生動物という言葉のほうが使われなくなりつつあるのとは対照的である。 アリストテレスは、植物を、代謝と生殖はするが移動せず感覚はないものと定義した。代謝と生殖をしないものは無生物であり、移動し感覚のあるものは動物である。ただしこれは、リンネ以来の近代的な分類学のように、生物を分類群にカテゴライズするのとは異なり、無生物から生物を経て人間(あるいはさらに神)へ至る「自然の連続 (συν?χεια)」の中に区切りを設けたものである。たとえばカイメンなどは、植物と動物の中間的な生物と考えられた。 カール・フォン・リンネは、すべての生物をベシタブリア Vegetabilia 界(植物)と動物 Animalia 界(動物)に分けた。これが二界説である。 当時の植物には、現在は(広義でも)植物に含められない褐藻や真菌類を含んでいた。ただし、微生物についてはまだほとんど知られていなかった。 微生物が発見されてくると、次のような植物的特徴を多く持つものは植物に、そうではないものは動物に分類された。 こうして拡大してきた植物には、現在から見れば次のような雑多な生物が含まれていた。 しかし、これらのうち一部しか当てはまらない生物が多いことが認識されてくると、二界説を捨て新たな界を作る動きが現れた。 まず1860年、ジョン・ホッグが微生物など原始的な生物を Primigenum にまとめ、1866年にはエルンスト・ヘッケルがそのグループに原生生物 (プロチスタ) Protista 界と命名した。これにより、微生物や真菌は植物から外された。また、ヘッケルは同時に現在の植物 Plantae 界という名を命名した。
現在の植物
現在でもホイタッカーの五界説をはじめとする、人為分類的な「植物」としての分類もあるが、ここでは、系統が異なるものは除き、単系統群を中心に説明していく。(光合成を行う藻類であっても褐藻(コンブ・ワカメなど)・珪藻などは系統が異なる。)
陸上植物
コケ植物、シダ植物、種子植物からなる単系統。古くは後生植物ともいい、陸上で進化し、高度な多細胞体制を持つ。この群を植物界とする分類はリン・マーギュリスが唱え、マーギュリスにより改訂された五界説と共に広まった。しかし、非常に近縁な緑藻植物などが含まれておらず狭すぎるという点がある。
ストレプト植物
陸上植物、車軸藻、接合藻からなる単系統。
緑色植物
ストレプト植物と緑藻植物からなる単系統群。葉緑体がクロロフィル a/b をもち葉緑体膜が2重である。単に「狭義の植物 (Plantae sensu stricto)」と言った場合、これを意味することが多い。
アーケプラスチダ
緑色植物、紅色植物、灰色植物からなる、おそらく単系統のグループ。葉緑体膜が2重である。シアノバクテリアを細胞内に共生させた生物を共通祖先とする単系統群であるという仮説に基づき、トーマス・キャバリエ=スミスがこの系統を植物と定義した。単に「広義の植物 (Plantae sensu lato)」と言った場合、これを意味することが多い。ただし、より広義の意味と対比させ、「狭義の植物界」と呼ぶこともある。[2][3]
バイコンタ
アーケプラスチダ、クロマルベオラータ、リザリア、エクスカヴァータからなる単系統。アーケプラスチダは側系統群であり、他のバイコンタはその子孫だが葉緑体を失った、という仮説に基づき、バイコンタを植物界とみなす説が出ている(Nozaki et al. 2007など)[4]。非常に広いグループであり、全ての(真核)藻類と多数の非光合成単細胞生物をも含む。ただし、非主流の系統仮説に基づいており、また広すぎて実用的でないため、あまり受け入れられてはいない。
歴史
リンネ以前
リンネ以降植物系統図の一例
光合成をする。
細胞壁をもち、多細胞のものは先端成長をする。
非運動性。
陸上植物・多細胞藻類 - 緑色植物、紅藻など。典型的な植物。
単細胞藻類 - 光合成をするが、細胞壁のないものや運動性のものもいる。
真菌 - 光合成はしないが、細胞壁を持ち、非運動性。
細菌・古細菌 - 一部は光合成を行うが、しないものの方が多い。細胞壁を持つ。運動性のものも多い。
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◇暇つぶし何某◇